(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記超音波画像において、前記超音波の送受信面における前記第一の三次元領域の輪郭部分に前記第一領域を表示させ、前記超音波の送受信面における前記第二の三次元領域の輪郭部分に前記第二領域を表示させることを特徴とする請求項2又は6に記載の超音波診断装置。
前記表示制御部は、前記他の超音波画像において、前記超音波の送受信面における前記第一の三次元領域の輪郭部分に前記第一領域を表示させ、前記超音波の送受信面における前記第二の三次元領域の輪郭部分に前記第二領域を表示させることを特徴とする請求項4又は8に記載の超音波診断装置。
前記プローブ位置検出部は、前記三次元空間の座標系における原点を構成する磁気発生部の磁気を検出する磁気センサであって、前記超音波プローブに設けられた磁気センサを含むことを特徴とする請求項2,4,6,8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記第一領域及び前記第二領域が設定された前記超音波画像とは異なる種類の前記他の超音波画像は造影画像であることを特徴とする請求項3,4,7,8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記データ作成部は、前記信号処理において、前記差分領域と該差分領域以外の領域とで異なるゲイン又はダイナミックレンジを用いることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記データ作成部は、前記差分領域において、前記エコー信号の信号強度に応じた色の階調又は白黒の階調を有する画像のデータを作成することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9を備える。前記超音波診断装置1は、コンピュータ(computer)としての構成を備えている。
【0013】
送受信ビームフォーマ3、エコーデータ処理部4、表示処理部5、表示部6、操作部7、制御部8、記憶部9は超音波診断装置1の装置本体(図示省略)に設けられている。また、この装置本体と前記超音波プローブ2がケーブルを介して接続されている。
【0014】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。
【0015】
前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2から所定の走査条件で超音波を送信するための電気信号を、前記制御部8からの制御信号に基づいて前記超音波プローブ2に供給する。また、前記送受信ビームフォーマ3は、前記超音波プローブ2で受信したエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記エコーデータ処理部4へ出力する。
【0016】
前記エコーデータ処理部4は、
図2に示すように、第一エコーデータ処理部41、第二エコーデータ処理部42、第一領域設定部43及び第二領域設定部44を有している。前記第一エコーデータ処理部41は、前記送受信ビームフォーマ3から出力された前記エコーデータに対して、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行ってBモードデータを作成する。
【0017】
前記第二エコーデータ処理部42は、前記送受信ビームフォーマ3から出力された前記エコーデータに対し、被検体に投与された造影剤が強調された造影画像を作成するための信号処理を行なって造影データを作成する。例えば、前記第二エコーデータ処理部42は、エコー信号の高調波成分を抽出するためのフィルタ処理を行なう。前記第二エコーデータ処理部42は、パルスインバージョン(Pulse Inversion)法によって造影剤からのエコー信号を抽出する処理を行なってもよい。また、前記第二エコーデータ処理部42は、異なる振幅の超音波を送信して得られたエコー信号に基づくエコーデータを減算して造影剤からの信号成分を抽出する処理(振幅変調法:Amplitude Modulation)を行なってもよい。
【0018】
前記Bモードデータ及び前記造影データは、本発明における超音波画像のデータの実施の形態の一例である。また、前記第一エコーデータ処理部41及び前記第二エコーデータ処理部42は、本発明におけるデータ作成部の実施の形態の一例である。
【0019】
前記第一領域設定部43は、被検体における関心領域を示す第一領域を設定する。関心領域は、治療対象である。本例では、治療対象は焼灼治療における焼灼対象である。詳細は後述する。また、前記第二領域設定部44は、前記第一領域よりも大きくこの第一領域の全てを含む第二領域を設定する。前記第一領域設定部43及び前記第二領域設定部44は、本発明における領域設定部の実施の形態の一例である。
【0020】
前記表示処理部5は、
図3に示すように、画像作成部51、画像表示制御部52を有する。前記画像作成部51は、前記第一エコーデータ処理部41及び前記第二エコーデータ処理部42から入力されたローデータ(raw data)を、スキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して超音波画像データを作成する。前記ローデータが前記第一エコーデータ処理部41から入力された前記Bモードデータである場合、前記超音波画像データとして、Bモード画像データが作成される。また、前記ローデータが前記第二エコーデータ処理部42から入力された前記造影データである場合、前記超音波画像データとして、造影画像データが作成される。
【0021】
前記画像表示制御部52は、前記Bモード画像データに基づくBモード画像を前記表示部6に表示させる。また、前記画像表示制御部52は、前記造影画像データに基づく造影画像を前記表示部6に表示させる。前記画像表示制御部52は、本発明における表示制御部の実施の形態の一例である。
【0022】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどである。
【0023】
前記操作部7は、特に図示しないが、ユーザーが指示や情報を入力するためのキーボード(keyboard)や、トラックボール(trackball)等のポインティングデバイス(pointing device)などを含んで構成されている。
【0024】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーである。この制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。例えば、前記制御部8は、前記記憶部9に記憶されたプログラムを読み出し、読み出されたプログラムにより、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能を実行させる。
【0025】
前記制御部8は、前記送受信ビームフォーマ3の機能のうちの全て、前記エコーデータ処理部4の機能のうちの全て及び前記表示処理部5の機能のうちの全ての機能をプログラムによって実行してもよいし、一部の機能のみをプログラムによって実行してもよい。前記制御部8が一部の機能のみを実行する場合、残りの機能は回路等のハードウェアによって実行されてもよい。
【0026】
なお、前記送受信ビームフォーマ3、前記エコーデータ処理部4及び前記表示処理部5の機能は、回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0027】
前記記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)や、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリ(Memory)などである。
【0028】
前記超音波診断装置1は、前記記憶部9として、前記HDD、前記RAM及び前記ROMの全てを有していてもよい。また、前記記憶部9は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体であってもよい。
【0029】
前記制御部8によって実行されるプログラムは、HDDやROMなどの非一過性の記憶媒体に記憶されている。また、前記プログラムは、CDやDVDなどの可搬性を有し非一過性の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0030】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について
図4のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、ユーザーが、焼灼治療後に被検体に造影剤を注入して、造影画像において治療効果を判断する場合について説明する。
【0031】
先ず、ステップS1では、ユーザーは、前記超音波プローブ2によって、被検体に対して超音波の送受信を開始する。これにより、
図5に示すように、前記表示部6にBモード画像BIが表示される。
【0032】
次に、ステップS2では、
図6に示すように、ユーザーは前記操作部7を用いて、前記Bモード画像BIにおいて第一領域R1を設定する入力を行なう。前記第一領域R1は、腫瘤などの焼灼対象に設定される。前記第一領域設定部43は、前記操作部7の入力に基づいて前記第一領域R1を設定する。前記表示画像制御部52は、前記第一領域設定部43によって設定された第一領域R1を前記表示部6に表示させる。前記第一領域R1は、本発明における第一領域の実施の形態の一例である。
【0033】
また、このステップS2では、前記第一領域R1が設定されると、
図7に示すように、前記第二領域設定部44が、前記第一領域R1の円を中心とする同心円からなる第二領域R2を、前記Bモード画像BIに設定する。前記表示画像制御部52は、前記第二領域設定部44によって設定された第二領域R2を前記表示部6に表示させる。
【0034】
前記第二領域R2を構成する円は、前記第一領域R1を構成する円よりも大径の円である。従って、前記第二領域R2は、前記第一領域R1よりも大きくこの第一領域R1の全てを含む。前記第二領域R2を構成する円の大きさは、前記第一領域R1の大きさを基準として設定された大きさである。前記第二領域R2の大きさは、焼灼対象の大きさと焼灼治療におけるマージンの部分とを合わせた大きさである。従って、前記第二領域R2に含まれる一方で前記第一領域R1に含まれない領域が、焼灼治療におけるマージンになる。前記第二領域R2は、本発明における第二領域の実施の形態の一例である。
【0035】
次に、ステップS3では、ユーザーは前記操作部7において造影モード(mode)を開始する入力を行なう。また、ユーザーは、被検体に対して造影剤を注入する。
【0036】
前記造影モードは、造影画像を表示させるモードである。前記ステップS3において造影モードを開始する入力があると、ステップS4において、
図8に示すように、前記表示部6に前記Bモード画像BIとともに、造影画像CIが表示される。この造影画像CIは、白黒の画像である。ちなみに、この造影画像CIは、造影剤が到達していない部分は輝度を有さない(黒く表示される)。
【0037】
前記画像表示制御部52は、前記造影画像CIにおいて前記Bモード画像BIに設定された前記第一領域R1及び前記第二領域R2と被検体における位置が対応する領域に第一対応領域r1及び第二対応領域r2を表示させる。前記第二エコーデータ処理部42は、前記造影画像CIが作成される領域において、前記第二対応領域r2に含まれる一方で前記第一対応領域r1に含まれない差分領域rdとこの差分領域rd以外の領域とで、異なる信号処理を行なって造影データを作成する。差分領域rd以外の領域は、前記第一対応領域r1及び前記第二対応領域の外側の領域である。前記差分領域rdは、本発明における差分領域の実施の形態の一例である。
【0038】
例えば、前記第二エコーデータ処理部42は、前記差分領域rdにおけるゲイン(gain)を前記差分領域rd以外の領域のそれと異なる値に設定して、前記造影データを作成する。具体的には、前記差分領域rdにおけるゲインを、前記差分領域rd以外の部分のゲインよりも高くする。前記画像作成部51は、このようにして作成された前記造影データに基づく造影画像データを作成し、前記画像表示制御部52は、この造影画像データに基づく造影画像CIを前記表示部6に表示させる。
【0039】
前記差分領域rdは、
図9において斜線で示した部分であり、焼灼治療におけるマージンの部分である。この差分領域rdに、仮に血流BLが存在する場合、この血流BLに造影剤が到達すると、
図10に示すように、前記造影画像CIにおいて、差分領域rdにおける血流BLの部分BL1が、差分領域rd以外の血流の部分BL2よりも輝度が高くなる。これにより、ユーザーは、マージンの部分に血流BLが存在していることを容易に確認することができ、焼灼が十分に行われなかったことを確認することができる。
【0040】
次に、ステップS5においては、前記造影画像CIの表示を終了するか否かが、前記制御部8により判定される。例えば、前記操作部7において終了の入力があると表示を終了すると判定される。前記造影画像CIの表示を終了すると判定された場合(ステップS5において「YES」)、処理を終了する。一方、前記造影画像CIの表示を終了しないと判定された場合(ステップS5において「NO」)、造影画像CIの表示が継続する。
【0041】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例の超音波診断装置1では、
図11に示すように、前記超音波プローブ2に、例えばホール素子で構成される磁気センサ10が設けられている。この磁気センサ10により、例えば磁気発生コイルで構成される磁気発生部11から発生する磁気が検出されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、前記エコーデータ処理部4へ入力されるようになっている。前記磁気センサ10における検出信号は、図示しないケーブルを介して前記エコーデータ処理部4へ入力されてもよいし、無線で前記エコーデータ処理部4へ入力されてもよい。前記磁気発生部11及び前記磁気センサ10は、後述のように前記超音波プローブ2の位置及び傾きを検出するために設けられている。
【0042】
図12に示すように、前記エコーデータ処理部4は、上述の構成の他、プローブ位置特定部45を有している。このプローブ位置特定部45は、前記磁気センサ10からの磁気検出信号に基づいて、前記磁気発生部11を原点とする三次元空間の座標系における前記超音波プローブ2の位置及び傾きを算出する。さらに、前記プローブ位置特定部45は、前記超音波プローブ2の位置及び傾きに基づいてエコー信号の前記三次元空間の座標系における位置を算出する。前記磁気センサ10及び前記プローブ位置特定部45は、本発明におけるプローブ位置検出部の実施の形態の一例である。
【0043】
この第一変形例では、前記ステップS2において、前記Bモード画像BIにおいて前記第一領域R1が設定されると、前記第一領域設定部43は、
図13に示すように、前記第一領域R1を構成する円の中心を中心とし、この円の半径をその半径とする球からなる第一の三次元領域R1
3Dを、前記三次元空間の座標系に設定する。
図13では、前記三次元空間の座標系が、XYZの座標系で示されている。また、前記第二領域設定部44は、前記第二領域R2を設定すると、この第二領域R2を構成する円の中心を中心とし、この円の半径をその半径とする球からなる第二の三次元領域R2
3Dを、前記三次元空間の座標系に設定する。前記第二の三次元領域R2
3Dは、第一の三次元領域R1
3Dよりも大きく、この第一の三次元領域R1
3Dの全てを含む。前記第二の三次元領域R2
3Dに含まれる一方で、第一の三次元領域R1
3Dに含まれない領域は、マージンの領域である。
【0044】
前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dの設定についてもう少し説明する。前記第一領域設定部43及び前記第二領域設定部44は、先ず、前記プローブ位置特定部45によって特定された前記超音波プローブ2の位置及び向きに基づいて、前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されたBモード画像BIの断面(Bモード画像BIが作成された超音波の送受信面)の前記三次元空間の座標系における位置を特定する。そして、前記第一領域設定部43及び前記第二領域設定部44は、特定された前記Bモード画像BIの断面の位置に基づいて、前記三次元空間の座標系において前記第一の三次元領域R1
3D及び第二の三次元領域R2
3Dを設定する。
【0045】
前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dが設定されることにより、前記超音波プローブ2による超音波の送受信面が、前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されたBモード画像BIの断面とは異なる断面になった場合でも、前記Bモード画像BIに前記第一領域R1及び前記第二領域R2が表示され、前記造影画像CIに前記第一対応領域r1及び前記第二対応領域r2が表示される。具体的には、前記第二エコーデータ処理部42は、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dを特定する。前記超音波の送受信面は、前記プローブ位置特定部45によって特定された前記超音波プローブ2の位置に基づいて特定される。
【0046】
そして、前記画像表示制御部52は、前記Bモード画像BI及び前記造影画像CIにおいて、前記超音波の送受信面における前記第一の三次元領域R1
3Dの輪郭部分に、前記第一領域R1及び前記第一対応領域r1を表示させる。また、同様に前記画像表示制御部52は、前記Bモード画像BI及び前記造影画像CIにおいて、前記超音波の送受信面における前記第二の三次元領域R2
3Dの輪郭部分に、前記第二領域R2及び前記第二対応領域r2を表示させる。
【0047】
また、前記第二エコーデータ処理部42は、超音波の送受信面において前記第二の三次元領域R2
3Dに含まれる一方で、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3Dに含まれない領域と対応する領域を、前記造影画像CIにおいて前記差分領域rdとして特定する。従って、前記超音波プローブ2による超音波の送受信面が、前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されたBモード画像BIの断面とは異なる断面になった場合でも、前記差分領域rdにおける血流の部分が、前記差分領域rd以外の血流の部分よりも輝度が高くなる。
【0048】
この第一変形例によれば、前記超音波プローブ2によって形成される送受信面の位置が変わっても、前記造影画像CIにおける差分領域rdの血流BLの部分が、他の部分より高輝度で表示され、マージンの部分に血流BLが存在していることを容易に確認することができる。
【0049】
次に、第二変形例について説明する。この第二変形例では、前記第二エコーデータ処理部42は、前記差分領域rdとそれ以外の領域とで異なるゲインを用いず、同じゲインを用いた造影データを作成する。その一方、前記画像作成部51は、前記差分領域rdについて、前記造影データに応じた色の階調(エコー信号の強度に応じた色の階調)を有するカラー造影画像データを作成する。前記画像作成部51は、本発明におけるデータ作成部の実施の形態の一例である。
【0050】
一方、前記画像作成部51は、前記差分領域rd以外の領域については、白黒の造影画像データを作成する。そして、前記画像表示制御部52は、
図14に示すように、前記カラー造影画像データに基づくカラー造影画像CI
CLと、前記白黒の造影画像データに基づく白黒造影画像CI
BLとからなる造影画像CIを前記表示部6に表示させる。
【0051】
前記差分領域rd以外の部分については、白黒造影画像CI
BLが表示される一方で、差分領域rdにおいては、前記造影データが存在する部分に造影データに応じた色を有するカラー造影画像CI
CLが表示されるので、ユーザーは、マージンの部分に血流BLが存在していることを容易に確認することができる。
【0052】
なお、前記画像作成部51は、前記差分領域rdについて、前記造影データに応じたグレースケール(白黒の階調)を有する造影画像データを作成してもよい。この場合、前記画像表示制御部52は、前記差分領域rdにおいて前記造影データが存在する部分に、グレースケールの造影画像を表示させる。
【0053】
また、前記第二エコーデータ処理部42は、前記差分領域rdにおけるゲインを前記差分領域rd以外の領域のそれと異なる値に設定する代わりに、前記差分領域rdにおけるダイナミックレンジを前記差分領域rd以外の領域のそれと異なる値に設定して、前記造影データを作成してもよい。
【0054】
次に、第三変形例について説明する。この第三変形例では、前記造影画像において焼灼治療の効果判定が行われるのでなく、穿刺針による焼灼治療中にBモード画像において患部が十分に焼灼されたか否かがユーザーによって確認される。本例では、造影画像が表示されないので、前記エコーデータ処理部4は、前記第二エコーデータ処理部42を有さずともよい。
【0055】
具体的に、
図15のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS11では、前記ステップS1と同様にして、前記表示部6にBモード画像BIが表示される。次に、ステップS12では、前記ステップ2と同様に、前記Bモード画像BIに前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定され、これらが
図16に示すように前記表示部6に表示される。
【0056】
前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されると、ステップS13では、前記第一エコーデータ処理部41は、前記第二領域R2に含まれる一方で前記第一領域R1に含まれない差分領域RDにおけるゲイン(gain)を前記差分領域RD以外の領域のそれと異なる値に設定して、前記Bモードデータを作成する。具体的には、前記差分領域RDにおけるゲインを、前記差分領域RD以外の部分のゲインよりも高くする。前記画像作成部51は、このようにして作成された前記Bモードデータに基づくBモード画像データを作成し、前記画像表示制御部52は、このBモード画像データに基づくBモード画像BIを前記表示部6に表示させる。
【0057】
次に、ステップS14では、ユーザーは、前記Bモード画像BIを参照しながら、被検体における腫瘤などの焼灼対象に穿刺針を刺入した後、ラジオ波による焼灼を開始する。ステップS14においてラジオ波による焼灼が開始されると、ステップS15では、ユーザーは、リアルタイムの前記Bモード画像BIにおいて、焼灼状況を観察する。
【0058】
前記ステップS15において、被検体において焼灼された部分は、Bモード画像において周囲よりも輝度が高くなる。マージンの部分である差分領域RDまで焼灼されている場合、この差分領域RDにおいては、それ以外の領域よりもゲインが高く設定されているために、特に高輝度の画像が表示される。従って、ユーザーは、マージンの部分が十分に焼灼されていることを容易に確認することができる。
【0059】
次に、ステップS16においては、Bモード画像BIの表示を終了するか否かが、前記制御部8により判定される。例えば、前記操作部7において終了の入力があると表示を終了すると判定される。前記Bモード画像BIの表示を終了すると判定された場合(ステップS16において「YES」)、処理を終了する。一方、前記Bモード画像BIの表示を終了しないと判定された場合(ステップS16において「NO」)、Bモード画像BIの表示が継続する。
【0060】
なお、この第三変形例においても、前記第一変形例と同様に、前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dが設定されてもよい。この場合、前記第一エコーデータ処理部41は、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3D及び第二の三次元領域R2
3Dを特定する。そして、前記第一エコーデータ処理部41は、超音波の送受信面において前記第二の三次元領域R2
3Dに含まれる一方で、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3Dに含まれない領域を、前記Bモード画像BIにおける前記差分領域RDとして特定する。
【0061】
また、この第三変形例においても、前記第二変形例と同様に、カラー画像が表示されてもよい。この場合、前記第一エコーデータ処理部42は、前記差分領域rdとそれ以外の領域とで異なるゲインを用いず、同じゲインを用いたBモードデータを作成する。その一方、前記画像作成部51は、前記差分領域RDについて、前記Bモードデータに応じた色を有するカラー画像データを作成する。
【0062】
一方、前記画像作成部51は、前記差分領域RD以外の領域については、通常の白黒のBモード画像データを作成する。そして、前記画像表示制御部52は、
図17に示すように、前記カラー画像データに基づくカラー画像BI
CLと、前記白黒のBモード画像データに基づく白黒Bモード画像BI
BLとからなる画像Iを前記表示部6に表示させる。
【0063】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。以下、第一実施形態と異なる事項について説明する。
【0064】
本例では、前記エコーデータ処理部4は、
図18に示すように、第一実施形態の構成の他、判定部46を有している。この判定部46は、本発明における判定部の実施の形態の一例である。
【0065】
ちなみに、前記超音波診断装置1は、前記
図1の構成を有し、前記超音波プローブ2に前記磁気センサ10が設けられていないものとする。
【0066】
本例の作用について
図19のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、ユーザーが、焼灼治療後に被検体に造影剤を注入して、造影画像において治療効果を判断する場合について説明する。
【0067】
図19のフローチャートにおいて、ステップS21〜ステップS23の処理は、第一実施形態のステップS1〜S3と同一の処理である。ステップS24では、前記表示部6に前記Bモード画像BIとともに、造影画像CIが表示される。また、この造影画像CIに前記第一対応領域r1及び前記第二対応領域r2が表示される。ただし、第一実施形態とは異なり、前記第二エコーデータ処理部42は、前記差分領域rdとこの差分領域rd以外の領域とで、信号処理を変えずに同一の信号処理を行なう。従って、ゲインやダイナミックレンジ等は、前記差分領域rdとこの差分領域rd以外の領域とで同一の値が用いられる。
【0068】
次に、ステップS25では、前記造影画像CIにおいて、輝度が閾値を超えた画素に色が表示される。具体的には、前記判定部46は、前記造影画像CIにおける前記差分領域rdについて、輝度が閾値を超えたか否かを判定する。前記判定部46は、前記第二エコーデータ処理部42によって作成された造影データに基づいて前記判定を行なう。前記判定部46は、前記造影画像CIにおける前記差分領域rdの画素の各々に対応する造影データについて前記判定を行なう。そして、前記画像作成部51は、前記閾値を超えたと判定された画素に対して色のデータを作成し、この色のデータに基づいて、前記画像表示制御部52は、造影画像にカラー画像を表示させる。
図20に示すように、前記造影画像CIには、前記差分領域rdにおいて、輝度が閾値を超えたと判定された部分に、カラー画像CLIが表示される。これにより、第一実施形態と同様に、ユーザーはマージンの部分に血流BLが存在していることを容易に確認することができる。
【0069】
次に、ステップS26においては、前記ステップS5と同様に、前記造影画像CIの表示を終了するか否かが判定される。
【0070】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。この第一変形例では、前記第一実施形態の第一変形例と同様に、前記超音波診断装置1は、前記
図11の構成を有し、前記超音波プローブ2に前記磁気センサ10が設けられている。また、前記エコーデータ処理部4は、
図21に示すように、前記
図18の構成に加えて、前記プローブ位置特定部45を有する。
【0071】
本例では、前記第一実施形態の第一変形例と同様に、前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dが設定され、前記超音波プローブ2による超音波の送受信面が、前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されたBモード画像BIの断面とは異なる断面になった場合でも、前記Bモード画像BIに前記第一領域R1及び前記第二領域R2が表示され、前記造影画像CIに前記第一対応領域r1及び前記第二対応領域r2が表示される。
【0072】
また、前記第一実施形態の第一変形例と同様に、前記第二エコーデータ処理部42は、超音波の送受信面において前記第二の三次元領域R2
3Dに含まれる一方で、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3Dに含まれない領域と対応する領域を、前記造影画像CIにおいて前記差分領域rdとして特定する。これにより、前記超音波プローブ2による超音波の送受信面が、前記第一領域R1及び前記第二領域R2が設定されたBモード画像BIの断面とは異なる断面になった場合でも、前記画像表示制御部52は、前記造影画像CIにおける前記差分領域rdに、カラー画像CLIを表示させることができる。
【0073】
次に、第二変形例について説明する。前記造影画像CIにおける差分領域rdにおいて、輝度が閾値を超えた画素に前記カラー画像CLI以外の画像が表示されてもよい。例えば、前記造影画像CIにおける差分領域rdにおいて、輝度が閾値を超えた画素に、斜線が引かれた画像など、他の部分と識別し得る画像が表示されればよい。
【0074】
次に、第三変形例について説明する。この第三変形例では、前記第一実施形態の第三変形例と同様に、穿刺針による焼灼治療中にBモード画像において患部が十分に焼灼されたか否かがユーザーによって確認される。
【0075】
具体的に、
図22のフローチャートに基づいて説明する。ステップS31,S32は、前記第一実施形態における前記ステップS11,S12と同一の処理である。また、ステップS33は、前記ステップS14と同一である。
【0076】
ステップS34では、前記
Bモード画像
BIにおいて、輝度が閾値を超えた画素に色が表示される。具体的には、前記判定部46は、前記Bモード画像BIにおける前記差分領域RDについて、輝度が閾値を超えたか否かを判定する。前記判定部46は、前記第一エコーデータ処理部41によって作成されたBモードデータに基づいて前記判定を行なう。前記判定部46は、前記Bモード画像BIにおける前記差分領域RDの画素の各々に対応する造影データについて前記判定を行なう。そして、前記画像作成部51は、前記閾値を超えたと判定された画素に対して色のデータを作成し、この色のデータに基づいて、前記画像表示制御部52は、Bモード画像にカラー画像を表示させる。
図23に示すように、前記Bモード画像BIには、前記差分領域RDにおいて、輝度が閾値を超えた部分に、カラー画像CLIが表示される。これにより、ユーザーは、マージンの部分が十分に焼灼されていることを容易に確認することができる。
【0077】
次に、ステップS35においては、前記ステップS16と同様にして、Bモード画像BIの表示を終了するか否かが、前記制御部8により判定される。
【0078】
なお、この第三変形例においても、前記第一変形例と同様に、前記第一の三次元領域R1
3D及び前記第二の三次元領域R2
3Dが設定されてもよい。この場合、前記第一エコーデータ処理部41は、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3D及び第二の三次元領域R2
3Dを特定した後に、送受信面において前記第二の三次元領域R2
3Dに含まれる一方で、超音波の送受信面において前記第一の三次元領域R1
3Dに含まれない領域を、前記Bモード画像BIにおける前記差分領域RDとして特定する。
【0079】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記送受信ビームフォーマ3において、前記差分領域rd,RDにおけるゲインやダイナミックレンジが前記差分領域rd,RD以外の領域のそれと異なる値に設定されて信号処理が行われてもよい。この場合、前記送受信ビームフォーマ3は、本発明におけるデータ作成部の実施の形態の一例である。