特許第6548235号(P6548235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000002
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000003
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000004
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000005
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000006
  • 特許6548235-産業車両および運転支援システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6548235
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】産業車両および運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20190711BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20190711BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20190711BHJP
   B60R 1/00 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   B66F9/075 J
   B66F9/24 L
   H04N7/18 J
   B60R1/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-4642(P2018-4642)
(22)【出願日】2018年1月16日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚之
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一郎
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−181508(JP,A)
【文献】 特開2012−051678(JP,A)
【文献】 特開2014−043327(JP,A)
【文献】 実開平01−147135(JP,U)
【文献】 特開2015−120566(JP,A)
【文献】 特開2005−132575(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3198171(JP,U)
【文献】 実開平5−062766(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
B60R 1/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有する車体と、
前記車体の前部に取り付けられた荷役装置と、
前記運転席に設けられた荷役レバーと、
前記運転席のオペレータによって操作され、前後進指令を出力する前後進レバーと、
前記前後進指令に応じて前記車体を前後進させる走行制御装置と、
を備える産業車両であって、
前記車体の周囲を撮影する撮影手段と、
前記運転席に設けられ、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す映像表示手段と、
前記運転席に設けられ、前記オペレータによって操作されるスイッチ手段と、
を備え、
前記スイッチ手段は、前記映像表示手段に設けられ、
前記走行制御装置は、前記スイッチ手段が操作される前は前記車体の前後進を禁止し、前記スイッチ手段が操作された後は前記車体の前後進を許可し、
前記走行制御装置は、
前記前後進指令が入力される制御部と、
前記制御部の制御下で前進側または後進側に切り替えられる切替バルブと、
前記切替バルブが前進側に切り替えられたときに前記車体を前進させ、前記切替バルブが後進側に切り替えられたときに前記車体を後進させるトランスミッションと、を備え、
前記制御部は、前記前後進レバーから前記前後進指令が入力されると、前記スイッチ手段の操作の有無を判定し、
前記切替バルブは、前記スイッチ手段の操作が有った場合は動作可能となる一方、前記スイッチ手段の操作が無かった場合は動作不可能となる
ことを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記映像表示手段は、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す表示部と、前記表示部を囲む周縁部と、を有し、
前記スイッチ手段は、前記周縁部に設けられたメカニカルスイッチである
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
前記映像表示手段は、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す表示部と、前記表示部を囲む周縁部と、を有し、
前記スイッチ手段は、前記表示部に表示されたパネルスイッチである
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【請求項4】
前記走行制御装置は、開状態のとき前記切替バルブに対する前記制御部の制御を無効化し、閉状態のとき前記切替バルブに対する前記制御部の制御を有効化する開閉手段を備え、
前記開閉手段は、前記スイッチ手段が操作される前は前記開状態になり、前記スイッチ手段が操作された後は前記閉状態になる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項5】
前記撮影手段は、複数の方向の映像を撮影し、
前記映像表示手段および前記スイッチ手段からなる組を複数備え、
前記走行制御装置は、すべての前記スイッチ手段が操作された後に前記車体の前後進を許可する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項6】
前記撮影手段は、複数の方向の映像を撮影し、
前記映像表示手段は、前記映像を前記方向ごとに切り替えて映し出し、
前記走行制御装置は、切り替えて映し出された前記映像ごとに、前記スイッチ手段の操作が行われたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の産業車両。
【請求項7】
荷役レバーと前後進レバーを備える産業車両に搭載される運転支援システムであって、
前記産業車両の周囲の映像を映し出す映像表示手段と、
前記前後進レバーから出力される前後進指令に応じて、前記産業車両を前後進させる走行制御装置と、
を備え、
前記映像表示手段は、前記産業車両のオペレータによって操作されるスイッチ手段を有し、
前記走行制御装置は、前記スイッチ手段が操作される前は前記産業車両の前後進を禁止し、前記スイッチ手段が操作された後は前記産業車両の前後進を許可し、
前記走行制御装置は、
前記前後進指令が入力される制御部と、
前記制御部の制御下で前進側または後進側に切り替えられる切替バルブと、
前記切替バルブが前進側に切り替えられたときに前記産業車両を前進させ、前記切替バルブが後進側に切り替えられたときに前記産業車両を後進させるトランスミッションと、を備え、
前記制御部は、前記前後進指令が入力されると、前記スイッチ手段の操作の有無を判定し、
前記切替バルブは、前記スイッチ手段の操作が有った場合は動作可能となる一方、前記スイッチ手段の操作が無かった場合は動作不可能となる
ことを特徴とする運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の周囲を撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された映像を映し出す映像表示手段と、を備える産業車両、および産業車両に搭載される運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影手段および映像表示手段を備える産業車両としては、例えば、特許文献1に記載のフォークリフトが知られている。特許文献1に記載のフォークリフトは、車体の後方中央を撮影する第1カメラと、車体の後方右側を撮影する第2カメラと、車体の後方左側を撮影する第3カメラと、第1〜第3カメラで撮影された画像を合成して映し出すモニタとを備える。
【0003】
特許文献1に記載のフォークリフトは、車体を後進させる際のオペレータの視界をより適切に補助することができる。具体的には、オペレータは、運転席前方のモニタを見ることで、後ろを振り返ることなく車体を後進させることができる。したがって、特許文献1に記載のフォークリフトによれば、後進時におけるオペレータの疲労を軽減し、後進時における安全性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−51678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年は、さらなる安全性の向上が求められており、オペレータの安全確認を適切に補助することが求められている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、オペレータの安全確認を適切に補助することが可能な産業車両および運転支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る産業車両は、
運転席を有する車体と、
前記車体の前部に取り付けられた荷役装置と、
前記運転席に設けられた荷役レバーと、
前記運転席のオペレータによって操作され、前後進指令を出力する前後進レバーと、
前記前後進指令に応じて前記車体を前後進させる走行制御装置と、
を備える産業車両であって、
前記車体の周囲を撮影する撮影手段と、
前記運転席に設けられ、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す映像表示手段と、
前記運転席に設けられ、前記オペレータによって操作されるスイッチ手段と、
を備え、
前記スイッチ手段は、前記映像表示手段に設けられ、
前記走行制御装置は、前記スイッチ手段が操作される前は前記車体の前後進を禁止し、前記スイッチ手段が操作された後は前記車体の前後進を許可し、
前記走行制御装置は、
前記前後進指令が入力される制御部と、
前記制御部の制御下で前進側または後進側に切り替えられる切替バルブと、
前記切替バルブが前進側に切り替えられたときに前記車体を前進させ、前記切替バルブが後進側に切り替えられたときに前記車体を後進させるトランスミッションと、を備え、
前記制御部は、前記前後進レバーから前記前後進指令が入力されると、前記スイッチ手段の操作の有無を判定し、
前記切替バルブは、前記スイッチ手段の操作が有った場合は動作可能となる一方、前記スイッチ手段の操作が無かった場合は動作不可能となることを特徴とする。
【0008】
上記産業車両において、
前記映像表示手段は、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す表示部と、前記表示部を囲む周縁部と、を有し、
前記スイッチ手段は、前記周縁部に設けられたメカニカルスイッチであってもよい。
【0009】
上記産業車両において、
前記映像表示手段は、前記撮影手段で撮影された映像を映し出す表示部と、前記表示部を囲む周縁部と、を有し、
前記スイッチ手段は、前記表示部に表示されたパネルスイッチであってもよい。
【0011】
上記産業車両において、
前記走行制御装置は、開状態のとき前記切替バルブに対する前記制御部の制御を無効化し、閉状態のとき前記切替バルブに対する前記制御部の制御を有効化する開閉手段を備え、
前記開閉手段は、前記スイッチ手段が操作される前は前記開状態になり、前記スイッチ手段が操作された後は前記閉状態になるように構成することができる。
【0012】
上記産業車両において、
前記撮影手段は、複数の方向の映像を撮影し、
前記映像表示手段および前記スイッチ手段からなる組を複数備え、
前記走行制御装置は、すべての前記スイッチ手段が操作された後に前記車体の前後進を許可するように構成することができる。
【0013】
上記産業車両において、
前記撮影手段は、複数の方向の映像を撮影し、
前記映像表示手段は、前記映像を前記方向ごとに切り替えて映し出し、
前記走行制御装置は、切り替えて映し出された前記映像ごとに、前記スイッチ手段の操作が行われたか否かを判定するように構成することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る運転支援システムは、
荷役レバーと前後進レバーを備える産業車両に搭載される運転支援システムであって、
前記産業車両の周囲の映像を映し出す映像表示手段と、
前記前後進レバーから出力される前後進指令に応じて、前記産業車両を前後進させる走行制御装置と、
を備え、
前記映像表示手段は、前記産業車両のオペレータによって操作されるスイッチ手段を有し、
前記走行制御装置は、前記スイッチ手段が操作される前は前記産業車両の前後進を禁止し、前記スイッチ手段が操作された後は前記産業車両の前後進を許可し、
前記走行制御装置は、
前記前後進指令が入力される制御部と、
前記制御部の制御下で前進側または後進側に切り替えられる切替バルブと、
前記切替バルブが前進側に切り替えられたときに前記産業車両を前進させ、前記切替バルブが後進側に切り替えられたときに前記産業車両を後進させるトランスミッションと、を備え、
前記制御部は、前記前後進指令が入力されると、前記スイッチ手段の操作の有無を判定し、
前記切替バルブは、前記スイッチ手段の操作が有った場合は動作可能となる一方、前記スイッチ手段の操作が無かった場合は動作不可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オペレータの安全確認を適切に補助することが可能な産業車両および運転支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る産業車両を示す図であって、(A)は左側面図、(B)は平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る産業車両の運転席周辺を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る産業車両の走行制御装置の構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る産業車両の発進時におけるフローチャートである。
図5】本発明の変形例に係る産業車両の運転席周辺を示す図である。
図6】本発明の変形例に係る産業車両の走行制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る産業車両の好適な例としてフォークリフト、および本発明に係る運転支援システムの実施形態について説明する。なお、上下左右前後の方向は、フォークリフトの車体を基準に考えるものとする。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態に係るフォークリフト1を示す。フォークリフト1は、運転席2を有する車体3と、車体3の前部に取り付けられた荷役装置4と、車体3の後部に取り付けられたカウンターウェイト5と、本発明の「撮影手段」に相当する4台のカメラ(フロントカメラ6a、左サイドカメラ6b、右サイドカメラ6cおよびリアカメラ6d)と、を備える。
【0019】
荷役装置4は、荷役作業を行うためのもので、左右一対のマストと、マストに昇降可能に取り付けられた左右一対のフォークと、を含む。カウンターウェイト5は、車体3の前後の重量バランスをとるためのものである。カウンターウェイト5の前方には、動力源となるエンジンや、後述する油圧回路、映像処理装置および走行制御装置10Aが設けられている。
【0020】
図2に示すように、運転席2の正面中央には、本発明の「操作手段」に相当する前後進レバー7、ステアリングハンドルおよび荷役レバー等が設けられている。運転席2の正面右側には、本発明の「映像表示手段」に相当するモニタ8が設けられている。また、運転席2の足元には、アクセルペダルやブレーキペダル等が設けられている。モニタ8および走行制御装置10Aが、本発明の「運転支援システム」に相当する。
【0021】
前後進レバー7は、前傾位置、後傾位置、前傾位置と後傾位置との間の中立位置をとる。前後進レバー7は、前傾位置のときに前進指令を出力し、後傾位置のときに後進指令を出力する。これらの前後進指令は、走行制御装置10Aおよび映像処理装置に出力される。
【0022】
モニタ8は、表示部8aと、表示部8aを囲む周縁部8bと、を有する。表示部8aは、例えば、タッチパネル等の液晶画面で構成され、フロントカメラ6a、左サイドカメラ6b、右サイドカメラ6cおよびリアカメラ6dで撮影された映像を映し出す。周縁部8bには、本発明の「スイッチ手段」に相当する確認スイッチ9が設けられている。確認スイッチ9は、表示部8aの表示画面側であれば、周縁部8bの任意の位置に設けることができる。
【0023】
確認スイッチ9は、オペレータによって操作されるメカニカルスイッチである。メカニカルスイッチは、例えば、モーメンタリスイッチ、オルタネイトスイッチ、トグルスイッチを含む。確認スイッチ9は、オペレータによって操作されると、スイッチ信号(例えば、電圧信号)を走行制御装置10Aに出力する。
【0024】
図3に示すように、走行制御装置10Aは、コントローラ11(本発明の「制御部」に相当)と、前進ソレノイドバルブおよび後進ソレノイドバルブを有する前後進切替ソレノイドバルブ12(本発明の「切替バルブ」に相当)と、前進クラッチおよび後進クラッチを有するトランスミッション13と、を含む。
【0025】
コントローラ11は、マイコンまたは専用のICで構成される。コントローラ11は、前後進レバー7から前後進指令が入力され、かつ確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されると、前後進切替ソレノイドバルブ12を制御(通電)する。
【0026】
例えば、コントローラ11は、前後進レバー7から前進指令が入力され、かつ確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されると、前進ソレノイドバルブを通電して前後進切替ソレノイドバルブ12を前進側に切り替える。また、コントローラ11は、前後進レバー7から後進指令が入力され、かつ確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されると、後進ソレノイドバルブを通電して前後進切替ソレノイドバルブ12を後進側に切り替える。
【0027】
前進ソレノイドバルブは、通電時に、油圧回路から供給された作動油をトランスミッション13の前進クラッチに供給する。後進ソレノイドバルブは、通電時に、油圧回路から供給された作動油をトランスミッション13の後進クラッチに供給する。
【0028】
トランスミッション13の前進クラッチおよび後進クラッチは、供給された作動油の油圧に応じて、エンジンから車輪へ動力を伝達する。例えば、前進クラッチに作動油が供給された状態でオペレータによってアクセルペダルが踏まれると、車体3は前進する一方、後進クラッチに作動油が供給された状態でアクセルペダルが踏まれると、車体3は後進する。
【0029】
再び図1を参照して、フロントカメラ6aは、荷役装置4の左右方向の中心に設けられている。フロントカメラ6aは、車体3の前方を撮影し、前方の映像データを生成する。左サイドカメラ6bは、運転席2の上方を覆うヘッドガードの左側に設けられている。左サイドカメラ6bは、車体3の左側方を撮影し、左側方の映像データを生成する。右サイドカメラ6cは、ヘッドガードの右側に設けられている。右サイドカメラ6cは、車体3の右側方を撮影し、右側方の映像データを生成する。リアカメラ6dは、カウンターウェイト5上方の左右方向の中心に設けられている。リアカメラ6dは、車体3の後方を撮影し、後方の映像データを生成する。
【0030】
カメラ6a〜6dの映像データは、映像処理装置を介してモニタ8に送信される。映像処理装置は、前後進レバー7から前進指令が入力されているときは、前方の映像データをモニタ8に送信する。モニタ8には、前方の映像が表示される。また、映像処理装置は、前進指令が入力されていないとき(前後進レバー7が後傾位置または中立位置のとき)は、左側方の映像データ、右側方の映像データおよび後方の映像データを合成した俯瞰映像データを生成し、当該俯瞰映像データと後方の映像データをモニタ8に送信する。モニタ8には、俯瞰映像と後方の映像が上下または左右に並んで表示される。
【0031】
図4に、フォークリフト1の発進時におけるフローチャートを示す。
【0032】
同図に示すように、運転席2のオペレータのキー操作によりエンジンが始動すると(S01)、カメラ6a〜6dおよびモニタ8が自動的にオンする(S02)。これにより、カメラ6a〜6dの映像データが映像処理装置を介してモニタ8に送信され、モニタ8に映像が表示される。
【0033】
運転席2のオペレータにより前後進レバー7が操作され、前後進レバー7からコントローラ11に前後進指令(前進指令または後進指令)が入力されると(S03)、コントローラ11は確認スイッチ9の操作の有無(確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されているか否か)を判定する(S04)。
【0034】
コントローラ11に確認スイッチ9からスイッチ信号が入力された場合(S04でYES)、前後進切替ソレノイドバルブ12は動作可能となり(S05)、車体3は前進または後進する(S06)。
【0035】
具体的には、コントローラ11に確認スイッチ9からのスイッチ信号および前後進レバー7からの前進指令が入力された場合、コントローラ11は、前後進切替ソレノイドバルブ12の前進ソレノイドバルブを通電する。通電された前後進切替ソレノイドバルブ12は、作動油をトランスミッション13の前進クラッチに供給する。その結果、車体3は前進する。
【0036】
コントローラ11に確認スイッチ9からのスイッチ信号および前後進レバー7からの後進指令が入力された場合、コントローラ11は、前後進切替ソレノイドバルブ12の後進ソレノイドバルブを通電する。通電された前後進切替ソレノイドバルブ12は、作動油をトランスミッション13の後進クラッチに供給する。その結果、車体3は後進する。
【0037】
一方、コントローラ11に確認スイッチ9からのスイッチ信号が入力されなかった場合(S04でNO)、コントローラ11は前後進切替ソレノイドバルブ12を通電しないので、前後進切替ソレノイドバルブ12は動作不可能となる(S07)。コントローラ11は、再度、確認スイッチ9の操作の有無(確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されているか否か)を判定する(S04)。
【0038】
結局、本実施形態に係るフォークリフト1では、コントローラ11に確認スイッチ9からのスイッチ信号が入力されていない場合、車体3は前後進しない。したがって、本実施形態に係るフォークリフト1によれば、オペレータがモニタ8を確認することなく車体3を発進させてしまうのを抑制することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係るフォークリフト1および運転支援システムでは、確認スイッチ9がモニタ8の周縁部8bに設けられているので、オペレータは確認スイッチ9を操作するために視線をモニタ8に向けることになる。したがって、本実施形態に係るフォークリフト1および運転支援システムによれば、オペレータにモニタ8の確認を促すことができる。言い換えれば、本実施形態に係るフォークリフト1および運転支援システムによれば、オペレータの安全確認を適切に補助することができる。
【0040】
以上、本発明に係る産業車両(フォークリフト)および運転支援システムの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、モニタ8の周縁部8bに設けられた確認スイッチ9の代わりに、図5に示すように、モニタ8の表示部8aにパネルスイッチ9’を表示させてもよい。パネルスイッチ9’は、表示位置が固定されていてもよいし、モニタ8がオンするたびに表示位置がランダムに変更してもよい。この構成によれば、オペレータは確認スイッチ9’を操作(タッチ)するために視線をモニタ8に向けることになる。
【0042】
モニタ8は、前後進レバー7が中立位置にある場合、俯瞰映像と後方の映像とを並べて表示しているが、俯瞰映像と後方の映像を切り替えて表示してもよい。この場合、コントローラ11は、俯瞰映像時および後方の映像時の双方において、確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されているか否かを判定することが好ましい。また、モニタ8は、俯瞰映像、後方の映像以外の映像を切り替えて表示してもよい。この場合、コントローラ11は、切り替えられた映像ごとに、確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されているか否かを判定することが好ましい。
【0043】
フォークリフト1は、複数のモニタ8を備えていてもよい。例えば、フォークリフト1は、フロントカメラ6aの映像を映し出す第1モニタ、左サイドカメラ6bの映像を映し出す第2モニタ、右サイドカメラ6cの映像を映し出す第3モニタ、およびリアカメラ6dの映像を映し出す第4モニタを備えていてもよい。この場合、第1〜第4モニタのそれぞれに、確認スイッチ9が設けられていることが好ましい。コントローラ11は、すべての確認スイッチ9からスイッチ信号が入力された場合に、前後進切替ソレノイドバルブ12を通電することが好ましい。
【0044】
フォークリフト1は、走行制御装置10Aの代わりに、図6に示す走行制御装置10Bを備えていてもよい。走行制御装置10Bは、リレー等の開閉手段14を備え、確認スイッチ9からのスイッチ信号が開閉手段14に入力されること以外、走行制御装置10Aと共通している。
【0045】
開閉手段14は、確認スイッチ9からスイッチ信号が入力された場合(複数の確認スイッチ9があるときは、すべての確認スイッチ9からスイッチ信号が入力された場合)に、閉状態(オン状態)になる一方、確認スイッチ9からスイッチ信号が入力されなかった場合に、開状態(オフ状態)になる。
【0046】
コントローラ11は、前後進レバー7から前後進指令が入力されると、開閉手段14を介した経路で前後進切替ソレノイドバルブ12を通電しようとする。開閉手段14が開状態の場合、前後進切替ソレノイドバルブ12に対するコントローラ11の制御(通電)が無効化される。開閉手段14が閉状態の場合、前後進切替ソレノイドバルブ12に対するコントローラ11の制御(通電)が有効化される。なお、図6の走行制御装置10Bでは、確認スイッチ9からのスイッチ信号をコントローラ11に入力し、コントローラ11が開閉手段14の開閉を制御してもよい。
【0047】
フォークリフト1は、オペレータにモニタ8の確認を促す報知手段を備えていてもよい。報知手段は、オペレータによる確認スイッチ9の操作が行われるまで、警告音を発し続ける構成をとってもよいし、モニタ8に警告文を表示させ続ける構成をとってもよい。
【0048】
本発明の産業車両の好適な例として、上記実施形態ではフォークリフトについて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ショベルローダー等の特殊搬送車両にも適用することができる。
【0049】
本発明の産業車両は、車体と、前後進指令を出力する操作手段と、車体の周囲を撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された映像を映し出す映像表示手段と、映像表示手段に設けられたスイッチ手段と、スイッチ手段が操作される前は車体の前後進を禁止し、スイッチ手段が操作された後は車体の前後進を許可する走行制御装置と、を備えていればよい。
【0050】
本発明の運転支援システムは、産業車両の周囲の映像を映し出す映像表示手段と、産業車両を前後進させる走行制御装置と、を備え、映像表示手段が、産業車両のオペレータによって操作されるスイッチ手段を有し、走行制御装置が、スイッチ手段が操作される前は産業車両の前後進を禁止し、スイッチ手段が操作された後は産業車両の前後進を許可するのであれば、適宜構成を変更できる。
【符号の説明】
【0051】
1 フォークリフト
2 運転席
3 車体
4 荷役装置
5 カウンターウェイト
6a フロントカメラ
6b 左サイドカメラ
6c 右サイドカメラ
6d リアカメラ
7 前後進レバー
8 モニタ
9、9’ 確認スイッチ
10A、10B 走行制御装置
11 コントローラ
12 前後進切替ソレノイドバルブ
13 トランスミッション
14 開閉手段
【要約】
【課題】オペレータの安全確認を適切に補助することが可能な産業車両を提供する。
【解決手段】運転席2を有する車体と、前後進指令を出力する操作手段7と、前後進指令に応じて車体を前後進させる走行制御装置と、車体の周囲を撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された映像を映し出す映像表示手段8と、スイッチ手段9と、を備える。スイッチ手段9は、映像表示手段8に設けられ、走行制御装置は、スイッチ手段9が操作される前は車体の前後進を禁止し、スイッチ手段9が操作された後は車体の前後進を許可する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6