(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548327
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】除雪機
(51)【国際特許分類】
E01H 5/09 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
E01H5/09 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-154620(P2015-154620)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-31732(P2017-31732A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】中山 有二
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 弘
(72)【発明者】
【氏名】杉原 敦
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−013439(JP,A)
【文献】
実開昭63−065725(JP,U)
【文献】
米国特許第06367176(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/00〜 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーガで集められた雪を羽根の回転によって外部に排出させる除雪機において、
ブロワケースの内側で前記羽根を回転させるブロワ回転軸と、
当該ブロワ回転軸と所定の隙間を隔てて当該ブロワ回転軸の外側を覆うように前記ブロワケースに取り付けられた筒状部と、
当該筒状部の外側表面に沿って回転可能に取り付けられる羽根と、
前記筒状部から突出するブロワ回転軸と前記羽根とを連結する連結部とを備え、
前記ブロワ回転軸を回転させることによってブロワ回転軸から突出する連結部を回転させ、前記筒状部の外側表面に沿って前記羽根を回転させるようにしたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記連結部が、筒状部の端部開口部を覆うフランジ部を有するものであり、当該フランジ部を介して羽根を連結させるようにしたものである請求項1に記載の除雪機。
【請求項3】
前記連結部と前記羽根を有するブロワとをシェアボルトを介して連結した請求項2に記載の除雪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪機に関するものであり、より詳しくは、オーガで集められた雪を外部に排出させるブロワの取り付け構造に特徴を有する除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、除雪機は、
図6に示すように、路面の雪を集めるオーガ91と、そのオーガ91によって集められた雪をシューター98から外部に排出するためのブロワ92とを備えて構成されている。このうち、オーガ91は外部からの駆動軸90の回転力をミッション93を介して車体の左右方向の回転力に変換させ、左右方向に設けられたオーガ回転軸94を回転させて雪を中央方向に集められるように構成されている。一方、ブロワ92は、車体の前後方向のブロワ回転軸95を中心として回転する回転体96上に複数の羽根97を起立させるように設けられており、この回転体96を高速回転させることによって、回転する羽根97で雪を上方のシューター98側に排出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−55116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなブロワ92を用いて雪を外部に排出させる場合、次のような問題を生ずる。
【0005】
すなわち、通常、ブロワ92の羽根97には、オーガ91によって集められた雪が当たるため、その雪によって、
図5に示すように、ブロワ回転軸95に捻り応力が発生してしまう。また、回転体96に立設された羽根97で雪が上方へと排出されるため、その反力によってブロワ92に下に向かう力が働くとともに、雪に混入する小石が羽根97とケーシング99の間に挟まってしまうと、大きな曲げ応力がブロワ回転軸95に発生してしまう。このため、これらの応力がブロワ回転軸95に掛かって、ブロワ回転軸95が折れやすくなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、ブロワ回転軸が折れないようにした除雪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、オーガで集められた雪を
羽根の回転によって外部に排出させる除雪機において、
ブロワケースの内側で前記羽根を回転させるブロワ回転軸と、当該ブロワ回転軸と所定の隙間を隔てて当該ブロワ回転軸の外側を覆うように
前記ブロワケースに取り付けられた筒状部と、当該筒状部の外側表面に沿って回転可能に取り付けられる
羽根と、前記筒状部から突出するブロワ回転軸と前記
羽根とを連結する連結部とを備え、前記ブロワ回転軸を回転させることによってブロワ回転軸から突出する連結部を回転させ、前記筒状部の外側表面に沿って
前記羽根を回転させるようにしたものである。
【0008】
このように構成すれば、ブロワ回転軸には捻り応力しか働かず、曲げ応力については筒状部
を介してブロワケースで受けることができるため、ブロワ回転軸に掛かる応力を分散させて折れを防止することができるようになる。
【0009】
このような発明において、前記連結部を、筒状部の端部開口部を覆うフランジ部を有するように構成し、当該フランジ部を介して
前記羽根を連結させるようにする。
【0010】
このように構成すれば、筒状部とブロワ回転軸の隙間をフランジ部で塞ぐことができるため、その隙間に雪が侵入することを防止することができる。
【0011】
また、前記連結部と
前記羽根を有するブロワとをシェアボルトで連結する。
【0012】
このように構成すれば、ブロワに大きな負荷が掛かった場合であっても、シェアボルトを破断させて、ブロワ回転軸へ大きな負荷を掛けないようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オーガで集められた雪を
羽根の回転によって外部に排出させる除雪機において、
ブロワケースの内側で前記羽根を回転させるブロワ回転軸と、当該ブロワ回転軸と所定の隙間を隔てて当該ブロワ回転軸の外側を覆うように
前記ブロワケースに取り付けられた筒状部と、当該筒状部の外側表面に沿って回転可能に取り付けられる
羽根と、前記筒状部から突出するブロワ回転軸と前記
羽根とを連結する連結部とを備え、前記ブロワ回転軸を回転させることによってブロワ回転軸から突出する連結部を回転させ、前記筒状部の外側表面に沿って
前記羽根を回転させるようにしたので、ブロワ回転軸に捻り応力のみを働かせ、曲げ応力については筒状部
を介してブロワケースで受けるようにすることができる。これにより、ブロワ回転軸に掛かる応力を分散させて折れを防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態における除雪機をトラクターに連結させた図
【
図6】従来例を示す除雪機をトラクターに取り付けた状態図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
この実施の形態における除雪機1は、
図1に示すように、トラクター8の後部に連結されて使用されるものであって、オーガ21によって雪を中央方向に集める集雪部2と、そのオーガ21によって集められた雪を上方に叩き上げてシューター4から外部へ排出させるブロワ3とを備えて構成されている。そして、特徴的に、このブロワ3をブロワ回転軸31に取り付ける際に、ブロワ回転軸31をブロワケース30の内側に設けた筒状部37に所定の隙間を空けて挿入し、その筒状部37から突出する先端側に設けられた連結部34を介してブロワ3と連結させ、そのブロワ3を筒状部37の外側表面に沿って回転させるようにしたものである。以下、本実施の形態における除雪機1の構造について詳細に説明する。なお、説明の関係上、除雪機1について説明する場合、トラクター8を後進させた際の進行方向を前方とし、その逆方向を後方として説明する。
【0017】
まず、集雪部2は、
図2などに示すように、左右対称形状をなすオーガ21を回転させることで、雪を中央方向に集められるようにしたものであって、オーガ21を覆うハウジング20(
図3参照)と、そのハウジング20の左右両壁に回転可能に支持されるオーガ回転軸22と、そのオーガ回転軸22に左右対称となるように取り付けられる螺旋状のオーガ21を備えて構成されている。このオーガ回転軸22の一端側は、ハウジング20の一方の壁面にベアリングを介して回転可能に取り付けられており、他端側はベアリングから突出する端部にスプロケット23を取り付けて回転駆動させるようになっている。そして、スプロケット23をチェーン24で回転させることにより、オーガ回転軸22を側方から回転駆動させ、これによって、オーガ21の前方中央部分のブロワ3の前方部分を大きく開放させるようにしている。なお、ここでは、サイドドライブ26を用いてオーガ21を回転させるようにしているが、オーガ回転軸22の中央にミッションを設けて中央からオーガ21を回転駆動させるようにしてもよい。
【0018】
一方、ブロワ3は、この集雪部2の中央部分の後方に設けられるブロワケース30内で回転できるようにしたものであって、回転体32の表面に複数枚の羽根33を起立させ、この回転体32を高速回転させることによってオーガ21で集められた雪を羽根33で上方に叩き上げられるように構成されている。このブロワ3によって叩き上げられた雪は、シューター4を介して外部に排出される。
【0019】
このブロワ3を回転させるためのブロワ回転軸31は、
図4に示すように、ブロワケース30に取り付けられた筒状部37に所定の隙間を設けた状態で挿入される。一方、この筒状部37の外側表面には、ベアリング38を介してブロワ3が取り付けられており、筒状部37の外側表面に沿って回転させられるようになっている。これらのブロワ回転軸31とブロワ3は、ブロワ回転軸31の先端に取り付けられた連結部34を介して連結される。この連結部34とブロワ回転軸31とを連結する場合、ブロワ回転軸31の先端近傍に軸方向に沿ったスプライン31Sを形成し、そこに先端側から連結部34を挿入して嵌め込むようにしている。そして、この連結部34に設けられたフランジ部350と、ブロワ3側に設けられたフランジ部351とを面接触させ、その状態で、連結部34から突出するブロワ回転軸31の先端部分にカラー部材36を嵌め込んでボルトで締め付けるようにしている。一方、この連結部34とブロワ3を連結する場合、連結部34に設けられたフランジ部350と、ブロワ3に設けられたフランジ部351に設けられたネジ穴352を一致させ、そのネジ穴352にボルト353を取り付けて固定する。このとき、このボルト353としては、所定値以上の剪断力が加わった場合に剪断するような剪断部を有するシェアボルト353を用い、これによってブロワ3の回転時に大きな負荷が掛かった場合にシェアボルト353を破断させてその負荷から逃げられるようにしている。
【0020】
このように構成されたブロワ3やオーガ21は、トラクター8のPTOからの駆動力を用いて次に示すような機構で回転駆動される。
【0021】
まず、ブロワ3を回転させるための機構は、
図3などに示すように、トラクター8のPTOに取り付けられたユニバーサルジョイント81(
図1参照)に連結される駆動軸5と、ブロワ3を回転させるブロワ回転軸31と、この駆動軸5の回転力を下方側のブロワ回転軸31に伝達させる伝達機構6とを備えて構成されている。駆動軸5の回転力をブロワ回転軸31に伝達させる場合、駆動軸5から複数のギアを介してブロワ回転軸31を回転させるようにしており、これによって駆動軸5の回転力をブロワ回転軸31に伝達させるようにしている。なお、この駆動軸5は、可能な限りユニバーサルジョイント81の屈曲角度を小さくできるようにトラクター8のPTOに近い上方部分(ブロワ回転軸31やミッション部7の上方部分)に設けるようにしており、また、伝達機構6をブロワケース30に隣接して設けることによって可能な限り除雪機1をトラクター8側に近づけられるようにしている。なお、ここでは、伝達機構6として複数のギアを用いてブロワ回転軸31を回転させるようにしているが、スプロケットとチェーンや、ベルトなどによって回転力を伝達させるようにしてもよい。そして、このような伝達機構6を用いてブロワ回転軸31を回転させることによって、先端側のスプライン31Sに挿入された連結部34が回転し、その連結部34のフランジ部350にシェアボルト353を介して取り付けられたブロワ3が回転する。このとき、ブロワ3は筒状部37の外側表面に沿って回転するベアリング38によって回転するようになる。
【0022】
一方、オーガ21を回転させるための機構は、
図2に示すように、ブロワ回転軸31の回転力をミッション部7を介して左右方向のサイドドライブ26に伝達させ、そのサイドドライブ26の端部に設けられたスプロケット23を回転させることによってオーガ21を回転させるようにしている。このブロワ回転軸31に設けられるミッション部7は、内部にベベルギアを設けて構成されており、前後方向に設けられたブロワ回転軸31を左右方向のサイドドライブ26の回転軸に沿った方向に回転力を変換させる。このミッション部7は、ブロワ回転軸31の後端側に設けられており、これによって、ブロワ回転軸31の前方側から、「ブロワ3」、「伝達機構6」、「ミッション部7」の順序で配列させ、これによって、伝達機構6から突出する駆動軸5をトラクター8から離れた位置に配置させて、ユニバーサルジョイント81の角度を小さくし、また、除雪機1を可能な限りトラクター8側に近づけられるようにしている。
【0023】
次に、このように構成された除雪機1の作用について説明する。
【0024】
まず、この除雪機1を使用する場合、トラクター8のトップリンクやロアーリンクに除雪機1を取り付けるとともに、トラクター8のPTOと駆動軸5との間にユニバーサルジョイント81を連結する。そして、除雪機1を地面側に降ろし、トラクター8を後進させる。
【0025】
このようにトラクター8を後進させると、そのPTOの駆動力がユニバーサルジョイント81を介して駆動軸5に伝達され、伝達機構6のギアを介してブロワ回転軸31が回転する。また、そのブロワ回転軸31の後端側に設けられたミッション部7を介してサイドドライブ26が回転し、端部に設けられたスプロケット23、25やチェーン24などを介してオーガ21が回転する。
【0026】
すると、このオーガ21が回転すると、ハウジング20内に集められた雪が中央方向に集められ、トラクター8の後進によってその集められた雪がブロワ3内に導かれる。すると、高速回転するブロワ3の羽根33によって雪が上方へと叩き上げられ、シューター4を介して外部に排出されるようになる。
【0027】
このとき、ブロワ回転軸31には、高速回転する羽根33に当たる雪の重みによって捻り応力が生じるようになる。一方、このブロワ3は上方に雪を叩き上げるため、その反力によって下方に向かう力が働き、その力がブロワ回転軸31に作用しようとする。しかしながら、このブロワ3はブロワケース30に取り付けられた筒状部37に支持されているため、その力が筒状部37に作用することになる。すなわち、従来その曲げ応力がブロワ回転軸31に作用していたものが、筒状部37に分散されるようになり、ブロワ回転軸31に掛かる応力を分散させて破損を防止することができるようになる。
【0028】
このように上記実施の形態によれば、オーガ21で集められた雪を
羽根33の回転によって外部に排出させる除雪機1において、
ブロワケース30の内側で前記羽根33を回転させるブロワ回転軸31と、当該ブロワ回転軸31と所定の隙間を隔てて当該ブロワ回転軸31の外側を覆うように
前記ブロワケース30に取り付けられた筒状部37と、当該筒状部37の外側表面に沿って回転可能に取り付けられるブロワ3と、前記筒状部37から突出するブロワ回転軸31と前記ブロワ3とを連結する連結部34とを備え、前記ブロワ回転軸31を回転させることによってブロワ回転軸31から突出する連結部34を回転させ、前記筒状部37の外側表面に沿って
前記羽根33を回転させるようにしたので、ブロワ回転軸31に捻り応力のみを働かせ、曲げ応力については筒状部37
を介してブロワケース30で受けるようにすることができる。これにより、ブロワ回転軸31に掛かる応力を分散させて折れを防止することができるようになる。
【0029】
また、前記連結部34を、筒状部37の端部開口部を覆うフランジ部350を有するように構成し、当該フランジ部350を介して
羽根33を連結させるようにしたので、筒状部37とブロワ回転軸31の隙間をフランジ部350で塞ぐことができるため、その隙間に雪が侵入することを防止することができるようになる。
【0030】
また、前記連結部34と
前記羽根33を有するブロワ3をシェアボルト353で連結するようにしたので、
羽根33の回転時に大きな負荷がかかった場合であっても、シェアボルト353を破断させて、ブロワ回転軸31への負荷を軽減させることができる。
【0031】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0032】
例えば、上記実施の形態では、スプライン34Sを介して連結部34をブロワ回転軸31に取り付けるようにしたが、ブロワ回転軸31に側方からボルトを貫通させて連結部34をブロワ回転軸31に固定するようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施の形態では、サイドドライブ26を有する除雪機1について説明したが、ブロワ3の前方にミッションを有するセンタードライブ式の除雪機に本機構を採用してもよい。この場合、連結部34から更に前方側へとブロワ回転軸31を延出させ、その端部側をミッションに導いて、そこから左右方向のオーガ回転軸22を回転させるようにする。
【0034】
さらに、上記実施の形態では、筒状部37をブロワケース30に取り付けるようにしたが、ブロワ3の反力をブロワ回転軸31に作用させないような方法であれば、ブロワケース30以外に、伝達機構6のケースや他のフレームなどに取り付けるようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施の形態では、トラクター8の後部に取り付けられる除雪機1について説明したが、専用機としての除雪機などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・除雪機
2・・・集雪部
20・・・ハウジング
21・・・オーガ
22・・・オーガ回転軸
23・・・スプロケット
24・・・チェーン
25・・・スプロケット
26・・・サイドドライブ
3・・・ブロワ
30・・・ブロワケース
31・・・ブロワ回転軸
31S・・・スプライン
32・・・回転体
33・・・羽根
34・・・連結部
350、351・・・フランジ部
352・・・ネジ穴
353・・・ボルト(シェアボルト)
36・・・カラー部材
37・・・筒状部
38・・・ベアリング
4・・・シューター
5・・・駆動軸
6・・・伝達機構
7・・・ミッション部
8・・・トラクター
81・・・ユニバーサルジョイント