(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多軸ジャイロセンサパッケージは、3軸加速度センサパッケージ及び3軸ジャイロセンサパッケージよりなる6軸センサの該3軸ジャイロセンサパッケージである請求項1に記載の多軸ジャイロセンサ特性評価装置。
前記多軸ジャイロセンサパッケージは、3軸加速度センサパッケージ及び3軸ジャイロセンサパッケージよりなる6軸センサの該3軸ジャイロセンサパッケージである請求項5に記載の多軸ジャイロセンサ特性評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、
図2は本発明に係る多軸ジャイロセンサ特性評価装置の第1の実施の形態を示す斜視図であり、
図1は3軸ジャイロセンサパッケージが第1の姿勢状態(q=1)にある場合、
図2は3軸ジャイロセンサパッケージが第2の姿勢状態(q=2)にある場合を示し、第1、第2の姿勢状態の切替は手動にて行われる。
【0013】
図1、
図2においては、入力角速度ω
1を与えるための回転軸A1を有するターンテーブル1(リンクL1とする)に、回転軸A1と平行でない回転軸A2を有するターンテーブル2(リンクL2とする)が接合され、ターンテーブル1とターンテーブル2とはシリアルリンク機構を構成している。
図1においては、ターンテーブル2は3軸ジャイロセンサパッケージ5を第1の姿勢状態(q=1)で固定して回転し、他方、
図2においては、ターンテーブル2は3軸ジャイロセンサパッケージ5を第2の姿勢状態(q=2)で固定して回転する。この場合、3軸ジャイロセンサパッケージ5の第1、第2の姿勢状態の固定は三角柱状治具をねじを用いて固定することにより行われ、3軸ジャイロセンサパッケージ5の回転位置はたとえば後述の式(9)の回転行列R
m1、R
m2で表される。また、3軸ジャイロセンサパッケージ5は機構的にはターンテーブル2と同一のリンクL2である。さらに、ターンテーブル2はターンテーブル1上の取付部材1aに固定されているが、この取付部材1aは機構的にはターンテーブル1と同一のリンクL1である。さらにまた、回転軸A1と回転軸A2との角度は直角とする。但し、既知であれば直角でなくともよい。
【0014】
制御ユニットCONTはターンテーブル1、2をモータ6によって同期回転駆動する。この場合、モータ6によるターンテーブル1の回転駆動は非接触型マグネットギア(図示せず)を介して行われ、また、ターンテーブル1とターンテーブル2との間も別の非接触型マグネットギア(図示せず)によって接合され、従って、ω
2=rω
1(但し、rは定数)なる関係が成立する。つまり、ターンテーブル1は一定角速度ω
1=dθ
1/dtで回転し、ターンテーブル2も一定角速度ω
2=dθ
2/dt=rω
1で回転する。このように、ターンテーブル1、2は1つのモータ6によって同期回転駆動されるので、製造コストの点で有利である。しかも、非接触型マグネットギアによりモータ6の振動のノイズはターンテーブル1、2に伝達しにくくなり、ターンテーブル1、1の回転は安定する。
【0015】
3軸ジャイロセンサパッケージ5の第1軸角速度電圧v
out_1、第2軸角速度電圧v
out_2及び第3軸角速度電圧v
out_3はターンテーブル2の回転軸A2の回転角θ
2を検出するロータリエンコーダ7の角度信号に同期して制御ユニットCONTに供給され、この結果、制御ユニットCONTは第1軸角速度電圧v
out_1、第2軸角速度電圧v
out_2及び第3軸角速度電圧v
out_3から3軸ジャイロセンサパッケージ5の各センサ実軸jの方向単位ベクトルs
j及び個別センサ感度k
jを演算する。
【0016】
図3は
図1、
図2の多軸ジャイロセンサ特性評価装置の座標系を説明する図である。
【0017】
図3に示すように、ターンテーブル1(リンクL1)には、原点O
1を有するx
1y
1z
1座標系を定義する。このx
1y
1z
1座標系のz
1軸(回転軸A1)は原点O
0を有する静止x
0y
0z
0座標系のz
0軸と一致し、x
1y
1z
1座標系のx
1軸はx
0y
0z
0座標系のx
0軸と角度θ
1をなす。また、ターンテーブル2(リンクL2)には、原点O
2を有するx
2y
2z
2座標系を定義する。このx
2y
2z
2座標系のx
2軸はx
1y
1z
1座標系のx
1軸と角度θ
2をなす。尚、x
2y
2z
2座標系のz
2軸は回転軸A2である。
【0018】
図4は
図1、
図2のシリアルリンク機構を説明するための図であって、(A)は斜視図、(B)は座標系を示す図である。
【0019】
図4に示すように、原点O
1を有するx
1y
1z
1座標系リンクL1にz
1軸=d
1の距離で原点O
2を有するx
2y
2z
2座標系リンクL2が距離d
2で回転可能に接合されている。すなわち、リンクL1とリンクL2とは接合されてシリアルリンク機構をなしている。但し、本発明においては、各座標系の原点O
0、O
1、O
2は同一点として扱ってもよい。従って、
d
1=d
2=0
とすることができる。この場合、DH(
Denavit−Hartenberg)パラメータは
図5に示すごとくなる。但し、DHパラメータd
i、a
i、θ
i、α
iは次のごとく定義される。
d
i:リンクLi−1のx
i−1軸とリンクLiのx
i軸との距離
a
i:リンクLi−1のz
i−1軸とリンクLiのz
i軸との距離
θ
i:リンクLi−1のx
i−1軸に対するリンクLiのx
i軸の角度
α
i:リンクLi−1のz
i−1軸に対するリンクLiのz
i軸の角度
【0020】
一般に、隣接するリンクLi−1、Li同士の同次変換行列T
(i−1)iはDHパラメータを利用すると式(1)で表される。
【数1】
具体的には、
図1、
図2、
図3における原点O
i(i=0、1、2)のx
iy
iz
i座標系(リンクLi)間の同次変換行列T
01、T
12は式(2)で表される。尚、表示ベクトルは、本明細書中の式及び図面においては太字とする。
【数2】
但し、行列内のc
i、s
iはcosθ
i、sinθ
iを表すものとする。
【0021】
一般に、剛体上のxyz座標系から見た位置ベクトルx
0の点を基準座標系から見た場合、その位置ベクトルxは両者の座標変換を表す同次変換行列をGとした場合、式(3)となる。
【数3】
このときの基準座標系から見た剛体上の位置ベクトルx
0の速度行列Vは式(4)で示される。
【数4】
つまり、剛体上の位置ベクトルx
0の点は基準座標系からその点を示す位置ベクトルxに速度行列Vを乗算したもので表される。これを
図1、
図2、
図3に適用すると、
図1、
図2、
図3における原点O
0の静止x
0y
0z
0座標系に対するターンテーブル2(リンクL2)上の点の速度行列V
02は式(5)で表される。
【数5】
反対に、ターンテーブル2(リンクL2)上から見た原点O
0の静止x
0y
0z
0座標系に対する速度行列V
20は式(6)となる。
【数6】
【0022】
式(6)における角速度ベクトルωはターンテーブル2(リンクL2)から見た原点O
0の静止x
0y
0z
0座標系の角速度であるので、静止x
0y
0z
0座標系から3軸ジャイロセンサパッケージ5に入力される角速度ベクトルωは符号を入れ替えて式(7)で表される。
【数7】
式(7)から3軸ジャイロセンサパッケージ5が受ける角速度成分ω
x、ω
yはθ
2に応じて正弦波状に変化する。従って、3軸ジャイロセンサパッケージ5の各センサ実軸jと入力角速度ベクトルωの方向とが重なったときに出力電圧v
out_1、v
out_2は最大または最小となり、この結果、センサ実軸jの方向単位ベクトルs
jを検出できる。他方、ω
z=dθ
2/dtは一定であり、出力電圧v
out_3は一定のオフセット値となる。さらに、式(7)において、時間と共に変化するパラメータはθ
1、θ
2だけであり、ギア比rの非接触型マグネットギアによってω
2=rω
1となる拘束を加えることにより
図1、
図2、
図3の多軸ジャイロセンサ特性評価装置は1自由度で、つまりモータ6だけで動作できる。このとき、モータ6の振動のノイズも非接触型マグネットギアによって大幅に低減できる。
【0023】
シリアルリンク接合されたターンテーブル1(リンクL1)及びターンテーブル2(リンクL2)が等速円運動を行うとすれば、つまり、ω
1=dθ
1/dt及びω
z=dθ
2/dtが一定であるとすれば、式(7)はターンテーブル2(リンクL2)に対し、スカラーが一定でz
2軸上を回転する角速度ベクトルωが与えられることを示している。3軸ジャイロセンサパッケージ5の各センサ実軸jがz
2軸と平行に配置されていない場合、各センサ実軸jはθ
2の正弦波状電圧v
out_1、v
out_2を出力し、これらの電圧は特定の角度(位相)θ
2で最大となる。この位相はセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
j(j=1、2、3)とz
2軸とを含む平面Ψ
jq(j=1、2、3;q=1、2)と等価である。たとえば、1回目測定(q=1)で方向単位ベクトルs
jとz
2軸とを含む3つの平面Ψ
j1を得、2回目測定(q=2)で方向単位ベクトルs
jとz
2軸とを含むさらに3つの平面Ψ
j2を得、平面Ψ
j1、Ψ
j2(j=1、2、3)の各交線がセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
jを示すことになる。各センサ実軸jを同定できると、各センサ実軸jの正弦波出力電圧v
out_1、v
out_2から各センサ実軸jの個別センサ感度k
jを同定できる。その詳細は後述する。
【0024】
図6、
図7は本発明に係る多軸ジャイロセンサ特性評価装置の第2の実施の形態を示す斜視図であり、
図6は多軸ジャイロセンサパッケージが第1の姿勢状態(q=1)にある場合、
図7は多軸ジャイロセンサパッケージが第2の姿勢状態(q=2)にある場合を示し、第1、第2の姿勢状態の切替は制御ユニットCONTによって自動的に行われる。
【0025】
図6、
図7においては、
図1、
図2のターンテーブル2(リンクL2)と3軸ジャイロセンサパッケージ5との間に、自動姿勢機能として、パッケージ姿勢変更ユニット3(リンクL3とする)及びセンサパッケージ台4(リンクL4とする)を付加してある。これに伴い、3軸ジャイロセンサパッケージ5をリンクL5とする。パッケージ姿勢変更ユニット3にはセンサパッケージ台4のシャフト4aが嵌込まれており、このシャフト4aを回転させることによってセンサパッケージ台4を
図6に示す縦状態または
図7に示す横状態とする。センサパッケージ台4の縦状態と横状態との角度変化は90°である。
【0026】
また、パッケージ姿勢変更ユニット3の姿勢制御はセンサパッケージ台4のシャフト4aを回転させるサーボモータ(図示せず)に対する姿勢制御信号Sによって行われる。この姿勢制御信号Sは制御ユニットCONTによって無線によって送信される。この無線はたとえば近距離無線通信規格ZigBeeを用いる。この場合、無線通信規格ZigBeeの送信ユニット(図示せず)を制御ユニットCONTに設け、無線通信規格ZigBeeの受信ユニット(図示せず)をターンテーブル2上に設ける。
【0027】
図6、
図7においては、3軸ジャイロセンサの各センサ実軸jの方向単位ベクトルs
jを同定すると共に個別センサ感度k
jを同定するためには、3軸ジャイロセンサが感知しない3軸ジャイロセンサパッケージ5の並進運動成分及び並進速度成分には意味がない。パッケージ姿勢変更ユニット3(リンクL3)を原点O
3を有するx
3y
3z
3座標系とし、センサパッケージ台4(リンクL4)を原点O
4を有するx
4y
4z
4座標系とし、3軸ジャイロセンサパッケージ5(リンクL5)を原点O
5を有するx
5y
5z
5座標系としたとき、x
2y
2z
2座標系からx
3y
3z
3座標系、x
4y
4z
4座標系、x
5y
5z
5座標系までの同次変換行列は、3軸ジャイロセンサパッケージ5が姿勢変更を受ける回転行列をR
mq(q=1、2)とすれば、式(8)で表される。
【数8】
【0028】
回転行列R
m1、R
m2の組合せは無限であるが、その例を式(9)で表す。
【数9】
測定精度を考慮した場合、上述の1回目の測定(q=1)、2回目の測定(q=2)の平面Ψ
j1、Ψ
j2の各法線ベクトルn
i1、n
i2は直交するのが好ましい。従って、2回目の測定(q=2)では、1回目の測定姿勢の回転行列R
m1から90°回転させる行列であるR
rをR
m1に乗算して2回目の測定姿勢の回転行列R
m2を得ている。これらを含めたリンクL1からリンクL2、L3、L4、L5までのDHパラメータを
図8に示す。
図8のDHパラメータのd
3、d
4、d
5、a
3、a
4、a
5は定数である任意のオフセット値であり、式(6)及び後述の式(10)に示されるように、3軸ジャイロセンサパッケージ5への入力角速度ωには寄与しない。
【0029】
図6に示す3軸ジャイロセンサ3の原点O
3を有するx
3y
3z
3座標系が回転行列R
m1(q=1)によって回転された3軸ジャイロセンサパッケージ5の上面図、右側面図を
図9に示し、回転行列R
m2(q=2)によって回転された3軸ジャイロセンサパッケージ5の上面図を
図10に示す。この場合、
図8のリンクL4のDHパラメータθ
4はその分90°回転したものとなり、qを用いて表現すれば、(q−1)π/2となる。他方、
図6に示す姿勢(q=1)を
図7に示す姿勢(q=2)にするために、制御ユニットCONTが姿勢制御信号Sを姿勢変更ユニット3のサーボモータ(図示せず)に送出し、この結果、センサパッケージ台4を縦状態から90°回転し横状態にする。このように、3軸ジャイロセンサパッケージ5の姿勢制御は自動的に行われる。尚、式(9)、
図9の(B)中の角度βは複数考えられる。たとえば、cosβ=√(1/3)の場合には、1回目の測定(q=1)のとき3軸ジャイロセンサパッケージ5の軸方向の回転面への投影長さが大きくなる。また、cosβ=√(3/5)の場合には、2回目の測定のときの3軸ジャイロセンサパッケージ5の回転面への投影長さが最大となる。さらに、cosβ=√(7/3)の場合には、法線ベクトル同士の外積が等しくなる。
【0030】
図8におけるリンクL3、L4、L5における各DHパラメータは時間に依存せず一定であるので、3軸ジャイロセンサパッケージ5のx
5y
5z
5座標系(リンクL5)から見た静止x
0y
0z
0座標系(リンクL0)に対する速度行列V
50は式(10)となる。
【数10】
つまり、式(6)のV
20と等しくなる。これは3軸ジャイロセンサパッケージ5は実質的に剛体であるターンテーブル2のリンクL2上の点と見ることができるからである。つまり、パッケージ姿勢変更ユニット3(リンクL3)、センサパッケージ台4(リンクL4)及び3軸ジャイロセンサパッケージ5(リンクL5)は機構的にはターンテーブル2(リンクL2)と同一のリンクである。
【0031】
次に、
図1、
図2、
図6、
図7の制御ユニットCONTの動作を
図11を参照して説明する。尚、制御ユニットCONTはマイクロコンピュータ等によって構成される。
【0032】
始めに、ステップ1101にて、
q←1
とする。
【0033】
次に、ステップ1102にて、3軸ジャイロセンサパッケージ5をターンテーブル2上にq回目の姿勢状態とする。たとえば、
図1、
図2の3軸ジャイロセンサパッケージ5であれば、3軸ジャイロセンサパッケージ5を式(9)の回転行列をR
m1(q=1)またはR
m2(q=2)に対応する位置に治具、ねじ等を用いて手動で固定する。他方、
図6、
図7の3軸ジャイロセンサパッケージ5であれば、制御ユニットCONTにより無線で姿勢変更信号Sを送出することによりターンテーブル2上のサーボモータ(図示せず)を駆動してセンサパッケージ台4を式(9)の回転行列をR
m1(q=1)に対応する縦状態とし、またはR
m2(q=2)に対応する横状態とする。
【0034】
次に、ステップ1103にて、制御ユニットCONTはモータ6を駆動してターンテーブル1、2を同期回転駆動させる。
【0035】
次に、ステップ1104にて、ロータリエンコーダ7の角度θ
2と共に、第1軸角速度電圧v
out_1、第2軸角速度電圧v
out_2及び第3軸角速度電圧v
out_3を取込み、角速度電圧v
out_1またはv
out_2が最大または最小となったときのターンテーブル2の角度θ
2をθ
21q、θ
22q、θ
23qとする。
図12の(A)に示すごとく、この角度θ
21q、θ
22q、θ
23q上にセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
1、s
2、s
3が存在すると推定できる。従って、
図12の(B)に示すごとく、センサ実軸jの方向単位ベクトルs
j(j=1、2、3)とz
2軸とを含む3つの平面Ψ
jq(j=1、2、3)を同定し、各平面Ψ
jq(j=1、2、3)の3つの法線単位ベクトルn
jq(j=1、2、3)を同定する。
【0036】
尚、平面Ψ
jq(j=1、2、3)の法線ベクトルn
jqは、式(11)に示すごとく、センサ実軸jの方向単位ベクトルs
jが回転行列R
mqによって回転したベクトルとターンテーブル2のx
2y
2z
2座標系のz
2軸の単位ベクトルe
z2との外積で表される。
【数11】
従って、上述のステップ1104にて、式(11)の左辺が求まる。
【0037】
次に、ステップ1105を参照すると、q=1か否かを判別し、この結果、q=1のときには、ステップ1106にてq=2とし、ステップ1107にて制御ユニットCONTはモータ6をオフにしてターンテーブル1、2を停止し、ステップ1102〜ステップ1105を繰返す。これにより、センサ実軸jの方向単位ベクトルs
jとz
2軸とを含む他の3つの平面Ψ
jq(j=1、2、3)を同定し、この結果、各平面Ψ
jq(j=1、2、3)の他の3つの法線単位ベクトルn
jq(j=1、2、3)を同定する。他方、q=2のときには、ステップ1108に進む。
【0038】
ステップ1108においては、
図12の(C)に示す平面Ψ
j1、Ψ
j2(j=1、2、3)の交点から3軸ジャイロセンサパッケージ5のx
5y
5z
5座標系から見たセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
j(j=1、2、3)を式(12)に基づいて算出する。
【数12】
【0039】
尚、式(12)の右辺の符号は法線単位ベクトルn
j1、n
j2の位置関係からセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
j(j=1、2、3)の符号が変化する場合を示している。
図13に示すごとく、φ
jをセンサ実軸jの方向単位ベクトルs
jとz
2軸単位ベクトルe
z2との角度とすれば、q=1、2の何れの場合にも式(13)が成立する。
【数13】
【0040】
最後に、ステップ1109にて、各センサ実軸jの個別センサ感度k
jを演算する。
【0041】
センサ実軸jのセンサが検出する最大角速度ω
jmax及び最小角速度ω
jminは、センサ実軸jの方向単位ベクトルs
jのx
1z
1平面への射影がz
1軸方向に最大または最小となるときに観測され、その値は、式(14)で表される。
【数14】
このときのセンサ実軸jの個別センサ感度k
jは式(15)で表される。
【数15】
但し、v
jmaxは最大角速度ω
jmaxのときのセンサ実軸jの方向の出力電圧、v
jminは最小角速度ω
jminのときのセンサ実軸jの方向の出力電圧である。センサ実軸方向テンソルS及び個別センサ感度テンソルKを式(16)で定義したとき、
【数16】
理想的な3軸ジャイロセンサパッケージであれば、センサ実軸方向テンソルSは単位行列Eに等しく、個別センサ感度テンソルKは共通センサ感度をkとしたときkEとなるが、実際の3軸ジャイロセンサパッケージでは、センサ実軸方向テンソルSも個別センサ感度テンソルKも理想の値より多少ずれる。上述のごとく同定された
図1、
図2、
図6、
図7の3軸ジャイロセンサパッケージ5に入力された3次元角速度ベクトルω
inに対して3軸ジャイロセンサパッケージ5が出力電圧ベクトルv
out=[v
1、v
2、v
3]
Tを出力した場合、式(17)の関係が成立する。
【数17】
但し、ベクトルv
offは3軸ジャイロセンサのオフセット電圧ベクトルであり、上記の3軸ジャイロセンサのセンサ実軸jの方向の同定における正弦波出力電圧v
out_1、v
out_2の基線から求めることができる。
【0042】
以上に述べたように、本発明によれば、3軸ジャイロセンサパッケージ5における3軸ジャイロセンサの各センサ実軸jの方向単位ベクトルs
j及び個別センサ感度k
jを同定でき、3軸ジャイロセンサの各センサ実軸jが3軸ジャイロセンサパッケージ5に完全に平行になっていなくとも、また、各センサ実軸j間で個別センサ感度k
jが多少ずれていても、式(17)によりこれらの値を補正して正確な入力3次元角速度ベクトルω
inを得ることができる。
【0043】
尚、本発明は3軸ジャイロセンサ以外の多軸ジャイロセンサにも適用し得る。
【0044】
また、本発明は上述の実施の形態の自明な範囲のいかなる変更にも適用できる。