(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1枚のレンズを含む一番玉としての第一レンズ体、少なくとも1枚のレンズを含む第二レンズ体、及び前記第一レンズ体と前記第二レンズ体を受け入れるレンズホルダ、を含むレンズ保持機構であって、
前記第一レンズ体は、側面、光軸に沿って物体側に設けられる表面部及び光軸に沿って結像面側に設けられる底面部、を備え、
前記第二レンズ体は、側面、光軸に沿って物体側に設けられる表面部及び光軸に沿って結像面側に設けられる底面部、を備え、
前記第一レンズ体と前記第二のレンズ体は、板状の部材を介して、光軸に沿って並べられるように、レンズホルダ内に受け入れられ、
前記第二レンズ体は、レンズホルダ内で固定されており、
前記板状の部材と前記レンズホルダとの間には防水部材が配置され、
前記防水部材の中心は、光軸に垂直な方向における前記板状の部材の延長線上に位置しており、
前記第一レンズ体が回転すると、前記板状の部材との当接面で前記第一レンズ体が前記レンズホルダに対して回転し、前記第二レンズ体は前記レンズホルダに対して回転しない、
ことを特徴とするレンズ保持機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のレンズ鏡枠は、枠内にて、一番玉レンズ(第二のレンズ)の底面の一部と、一番玉レンズの後方側のレンズ(第一のレンズ)の表面の一部とが当接しているだけであり、外部からの衝撃等により、一番玉レンズが回転することにより、接着剤だけの固定であることもあり、一番玉の回転の強さにより接着剤が剥がれ、後方側のレンズ(撮影画像や動画の解像度を保つために必要なレンズ)も回転するおそれが依然ある。この後方側のレンズの回転により、光軸の偏心による撮影画像・動画の解像度の変化や初期化設定の所望の解像度の変化が生じるおそれがある。
【0008】
また、特許文献2記載のレンズ鏡枠は、各レンズ間にて空隙があるため、特許文献1のような、一番玉レンズの回転による後方側のレンズの回転は生じないと考えられる。しかし、外部の衝撃等により、仮に一番玉レンズの回転がない又は小さくても、空隙があるため、一番玉レンズの回転度合に関係なく、後方側のレンズがより大きく回転することもある。特許文献1記載のレンズ鏡枠と同様に、特許文献2記載のレンズ鏡枠でも、依然として、この後方側のレンズの回転により、光軸の偏心による撮影画像・動画の解像度の変化や初期化設定の所望の解像度の変化が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。具体的には、レンズホルダ内で、一番玉としての第一レンズ体と一番玉の後方側(結像面側)に設けられる第二レンズ体との並べ方を工夫することにより、この後方側の第二レンズ体の回転を防止し、光軸の偏心による撮影画像・動画の解像度の変化等を防止した、レンズ保持機構を提供することを本発明の主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 少なくとも1枚のレンズを含む一番玉としての第一レンズ体、少なくとも1枚のレンズを含む第二レンズ体、及び前記第一レンズ体と前記第二レンズ体を受け入れるレンズホルダ、を含むレンズ保持機構であって、
前記第一レンズ体は、側面、光軸に沿って物体側に設けられる表面部及び光軸に沿って結像面側に設けられる底面部、を備え、
前記第二レンズ体は、側面、光軸に沿って物体側に設けられる表面部及び光軸に沿って結像面側に設けられる底面部、を備え、
前記第一レンズ体と前記第二のレンズ体は、板状の部材を介して、並べられるように、レンズホルダ内に受け入れられ、
前記第二レンズ体は、レンズホルダ内で固定されている、
ことを特徴とするレンズ保持機構。
【0011】
(2) 前記第一のレンズ体の表面部が、前記レンズホルダから光軸に沿って物体側に突出する、ことを特徴とする(1)に記載のレンズ保持機構。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載のレンズ保持機構を含む、カメラモジュール。
【0013】
(4)(3)に記載のカメラモジュールを含む、光学機器。
【0014】
(5)(3)に記載のカメラモジュールを含む、電子機器。
【0015】
(1)により、第二レンズ体の回転を防止し、光軸の偏心による、撮影画像・動画の解像度の変化の防止や、所望の解像度の変化抑制を達成できる。
【0016】
本発明に係るレンズ保持機構は、好ましくは(2)により、第一レンズ体や第二レンズ体がレンズホルダに収容・保持されつつ、高画角化(光軸に対しての垂直な面を基準として180度以上)が可能となる。また、レンズホルダが樹脂製のものである場合、耐候性試験による樹脂変化によるかしめ部の破損を低減することも可能となる。
【0017】
なお、本発明に係るレンズ保持機構において、これらが可能であれば、レンズホルダから光軸に沿って物体側に突出する表面部の形状は、以下
図1に示す形状や
図5に示す形状に限定されないが、以下
図1等を用いて例示して、この表面部の形状を説明している。
【0018】
(3)〜(5)に記載のように、本発明のレンズ保持機構は、例えば、カメラなどの光学機器(デジタルカメラなどの民生用カメラ、車載カメラ、監視カメラ、内視鏡カメラなどに搭載する医療用カメラ、動画撮影を行なうカムコーダー(ムービーカメラ)、各種検査カメラ、ロボット用カメラなど)や、携帯電話やタブレットやパソコン等の電子機器に搭載される、カメラモジュールとして用いることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、レンズホルダ内で、一番玉としての第一レンズ体と一番玉の後方側(結像面側)に設けられる第二レンズ体との並べ方を工夫することにより、第二レンズ体の回転を防止され、「光軸の偏心による撮影画像・動画の解像度の変化」や「光軸の偏心による所望の解像度の変化」が抑制・防止されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面も参照して本発明の実施形態について説明する。
【0022】
なお、
図1を用いて説明すると、結像側(撮像側)とは光軸(AX)に沿って撮像素子6が設けられている側をいい、物体側(被写体側)とは光軸に沿って撮像側の反対側をいう。
【0023】
本発明に係るレンズ保持機構では、少なくとも1枚のレンズを含む一番玉としての第一レンズ体と、少なくとも1枚のレンズを含む第二レンズ体とを含むが、所望の物性(例えば屈折率・アッベ数・部分分散比・線膨張係数)や耐久性などを満たせば、各レンズ体のレンズの枚数やレンズの材質は問わない。ここで、第一レンズ体は、レンズ保持機構において、最も物体側に設けられるレンズ体であり、主に光線を透過させるため及び画角の設定のためのレンズ体である。また、第第二のレンズ体は、撮影画像や動画の解像度を保つためのレンズ体である。この第二のレンズ体の回転により、光軸の偏心による撮影画像・動画の解像度の変化や、光軸の偏心による所望の解像度の変化が生じるおそれがある。
【0024】
なお、以下実施例においては、
図1で示すような1枚のレンズ21を含む第一レンズ体と4枚のレンズ(22、23、24、25)を含む第二レンズ体との組合せや、
図5で示すような1枚のレンズ210を含む第一レンズ体と3枚のレンズ(220、230、240)を含む第二レンズ体の組合せ、を例に記載している。
【0025】
また、本発明に係るレンズ保持機構では、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されてもよい。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の変化を防げるので好ましい。また、レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしてもよい。
【0026】
本発明で用いるレンズ体は、側面、光軸に沿って物体側に設けられる表面部及び光軸に沿って結像面側に設けられる底面部と、を備える。
【0027】
このレンズ体やレンズ体に含まれるレンズにおいて、表面とは光軸に沿って物体側に設けられる面をいい、底面とは光軸に沿って結像面側に設けられる面をいい、側面とは表面と底面以外の面をいい、表面部とは光軸に沿って物体側に設けられる表面を備える部位をいい必要に応じて光軸に沿って物体側の側面の一部領域も含む場合もある。
【0028】
この側面は、例えば
図1で示すような、光軸に平行な側面(21d、22d、23d、24d、25d)及び/又は斜面(21e)を含む面である。
【0029】
この表面は、例えば
図1で示す球面(21c)や当接面(22b、23b、24b、25b)が該当する。なおこの球面は光軸に交わる。
【0030】
この底面は、例えば
図1で示す当接面(21a、22a、23a、24a、25a、35a)が該当する。
【0031】
本発明に係るレンズ保持機構において、光軸に沿って物体側に設けられる第一レンズ体の表面部とは、レンズホルダから光軸に沿って物体側に突出する領域をいう。
【0032】
この表面部(第一レンズ体の表面部)は、光軸に沿って物体側の側面の一部領域及び光軸に沿って物体側に設けられる表面を備える。
【0033】
この「光軸に沿って物体側の側面の一部領域」は、レンズ保持機構やこのレンズ保持機構を搭載したカメラモジュールの光学性能(有効線を遮らないこと等)を満たすようにする観点で、
図6中のdに示すような間隔、すなわち先端部(300c)と光軸AXから視て最も外側を通過する光線との間隔(最小距離)、を調整することにより設定される。この間隔(d)は、光線5が有効線をたどっているか否かを人の目視にて判別可能な程度に設けられればよく、好ましくは0mm超である。
【0034】
この表面部は、例えば以下の領域が該当する。
・
図1に示すような、レンズホルダ3から光軸に沿って物体側に突出する領域(40)であり、球面(21c)と斜面(21e)の一部領域とを含む領域。
・
図5に示すような、レンズホルダ(300)から光軸に沿って物体側に突出する領域(40)であり、球面と光軸に平行な側面の一部領域とを含む領域。
【0035】
本発明に係るレンズ保持機構において、レンズホルダから光軸に沿って物体側に突出する表面部(第一レンズ体の表面部)の形状は、上述のように、以下
図1に示す形状や
図6に示す形状等に限定されないが、以下
図1等では例示して、この表面部の形状を説明している。
【0036】
なお、本発明に係るレンズ保持機構では、必要に応じて、レンズ体の表面に、様々な加工を施すことも可能である。この加工の例として、レンズ体の曇り防止や水滴形成防止のために表面部を光触媒などにより親水化することが挙げられる。例えば、
図1などに示す表面部40や、
図7などに示す表面21cのような、カメラモジュールや光学機器や電子機器などでの使用時等に外部に晒される可能性がある部位に対して、レンズ本体の曇り防止や水滴形成防止のために、光触媒等により親水化する加工等が挙げられる。
【0037】
本発明に係るレンズ保持機構において、光軸に沿って結像面側に設けられる底面部は、光軸に沿って結像側の側面の一部領域及び光軸に沿って結像側に設けられる底面と、を備える。
【0038】
この底面部は、例えば以下の領域が該当する。
・
図1に示すような、当接面(25a、35a)と光軸に平行な側面(25d)の一部領域とを含む領域。
・
図5に示すような、底面(240a)と光軸に平行な側面(240d)の一部領域とを含む領域。
【0039】
本発明に係るレンズ保持機構では、レンズホルダを含むが、レンズホルダの構成材料は、例えば樹脂材料やアルミダイカストが挙げられる。例えば、熱かしめの方法により、レンズ体をレンズホルダに固定させる場合は、レンズホルダの構成材料としては、熱かしめに適した樹脂材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート(PC:Poly Carbonate)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリアミド樹脂(PA)等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0040】
本発明で用いるレンズホルダは、外部の衝撃等により上述の第二レンズ体が回転防止されるようにレンズ体(第一レンズ体と第二レンズ体)を受け入れればよく、好ましくは第一レンズ体も回転されないように受け入れればよい。なお。このレンズホルダの形状は、例えば、円筒体の形状、多角形の筒体の形状、有底の円筒体の形状、有底の多角形の筒状体の形状が挙げられる。
【0041】
この回転防止をより確実に図るために、本発明に係るレンズ保持機構では、例えば、以下のような構成を用いている。
・
図1などで示すような、第一レンズ体と第二のレンズ体とを、板状の部材800を介して、並べられるように、レンズホルダ内に受け入れられる構成。
この板状の部材は、外部の衝撃等による第一レンズ体の回転により発生する回転力を吸収する部材である。この板状の部材の形状は、
図4や
図6に示すようにレンズ体のレンズの機能(光線5を通過させるなど)を阻害しないような構成であればよく、例えば
図13で示すような所望の開口部801を有する口径板800のような形状(有孔板のような形状)、が挙げられる。開口部801の存在により、
図4や6に示すように、レンズ保持機構内において、光線5が通過する。板状の部材の開口部の形状は、例えば、多角形や
図13に示すような所望の直径を有する円形が挙げられる。板状の部材の形状も、例えば、多角形や
図13に示すような開口部を有する所望の直径を有する円形が挙げられる。なお、板状の部材は、
図13に示すように一体に設けられてもよく、別部材で組み合わされレンズ保持機構に収容される際に
図13に示すように一体のように組み合わされてもよい。
【0042】
また、この板状の部材は、この回転力を吸収する観点から、例えば金属製の部材(板ばねなど)が挙げられる。
【0043】
なお、この板状の部材は、光軸方向のレンズ体の累積公差(光軸方向のレンズ体の厚み)を調整することも考慮して、光軸方向の厚みを設定することも可能である。
【0044】
なお、本発明に係るレンズ保持機構では、必要に応じて、更に以下の構成を採用することも可能である。
・第一レンズ体と第二レンズ体とが、第一レンズ体の底面部と第二レンズ体の表面部とが当接するように、レンズホルダ内に受け入れられ、かつ第二レンズ体は、第一レンズ体及び/又はレンズホルダに嵌合されるように、レンズホルダ内で固定されている構成
上述の「嵌合」の形状は、例えば「第二レンズ体の表面部に突起を設け、第一レンズ体やレンズホルダにこの突起を受けるための孔部を設ける構成」や「第一レンズ体の底面部やレンズホルダに突起を設け、第二レンズ体の表面部に突起を受けるための孔部を設ける構成」が挙げられる。
【0045】
図1などで示すような、光軸に沿った物体側のレンズホルダの先端部が第一レンズ体の側面の一部及び/又は第一レンズ体の表面の一部と当接することは、例えば熱かしめや、接着剤による接着や、公知の押え環やCリングの挿入により行われる。例えば、接着剤を用いる場合は、第一レンズ体とレンズホルダの線膨張係数等が大きく異なるときには接着剤に弾性接着剤を用いるのが好ましい、これによれば熱等によるレンズ体の膨張や収縮を接着剤により吸収することができ、第一レンズ体の変形を防止することができる。
【0046】
また、レンズホルダを形成する材料の線膨張係数と第一レンズ体を形成する材料の線膨張係数には大きな差がないときや、レンズホルダの方が第一レンズ体より弾性が大きい等の場合には、レンズホルダの符号31cの部位をかしめることにより第一レンズ体を固定するのが好ましい。
【0047】
なお、この当接(光軸に沿った物体側のレンズホルダの先端部が、第一レンズ体の側面の一部及び/又は第一レンズ体の表面の一部と当接すること)は、様々な形態がある。例えば、以下の例が挙げられる。
・
図7に示すようなレンズホルダの先端部(31c)が、レンズ体の球面(21c)の一部及びレンズ体の斜面(21e)と密着する当接。
・
図8に示すようなレンズホルダの先端部(31c)がレンズ体の斜面(21e)と密着する当接。
・
図9に示すような、レンズ体が所望の回転防止が達成される程度に、レンズホルダの先端部(熱溶着部31c)とレンズ体の斜面(21e)との間に、所定の空隙(600)を有しての当接
この「密着するように当接」という構成により、光軸方向に対してもかつ光軸方向に対し垂直方向に対してもレンズ体がレンズホルダに保持・固定されて収容されやすくなるので、外部の衝撃等に対してもレンズ体がより回転等せず、光軸の偏心防止やレンズ間隔のズレ防止も更に達成される。
【0048】
また、
図5で示すような当接(光軸に沿った結像側のレンズホルダの後端部が、レンズ体の底面部と当接すること)は、例えば熱かしめや、接着剤による接着や、公知の押え環やCリングの挿入により行われる。例えば、接着剤を用いる場合は、レンズ体とレンズホルダの線膨張係数等が大きく異なるときには接着剤に弾性接着剤を用いるのが好ましい、これによれば熱等によるレンズ体の膨張や収縮を接着剤により吸収することができ、レンズ体の変形を防止することができる。
【0049】
また、例えば、レンズホルダを形成する材料の線膨張係数とレンズ体を形成する材料の線膨張係数には大きな差がないときや、レンズホルダの方がレンズ体より弾性が大きい等の場合には、
図5に示すように、レンズホルダの底部の部位をかしめることによりレンズ体を固定するのが好ましい。
【0050】
本発明に係るレンズ保持機構では、レンズ体やレンズホルダ以外にも、必要に応じて、例えば、カメラモジュールにより撮影した画像等のゴースト対策のためなどの部材、光軸方向のレンズ体の累積公差(光軸方向のレンズ体の厚み)を調整するための部材、防水のための防水部材、IRカットフィルターを設けてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、図面も参照しつつ実施例を用いて、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態(実施例1)に係るレンズ保持機構1の断面図である。
図2は、
図1におけるレンズ保持機構における熱溶着部の溶着前の形状を示す部分拡大図である。
なお、以下実施例では、口径板800は、一例として、
図13に示すような形状の金属製の薄い板材を用いている。
【0052】
図1に示すように、本実施例で用いられるレンズ体(第一レンズ体と第二レンズ体との組合せ)は、第一レンズ体として機能するレンズ21と、第二レンズ体(レンズ22、レンズ23、レンズ24、レンズ25とを含む組合せ)とが、口径板800を介して、重ねられて構成されている。
【0053】
レンズ21〜レンズ24には、隣り合うレンズや口径板800と当接する当接面21a〜25a及び22b〜25b及び35aを有する。
【0054】
レンズ21の表面は、レンズ前端である球面21cと、光軸AXに平行な側面21dと、面取加工により形成された斜面21eが少なくとも存在する。また、防水対策のための防水部材取付部21fを備える。
【0055】
レンズホルダ3は、レンズ21〜25の光軸を一致させる為の内径部31b〜35bを有し、また、レンズ21を熱溶着によって固定保持する為の熱溶着部31cと、を備える。尚、
図1における熱溶着部31cは、熱溶着後の形状を示しているが、熱溶着前は、
図2に示すように、内径部31bと同一径になっている。
【0056】
なお、熱溶着後の形状が、より確実に、
図1に示すようなレンズホルダの先端部(熱溶着部31c)がレンズ体の斜面(21e)と密着する当接する形状となるように、熱溶着前の形状を
図3で示すような形状にすることも挙げられる。
図3では、
図2と異なり、レンズホルダの先端部(熱溶着部31c、内径部31b)と光軸に平行な側面21dとの間に、所定の空隙600を設ける構造を示している。この構造により、より確実に、支点部700から熱溶着部31cを、支点部700から熱溶着部31cを内側(レンズ体側)へ、曲げることやかしめることが可能となり、先端部(熱溶着部31c)がレンズ体の斜面(21e)と密着することがより可能となる。
【0057】
防水部材4は、レンズ21の防水部材取付部21fに取り付けられる。
【0058】
次に、組立手順について、説明する。
【0059】
レンズホルダ3は、レンズ21〜25のそれぞれがレンズホルダ3に勘合することにより、レンズ21〜25の光軸ができるだけ一致するよう、予め当接面21a〜25a及び22b〜25bの位置決めが成されている。また、レンズ21〜25の光軸方向の位置は、隣り合うレンズや口径板800とが当接することにより位置決めが成されるようになっている。
【0060】
まず、レンズホルダ3内にレンズ25を挿入する。このとき、レンズ当接面25a及び35aはレンズホルダ3に当接することで光軸方向のレンズ25の位置が決定され、同時に、レンズ25の光軸は、レンズホルダ3の内径部35bとレンズ25の側面25dの嵌合によって、光軸AXに位置決めがなされる。
【0061】
次に、レンズ25と同様にレンズ24をレンズホルダ3内に挿入し、レンズ25の当接面25bに口径板7を挟むようにして、レンズ24の当接面24aを当接させる。このときレンズ24の光軸は、レンズホルダ3の内径部34bとレンズ25の側面25dの嵌合によって、光軸AXに位置決めがなされる。
【0062】
同様の方法で、レンズ23,22を挿入し、レンズ23の当接面23aとレンズ24の当接面24b及び、レンズ22の当接面22aとレンズ23の当接面23bとを当接させて、光軸方向の位置決めを行う。レンズ23,22の光軸は、レンズの側面23d,22dとレンズホルダ3の内径部33b,32bによって、光軸AXと一致するように決まる。
【0063】
最後に、防水部材4と口径板800とレンズ21とをレンズホルダ3に挿入し、レンズ21の当接部21aやレンズ22の当接部22bを、口径板800と当接させる。このときレンズ21の光軸は、レンズホルダ3の内径部31bとレンズ21の側面21dが嵌合して、光軸AXと一致するように決まる。
【0064】
図2に示すように、レンズホルダ3の溶着前の熱溶着部31cの内径は、内径部31bと同一になっている。
【0065】
レンズホルダ3の外部より図示なき熱溶着機によって、熱溶着部31cをレンズ21の斜面21eと熱溶着部31cとが密着するように溶着する。このとき溶着部31cは、斜面21eのみに形成され、球面21cより突出しないように形成される。
【0066】
図1に示すように、上記熱溶着により、レンズ21は、他のレンズ22〜25のレンズと共に、レンズホルダ3に固定保持される。
【0067】
そして、
図1に示すように、表面部40がレンズホルダから光軸に沿って物体側に突出する。
【0068】
図4は、様々な角度からレンズに入射する光線5を模式的に表した図であるが、熱溶着部31cは、レンズ球面21cに入射する光線を遮ることなく、すなわち、レンズ21の瞳径を遮ることなく形成されているため、画像の周辺部が暗くなる或いは影が発生する等、画質低下の無い画像を提供することができる。
【0069】
熱溶着部31cは、レンズ球面21cを覆っている場合よりも、太陽光による樹脂の変化が少なく、従って、衝撃等による破損の恐れも少ない。
また、第一レンズ体として機能するレンズ21と、第二レンズ体(レンズ2
2、レンズ23、レンズ24、レンズ25を含む組合せ)とが、口径板800を介して重ねられているため、外部の衝撃等により第一レンズが回転した場合でも、第二レンズ体が回転しないように構成させている。口径板800が、外部の衝撃等による第一レンズ体の回転により発生する回転力を吸収し、第二レンズ体を回転しないようにしているためである。
【0070】
図5は、本発明の実施形態(実施例2)に係るレンズ保持機構1の断面図の一部領域である。
【0071】
図5に示すように、本実施例(実施例2)で用いられるレンズ体(第一レンズ体と第二レンズ体との組合せ)は、第一レンズ体として機能するレンズ210、第二レンズ体(レンズ220、レンズ230、レンズ240を含む組合せ)が、口径板800を介して、重ねられて構成されている。
【0072】
このレンズ体が、レンズホルダ300に収容されるが、レンズ210が一番玉として最も物体側に収容され、レンズ240が最も結像側に設けられる。
【0073】
レンズ210には、レンズホルダ300から光軸に沿って物体側に突出する領域40が設けられる。この領域40は、本発明の表面部の一例である。この領域40は、レンズ210の球面210cと、レンズ210にある光軸AXに平行な側面210dと、を含む。
【0074】
また、レンズ240の結像側には、底面部が設けられる。底面部50は、結像側にある底面240aと側面240dの一部領域である。
【0075】
必要に応じて、レンズホルダ300内に防水部材400も取り付けられる。また、必要に応じてレンズ体内にはIRカットフィルター500も設けられる。更に、このレンズ保持機構の結像側には、図示しない撮像素子も設けられる。
レンズ(210、220、230、240)は、それぞれがレンズホルダ300に勘合することにより、またレンズ(210、220、230、240)の光軸(AX)が一致するように、レンズホルダ300に取りから付けられる。レンズ(210、220、230、240)の光軸方向の位置は、隣り合うレンズ同士や口径板800が当接することにより位置決めが成されるようになっている。
【0076】
この取り付けの後、レンズホルダ300の外部より図示なき熱溶着機によって、レンズ240の底面部と、レンズホルダ300の後端部に設けられる熱溶着部310cとが、密着するように溶着する。この溶着により、
図5に示すように、レンズ体は、レンズホルダ300に固定保持される。
【0077】
実施例1と同様に、第一レンズ体として機能するレンズ210と、第二レンズ体(レンズ220、レンズ230、レンズ240を含む組合せ)とが、口径板800を介して重ねられているため、外部の衝撃等により第一レンズが回転した場合でも、第二レンズ体が回転しないように構成させている。口径板800が、外部の衝撃等による第一レンズ体の回転により発生する回転力を吸収し、第二レンズ体を回転しないようにしているためである。
【0078】
また、
図5に示すように、表面部40がレンズホルダ300から光軸に沿って物体側に突出する。
【0079】
図6は、様々な角度からレンズに入射する光線5を模式的に表した図であるが、上述の物体側に突出する領域40(光線5が有効線をたどっているか否かを人の目視にて判別可能な程度になるように設けられた
図6中のdに示す間隔)により、レンズホルダの物体側に設けられた先端部(300c)が、レンズ球面210cに入射する光線を遮ることなく、すなわち、レンズ210の瞳径を遮ることなく形成されているため、画像の周辺部が暗くなる或いは影が発生する等、画質低下の無い画像を提供することができる。なお、
図6中のdに示す間隔は、先端部(300c)と光軸AXから視て最も外側を通過する光線との間隔である。
【0080】
以上の構成(突出の構成)により、先端部300cは、太陽光による樹脂の変化が少なく、従って、衝撃等による破損の恐れも少ない。
【0081】
図10は、
図1、
図5、
図7、
図8や
図9に示すレンズ保持機構に撮像素子6を組み込んだレンズ保持機構を、カメラモジュール100に組み込んだ実施例である。また、
図11は、
図10に示すようなカメラモジュール100を組み込んだ光学機器200a(車載カメラや監視カメラなど)である。
図12は、
図10に示すようなカメラモジュール100を組み込んだ電子機器200b(携帯電話など)である。本発明により、画質が低下することのない、衝撃に強いデジタルカメラなどの光学機器や電子機器を供給するものである。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明してきたが、本発明に用いられるレンズ保持機構の具体的な構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。