特許第6548320号(P6548320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548320
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】グリップボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20190711BHJP
   B65D 23/10 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   B65D1/02 221
   B65D23/10 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-22752(P2015-22752)
(22)【出願日】2015年2月7日
(65)【公開番号】特開2016-145056(P2016-145056A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143122
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 功雄
(72)【発明者】
【氏名】名定 重剛
(72)【発明者】
【氏名】川村 伸生
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−008190(JP,A)
【文献】 特表2009−536598(JP,A)
【文献】 特開2007−119038(JP,A)
【文献】 特開2007−269392(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/043956(WO,A1)
【文献】 特開2007−145378(JP,A)
【文献】 実開昭56−097209(JP,U)
【文献】 特開2014−019466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を形成する容器本体に内方へ窪む2つの指掛凹部が対向状に形成されており、これら2つの指掛凹部の一部と当該両指掛凹部間で外方へ張り出す柱状壁部とでグリップが構成されたグリップボトルにおいて、
前記グリップの柱状壁部が内方へ入り込むように形成されていると共に、
前記グリップにおける両周方向頂部間のグリップ幅をTとし、当該グリップの軸方向長さをLとしたときに次式を満たし
前記各指掛凹部は、底部と、この底部の周囲に形成された環状面と、この環状面のさらに外側に形成された周面とで構成され、当該環状面に、当該底部を中心として放射状に延びる複数の内リブが形成され、当該周面に、外側に向かって延びる複数の外リブが形成されていることを特徴とするグリップボトル。
(T/L)=0.6〜0.8
【請求項2】
前記グリップ横断面において、前記各指掛凹部内の前記柱状壁部側に形成された各指掛面と、当該柱状壁部の外縁面と、が交差する、当該グリップの各周方向頂部のなす角度が75°〜100°である請求項1に記載のグリップボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料物や調味料、酒、食用油などを入れる大容量の樹脂製のボトルに関し、内方へ窪む2つの指掛凹部を形成することでグリップが一体的に構成されているグリップボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
内容物が充填された大容量のボトルでは、重量が大きくなることに加えて容器寸法も大型となるため、片手で持ち易いようにグリップ機能を付加したものが普及している。その一つとして、容器本体に別体の取手を取り付けたグリップボトルがある。しかし、このようなボトルでは、取手の分だけ樹脂量が増加し、取手を取り付けるための工程を要することなどから製造コストが増大する。これを解決し、さらに環境保全の要請に応えられるものとして、収容空間を形成する容器に内方へ窪む2つの指掛凹部を形成し、これら2つの指掛凹部の一部と当該両指掛凹部間で外方へ張り出す柱状壁部とでグリップを一体に構成したグリップボトルが知られている。
【0003】
このグリップボトルでは取手を取り付ける工程が不要であり、かつ成形し易いため、製造コストの上昇を抑えることができる。また、需用者は容器に形成された2つの指掛凹部に指先を入れ、両指掛凹部間の柱状壁部を包み込むように握ることで、容易かつ安全にグリップボトルを持つことができる。そのため、家庭で使う醤油などの調味料や油を、大容量のグリップボトルに収容した製品が店頭に多く置かれている。
【0004】
特許文献1には、容器本体の胴部周りの対向領域に凹部が形成され、その相互間の全領域が把持部とされる容器であって、両側の凹部に、把持する際の引っ掛かり部分を形成する2段階の段差が設けられたグリップボトルが記載されている。この文献によれば、容器本体の胴部に設けた凹部を2段階の段差で区画することで、指先に力を入れることなく確実に保持できるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3839672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のグリップボトルにおける凹部とその相互間の全領域で構成したグリップでは、凹部内の周方向に延びる突状部に手の第3指や第4指をあてて持つことが考えられる。しかし、グリップの上部は幅広となっていることなどから、凹部内への指の入り込みが少ないことや、凹部内での指のフィット感が不足することで握り難さが生じる。そのため、握っている指に過大な負担がかかり、大容量であるグリップボトルを安定した状態で持つことができないといった問題がある。
【0007】
本発明は従来技術の問題点に鑑み、グリップを握り易くして、安定した状態で持つことができるグリップボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のグリップボトルは、収容空間を形成する容器本体に内方へ窪む2つの指掛凹部が対向状に形成されており、これら2つの指掛凹部の一部と当該両指掛凹部間で外方へ張り出す柱状壁部とでグリップが構成されたグリップボトルにおいて、前記グリップの柱状壁部が内方へ入り込むように形成されていると共に、前記グリップにおける両周方向頂部間のグリップ幅をTとし、当該グリップの軸方向長さをLとしたときに次式を満たし、前記各指掛凹部は、底部と、この底部の周囲に形成された環状面と、この環状面のさらに外側に形成された周面とで構成され、当該環状面に、当該底部を中心として放射状に延びる複数の内リブが形成され、当該周面に、外側に向かって延びる複数の外リブが形成されていることを特徴とするものである。
(T/L)=0.6〜0.8
【0009】
本発明のグリップボトルによれば、グリップ幅Tをグリップ軸方向長さLで除した数値が0.6〜0.8となるグリップを形成しているため、グリップ幅に起因する掴み幅と、グリップ軸方向長さに起因する握り長さのバランスが良好なものとなる。そのため、グリップボトルを持ったときの握り易さが向上し、指に過大な負担がかかることもなく、かつ安定した状態で持つことができる。さらに、グリップの柱状壁部が内方へ入り込むように形成されていることで、グリップを握ったときのフィット感が向上し、より安定した状態でグリップボトルを持つことができる。
【0010】
前記グリップ横断面において、前記各指掛凹部内の前記柱状壁部側に形成された各指掛面と、当該柱状壁部の外縁面と、が交差する、当該グリップの各周方向頂部のなす角度が75°〜100°であることが好ましい。各指掛凹部へ指を回し込んだときに、指が引っ掛かり易くなる。そのため、大容量のグリップボトルを持ち上げたときに、しっかりと持つことができ、グリップボトルを持つ際の安定感を高めることができる。
【0011】
前記各指掛凹部の底部の周囲に、当該底部を中心として放射状に延びる複数のリブが形成されている。グリップボトルでは、落下時の衝撃などによって指掛凹部が外方に突出するバックリング現象を生じることが知られている。各指掛凹部の底部の周囲に放射状に延びる複数のリブを形成することで、このようなバックリング現象を抑えることができ、それと共に各指掛凹部内での指の滑りも防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グリップ幅に起因する掴み幅と、グリップ軸方向長さに起因する握り長さのバランスが良好なものとなり、グリップボトルを持ったときの握り易さが向上し、指に過大な負担がかかることもなく、かつ安定した状態で持つことができる。グリップを内方へ入り込ませることで、グリップを握ったときのフィット感が向上し、より安定した状態でグリップボトルを持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るグリップボトルの背面図である。
図2図1のグリップボトルの側面図である。
図3図1のグリップボトルの正面図である。
図4図3のA−A線断面図である。
図5】グリップボトルのコンピュータグラフィックで表した正面図、側面図、背面図及び縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1図3はそれぞれ本発明の一実施形態に係るグリップボトル1の背面図、側面図、正面図であり、図4図3のA−A線断面図である。図5はグリップボトル1のコンピュータグラフィックで表した正面図、側面図、背面図及び縦断面図である。以下の説明において、図1上下に対応する方向を単に上下又は縦とし、図1左右に対応する方向を単に左右又は横とする。グリップボトル1は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて2軸延伸ブロー成形などの成形法によって成形されたものである。
【0015】
本実施形態のグリップボトル1は、上下全長:約400mm、最大経:約140mmの大容量に構成されているものであり、キャップが装着される口部2と、この口部2から下方に向けて広がる肩部3と、この肩部3の下端から全体として略同径で下方へ長く形成された胴部4と、この胴部4の下側の底部5とで構成されている。口部2以外の、肩部3、胴部4及び底部5で容器本体6が構成されている。
【0016】
口部2には、雄ねじ2aやサポートリング2bなどが設けられており、当該口部2にキャップが装着されてグリップボトル1が密閉される。肩部3の周面には、環状に連なる複数の区画壁7が構成されている。各区画壁7は、図4に示す軸芯Xを中心として40°の角度をもって広がっており、直線状の左右両辺7a、7aと上下に膨らむ曲線状の上下両辺7b、7bで構成されている。
【0017】
肩部3と胴部4との境目には、第1環状溝8とその下側の第2環状溝9が形成されている。第1環状溝8で肩部3と胴部4とが区画されている。胴部4とその下側の底部5との境目にも、同様の溝として第3環状溝10が形成されており、この第3環状溝10が胴部4と底部5とを区画している。底部5の周面は軸方向断面アール状となっており、設置面5aの内側は内方へ窪んでいる。底部5の周面には、縦方向の複数の小リブ11が形成されており、底部5の強度を向上させている。
【0018】
胴部4は内部に大容量の収容空間を有している。図2のように胴部4は正面側半体の正面部12と、背面側半体の背面部13とに大きく分けられる。図3のように正面部12の広範囲に、ラベルを添付するためにラベル領域14が正面視四方形状に形成されている。ラベル領域14の表面は、胴部4の外面4aと略面一となっている。ラベル領域14の周囲には、当該ラベル領域14と他の部分とを区画する区画溝15が形成されている。区画溝15の幅は、第1環状溝8や第2環状溝9の幅よりも広くなっている。図2のように区画溝15は背面部13にかかる左右の一部で消失しており、当該区画溝15の下側部分が背面部13側の中途まで延びており、容器本体6の強度を向上させている。
【0019】
ラベル領域14は、正面部12に大きく広がって形成されており、商品名などが表示されたラベルを添付するための広い領域が確保されている。ラベル領域14内には、図3のように周方向に延ばされた複数の横リブ16が形成されている。複数の横リブ16は、縦2列の各列5個で構成されており、各横リブ16は正面視で長楕円状となっている。
【0020】
各列の5個の横リブ16のうち、中3個の横リブ16は上下各1個の横リブ16よりも少し長く形成されている。ラベル領域14内の左右には、複数の横リブ16が存在する上下方向領域に渡る長さの複数の縦溝17が形成されている。複数の縦溝17は、横リブ16群の一方側に形成された同じ長さの2個の縦溝17、17と、他方側に形成された同じ長さの2個の縦溝17、17で構成されている。これら複数の横リブ16及び左右の複数の縦溝17によって、成形後に成形体の収縮によって生じるヒケが防止される。ラベル領域14のヒケを防止することによって、ラベル貼付時のラベルのシワを無くすことができ、製品価値を向上させることができる。軸方向に延びた複数の縦溝17の存在によって、ヒケ防止と共に容器本体6の強度をも向上させることができる。
【0021】
縦溝17はラベル領域14の軸方向高さの65%以上の長さを有していることが好ましい。縦溝17の幅は0.3〜1.2mmが好ましく、より好ましくは0.5〜0.7mmである。縦溝17の深さは0.1〜0.6mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.4mmである。本実施形態では、複数の横リブ16群の左右にそれぞれ2個ずつの縦溝17を形成しているが、このような形態に限定するものではない。縦溝17の数は左右1個ずつとしてもよく、左右3個ずつ又は左右にそれ以上の数を形成してもよい。例えば内側と外側で長さを変えるなど、互いに長さを変えた複数の縦溝を形成してもよい。本実施形態では、縦溝を軸方向に沿って形成しているが、若干傾けて形成してもよい。例えば左右の縦溝を、それぞれ下方に向かうに従って広がるか又は狭まるように傾斜させてもよい。
【0022】
胴部4のラベル領域14と反対側である背面部13には、内方へ窪んだ同形状の2つの指掛凹部20、20が対向状に形成されている。これら2つの指掛凹部20、20の一部と当該両指掛凹部20、20間で外方へ張り出す柱状壁部21とでグリップ22が構成されている。図4の断面図に示すように各指掛凹部20は全体として、内方へ最も窪んでいる最深箇所から外方へ向かって外側へ広がように形成されている。
【0023】
図2のようにグリップ22の柱状壁部21の軸方向両端部21a、21aは中央へ向かうに従って滑らかに傾斜しており、当該柱状壁部21は内方へ入り込むように形成されている。柱状壁部21の軸方向中央部21bは、側面視で直線状に形成されている。従って図4のように、柱状壁部21は軸芯Xを中心として胴部4に沿って描かれる仮想円P1よりも内側に存在している。図4の断面図で、軸芯Xから最も離れている柱状壁部21までの寸法Sは仮想円P1の半径(D2/2)の約90%となっている。寸法Sは仮想円P1の半径(D2/2)の70〜95%が好ましい。即ちグリップ22が、グリップボトル1の重心に近づくことになり、安定した状態でグリップボトル1を持つことができる。
【0024】
柱状壁部21には、周方向に延びる4本のグリップ溝23が形成されている。これらグリップ溝23は、図1の背面図においてグリップ22の左右方向幅に渡る長さで形成されている。4本のグリップ溝23のうち最上のグリップ溝23は柱状壁部21の上端に形成されており、残りの3本のグリップ溝23は等間隔で柱状壁部21の中央に形成されている。
【0025】
グリップ22の上側には、グリップ溝23よりも周方向に長く延びる上溝24が形成されている。これら複数のグリップ溝23と上溝24の存在によって、グリップ22とその周辺部の強度を向上させている。複数のグリップ溝23によって、グリップ22を握ったときの手の平の滑りを防ぐこともできる。図1のようにグリップ22の下側には、当該下側の領域26を大きく横切る山型の山型溝25が形成されている。山型溝25の両端部は、背面部13側の中途まで延びた区画溝15の下側部分に軸方向で重なっている。この山型溝25の存在によって、グリップ22の下側の領域26の強度を高めることができる。
【0026】
グリップ22における両周方向頂部22a、22a間のグリップ幅をTとし、当該グリップ22の軸方向長さをLとしたときに次式を満たしている。
(T/L)=0.6〜0.8
グリップ幅Tとグリップ軸方向長さLがこの関係式を満たしていることで、グリップ幅Tに起因する掴み幅と、グリップ軸方向長さLに起因する握り長さとのバランスを良好なものとすることができる。
【0027】
図4のようにグリップ22は横断面視で扇状に形成されており、外側の柱状壁部21と、両指掛凹部20、20の一部とで構成されている。各指掛凹部20内の柱状壁部21側に形成された各指掛面27が、当該各指掛凹部20の底部28に向かって急な角度で傾斜している。本実施形態では両周方向頂部22a、22aのなす角度θは約80°となっている。各指掛面27は、本実施形態では図4のとおり略平面状となっているが、内方へ入り込ませるように形成してもよく、外方へ若干膨らむように形成してもよい。両指掛面27、27が急な角度で傾斜していることによって、2つの指掛凹部20、20へ指を回し込んだときに、指が引っ掛かり易くなる。両周方向頂部22a、22aのなす角度θは好ましくは75°〜100°である。このような角度で両指掛面27、27を形成することで、指の引っ掛かりが非常に良好なものとなる。
【0028】
図4のようにグリップ22は、横断面において胴部4の半体域50内(図4の上側の半体域)で構成されている。それと共に、各指掛凹部20、20における軸芯X側へ最接近した接近部51が、その半体域50内に存在している。図4では軸芯Xを中心とし、両指掛凹部20、20の接近部51、51に外接する仮想円P2が描かれている。仮想円P2の直径D1は、胴部4の直径D2の20%〜50%であることが好ましく、より好ましくは30%〜40%である。仮想円P2の直径D1が胴部4の直径D2の20%よりも小さいと、両指掛凹部20、20が胴部4側へ入り込み過ぎてしまい、仮想円P2の直径D1が胴部4の直径D2の50%よりも大きいと、両指掛凹部20、20が胴部4側から離れ過ぎてしまう。
【0029】
仮想円P2の直径D1が胴部4の直径D2の20%〜50%とされていれば、2つの指掛凹部20、20が胴部4側へ入り込み過ぎることがなく、当該両指掛凹部20、20が胴部4側から離れ過ぎることもない。これにより、胴部4の横断面における収容面積が小さくならず、高さを大きくする必要がない。さらに、グリップボトル1を持ったときに力をかけ易くなり、安定感が向上する。
【0030】
図2のように各指掛凹部20は、最も深い部分である底部28と、この底部28の周囲に形成された環状面29と、この環状面29のさらに外側に形成された略C型状の周面30とで構成されている。環状面29と周面30との間には環状の区分部31が形成されている。底部28には、当該底部28の強度を高めるための縦方向に並んだ3個の窪み32が形成されている。環状面29には、底部28を中心として放射状に延びる複数の内リブ33(リブ)が形成されている。これら内リブ33は、底部28を中心として略等間隔で広がっており、当該底部28から区分部31まで延びている。本実施形態では、環状面29に12個の内リブ33が形成されている。
【0031】
内リブ33の長さは8〜30mmが好ましく、より好ましくは13〜23mmである。内リブ33の幅は1.5〜3.5mmが好ましく、より好ましくは2.0〜3.0mmである。内リブ33の深さは0.5〜2.0mmが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5mmである。底部28の周囲に形成する内リブ33の数は、7個〜15個が好ましい。
【0032】
環状面29の外側の略C型状の周面30にも、外側に向かって延びる複数の外リブ34(リブ)が形成されている。複数の外リブ34のうち、上下側の複数の外リブ34は外側に向かって広がるように延びており、横側の複数の外リブ34は同じ横方向に延びている。本実施形態では、上下側の複数の外リブ34は、上下それぞれ3個ずつで構成されており、横側の複数の外リブ34は3個で構成されている。各内リブ33と各外リブ34は、一部の複数の内リブ33を除いて、当該各内リブ33の外端と、当該各外リブ34の内端が対峙するように配置されている。
【0033】
外リブ34の長さは7〜22mmが好ましく、より好ましくは10〜19mmである。外リブ34の幅は2〜6mmが好ましく、より好ましくは3〜5mmである。外リブ34の深さは1.0〜3.0mmが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5mmである。内リブ33の周囲に形成する外リブ34の数は、好ましくは4個〜12個である。内リブ33と外リブ34がこのような寸法及び数で形成されていることによって、落下時の衝撃などで各指掛凹部20が外方に突出するバックリング現象を効果的に抑えることができる。
【0034】
バックリング現象の改善効果を確認するために落下試験を実施した。実施例として、本実施形態のグリップボトルを製作し、比較例として、各指掛凹部内にリブの無い点以外は本実施形態と同形状のグリップボトルを製作した。30℃の水を充填し、これを常温で1日保管した後、落下試験を実施した。高さ40cmの位置からグリップボトルを垂直状態及び水平状態で各3個ずつ落下させ、バックリング現象の有無を確認した。その結果、実施例では全てのグリップボトルでバックリング現象が認められず、比較例では顕著なバックリング現象が認められた。
【0035】
本実施形態のグリップボトル1によれば、グリップ幅Tをグリップ軸方向長さLで除した数値が0.6〜0.8となるグリップ22を形成しているため、グリップ幅Tに起因する掴み幅と、グリップ軸方向長さLに起因する握り長さとのバランスが良好なものとなる。そのため、グリップボトル1を持ったときの握り易さが向上し、指に過大な負担がかかることもなく、かつ安定した状態で持つことができる。さらに、グリップ22の柱状壁部21が内方へ入り込むように形成されていることで、グリップ22を握ったときのフィット感が向上し、より安定した状態でグリップボトル1を持つことができる。
【0036】
各指掛面27を各指掛凹部20の底部28に向かって急な角度で傾斜させていることで、両指掛凹部20、20へ指を回し込んだときに、指が引っ掛かり易くなる。そのため、大容量のグリップボトル1を持ち上げたときに、しっかりと持つことができ、グリップボトル1を持つ際の安定感を高めることができる。
【0037】
2つの指掛凹部20の底部28の周囲に、当該底部28を中心として放射状に延びる複数のリブ33、34が形成されているため、落下時の衝撃などで指掛凹部20が外方に突出するバックリング現象を抑えることができる。それと共に各指掛凹部20内での指の滑りも防ぐことができる。特に本実施形態では、内側の内リブ33と外側の外リブ34が別の区域に形成されているため、バックリング現象をより効果的に低減することができ、グリップ22を握ったときの指の感覚を向上させることができる。
【0038】
本実施形態のグリップボトルは本発明を例示したものであり、口部、胴部、底部の形状、寸法、構成する樹脂、成形方法などは適宜変更されるものである。2つの指掛凹部を互いに異なる形状として、グリップを左右非対称に形成してもよい。底部の小リブ、ラベル領域の横リブ、縦溝、グリップ溝、上溝、山型溝、指掛凹部の窪み、内リブ、外リブの形状、数、大きさ、配置は限定するものではなく、適宜変更することができる。グリップボトルの層構造は限定するものではなく、単層構造以外に、内外層間の中間層にバリヤー層を挟んだ複数構造としてもよく、複数の樹脂をブレンドした材料で単層、複層構造としたものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 グリップボトル
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 底面
6 容器本体
7 区画壁
8 第1環状溝
9 第2環状溝
10 第3環状溝
11 小リブ
12 正面部
13 背面部
14 ラベル領域
15 区画溝
16 横リブ
17 縦溝
20 指掛凹部
21 柱状壁部
21a 軸方向端部
22 グリップ
22a 周方向頂部
23 グリップ溝
24 上溝
25 山型溝
27 指掛面
28 底部
29 環状面
30 周面
32 窪み
33 内リブ
34 外リブ
X 軸芯
T グリップ幅
L グリップ軸方向長さ
P1、P2 仮想円
D1 仮想円P2の直径
D2 胴部の直径
S 軸芯から柱状壁部の寸法
図1
図2
図3
図4
図5