(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光電変換素子および前記光電変換素子から出射された出射光を監視するための検出素子が基板上に配置されている光電変換装置と、光伝送体との間に配置され、前記光電変換素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合するための光レセプタクルであって、
前記光電変換素子から出射された前記出射光を入射させるか、または前記光伝送体の端面から出射され、前記光レセプタクルの内部を通る受信光を前記光電変換素子に向けて出射させる、1または2以上の第1光学面と、
前記第1光学面で入射した前記出射光を、前記基板に沿った方向に反射させるか、または前記光レセプタクルの内部を通る前記受信光を前記基板に垂直な方向に反射させる反射面と、
前記反射面で反射した前記出射光を前記光伝送体の端面に向けて出射させるか、または前記光伝送体の端面から出射された前記受信光を入射させる、1または2以上の第2光学面と、
前記第1光学面および前記第2光学面の間の光路上に配置され、前記反射面で反射した前記出射光を前記検出素子に向かうモニター光と前記光伝送体の端面に向かう信号光とに分離させるか、または前記第2光学面で入射した前記受信光の少なくとも一部を前記第1光学面側に向けて進行させる光分離部と、
前記光分離部で分離された前記モニター光を前記検出素子に向けて出射させる、1または2以上の第3光学面と、
を有し、
前記光分離部は、
前記反射面で反射した前記出射光の光軸に対する傾斜面である複数の分割反射面と、
前記反射面で反射した前記出射光および前記第2光学面で入射した前記受信光の光軸に対する垂直面である複数の分割透過面と、
を含み、
前記複数の分割反射面および前記複数の分割透過面は、前記分割反射面の傾斜方向である第1の方向に沿って交互に配置されており、
前記分割反射面は、前記反射面で反射した前記出射光の一部を前記モニター光として前記第3光学面側に向けて内部反射させ、
前記分割透過面は、前記反射面で反射した前記出射光の一部を前記信号光として前記第2光学面側に向けて透過させるか、または前記第2光学面で入射した前記受信光の一部を前記反射面側に向けて透過させ、
前記複数の分割透過面のうち少なくとも1つは、前記基板に垂直な方向において、他の前記分割透過面より幅が大きい、1または2以上の拡幅部を含む、
光レセプタクル。
前記拡幅部は、前記基板に垂直な方向および前記第1の方向の両方に直交する第2の方向において、前記拡幅部を含む前記分割透過面の全部に亘って延在している、請求項1に記載の光レセプタクル。
基板と、前記基板上に配置され、発光領域または受光領域を有する1または2以上の光電変換素子と、前記基板上に配置され、前記光電変換素子の前記発光領域から出射された出射光を監視するための1または2以上の検出素子とを有する光電変換装置と、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光レセプタクルと、
を有し、
前記基板に垂直な方向と、前記基板に垂直な方向および前記第1の方向の両方に直交する第2の方向とにおいて、前記拡幅部の長さは、前記分割透過面における前記光電変換素子の前記発光領域または前記受光領域の像の長さと同じか、それより長い、
光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[実施の形態1]
(光モジュールの構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る光モジュール100の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図2では、光レセプタクル120内の光路を示すために光レセプタクル120の断面へのハッチングを省略している。また、
図2において、一点鎖線は光の光軸を示しており、破線は光の外径を示している。
【0019】
図2に示されるように、光モジュール100は、光電変換素子(本実施の形態では、発光素子112)を含む基板実装型の光電変換装置110と、光レセプタクル120と、光伝送体140とを有する。光モジュール100は、送信用の光モジュールであり、光レセプタクル120に光伝送体140がフェルール142を介して接続された状態で使用される。光電変換装置110および光レセプタクル120は、接着剤(例えば、熱/紫外線硬化性樹脂)などの公知の固定手段によって互いに固定される。そして、光レセプタクル120は、光電変換装置110と光伝送体140との間に配置された状態で、光電変換装置110と光伝送体140の端面141とを光学的に結合させる。なお、以下の説明では、光伝送体140が接続される側の面を光レセプタクル120の「正面」として説明する。
【0020】
光伝送体140の種類は、特に限定されず、光ファイバーや光導波路などが含まれる。本実施の形態では、光伝送体140は、光ファイバーである。光ファイバーは、シングルモード方式であってもよいし、マルチモード方式であってもよい。光伝送体140の数は、特に限定されない。本実施の形態では、光伝送体140の数は、1本である。
【0021】
光レセプタクル120は、光電変換装置110と光伝送体140との間に配置された状態で、光電変換素子と光伝送体140の端面141とを光学的に結合させる。このとき、光レセプタクル120内では、光電変換装置110の光電変換素子(発光素子112)から出射された出射光L1の一部は、信号光Lsとして分離され、出射光L1の他の一部は、出射光L1の出力(例えば、強度や光量)を監視するためのモニター光Lmとして分離される。光レセプタクル120の詳細については、後述する。
【0022】
光電変換装置110は、基板111と、1個の光電変換素子(本実施の形態では、発光素子112)と、1個の検出素子114と、制御部116とを有する。
【0023】
本実施の形態では、光モジュール100が送信用の光モジュールであるため、光電変換素子として発光素子112が使用される。また、光モジュール100が受信用の光モジュールである場合は、光電変換素子として受光素子が使用される。さらに、複数の光電変換素子を有する送受信用の光モジュール(実施の形態3参照)では、光電変換素子として発光素子および受光素子が使用される。
【0024】
基板111は、発光素子112、検出素子114、制御部116および光レセプタクル120を保持する。基板111は、例えば、ガラスコンポジット基板やガラスエポキシ基板、フレキブシル基板などである。
【0025】
発光素子112は、基板111上に配置されており、基板111の表面に対して垂直な方向にレーザー光を出射する。より具体的には、発光素子112は、発光面113(発光領域)からレーザー光を出射する。発光面113の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、発光面113の形状は、円形状である。発光素子112の数は、特に限定されない。前述のとおり、本実施の形態では、発光素子112の数は、1個である。また、発光素子112の位置も特に限定されない。発光素子112は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)である。
【0026】
検出素子114は、基板111上に配置されており、光レセプタクル120から出射されたモニター光Lmを受光する。検出素子114は、例えばフォトダイオード(PD)である。本実施の形態では、検出素子114は、基板111上において、発光素子112よりも光伝送体140側に配置されている。検出素子114の数は、特に限定されない。前述のとおり、本実施の形態では、検出素子114の数は、1個である。また、検出素子114からの反射光が光レセプタクル120内に戻ることを防止する観点から、検出素子114へ入射するモニター光Lmの光軸は、検出素子114の検出面115に対して傾斜していてもよい。
【0027】
制御部116は、基板111上に配置されており、図外の配線を介して発光素子112および検出素子114と電気的に接続されている。制御部116は、検出素子114が受光したモニター光Lmの強度や光量に基づいて、発光素子112が出射する出射光L1の出力を制御する。
【0028】
(光レセプタクルの構成)
光レセプタクル120は、光電変換装置110の基板111上に配置されている。以下、光レセプタクル120の構成について詳細に説明する。
【0029】
図3A、Bは、実施の形態1に係る光レセプタクル120の構成を示す図である。
図3Aは、光レセプタクル120の平面図であり、
図3Bは、底面図である。
【0030】
図2および
図3A、Bに示されるように、光レセプタクル120は、略直方体形状の部材である。本実施の形態では、光レセプタクル120の底面には、四角錐台形状の第1凹部130が形成されている。光レセプタクル120の天面には、五角柱形状の第2凹部131と、略五角柱形状の第3凹部132とが、光レセプタクル120の長手方向に並んで形成されている。光レセプタクル120は、透光性を有し、発光素子112の発光面113から出射された出射光L1の一部である信号光Lsを光伝送体140の端面141に向けて出射させる。
【0031】
本実施の形態に係る光レセプタクル120は、第1光学面121と、反射面122と、光分離部123と、透過面124と、第2光学面125と、第3光学面126とを有する。本実施の形態では、第1光学面121、第2光学面125および第3光学面126の数は、それぞれ1つである。
【0032】
光レセプタクル120は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。
【0033】
第1光学面121は、発光素子112から出射された出射光L1を屈折させながら光レセプタクル120内に入射させる光学面である。このとき、第1光学面121は、発光素子112から出射された出射光L1をコリメート光に変換させる。第1光学面121は、第1凹部130の底面において、発光素子112の発光面113に対向するように形成されている。本実施の形態では、第1光学面121の形状は、発光素子112に向かって凸状の凸レンズ面である。また、第1光学面121の平面視形状は、円形状である。第1光学面121の中心軸は、発光素子112の発光面113に対して垂直であることが好ましい。また、第1光学面121の中心軸は、発光素子112から出射された出射光L1の光軸と一致することが好ましい。
【0034】
反射面122は、第1光学面121で入射した光L1を基板111に沿った方向に反射させる光学面である。これにより、反射面122は、第1光学面121で入射した光L1を第2光学面125側に向けて反射させる。反射面122は、第2凹部131の内面の一部を構成している。反射面122は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、光伝送体140(正面側)に近づくように傾斜している。反射面122の傾斜角度は、特に限定されない。本実施の形態では、反射面122の傾斜角度は、反射面122に入射する光の光軸に対して45°である。反射面122の形状は、特に限定されず、平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態では、反射面122の形状は、平面である。反射面122には、第1光学面121で入射した光L1が、臨界角より大きな入射角で入射する。
【0035】
光分離部123は、第1光学面121で入射し、反射面122で反射した光L1を検出素子114側に向かうモニター光Lmと、光伝送体140の端面141側に向かう信号光Lsとに分離させる。光分離部123は、第1光学面121および第2光学面125の間の光路上に配置されている。光分離部123は、第3凹部132の内面の一部を構成している。本実施の形態に係る光モジュール100は、光レセプタクル120の光分離部123に主たる特徴を有する。そこで、光分離部123については、別途改めて詳細に説明する。
【0036】
透過面124は、光分離部123で分離され、光レセプタクル120外に出射された信号光Lsを光レセプタクル120内に再度入射させる。透過面124は、光レセプタクル120の天面側に配置されている。本実施の形態では、透過面124は、光分離部123で分離された信号光Lsに対する垂直面であることが好ましい。これにより、光伝送体140の端面141に向かう信号光Lsを屈折させることなく光レセプタクル120内に入射させることができる。
【0037】
なお、透過面124は、光分離部123で分離された信号光Lsの光軸に対する傾斜面であってもよい。この場合、透過面124は、光レセプタクル120の底面から天面に向かうにつれて、第2光学面125に近づくように傾斜している。傾斜面である透過面125の傾斜角度は特に限定されないが、射出成形における離型のための抜きテーパー相当の傾斜角度であることが好ましい。
【0038】
第2光学面125は、光分離部123で分離され、透過面124で光レセプタクル120内に入射した信号光Lsを光伝送体140の端面141に向けて出射させる光学面である。このとき、第2光学面125は、信号光Lsを収束させつつ、光伝送体140の端面141に向けて出射させる。本実施の形態では、第2光学面125の形状は、光伝送体140の端面141に向かって凸状の凸レンズ面である。第2光学面125の平面視形状は、円形状である。第2光学面125の中心軸は、光伝送体140の端面141に対して垂直であることが好ましい。
【0039】
第3光学面126は、光分離部123で分離されたモニター光Lmを検出素子114に向けて出射させる光学面である。このとき、第3光学面126は、モニター光Lmを収束させつつ、検出素子114に向けて出射させる。本実施の形態では、第3光学面126は、検出素子114に向かって凸状の凸レンズ面である。前述のとおり、検出素子114からの反射光が光レセプタクル120内に戻ることを防止する観点から、第3光学面126の中心軸は、検出素子114の検出面115に対して傾斜していることが好ましい。
【0040】
次に、光分離部123の構成について説明する。
図4A、Bおよび
図5は、実施の形態1に係る光レセプタクル120の光分離部123の構成を示す図である。
図4Aは、
図2において破線で示される領域の部分拡大断面図であり、
図4Bは、光分離部123近傍の光レセプタクル120の光路を示す部分拡大断面図である。
図4Bでは、光レセプタクル120内の光路を示すために光レセプタクル120の断面へのハッチングを省略している。
図5は、
図2において破線で示される領域の部分拡大正面図であり、光分離部123の一部を透過面124側から見たときの部分拡大図である。
【0041】
図4A、Bおよび
図5に示されるように、光分離部123は、複数の分割反射面123a、複数の分割透過面123b、複数の分割段差面123cおよび複数の稜線123eを有する。複数の分割反射面123aおよび複数の分割透過面123bは、第1の方向D1に沿って交互に配置されている。ここで、「第1の方向」とは、分割反射面123aの傾斜方向である(
図4A、Bに示される矢印D1参照)。また、以下の説明では、「第2の方向」とは、基板111に垂直な方向および第1の方向D1の両方に直交する方向をいう(
図4A、Bの紙面に垂直な方向、
図5に示される矢印D2参照)。また、「第3の方向」とは、基板111に垂直な方向をいう(
図4A、Bおよび
図5に示される矢印D3参照)。
【0042】
分割反射面123aは、反射面122で反射した光L1の光軸に対する傾斜面である。本実施の形態では、分割反射面123aは、光レセプタクル120の天面から底面に向かうにつれて第2光学面125(光伝送体140)に近づくように傾斜している。
図4Bに示されるように、分割反射面123aは、反射面122で反射した光L1の一部をモニター光Lmとして第3光学面126側に向けて内部反射させる。分割反射面123aの傾斜角は、反射面122で反射した光L1の光軸に対して45°である。分割反射面123aは、第1の方向D1に分割されており、所定の間隔で配置されている。分割反射面123aは、第1の方向D1において互いに同一平面上に配置されている。
【0043】
分割透過面123bは、反射面122で反射した光L1の光軸に対する垂直面である。複数の分割透過面123bの幅dは、この後説明する拡幅部123dを除いては互いに同一となるように構成されていてもよいし、互いに異なるように構成されていてもよい。本実施の形態では、
図5に示されるように、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)において、複数の分割透過面123bの幅dは、拡幅部123dを除いては互いに同一となるように構成されている。また、複数の分割透過面123bは、互いに平行に配置されている。
【0044】
また、複数の分割透過面123bのうち少なくとも1つは、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)において、他の分割透過面123bより幅が大きい、1または2以上の拡幅部123dを含んでいる。以下、第3の方向D3における拡幅部123dの長さをW1とし、第2の方向D2における拡幅部123dの長さをW2とする。本実施の形態では、
図5に示されるように、拡幅部123dは、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)および第1の方向D1の両方に直交する第2の方向D2において、拡幅部123dを含む分割透過面123bの全部に亘って延在している。すなわち、複数の分割透過面123bのうちの1つの全体が拡幅部123dとなっている。詳細については後述するが、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)と、第2の方向D2とにおいて、拡幅部123dの長さW1,W2は、分割透過面123bにおける発光素子112の発光面113の像の長さ(本実施の形態では、φD)と同じか、それより長い(W1,W2≧D)。本実施の形態では、第3の方向D3と、第2の方向D2とにおいて、拡幅部123dの長さW1,W2は、分割透過面123bにおける発光素子112の発光面113の像の長さDより長い(W1,W2>D)。分割透過面123b(拡幅部123dを含む)は、反射面122で反射した光L1の一部を信号光Lsとして第2光学面125に向けて透過させる。このとき、分割透過面123bは、信号光Lsを光レセプタクル120外に出射させる。分割透過面123bも、第1の方向D1に分割されており、所定の間隔で配置されている。本実施の形態に係る光レセプタクル120は、光分離部123の拡幅部123dに主たる特徴を有する。拡幅部123dの機能については、別途改めて詳細に説明する。
【0045】
分割段差面123cは、反射面122で反射した光L1の光軸に平行な面であり、分割反射面123aと分割透過面123bとを接続している。分割段差面123cも、第1の方向D1に所定の間隔で配置されている。複数の分割段差面123cは、互いに平行に配置されている。
【0046】
図4Aに示されるように、分割反射面123a、分割段差面123cおよび分割透過面123b(拡幅部123dを含む)は、この順番で第1の方向(天面から底面に向かう方向)D1に沿うように配列されている。分割段差面123cおよび分割透過面123bの間には、稜線123eが形成されている。本実施の形態では、隣接する複数の稜線123eは、互いに平行に配置されている。分割反射面123aおよび分割透過面123bのなす角度のうち小さい角度は、135°である。また、分割反射面123aおよび分割段差面123cのなす角度のうち小さい角度も、135°である。
【0047】
次に、光分離部123による光の分離について説明する。
【0048】
図4Bに示されるように、分割反射面123aには、反射面122で反射した光L1の一部の光が、臨界角より大きな入射角で内部入射する。分割反射面123aは、反射面122で反射した光L1の一部の光を第3光学面126側に向けて内部反射させて、モニター光Lmを生成する。また、分割透過面123bには、反射面122で反射した光L1の残部の光が入射する。分割透過面123bは、反射面122で反射した光L1の残部の光を透過させて、光伝送体140の端面141に向かう信号光Lsを生成する。信号光Lsは、第3凹部132に出射される。このとき、分割透過面123bは信号光Lsに対して垂直面であるため、信号光Lsを屈折させることなく、出射させる。なお、分割段差面123cは信号光Lsの入射方向に平行に形成されているため、分割段差面123cには信号光Lsは入射しない。
【0049】
信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、所望の光量の信号光Lsを得つつ、発光素子112から出射された光L1の強度や光量を監視できるモニター光Lmを得ることができれば、特に限定されない。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、反射面122側から光分離部123を見たときの、分割透過面123bと分割反射面123aとの面積比とほぼ同じである。このため、信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、反射面122側から光分離部123を見たときの、分割透過面123bと分割反射面123aとの面積比とを変えることで調整されうる。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、信号光Ls:モニター光Lm=5:5〜9:1であることが好ましく、信号光Ls:モニター光Lm=7:3であることがさらに好ましい。本実施の形態では、信号光Ls:モニター光Lm=8:2である。
【0050】
光レセプタクル120の製造方法は、特に限定されない。光レセプタクル120は、例えば射出成形により製造される。このとき、射出成形による製造容易性の観点からは、拡幅部123dが基板111に垂直な方向(第3の方向D3)および第1の方向D1の両方に直交する第2の方向D2において、拡幅部123dを含む分割透過面123aの全部に亘って延在していることが好ましい。
【0051】
(光モジュールにおける光路)
次に、光モジュール100における光路について説明する。
【0052】
図2に示されるように、発光素子112から出射された出射光L1は、第1光学面121で光レセプタクル120内に入射する。このとき、入射した光L1は、第1光学面121によってコリメート光に変換され、反射面122に向かって進行する。次いで、反射面122に到達した光L1は、反射面122で光分離部123に向かって反射する。光分離部123に到達した光L1の一部は、分割反射面123aで第3光学面126に向かって内部反射されてモニター光Lmとなる。モニター光Lmは、第3光学面126で光レセプタクル120外に出射され、検出素子114の検出面115に到達する。このように、発光素子112から出射された出射光L1の一部は、モニター光Lmとして、検出素子114に到達する。
【0053】
また、第1光学面121で光レセプタクル120内に入射し、反射面122で反射し、光分離部123に到達した光L1の他の一部は、分割透過面123bで透過面124に向かって透過しつつ、光レセプタクル120外に出射されて、信号光Lsとなる。次いで、信号光Lsは、透過面124で再度光レセプタクル120内に入射し、第2光学面125に到達する。第2光学面125に到達した信号光Lsは、第2光学面125で光レセプタクル120外に出射され、光伝送体140の端面141に到達する。このように、発光素子112から出射された出射光L1の他の一部は、信号光Lsとして、光伝送体140の端面141に到達する。
【0054】
(拡幅部の機能)
次に、本実施の形態に係る光レセプタクル120の拡幅部123dの機能について図面を参照して詳細に説明する。比較のため、拡幅部123dを含まない光分離部123’を有する光レセプタクル(以下、「比較例に係る光レセプタクル」ともいう)についても説明する。
【0055】
図6A、Bは、拡幅部123dの機能を説明するための図である。
図6Aは、比較例に係る光レセプタクルにおける光分離部123’の部分拡大断面図であり、
図6Bは、本実施の形態に係る光レセプタクル120における光分離部123の部分拡大断面図である。
図6A、Bでは、光レセプタクル120内を通る発光素子112の発光面113の像の経路を示すために、光レセプタクル120の断面へのハッチングを省略している。
【0056】
前述のとおり、発光素子112と光伝送体140の端面141とを高い結合効率で光学的に接続する観点からは、光電変換装置110に対して光レセプタクル120を適切な位置に配置することが重要となる。光レセプタクル120の位置合わせは、第2光学面125側から発光素子112の発光面113を見て、発光面113の中心位置を検出しながら、光レセプタクル120の位置を調整することで行われうる。発光素子112の発光面113は、例えば、第2光学面125と対向する位置にCCDカメラを設置して、第2光学面125内に映る発光面113の像を画像認識することにより検出することができる。そして、検出された発光面113の中心位置を基準として、光レセプタクル120の位置を調整する。このとき、第2光学面125側からは発光素子112を直接見ることはできないため、第1光学面121、反射面122、分割透過面123b、透過面124および第2光学面125を介して検出される発光面113の像に基づいて、発光面113の中心位置は検出される。
【0057】
以下、比較例に係る光レセプタクルの位置合わせと、本実施の形態に係る光レセプタクル120の位置合わせとについて、それぞれ説明する。なお、
図6A、Bにおいて、梨地で示される領域は、発光素子112の発光面113の像が通過する経路を示している。本実施の形態では、第1光学面121に到達した光は、第1光学面121でコリメートされつつ光レセプタクル内に入射するため、光の進行方向に垂直な断面内において発光素子112の発光面113の像の大きさは一定である。また、第3の方向D3において、発光面113の像の長さφDは、分割透過面123b、123b’の長さdより長く、かつ拡幅部123dの長さW1より短いものとする(W1>D>d)。また、ここでは簡単のため、第3の方向D3についてのみ比較するが、第2の方向D2についても同様に考えることができる。本実施の形態に係る光レセプタクル120では、第2の方向D2においても、発光面113の像の長さφDは、拡幅部123dの長さW2より短いものとする(W2>d)。
【0058】
まず、比較例に係る光レセプタクルについて説明する。
図6Aに示されるように、拡幅部123dを含まない光分離部123’を有する光レセプタクルでは、第3の方向D3において、分割透過面123b’の長さdは、発光面113の像の長さDより短い(D>d)。このため、発光面113の像の一部は、常に分割反射面123aにより第2光学面125側から見えなくなってしまう。すなわち、光レセプタクルをどのように移動させても、第2光学面125面内に発光面113の像の全体が映ることはない。これにより、第2光学面125側から発光面113を見たときに、発光面113の中心位置を検出することができなくなることがある。結果として、光レセプタクルを光電変換装置110に対して適切に位置合わせすることが困難となる。
【0059】
従来、上記のように第2光学面125側から発光面113を見て、適切に発光面113の中心位置を検出できないときは、光伝送体140を光レセプタクルに接続した状態で、実際に発光素子112を発光させ、第2光学面125で出射される出射光を受光し、発光素子112と光伝送体140の端面141との結合効率を計測していた。そして、この結合効率が最も大きくなるように光レセプタクルの位置合わせを行っていた。しかし、従来の方法では、発光素子112を発光させるための外部回路や出射光を検出するための検出機器、発光素子112と光伝送体140の端面141との結合効率を測定するための測定機器などの外部機器が別途必要になってしまう。さらに、光伝送体140を光レセプタクルに接続したり、出射光を検出したりしなければならず、光レセプタクルの位置合わせのための工程が増えてしまい、かつ時間がかかってしまう。これらの結果として、比較例に係る光レセプタクルを有する光モジュールの製造コストが増大し、かつ製造時間が長くなるという問題がある。
【0060】
これに対して、本実施の形態に係る光モジュールでは、
図6Bに示されるように、分割透過面123bにおいて、発光面113の像が通過すべき部分に拡幅部123dが形成されている。基板111に垂直な方向(第3の方向D3)と、第2の方向D2(
図6Bの紙面に対して垂直な方向)とにおいて、拡幅部123dの長さW1,W2は、分割透過面123bにおける発光素子112の発光面113の像の長さ(φD)よりも長い(W1,W2>D)。このため、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、光レセプタクル120の位置がある程度合っていれば、発光面113の像の全体が、分割反射面123aにより遮られることなく、第2光学面125に到達することができる。このため、本実施の形態に係る光レセプタクル120では、第2光学面125側から発光素子112の発光面113を見たときに、適切に発光面113の中心位置を検出することができる。結果として、光電変換装置110に対して光レセプタクル120を適切に位置合わせすることができる。また、従来の方法と比較して、上記のような多数の外部機器を別途準備する必要がなく、かつ簡単な方法により位置合わせを行うことができるため、本実施の形態に係る光モジュール100は、低コストかつ短時間で製造されうる。
【0061】
前述のとおり、第3の方向D3と第2の方向D2とにおいて、拡幅部123dの長さW1,W2は、分割透過面123bにおける発光素子112の発光面113の像の長さ(φD)と同じか、それより長い(W1,W2≧D、本実施の形態では、W1,W2>D)。しかし、第1光学面121の寸法誤差などにより、分割透過面123bを通過する発光素子112の発光面113の像の経路がずれてしまった場合でも、発光面113の像が分割反射面123aにより遮られることなく、第2光学面125に到達しうる観点からは、第3の方向D3と第2の方向D2とにおいて、拡幅部123dの長さW1,W2は、分割透過面123bにおける発光素子112の発光面113の像の長さ(φD)と、寸法誤差などを考慮した位置ズレLとの和と同じか、それより長いことがより好ましい(W1,W2≧D+L)。
【0062】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る光レセプタクル120の光分離部123は、複数の分割透過面123bの一部として拡幅部123dを含む光分離部123を有する。このため、第2光学面125側から発光素子112の発光面113(発光領域)の像を観察することにより、発光素子112の発光面113の中心位置を適切に検出することができる。したがって、本実施の形態に係る光レセプタクル120は、光電変換装置110に対して簡単かつ短時間で位置合わせされうる。これにより、本実施の形態に係る光モジュール100は、低コストかつ短時間で製造されうる。
【0063】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る光モジュールは、光レセプタクルの構成のみが実施の形態1に係る光モジュール100と異なる。より具体的には、本実施の形態に係る光レセプタクルは、光分離部223の拡幅部223dの形状のみが実施の形態1に係る光レセプタクル100と異なる。そこで、光分離部223についてのみ説明し、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図7A、Bは、実施の形態2に係る光レセプタクルの光分離部223の構成を示す図である。
図7Aは、実施の形態2に係る光レセプタクルの光分離部223の部分拡大断面図(
図4Aに対応)であり、
図7Bは、実施の形態2に係る光レセプタクルの光分離部223の部分拡大正面図(
図5に対応)である。
【0065】
図7A、Bに示されるように、本実施の形態に係る光レセプタクルの光分離部223は、複数の分割反射面123a、複数の分割透過面223b、複数の分割段差面123cおよび複数の稜線123eを有する。分割段差面123cは、分割反射面123aと分割透過面223bとを接続している。分割段差面123cおよび分割透過面223bの間には、稜線123eが形成されている。
【0066】
複数の分割透過面223bの幅dは、拡幅部223dを除いては互いに同一となるように構成されていてもよいし、互いに異なるように構成されていてもよい。本実施の形態では、
図7Bに示されるように、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)において、複数の分割透過面223bの幅dは、拡幅部223dを除いて互いに同一となるように構成されている。また、複数の分割透過面223bは、互いに平行に配置されている。
【0067】
本実施の形態に係る光レセプタクルの拡幅部223dは、拡幅部223dを含む分割透過面223bの一部に形成されている。基板111に垂直な方向(第3の方向D3)と、第2の方向D2とにおいて、拡幅部223dの長さW1,W2は、分割透過面223bにおける発光素子112の発光面113の像の長さDと同じかそれより長い(W1,W2≧D)。これにより、本実施の形態に係る光モジュールにおいても、第2光学面125側から発光素子112の発光面113の像を観察することにより、発光面113の中心位置を適切に検出することができる。拡幅部223dの形状は、上記の機能を発揮することができれば特に限定されず、発光素子112の発光面113の形状に応じて適宜設計されうる。
【0068】
また、拡幅部223dが特定の分割透過面223bの一部にのみ形成されていることは、下記のような効果がある。前述のとおり、信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、反射面122側から光分離部223を見たときの分割透過面223bと分割反射面223aとの面積比に依存する。このため、光分離部223において、拡幅部223dが形成されている領域では、拡幅部223dが形成されていない領域と比較して、信号光Lsの光量が増大し、モニター光Lmの光量が減少することとなる。このことは、光分離部223に入射する場所によらず、入射光をモニター光Lmと信号光Lsとに均一に分離する観点からは好ましくない。しかし、本実施の形態に係る光レセプタクルでは、拡幅部223dは、特定の分割透過面223bの一部にのみ形成されているため、信号光Lsとモニター光Lmとの光量比について、光分離部223の入射場所に応じて光量比が不均一になることを実施の形態1の光レセプタクル120に比べて抑制することができる。これにより、本実施の形態に係る光モジュールでは、通信情報をより高精度に送信することができる。
【0069】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る光レセプタクルおよび光モジュールでは、実施の形態1の効果に加え、光レセプタクルの位置合わせのために必要な範囲内にのみ拡幅部223dが形成されているため、より高精度な通信情報の送信を実現することができる。
【0070】
[実施の形態3]
(光モジュールの構成)
実施の形態3に係る光モジュール300は、レンズアレイ型であり、監視を伴う光送信の多チャンネル化に対応できる点と、送受信用の光モジュール300である点において、実施の形態2に係る光モジュールおよび光レセプタクルと異なる。以下、実施の形態1、2と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図8は、実施の形態3に係る光モジュール300の構成を模式的に示す断面図である。なお、
図8では、光レセプタクル320内の光路を示すために光レセプタクル320の断面へのハッチングを省略している。
【0072】
図8に示されるように、実施の形態3に係る光モジュール300は、光電変換装置310、光レセプタクル320および光伝送体140を有する。
【0073】
本実施の形態に係る光モジュール300では、光伝送体140は、多芯一括型のコネクター内に収容された状態で公知の取付手段を介して光レセプタクル320に取り付けられている。本実施の形態では、12本の光伝送体140が、
図8の紙面に垂直な方向において、一定間隔で1列に配列されている。なお、光伝送体140は、2列以上に配列されていてもよい。
【0074】
光電変換装置310は、複数の発光素子112と、複数の受光素子312と、複数の検出素子114と、制御部116とを有する。発光素子112、受光素子312および検出素子114の数は、複数であれば特に限定されない。本実施の形態では、発光素子112、受光素子312および検出素子114の数は、それぞれ6個である。
【0075】
6個の発光素子112は、基板111上に一列に配列されている。
図8では、6個の発光素子112は、紙面に垂直な方向に一列に配列されている。6個の発光素子112は、一定間隔で光伝送体140の配列方向に沿って配列されている。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、発光素子112も同じ列数で配列されてもよい。
【0076】
6個の受光素子312は、光伝送体140から出射され、光レセプタクル320の内部を通る受信光Lrを受光する(
図8参照)。6個の受光素子312は、基板111上に一列に配置されている。具体的には、6個の受光素子312は、6個の発光素子112と同一直線上に位置するように配列されている。受光素子312は、例えば、フォトダイオード(PD)である。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、受光素子312も同じ列数で配列されてもよい。
【0077】
6個の検出素子114は、基板111上に配置されている。6個の検出素子114は、6個の発光素子112に対応して一定間隔で1列に配列されている。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、検出素子114も同じ列数で配列されてもよい。
【0078】
(光レセプタクルの構成)
図9A〜Cは、実施の形態3に係る光レセプタクル320の構成を示す図である。
図9Aは、実施の形態3に係る光レセプタクル320の平面図であり、
図9Bは、底面図であり、
図9Cは、正面図である。
【0079】
図8および
図9A〜Cに示されるように、実施の形態3に係る光レセプタクル320は、第1光学面121、反射面122、光分離部323、透過面124、第2光学面125および第3光学面126を有する。本実施の形態では、第1光学面121、第2光学面125および第3光学面126の数は、それぞれ12個である。
【0080】
本実施の形態では、12個の第1光学面121のうち、図示上側の6個の第1光学面121を送信側の第1光学面121とし、下側の6個の第1光学面121を受信側の第1光学面121として使用している。このように、本実施の形態に係る光レセプタクル320では、12個の第1光学面121を等分し、かつ基板111に対する垂直面を境界面として、一方の部分は送信側として機能し、他方の部分は受信側として機能する。
【0081】
光レセプタクル320において、送信側として機能する部分は、実施の形態1、2に記載の光レセプタクルと同様の構成であるため、その説明を省略する。以下、受信側として機能する部分についてのみ説明する。
【0082】
光レセプタクル320のうち受信側として機能する部分は、光伝送体140から出射された出射光L2の少なくとも一部である受信光Lrを入射し、受光素子312の受光面313(受光領域)に向けて出射させる。このように、光レセプタクル320は、光伝送体140の端面141と、受光素子312の受光面313とを光学的に結合させる。
【0083】
第2光学面125は、光伝送体140の端面141から出射された出射光L2を屈折させながら光レセプタクル120内に入射させる光学面でもある。このとき、第2光学面125は、光伝送体140の端面141から出射された光L2をコリメート光に変換させる。また、第2光学面125の中心軸は、光伝送体140の端面141から出射された光L2の光軸と一致することが好ましい。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、第2光学面125も同じ列数で配列される。
【0084】
透過面124は、第2光学面125で入射し、光レセプタクル320の内部を通る光L2を一度光レセプタクル320外に出射し、光分離部323に向けて進行させる光学面である。本実施の形態では、透過面124は、光レセプタクル320の内部を通る光L2に対する垂直面である。これにより、光分離部323に向かう光L2を屈折させることなく光レセプタクル320外に出射させることができる。
【0085】
光分離部323は、透過面124から光レセプタクル320外に出射された光L2の一部を受信光Lrとして第1光学面121側に進行させる。
【0086】
図10は、実施の形態3に係る光レセプタクル320の光分離部323の部分拡大正面図である。
図10に示されるように、光分離部323は、複数の分割反射面123a、複数の分割透過面323b、複数の分割段差面123c複数の稜線123eを有する。なお、光分離部323の構成は、送信側として機能する部分と、受信側として機能する部分とで同様の構成である。
【0087】
分割反射面123aは、第2光学面125で入射し、透過面124で光レセプタクル320外に出射された光L2の光軸に対する傾斜面である。分割反射面123aは、透過面124で光レセプタクル320外に出射された光L2の一部を反射する。
【0088】
分割透過面323bは、第2光学面125で入射し、透過面124で光レセプタクル320外に出射された光L2の光軸に対する垂直面である。分割透過面323bは、到達した光L2の一部を、光レセプタクル320内に再度入射させつつ、反射面122側に向けて透過させる。本実施の形態では、受信側として機能する部分の分割透過面323bは、6個の拡幅部323dを有する(
図10では、3個の拡幅部323dのみ図示)。受信側として機能する部分における6個の拡幅部は、一定間隔で光伝送体140の配列方向に沿って1列に配列されている。なお、光伝送体140が2列以上に配列されている場合は、拡幅部323dも同じ列数で配列されてもよい。
【0089】
反射面122は、光レセプタクル320の内部を通る受信光Lrを基板111に垂直な方向に反射させる光学面である。反射面122には、受信光Lrが、臨界角より大きな入射角で入射する。
【0090】
第1光学面121は、光伝送体140の端面141から出射され、光レセプタクル320の内部を通る受信光Lrを屈折させながら受光素子312に向けて出射させる光学面である。このとき、第1光学面121は、光レセプタクル320の内部を進行してきたコリメート光(受信光Lr)を収束させつつ、受光素子312に向けて出射させる。
【0091】
また、受光素子312の受光面313に向かう受信光Lrの光量は、受光素子312が適切に受信光Lrを検出することができれば特に限定されない。受光素子312の受光面313に向かう受信光Lrの光量は、第2光学面125側から光分離部323を見たときの、分割反射面123aと分割透過面323bとの面積比に依存する。本実施の形態では、分割透過面323bで透過される受信光Lrと、分割反射面123aで反射される光との光量比は、8:2である。
【0092】
以上、本実施の形態に係る光モジュール300および光レセプタクル320の構成について説明した。本実施の形態に係る光レセプタクル320においても、拡幅部323dが、特定の分割透過面323bの一部に形成されている。また、基板111に垂直な方向(第3の方向D3)と、第2の方向D2とにおいて、拡幅部323dの長さW1,W2は、分割透過面323bにおける発光素子112の発光面113の像の長さ(φD)と同じか、それより長い(W1,W2≧D)。さらに、本実施の形態に係る光レセプタクル320では、第3の方向D3と、第2の方向D2とにおいて、拡幅部323dの長さW1,W2は、分割透過面323bにおける受光素子312の受光面313の像の長さ(φD)と同じか、それより長い(W1,W2≧D)。これにより、光電変換装置310に対して光レセプタクル320を位置合わせするときに、第2光学面125側から各発光素子112の発光面113(発光領域)または各受光素子312の受光面313(受光領域)の中心位置を適切に検出することができる。最後に、光モジュール300において、受信側として機能する部分の光路について説明する。
【0093】
図8に示されるように、光伝送体140から出射された光L2は、第2光学面125で光レセプタクル320内に入射する。光レセプタクル120内に入射した光L2は、透過面124で光分離部323に向けて光レセプタクル320外に出射される。光分離部323に到達した光L2の一部は、分割透過面323bで光レセプタクル320内に再度入射して受信光Lrとなる。受信光Lrは、反射面122で第1光学面121に向かって反射する。第1光学面121に到達した受信光Lrは、第1光学面121で光レセプタクル320外に出射され、受信素子312の受光面313に到達する。このように、光伝送体140から出射された光L2の一部は、受信光Lrとして、受信素子312の受信面313に到達する。
【0094】
(効果)
以上のように、実施の形態3に係る光モジュール300および光レセプタクル320は、実施の形態2の効果に加え、監視を伴う光送信の多チャンネル化に対応することができる。また、実施の形態3に係る光モジュール300は、送受信用の光モジュールとして機能しうる。
【0095】
なお、本発明は、上記実施の形態1〜3に限定されない。本発明に係る光レセプタクルの拡幅部は、分割反射面および分割透過面を含む光分離部を有する光レセプタクルおよび光モジュールであれば採用されうる。たとえば、本発明に係る光レセプタクルの光分離部の構成は、特開2015−014748号公報に記載されている光レセプタクルのように、複数の分割反射面および複数の分割透過面が、第1の方向と第2の方向とにおいて交互に配置されている光分離部にも適用されうる。
【0096】
また、上記実施の形態1〜3では、拡幅部123d、223d、323dと分割段差面123cとの間に、分割反射面123aが形成されていない場合について説明したが、本発明に係る光レセプタクルの光分離部の構成は、これに限定されない。
図11は、変形例に係る光レセプタクルの光分離部423の構成を示す図である。
図11に示されるように、光レセプタクルの光分離部423は、拡幅部123dと分割段差面123cとの間に、分割反射面423aを含んでいてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態3では、拡幅部323dが特定の分割透過面323bの一部にのみ形成されている場合について説明したが、拡幅部323dは、特定の分割透過面323bの全部に形成されていてもよい(実施の形態1参照)。
【0098】
また、反射面122および分割反射面123a上に、光反射率が高い金属(例えば、AlやAg、Auなど)の薄膜からなる反射膜を形成してもよい。部品点数の削減を優先させたい場合には、全反射面のみを利用した構成を採用することが好ましい。