(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548212
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】インセル偏光子、それを含んだ液晶表示装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02F1/1335 520
【請求項の数】24
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-4314(P2015-4314)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2015-132825(P2015-132825A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0004061
(32)【優先日】2014年1月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鄭 在 勝
(72)【発明者】
【氏名】金 東 郁
(72)【発明者】
【氏名】朴 俊 勇
(72)【発明者】
【氏名】申 俸 受
(72)【発明者】
【氏名】李 大 榮
(72)【発明者】
【氏名】李 性 勳
(72)【発明者】
【氏名】趙 國 來
(72)【発明者】
【氏名】咸 碩 圭
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−138453(JP,A)
【文献】
特開2005−275044(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0100781(US,A1)
【文献】
米国特許第09080748(US,B1)
【文献】
特開2005−309377(JP,A)
【文献】
特開2009−210725(JP,A)
【文献】
特開2008−102416(JP,A)
【文献】
特開平09−311348(JP,A)
【文献】
特開2000−329916(JP,A)
【文献】
特開2003−121616(JP,A)
【文献】
特開2010−014842(JP,A)
【文献】
特開平08−050283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335,1/13363
G02B 5/30
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部上部に具備された第1基板と、
前記第1基板の上部に具備された電極層と、
前記電極層から離隔された第2基板と、
前記第2基板の一面に具備された偏光板と、
前記電極層と前記第2基板との間の液晶層と、
前記第1基板の前記光源部と対向する第1面に具備された反射部と、
前記第1基板の前記電極層と対向する第2面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含む液晶表示装置。
【請求項2】
光源部と、
前記光源部上部に具備された第1基板と、
前記第1基板の上部に具備された電極層と、
前記電極層に含まれるブラックマトリックスと、
前記電極層から離隔された第2基板と、
前記第2基板の一面に具備された偏光板と、
前記電極層と前記第2基板との間の液晶層と、
前記第1基板の一面に具備された反射部と、
前記第1基板の他面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含み、
前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記電極層は、ブラックマトリックスを含み、前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ワイヤグリッド偏光子は、前記ブラックマトリックスが具備されていない開口領域に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ワイヤグリッド偏光子は、前記第1基板のいずれか一面の全体領域、あるいは一部領域に具備されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記反射部が、少なくとも1つの傾斜側面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記反射部が、複数個の単位体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記複数個の単位体が、少なくとも1つの傾斜側面を有し、前記複数個の単位体が、一次元アレイ構造または二次元アレイ構造に配列されたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記複数個の単位体が、台形断面、半円形断面または三角形断面のうち少なくとも一つを有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記反射部が、本体と、前記本体上に具備された凹凸部と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記本体が、四角形断面または台形断面を有することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
光源部を有する装置において使用されるインセル偏光子であって、
前記装置に使用されたときに、前記光源部上部に隣接するように具備される第1基板と、
前記第1基板の前記光源部と対向する第1面に具備された反射部と、
前記第1基板の前記第1面と対向する第2面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含むインセル偏光子。
【請求項13】
前記反射部が具備された領域と、前記ワイヤグリッド偏光子が具備された領域とが、重畳されていない、あるいは一部重畳されていることを特徴とする請求項12に記載のインセル偏光子。
【請求項14】
前記反射部は、前記基板の一部領域に具備されたことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のインセル偏光子。
【請求項15】
前記反射部が、少なくとも1つの傾斜側面を有することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のインセル偏光子。
【請求項16】
前記反射部が、複数個の単位体を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のインセル偏光子。
【請求項17】
前記複数個の単位体が、少なくとも1つの傾斜側面を有し、前記複数個の単位体が、一次元アレイ構造または二次元アレイ構造に配列されたことを特徴とする請求項16に記載のインセル偏光子。
【請求項18】
前記複数個の単位体が、台形断面、半円形断面または三角形断面のうち少なくとも一つを有することを特徴とする請求項16または請求項17に記載のインセル偏光子。
【請求項19】
前記反射部が本体と、前記本体上に具備された凹凸部と、を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のインセル偏光子。
【請求項20】
光源部を形成する段階と、
前記光源部上部に第1基板を形成する段階と、
前記第1基板の前記光源部と対向する第1面に反射部を形成する段階と、
前記第1基板の電極層と対向する第2面に、前記反射部を形成する工程と独立して、ワイヤグリッド偏光子を形成する段階と、
前記第1基板の上部に前記電極層を形成する段階と、
前記電極層から離隔されるように第2基板を形成する段階と、
前記第2基板の一面に偏光板を形成する段階と、
前記電極層と前記第2基板との間に液晶層を形成する段階と、を含む液晶表示装置の製造方法。
【請求項21】
光源部を形成する段階と、
前記光源部上部に第1基板を形成する段階と、
前記第1基板の一面に反射部を形成する段階と、
前記第1基板の他面に、前記反射部を形成する工程と独立して、ワイヤグリッド偏光子を形成する段階と、
前記第1基板の上部に電極層を形成する段階と、
前記電極層に含まれるブラックマトリックスを形成する段階と、
前記電極層から離隔されるように第2基板を形成する段階と、
前記第2基板の一面に偏光板を形成する段階と、
前記電極層と前記第2基板との間に液晶層を形成する段階と、を含み、
前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項22】
前記第1基板が、前記光源部と対向する第1面と、前記電極層と対向する第2面とを含み、前記反射部が、前記第1基板の第1面に具備され、前記ワイヤグリッド偏光子が、前記第1基板の第2面に具備されたことを特徴とする請求項21に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項23】
前記ワイヤグリッド偏光子は、ナノインプリント法、ブロックコポリマー法、Eビームリソグラフィ法、グランシングアングル蒸着法のうちいずれか一つによって形成されることを特徴とする請求項20〜22のいずれか一項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項24】
前記反射部は、フォトリソグラフィ法によって形成されることを特徴とする請求項20〜23のいずれか一項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程を単純化させることができるインセル偏光子、それを含んだ液晶表示装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの応用分野で、光源から出た光を制御するために、光の偏光特性が利用される。例えば、液晶パネルを利用した液晶表示装置の場合、液晶パネルは、液晶分子が直線偏光の偏光方向を変化させることにより、光を通過させたり、あるいは遮断したりするシャッタ機能を遂行する。液晶表示装置は、偏光方向が直交する第1偏光板及び第2偏光板と、その間に具備された液晶層と、を含み、画素ごとに、TFT(Thin Film Transistor)を具備する。TFTのスイッチング動作によって、画素ごとに、電圧のオンオフが制御される。例えば、画素に対して電圧が印加されると、液晶分子は、直線状に整列され、入射光は、その偏光方向を変えずに液晶層を通過し、第2偏光板によって遮られる。画素に対して電圧が印加されないと、液晶分子は、ねじれて配列され、入射光は、その偏光方向を液晶分子配列に沿って変えながら液晶層を通過し、第2偏光板を通過する。すなわち、液晶分子がねじれていれば、ホワイトが表示され、液晶分子が直線状に整列していれば、ブラックが表示される。
【0003】
しかし、上記のような偏光板による光の利用効率は低いため、液晶表示装置の光効率は低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
偏光板の機能を液晶表示装置の液晶セル内部に作り込んだインセル偏光子が用いられる場合もあるが、一般的に、製造工程が複雑化してしまう。
【0005】
本発明は、製造工程を単純化することができるインセル偏光子、それを含んだ液晶表示装置、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な実施形態による液晶表示装置は、光源部と、前記光源部上部に具備された第1基板と、前記第1基板の上部に具備された電極層と、前記電極層から離隔された第2基板と、前記第2基板の一面に具備された偏光板と、前記電極層と
前記第2基板との間の液晶層と、前記第1基板の
前記光源部と対向する第1面に具備された反射部と、前記第1基板の
前記電極層と対向する第2面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含む。
また、光源部と、前記光源部上部に具備された第1基板と、前記第1基板の上部に具備された電極層と、前記電極層に含まれるブラックマトリックスと、前記電極層から離隔された第2基板と、前記第2基板の一面に具備された偏光板と、前記電極層と前記第2基板との間の液晶層と、前記第1基板の一面に具備された反射部と、前記第1基板の他面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含み、前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されることを特徴とする。
【0007】
前記第1基板が、前記光源部と対向する第1面と、前記電極層と対向する第2面とを含み、前記反射部が、第1基板の第1面に具備され、前記ワイヤグリッド偏光子が、前記第1基板の第2面に具備されてもよい。
【0008】
前記電極層は、ブラックマトリックスを含み、前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されてもよい。
【0009】
前記ワイヤグリッド偏光子は、前記ブラックマトリックスが具備されていない開口領域に対応する位置に配置されてもよい。
【0010】
前記ワイヤグリッド偏光子は、前記第1基板のいずれか一面の全体領域、あるいは一部領域に具備されてもよい。
【0011】
前記反射部は、少なくとも1つの傾斜側面を有することができる。
【0012】
前記反射部は、複数個の単位体を含んでもよい。
【0013】
前記複数個の単位体が少なくとも1つの傾斜側面を有し、複数個の単位体は、一次元アレイ構造または二次元アレイ構造で配列されてもよい。
【0014】
前記複数個の単位体が、台形断面、半円形断面または三角形断面のうち少なくとも一つを有することができる。
【0015】
前記反射部が本体と、前記本体上の凹凸部と、を含んでもよい。
【0016】
前記本体は、四角形断面または台形断面を有することができる。
【0017】
本発明の例示的なインセル偏光子は、光源部を有する装置において使用される
インセル偏光子であって、
前記装置に使用されたときに、前記光源部上部に隣接するように具備される第1基板と、
前記
第1基板の前記光源部と対向する第1面に具備された反射部と、前記
第1基板の前記第1面と対向する第2面に具備されたワイヤグリッド偏光子と、を含む。
【0018】
前記反射部が具備された領域と、前記ワイヤグリッド偏光子が具備された領域とが重畳されていなくてもよいし、一部重畳されてもよい。
【0019】
本発明の例示的な液晶表示装置製造方法は、光源部を形成する段階と、前記光源部上部に第1基板を形成する段階と、前記第1基板の
前記光源部と対向する第1面に反射部を形成する段階と、前記第1基板の
電極層と対向する第2面に、前記反射部を形成する工程と独立して、ワイヤグリッド偏光子を形成する段階と、前記第1基板の上部に
前記電極層を形成する段階と、前記電極層から離隔されるように第2基板を形成する段階と、前記第2基板の一面に偏光板を形成する段階と、前記電極層と第2基板との間に液晶層を形成する段階と、を含む。
また、光源部を形成する段階と、前記光源部上部に第1基板を形成する段階と、前記第1基板の一面に反射部を形成する段階と、前記第1基板の他面に、前記反射部を形成する工程と独立して、ワイヤグリッド偏光子を形成する段階と、前記第1基板の上部に電極層を形成する段階と、前記電極層に含まれるブラックマトリックスを形成する段階と、前記電極層から離隔されるように第2基板を形成する段階と、前記第2基板の一面に偏光板を形成する段階と、前記電極層と前記第2基板との間に液晶層を形成する段階と、を含み、前記反射部が、前記ブラックマトリックスに対応する位置に配置されることを特徴とする。
【0020】
前記ワイヤグリッド偏光子は、ナノインプリント法、ブロックコポリマー法、Eビームリソグラフィ法、グランシングアングル蒸着法のうちいずれか一つによって形成されてもよい。
【0021】
前記反射部は、フォトリソグラフィ法によって形成されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、反射部とワイヤグリッド偏光子とが別途の独立した工程で、第1基板の互いに異なる面に形成されるので、反射部の形成後、ワイヤグリッド偏光子を製作するとき、反射部を保護するための追加工程を遂行する必要がない。従って、インセル偏光子の製造工程を単純化することができ、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示された液晶表示装置の第1変形例を示す図である。
【
図3】
図1に示された液晶表示装置の第2変形例を示す図である。
【
図7】
図6に示されたインセル偏光子の反射部の側面の傾度による平均照度(average illumination)の変化を示すグラフである。
【
図9】
図8に示されたインセル偏光子の上面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る反射部の製造方法(第1工程)について説明するための図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る反射部の製造方法(第2工程)について説明するための図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るワイヤグリッド偏光子の製造方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るインセル偏光子、それを含んだ液晶表示装置、及びその製造方法について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図面において、同一の参照番号は、同一の構成要素を指し、各構成要素の大きさや厚みは、説明の便宜のために誇張されていることもある。一方、以下で説明する実施形態は、ただ例示的なものに過ぎず、かような実施形態から、多様な変形が可能である。また、1層が基板や他層の「上」、「上部」または「上側」に具備されると説明するとき、その層は、基板や他層に直接接しながら上に存在することもあり、非接触で上に存在することもある。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置1を概略的に示す図である。液晶表示装置1は、光源部20と、光源部20からの光の一部を反射させ、一部を透過させるインセル偏光子IPと、を含む。
【0027】
インセル偏光子IPの上部には、電極層40と第2基板50とが離隔されるように配置されている。電極層40と第2基板50との間には、液晶層48が具備される。第2基板50の一面には、偏光板55が具備される。
【0028】
光源部20の下部には、反射板10がさらに具備される。
【0029】
光源部20は、光源の配置形態により、直下型(direct light type)と、エッジライト型(edge light type)とに分類される。直下型は、光源が、インセル偏光子IPの下に設けられ、光を液晶表示装置に直接照射する方式を採用し、エッジタイプ型は、導光板(図示せず)を介して、光をインセル偏光子IPに照射する方式を採用する。本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、直下型及びエッジタイプ型いずれも適用可能である。光源部20の光源としては、例えば、LED(light emitting diode)、OLED(organic light emitting diode)、CCFL(cool cathode fluorescent light)などが使用される。しかし、それらに限定されるものではない。
【0030】
インセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の一面に具備された反射部25と、第1基板30の他面に具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含んでもよい。第1基板30は、光が透過されるように、透明基板である。第1基板30は、例えば、ガラス基板または透明なプラスチック基板である。反射部25とワイヤグリッド偏光子35は、第1基板30の互いに異なる面にそれぞれ具備される。第1基板30は、光源部20と対向する第1面30aと、光源部20から遠い第2面30bと、を含んでもよい。反射部25は、例えば、第1面30aに具備され、ワイヤグリッド偏光子35は、第2面30bに具備される。しかし、その反対に配置されることも可能である。
【0031】
反射部25は、光を反射させる材質から形成される。反射部25は、例えば、金属から形成される。反射部25は、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)のうち少なくとも一つを含んでもよい。反射部25は、第1基板30の一部領域に具備される。例えば、反射部25は、電極層40に具備されたブラックマトリックス45に対応する領域に具備される。
【0032】
液晶表示装置1は、複数個のピクセルを含み、1つのピクセルが、1つのカラーを表示すること、あるいは複数個のカラーを表示することができる。1つのピクセルが複数個のカラー、例えば、R(red)、G(green)、B(blue)を表示する3つのサブピクセルを含んでもよい。
図1に示された液晶表示装置1は、1つのピクセル、あるいは1つのサブピクセルにより構成されるものとしてもよい。液晶表示装置1は、例えば、光が通過する開口領域OAと、光が通過することができない非開口領域NOAと、を含んでもよい。
【0033】
ブラックマトリックス45は、電極層40の一部に具備され、電極層40の電極パターンによって配置される。ブラックマトリックス45は、電極パターンが映像に影響を及ぼすことを防止するために具備される。例えば、ブラックマトリックス45が配置された領域は、光が通過することができない非開口領域に対応し、残りの領域は光、が通過される開口領域に対応する。反射部25は、非開口領域NOAに具備され、ワイヤグリッド偏光子35は、開口領域OAに具備される。反射部25が非開口領域NOAに配置されるとき、光効率が高くなる。しかし、それに限定されるものではなく、反射部25は、非開口領域NOAを含む領域より大きい領域に配置され、ワイヤグリッド偏光子は、開口領域OAを含む領域より大きい領域に配置されてもよい。このとき、反射部25が具備された領域と、ワイヤグリッド偏光子35が具備された領域とが重畳されなくてもよいし、一部重畳されてもよい。
【0034】
ワイヤグリッド偏光子35は、第1基板30上に、複数のワイヤ35aが、所定の間隔で互いに離隔されるように配列されて形成される。ワイヤ35aの配列周期(間隔)は、入射光の波長よりも小さい。ワイヤ35aとワイヤ35aの間には、グルーブ35bが具備される。例えば、ワイヤ35aとワイヤ35aとの間のピッチは、入射光波長の1/4以下とし、好ましくは、0nmより大きく、200nm以下の範囲とする。ワイヤグリッド偏光子35のフィルファクタ(fill factor)は、0.3以上であって1より小さな範囲とすることができる。なお、フィルファクタは、ワイヤ35aとグルーブ35bとの断面積比を示す。ワイヤ35aの高さは、100nm以上であってもよく、例えば、ワイヤ35aの縦横比(aspect ratio)は、1以上の値を有することができる。
【0035】
ワイヤ35aは、金属から形成され、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)のグループから選択された少なくとも一つから形成される。
【0036】
ワイヤグリッド偏光子35は、例えば、入射光の中で第1偏光の光のみを透過させ、第2偏光の光を反射するようにしてもよい。第1偏光はP偏光であってもよく、第2偏光はS偏光であってもよい。
【0037】
反射部25とワイヤグリッド偏光子35は、第1基板30の互いに異なる面にそれぞれ具備されるので、反射部25とワイヤグリッド偏光子35は、互いに独立した工程によって製作される。このように、反射部25とワイヤグリッド偏光子35との工程を分離することにより、インセル偏光子IPの製造工程を単純化することができる。反射部25とワイヤグリッド偏光子35とを基板の同面に製作する場合、ワイヤグリッド偏光子35を製作した後、反射部25の製作時、ワイヤグリッド偏光子35を保護するための工程が追加されなければならないので、製造工程が非常に複雑になる。また、反射部25は、ブラックマトリックス45のパターンによって、その位置や製造工程が異なることもあり、かような製造工程の変化により、ワイヤグリッド偏光子35の製造工程も複雑化される。これに対し、反射部25とワイヤグリッド偏光子35とを基板の互いに異なる面に分離して配置することにより、反射部25とワイヤグリッド偏光子35とをそれぞれ独立して製造することができるので、製造工程を単純化することができる。
【0038】
インセル偏光子IP上には、電極層40が具備される。電極層40は、液晶層48を駆動するためのピクセル電極と、ピクセル電極をスイッチングするためのTFT(thin film transistor)と、を含んでもよい。
【0039】
第2基板50は、光が透過されるように透明基板であり、電極層として使用される。第2基板50は、透明な酸化物半導体から形成される。第2基板50は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnO、In
2O
3のような透明な導電性物質から形成される。
【0040】
第2基板50の一面には、偏光板55が具備される。例えば、偏光板55は、第2基板50の上部面または下部面に具備される。偏光板55は、吸収型、反射型のいずれでも可能である。偏光板55が反射型である場合、例えば、ワイヤグリッド偏光板が用いられてもよい。
【0041】
次に、液晶表示装置1の動作について説明する。
【0042】
光源部20から光が出射され、光がインセル偏光子IPに入射される。入射光のうち、反射部25側に入射された光は、光源部20側に反射し、反射部25以外の領域に入射された光は、第1基板30を通過し、ワイヤグリッド偏光子35で、偏光方向によって反射されるか、あるいは透過される。例えば、P偏光の光は、透過され、S偏光の光は、反射される。
【0043】
反射部25で反射された光と、ワイヤグリッド偏光子35で反射された光は、光源部20で反射するか、あるいは反射板10で反射され、さらにインセル偏光子IP側に入射される。このように再入射された光は、前述の過程を反復してリサイクルされながら、光効率を高めることができる。なお、反射部25が、第1基板30の第1面30aに配置されるとき、反射部25が、第2面30bに配置されるときと比べ、光リサイクル率が高い。反射部25が、光源部20側にさらに近くに配置されるとき、光リサイクル率はさらに高くなる。
【0044】
インセル偏光子IPを通過した光は、液晶層48に入射される。電極層40と第2基板50との間に電圧が印加され、電圧の大きさによって、光の透過率が調節される。光の透過率を調節して階調を表現することができる。偏光板55は、ワイヤグリッド偏光子30の偏光方向と直角である偏光方向を有することができる。偏光板55は、例えば、S偏光の光を透過させることができる。
【0045】
以上のように、各ピクセル別に光の透過率を制御し、映像を表示することができる。また、カラーフィルタを具備して、カラー映像を表示することも可能である。
【0046】
次に、
図2は、
図1に示された液晶表示装置1の第1変形例を示す図である。
【0047】
図2に示された液晶表示装置1Aは、インセル偏光子IPAを含む。インセル偏光子IPAは、第1基板30と、第1基板30の一面に具備された反射部と、第1基板30の他面に具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含む。反射部は、第1基板30の第1面30aの一部領域に具備された第1反射部25aと、第1面30aの他の領域に具備された第2反射部25bと、を含んでもよい。そして、ワイヤグリッド偏光子35は、第1反射部25aと、第2反射部25bとの間の開口領域OAに具備される。第1反射部25aと第2反射部25bは、電極層40に具備された第1ブラックマトリックス45aと、第2ブラックマトリックス45bとが具備された領域に対応する非開口領域NOAに具備される。
【0048】
図2において、
図1と同一の部材番号を使用する部材は、実質的に同一の構成及び作用をもたらすので、ここでは、その詳細な説明を省略する。なお、
図2は、第1ブラックマトリックス45a及び第2ブラックマトリックス45bが具備された非開口領域NOAに対応するように、第1反射部25a及び第2反射部25bが具備された例を示したものである。
【0049】
図3は、
図1に示した液晶表示装置1の第2変形例を示す図である。
図3に示された液晶表示装置1Cは、インセル偏光子IPを含む。インセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の一面に具備された反射部25と、第1基板30の他面に具備されたワイヤグリッド偏光子35Cと、を含んでもよい。反射部25は、ブラックマトリックス45が具備された領域に対応する非開口領域NOAに具備される。一方、ワイヤグリッド偏光子35Cは、例えば、第1基板30の第2面30b全体に具備される。ワイヤグリッド偏光子35Cを第2面30b全体に具備することにより、ワイヤグリッド偏光子35Cを一部領域に具備する場合と比べ、製造工程を単純化することができる。ワイヤグリッド偏光子35Cを一部領域に具備する場合には、ワイヤグリッド偏光子35Cが具備されていない領域をエッチングする工程がさらに追加されるが、
図3に示された構造では、このような工程が不要である。
【0050】
次に、インセル偏光子IPのさまざまな例について説明する。
【0051】
図4は、インセル偏光子IPの第1例を示す図である。
図4に示された第1例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、第1基板30の第2面30bに具備された反射部25と、を含む。
図4には、反射部25が、第1基板30の上部面に具備され、ワイヤグリッド偏光子35が、第1基板30の下部面に具備された例が示されている。
【0052】
図5は、インセル偏光子IPの第2例を示す図である。
図5に示された第2例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、第1基板30の第2面30bに具備された反射部25と、を含む。
図5には、ワイヤグリッド偏光子35が、第1基板30の第1面30a全体に具備された例が示されている。
【0053】
図6は、インセル偏光子IPの第3例を示す図である。
図6に示された第3例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備された反射部25−1と、第1基板30の第2面30bに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含む。反射部25−1は、少なくとも1つの傾斜した側面26を含んでもよい。例えば、反射部25−1は、台形断面を有することができる。
【0054】
図7は、
図6に示されたインセル偏光子IPの反射部25−1の側面26の傾斜角度θによる平均照度(average illumination)の変化を示すグラフである。
図7は、反射部25−1の高さhが、16μm、8μmであるときのシミュレーション結果をそれぞれ示したグラフである。このシミュレーション結果からわかるように、反射部25−1の側面26の傾斜角度θが、例えば、60〜80°範囲のときに、平均照度が相対的に高い。
【0055】
また、反射部25−1が、第1面30aに対して直角である側面を有する場合と比べ、傾斜側面26を有する場合の方が、相対的に平均照度が高い。
【0056】
図8は、インセル偏光子IPの第4例を示す図である。また、
図9は、
図8に示されたインセル偏光子IPの上面図である。
図8に示すように、第4例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備された反射部25−2と、第1基板30の第2面30bに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含む。反射部25−2は、アレイ構造を有することができる。例えば、反射部25−2は、
図9に示すように、複数個の単位体25−2aが一次元アレイ構造を有して配列される。単位体25−2aは、多様な形状を有することができる。例えば、単位体25−2aは、多角形断面を有することができる。単位体25−2aは、例えば、四角形断面、台形断面または三角形断面を有することができる。
【0057】
図10は、インセル偏光子IPの第5例を示す図である。
図10に示すように、第5例の反射部25−3は、半円形断面を有する単位体25−3aを含んでもよい。反射部25−3は、例えば、半円柱状を有することができる。単位体25−3aは、一次元アレイ構造で配列される。
【0058】
図11は、インセル偏光子IPの第6例の上面図である。
図11に示すように、インセル偏光子IPは、反射部25−4が二次元アレイ構造を有することができる。反射部25−4は、複数個の単位体25−4aを有し、複数個の単位体25−4aは、二次元アレイ構造に配列される。単位体25−4aは、互いに離隔されるように配列されてもよいし、あるいは接触するように配列されてもよい。単位体25−4aは、多様な形状を有することができる。例えば、単位体25−2aは、多角形断面を有することができる。単位体25−2aは、例えば、四角形断面または台形断面を有することができる。
【0059】
図12は、インセル偏光子IPの第7例の上面図である。
図12に示すように、反射部25−5は、半球形をした単位体25−5aを含んでもよい。単位体25−5aは、二次元アレイ構造に配列される。
図13は、インセル偏光子IPの第8例を示す図である。
図13に示された第8例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備された反射部25−6と、第1基板30の第2面30bに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含む。反射部25−6は、本体25−6aと、本体25−6a上の凹凸部25−6bと、を含んでもよい。本体25−6aは、多様な形状の断面を有することができる。例えば、本体25−6aは、多角形形状を有することができる。本体25−6aは、台形断面を有することができる。凹凸部25−6bによって、反射効率が高くなる。
【0060】
図14は、インセル偏光子IPの第9例を示す図である。
図14に示された第9例のインセル偏光子IPは、第1基板30と、第1基板30の第1面30aに具備された反射部25−7と、第1基板30の第2面30bに具備されたワイヤグリッド偏光子35と、を含む。反射部25−7は、本体25−7aと、本体25−7a上の凹凸部25−7aと、を含んでもよい。本体25−7aは、例えば、四角形断面を有することができる。
【0061】
インセル偏光子IPの第3例〜第9例(
図6、
図8〜
図14)では、反射部が、第1基板30の第1面30aに具備された例を示したが、反射部が、第1基板30の第2面30bに具備されてもよい。
【0062】
次に、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置1の製造方法について説明する。液晶表示装置1の製造方法は、
図1を参照すれば、光源部20を形成し、光源部20の上部に、インセル偏光子IPを形成する。インセル偏光子IPを製造するとき、第1基板30の上部工程と下部工程とを別途に遂行する。例えば、第1基板30の一面、例えば、第1面30aに反射部25を形成し、第1基板30の他面、例えば、第2面30bにワイヤグリッド偏光子35を形成することができる。
【0063】
図15及び
図16を参照し、反射部25(
図1)の製造工程について説明する。反射部25は、フォトリソグラフィ法によって形成される。例えば、第1基板30の第1面30aに、金属層23を蒸着し、マスクを利用したフォト工程を利用して、反射部25のためのパターンを形成することができる(第1工程)。当該パターンによって、金属層23をエッチングし、第1基板30の第1面30aの一部を露出させ、残りの領域に、反射部25を形成することができる(第2工程)。当該パターンは、電極層40上に具備されたブラックマトリックス45のパターンによって異なる。ブラックマトリックス45がない開口領域OAに対応する領域の金属層23をエッチングし、ブラックマトリックス45がある非開口領域NOAに対応する領域の金属層23を残すことにより、反射部25を形成することができる。例えば、金属層23は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)のうち少なくとも一つを含んでもよい。エッチングとしては、湿式エッチングまたは乾式エッチングを利用することができる。ここで、エッチング時間やエッチング液のような、エッチング条件を調節し、反射部25の形状、大きさなどを調節することができる。
【0064】
次に、
図17を参照し、ワイヤグリッド偏光子35(
図1)の製造工程について説明する。ワイヤグリッド偏光子35は、第1基板30の第2面30bに形成される。ワイヤグリッド偏光子35は、ナノインプリント法(nanoimprint method)、ブロックコポリマー法(block copolymer method)、Eビームリソグラフィ法(i――beam lithography method)、グランシングアングル蒸着法(glancing angle deposition method)のうちいずれか一つによって形成される。
【0065】
反射部25とワイヤグリッド偏光子35とが別途の独立した工程で、第1基板30の互いに異なる面に形成されるので、反射部25の形成後、ワイヤグリッド偏光子35を製作するとき、反射部25を保護するための追加工程を遂行する必要がない。従って、インセル偏光子IPの製造工程を単純化することができ、製造コストを低減させることができる。
【0066】
次に、第1基板30の上部に、電極層40を形成し、電極層40から離隔されるように、第2基板50を形成する。また、電極層40の上に、ブラックマトリックス45を形成することができる。そして、第2基板50の一面に、偏光板55を形成する。電極層40と第2基板50との間に、液晶層48を形成することができる。
【0067】
前述の実施形態は、例示的なものに過ぎず、当該技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能である。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のインセル偏光子、それを含んだ液晶表示装置及びその製造方法は、例えば、液晶表示関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1C 液晶表示装置、
10 反射板、
20 光源部、
23 金属層、
25,25−1,25−2,25−3,25−4,25−5,25−6 反射部、
25−2a,25−3a,25−4a,25−5a 単位体、
25−6a,25−7a 本体、
25−6b,25−7b 凸凹部、
25a 第1反射部、
25b 第2反射部、
26 反射部の側面(傾斜側面)、
30 第1基板、
30a 第1基板の第1面、
30b 第1基板の第2面、
35,35C ワイヤグリッド偏光子、
35a ワイヤ、
35b グルーブ、
40 電極層、
45 ブラックマトリックス、
45a 第1ブラックマトリックス、
45b 第2ブラックマトリックス、
48 液晶層、
50 第2基板、
55 偏光板、
IP,IPA インセル偏光子、
OA 開口領域、
NOA 非開口領域。