(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定部は、前記周波数帯域内のキャリア数がキャリア所定値以上の場合、前記周波数帯域の混雑状況は混雑と判断し、前記キャリア所定値未満の場合、前記混雑状況は良好と判断し、前記キャリア変化量が前記キャリア変化量所定値以上の場合、前記混雑状況が良好と判断された周波数帯域を、切替後に使用する使用周波数帯域に決定する、
請求項1に記載の管理サーバ。
前記指示部は、受信電界強度が受信電界強度所定値よりも低い端末の接続を優先して切断した後、前記使用周波数帯域を使用して前記端末と再接続を行う指示を前記アクセスポイントに通知する、
請求項2〜4のいずれか1つに記載の管理サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0016】
[実施の形態1]
実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムの構成について説明する。
実施の形態1においては、アクセスポイントと端末とが無線LANによって接続される場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムを例示するブロック図である。
【0017】
図1に示すように、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システム10は、無線探知センサ13と管理サーバ12とアクセスポイント11とを有する。無線探知センサ13、管理サーバ12及びアクセスポイント11は、同一のネットワーク内に配置される。
【0018】
管理サーバ12、アクセスポイント11及び無線探知センサ13は、例えば、有線LANで相互に接続される。アクセスポイント11には、例えば、無線LANを使用して、1台又は複数台の端末14が帰属される。アクセスポイント11及び端末14のそれぞれは、複数の周波数帯域f1−fmのうちのいずれかの周波数帯域を使用して無線LANの接続が可能な能力を備える。
【0019】
尚、この例では、複数の周波数帯域f1−fmとして、必要に応じて無線LANの2.4G帯及び5G帯を例に挙げて説明する。よって、アクセスポイント11及び端末14は、2.4G帯及び5G帯の両方の無線LANの接続が可能な能力を備えるものとする。また、2.4G帯又は5G帯への接続は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよい。
【0020】
また、この例では、周波数帯域f1には、キャリア数N1のキャリアが存在し、周波数帯域fmには、キャリア数Nmのキャリアが存在するものとする。また、複数の周波数帯域f1−fmのうちの任意の周波数帯域を周波数帯域fとし、周波数帯域f内のキャリア数をキャリア数Nとする。また、アクセスポイント11に端末14が帰属することを、端末14が接続すると称することもある。
【0021】
無線探知センサ13は、周辺の無線通信環境を測定する。無線通信環境を測定する1つの例として、無線探知センサ13は、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれにおいて使用されるキャリア数N1−Nmを測定する。
尚、この例では、複数の周波数帯域のそれぞれにおいて使用されるとは、周波数帯域内において、実際に電波として飛んでいることを言う。例えば、端末がアクセスポイントに帰属(接続)している場合でも、通信が実際に行われておらず、電波が飛んでいない場合は、周波数が使用されていないとする。
【0022】
管理サーバ12は、有線LANなどのネットワークを経由して、アクセスポイント11及び無線探知センサ13を管理する。管理サーバ12は、無線探知センサ13が周辺を実際に測定して得た複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれにおいて使用されるキャリア数N1−Nmを無線探知センサ13から取得する。
【0023】
管理サーバ12は、それぞれのキャリア数N1−Nmを蓄積情報Acとして記憶する。蓄積情報Acは、過去から現在まで、時刻の情報と共に記憶した蓄積情報Ac1〜Acnである。すなわち、管理サーバ12は、過去から現在までのキャリア数を記憶する。
【0024】
管理サーバ12は、記憶された蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合、蓄積情報Acに基づいて複数の周波数帯域f1−fmの中から使用周波数帯域fuを決定する。蓄積情報Acの変化量ΔAcは、過去から前回までの蓄積情報Ac1〜Acn−1のそれぞれと、現在の蓄積情報Acnと、の間の変化量である。また、管理サーバ12は、記憶された蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合、所定値Ath以上となった周波数帯域を切替元周波数帯域faに決定する。すなわち、管理サーバ12は、過去のキャリア数と現在のキャリア数との間の変化量ΔNが所定値ΔNth以上の場合、所定値ΔNth以上となった周波数帯域を切替元周波数帯域faに決定する。
【0025】
例えば、管理サーバ12は、過去から前回までのキャリア数のそれぞれと現在のキャリア数との間の変化量ΔNが所定値ΔNth以上の場合、複数の周波数帯域f1−fmの中から、キャリア数Nが最も少ない周波数帯域を、切替後に使用する使用周波数帯域fuに決定する。そして、管理サーバ12は、使用周波数帯域fuをアクセスポイント11に通知する。
【0026】
また、例えば、管理サーバ12は、周波数帯域f内のキャリア数Nが所定値Nth以上の場合、周波数帯域fの混雑状況Rcは混雑と判断し、所定値Nth未満の場合、混雑状況Rcは良好と判断する。そして、管理サーバ12は、過去の蓄積情報と現在の蓄積情報との間の変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合、混雑状況Rcが良好と判断された周波数帯域を使用周波数帯域fuに決定してもよい。具体的には、管理サーバ12は、過去のキャリア数と現在のキャリア数との間の変化量ΔNが所定値ΔNth以上の場合、混雑状況Rcが良好と判断された周波数帯域を、切替後に使用する使用周波数帯域fuに決定してもよい。
【0027】
尚、無線通信環境を混雑状況と称することもある。
【0028】
また、管理サーバ12は、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれにおいてアクセスポイント11に帰属する端末の帰属数Nat1−Natm及びRSSI(Received Signal Strength Indicator)値Rt1−Rtnをアクセスポイント11から取得する。RSSI値は、アクセスポイントが端末からの信号を受信する際のアクセスポイント側のRSSI値を示す。
【0029】
また、この例では、周波数帯域f1においてアクセスポイント11に帰属数Nat1の端末が帰属数し、周波数帯域fmにおいてアクセスポイント11に帰属数Natmの端末が帰属するものとする。また、周波数帯域f1においてアクセスポイント11に帰属する端末のRSSI値をRt11−Rt1nとし、周波数帯域fmにおいてアクセスポイント11に帰属する端末のRSSI値をRtm1−Rtmnとする。また、周波数帯域fを使用してアクセスポイント11に帰属する端末の帰属数を帰属数Natとし、周波数帯域fを使用してアクセスポイント11に帰属する端末のRSSI値をRt1−Rtnとする。
【0030】
管理サーバ12は、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれのキャリア数N1−Nmに加え、端末の帰属数Nat1−Natm及びRSSI値Rt11−Rtmnを蓄積情報Acに含めて記憶し、監視する。帰属数Nat1−Natmは、過去から現在までの帰属数を含み、RSSI値Rt11−Rtmnは、過去から現在までのRSSI値を含む。
【0031】
管理サーバ12は、過去の帰属数と現在の帰属数との間の変化量ΔNatが所定値ΔNath以上の場合、混雑状況Rcが良好と判断された周波数帯域を使用周波数帯域fuに決定する。変化量ΔNatは、過去から前回までの帰属数のそれぞれと、現在の帰属数と、の間の変化量である。
【0032】
管理サーバ12は、切替元周波数帯域faをアクセスポイント11に通知し切替指示を行う。また、管理サーバ12は、決定された使用周波数帯域fuをアクセスポイント11に通知する。アクセスポイント11は、端末14との接続を切断し、通知された使用周波数帯域fuを使用して端末14と再接続を行う。すなわちアクセスポイント11は、切替指示に基づいて使用する周波数帯域を切替える。
【0033】
管理サーバ12は、データ通信が行われていない端末の接続を切断した後、前記使用周波数帯域を使用して前記端末と再接続を行う指示を前記アクセスポイントに通知してもよい。アクセスポイント11は、データ通信が行われていない端末の接続を切断した後、使用周波数帯域fuを使用して、通信を切断した端末と再接続を行ってもよい。これにより、データ通信中の端末の通信を、いきなり切断することを防止することができる。
【0034】
管理サーバ12は、RSSI値が所定値Rthよりも低い端末の接続を優先して切断した後、前記使用周波数帯域を使用して前記端末と再接続を行う指示をアクセスポイント11に通知してもよい。アクセスポイント11は、端末14のRSSI値Rt11−Rtmnを確認し、RSSI値Rt11−Rtmnが所定値Rthよりも低い端末の接続を優先して切断した後、使用周波数帯域fuを使用して、通信を切断した端末と再接続を行ってもよい。これにより、RSSI値(電波強度)が高い端末を2.4G帯に残しつつ、RSSI値が低い端末を5G帯へ誘導し、無線LANの負荷分散を行うことができる。
尚、RSSI値を受信電界強度と称することもある。
【0035】
ここで、管理サーバ12の動作を以下に示す。
管理サーバ12は、蓄積情報Acのそれぞれの変化量を監視する。管理サーバ12は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合、アクセスポイント11に対して、負荷分散のための動作の指示、例えば、混雑状況Rcが良好と判断された使用周波数帯域fuを使用する旨の指示を出す。
【0036】
管理サーバ12が行う負荷分散のための動作は、該動作を行う際に、その都度、設定や操作を行うことが無いので、自動でかつ自律的に周辺の混雑状況Rcの状況変化にリアルタイムで対応した無線LANの負荷分散が可能となる。
【0037】
尚、
図1に示す管理サーバ12、アクセスポイント11及び無線探知センサ13は、スイッチを使用して接続されてもよい。
【0038】
次に、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムの各構成要素について説明する。
図2は、実施の形態1に係る管理サーバを例示するブロック図である。
【0039】
図2に示すように、管理サーバ12は、通信部123と処理部122と情報監視部125とデータ記憶部124と情報解析部126とを有する。
尚、データ記憶部を記憶部と称することもある。また、処理部、情報監視部、及び情報解析部と処理部(図示せず)と称することもある。また、通信部は、図示しない取得部と指示部からなる。
【0040】
通信部123は、有線LANを使用して通信を行い、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれにおいて使用されるキャリア数N1−Nm、端末の帰属数Nat及びRSSI値Rt1−Rtnを含む蓄積情報Acを取得する。蓄積情報Acのうち、混雑状況Rcは、無線探知センサ13から取得し、帰属数Nat及びRSSI値Rt1−Rtnは、アクセスポイント11から取得する。
【0041】
情報監視部125は、取得した蓄積情報Acの監視を行う。具体的には、情報監視部125は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上かどうかを監視する。
【0042】
データ記憶部124は、取得した蓄積情報Acを記憶する。具体的には、データ記憶部124は、それぞれのキャリア数N1−Nmを蓄積情報Acとして記憶する
【0043】
情報解析部126は、取得した蓄積情報Acの解析を行う。
【0044】
処理部122は、取得した蓄積情報Acを処理する。すなわち、処理部122は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合、蓄積情報Acに基づいて複数の周波数帯域f1−fmの中から使用周波数帯域fuを決定する。また、処理部122は、過去のキャリア数と現在のキャリア数との間の変化量ΔNが所定値ΔNth以上の場合、所定値ΔNth以上となった周波数帯域を切替元周波数帯域faに決定する。
【0045】
また、通信部123は、処理部122から取得した使用周波数帯域fuをアクセスポイント11に通知する。また、通信部123は、切替元周波数帯域faをアクセスポイント11に通知し切替指示を行う。
【0046】
図3は、実施の形態1に係るアクセスポイントを例示するブロック図である。
【0047】
図3に示すように、アクセスポイント11は、通信部113と制御部112と無線通信部111と受付部114と実行部115と端末情報取得部116とを有する。
【0048】
無線通信部111は、無線LANを使用して端末14と無線通信を行う。
【0049】
端末情報取得部116は、通信部113及び制御部112を介して、端末14の情報、例えば、アクセスポイント11に帰属する端末14の帰属数Nat及び端末14のRSSI値Rt1−Rtnを収集する。
【0050】
通信部113は、有線LANを使用して通信を行い、アクセスポイント11に帰属する端末14の帰属数Nat及び端末14のRSSI値Rt1−Rtnを管理サーバ12へ伝達する。また、通信部113は、有線LANを使用して通信を行い、負荷分散のための動作を行うための通知を管理サーバ12から取得する。負荷分散のための動作を行うための通知を、動作要求通知と称する。
【0051】
制御部112は、通信部113から動作要求通知を取得し、処理する。受付部114は、通信部113及び制御部112を介して、管理サーバ12からの動作要求通知を取得する。実行部115は、受付部114が取得した管理サーバ12からの動作要求通知の内容に従って、負荷分散のための動作を行う。
【0052】
アクセスポイント11は、複数の周波数帯域f1−fmに対応して無線LANの通信を行うことが可能なハードウェアを備える。
【0053】
また、アクセスポイント11は、設定記憶部117をさらに有し、設定記憶部117には、無線LANプロファイルの設定情報Jpが記憶される。そして、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれに対して、同一の設定情報Jpが設定される。
【0054】
これにより、複数の周波数帯域f1−fmのぞれぞれに対して、同一の無線LANプロファイルが設定されるので、周辺の混雑状況Rcが複数回に渡って変化し、使用周波数帯域fuが次々と変更されても、その変化に追従することができる。
【0055】
図4は、実施の形態1に係る無線探知センサを例示するブロック図である。
【0056】
図4に示すように、無線探知センサ13は、通信部133と制御部132と無線監視部131とを有する。
【0057】
無線監視部131は、無線探知センサ13周辺の無線LANのサーチを行い、周辺の混雑状況Rcを得るための情報を取得する。
【0058】
具体的には、無線監視部131は、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれのキャリア数N1−Nmを測定する。すなわち、無線監視部131は、周辺で使用されている複数の周波数帯域f1−fmをサーチし、アクセスポイント11と端末14との間で使用されている周波数帯域を検出する。無線監視部131が周波数帯域を実際に検出することにより、アクセスポイント11と端末14との間で通信が行われているかどうかを、より確実に確認することができる。周波数帯域f内に存在するキャリア数Nにより、混雑状況Rc(無線通信環境の混雑具合)が把握される。
【0059】
また、無線監視部131は、無線探知センサ13周辺の無線LANのサーチを行い、周辺に存在するアクセスポイント11の台数Naや端末14の台数Ntなどの情報を取得してもよい。アクセスポイント11の台数Naや端末14の台数Ntなどを使用して無線通信環境の混雑具合が把握されてもよい。具体的には、アクセスポイント11の台数が所定値Nath以上の場合や、端末14の台数Ntが所定値Ntth以上の場合、混雑状況Rcは混雑と判断される。
【0060】
通信部133は、有線LANを使用して通信を行い、キャリア数N1−Nm、アクセスポイント11の台数及び端末14の台数Ntを管理サーバ12へ伝達する。制御部132は、通信部133からの情報を処理する。
【0061】
次に、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムの動作について説明する。
図5は、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムの動作を例示するシーケンス図である。
図6は、
図5に示すステップS101−S105を例示するフローチャートである。
【0062】
動作の説明では、複数の周波数帯域f1−fmは、無線LANの2.4G帯及び5G帯とする。また、2.4G帯内のキャリア数が増加し、5G帯のキャリア数がそのままであるとする。また、周辺の混雑状況Rcは、2.4G帯が良好で5G帯が良好から、2.4G帯が混雑で5G帯が良好に変化したとする。
【0063】
図5及び
図6に示すように、管理サーバ12は、アクセスポイント11から、アクセスポイント11に帰属する端末の帰属数Natを取得する(ステップS101)。また、管理サーバ12は、アクセスポイント11から、アクセスポイント11に帰属する端末のRSSI値Rt1−Rtnを取得する(ステップS102)。
【0064】
また、管理サーバ12は、無線探知センサ13から、無線探知センサ13がサーチした周辺の2.4G帯及び5G帯のそれぞれのキャリア数Nを取得する(ステップS103)。
【0065】
管理サーバ12は、キャリア数N、帰属数Nat及びRSSI値Rt1−Rtnを、蓄積情報Acとして取得する(ステップS1041)。また、管理サーバ12は、蓄積情報Acを記憶し蓄積する(ステップS1042)。
【0066】
管理サーバ12は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上かどうかを確認する(ステップS1043)。すなわち、過去から前回までの蓄積情報Ac1〜Acn−1(蓄積情報Ac)のそれぞれと、現在の蓄積情報Acnと、の間の変化量ΔAcが所定値Ath以上かどうかを確認する。管理サーバ12は、ステップS101−ステップS103、ステップS1041、ステップS1042及びステップS1043を定期的に行う。
【0067】
管理サーバ12は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath以上の場合(ステップS1043:Yes)、蓄積情報Acに基づいて複数の周波数帯域f1−fmの中から使用周波数帯域fuを決定する(ステップS1044)。管理サーバ12は、蓄積情報Acの変化量ΔAcが所定値Ath未満の場合(ステップS1043:No)、ステップS101に戻る。
【0068】
ここで、ステップS1043及びステップS1044の動作についてさらに説明する。
蓄積情報Acとして、キャリア数Nを例に挙げて説明する。
【0069】
管理サーバ12は、無線探知センサ13がサーチした周辺の2.4G帯内のキャリア数の変化量が所定値ΔNth以上になったかどうかを確認する(ステップS1043)。また、管理サーバ12は、5G帯内のキャリア数の変化量が所定値ΔNth以上になったかどうかも伴わせて確認する(ステップS1043)。
【0070】
この例では、2.4G帯内のキャリア数が増加し、5G帯のキャリア数がそのままであると仮定したので、管理サーバ12は、2.4G帯内のキャリア数の変化量が所定値ΔNth以上になったことを確認する(ステップS1043:Yes)。この場合、管理サーバ12は、5G帯内のキャリア数が最も少ないので、5G帯を使用周波数帯域fuとして決定する(ステップS1044)。
【0071】
ステップS1044の後、管理サーバ12は、アクセスポイント11へ、2.4G帯に帰属する端末を5G帯へ誘導する旨を通知する(ステップS105)。すなわち、管理サーバ12は、5G帯を使用周波数帯域fuとして使用する旨をアクセスポイント11に通知する。
【0072】
続いて
図5に戻り、5G帯を使用する旨の通知を受けたアクセスポイント11は、アクセスポイント11の2.4G帯に帰属する端末のトラフィック(通信状況)を確認する(ステップS106)。そして、アクセスポイント11は、データ通信が行われていない端末の接続を切断する(ステップS107)。
【0073】
端末14のトラフィックを確認するのは、データ通信中の端末の通信を、いきなり切断することを防止するためである。
【0074】
通信を切断された端末は、その後、再度、アクセスポイント11に対して再帰属要求を行う(ステップS108)。このとき、アクセスポイント11は、混雑状況が良好と判断された5G帯に端末の帰属を誘導する(ステップS109)。
【0075】
5G帯に端末の帰属を誘導する際、アクセスポイント11の2.4G帯と5G帯には同じ無線LANプロファイルが設定されている。このため、2.4Gに帰属できなかった端末は、自動的に使用周波数帯域fuである5G帯を使用して、アクセスポイント11と再帰属(再接続)を行う(ステップS110)。
【0076】
アクセスポイント11は、端末が2.4G帯を使用して再接続することを許可しない。すなわち、アクセスポイント11は、使用周波数帯域fuである5G帯域以外の周波数帯域を使用して再接続することを許可しない。これにより、端末が、混雑状況が混雑と判断された2.4G帯に接続されることを防止する。
【0077】
ステップS101−ステップS110に示す動作により、周辺の混雑状況の変化を管理サーバ12が検知し、アクセスポイント11と端末14とが使用する周波数帯域を、より良好な5G帯へ誘導し、再接続することができる。そして、良好な通信を自律的に維持することができ、無線LANの負荷分散を行うことができる。
【0078】
尚、ステップS1043の動作として以下のような例も挙げられる。
管理サーバ12は、過去の帰属数と現在の帰属数との間の変化量ΔNatが所定値ΔNath以上になったかどうかを確認してもよい。そして、管理サーバ12は、変化量ΔNatが所定値ΔNath以上の場合(ステップS1043:Yes)、ステップS1044へ移行してもよい。
【0079】
また、ステップS1044の動作として以下のような例も挙げられる。
管理サーバ12は、無線探知センサ13がサーチした周辺の2.4G帯内のキャリア数が所定値Nth未満から所定値Nth以上に増加したので、2.4G帯の混雑状況Rcは良好から混雑へ変化したと判断する。また、管理サーバ12は、5G帯内のキャリア数が所定値Nth未満のままなので、5G帯の混雑状況Rcは良好のままであると判断する。すなわち、管理サーバ12は、2.4G帯の混雑状況Rcは混雑と判断し、5G帯の混雑状況Rcは良好と判断する。
【0080】
そして、管理サーバ12は、2.4G帯内のキャリア数の変化量が所定値ΔNth以上の場合、混雑状況Rcが良好と判断された5G帯を使用周波数帯域fuとして決定する。すなわち、2.4G帯が良好から混雑に変化した場合、管理サーバ12は、混雑状況Rcが良好と判断された5G帯を使用周波数帯域fuとして決定する。
【0081】
また、ステップS107における端末の通信の切断に際しては、アクセスポイント11は、RSSI値Rt11−Rtmnが所定値Rthよりも低い端末の通信接続を優先して切断してもよい。具体的には、アクセスポイント11は、2.4G帯から5G帯へ端末を誘導するために自アクセスポイント11に帰属している端末の通信接続を切断する際に、帰属している端末のRSSI値Rt11−Rtmnを確認する。そして、アクセスポイント11は、RSSI値が所定値Rthよりも低い端末の通信を優先して切断する。
【0082】
実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、アクセスポイントの周辺の無線通信環境(混雑状況)が変化した際、自動で周辺の混雑状況に合わせて、使用する周波数帯域を決定するので無線LANの負荷分散を行うことができる。その結果、無線通信環境に応じて、最適な周波数帯域を使用することが可能な管理サーバ、無線LAN負荷分散システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【0083】
また、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、複数の周波数帯域に対して、同一の無線LANプロファイルが設定される。これにより、周辺の無線通信環境が複数回に渡って変化し、使用する周波数帯域が次々と別の周波数帯域へ変更しても、その変化に追従することができる。
【0084】
また、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、別の周波数帯域へ変更する際に、無線LANプロファイルの設定が不要になるため、サーバ管理者、若しくはユーザが無線LANプロファイルを設定するための時間、並びに費用を削減することができる。
【0085】
また、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、複数の周波数帯域のいずれかの周波数帯域に通信が集中した場合、それを平滑化し分散することができるので、通信品質を向上させることができる。例えば、2.4G帯に通信が集中した場合、混雑状況が良好な5G帯を使用するようにするので、通信品質を向上させることができる。
【0086】
また、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、アクセスポイントが1台であっても、端末が使用する周波数帯域を混雑状況が良好な周波数帯域へ変更して負荷分散をすることができる。
【0087】
また、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムは、実際に使用されているキャリアを測定しているので、より正確に使用されているキャリアの数を把握することができる。これにより、さらに確実に負荷分散をすることができる。
【0088】
ここで、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムの特徴を示す。
実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システムにおいては、無線探知センサ13が、周辺の周波数帯域fのキャリア数Nを管理サーバ12に伝達する。そして、管理サーバ12が、周辺の混雑状況Rcの変化を検知し、それに基づいて混雑していない周波数帯域を使用周波数帯域fuに決定し、アクセスポイント11へその旨を通知する。そして、アクセスポイント11が、現在使用している周波数帯域を、使用周波数帯域fuに自動的に誘導する。これにより、周波数帯域における無線LANの負荷分散を行うことができる。
【0089】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る無線LAN負荷分散システムについて説明する。
図7は、実施の形態2に係る無線LAN負荷分散システムを例示するブロック図である。
【0090】
図7に示すように、実施の形態2に係る無線LAN負荷分散システム20は、実施の形態1に係る無線LAN負荷分散システム10と比べて、アクセスポイント11に帰属する端末14b、アクセスポイント11とは別のアクセスポイント21及びアクセスポイント21に帰属する端末24が追加されている。また、管理サーバ22、アクセスポイント11、アクセスポイント21及び無線探知センサ13は、例えば、スイッチ15を使用して有線LANで相互に接続される。
図7では、アクセスポイント11に帰属する端末14aと端末14bを総称して端末14と称する。
【0091】
尚、アクセスポイント11とアクセスポイント21には、同一の無線LANプロファイルの設定情報Jpが設定されるものとする。
【0092】
また、この例では、アクセスポイント11の周波数帯域f1における端末の帰属数を帰属数Nat1とし、周波数帯域fmにおける端末の帰属数を帰属数Natmとする。また、複数の周波数帯域f1−fmのうちの任意の周波数帯域を周波数帯域fとし、周波数帯域fにおける端末の帰属数を帰属数Natとする。
【0093】
また、アクセスポイント21の周波数帯域f1における端末の帰属数を帰属数N2at1とし、周波数帯域fmにおける端末の帰属数を帰属数N2atmとする。また、複数の周波数帯域f1−fmのうちの任意の周波数帯域を周波数帯域fとし、周波数帯域fにおける端末の帰属数を帰属数N2atとする。
【0094】
管理サーバ22は、前述の管理サーバ12の動作に加えて、複数の周波数帯域f1−fmのそれぞれにおいて、過去から現在までのアクセスポイント21に帰属する端末24の帰属数N2at1−N2atmと、複数の端末24のそれぞれのRSSI値とを、アクセスポイント21から取得し、それらを記憶する。
【0095】
管理サーバ22は、アクセスポイント11に帰属する過去の帰属数と現在の帰属数との間の変化量ΔNatと、アクセスポイント21に帰属する過去の帰属数と現在の帰属数との間の変化量ΔN2atとをそれぞれ確認する。
【0096】
一般的に、アクセスポイントに帰属する端末の帰属数が増加すると端末1台当たりの通信量は低下する。端末1台当たりの通信量の低下を防止するため、管理サーバ22は、端末の帰属数が急激に増加したアクセスポイントに対して、端末の帰属を外す指示を行う。
【0097】
具体的には、管理サーバ22は、変化量ΔNatが所定値ΔNath以上の場合、アクセスポイント11に対して端末14との接続を切断する旨の通知を行う。管理サーバ22は、変化量ΔN2atが所定値ΔN2ath以上の場合、アクセスポイント21に対して端末24との接続を切断する旨の通知を行う。
【0098】
アクセスポイント11又は21は、端末との接続を切断する旨の通知を取得し、端末との接続を切断する。
【0099】
端末の帰属数Natは、無線探知センサ13又はアクセスポイント11から取得される。また、端末の帰属数N2atは、無線探知センサ13又はアクセスポイント21から取得される。
【0100】
無線探知センサ13は、自身の周辺の無線LANのサーチを行い、周辺に存在するアクセスポイント11の台数及び端末の台数などを取得し、それらの情報を管理サーバ12へ伝達する。そして、管理サーバ12は、伝達された端末の台数を帰属数としてもよい。
【0101】
管理サーバ22が端末の接続を切断する旨の通知を行った後の動作は、実施の形態1のステップS106−ステップS110の動作と同様である。
【0102】
このように、アクセスポイントに帰属する端末の帰属数をトリガーにしても、特定のアクセスポイントへの端末の帰属を自動的に分散させることができ、無線LANの負荷分散を行うことができる。
【0103】
尚、実施の形態2においては、
図7に示すように、アクセスポイント11に帰属する端末14の帰属数が2台の場合を例に説明したが、これには限定されない。アクセスポイントは3台以上あってもよい。
【0104】
[実施の形態3]
次に、実施の形態3に係るアクセスポイントについて説明する。
図8は、実施の形態3に係るアクセスポイントを例示するブロック図である。
【0105】
実施の形態3に係るアクセスポイント31は、実施の形態1に係るアクセスポイント11と比べて、管理サーバ12の一部のデータ記憶部124、情報監視部125及び情報解析部126が追加される。これにより、管理サーバ12が行っていた動作をアクセスポイント31が行うことができる。その結果、管理サーバ12が無くても、無線通信環境に応じて、最適な周波数を使用することができる。
【0106】
尚、実施の形態においては、アクセスポイントを例に挙げて説明した。これには限定されず、アクセスポイントの代わりに、例えば、無線ルータ、無線中継機等の無線LANを使用する通信装置であってもよい。
【0107】
また、上記の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0108】
上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(trangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0109】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。