(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記給電機器から出力される信号の入力経路として選択された経路とは異なる経路を経て入力された前記クレードル機器から出力される信号に基づいて、前記クレードル機器との間で通信を行う通信手段をさらに備える、請求項1に記載の携帯機器。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器は小型化や薄型等、サイズをより小さくする方向で進化している。また、クレードル機器も同様に、小型化を求められる傾向にある。携帯機器は、携帯機器やクレードル機器で使用される外部給電機器を接続するインタフェースとして、何かしらの物理コネクタを有している。サイズの小型化やインタフェースの共通化、給電規格の共通化といった観点から、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したコネクタが使用されることが多い。
【0003】
特に近年では、携帯機器やクレードル機器で使用される外部給電機器は、物理インタフェースや給電規格の共通化、通信速度向上のために、USB3.1で策定されたUSB Type−CコネクタやマイクロUSBコネクタ等が採用される傾向にある。
【0004】
USB Type−Cコネクタは、USB3.1規格に準じた高速通信が可能であること以外に、接続向きを気にすることなく使用できるというメリットがある。この利便性から、外部給電機器の物理インタフェースも必然的にUSB Type−CコネクタやマイクロUSBコネクタが使用される。特に、USB Type−Cコネクタへインタフェースを統一する傾向が強い。
【0005】
USB Type−Cコネクタは以前から存在するUSBコネクタと異なり、端子配列が点対称である。そのため、USB Type−Cコネクタは、表裏(上下)のどちらの向きでも差し込めるという利点があり、ユーザは携帯機器に外部給電機器を接続する際にコネクタ向きを気にする必要がなくなる。例えば、USB Type−Cコネクタは、コネクタに同じ信号が通った端子を二組具備し、点対称に配置された端子を具備している。これにより、接続向きがどちらであっても、接続される信号は同じになる。そのため、接続向きに依存することなく使用することができる。しかし、特殊な用途以外では、二組ある端子は排他的に使用されており、片方の組を使用している場合、もう片方の組を不使用としている。携帯機器とクレードル機器との組み合わせのようにセットで使用される特殊な用途においては、本来は二組とも自由に使用することが可能である。
【0006】
USB Type−Cコネクタを有する外部給電機器は、USB Type−Cで規定されている給電仕様の他に、USB BC(Battery Charging Specification)1.2やQC(Quick Charge(登録商標))2.0、QC3.0といった充電規格に対応していることが多い。携帯機器は、これらの充電規格に対応した外部給電機器の判別をするため、外部給電機器との間で通信を行うための信号であるUSB_D−信号、USB_D+信号を使用する。そのため、携帯機器は、外部給電機器の接続向きに加えて、外部給電機器の種類を判別し、外部給電機器の能力に応じて、自身が有する電池への充電や入力電流の制限を加える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
携帯機器に付属されるクレードル機器には、携帯機器が内蔵するバッテリの充電台として使用されるクレードル機器もあるが、バッテリの充電用途以外に、携帯機器との間でUSB通信を行うクレードル機器もある。しかしながら、携帯機器は、サイズ上の都合から、クレードル機器と接続するための物理インタフェースを、外部給電機器と接続するためのインタフェースと併用する場合が多い。よって、携帯機器とクレードル機器との間を接続するインタフェースにも、外部給電機器と接続するインタフェースと同様にUSB Type−Cコネクタが選択されることになる。
【0009】
携帯機器とクレードル機器とを接続した場合、外部給電機器は、クレードル機器が有する別の物理インタフェースを使用してクレードル機器と接続することになる。しかし、クレードル機器において、携帯機器と接続するためのインタフェースと、外部給電機器と接続するためのインタフェースとの共通化を考えた場合、クレードル機器にも、携帯機器と同様にUSB Type−Cコネクタ、若しくはマイクロUSBコネクタを搭載することになる。そうすると、この場合、クレードル機器にも、携帯機器が有している外部給電機器の種類を判別するための回路が搭載される必要がある。
【0010】
しかしながら、BC1.2やQC2.0といった規格で規定されている外部給電機器を判別するためには特殊な部品を使用する必要があり、回路構成が複雑になると共に、コストが高くなるという懸念がある。携帯機器には、すでに外部給電機器を判別する回路が搭載されていることを考慮すると、外部給電機器の判別は、クレードル機器ではなく携帯機器側で行える構成とするのが望ましい。
【0011】
特許文献1には、モバイルルータにUSBコネクタを介して接続されたクレードル機器に、さらにUSBコネクタを介して接続されたACアダプタやパソコンが接続された場合、モバイルルータに内蔵された充電制御部が、ACアダプタやパソコンの電源仕様(QC2.0やBC1.2等)を検出し、モバイルルータの充電池の充電制御を行うことが開示されている。
特許文献1に記載された技術では、モバイルルータに対してクレードル機器が、ある一方向に接続された場合にのみ、クレードル機器に接続されたACアダプタ等の電源仕様を検出することとしている。一方でその一方向と逆方向に接続された場合には、クレードルに接続されたACアダプタ等の電源仕様を検出することができないという問題がある。
特許文献2には、携帯機器とクレードル機器とをマイクロUSBコネクタを介して接続する構成が開示されている。この構成では、マイクロUSBコネクタはUSBインタフェースが一組しかない。クレードル機器に接続された給電機器の判別はクレードル機器で行われている。そのため、給電機器の判別を携帯機器で実現すると携帯機器の回路構成が複雑になると共に、小型化、低コスト化に反するという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術では、クレードル機器は給電機器を常時監視していない。そのため、USB_D−信号、USB_D+信号の論理状態を判別するQC2.0やQC3.0規格に対応することができないという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、携帯機器とクレードル機器との接続向きにかかわらず、クレードル機器に接続された外部給電機器の電源種別を検出するという課題を解決する携帯機器、携帯機器の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の携帯機器は、クレードル機器が接続される接続手段と、前記接続手段に接続されたクレードル機器に対し給電機器が接続されたかどうかを判別する接続監視手段と、前記給電機器が接続されたことが判別されると、前記接続手段に接続されたクレードル機器の向きを判別する向き監視手段と、前記クレードル機器の向きが判別されると、前記クレードル機器の向きに応じて、前記給電機器から出力される信号の入力経路として第1経路又は第2経路を選択すると共に、前記クレードル機器から出力される信号の入力経路として、前記第1経路と前記第2経路とのうち、前記給電機器から出力される信号の入力経路として選択された経路とは異なる経路を選択する経路選択手段と、前記第1経路又は前記第2経路を経て入力された前記給電機器から出力される信号に基づいて、前記給電機器の種類を判別する判別手段と、を備える。
【0014】
また、本発明の携帯機器の制御方法は、クレードル機器が接続される接続手段を含む携帯機器の制御方法であって、前記接続手段に接続されたクレードル機器に対し給電機器が接続されたかどうかを判別する工程と、前記給電機器が接続されたことが判別されると、前記接続手段に接続されたクレードル機器の向きを判別する工程と、前記クレードル機器の向きが判別されると、前記クレードル機器の向きに応じて、前記給電機器から出力される信号の入力経路として第1経路又は第2経路を選択すると共に、前記クレードル機器から出力される信号の入力経路として、前記第1経路と前記第2経路とのうち、前記給電機器から出力される信号の入力経路として選択された経路とは異なる経路を選択する工程と、前記第1経路又は前記第2経路を経て入力された前記給電機器から出力される信号に基づいて、前記給電機器の種類を判別する工程と、を備える。
【0015】
さらに、本発明の携帯機器のコンピュータに実行させるプログラムは、クレードル機器が接続される接続手段を含む携帯機器のコンピュータに、前記接続手段に接続されたクレードル機器に対し給電機器が接続されたかどうかを判別する処理と、前記給電機器が接続されたことが判別されると、前記接続手段に接続されたクレードル機器の向きを判別する処理と、前記クレードル機器の向きが判別されると、前記クレードル機器の向きに応じて、前記給電機器から出力される信号の入力経路として第1経路又は第2経路を選択すると共に、前記クレードル機器から出力される信号の入力経路として、前記第1経路と前記第2経路とのうち、前記給電機器から出力される信号の入力経路として選択された経路とは異なる経路を選択する処理と、前記第1経路又は前記第2経路を経て入力された前記給電機器から出力される信号に基づいて、前記給電機器の種類を判別する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯機器とクレードル機器との接続向きにかかわらず、クレードル機器に接続された外部給電機器の電源種別を検出する携帯機器、携帯機器の制御方法、及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下説明する各図における一方向性の矢印は、ある信号(データ)の流れを端的に示したもので、双方向性を排除するものではない。
(第1実施形態)
初めに、本発明の第1実施形態による携帯機器とクレードル機器の全体構成を説明する。
図1は、第1実施形態の携帯機器とクレードル機器の全体構成を示す機能ブロックの一例を示す図である。
図1を参照すると、本実施形態は、携帯機器100とクレードル機器200とから構成されている。携帯機器100は、USB Type−Cコネクタ1と、携帯機器制御回路部2とから構成されている。クレードル機器200は、携帯機器接続用USB Type−Cコネクタ3と、クレードル機器制御回路部4と、外部給電機器接続用USBコネクタ5とから構成されている。
【0019】
携帯機器100とクレードル機器200とは、それぞれが具備するUSB Type−Cコネクタ1と携帯機器接続用USB Type−Cコネクタ3とにより物理的に接続することが可能である。両コネクタ間の信号線及び電源線として、USB_D−_A信号21、USB_D+_A信号22、VBUS電源23、USB_D−_B信号24、USB_D+_B信号25、CC1信号26−A、及びCC2信号26−BからなるUSBインタフェースを使用する。USB Type−Cコネクタ間で使用される信号は他にも存在するが、本図面においては記載を省略している。USB_D−_A信号21、USB_D+_A信号22、及びVBUS電源23は、後述する外部給電機器300(
図3A、
図3B)から出力される信号及び電源である。クレードル機器200は、外部給電機器接続用USBコネクタ5を介して、外部給電機器300から出力される信号を携帯機器100に出力する。
【0020】
携帯機器制御回路部2は、VBUS電源23が供給された場合に、携帯機器100に外部給電機器300、又は外部給電機器300が接続されたクレードル機器200が接続されたと判断し、USB_D−_A信号21及びUSB_D+_A信号22を使用して、接続された外部給電機器300の種類を判別する。また、携帯機器制御回路部2は、USB_D−_B信号24、USB_D+_B信号25を使用して、クレードル機器制御回路部4と通信を試み、応答があった場合にはクレードル機器200が接続されたと判断し、クレードル機器制御回路部4と通信を行う。
CC1信号26−A及びCC2信号26−Bは、携帯機器100に接続された機器の向きに応じて論理が変化し、携帯機器制御回路部2は、その論理状態から携帯機器100に接続された機器の向きを判別する。そして、携帯機器制御回路部2の内部にあるバススイッチを制御することにより、USB Type−Cコネクタ1を介して出力される各USBインタフェースの信号の接続先を、適切に切り替える。
【0021】
クレードル機器制御回路部4は、クレードル機器200に外部給電機器300が接続されている場合、外部給電機器300から供給されるVBUS電源23によって動作し、外部給電機器300が接続されていない場合は動作しない。クレードル機器制御回路部4は、USB_D−_B信号24及びUSB_D+_B信号25によって携帯機器100と接続し、携帯機器制御回路部2から通信が行われた場合に応答し、通信を行う。また、携帯機器100と接続した際、クレードル機器制御回路部4は、クレードル機器200の接続向きを携帯機器100が判別できるよう、CC信号26を有しており、携帯機器100との接続向きによってCC1信号26−A、CC2信号26−Bの何れかと接続を行う。
【0022】
外部給電機器接続用USBコネクタ5は、ACアダプタ等の外部給電機器300とクレードル機器200とを接続するための物理インタフェースである。クレードル機器200に外部給電機器300が接続された場合、外部給電機器300から外部給電器接続用USBコネクタ5に対して、USB_D−_A信号21、USB_D+_A信号22、及びVBUS電源23が入力される。
【0023】
次に、第1実施形態の携帯機器制御回路部2とクレードル機器制御回路部4の構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、第1実施形態の携帯機器制御回路部とクレードル機器制御回路部の構成を示す機能ブロックの一例を示す図である。
図2において、携帯機器100とクレードル機器200とは表向きに接続されているものと仮定する。ここで、表向きとは、例えば、携帯機器100の操作面とクレードル機器の表示面とが同一面にあるといった、予め定められた一方向の向きを指し、裏向きとは、この予め定められた一方向の向きと180度反対方向の向きを指す。
図2において、携帯機器制御回路部2は、外部給電機器検出回路部51と、携帯機器制御部52と、USBバススイッチ53と、USBバススイッチ54とで構成されている。クレードル機器制御回路部4は、クレードル機器制御部55と、抵抗56とで構成される。なお、
図2では、携帯機器100及びクレードル機器200がそれぞれ有するUSB Type−Cコネクタ1、及び携帯機器接続用USB Type−Cコネクタ3の記載を省略している。
【0024】
外部給電機器検出回路部51は、USBバススイッチ53から出力される信号29−A、信号30−A及びUSBバススイッチ54から出力される信号31−B、信号32−Bの論理状態を監視する。この監視結果により、外部給電機器検出回路部51は、クレードル機器200を介して携帯機器100に接続された外部給電機器300の種類(電源種別)を判別し、その結果を信号28によって携帯機器制御部52に出力する。
【0025】
携帯機器制御部52は、VBUS電源23の有無を監視することにより、外部給電機器300の接続有無を判別する。また、携帯機器制御部52は、CC1信号26−A及びCC2信号26−Bの論理状態を監視することで、携帯機器100に接続されたクレードル機器200の接続向き(表向き又は裏向き)を判別する。接続向きを判別した後、携帯機器制御部52は信号27によってUSBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54を制御し、それぞれに接続されたUSB信号(29−A、29−B、30−A、30−B、31−A、31−B、32−A、32−B)の接続先を切り替える。
【0026】
これにより、表向き又は裏向きの何れの向きでクレードル機器200が携帯機器100に接続された場合であっても、外部給電機器300から出力されるUSB_D−_A信号21、USB_D+_A信号22は、携帯機器制御回路部2の外部給電機器検出回路部51に接続される。また、クレードル機器制御回路部4のクレードル機器制御部55から出力されるUSB_D−_B信号24及びUSB_D+信号25は、携帯機器制御回路部2の携帯機器制御部52に接続される。その後、携帯機器制御部52は、外部給電機器検出回路部51が外部給電機器300の種類(電源種別)を判別した結果を、外部給電機器検出回路部51から出力された信号28により受信する。また、携帯機器100は、USBバススイッチ53又はUSBバススイッチ54を介して、USB_D−_B信号24及びUSB_D+信号25を使用して、接続されたクレードル機器200とUSB通信を開始する。
【0027】
USBバススイッチ53は、携帯機器100に接続されたクレードル機器200から出力されたUSB信号を、信号27の制御に応じて、信号29−A及び信号30−A、若しくは、信号29−B及び信号30−Bの何れかに切り替えて出力する。1つのUSBバススイッチは、外部給電機器検出回路部51と携帯機器制御部52との双方に同時に接続することはできず、例えば、信号29−A及び信号30−Aが使用されている場合、信号29−B及び信号30−Bには何も出力されない。
図2においては、USBバススイッチ53にはUSB_D−_A信号21及びUSB_D+_A信号22が接続されており、このとき、信号27の制御により、USBバススイッチ53は、USB_D−_A信号21及びUSB_D+_A信号22が、信号29−A及び信号30−Aと接続するように切り替えを行う。
【0028】
USBバススイッチ54は、USBバススイッチ53と同様に、携帯機器100に接続されたクレードル機器200から出力されたUSB信号を、信号27の制御に応じて、信号31−A及び信号32−A、若しくは、信号31−B及び信号32−Bの何れかに切り替えて出力する。
クレードル機器制御部55は、外部給電機器300から供給されるVBUS電源23によって動作する。携帯機器100のUSBバススイッチ54からUSB_D−_B信号24及びUSB_D+_B信号25によって通信が行われた場合、クレードル機器200は応答することで携帯機器100との通信を開始する。
【0029】
抵抗56の両端子のうち、片側の端子は外部給電機器300から供給されるVBUS電源23に接続され、もう片側の端子は携帯機器100の携帯機器制御部52に接続される。抵抗56の接続先は、携帯機器100とクレードル機器200との接続向きによって変わり、携帯機器100のCC1信号26−A又はCC2信号26−Bの何れかと接続する。
図2の場合、抵抗56はCC1信号26−Aに接続されており、携帯機器制御部52は、これによりクレードル機器200の接続向きが携帯機器100に対して表向きであると判別する。
【0030】
次に、携帯機器100とクレードル機器200の接続向きに応じた各信号の接続について、
図3A、
図3Bを参照しつつ詳細に説明する。なお、携帯機器100とクレードル機器200との接続向きに依存しない、又は接続向きによって使用しなくなる信号については記載を省略している。
【0031】
図3Aは、携帯機器100とクレードル機器200とが表向きに接続された場合、
図3Bは、携帯機器100とクレードル機器200とが逆向き(裏向き)に接続された場合をそれぞれ示している。
図3Aの場合、携帯機器100とクレードル機器200とは表向きに接続されているため、外部給電機器300から出力されるUSB_D−_A信号21及びUSB_D+_A信号22は、USBバススイッチ53に接続され、USB_D−_B信号24及びUSB_D+_B信号25は、USBバススイッチ54に接続されている。また、抵抗56は、CC1信号26−Aと接続され、論理状態の変化を携帯機器制御部52が監視することにより、USBバススイッチ53は外部給電機器検出回路部51と接続され、USBバススイッチ54は携帯機器制御部52と接続されるように切り替えられる。これにより、外部給電機器300と外部給電機器検出回路部51、クレードル機器制御部55と携帯機器制御部52がそれぞれ接続される。
【0032】
同様に、
図3Bの場合、携帯機器100とクレードル機器200とは逆向き(裏向き)に接続されているため、USBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54の接続先は、
図3Aの場合とは異なっている。携帯機器制御部52がCC2信号26−Bの論理状態を監視することにより、USBバススイッチ53は携帯機器制御部52と接続され、USBバススイッチ54は外部給電機器検出回路部51と接続されるように切り替えられる。これにより、外部給電機器300と外部給電機器検出回路部51、クレードル機器制御部55と携帯機器制御部52がそれぞれ接続される。
【0033】
次に、第1実施形態の動作を、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
図4は、携帯機器100とクレードル機器200とを接続した後、クレードル機器200に外部給電機器300を接続し、携帯機器制御部52がクレードル機器200の接続向きを判別する処理、接続向きに応じて携帯機器制御部52がUSBバススイッチの切り替えを行う処理、携帯機器100が外部給電機器300の種類を判別し、クレードル機器200との間の通信を開始するまでの処理を示したものである。
【0034】
ステップS1の処理で、携帯機器100とクレードル機器200とを接続する。この時点では、クレードル機器200に外部給電機器300が接続されていないため、VBUS電源23が供給されていない。よって、携帯機器100はクレードル機器200の接続向きを判別することができない。
ステップS2の処理で、クレードル機器200に外部給電機器300を接続する。
ステップS3の処理で、外部給電機器300からクレードル機器200と携帯機器100に対してVBUS電源23が供給される。これにより、クレードル機器200が動作を開始する。
ステップS4の処理で、携帯機器制御部52はCC1信号26−A及びCC2信号26−Bの論理状態を確認し、どちらの論理が変化したかによって携帯機器100に対するクレードル機器200の接続向きを判別する。CC1信号26−Aの論理が変化した場合(ステップS4:CC1信号26−A)は、クレードル機器200が表向きに接続されたと判断し、ステップS5の処理へ移行する。CC2信号26−Bの論理が変化した場合(ステップS5:CC2信号26−B)は、クレードル機器200が裏向きに接続されたと判断し、ステップS6の処理へ移行する。
【0035】
ステップS5の処理で、携帯機器制御部52は、信号27を制御することによりUSBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54の接続先を切り替える。これにより、USBバススイッチ54と携帯機器制御部52が接続され、USBバススイッチ53と外部給電機器300が接続される。これ以降の処理はステップS7の処理へ移行する。
ステップS6の処理で、携帯機器制御部52は、信号27を制御することによりUSBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54の接続先を切り替える。これにより、USBバススイッチ53と携帯機器制御部52が接続され、USBバススイッチ54と外部給電機器300が接続される。
【0036】
ステップS7の処理で、それぞれ接続先が切り替えられたUSBバススイッチ53、USBバススイッチ54によって、外部給電機器300と外部給電機器検出回路部51、クレードル機器制御部55と携帯機器制御部52がそれぞれ接続される。
ステップS8の処理で、外部給電機器検出回路部51は、クレードル機器200に接続された外部給電機器300の種類を判別し、携帯機器制御部52に対して信号28を出力する。
ステップS9の処理で、携帯機器制御部52はクレードル機器制御部55に対してUSB通信を行い、クレードル機器55からの応答を確認した後、通信を開始して処理を終了する。
【0037】
本実施形態によれば、外部給電機器300を検出する回路(外部給電機器検出回路部51)をクレードル機器200に設けることなく、携帯機器100で、クレードル機器200に接続されている外部給電機器300を判別することができる。要するに、クレードル機器300に外部給電機器300を検出するための専用回路を設ける必要がないので、その分、実装面積を減らせると共にコストを抑えることができる。
また、端子数の多い特殊なコネクタを採用した場合は、携帯機器100の小型化を図ることができないが、本実施形態では、携帯機器100とクレードル機器200との間を接続する物理的なインタフェースとして、標準的なインタフェース(コネクタ)であるUSB Type−Cコネクタを使用している。本実施形態によれば、携帯機器100に近年搭載されているUSB Type−Cコネクタを採用しつつ、外部給電機器300やクレードル機器200と接続することが可能であるため、携帯機器100の小型化を図ることができる。
【0038】
さらに、USBインタフェースを使用する外部給電機器300は、USB BCの規格に限定されることなく、さらに別の規格に変更される可能性が高い。そのため、外部給電機器300を検出する回路(外部給電機器検出回路51)は、インタフェースの規格が変わる度に設計変更が要求される。本実施形態では、携帯機器100においてのみ外部給電機器300の判別を行うため、外部給電機器300の仕様や規格が変わった場合であっても、クレードル機器200側での対応は不要となる。
【0039】
また、本実施形態では、携帯機器100にUSBバススイッチを設けているが、USB Type−C規格において、接続向きの検出と接続先の切り替えは、用途次第では必須要件となるため、特殊な部品を採用することなく汎用的な部品であるUSBバススイッチを採用することは、設計上大きな負荷にはならないという利点がある。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による携帯機器とクレードル機器の全体構成を説明する。
図5は、本発明の第2実施形態の携帯機器とクレードル機器の全体構成を示す機能ブロックの一例を示す図である。
図5を参照すると、第1実施形態では、外部給電機器300から出力されるUSB_D−_A信号21、USB_D+_A信号22は、クレードル機器200を介して携帯機器100に入力されていたが、本実施形態では、クレードル機器200のクレードル機器制御回路部40に入力されている。また、第1実施形態と比較して、携帯機器100とクレードル機器200との間に、信号29(29−A、29−B)、信号30(30−A、30−B)、信号31(31−A、31−B)、信号32(32−A、32−B)、及びSBU信号33が追加になっている。また、基本的には第1実施形態の
図1に示した構成を有するものであるが、携帯機器制御回路部20及びクレードル機器制御回路部40が第1実施形態と異なっている。この異なる点について、以下説明する。
【0041】
図6を参照して、第2実施形態の携帯機器制御回路部とクレードル機器制御回路部の構成を説明する。第1実施形態と異なり、USBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54は、クレードル機器制御回路部40内に搭載されている。第1実施形態と同様に、携帯機器100とクレードル機器200の接続向きに応じて、外部給電機器300と外部給電機器検出回路部51、クレードル機器制御部55と携帯機器制御部52がそれぞれ接続される。
図7Aに、携帯機器100とクレードル機器200が表向きで接続された場合の一例、
図7Bに、携帯機器100とクレードル機器200が裏向きで接続された場合の一例を示す。
【0042】
USBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54の制御は携帯機器制御部52から行う必要があるが、USB Type−Cコネクタには用途が未定義の端子としてSBU端子が準備されている。本実施形態ではその端子を使用することにより、携帯機器制御部52がSBU信号33を出力することにより、USBバススイッチの制御を行うこととしている。このSBU端子は、他のUSB Type−Cコネクタの端子と同様に二組存在し、接続向きに応じて接続先が変化するが、SBU端子の二組すべてをSBU信号33として使用することにより、携帯機器100とクレードル機器200の接続向きに無関係にUSBバススイッチの制御を行うことができる。
【0043】
第1実施形態では、携帯機器100にUSBバススイッチを設けていたが、第2実施形態ではSBU信号33を使用することにより、USBバススイッチをクレードル機器200に搭載した場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。上記効果に加え、USBバススイッチを携帯機器100に非搭載とすることによる携帯機器100のサイズの小型化や、携帯機器100の低消費電力化を図ることも可能になる。
【0044】
このように、上記第1及び第2本実施形態では、携帯機器とクレードル機器とを接続するインタフェースとして、専用のコネクタを使用することに代えて、外部給電機器との接続と併用可能なUSB Type−Cコネクタを使用している。そして、クレードル機器に外部給電機器を判別する回路を設けず、携帯機器において外部給電機器を判別することとし、かつ、携帯機器とクレードル機器との間の通信も同時に可能としている。
【0045】
上記第1及び第2実施形態は、携帯機器と、携帯機器と接続するための物理インタフェースとして、USBコネクタを有するクレードル機器とに対して適用することとして説明を行っている。上記説明したUSBコネクタ以外でも、特定のインタフェース用のコネクタのみで、携帯機器とクレードル機器とを接続する場合にも広く適用可能である。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による携帯機器とクレードル機器の全体構成を説明する。
図8は、本発明の第3実施形態の携帯機器とクレードル機器の全体構成を示す機能ブロックの一例を示す図である。
本実施形態は、携帯機器100とクレードル機器200と給電機器350とから構成されている。携帯機器100は、接続部101と、接続監視部102と、向き監視部103と、第1経路104と、第2経路105と、経路選択部106と、判別部107とから構成されている。
【0047】
接続部101には、クレードル機器200が接続される。接続監視部102は、接続部101に接続されたクレードル機器200に対し給電機器350が接続されたかどうかを判別する。向き監視部103は、接続監視部102によりクレードル機器200に対し給電機器350が接続されたことが判別されると、接続部101に接続されたクレードル機器200の向きを判別する。向き監視部103によりクレードル機器200の向きが判別されると、経路選択部106は、クレードル機器200の向きに応じて、給電機器350から出力される信号の入力経路として第1経路104(又は第2経路105)を選択する。また、経路選択部106は、クレードル機器200から出力される信号の入力経路として、第1経路と第2経路とのうち、給電機器350から出力される信号の入力経路として選択された経路とは異なる経路(第2経路105(又は第1経路104))を選択する。判別部107は、第1経路104(又は第2経路105)を経て入力された給電機器350から出力される信号に基づいて、給電機器350の種類を判別する。
【0048】
本実施形態における接続監視部102、向き監視部103、経路選択部106は、第1及び第2実施形態における携帯機器制御部52で実現される。第1経路104及び第2経路105は、第1及び第2実施形態におけるUSBバススイッチ53及びUSBバススイッチ54で実現される。判別部107は、第1及び第2実施形態における外部給電機器検出回路部51で実現される。
【0049】
本実施形態によれば、携帯機器は、携帯機器に接続されたクレードル機器に給電機器が接続されたことを判別すると、クレードル機器の向きを判別し、その向きに応じて給電機器から出力される信号の経路を選択している。そして、携帯機器は、選択した経路を経て入力された給電機器から出力される信号に基づいて、給電機器の種類を判別している。これにより、携帯機器は、携帯機器とクレードル機器との接続向きにかかわらず、クレードル機器に接続された給電機器の電源種別を検出することができるのである。
【0050】
なお、携帯機器100の図示しない記憶部に格納されているプログラムは、記録媒体で提供されてもよく、また、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。記録媒体は、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体であって、磁気、光、電子、電磁気、赤外線などを用いて情報の記録又は読み取りが可能な媒体を含む。そのような媒体として、例えば、半導体メモリ、半導体または固体の記憶装置、磁気テープ、取外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM(Random Access Memory))、読出し専用メモリ(ROM(Read Only Memory))、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。
【0051】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。