特許第6548219号(P6548219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548219
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】CT検出器
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20190711BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20190711BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   A61B6/03 320W
   G01T1/20 G
   G01T1/20 L
   G01T7/00 B
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-140930(P2015-140930)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-30215(P2016-30215A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2018年6月27日
(31)【優先権主張番号】201410360281.1
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ユンフェン・サン
(72)【発明者】
【氏名】チンレイ・リー
(72)【発明者】
【氏名】グァンイン・ニー
(72)【発明者】
【氏名】デキ・クイ
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103135121(CN,A)
【文献】 特開2013−040859(JP,A)
【文献】 特開2012−152304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
G01T 1/20
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CT検出器であって、
間に隙間(306)を有し、2次元離散画素を構成するための複数のシンチレータ(303)を含む検出器モジュール(301)と、
X線を対応する前記2次元離散画素に誘導するための、前記検出器モジュール(301)の、前記X線を受ける一面の上方に配置されたコリメータプレート(302)と
を備え、
前記CT検出器は、
前記X線が前記隙間(306)に放射されるのを阻止するために、前記検出器モジュール(301)と前記コリメータプレート(302)との間に配置されたグリッド(307)をさらに備え
前記グリッド(307)は、交差する2方向における前記隙間(306)に設けられており、前記方向の少なくとも一方に破断接合部を有している、
CT検出器。
【請求項2】
CT検出器であって、
間に隙間(306)を有し、2次元離散画素を構成するための複数のシンチレータ(303)を含む検出器モジュール(301)と、
X線を対応する前記2次元離散画素に誘導するための、前記検出器モジュール(301)の、前記X線を受ける一面の上方に配置されたコリメータプレート(302)と
を備え、
前記CT検出器は、
前記X線が前記隙間(306)に放射されるのを阻止するために、前記検出器モジュール(301)と前記コリメータプレート(302)との間に配置されたグリッド(307)をさらに備え
前記グリッド(307)は、一方向における前記隙間(306)に設けられており、前記方向に破断接合部を有しているCT検出器。
【請求項3】
前記グリッド(307)は、80マイクロメートル〜10ミリメートルの厚さを有する、請求項に記載のCT検出器。
【請求項4】
前記グリッド(307)のグリッド線は、10マイクロメートル〜700マイクロメートルの幅を有する、請求項に記載のCT検出器。
【請求項5】
前記グリッド(307)内の隣接する2つのグリッド線は、0.08ミリメートル〜3ミリメートルのピッチを有する、請求項に記載のCT検出器。
【請求項6】
前記グリッド(307)は、タングステン若しくは高密度合金を含むか、または前記X線を強く吸収するための複合材料から作製される、請求項に記載のCT検出器。
【請求項7】
前記グリッド(307)は、前記隙間(306)に非対称に設けられる、請求項に記載のCT検出器。
【請求項8】
前記グリッド(307)は、前記隙間(306)に対称に設けられている、請求項に記載のCT検出器。
【請求項9】
前記CT検出器は、ポリライン形状に構成されている複数の検出器モジュール(301)を備えている、請求項1乃至のいずれか1項に記載のCT検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出器の技術分野に関し、より詳細には、CT検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、コンピュータ断層撮影(CT)装置では、検出器103は、X線管101(管球)から放射され検出対象物102を貫通するX線を受信し、当該X線を電気信号に変換するのに使用することができる。通常、検出器103は複数の検出器モジュール1031、1032等を含み得る。
【0003】
従来技術のCT検出器は、複数の検出器モジュールを含み、複数の検出器モジュールの各々は、X方向(即ち、検出器が回転する円弧の方向)においてより少ないチャネル(即ち、画素)を有している。このようにして、これらの検出器モジュールは、等しい画素寸法を有するように、円弧の形状またはほぼ円弧の形状に設定することができる。その上、管球の焦点に対して、画素寸法が等しいと、フレア角も等しい。
【0004】
コストを低減するために、従来技術の別のCT検出器に含まれる検出器モジュールの数は、上記のようなアーク検出器よりも少なくなっており、各検出器モジュール内のチャネル数は、アーク検出器における各検出器モジュールのチャネルよりも著しく多い。換言すれば、各検出器モジュールは、より広い面を有している。したがって、複数のそのような検出器モジュールは、複数の直線セグメントが、X方向において互いと接続するポリライン形状を有している。そのような検出器において、管球の焦点に対して、等しい寸法を有する画素は、等しいフレア角に対応しない。
【0005】
図2に示すように、CT検出器が上述のようないずれのタイプであるかにかかわらず、その検出器モジュール内の画素を構成するためのシンチレータ(図2中のブロック)は、X方向およびZ方向に配列され得、隣接するシンチレータ同士は、それらの間に隙間を有しており、それらの隙間は多くの場合、隣接する画素を接続するための材料を充填されている。X線が隙間内に放出されることが多いと、材料の性能が影響を受けることになる。更に、上述したように直線セグメントが互いと接続しているCT検出器に関して、照射のフレア角が等しいことによって検出器の表面に異なる幅が生成される可能性があり、その結果、X線が隣接画素にシフトされる場合があり、クロストークが発生し、最終的に生成される画像がアーチファクトを有することになる。
【0006】
したがって、X線が検出器モジュール内の隣接するシンチレータ間の隙間に入り込むことを防止すること、および、X線が隣接する画素にシフトしてクロストークを生成することを防止することが可能であるCT検出器を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの実施形態は、間に隙間を有し、2次元離散画素を構成するための複数のシンチレータを含む検出器モジュールと、X線を対応する2次元離散画素に誘導するための、検出器モジュールの、X線を受ける一面の上方に配置されたコリメータプレートとを備え、X線が隙間に放射されるのを阻止するために、検出器モジュールとコリメータプレートとの間に配置されたグリッドをさらに備える、CT検出器を提供する。
【0008】
本発明は、添付の図面を参照して本発明の実施形態の説明を踏まえると、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】CT装置の構造全体の概略図である。
図2】検出器モジュール内の2次元離散画素を構成するためのシンチレータの上面図である。
図3】本発明によるCT検出器の一実施形態の構造全体の概略図である。
図4】本発明によるCT検出器に設けられた2次元グリッドの位置の断面図である。
図5】本発明によるCT検出器に設けられた2次元グリッドの位置の上面図である。
図6】本発明によるCT検出器のグリッド形状の一実施形態の上面図である。
図7】本発明によるCT検出器のグリッド形状の別の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。実施形態の詳細な説明において、簡単且つ簡潔にするために、この説明が実際の実施形態のすべての特徴について、詳細に説明することは不可能であることを指摘しておく。任意の実施形態を実際に実践する過程において、ちょうど立案計画または設計計画の過程と同様に、開発者の特定の目標を達成するために、また、いくつかのシステム関連またはビジネス関連の制約を満足するために、通常、様々な決定が為され、これは実施形態ごとにも変化することが理解されるべきである。更に、そのような開発プロセスにおいて為される試行は複雑で時間がかかる場合があるが、本開示に開示されている技術内容に基づく設計、製造および生産のようないくつかの変形例は、本発明に開示されている内容に関する技術分野における通常の当業者にとっては当該技術分野において通常の技術手段に過ぎず、本発明の開示が不十分であるとみなすべきではないこともわかる。
【0011】
別に定義しない限り、特許請求の範囲および本明細書で使用されるすべての技術または科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されている通りの意味を有するものとする。本出願および特許請求の範囲における「第1」、「第2」等の用語は、任意の連続した順序、数または重要度を意味するものではなく、異なる構成要素を区別するためにのみ使用される。用語「a」、「an」等は、数量の限定を示すものではなく、少なくとも1つの存在を示している。用語「備える」「備えている」、「含む」、「含んでいる」等は、「備える」「備えている」、「含む」および「含んでいる」の前にある要素または対象物が、「備える」「備えている」、「含む」、および「含んでいる」に続いて示されている要素または対象物およびそれらの均等物を包含するが、他の要素または対象物を除外するものではないことを意味する。用語「結合された」、「接続された」等は、物理的または機械的に接続されていることに限定されず、直接または間接的に接続されることにも限定されない。
【0012】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明らかにするために、以下、本発明の技術的解決策を、本発明の具体的な実施形態および対応する添付図面と組み合わせて明確且つ完全に記載する。明らかに、記載されている実施形態は、本発明における実施形態のすべてではなく、一部に過ぎない。本発明における実施形態を考慮して、発明的な取り組みなしに当業者によって為される他の実施形態は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0013】
CT検出器は通常、複数の検出器モジュールおよび複数のコリメータプレートを含む。図3は、CT検出器内の1つの検出器モジュール301および対応するコリメータプレート302を示す。検出器モジュール301は、間に隙間を有し、2次元離散画素を構成するための複数のシンチレータ303と、光電受光ダイオード304と、モジュール台座305とを含む。シンチレータはX方向およびZ方向(人体の上下方向に沿って)に配置されて、2次元画素アレイを構成してもよい。光電受光ダイオード304は、モジュール台座305に取り付けられてもよく、シンチレータ303は光電受光ダイオード304に取り付けられてもよい。コリメータプレート302は、X線を対応する2次元離散画素に誘導するために、検出器モジュール301の、X線を受ける一面の上方に配置される。コリメータプレート302の上縁は、X線管球の焦点に集束され得、コリメータプレート302の厚さはX方向にある。
【0014】
アーク検出器用であるか、またはポリラインセグメントタイプの検出器用であるかにかかわらず、検出器モジュール301内の複数のシンチレータ303の間には一定の隙間306がある。したがって、本発明の一実施形態では、図4に関連して図3に示すように、グリッド307は、検出器モジュール301とコリメータプレート302との間にも設けられ、隙間306に放射されるX線を阻止するために使用されてもよい。本発明の一実施形態では、グリッド307はまた、シンチレータ303上、またはその上方に取り付けられてもよい。本発明の一実施形態では、コリメータプレート302の下縁は、グリッド307上に位置付けられるか、または、グリッド307の上方に配置されてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態では、図5を参照して、グリッド307は、交差する2方向における隙間に設けられもよい。図6に関連して、グリッド307は、X方向およびZ方向の隙間に設けられてもよく、X方向に沿った少なくとも1つのグリッド線上に破断接合部を有していてもよい。同様に、Z方向に沿った少なくとも1つのグリッド線上に破断接合部があってもよく、または、X方向およびZ方向の両方に沿った少なくとも1つのグリッド線上に破断接合部があってもよい。複数の異なるグリッド線上の破断接合部は位置合わせされてもよいし、位置合わせされなくてもよいことを強調しておく。図6に示すようなX方向に沿った複数のグリッド線の破断接合部は、Z方向に位置合わせされているが、これらの破断接合部の位置はまた、Z方向に位置合わせされていなくてもよい。
【0016】
本発明の別の実施形態では、グリッド307は、1つの方向のみに隙間が設けられてもよい。図7を参照して、グリッド307は、隙間にX方向にのみ設けられてもよく、X方向に沿った少なくとも1つのグリッド線上に破断接合部を有していてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態では、グリッドは、80マイクロメートル〜10ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0018】
本発明の一実施形態では、グリッド中のグリッド線自体が、10マイクロメートル〜700マイクロメートルの幅を有してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態では、グリッド内の隣接する2のグリッド線は0.08ミリメートル〜3ミリメートルのピッチを有する。
【0020】
本発明の一実施形態では、グリッドは、タングステン若しくは高密度合金を含むか、またはX線を強く吸収するための複合材料から作製されてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態では、隙間の上にグリッド線が、非対称にだけでなく、対称的にも設けてもよい。グリッド線が対称に設けられるか、または非対称に設けられるかにかかわらず、X線を照射されないように隙間がグリッド線に覆われることが保証されるという基準が両者において満たされ得る。その上、隣接する画素でのX線のクロストークをなくすためにグリッド線を使用する必要がある場合には、グリッド線はまた、X線のクロストークを受けるおそれがある隣接する画素上の領域も覆うことができる。
【0022】
ここまで本発明の実施形態によるCT検出器について説明した。本発明のCT検出器によれば、X線が検出器モジュール内の隣接する画素間の隙間に入り込むのを防止することができ、X線が隣接する画素にシフトしてクロストークが発生することを防止することができる。更に、破断接合部を有するグリッドはグリッドの製造に有益であり、グリッドの切断加工中に、処理装置が、1つのブランクを切り出した後に、そのブランクに隣接する次のブランクに、次のブランクを処理するために連続して移動することが可能なようになっている。
【0023】
本発明の実施形態は、上記に説明したものであり、本発明を限定するために使用されない。当業者には、本発明に種々の改変および変更が可能である。本発明の精神および原理において、本発明に為される任意の変形、均等物、改良等はすべて本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0024】
101 X線管
102 検出対象物
103 検出器
301 検出器モジュール
302 コリメータプレート
303 シンチレータ
304 光電受光ダイオード
305 モジュール台座
306 隙間
307 グリッド
1031 検出器モジュール
1032 検出器モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7