特許第6548354号(P6548354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6548354電気外科共振インバータの電力制御のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548354
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】電気外科共振インバータの電力制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】20
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-52137(P2014-52137)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-180577(P2014-180577A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2017年3月3日
(31)【優先権主張番号】61/789,005
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/190,895
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エー. ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エイチ. ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. ラーソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン エル. ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドン エム. バン スライク
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−135203(JP,A)
【文献】 特開2008−086776(JP,A)
【文献】 特表2004−514398(JP,A)
【文献】 特開平11−299237(JP,A)
【文献】 特開2009−261210(JP,A)
【文献】 特表2013−523318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科ジェネレータを制御するためのシステムであって、前記システムは、
RF出力段を通して少なくとも1つの電気外科波形を生成するための手段であって、該RF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器と、該RFインバータに接続された共振整合回路とを備え、該RF出力段は、変圧器の巻線と、DC電流を出力するように構成された電源とに接続されている、手段と、
少なくとも1つの電極を通して該少なくとも1つの電気外科波形を組織に印加するための手段であって、該少なくとも1つの電気外科波形は、複数のサイクルを含む、手段と、
該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するための手段と、
電圧限界または電流限界のうちの少なくとも1つを計算するための手段と、
該電圧限界または該電流のうちの少なくとも1つに基づいて該パルス幅変調器に制御信号を供給し、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるための手段であって、該RF出力段の該電圧−電流特性は、プロットされる場合に該共振整合回路の出力インピーダンスに起因して楕円を形成する、手段と、
該変圧器の該巻線に接続された活性電圧クランプを通して該電気外科波形の電圧をクランプするための手段と
を備える、システム。
【請求項2】
前記RF出力段が、制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御器は、比例−積分−微分制御器およびパルス幅変調器を備え、該パルス幅変調器は、前記制御信号を前記少なくとも1つの切り替え要素に出力して、比例−積分−微分制御器の出力に基づいて該制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御器は、前記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記比例−積分−微分制御器は、前記インピーダンスに基づいて前記出力を提供するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記比例−積分−微分制御器が電圧リミッタ機能を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記比例−積分−微分制御器が電流リミッタ機能を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記RF出力段に接続された電力供給源においてDC電流を発生させるための手段と、
前記電圧限界または前記電流限界のうちの少なくとも1つに基づいて、前記制御信号を該電力供給源に供給して、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるための手段と
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
一次巻線および二次巻線を有する変圧器と、
複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されたRF出力段であって、該RF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器と、該RFインバータに接続された共振整合回路とを備え、RF出力段は、該変圧器の該一次巻線に接続されている、RF出力段と、
該RF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、該少なくとも1つのセンサは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサと、
該少なくとも1つのセンサおよび該RF出力段に接続された制御器であって、該制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、該比例−積分−微分制御器は、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるように構成されており、該RF出力段の該電圧−電流特性は、プロットされる場合に該共振整合回路の出力インピーダンスに起因して楕円を形成する、制御器と、
該変圧器の該一次巻線に接続された活性電圧クランプであって、該活性電圧クランプは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧をクランプするように構成されている、活性電圧クランプと
を備える、電気外科ジェネレータ。
【請求項10】
前記RF出力段は、DC電流を出力するように構成された電源に接続されたRFインバータを備える、請求項9に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項11】
前記RFインバータは、前記制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える、請求項10に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項12】
前記制御器は、パルス幅変調器を備え、該パルス幅変調器は、制御信号を前記少なくとも1つの切り替え要素に出力して、比例−積分−微分制御器の出力に基づいて該制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている、請求項11に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項13】
前記制御器は、前記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている、請求項12に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項14】
前記比例−積分−微分制御器は、前記インピーダンスに基づいて前記出力を提供するように構成されている、請求項13に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項15】
前記制御器は、前記少なくとも1つの電気外科波形の前記電流を増大させて、放電の発生を増大させるようにさらに構成されている、請求項9に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項16】
前記RF出力段に接続されたAC−DC変換器を有する電力供給源をさらに備え、該RF出力段は、DC−ACインバータを備える、請求項9に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項17】
前記制御器は、前記DC−ACインバータに接続されている、請求項16に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項18】
前記電力供給源は、前記AC−DC変換器および前記RF出力段に接続されたDC−DC変換器をさらに備え、該DC−DC変換器は、前記制御器に接続されており、かつ、該制御器によって制御可能である、請求項16に記載の電気外科ジェネレータ。
【請求項19】
電気外科ジェネレータであって、
DC電流を出力するように構成された電力供給源と、
一次巻線および二次巻線を有する変圧器と、
該電力供給源および該変圧器の一次巻線に接続されたRF出力段であって、該電力供給源は、少なくとも1つの切り替え要素を備え、該少なくとも1つの切り替え要素は、該DC電流から複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されており、該RF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器と、該RFインバータに接続された共振整合回路とを備える、RF出力段と、
該RF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、該少なくとも1つのセンサは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサと、
該少なくとも1つのセンサと、該RF出力段または該電力供給源のうちの少なくとも1つとに接続された制御器であって、該制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、該比例−積分−微分制御器は、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて、該RF出力段または該電力供給源のうちの少なくとも一方を飽和させるように構成されており、該RF出力段の該電圧−電流特性は、プロットされる場合に該共振整合回路の出力インピーダンスに起因して楕円を形成する、制御器と、
該変圧器の該一次巻線に接続された活性電圧クランプであって、該活性電圧クランプは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧をクランプするように構成されている、活性電圧クランプと
を備える、電気外科ジェネレータと、
少なくとも1つの電気外科器具であって、該電気外科ジェネレータに接続され、該少なくとも1つの電気外科波形を組織に供給するように構成されている、少なくとも1つの電気外科器具と
を備える、電気外科システム。
【請求項20】
前記制御器は、前記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されており、前記比例−積分−微分制御器は、該インピーダンスに基づいて前記出力を提供するように構成されている、請求項19に記載の電気外科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、電気外科ジェネレータを操作するための電気外科システムおよび方法に関する。より特定すると、本開示は、アーク切断および凝固のために適切な、無線周波数共振インバータによって生成される電気外科波形を制御するための、システム、方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
電気外科手術は、高い無線周波数電流を外科手術部位に印加して、組織を切断するか、切除するか、または凝固させることを包含する。単極電気外科手術において、ソース電極または活性電極が、無線周波数の交流電流を電気外科ジェネレータから標的組織へと送達し、そしてリターン電極が、この電流をこのジェネレータに戻すように伝導する。患者リターン電極は、この活性電極から遠隔に配置されて、この電流をこのジェネレータに戻すように伝導する。
【0003】
双極電気外科手術において、リターン電極および活性電極は、互いに密に近接して配置され、その結果、電気回路がこれらの2つの電極間に形成される(例えば、電気外科用鉗子の場合)。この様式で、印加される電流は、これらの電極間に配置される身体組織に制限される。従って、双極電気外科手術は一般に、器具の使用を包含し、ここで器具(例えば、鉗子など)に配置された2つの電極間への、電気外科エネルギーの集中した送達を達成することが望ましい。鉗子とは、ペンチ様の器具であり、その顎間の機械的作用に依存して、脈管または組織を把持し、クランプし、そして引き締める。電気外科用鉗子(観血用または内視鏡用)は、機械的クランプ留め作用および電気エネルギーを利用して、クランプ留めされた組織の止血を行う。この鉗子は、電気外科伝導性表面を備え、これらの表面は、電気外科エネルギーをクランプ留めされた組織に印加する。これらの伝導性プレートを通して組織に印加される電気外科エネルギーの強度、周波数および持続時間を制御することによって、外科医は、組織を凝固させ得、焼灼し得、そして/または封止し得る。しかし、上記例は説明の目的のみであり、本開示の範囲内である他の多くの公知の双極電気外科器具が存在する。
【0004】
上に概説された電気外科手順は、フィードバックベースの制御システムにおいて、種々の組織パラメータおよびエネルギーパラメータを利用し得る。組織へのエネルギーの送達を改善することが、必要とされ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本開示は、電気外科ジェネレータを制御するための方法を提供する。この方法は:RF出力段を通して少なくとも1つの電気外科波形を生成する工程であって、このRF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器を備え、このRFインバータは、DC電流を出力するように構成された電源に接続されている、工程;少なくとも1つの電気外科波形を、少なくとも1つの電極を通して組織に印加する工程であって、この少なくとも1つの電気外科波形は、複数のサイクルを含む、工程;この少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定する工程;電圧限界または電流限界のうちの少なくとも1つを計算する工程;ならびにこの電圧限界またはこの電流限界のうちの少なくとも1つに基づいて、このパルス幅変調器に制御信号を供給し、このRF出力段の電圧−電流特性に基づいてこのRF出力段を飽和させる工程を包含する。
【0006】
上記実施形態のさらなる局面によれば、このRF出力段は、制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える。
【0007】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この制御器は、比例−積分−微分制御器およびパルス幅変調器を備え、このパルス幅変調器は、制御信号を少なくとも1つの切り替え要素に出力し、そして比例−積分−微分制御器の出力に基づいて、この制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている。
【0008】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この制御器は、測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている。
【0009】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この比例−積分−微分制御器は、このインピーダンスに基づいて出力を提供するように構成されている。
【0010】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この比例−積分−微分制御器は、電圧リミッタ機能を有する。
【0011】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この比例−積分−微分制御器は、電流リミッタ機能を有する。
【0012】
上記実施形態のさらなる局面によれば、上記方法は、上記RF出力段に接続された電力供給源においてDC電流を発生させる工程;および電圧限界または電流限界のうちの少なくとも1つに基づいて、この電力供給源に制御信号を供給し、このRF出力段の電圧−電流特性に基づいてこのRF出力段を飽和させる工程をさらに包含する。
【0013】
本開示はまた、電気外科ジェネレータを提供し、この電気外科ジェネレータは:複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されたRF出力段;このRF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、この少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ;ならびにこの少なくとも1つのセンサおよびこのRF出力段に接続された制御器であって、この制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、この比例−積分−微分制御器は、このRF出力段の電圧−電流特性に基づいてこのRF出力段を飽和させるように構成されている、制御器を備える。
【0014】
上記実施形態のさらなる局面によれば、このRF出力段は、DC電流を出力するように構成された電源に接続されたRFインバータを備える。
【0015】
上記実施形態のさらなる局面によれば、このRFインバータは、この制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える。
【0016】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この制御器は、パルス幅変調器を備え、このパルス幅変調器は、制御信号をこの少なくとも1つの切り替え要素に出力し、そして比例−積分−微分制御器の出力に基づいてこの制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている。
【0017】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この制御器は、測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている。
【0018】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この比例−積分−微分制御器は、このインピーダンスに基づいて出力を提供するように構成されている。
【0019】
上記実施形態のさらなる局面によれば、この制御器は、少なくとも1つの電気外科波形の電流を増大させて、放電の発生を増大させるように、さらに構成されている。
【0020】
上記実施形態のさらなる局面によれば、上記ジェネレータは、このRF出力段に接続されたAC−DC変換器を有する電力供給源をさらに備え、このRF出力段は、DC−ACインバータを備える。
【0021】
上記実施形態のさらなる局面によれば、上記制御器は、このDC−ACインバータに接続される。
【0022】
上記実施形態のさらなる局面によれば、上記電力供給源は、AC−DC変換器およびRF出力段に接続されたDC−DC変換器をさらに備え、このDC−DC変換器は、上記制御器に接続され、そしてこの制御器によって制御可能である。
【0023】
本開示はまた、電気外科システムを提供し、この電気外科システムは:電気外科ジェネレータを備え、この電気外科ジェネレータは、DC電流を出力するように構成された電力供給源;この電力供給源に接続されたRF出力段であって、この電力供給源は、少なくとも1つの切り替え要素を備え、この少なくとも1つの切り替え要素は、このDC電流から複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されている、RF出力段;このRF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、この少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ;ならびにこの少なくとも1つのセンサと、このRF出力段またはこの電力供給源のうちの少なくとも1つとに接続された制御器であって、この制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、この比例−積分−微分制御器は、このRF出力段の電圧−電流特性に基づいて、このRF出力段またはこの電力供給源のうちの少なくとも1つを飽和させるように構成されている、制御器を有する。
【0024】
このシステムはまた、少なくとも1つの電気外科器具を備え、この電気外科器具は、この電気外科ジェネレータに接続され、そして少なくとも1つの電気外科波形を組織に供給するように構成されている。
【0025】
上記実施形態のさらなる局面によれば、上記制御器は、測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されており、そして上記比例−積分−微分制御器は、このインピーダンスに基づいて出力を提供するように構成されている。
【0026】
本開示の種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
本発明の一つの実施形態は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電気外科ジェネレータを制御するためのシステムであって:
RF出力段を通して少なくとも1つの電気外科波形を生成するための手段であって、該RF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器を備え、該RFインバータは、DC電流を出力するように構成された電源に接続されている、手段;
少なくとも1つの電極を通して該少なくとも1つの電気外科波形を組織に印加するための手段であって、該少なくとも1つの電気外科波形は、複数のサイクルを含む、手段;
該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するための手段;
電圧限界または電流限界のうちの少なくとも1つを計算するための手段;ならびに
該電圧限界または該電流のうちの少なくとも1つに基づいて該パルス幅変調器に制御信号を供給し、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるための手段
を備える、システム。
(項目2)
上記RF出力段が、制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記制御器は、比例−積分−微分制御器およびパルス幅変調器を備え、該パルス幅変調器は、上記制御信号を上記少なくとも1つの切り替え要素に出力して、比例−積分−微分制御器の出力に基づいて該制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
上記制御器は、上記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
上記比例−積分−微分制御器は、上記インピーダンスに基づいて上記出力を提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
上記比例−積分−微分制御器が電圧リミッタ機能を有する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
上記比例−積分−微分制御器が電流リミッタ機能を有する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
上記RF出力段に接続された電力供給源においてDC電流を発生させるための手段;および
上記電圧限界または上記電流限界のうちの少なくとも1つに基づいて、上記制御信号を該電力供給源に供給して、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるための手段
をさらに備える、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されたRF出力段;
該RF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、該少なくとも1つのセンサは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ;ならびに
該少なくとも1つのセンサおよび該RF出力段に接続された制御器であって、該制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、該比例−積分−微分制御器は、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させるように構成されている、制御器
を備える、電気外科ジェネレータ。
(項目10)
上記RF出力段は、DC電流を出力するように構成された電源に接続されたRFインバータを備える、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目11)
上記RFインバータは、上記制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目12)
上記制御器は、パルス幅変調器を備え、該パルス幅変調器は、制御信号を上記少なくとも1つの切り替え要素に出力して、比例−積分−微分制御器の出力に基づいて該制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目13)
上記制御器は、上記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目14)
上記比例−積分−微分制御器は、上記インピーダンスに基づいて上記出力を提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目15)
上記制御器は、上記少なくとも1つの電気外科波形の上記電流を増大させて、放電の発生を増大させるようにさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目16)
上記RF出力段に接続されたAC−DC変換器を有する電力供給源をさらに備え、該RF出力段は、DC−ACインバータを備える、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目17)
上記制御器は、上記DC−ACインバータに接続されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目18)
上記電力供給源は、上記AC−DC変換器および上記RF出力段に接続されたDC−DC変換器をさらに備え、該DC−DC変換器は、上記制御器に接続されており、そして該制御器によって制御される、上記項目のいずれかに記載の電気外科ジェネレータ。
(項目19)
電気外科ジェネレータであって:
DC電流を出力するように構成された電力供給源;
該電力供給源に接続されたRF出力段であって、該電力供給源は、少なくとも1つの切り替え要素を備え、該少なくとも1つの切り替え要素は、該DC電流から複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されている、RF出力段;
該RF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、該少なくとも1つのセンサは、該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ;および
該少なくとも1つのセンサと、該RF出力段または該電力供給源のうちの少なくとも一方とに接続された制御器であって、該制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、該比例−積分−微分制御器は、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて、該RF出力段または該電力供給源のうちの少なくとも一方を飽和させるように構成されている、制御器
を備える、電気外科ジェネレータ;ならびに
少なくとも1つの電気外科器具であって、該電気外科ジェネレータに接続され、該少なくとも1つの電気外科波形を組織に供給するように構成されている、電気外科器具
を備える、電気外科システム。
(項目20)
上記制御器は、上記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されており、そして上記比例−積分−微分制御器は、該インピーダンスに基づいて上記出力を提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の電気外科システム。
(項目1A)
電気外科ジェネレータを制御するための方法であって:
RF出力段を通して少なくとも1つの電気外科波形を生成する工程であって、該RF出力段は、RFインバータに接続されたパルス幅変調器を備え、該RFインバータは、DC電流を出力するように構成された電源に接続されている、工程;
少なくとも1つの電極を通して該少なくとも1つの電気外科波形を組織に印加する工程であって、該少なくとも1つの電気外科波形は、複数のサイクルを含む、工程;
該少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定する工程;
電圧限界または電流限界のうちの少なくとも1つを計算する工程;ならびに
該電圧限界または該電流のうちの少なくとも1つに基づいて該パルス幅変調器に制御信号を供給し、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させる工程
を含む、方法。
(項目2A)
上記RF出力段が、制御器に接続された少なくとも1つの切り替え要素を備える、上記項目に記載の方法。
(項目3A)
上記制御器は、比例−積分−微分制御器およびパルス幅変調器を備え、該パルス幅変調器は、上記制御信号を上記少なくとも1つの切り替え要素に出力して、比例−積分−微分制御器の出力に基づいて該制御信号のデューティーサイクルを調節するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4A)
上記制御器は、上記測定された電圧および電流に基づいてインピーダンスを決定するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5A)
上記比例−積分−微分制御器は、上記インピーダンスに基づいて上記出力を提供するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6A)
上記比例−積分−微分制御器が電圧リミッタ機能を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7A)
上記比例−積分−微分制御器が電流リミッタ機能を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8A)
上記RF出力段に接続された電力供給源においてDC電流を発生させる工程;および
上記電圧限界または上記電流限界のうちの少なくとも1つに基づいて、上記制御信号を該電力供給源に供給して、該RF出力段の電圧−電流特性に基づいて該RF出力段を飽和させる工程
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
電気外科ジェネレータが開示される。このジェネレータは、複数のサイクルを含む少なくとも1つの電気外科波形を生成するように構成されたRF出力段;このRF出力段に接続された少なくとも1つのセンサであって、この少なくとも1つの電気外科波形の電圧および電流を測定するように構成されている、少なくとも1つのセンサ;ならびにこの少なくとも1つのセンサおよびこのRF出力段に接続された制御器であって、この制御器は、電圧リミッタまたは電流リミッタのうちの少なくとも1つを有する比例−積分−微分制御器を備え、この比例−積分−微分制御器は、このRF出力段の電圧−電流特性に基づいてこのRF出力段を飽和させるように構成されている、制御器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本開示による電気外科システムの1つの例示的実施形態の構成要素の斜視図である。
図2図2は、本開示による電気外科ジェネレータの1つの実施形態の正面図である。
図3図3は、本開示による図2の電気外科ジェネレータの実施形態の概略ブロック図である。
図4A図4Aは、本開示による図2の電気外科ジェネレータの他の例示的実施形態の概略ブロック図である。
図4B図4Bは、本開示による図2の電気外科ジェネレータの他の例示的実施形態の概略ブロック図である。
図5図5は、電圧および電流のプロットであり、本開示の電圧源の1つの実施形態による放電を図示する。
図6図6は、電圧および電流のプロットであり、本開示の電流源インバータの1つの実施形態による放電を図示する。
図7A図7Aは、電圧および電流のプロットであり、本開示の1つの実施形態による電圧源および電流源の理想出力を図示する。
図7B図7Bは、電圧および電流のプロットであり、本開示の1つの実施形態による電圧源および電流源の、無損失の出力を図示する。
図7C図7Cは、電圧および電流の重なったプロットであり、本開示の1つの実施形態による電圧源および電流源の理想的な、無損失の、アーク発生出力を図示する。
図7D図7Dは、電力およびインピーダンスのプロットであり、本開示の1つの実施形態による電圧源および電流源の、理想的かつ無損失の出力を図示する。
図8図8は、本開示の1つの実施形態によるジェネレータ出力の定電力プロットである。
図9図9は、電圧および電流のプロットであり、本開示の1つの実施形態による放電を図示する。
図10図10は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図11図11は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図12図12は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図13図13は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図14図14は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図15図15は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図16図16は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータのRF増幅器の概略図である。
図17図17は、本開示の1つの実施形態による、図2のジェネレータの出力を制御するための、デューティーサイクルおよび電力を、インピーダンスプロットの関数として図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中以下に記載される。以下の説明において、本開示を不必要な細部で曖昧にすることを回避するために、周知の機能または構築は、詳細に記載されない。
【0029】
本開示によるジェネレータは、単極電気外科手順および/または双極電気外科手順(例えば、切断、凝固、切除、および脈管封止の手順を包含する)を実施し得る。このジェネレータは、種々の電気外科器具(例えば、単極器具、リターン電極、双極電気外科用鉗子、フットスイッチなど)とインターフェースするために、複数の出力を備え得る。さらに、このジェネレータは、種々の電気外科モード(例えば、切断、ブレンド、凝固、止血を伴う分割、高周波療法、スプレーなど)および電気外科手順(例えば、単極、双極、脈管封止)に特に適した無線周波数エネルギーを発生させるように構成された電子回路を備える。実施形態によっては、このジェネレータは、電気外科器具に埋め込まれ得るか、統合され得るか、または他の方法で接続され得、オールインワン電気外科装置を提供し得る。
【0030】
図1は、本開示による双極および単極電気外科システム1の概略図である。システム1は、1または1より多い単極電気外科器具2を備え得、この単極電気外科器具は、患者の組織を処置するための1または1より多い活性電極3(例えば、電気外科切断プローブ、切除電極(単数または複数)など)を有する。電気外科交流電流は、ジェネレータ200によって、供給ライン4(これは、ジェネレータ200の活性端子230(図3)に接続されている)を介して器具2に供給され、器具2が組織を切断し、凝固させ、切除し、そして/または他の方法で処置することを可能にする。この交流電流は、リターン電極6を通り、ジェネレータ200のリターン端子232(図3)のリターンライン8を介して、ジェネレータ200に戻される。単極動作のために、システム1は、複数のリターン電極パッド6を備え得、これらのリターン電極パッドは、使用中に患者に配置されて、患者との全体的な接触面積を最大にすることによって、組織損傷の機会を最小にする。さらに、ジェネレータ200およびリターン電極パッド6は、いわゆる「組織と患者との」接触を監視するように構成されて、これらの間に充分な接触が存在することを保証し、組織損傷の機会をさらに最小にし得る。
【0031】
システム1はまた、1または1より多い双極電気外科器具(例えば、患者の組織を処置するための1または1より多い電極を有する双極電気外科用鉗子10)を備え得る。電気外科用鉗子10は、ハウジング11、ならびにシャフト12の遠位端に配置された対向する顎部材13および15を備える。顎部材13および15には、それぞれ1または1より多い活性電極14およびリターン電極16が配置されている。活性電極14およびリターン電極16は、ケーブル18を通してジェネレータ200に接続され、このケーブルは、活性端子230およびリターン端子232(図3)にそれぞれ接続された、供給ライン4およびリターンライン8を備える。電気外科用鉗子10は、活性端子230およびリターン端子232への接続(例えば、ピン)を有するコネクタにおいて、ケーブル18の端部に位置するプラグを介してジェネレータ200に接続され、このプラグは、以下により詳細に記載されるように、供給ライン4およびリターンライン8からの接点を備える。
【0032】
図2を参照すると、ジェネレータ200の前面240が示されている。ジェネレータ200は、任意の適切なタイプ(例えば、電気外科、マイクロ波など)であり得、そして種々のタイプの電気外科器具(例えば、電気外科用鉗子10など)に適応するための、複数のコネクタ250〜262を備え得る。
【0033】
ジェネレータ200は、ユーザインターフェース241を備え、このユーザインターフェースは、ユーザに種々の出力情報(例えば、強度設定、処置完了指標など)を提供するための1または1より多いディスプレイスクリーンまたは情報パネル242、244、246を有する。スクリーン242、244、246の各々は、対応するコネクタ250〜262に関連する。ジェネレータ200は、ジェネレータ200を制御するための適切な入力制御(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を備える。ディスプレイスクリーン242、244、246はまた、電気外科器具(例えば、電気外科用鉗子10など)についての対応するメニューを表示する、タッチスクリーンとして構成される。次いで、ユーザは、対応するメニューオプションに単に触れることにより、入力を調節する。
【0034】
スクリーン242は、単極出力と、コネクタ250および252に接続されたデバイスとを制御する。コネクタ250は、単極電気外科器具(例えば、電気外科器具2)に接続されるように構成され、そしてコネクタ252は、フットスイッチ(図示せず)に接続されるように構成される。このフットスイッチは、さらなる入力(例えば、ジェネレータ200の繰り返しの入力)を提供する。スクリーン244は、単極出力および双極出力と、コネクタ256および258に接続されたデバイスとを制御する。コネクタ256は、他の単極器具に接続されるように構成される。コネクタ258は、双極器具(図示せず)に接続されるように構成される。
【0035】
スクリーン246は、鉗子10によって実施される双極封止手順を制御し、この鉗子は、コネクタ260および262に差し込まれ得る。ジェネレータ200は、コネクタ260および262を通して、鉗子10により把持された組織を封止するために適切なエネルギーを出力する。具体的には、スクリーン246は、ユーザがユーザにより定義される強度設定を入力することを可能にするユーザインターフェースを出力する。このユーザにより定義される設定は、ユーザが1または1より多いエネルギー送達パラメータ(例えば、電力、電流、電圧、エネルギーなど)または封止パラメータ(例えば、エネルギーレートリミッタ(energy rate limiter)、封止の持続時間など)を調節することを可能にする、任意の設定であり得る。このユーザにより定義される設定は、制御器224に伝送され、この制御器において、この設定はメモリ226に保存され得る。実施形態によっては、強度設定は、数目盛(例えば、1から10、または1から5)であり得る。実施形態によっては、強度設定は、ジェネレータ200の出力曲線に関連付けられ得る。強度設定は、利用されている鉗子10ごとに特異的であり得、その結果、種々の器具は、ユーザに、鉗子10に対応する特異的な強度目盛を与える。
【0036】
図3は、電気外科エネルギーを出力するように構成されたジェネレータ200の概略ブロック図を示す。ジェネレータ200は、制御器224、電力供給源227、および無線周波数(RF)増幅器228を備える。電力供給源227は、高電圧DC電力供給源であり得、AC源(例えば、線路電圧)に接続され、そして高電圧DC電力をRF増幅器228にリード線227aおよび227bを介して提供し、このRF増幅器は次いで、高電圧DC電力を処置エネルギー(例えば、超音波、電気外科またはマイクロ波)に変換し、そしてこのエネルギーを活性端子230に送達する。このエネルギーは、リターン端子232を介してこのジェネレータに戻される。活性端子230およびリターン端子232は、絶縁変圧器229を介してRF増幅器228に接続される。RF増幅器228は、複数のモードで作動するように構成され、この間に、ジェネレータ200は、特定のデューティーサイクル、ピーク電圧、波高因子などを有する対応する波形を出力する。他の実施形態において、ジェネレータ200は、他のタイプの適切な電力供給源トポロジーに基づいてもよいことが想定される。
【0037】
制御器224は、メモリ226に作動可能に接続されたプロセッサ225を備え、このメモリ226は、一時的型メモリ(例えば、RAM)および/または非一時的型メモリ(例えば、フラッシュメディア、ディスクメディアなど)を含み得る。プロセッサ225は、電力供給源227および/またはRF増幅器228に作動可能に接続された出力ポートを備え、プロセッサ225が、開制御ループスキームおよび/または閉制御ループスキームのいずれかに従って、ジェネレータ200の出力を制御することを可能にする。閉ループ制御スキームは、フィードバック制御ループであり、このループにおいて、複数のセンサが種々の組織特性ならびにエネルギー特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電力、電流および/または電圧など)を測定し、そして制御器224にフィードバックを提供する。次いで、制御器224は、電力供給源227および/またはRF増幅器228に信号を送り、これらはそれぞれ、DCおよび/または電力供給源を調節する。当業者は、プロセッサ225が、本明細書中に記載される計算および/または一連の命令を行うように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)(フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を使用することにより代用され得ることを、理解する。
【0038】
本開示によるジェネレータ200は、複数のセンサ280(例えば、RF電流センサ280a、およびRF電圧センサ280b)を備える。ジェネレータ200の種々の構成要素(すなわち、RF増幅器228、RF電流センサ280aおよびRF電圧センサ280b)は、プリント回路基板(PCB)に配置され得る。RF電流センサ280aは、活性端子230に接続され、そしてRF増幅器228により供給されるRF電流の測定を与える。RF電圧センサ280bは、活性端子230およびリターン端子232に接続され、RF増幅器228により供給されるRF電圧の測定を与える。実施形態によっては、RF電流センサ280aおよびRF電圧センサ280bは、アクティブリード線228aおよびリターンリード線228bに接続され得、これらのリード線は、それぞれ活性端子230およびリターン端子232をRF増幅器228に相互接続させる。
【0039】
RF電流センサ280aおよびRF電圧センサ280bは、それぞれ感知されたRF電流信号およびRF電圧信号を、制御器224に提供し、次いで、この制御器は、電力供給源227および/またはRF増幅器228の出力を、感知されたRF電圧信号およびRF電流信号に応答して調節し得る。制御器224はまた、入力信号を、ジェネレータ200、器具2および/または鉗子10の出力制御から受け取る。制御器224は、これらの入力信号を利用して、ジェネレータ200により出力される電力を調節し、そして/またはこのジェネレータに対する他の制御機能を実施する。
【0040】
図4Aは、クラスSの高効率パルス幅変調インバータに基づく、ジェネレータ200の別の実施形態を示す。この構成を利用したアナログパルス幅変調器に基づく例示の実施形態は、共有に係る米国特許出願公開第2006/0161148号に開示されており、その全内容は、本明細書中に参考として援用される。この例示的実施形態において、電力供給源227は、上記のようなACエネルギーの供給源に接続された固定出力AC−DC変換器227cであり、このACエネルギーの供給源は次に、RF増幅器228に接続される。
【0041】
図4Bは、振幅変調の改変Kahn技術に基づくジェネレータ200のなおも別の実施形態を示す。この例示的実施形態において、電力供給源227は、可変DC−DC変換器227dによってさらに増強された固定出力AC−DC変換器227cである。電力供給源227の可変DC−DC変換器227dは、任意の適切なトポロジー(共振、非共振、同期、非同期、バック、ブースト、およびバック−ブーストなどが挙げられるが、これらに限定されない)に構成され得る。
【0042】
図4A図4Bの参照を続けると、RF増幅器228は、共振整合回路304に接続されたDC−ACインバータ302を備え得る。図4Aに示されるように、RF増幅器228のための制御入力は、アナログベースのPWMまたはデジタルベースのDPWM314であり得る。クラスSの高効率パルス幅変調技術において、ジェネレータの出力振幅は、パルス幅をインバータ動作周波数(例えば、472kHz)で変更することにより変更され、そして共振整合回路304に依存して、その出力を滑らかにしておよそ正弦波形状にする。DPWM314は、発振器319に接続され、この発振器は、アナログ電圧制御発振器(VCO)または数値制御発振器(NCO)であり得る。この実施形態において、発振器319は、DC−ACインバータ302を制御するために適切な無線周波数(「RF」)(例えば、治療周波数)で動作する。DPWM314は、RF増幅器304のインバータ302に接続される。DPWM314は、RF増幅器304の1または1より多い切り替え構成要素を制御して、さらに詳細に記載されるように、DC電流をRF電流に逆変換するように構成される。
【0043】
図4Bに示されるように、PWMまたはデジタルベースのDPWM314からの制御入力は、電力供給源227に供給される。改変Kahn技術において、DC−ACインバータ302におけるRF増幅器228への入力は、固定パルス幅(例えば、472kHzで最適化された効率のための)であり、共振整合回路304を通過した後におよそ正弦波の出力を生じさせ、そしてこのジェネレータの出力振幅は、電力供給源227の出力を変更することによって変更される。この実施形態において、電力供給源227は、DPWM314により制御される。DPWM314は、発振器319に接続され、この発振器は、アナログ電圧制御発振器(VCO)または数値制御発振器(NCO)であり得る。DC−ACインバータ302での入力は、発振器317により提供され得、この発振器は、アナログ電圧制御発振器(VCO)または数値制御発振器(NCO)であり得る。発振器317は、DC−ACインバータ302を制御するために適切な無線周波数(「RF」)(例えば、治療周波数)で動作し、そして発振器319は、電力供給源227を制御するために適切な切り替え(「SW」)周波数で動作する。
【0044】
図4A図4Bの参照を続けると(これらの図は、上記の差異以外には同じ構成要素および設計を共有する)、インバータ302は、任意の適切なトポロジー(ハーフブリッジ、フルブリッジ、およびプッシュプルなどが挙げられるが、これらに限定されない)に従って構成され得る。共振整合回路304は、シングルモードまたはデュアルモードの共振回路であり得、RF増幅器228の出力を整合させるための、LC(誘導子−コンデンサ)フィルタ/共振子および他の受動的電気構成要素の任意の適切な組み合わせを有し得る。RF増幅器228はまた、複数のモード継電器306を備える。モード継電器306は、所望のコネクタ250〜262のみが任意の特定の時点でエネルギーを与えられるように、所望のコネクタへの電気外科エネルギーの供給を制御するために、複数のコネクタ250〜262に接続される。
【0045】
プロセッサ225は、ユーザインターフェース241に接続され、そしてユーザ入力に応答して、ジェネレータ200のモード、エネルギー設定、および他のパラメータを改変するように構成される。プロセッサ225は、モードイニシャライザ308を備え、このモードイニシャライザは、選択された動作モードを初期化するように構成される。ジェネレータ200は、種々のモードで動作するように構成される。1つの実施形態において、ジェネレータ200は、以下のモードを出力し得る:切断、ブレンド、凝固、止血を伴う分割、高周波療法、スプレー、およびこれらの組み合わせなど。各モードは、予めプログラムされた電力曲線に基づいて動作する。この電力曲線は、ジェネレータ200によって様々な負荷(例えば、組織)のインピーダンスで出力される電力の量を制御する。各電力曲線は、電力、電圧、および電流の制御範囲を含み、これらは、ユーザにより選択される電力設定および測定された負荷のインピーダンスによって規定される。
【0046】
切断モードにおいて、ジェネレータ200は、予め決定された周波数(例えば、472kHz)における複数のRFサイクルを有する連続的な正弦波出力を、約1.414の波高因子で、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンス範囲にわたって供給し得る。切断モードの電力曲線は、3つの領域、すなわち、低インピーダンスへの定電流、中間インピーダンスへの定電力、および高インピーダンスへの定電圧を含み得る。ブレンドモードにおいて、このジェネレータは、正弦波出力の交互のバーストを、予め決定された周期で供給し得、このバーストサイクルは、第一の予め決定された率(例えば、約26.21kHz)で再度起こり、各バーストサイクルは、予め決定された周波数(例えば、472kHz)における複数の正弦波RFサイクルを含む。1つの実施形態において、これらのバーストのデューティーサイクルは、約50%であり得る。換言すれば、各バーストサイクルについて、その電力は、その時間の50%にわたってオンであり、そしてその時間の50%にわたってオフである。正弦波出力の1周期の波高因子は、約1.414であり得る。1バーストサイクルの波高因子は、約2.7であり得る。
【0047】
止血を伴う分割モードは、第二の予め決定された率(例えば、約28.3kHz)で再度起こる、予め決定された周波数(例えば、472kHz)での正弦波出力のバーストを含み得る。これらのバーストのデューティーサイクルは、約25%であり得る。すなわち、その電力は、各サイクルの25%にわたってオンであり、そしてそのサイクルの残りの75%にわたってオフである。1バーストサイクルの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンスにわたって、約4.3であり得る。高周波療法モードは、第三の予め決定された率(例えば、約30.66kHz)で再度起こる、予め決定された周波数(例えば、472kHz)での正弦波出力のバーストを含み得る。これらのバーストのデューティーサイクルは、約6.5%であり得、そして1バーストサイクルの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンス範囲にわたって、約5.55であり得る。スプレーモードは、第四の予め決定された率(例えば、約21.7kHz)で再度起こる、予め決定された周波数(例えば、472kHz)での正弦波出力のバーストを含み得る。これらのバーストのデューティーサイクルは、約4.6%であり得、そして1バーストサイクルの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンス範囲にわたって、約6.6であり得る。
【0048】
プロセッサ225は、モード状態制御310をさらに備え、このモード状態制御は、モードイニシャライザ308により設定されたパラメータに従って、ジェネレータ200のエネルギー出力を維持するように構成される。モード状態制御310は、センサ280からのセンサ信号に基づいて、比例−積分−微分(PID)制御ループ312を使用して、電圧および/または電流の出力振幅リミッタ機能315により制限された制御出力を用いて、RF増幅器228を制御する。この出力振幅リミッタ機能は、プロセッサ225において実装されるPIDについての飽和および積分アンチワインドアップ能力を有する。
【0049】
プロセッサ225は、センサ280と信号プロセッサ316との間をインターフェースするためのアナログフロントエンド(AFE)307を備える。AFE307は、アナログ信号をこれらのセンサから受信して、このアナログ信号をそのデジタル対応物に変換するための、複数のアナログデジタル変換器および他の回路構成要素を備え得る。AFE307は、デジタル化されたセンサ信号を信号プロセッサ316に提供する。信号プロセッサ316はまた、センサ信号(インピーダンス、電圧、電流、電力、持続時間、および瞬間値、平均値、二乗平均平方根値、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)に基づいて、種々のエネルギー特性および/または組織特性を計算し得る。
【0050】
ジェネレータ200は、RF増幅器228の共振インバータの電圧−電流特性に固有である電流、電力および電圧の限度に基づいて、種々の電気外科モード(例えば、アーク切断および凝固)の閉ループ制御を提供する。任意の共振インバータの電圧−電流特性は、プロットされる場合、共振ネットワークの出力インピーダンスに起因して電圧および電流が制限された領域を境界とする楕円を形成する。インバータのこの出力インピーダンスは、その電気外科モードでの動作中に観察される、予測される最少から最大までの終端抵抗(例えば、組織の抵抗)の幾何平均を中心とするように設計され得る。次いで、RF増幅器228の動作特性は、ユーザにより要求される特定の電力設定の最大の電圧および電流に一致するように、調整させられ得る。
【0051】
従来のジェネレータは、ある特定の負荷抵抗の範囲にわたって、定電力で組織に電気外科エネルギーを供給する。閉ループ制御アルゴリズムが導入されてきた。なぜなら、開ループ制御アルゴリズムは、種々の外科手術手順中に遭遇する広範な組織インピーダンス負荷を網羅するには不充分であるからである。特定の実施形態において、開ループ制御と閉ループ制御との組み合わせが、共有に係る米国特許出願公開第2006/0161148号(その全内容は、本明細書中に参考として援用される)に開示されるように、利用された。
【0052】
特定のモード(例えば、アーク切断モードおよび凝固モード)は、電圧源ベースのインバータを使用する閉ループ制御について特有の問題を提示する。動作中に、アーク発生が生成されて、所望の外科手術効果を達成する。高いアーク電流は、それらの止血効果によく適している。しかし、熱移動を制限するために、アーク発生を制限することもまた望ましい。具体的には、凝固モードにおけるアーク発生は、止血をもたらすために充分に高い瞬間電力を提供する一方で、熱拡散を最小にするために充分に低い平均電力を維持するように、中断される。本開示は、モード状態制御310および/またはPID312により実施される必要な試行錯誤または状態変化の量を最小にしながら、これらの目的を達成するために、アーク発生を制御するように構成されたインバータを提供する。具体的には、本開示は、予め決定された最大制御出力振幅で、RF増幅器228の電圧−電流の散逸のない出力特性を利用することにより、PID制御器の飽和および積分アンチワインドアップ能力を使用して、全ての振幅における全ての負荷について0電圧切り替えを維持すること、所望の範囲の組織インピーダンスにわたって定電力を維持すること、ならびに電流および電圧を制限することによって、このことを達成するインバータを提供する。
【0053】
RF増幅器228は、その無損失の電圧−電流出力特性楕円内で、実質的に、終端負荷抵抗に依る電圧、電力または電流の源として、動作する。図5に関して、電圧供給源(例えば、RF増幅器228)からのアーク放電が、電圧の関数としての電流プロット400として、ならびに予め決定された周波数(例えば、472kHz)の時間尺度での時間の関数としての電流プロット410および電圧プロット420として、示されている。簡単にするために、正の半サイクルのみが記載される。点401において、組織に供給される電圧は、電流の流れを提供するには不充分であり、飽和未満電流の領域にある。プロット400、410、420が点402に進行して点403に向かうにつれて、その放電はTownsend効果からコロナ放電に移行し、グロー放電に移行する。この領域において、この電流は依然として、他の点に対して比較的低いので、アークによって電力は散逸しない。しかし、一旦、アークが電極(例えば、電極3)と組織との間の間隙を飛ぶと、電流は即座に、点404において新たな負荷ラインに沿って流れる。この新たな負荷ラインは、電圧プロット420上の点403に重なる。点404を超える電圧は、頂点の点405への電流の直線的増大を提供する。この電圧が点406において低下すると、点403に自発的に戻るのではなく、アーク発生が持続される。電圧は、点407まで直線的に低下し、この間に、そのアークは消え、そしてアーク開始のプロセスが上記のように繰り返されることが必要になる。電圧および電流の特性は、負のサイクルについても類似である。過剰な低周波数のRFまたはDC電荷が電極において利用可能であることにより、アーク発生がバイアス電荷として働いて、非対称な負の半サイクルプロットをもたらさない限り、このアークは消えないこともあり得る。
【0054】
図6に関して、電流供給源(例えば、RF増幅器228)からのアーク放電が、電圧の関数としての電流プロット500として、ならびに予め決定された周波数(例えば、472kHz)の時間尺度での時間の関数としての電流プロット510および電圧プロット520として、示されている。簡単にするために、正の半サイクルのみが記載される。この電流供給源は、同じピーク電流において、電圧供給源より高い出力電力(例えば、より高い電力効率)を提供し得る。この電流が増大するにつれて、電圧が点501まで増大し、その際、電流の連続的な増大は、点502における電圧低下をもたらす。点503において電流が低下するにつれて、電圧は別のピークまで増大する。電圧および電流の特性は、負のサイクルについて類似である。
【0055】
電源(例えば、RF増幅器228)からの最大の電力伝達は、出力インピーダンスが負荷インピーダンスと実質的に同じである場合、その整合インピーダンスにおいて起こる。理想的な電圧供給源および電流供給源は、図7Aに図示されるようなTheveninおよびNortonの等価な源インピーダンスを有さない。図7Aは、電流プロットを電圧の関数として示す。理想的なTheveninまたはNortonの供給源に追加された、無損失の整合回路は、図7Bに示されるように、実質的に楕円形の曲線を有する。図7Bは、電流プロットを電圧の関数として示す。本開示は、図7Cに示されるようなアークの電圧−電流応答を包含することを同時に試みる、電圧および電流についての制御ループ制限を用いて連続的に可変である電圧−電流応答(例えば、特性)を有するRF増幅器228を提供する。図7Cは、電流プロットを電圧の関数として示す。このRF増幅器228は、図7Aおよび図7Bの理想的かつ無損失の電圧/電流供給源のパラメータ内で動作し、負荷、ユーザ設定および/またはモードによって決定される所望の電流、電圧または電力の点で動作し、そして先行技術においてなされるように電圧または電流を能動的に制御するのではなく無損失の整合回路の特性を用いて、電圧および電流を制限する。この楕円形の電圧−電流応答は、DC−ACインバータ302のパルス幅を変更すること、DC−ACインバータ302の周波数を変更して共振整合回路304の出力抵抗および電圧伝達比を実質的に変化させること、電力供給源227のDC−DC変換器のパルス幅を変更すること、またはその何らかの組み合わせの、いずれかによってDC−ACインバータ302の出力の等価な振幅を変化させることによって、変更され得る。負荷線と楕円形電圧−電流応答との交差は最終的に、この負荷へのジェネレータの動作点を決定する。
【0056】
理想的な電圧供給源および電流供給源についての最大電力伝達はまた、図7Dに図示されるような、インピーダンスの関数としての電力プロットとして表され得る。理想的な電流および電圧の供給源について、電力は、出力デバイスの飽和が制限されない限り、連続的に増大する。電力、電圧、および電流は、インピーダンスを整合させることにより制限され得る。しかし、充分に整合された電圧供給源についてさえも、アーク発生は、不充分な制限に起因して、過剰な電力出力をもたらし得る。
【0057】
実施形態によっては、アーク制御は、以下により詳細に記載されるように、非常に高いサンプル率(例えば、電流を制限するために対応して速い回路構成要素(例えば、電流フィードバック回路)と組み合わせたデジタルサンプリング)を使用して、瞬間電流、瞬間電圧および/または瞬間電力を、測定して制限することによって、達成され得る。さらなる実施形態において、整合インピーダンスが増大され得、そしてRF増幅器228は、電流供給源として動作し得る。具体的には、出力インピーダンスは、アーク発生中に予測されるインピーダンスよりも高く増大し得る。出力インピーダンスは、予測される最高インピーダンスより約2倍〜約6倍高くあり得、実施形態によっては、出力インピーダンスは、予測されるインピーダンスより約4倍高くあり得る。このことは、一旦、電圧が制限されると、自然電力制限機能を提供する。
【0058】
別の実施形態において、出力インピーダンスは、組織タイプに依ってユーザおよび/またはジェネレータ200により選択される、複数の出力インピーダンスを含み得る。さらなる実施形態において、ジェネレータ200の特性出力インピーダンスは、最大および最小のインピーダンスと、DC−ACインバータ302の制限された最大出力振幅との幾何平均であるように選択され得、その結果、楕円形の電圧−電流応答が、図8に図示されるように、電流限界および電圧限界と一致して起こる。
【0059】
特定の実施形態において、RF増幅器228は、方形波電流供給源として構成され得る。方形波電流供給源の波形特性が、図9に、電圧の関数としての電流プロット900として、ならびに予め決定された周波数(例えば、472kHz)の時間尺度における時間の関数としての電流プロット910および電圧プロット920として、示されている。
【0060】
図10は、ピーク電圧を様々に制限して組織と活性電極2との間の特定の距離でのアークの伝導を防止するように構成された、振幅制限された電流供給源インバータであるRF増幅器328の実施形態を示す。RF増幅器328は、図9に示されるような方形波電流を発生させ、そして変換器330を備える。この変換器は、電力供給源227(これは、DC供給源であってもAC供給源であってもよい)にリード線227aおよび227bを介して接続され、そして次に、変換器330およびインバータ332に接続される。インバータ332は次に、変圧器229に接続される。変換器330は、電力供給源227のAC出力またはDC出力を、DC出力に変換する。変換器330は、電圧ピークを制限するように構成され、一方で、インバータ332は、リンク誘導子301bからの電流をチョップしてステア(steer)するように構成される。RF増幅器328はまた、ダイオード301aを有する電圧リミッタ回路301を備え、このダイオードは、誘導子301bと並列に接続される。電圧リミッタ回路301は、変換器330の出力に制限される。変換器330およびインバータ332は、任意の適切な変換器/インバータの組み合わせ(絶縁、非絶縁、フルブリッジ、ハーフブリッジ、同期、非同期、バック、ブースト、バック−ブースト、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)として構成され得る。
【0061】
図11は、RF増幅器328の別の実施形態を示す。変換器330は、ハーフブリッジインバータとして示され、そして第一の切り替え要素330aおよび第二のスイッチ330bを備える。第一の切り替え要素330aは、リード線227aに配置され、そして第二のスイッチ227bは、リード線227aと227bとを相互接続する。切り替え要素330aおよび330bの動作は、パルス幅変調器(PWM)336および比例−積分−微分制御器338により制御され、これによって、変換器330の出力電圧は、PID制御器338(これは、飽和および積分アンチワインドアップ能力を有する)に関する電圧リミッタ機能335によって、そのリミッタがいつ能動的に制限するかに基づいて制限される。PWM336およびPID制御器338は、制御器224内に構成され得る。電圧リミッタ335は、ソフトウェアアルゴリズムとして制御器224に統合され得る。図11に示されるように、インバータ332は、変圧器229に接続された第一の対の切り替え要素331aおよび331b、ならびに第二の対の切り替え要素332aおよび332bを有する、フルブリッジインバータとして構成される。切り替え要素331aおよび332aの各々は、ステアリングダイオード333aおよび333cに接続される。PID制御器338は、電圧リミッタ回路301からフィードバック信号を受け取って、PID制御器338がこのフィードバック信号に応答して切り替え要素330a、330b、331a、331b、332a、332bを制御することを可能にする。具体的には、PID制御器338は、電圧リミッタ335の命令に基づいて、電流を制御し、電圧を制限し、そして制御信号をPWM336に提供し、このPWMは次に、活性化信号(例えば、オン/オフ期間)を切り替え要素330a、330b、331a、331b、332a、332bに、RFサイクルごとに提供する。
【0062】
図12は、RF増幅器328の別の実施形態を図示する。このRF増幅器は、誘導子−コンデンサ−誘導子(LCL)フィルタ/共振子334を備え、このフィルタ/共振子は、第一の誘導子334aおよび第二の誘導子334bを備え、コンデンサ334cが、これらの誘導子の間に配置されて、リード線227aと227bとを相互接続する。LCLフィルタ334は、負荷の端子から見られる場合、変換器/インバータ出力の電圧供給源を、電流供給源に変える。
【0063】
図13を参照すると、インバータ332の別の実施形態が示されている。インバータ332は、移相同期フルブリッジインバータとして構成され、ダイオード331c、331d、332c、332dにそれぞれクランプされた4つの切り替え要素331a、331b、332a、332bを備える。切り替え要素331a、331b、332a、332bの各々は、PWM336によって制御され、このPWMは、米国特許出願公開第2006/0161148号に記載されるものと類似の移相変調器であり得る。PWM336は、変圧器二次巻線229bの出力端子において観察される、インバータ332の出力の電流振幅を変調する。インバータ332の出力は、一次巻線229aおよび二次巻線229bを有する変圧器229に接続される。さらに、インバータ332は、活性クランプ340を備える。活性電圧クランプ340は、フィルタ334の出力と一緒に変圧器229の一次巻線229aに接続され、これによって、変圧器二次巻線229bの出力端子において見られる出力電圧をクランプする。二次巻線229bは、ジェネレータ200のコネクタ250〜256に接続される。
【0064】
図14は、インバータ332の別の実施形態を示し、このインバータは、リード線227aに配置された誘導子342a、およびリード線227aと227bとを相互接続してLCフィルタ342の第一の部分を形成するコンデンサ342bを有するLC−Cフィルタ342を有し、このLCフィルタは、変圧器229の一次巻線229aに接続される。第二のコンデンサ342cが、変圧器229の二次巻線229bの2本のリード線を相互接続する。
【0065】
図15は、移相同期ハーフブリッジインバータとして構成されたインバータ332を示し、このインバータは、ダイオード331cおよび331dにそれぞれクランプ(例えば、並列に接続)された切り替え要素331aおよび331b、ならびに切り替え要素331aおよび331bとそれぞれ直列に接続された逆バイアスダイオード331eおよび331fを備える。インバータ332はまた、LCフィルタ335を備え、このLCフィルタは、誘導子335aと、この誘導子に並列に接続されたコンデンサ335bとを有する。PWM336はまた、インバータ332の出力の電流振幅を変調し、そしてインバータ332の出力は、上記のような変圧器229に接続される。さらに、インバータ332は、活性クランプ340を備え、この活性クランプは、フィルタ335の出力と一緒に、変圧器229の一次巻線229aに接続される。
【0066】
図16は、RF増幅器328の別の実施形態を示し、このRF増幅器は、変換器330、インバータ332、およびこれらの間に配置された電圧リミッタ回路301を備える。RF増幅器328は、電圧リミッタ35および電力/インピーダンス制御337をさらに備え、これらは、ソフトウェアアルゴリズムとして制御器224内で実装され得る。電圧リミッタ335および電力/インピーダンス制御337は、それぞれ変圧器229の一次巻線229aおよび二次巻線229bからフィードバックを受け取る。RF増幅器328は、変圧器229の一次巻線229aおよび二次巻線229bにそれぞれ配置された、第一のコンデンサ327aおよび第二のコンデンサ327bをさらに備える。コンデンサ327aおよび327bは、一次巻線229aと共振して、RF増幅器328の正弦波出力を提供するように構成される。
【0067】
図10図16のRF増幅器328は、アーク発生の存在下で平均定電力を出力するように構成される。1つの実施形態において、インバータ332は、定電流電力制御ループを使用して、PWM336を使用して切り替え要素に供給されるPWM信号のデューティーサイクル最大値を制限することによって、動作し得る。この制御ループは、PID制御器338を使用して実装され得る。実施形態によっては、電圧限界および電流限界が電力曲線に対応しない場合、この定電力制御ループは、測定されたインピーダンスに応答して最大デューティーサイクルを制限することによって、実装され得る。
【0068】
さらなる実施形態において、インピーダンス曲線の関数としてのデューティーサイクルが、図17に示されるように使用され得る。デューティーサイクル対インピーダンスの曲線は、デューティーサイクルプロット600およびそれから外挿された定電力プロット602により説明されるように、任意の測定されたインピーダンス値についての、定電力、電圧、および/または電流の制御を提供する。プロット602、または定電流および定電圧のプロットは、プロット600に対して線形化されて、制御曲線と整合され得る。さらなる実施形態において、他の伝達関数が使用されて、インピーダンスと電力との関係を、デューティーサイクル制御に関してマッピングし得る。デューティーサイクルプロット600は、制御器224により実行可能なルックアップテーブルおよび/またはソフトウェアとして実装され得、これによって、測定されたインピーダンスの入力値についてのデューティーサイクルの制御を可能にする。実施形態によっては、PID制御器338は、測定されたインピーダンスに基づいてデューティーサイクルを調節することにより、ジェネレータ200の出力を制御して、所望の放電特性を達成し得る。
【0069】
電気外科波形が拍動性である実施形態において、アーク放電が検出されると、ジェネレータ200は、この電気外科波形のパルス間の時間を増大させて(例えば、デューティーサイクルを低下させて)、電極3が冷えることを可能にし得る。別の実施形態において、ジェネレータ200は電流を低下させて、電極3が過熱することを防止し得る。逆に、パルス間の時間を短縮することは、アーク発生が望ましいとき(例えば、切断のとき)、アークが発生することを確実にするために使用され得る。ジェネレータ200の調節は、自動的にかまたはユーザ入力(例えば、パルス遅延の入力)に応答して実施される、ハードウェアおよび/またはソフトウェアのいずれかに統合され得る。さらなる実施形態において、ジェネレータ200は、電極3と組織との間の抵抗接触を検出するように構成され(例えば、0Aと同時の0V)、そしてアーク放電を開始するために電力および/または電圧を増大させるか、あるいはアーク放電を消すために電力または電圧を低下させる。
【0070】
本開示の数個の実施形態が図面に示され、そして/または本明細書中に説明されたが、本開示はこれらに限定されることを意図されない。なぜなら、本開示は当該分野が許容すると同程度に範囲が広いこと、および本明細書も同様に読まれることが意図されるからである。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0071】
200 ジェネレータ
224 制御器
225 プロセッサ
228 RF増幅器
246 スクリーン
260 コネクタ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17