特許第6548270号(P6548270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6548270照明装置、プロジェクタおよび照明装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548270
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】照明装置、プロジェクタおよび照明装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20190711BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   G03B21/14 A
   H05B37/02 J
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-561164(P2016-561164)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】JP2014081385
(87)【国際公開番号】WO2016084192
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】坂元 一暁
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−156175(JP,A)
【文献】 特開2011−134736(JP,A)
【文献】 特開2011−180277(JP,A)
【文献】 特開2009−212069(JP,A)
【文献】 特開平11−238932(JP,A)
【文献】 特開2002−110390(JP,A)
【文献】 特開2013−092603(JP,A)
【文献】 特開2005−086055(JP,A)
【文献】 特開2005−057457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
H05B 37/00−39/10
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−19/00
F21V 1/00−15/04
23/00−37/00
99/00
H01S 3/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部と、
前記光源部を点灯させる処理を開始するとき、前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい、前記光源部を点灯させてレーザ光を出射させる所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、その後、前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う光源制御部と、を有し、
前記光源制御部は、前記第1の処理を開始してから予め定められた規定時間後に前記第2の処理を終了するように、前記第1の処理および前記第2の処理を行い、
前記規定時間が、前記光源部が点灯してから最大輝度に到達するまでに経過しなければならない最小の時間であり、
前記所定電流は、前記光源部の最大輝度が当該最大輝度の初期値の1/2になったときに前記光源部を点灯させるのに必要な最小の電流よりも大きい、照明装置。
【請求項2】
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部と、
前記光源部を点灯させる処理を開始するとき、前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい、前記光源部を点灯させてレーザ光を出射させる所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、その後、前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う光源制御部と、を有し、
前記光源制御部は、前記第1の処理を開始してから予め定められた規定時間後に前記第2の処理を終了するように、前記第1の処理および前記第2の処理を行い、前記第1の処理では、前記所定電流を一定期間供給した後で前記光源部への電流の供給を停止し、該第1の処理を複数回行い、
前記規定時間が、前記光源部が点灯してから最大輝度に到達するまでに経過しなければならない最小の時間である、照明装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記第2の処理では、前記電流を0から前記最大電流に到達するまで徐々に増加させる、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記第2の処理では、前記電流を線形に増加させる、請求項1ないしのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源部は、固体光源で構成される、請求項1ないしのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記所定電流は、電流値が一定の値である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の照明装置を有するプロジェクタ。
【請求項8】
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部を有する照明装置の制御方法であって、
前記光源部を点灯させる処理を開始するとき、前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい、前記光源部を点灯させてレーザ光を出射させる所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、
前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行い、
前記第1の処理を開始してから前記第2の処理が終了するまでに要する時間が、前記光源部が点灯してから最大輝度に到達するまでに経過しなければならない最小の時間であり、
前記所定電流は、前記光源部の最大輝度が当該最大輝度の初期値の1/2になったときに前記光源部を点灯させるのに必要な最小の電流よりも大きい、照明装置の制御方法。
【請求項9】
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部を有する照明装置の制御方法であって、
前記光源部を点灯させる処理を開始するとき、前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい、前記光源部を点灯させてレーザ光を出射させる所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、
前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行い、
前記第1の処理を開始してから前記第2の処理が終了するまでに要する時間が、前記光源部が点灯してから最大輝度に到達するまでに経過しなければならない最小の時間であり、
前記第1の処理では、前記所定電流を一定期間供給した後で前記光源部への電流の供給を停止し、該第1の処理を複数回行う、照明装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を投写するための照明装置、プロジェクタおよび照明装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を投写するための光源としてレーザ光源を使用したプロジェクタが注目されている。この種のプロジェクタは、光源としてランプを使用したものと比較して、光源を点灯させるための点灯処理を開始してから光源の輝度が最大輝度に到達するまでの時間が短いため、素早く画像を投写できるという利点がある。しかしながら、その一方で、レーザ光源が消灯しているプロジェクタの投写方向にユーザがいる状態でレーザ光源が点灯すると、短期間でレーザ光が強くなるため、ユーザがレーザ光を避けられずに眩しく感じるなどユーザの目に影響を与える可能性がある。
このため、所定の規格において、ユーザの目に対する影響が少なくなるように、「レーザ光源が点灯してから最大輝度に到達するまでに規定時間(具体的には、1秒)以上かけること」が規定されている。
これに対して特許文献1には、LD(レーザダイオード:Laser Diode)などの固体光源部に供給する駆動電流を段階的に上げることで、レーザ光源の輝度を段階的に上げるプロジェクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/160658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上述した規格を満たしつつ、レーザ光源の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが難しいという問題がある。
例えば、レーザ光源の点灯を行う点灯処理を開始してから規定時間後にレーザ光源の輝度が最大輝度に到達するように、駆動電流を段階的に上げたとする。この場合、レーザ光源が実際に点灯するためには閾値以上の駆動電流が必要となるため、点灯処理が開始されてから、駆動電流が閾値を超えてレーザ光源が実際に点灯するまでに時間がかかる。このため、レーザ光源が実際に点灯してから最大輝度に到達するまでの時間は規定時間よりも短くなってしまい、上述した規格を満たすことができない。
これに対して、点灯処理を開始してからレーザ光源が実際に点灯するまでの時間をマージンとして規定時間に加えた修正規定時間を用いて、点灯処理を開始してから修正規定時間後にレーザ光源が最大輝度に到達するようにすれば、上述した規格を満たすことができる。しかしながら、この場合には、マージンが必要となるため、レーザ光源の輝度が最大輝度に到達するまでの時間が長くなる。
特に、レーザ光源の劣化が進むほど、レーザ光源の点灯に必要な閾値が高くなるため、駆動電流が閾値に到達するまでの時間が長くなる。このため、点灯処理を開始してからレーザ光源が点灯するまでの時間が長くなってしまうので、レーザ光源が劣化した場合でも上述した規格を満たすようにするためには、マージンが長くなってしまう。
なお、この問題は、レーザ光源に限らず、一般的な固体光源や他の光源でも生じることがある。
【0005】
本発明の目的は、所定の規格を満たしつつ、光源の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが可能な照明装置、プロジェクタおよび照明装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による照明装置は、
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部と、
前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、その後、前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う光源制御部と、を有する。
本発明によるプロジェクタは、上記の照明装置を有する。
本発明の照明装置の制御方法は、
供給された電流に応じた輝度で点灯する光源部を有する照明装置の制御方法であって、
前記光源部に対して予め定められた最大電流よりも小さい所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、
前記光源部に対して電流を前記最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の規格を満たしつつ、光源の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態のプロジェクタの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態のレーザ光源部のレーザ光源出力特性の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態のプロジェクタにおける駆動電流の時間変化の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態のプロジェクタにおけるレーザ光源部の輝度の時間変化の一例を示す図である。
図5】関連技術における駆動電流の時間変化を示す図である。
図6】関連技術におけるレーザ光源部の輝度の時間変化を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態の照明装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のプロジェクタの構成を示すブロック図である。図1に示すプロジェクタ1は、レーザ光源部11と、冷却ファン部12と、操作パネル部13と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)部14とを有する。
レーザ光源部11は、供給された駆動電流に応じた輝度で点灯する光源部である。具体的には、レーザ光源部11は、ASIC部14から供給された駆動電流に応じた輝度で点灯してレーザ光を出射する。なお、レーザ光源部11は、例えば、LDなどの固体光源で構成される。また、レーザ光源部11から出射されたレーザ光は画像の投写に用いられる。
【0011】
図2は、レーザ光源部11に供給する駆動電流とレーザ光源部11の輝度との関係を表す出力特性の一例を示す図である。図2では、レーザ光源部11が劣化していない無劣化状態における出力特性201と、レーザ光源部11が劣化した劣化状態における出力特性202とが示されている。なお、本実施形態では、レーザ光源部11の最大輝度が当該最大輝度の初期値の1/2以下となった状態を劣化状態と呼び、レーザ光源部11の最大輝度が当該最大輝度の初期値の1/2より大きい状態を無劣化状態と呼んでいる。また、レーザ光源部11の最大輝度は、レーザ光源部11の駆動電流として予め定められた最大電流Imaxが供給されたときの輝度である。
図2に示されたように、同じレーザ光源部11でも、最大輝度や、レーザ光源部11の点灯に必要な電流の最小値である点灯最小電流は、劣化の度合いに応じて異なっている。具体的には、無劣化状態のレーザ光源部11の点灯最小電流Imin1は、劣化状態のレーザ光源部11の点灯最小電流Imin2よりも小さく、無劣化状態のレーザ光源部11の最大輝度Bmax1は、劣化状態のレーザ光源部11の最大輝度Bmax2よりも大きい。
【0012】
図1の説明に戻る。冷却ファン部12は、レーザ光源部11を冷却する冷却部である。具体的には、冷却ファン部12は、ASIC部14からのファン制御信号に応じて回転することで、レーザ光源部11に対して送風して、レーザ光源部11を冷却する。
操作パネル部13は、プロジェクタを使用するユーザにて操作される操作部である。操作パネル部13は、ユーザからの操作に応じた操作信号を生成してASIC部14に出力する。ユーザによる操作としては、プロジェクタ1に電源を投入する起動操作などが挙げられる。なお、操作パネル部13は、ユーザが操作するリモコンまたはPCなどから送信される制御信号を受信する信号受信部を備え、受信した制御信号に応じた操作信号を生成してもよい。
ASIC部14は、プロジェクタ1全体を制御する全体制御部である。例えば、ASIC部14は、操作パネル部13に対して起動操作が行われると、画像の投写に必要なレーザ光源部11や冷却ファン部12を起動する起動処理を行う。
また、ASIC部14は、レーザ光源制御部21と、冷却制御部22と、操作検出部23と、CPU(Central Processing Unit)部24とを有する。
【0013】
レーザ光源制御部21は、レーザ光源部11に対して駆動電流を供給して、レーザ光源部11を点灯させる光源制御部である。このとき、レーザ光源制御部21は駆動電流の大きさを変化させることで、レーザ光源部11の輝度を調整することができる。なお、レーザ光源制御部21によるレーザ光源部11の制御方法の詳細については後述する。また、レーザ光源制御部21は、レーザ光源部11と合わせて照明装置を構成している。
冷却制御部22は、冷却ファン部12にファン制御信号を送信して、冷却ファン部12によるレーザ光源部11の冷却を制御する。
操作検出部23は、操作パネル部13からの操作信号に基づいて、操作パネル部13に対するユーザの操作を検出する。
CPU部24は、レーザ光源制御部21、冷却制御部22および操作検出部23を制御する制御部である。例えば、操作検出部23が起動操作を検出すると、CPU部24は、レーザ光源制御部21および冷却制御部22に駆動を指示する。
【0014】
次に、レーザ光源制御部21によるレーザ光源部11の制御方法についてより詳細に説明する。
図3は、レーザ光源部11の制御方法の一例を説明するための図であり、本制御方法による駆動電流の時間変化を示している。
【0015】
図3に示すようにレーザ光源制御部21は、先ず、レーザ光源部11に対して所定の大きさの電流である所定電流I1を駆動電流として一定期間(以下、第1の供給時間と称する)t1供給し、その後でレーザ光源部11への電流の供給を停止する第1の処理を行う。
所定電流I1は、最大電流Imaxよりも小さい。また、所定電流I1は、レーザ光源部11が劣化状態でも点灯する最低の電流以上の電流、つまり、電流Imin1およびImin2以上の電流である。また、第1の供給時間t1は、上述した所定の規格で規定された規定時間(レーザ光源部11が点灯してから最大輝度に到達するまでに経過しなければならない最小の時間)よりも短いことが望ましい。規定時間は、本実施形態では、1秒=1000msとしている。また、第1の供給時間t1は、人間がレーザ光源部11の点灯を認識することができるように100ms程度であることが望ましい。
第1の処理を終了すると、レーザ光源制御部21は、レーザ光源部11に対して、駆動電流を最大電流Imaxに到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う。なお、第2の処理では、レーザ光源制御部21は、駆動電流を0から最大電流に到達するまで線形に増加させることが望ましい。
第2の処理を開始してから第2の処理が終了する(つまり、駆動電流が最大電流Imaxに到達する)までの第2の供給時間は、規定時間から第1の供給時間t1を差し引いた時間であるとする。つまり、レーザ光源制御部21は、第1の処理を開始してから規定時間後に第2の処理を終了するように、第1の処理および第2の処理を行う。なお、第2の処理を終了すると、レーザ光源制御部21は、レーザ光源部11に対して最大電流Imaxを供給し続けるものとしている。
【0016】
図4は、上記の制御方法でレーザ光源部11を制御したときの、無劣化状態および劣化状態のそれぞれにおけるレーザ光源部11の輝度の時間変化を示す図である。
図3および図4で示されたように、第1の処理が開始されると、所定電流I1は、最大電流Imaxよりも小さく、電流Imin1およびImin2以上の電流であるため、無劣化状態でも劣化状態でもレーザ光源部11は点灯し、かつ、その輝度は最大輝度よりも低くなる。駆動電流が同じ値の場合、劣化が進むほど、レーザ光源部11の輝度は低くなるため、劣化状態のレーザ光源部11の輝度B2は、無劣化状態のレーザ光源部11の輝度B1よりも低くなる。
第1の供給時間t1が経過すると、レーザ光源部11に対する駆動電流の供給が停止されるので、レーザ光源部11は消灯する。これにより、第1の処理が実行されることで、レーザ光源部11は点滅することになる。
その後、第2の処理が開始され、駆動電流が徐々に大きくなる。そして第1の処理の開始時点から時間tmin1が経過したときに、駆動電流が電流Imin1以上になったとする。このとき、レーザ光源部11は、無劣化状態であれば点灯するが、劣化状態の場合にはまだ点灯しない。そして、第1の処理の開始時点から時間tmin2が経過したときに、駆動電流が電流Imin2以上になったとする。これにより、レーザ光源部11は劣化状態の場合であっても点灯することになる。
そして第1の処理の開始時点から規定時間である1秒が経過すると、駆動電流が最大電流Imaxとなり、レーザ光源部11の輝度は最大輝度となる。このとき、上述したように無劣化状態のレーザ光源部11の最大輝度Bmax1は、劣化状態のレーザ光源部11の最大輝度Bmax2よりも大きくなる。
【0017】
以上説明したように本実施形態によれば、レーザ光源部11は、供給された電流に応じた輝度で点灯する。レーザ光源制御部21は、レーザ光源部11に対して予め定められた最大電流よりも小さい所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、その後、レーザ光源部11に対して電流を最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う。
これにより、レーザ光源部11に対して最大電流よりも小さい所定電流が一定期間供給された後で、レーザ光源部11に供給される電流を最大電流に到達するまで徐々に増加されるため、レーザ光源部11を点灯させる処理を開始した直後にレーザ光源部11を点灯させつつ、レーザ光源部11に供給される電流を最大電流に到達するまでの時間を適切に調整することができる。したがって、所定の規格を満たしつつ、レーザ光源部11の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが可能になる。
【0018】
上記の効果をより詳細に説明するために、本実施形態のプロジェクタと、駆動電流を徐々に大きくしていくだけの関連技術を用いたプロジェクタとを比較する。
図5は、上記の関連技術における駆動電流の時間変化を示す図であり、図6は、上記の関連技術におけるレーザ光源部11の輝度の時間変化を示す図である。
図5および図6で示したように関連技術では、駆動電流を0から最大電流Imaxまで線形に増加させている。この関連技術において、「レーザ光源部11が点灯してから最大輝度に到達するまでに規定時間(1秒=1000msec)以上かけること」という規格を満たすためには、レーザ光源部11に対して駆動電流の供給を開始してから駆動電流が最大電流Imaxに到達するまでに、規定時間にマージンtmを加えた修正規定時間1000[msec]+tmが必要となる。マージンtmは、駆動電流の供給を開始してからレーザ光源部11が点灯するまでの時間、つまり駆動電流が点灯最小電流に到達するまでの時間である。
点灯最小電流は、レーザ光源部11の劣化の度合いに応じて異なり、劣化状態における点灯最小電流Imin2は無劣化状態における点灯最小電流Imin1よりも大きい。このため、劣化状態における、駆動電流の供給を開始してから点灯最小電流Imin2に到達するまでの時間tmin2aは、無劣化状態における、駆動電流の供給を開始してから点灯最小電流Imin1に到達するまでの時間tmin1aよりも長くなる。
したがって、劣化状態でも規格が満たされるためには、マージンtmを時間tmin2a以上にする必要がある。したがって、レーザ光源部11の輝度が最大輝度になるまでの時間は、少なくとも、レーザ光源に対して駆動電流の供給を開始してから1000[msec]+tmin2aとなる。
一方、本実施形態のプロジェクタでは、図3および図4を用いて説明したように、レーザ光源部11が劣化状態か否かに関わらず、レーザ光源部11の輝度が最大輝度になるまでの時間は、レーザ光源部11に対して駆動電流の供給を開始してから1000[msec]となる。
したがって、規格を満たしつつ、レーザ光源の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが可能になる。
【0019】
(他の実施形態)
第1の実施形態では、レーザ光源制御部21は、第1の処理を1回だけ行っていたが、第1の処理を複数回行い、その後、第2の処理を行ってもよい。この場合、レーザ光源部11が複数回点滅した後で、レーザ光源部11が最大輝度まで徐々に明るくなっていくことになる。
なお、第1の処理を複数回行う場合であっても、レーザ光源制御部21は、最初の第1の処理を開始してから規定時間後に第2の処理を終了するように、第1の処理および第2の処理を行うことで、レーザ光源部11が最大輝度に到達するまでの時間を規定時間とすることができる。また、第1の処理を行う回数は、予め定められていてもよいし、ユーザにて設定可能であってもよい。
【0020】
また、レーザ光源制御部21は、第1の処理では、所定電流I1を駆動電流として第1の供給時間供給した後で駆動電流の供給を停止していたが、駆動電流の供給を停止しなくてもよい。この場合、レーザ光源制御部21は、例えば、第2の処理において、駆動電流を所定電流から最大電流まで徐々に増加させる。なお、この場合であっても、レーザ光源制御部21は、第1の処理を開始してから規定時間後に第2の処理を終了するように、第1の処理および第2の処理を行うことで、レーザ光源部11が最大輝度に到達するまでの時間を規定時間とすることができる。
【0021】
また、照明装置は、図7に示す構成でもよい。図7に示す照明装置70は、光源部71と、光源制御部72とを有する。
光源部71は、供給された電流に応じた輝度で点灯する。光源制御部72は、光源部71に対して予め定められた最大電流よりも小さい所定電流を一定期間供給する第1の処理を行い、その後、光源部71に対して電流を最大電流に到達するまで徐々に増加させながら供給する第2の処理を行う。
この構成でも、光源部71を点灯させる処理を開始した直後にレーザ光源部71を点灯させつつ、光源部71に供給される電流を最大電流に到達するまでの時間を適切に調整することができるため、所定の規格を満たしつつ、光源の輝度を最大輝度にするまでの時間を短くすることが可能になる。
【0022】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1 プロジェクタ
11 レーザ光源部
12 冷却ファン部
13 操作パネル部
14 ASIC部
21 レーザ光源制御部
22 冷却制御部
23 操作検出部
24 CPU部
71 光源部
72 光源制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7