(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1実施例:
図1は、一実施例としての排水処理装置800の処理フローを示す説明図である。本実施例の排水処理装置800は、一般家庭等からの排水の浄化処理を行う(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。排水処理装置800は、複数のステップを経て浄化処理を行うために、複数の水処理槽を有している。
図1の実施例では、排水処理装置800は、上流(
図1の左側)から順番に、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850の各水処理槽を、収容している。排水処理装置800に流入した排水は、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850で順次処理された後に、排水処理装置800の外部に放流される。以下、各水処理槽を流れる水を「被処理水」あるいは、単に「水」と呼ぶ。
【0022】
図2は、排水処理装置800を横から見た概略構成図である。
図3は、
図2中のA−A断面から下方を向いて見た排水処理装置800の概略構成を示している。
図3の下部には、2つの部分説明
図PE1、PE2が示されている。第1部分説明
図PE1は、接触濾床槽830と処理水槽840とのそれぞれの壁を表す説明図である。第2部分説明
図PE2は、水処理槽810〜850を収容する空間を形成する外壁801(「槽本体801」とも呼ぶ)と、夾雑物除去槽810と嫌気濾床槽820との間を仕切る仕切壁900と、の接続部分の拡大図である。これらの部分の詳細については、後述する。
図4は、
図2中のB−B断面から夾雑物除去槽810側を向いて見た排水処理装置800の概略構成を示している。これらの図中において、Z方向は、鉛直方向の下方から上方へ向かう方向を示し、X方向は、排水処理装置800の長手方向(水平な方向)を示し、Y方向は、X方向とZ方向とのそれぞれに直交する方向(水平な方向)を示している。以下、X方向を「+X方向」とも呼び、X方向側を「+X側」とも呼び、X方向の反対方向を「−X方向」とも呼び、−X方向側を「−X側」とも呼ぶ。Y方向、Z方向についても、同様である。
【0023】
夾雑物除去槽810は、排水中の夾雑物を分離する水処理槽である。
図2、
図3に示すように、夾雑物除去槽810は、排水処理装置800の最上流部に配置されている。流入口802からの排水(汚水とも呼ばれる)は、まず、夾雑物除去槽810に流入する。夾雑物除去槽810は、固液分離手段(本実施例では、流入バッフル812)を有しており、排水中の夾雑物を被処理水から分離する。本実施例の流入バッフル812は、夾雑物除去槽810に流入する水を、上方側から下方側へ導く流路を形成している。これにより、流入バッフル812は、夾雑物除去槽810に流入する水に含まれる固形物の流れる方向を、下流側の水処理槽である嫌気濾床槽820へ向かう方向(ここでは、+X方向)ではなく、夾雑物除去槽810の底部に向けることができる。この結果、夾雑物除去槽810は、底部に固形物を堆積させることができる。
【0024】
図2、
図3に示すように、夾雑物除去槽810の+X側の仕切壁900は、槽本体801を、排水処理装置800の長手方向(ここでは、X方向)に対しておおよそ垂直に、+X側の部分と−X側の部分とに仕切る壁である。夾雑物が分離(除去)されたあとの水は、移流開口814を通じて、嫌気濾床槽820に移流する。
【0025】
嫌気濾床槽820は、嫌気性微生物による嫌気処理を行う水処理槽である。嫌気濾床槽820は、嫌気性微生物が付着するための濾材822を有している。嫌気処理によって、被処理水中の有機物が分解される。また、濾材822は、被処理水中の浮遊物を捕捉し得る。
【0026】
図2、
図3に示すように、嫌気濾床槽820の下流側(+X側)の仕切壁803は、槽本体801を、排水処理装置800の長手方向(ここでは、X方向)に対しておおよそ垂直に、+X側の部分と−X側の部分とに仕切る壁である。仕切壁803の反対側(+X側)には、上から見て、仕切壁803から+X側(
図3中の右側)に突出する略U字状に配置された側壁部843、842、844が、固定されている。仕切壁803と側壁部843、842、844で囲まれる空間が、処理水槽840に相当する。仕切壁803と槽本体801とで囲まれる+X側の空間のうちの、側壁部843、842、844の外側の空間は、接触濾床槽830に相当する。側壁部843、842、844の構成については、後述する。
【0027】
仕切壁803における嫌気濾床槽820と接触濾床槽830との境界を成す部分には、移流開口824が形成されている(
図2、
図3)。移流開口824は、仕切壁803の上部に配置されており、通常時には、水面WLは、この移流開口824の途中に位置する。後述するように、水面WLは、低水位LWLと高水位HWLとの間で、変動し得る。嫌気濾床槽820で処理された水は、移流開口824を通じて、接触濾床槽830に移流する。
【0028】
接触濾床槽830は、好気性微生物による好気処理を行う水処理槽である。
図3に示すように、接触濾床槽830は、処理水槽840の三方(+Y方向、+X方向、−Y方向)を囲むように形成されている。
図4に示すように、接触濾床槽830は、好気性微生物が付着するための接触材832、833を有している。第2接触材833は、第1接触材832の下に配置されている。これらの接触材832、833のそれぞれは、処理水槽840の両側(+Y側と−Y側)に配置されている(
図3、
図4)。また、接触濾床槽830は、接触材832、833よりも下に配置された散気装置834を有している。散気装置834には、図示しないブロワー(送風機)が接続される。散気装置834は、ブロワーによって供給された空気を、接触濾床槽830内に供給する。好気性微生物は、空気に含まれる酸素を利用して、被処理水中の有機物を分解する。接触濾床槽830で処理された水は、接触濾床槽830の底部と処理水槽840の底部とを連通する移流開口836を通じて、処理水槽840に移流する。
【0029】
処理水槽840は、接触濾床槽830から移流した水を一時的に滞留して、水中の固形物(例えば、汚泥や浮遊物質等)を沈降・分離する水処理槽である。処理水槽840は、底部から水が流入する上向流の水処理槽である。
【0030】
図3の第1部分説明
図PE1に示すように、鉛直方向の上から下を向いて見たときに、第2側壁部842は仕切壁803と対向し、第3側壁部843は第4側壁部844と対向する。第3側壁部843は、第2側壁部842の+Y側の端部842e1と仕切壁803とを接続する。第4側壁部844は、第2側壁部842の−Y側の端部842e2と仕切壁803とを接続する。第3側壁部843と仕切壁803との接続部分843eと、第4側壁部844と仕切壁803との接続部分844eとのそれぞれは、仕切壁803の両端803e1、803e2よりも内側に配置されている。なお、仕切板803は、処理水槽840の−X側の側壁部(第1側壁部とも呼ぶ)を形成している。
【0031】
図2に示すように、処理水槽840の下部分849は、いわゆるホッパー構造を有している(以下、この下部分849を「ホッパー部分849」とも呼ぶ)。ホッパー部分849では、第2側壁部842が鉛直方向に対して傾斜しており、処理水槽840の断面積(水平な断面積)は、底に近いほど小さい(第2側壁部842のうちの傾斜した部分842dを「傾斜部842d」とも呼ぶ)。また、
図4に示すように、ホッパー部分849の下部分849Lにおいては、さらに、第3側壁部843と第4側壁部844とのそれぞれも、鉛直方向に対して傾斜している(側壁部843、844のそれぞれの傾斜した部分も「傾斜部」と呼ぶことができる)。この下部分849Lは、いわゆる3面ホッパー構造を有している。処理水槽840において分離された固形物は、側壁部842、843、844によって、処理水槽840の底部(処理水槽840の上部よりも狭い空間)に集められる。
【0032】
図2に示すように、仕切壁803の下端は、槽本体801の底面に接続されている。一方、
図2、
図4に示すように、側壁部842、843、844の下端は、槽本体801の底面から離れている。側壁部842、843、844の下端と、槽本体801の底面との間の隙間は、移流開口836に相当する。
【0033】
図2に示すように、処理水槽840には、循環エアリフトポンプ860が設けられている。循環エアリフトポンプ860は、処理水槽840の底部から高水位HWLよりも上まで上方に向かって延びる第1移流管861と、第1移流管861の上部に接続されて、夾雑物除去槽810の上方まで、緩い下り勾配で延びる第2移流管863と、を有している。第1移流管861の底部側の端は吸入口862を形成している。第2移流管863の夾雑物除去槽810側の端は流出口864を形成している。第2移流管863は、流入バッフル812の孔を貫通しており、流出口864は、流入バッフル812内に配置されている。循環エアリフトポンプ860は、処理水槽840の底部から夾雑物除去槽810へ、固形物や水を移送(返送)する。上述したように、処理水槽840の下部分849はホッパー構造を有しているので、処理水槽840で分離された固形物は、底部(吸入口862の近傍)の狭い空間に集められる。その結果、分離された固形物の処理水槽840からの除去を容易に行うことができる。なお、循環エアリフトポンプ860は、上述した図示しないブロワーからの空気によって、駆動される。ブロワーからの空気の分配量は、図示しないバルブによって調整される。循環エアリフトポンプ860は定常的に駆動されてよい。また、循環エアリフトポンプ860を間欠駆動してもよい。
【0034】
消毒槽850は、被処理水を消毒する水処理槽である。消毒槽850は、処理水槽840の上部に配置されている(
図2)。本実施例では、消毒槽850は、放流エアリフトポンプ870を有している。放流エアリフトポンプ870の吸入口872は、処理水槽840内の低水位LWLの高さに配置されており、放流エアリフトポンプ870の流出口874は、消毒槽850の上流側に配置されている。処理水槽840の水面WL近傍の水(固形物が分離された水)は、吸入口872から放流エアリフトポンプ870に流入する。放流エアリフトポンプ870に流入した水は、放流エアリフトポンプ870の駆動によって、消毒槽850に少しずつ移送される。放流エアリフトポンプ870は、水位WLが低水位LWL以上である状態で、水を移送可能である。このように、通常の使用状態では、最も低い水位WLは、低水位LWLである。このような低水位LWLは、設計上の最低水位ということができる。また、放流エアリフトポンプ870は、上述した図示しないブロワーからの空気によって、駆動される。ブロワーからの空気の分配量は、図示しないバルブによって調整される。
【0035】
消毒槽850は、消毒剤(例えば、固形塩素剤)が充填された薬剤筒854を有している。消毒槽850において、被処理水は消毒剤と接触し、消毒剤によって被処理水が消毒される。消毒された水は、放流口804を通じて、排水処理装置800の外部へ放流される。
【0036】
一時的に大量の排水が排水処理装置800に流入した場合には(例えば、ピーク流入時)、放流エアリフトポンプ870よりも上流側の水処理槽810、820、830、840の水位WLは、一時的に、通常時の水位(図中の低水位LWL)よりも上昇し得る。
図2の実施例では、水位WLは、高水位HWLまで、上昇し得る。水位WLが高水位HWLを超えると、消毒槽850に設けられた図示しないオーバーフロー開口を通じて、処理水槽840から消毒槽850へ水がオーバーフローする。このように、通常の使用状態では、最も高い水位WLは、高水位HWLである。このような高水位HWLは、設計上の最高水位ということができる。なお、単位時間当たりの流入水量が想定された範囲を超える場合には、一時的に水位が高水位HWLよりも高い位置まで上昇し得る。
【0037】
このように、ピーク流入時には、複数の水処理槽810、820、830、840の水位が一時的に上昇することによって、接触濾床槽830からの単位時間当たりの流出量の増大が抑制される。この結果、接触濾床槽830から未処理の水が流出する可能性を低減できる。このように、放流エアリフトポンプ870は、ピーク流入に起因する接触濾床槽830からの単位時間当たりの流出量の増大を抑制する機構(「ピークカット機構」と呼ぶ)として、動作する。
【0038】
図5は、外壁801と仕切壁900との分解斜視図である。外壁801は、上部槽801uと下部槽801dとを有している。下部槽801dは、外壁801の下側の部分を形成するカップ状の部材である。下部槽801dの上側の縁には、全周に亘るフランジ100dが設けられている。上部槽801uは、外壁801の上側の部分を形成するカップ状の部材であり、上に凸の状態で、下部槽801dの上に配置される。上部槽801uは、流入口802と、複数のマンホール開口805と、放流口804(
図5中では、放流口804は、後ろに隠れている)と、を有している。また、上部槽801uの下側の縁には、全周に亘るフランジ100uが設けられている。排水処理装置800の製造時には、下部槽801dに各水処理槽810〜850の部材が取り付けられる。そして、下部槽801dの上から、上部槽801uが被せられる。下部槽801dのフランジ100d上に、上部槽801uのフランジ100uが重なった状態で、上部槽801uが下部槽801dに固定される(例えば、接着剤でフランジ100u、100dが接着される)。このように、上部槽801uと下部槽801dとによって囲まれる空間内に、水処理槽810〜850が収容される。
【0039】
また、下部槽801dは、内側に向かって突出する2つの凸部210d、220dを有している。第2凸部220dは、第1凸部210dよりも+X側に配置されている。凸部210d、220dは、それぞれ、X方向に垂直に、フランジ100dの+Y側の部分から、下部槽801dの底部を経由して、フランジ100dの−Y側の部分へ至る、連続な突出部分である。下部槽801dに凸部210d、220dを設けることによって、下部槽801dの強度を向上できる。以下、下部槽801dのうち凸部210d、220d以外の部分200dを、「主壁部200d」とも呼ぶ。
【0040】
上部槽801uも、凸部210u、220uを有している。第1凸部210uは、下部槽801dの第1凸部210dの上方側に接続される突出部分であり、X方向に垂直に、フランジ100uから上部槽801uの最上部の手前まで延びている。第1凸部210uは、上部槽801uの−Y側の側壁部に形成される部分と、+Y側の側壁部に形成される部分(上部槽801uの後ろに隠れて図示されていない)と、を含んでいる。第2凸部220uは、下部槽801dの第2凸部220dの上方側に接続される突出部分である。第2凸部220uの構成は、第1凸部210uの構成と、同じである。上部槽801uに凸部210u、220uを設けることによって、上部槽801uの強度を向上できる。以下、上部槽801uのうち凸部210u、220u以外の部分200uを、「主壁部200u」とも呼ぶ。
【0041】
第1凸部210d、210uの+X側の内面には、仕切壁900が固定される。
図2にも示すように、仕切壁900は、上部槽801uと下部槽801dと(すなわち、槽本体801)によって形成される空間を、+X側の部分と−X側の部分とに仕切っている。
【0042】
図6は、仕切壁900の斜視図である。
図6(A)は、仕切壁900の−X側を示し、
図6(B)は、仕切壁900の+X側を示している。また、
図7は、仕切壁900を−X側から+X方向を向いて見た概略図である。
図7中の太線は、外壁801の内面801sを示している。
【0043】
図6に示すように、仕切壁900は、X方向におおよそ垂直な方向に延びる板状の部材である。仕切壁900の−Y側には、外周縁が内周側に向かって凹んだ部分である凹部990が形成されている。
図7に示すように、仕切壁900の外周縁は、凹部990を除いて、槽本体801の内面801sに接合されている。図中では、凹部990と外壁801の内面801sとの間の隙間に、ハッチングが付されている。この隙間が、移流開口814(
図2、
図3)に対応している。このように、移流開口814は、仕切壁900の貫通孔ではなく、凹部990と槽本体801とによって形成されているので、移流開口814が仕切壁900の貫通孔によって形成される場合と比べて、仕切壁900の強度が低下することを抑制できる。また、仕切壁900に移流開口のための貫通孔を開ける作業を省略できるので、仕切壁900の製造を容易にできる。また、貫通孔を開ける場合に生じる材料のロスを防止できる。また、移流開口のための貫通孔を開ける場合と比べて、仕切壁900に対する移流開口の位置ズレを抑制できる。
【0044】
また、
図6(B)に示すように、仕切壁900は、X方向におおよそ垂直に拡がる主壁部910と、主壁部910の外周縁に設けられ+X側へ突出する突出部930と、を有している。主壁部910の−X側の面(
図6(A))は、夾雑物除去槽810の内面のうち+X側の部分を形成する。主壁部910の+X側の面(
図6(B))は、嫌気濾床槽820の内面のうち−X側の部分を形成する。また、主壁部910のうち凹部990の縁を形成する部分992は、移流開口814の縁の一部を形成している(以下、「開口縁部992」とも呼ぶ)。突出部930は、主壁部910の縁から突出しており、また、仕切壁900の外周縁の全周に亘って設けられている(以下、突出部930を「外周突出部930」とも呼ぶ)。
【0045】
図中の突出部939は、外周突出部930のうち、開口縁部992に接続される部分である。このように、仕切壁900は、移流開口814の縁の一部である開口縁部992から突出する突出部939を有している。この突出部939は、仕切壁900の拡がる方向(ここでは、X方向に垂直な方向)に交差する方向側(ここでは、+X側)に突出している。従って、仕切壁900が、凹部990のように仕切壁900の一部が欠けたような形状を有する場合であっても、仕切壁900(特に、凹部990の近傍)の強度が低下することを抑制できる。例えば、仕切壁900が水圧で変形することを抑制できる。
【0046】
また、移流開口814が小さい場合には、ピーク流入時に、移流開口814の上流側の水処理槽(ここでは、夾雑物除去槽810)の水位が意図せず上昇する場合がある。移流開口814を通る水の移流をスムーズに行って意図しない水位上昇を抑制するために、大きな移流開口814が採用される場合がある。一般的には、移流開口814が大きいほど、仕切壁900の強度が低下し易い。本実施例では、仕切壁900の移流開口814の近傍が突出部939によって補強されている。従って、仕切壁900の強度が低下することを抑制しつつ、移流開口814を大きくできる。
【0047】
また、突出部939は、凹部990の全体(すなわち、開口縁部992の全体)に亘って設けられている。従って、突出部939が開口縁部992の一部のみに設けられている場合と比べて、仕切壁900の強度を向上できる。
【0048】
また、外周突出部930は、仕切壁900の外周縁の全周に亘って設けられている。そして、外周突出部930は、仕切壁900の拡がる方向に交差する方向側に突出している。従って、仕切壁900の全体の強度を向上できる。また、開口縁部992から突出する突出部939は、外周突出部930の一部である。従って、突出部939を外周突出部930とは別に成形せずに済むので、仕切壁900を容易に製造できる。
【0049】
図3の第2部分説明
図PE2には、仕切壁900と下部槽801dとの−Y側の接続部分が拡大して示されている。第2部分説明
図PE2には、Z方向に垂直な断面が示されている。下部槽801dの第1凸部210dは、第1部分212と内部分214と第2部分216とを有している。これらの部分212、214、216は、−X側から+X側に向かって、この順番に接続されている。これらの部分212、214、216は、内側(ここでは、+Y側)に向かって徐々に細くなるテーパ状の凸部を形成している。具体的には、内部分214は、第1凸部210dのうちの最も内側(ここでは、+Y側)の部分である。第1部分212は、内部分214の−X側の端部214e1から、X方向に対して斜めに−X側に向かって延びて、主壁部200dに至る。第2部分216は、内部分214の+X側の端部214e2から、X方向に対して斜めに+X側に向かって延びて、主壁部200dに至る。
【0050】
仕切壁900の外周突出部930は、第1部分931と第2部分932とを有している。これらの部分931、932は、主壁部910の−Y側の端部910eから、複数の段階を経て+X側に向かって曲がる突出部930を形成している。具体的には、第1部分931は、主壁部910の端部910eから、X方向に対して斜めに、+X側かつ−Y側に向かって延びて、第2部分932に至る。第2部分932は、第1部分931の+X側の端部931eから、X方向に対して斜めに、+X側かつ−Y側に向かって延びている。第2部分932の延びる方向は、第1部分931の延びる方向と比べて、X方向に近い。
【0051】
外周突出部930の第1部分931は、第1凸部210dの第2部分216に対向している。また、外周突出部930の第2部分932は、下部槽801dの主壁部200dに対向している。この状態で、仕切壁900は、下部槽801d(ひいては、槽本体801)に固定される。仕切壁900を槽本体801に固定する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、リベットを用いて、仕切壁900を槽本体801に固定してもよい。この場合、槽本体801の凸部210d、220d、210u、220uと、仕切壁900とが接する部分をリベットで固定してもよい。例えば、仕切壁900の第1部分931と下部槽801dの第2部分216とを貫通するように、リベットを取り付けてもよい。この代わりに、接着剤を用いて、仕切壁900を槽本体801に固定してもよい。いずれの場合も、仕切壁900を槽本体801の凸部210d、220d、210u、220uに固定すれば、槽本体801の対する仕切壁900の位置のズレを抑制できる。ただし、仕切壁900を、凸部210d、220d、210u、220uから離れた主壁部200d、200uに固定してもよい。
【0052】
また、仕切壁900と槽本体801との接合部分は、シーリング材(例えば、シリコン系のシーリング材)でシールされる。例えば、仕切壁900の第1部分931と下部槽801dの第2部分216との間は、シーリング材でシールされる。なお、接合部分の一部または全部において、シーリング材が省略されてもよい。例えば、高水位HWLよりも高い部分では、シーリング材が省略されてもよい。
【0053】
図8は、移流開口814の近傍における水の流れを示す概略図である。図中には、Z方向に垂直な断面が示されている。水処理槽内では、種々の方向の水の流れが生じ得る。そして、水の流れが壁に衝突する場合がある。このような場合、水は、壁に沿って流れ得る。
図8中の流れF1、F2、F3は、壁に沿って移動する水の流れの例を示している。
【0054】
第1流F1は、夾雑物除去槽810内において、外壁801に沿って移流開口814に近づく水の流れを示している。このような水は、移流開口814を通り抜けて、嫌気濾床槽820に移流する。
【0055】
第2流F2は、夾雑物除去槽810内において、仕切壁900の主壁部910に沿って移流開口814に近づく水の流れを示している。このような水は、移流開口814を通り抜けて、嫌気濾床槽820に移流し得る。
【0056】
第3流F3は、嫌気濾床槽820内において、仕切壁900の主壁部910に沿って移流開口814に近づく水の流れを示している。本実施例では、主壁部910の開口縁部992には、嫌気濾床槽820側に向かって突出する突出部939が接続されている。水の流れは、突出部939によって、突出部939の突出する方向(ここでは、+X方向)に向けられる。突出部939の突出する方向は、開口縁部992から嫌気濾床槽820側に向かう方向であり、移流開口814を通じて上流側の夾雑物除去槽810へ向かう方向とは反対側の方向である。従って、第3流F3が示すように、水は、移流開口814を通じて夾雑物除去槽810へ移流せずに、移流開口814から離れる方向に流れる。この結果、移流開口814を通じて上流側(ここでは、夾雑物除去槽810側)へ水が逆流することを抑制できる。また、本実施例では、開口縁部992の全体に亘って、突出部939が設けられている。従って、移流開口814から見て種々の方向から主壁部910に沿って水が近づく場合であっても、移流開口814を通じて水が逆流することを抑制できる。
【0057】
また、
図7には、移流開口814の大きさを示す2つの長さLV、LHが示されている。第1長LVは、鉛直方向の長さであり、第2長LHは、水平方向の長さである。本実施例では、LV>LHである。従って、移流開口814が仕切壁900の内側部分に向かって拡がることが抑制される。この結果、仕切壁900の内側部分の設計の自由度を向上できる。例えば、仕切壁900の中央部分の夾雑物除去槽810側の面に、第2移流管863からの循環水を下方側へ導くバッフルを固定してもよい。
【0058】
また、
図2に示すように、本実施例では、移流開口814の上端814uは、流入バッフル812の下端812dよりも高い位置に配置され、移流開口814の下端814dは、流入バッフル812の下端812dよりも低い位置に配置されている。従って、流入バッフル812を通じて夾雑物除去槽810に流入した水が、夾雑物除去槽810内の更に深い位置を移動せずに、移流開口814に到達可能である。この結果、夾雑物除去槽810の底部に堆積した堆積物(例えば、汚泥など)が夾雑物除去槽810内を移動する水によって撹拌されることを抑制できる。
【0059】
また、
図3に示すように、本実施例では、下方を向いて見る場合に、仕切壁900の主壁部910は、Y方向に平行である(以下、下方を向いて見る場合に主壁部910に平行な方向を「主壁方向」とも呼ぶ)。凹部990(すなわち、移流開口814)は、仕切壁900の主壁方向の端に形成されている(ここでは、−Y側の端)。また、流入バッフル812の主壁方向(ここでは、Y方向)の位置は、夾雑物除去槽810の主壁方向の端から内側に離れた位置である(本実施例では、夾雑物除去槽810内のおおよそ中央の位置)。従って、移流開口814が仕切壁900の主壁方向の端よりも内側(例えば、夾雑物除去槽810内の主壁方向の中央の位置)に形成されている場合と比べて、流入バッフル812と移流開口814との間の水平距離を長くできる。この結果、流入バッフル812から夾雑物除去槽810へ流入する水に含まれる夾雑物が、夾雑物除去槽810の底部に沈降せずに、移流開口814に到達することを抑制できる。すなわち、夾雑物除去槽810の夾雑物分離能力を向上できる。
【0060】
なお、仕切壁900は、例えば、成形型を用いる成形によって製造される(例えば、ハンドレイアップ成形、スプレーアップ成形、射出成形など)。仕切壁900の材料としては、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)、ジシクロペンタジエン等の種々の樹脂を採用可能である。成形を容易に行うためには、外周突出部930を主壁部910から突出する方向に向かって辿る場合に、徐々に外側に向かって拡がっていることが好ましい。この構成によれば、1回の成形で仕切壁900の全体を成形した後に、容易に離型できる。ただし、仕切壁900が、複数回の成形によって一部分ずつ成形されてもよい。
【0061】
B.第2実施例:
図9は、仕切壁の別の実施例を示す斜視図である。
図9(A)は、仕切壁900Bの−X側を示し、
図9(B)は、仕切壁900Bの+X側を示している。
図6の仕切壁900との差異は、凹部990が省略され、この代わりに、貫通孔990Bが設けられている点だけである。仕切壁900Bの他の部分の構成は、仕切壁900の対応する部分の構成と同じである。この仕切壁900Bは、
図6の仕切壁900の代わりに、適用可能である。
【0062】
仕切壁900Bは、主壁部910Bと、外周突出部930Bと、貫通孔990Bと、突出部939Bと、を有している。主壁部910Bは、
図6の主壁部910と同じく、X方向におおよそ垂直な方向に拡がる壁部である。主壁部910Bの−X側の面(
図9(A))は、夾雑物除去槽810の内面のうち+X側の部分を形成する。主壁部910Bの+X側の面(
図9(B))は、嫌気濾床槽820の内面のうち−X側の部分を形成する。外周突出部930Bは、
図6の外周突出部930と同じく、仕切壁900Bの外周縁に設けられ+X側へ突出している。外周突出部930Bは、主壁部910Bの縁から突出しており、また、仕切壁900Bの外周縁の全周に亘って設けられている。
【0063】
貫通孔990Bは、主壁部910Bのうち、
図6の凹部990の位置に近い位置に設けられている。また、貫通孔990Bは、仕切壁900Bの外周縁から内側に離れた位置に、設けられている。そして、貫通孔990Bは、
図2、
図3の移流開口814の代わりに、夾雑物除去槽810から嫌気濾床槽820へ水を移流させる移流開口として、機能する。以下、貫通孔990Bを、「移流開口990B」とも呼ぶ。また、主壁部910Bのうち貫通孔990Bの縁を形成する環状の部分992Bは、移流開口990Bの縁の全体を形成している(以下、「開口縁部992B」とも呼ぶ)。
【0064】
突出部939Bは、移流開口990Bの開口縁部992Bから+X側(すなわち、嫌気濾床槽820側)に突出している。突出部939Bは、仕切壁900Bの拡がる方向(ここでは、X方向に垂直な方向)に交差する方向側(ここでは、+X側)に突出している。従って、仕切壁900Bが、貫通孔990Bのように仕切壁900Bの一部が欠けたような形状を有する場合であっても、仕切壁900B(特に、貫通孔990Bの近傍)の強度が低下することを抑制できる。また、突出部939Bは、移流開口990Bの開口縁部992Bの全周に亘って設けられている。従って、突出部939Bが移流開口990Bの開口縁部992Bの一部のみに設けられている場合と比べて、仕切壁900Bの強度を向上できる。
【0065】
また、移流開口990Bの上端990Buは、流入バッフル812(
図2)の下端812dよりも高い位置に配置されている。そして、移流開口990Bの下端990Bdは、流入バッフル812の下端812dよりも低い位置に配置されている。従って、流入バッフル812を通じて夾雑物除去槽810に流入した水が、夾雑物除去槽810内の更に深い位置を移動せずに、移流開口990Bに到達可能である。この結果、夾雑物除去槽810の底部に堆積した堆積物(例えば、汚泥など)が夾雑物除去槽810内を移動する水によって撹拌されることを抑制できる。
【0066】
図10は、移流開口990Bの近傍における水の流れを示す概略図である。図中には、Z方向に垂直な断面が示されている。
図10中の流れF11〜F14は、壁に沿って移動する水の流れの例を示している。
【0067】
第1流F11と第2流F12とは、夾雑物除去槽810内において、主壁部910Bに沿って移流開口990Bに近づく水の流れを示している。このような水は、移流開口990Bを通り抜けて、嫌気濾床槽820に移流し得る。
【0068】
第3流F13と第4流F14とは、嫌気濾床槽820内において、主壁部910Bに沿って移流開口990Bに近づく水の流れを示している。本実施例では、主壁部910Bの開口縁部992Bには、嫌気濾床槽820側に向かって突出する突出部939Bが接続されている。水の流れは、突出部939Bによって、突出部939Bの突出する方向(ここでは、+X方向)に向けられる。突出部939Bの突出する方向は、開口縁部992Bから嫌気濾床槽820側に向かう方向であり、移流開口990Bを通じて上流側の夾雑物除去槽810へ向かう方向とは反対側の方向である。従って、第3流F13と第4流F14とが示すように、水は、移流開口990Bを通じて夾雑物除去槽810へ移流せずに、移流開口990Bから離れる方向に流れる。この結果、移流開口990Bを通じて上流側(ここでは、夾雑物除去槽810側)へ水が逆流することを抑制できる。また、本実施例では、開口縁部992Bの全体に亘って、突出部939Bが設けられている。従って、移流開口990Bから見て種々の方向から主壁部910Bに沿って水が近づく場合であっても、移流開口990Bを通じて水が逆流することを抑制できる。
【0069】
C.変形例:
(1)仕切壁の開口縁部に設けられる突出部の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、開口縁部の一部分のみに突出部が設けられていても良い。また、仕切壁の外周縁に設けられる外周突出部の突出方向が、開口縁部から突出する突出部の突出方向とは反対側の方向であってもよい。例えば、凸部210d(
図3)の−X側の内面に仕切壁が固定される場合、仕切壁900、900B(
図6、
図9)の外周突出部930、930Bが−X側に突出していてもよい。この場合も、開口縁部992、992Bから突出する突出部939、939Bは、下流側の水処理槽側(ここでは、+X側)に突出することが好ましい。ただし、開口縁部から上流側の水処理槽側に突出部が突出してもよい。
【0070】
図11は、排水処理装置の変形例を示す概略図である。図中には、
図8と同様に移流開口814Cの近傍のZ方向に垂直な断面が示されている。この排水処理装置800Cでは、
図6で説明した仕切壁900が、
図5で説明した槽本体801の第1凸部210d、210uの−X側の面(例えば、
図3の第2部分説明
図PE2中の凸部210dの第1部分212の内面)に固定されている。また、
図3の実施例とは異なり、仕切壁900の向きは、Z方向を回転軸として180度回転している。従って、仕切壁900の凹部990は、仕切壁900の+Y側の端に位置する。そして、仕切壁900の凹部990は、凹部990と槽本体801とで囲まれる移流開口814Cを形成する。夾雑物除去槽810からの水は、矢印F20のように、移流開口814Cを通って、嫌気濾床槽820へ流入する。この変形例では、仕切壁900の外周突出部930は、−X側、すなわち、移流開口814Cから上流側の夾雑物除去槽810側に、突出している。このように、外周突出部が、開口縁部から上流側の水処理槽側へ向かって突出してもよい。
【0071】
また、開口縁部から突出する突出部の突出する方向(すなわち、突出部の延びる方向)は、主壁部に垂直な方向(例えば、
図6の主壁部910に垂直な+X方向)であってもよく、主壁部に垂直な方向に対して斜めに傾斜した方向であってもよい。
【0072】
(2)仕切壁によって形成される移流開口の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、移流開口の上端と下端とが(すなわち、移流開口の全体が)、仕切壁の上流側の水処理槽の流入バッフルの下端(例えば、
図2の流入バッフル812の下端812d)よりも高い位置に配置されるように、仕切壁が構成されてもよい。また、移流開口の上端と下端とが(すなわち、移流開口の全体が)、仕切壁の上流側の水処理槽の流入バッフルの下端(例えば、
図2の下端812d)よりも低い位置に配置されるように、仕切壁が構成されてもよい。また、移流開口の水平方向の長さが鉛直方向の長さよりも長くなるように、仕切壁が構成されてもよい。例えば、
図7の実施例で、LH>LVであってもよい。
【0073】
いずれの場合も、移流開口の下端は、設計上の最低水位以下の高さに配置されていることが好ましい。この構成によれば、エアリフトポンプなどの動力を用いる移送手段を用いずに、移流開口を通じて水を自然に移送できる。移流開口の上端は、設計上の最低水位以下の高さに配置されてもよく、設計上の最高水位以上の高さに配置されてもよい。また、移流開口の位置としては、仕切壁の外周縁に近い位置に代えて、他の任意の位置を採用可能である。例えば、仕切壁の中央部分に移流開口が形成されてもよい。なお、移流開口の上端と下端と鉛直方向の長さと水平方向の長さとは、主壁部に垂直な方向を向いて移流開口を見る場合に仕切壁の上流側から下流側へ貫通している領域に基づいて特定すればよい。
【0074】
(3)仕切壁の外周縁に設けられる外周突出部の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、仕切壁の外周縁の全周のうち一部分のみに外周突出部が設けられていても良い。例えば、設計上の最高水位よりも高い位置では、外周突出部を省略してもよい。また、外周突出部の全体を省略してもよい。
【0075】
(4)仕切壁の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、仕切壁と他の壁(例えば、槽本体)とが接合される場合に、設計上の最高水位よりも高い位置では、仕切壁と他の壁との間に隙間があいていてもよい。また、仕切壁は、排水処理装置の外壁(槽本体)に限らず、他の壁(例えば、他の仕切壁)に接合されてもよい。また、移流開口に連通する流路を形成するバッフルが仕切壁に固定されてもよい。また、仕切壁は、1つの連続な部材である代わりに、複数の部材を接合して構成されてもよい。ただし、仕切壁の全体が1つの連続な部材によって構成されていることが好ましい。こうすれば、仕切壁の強度を向上できる。
【0076】
(5)仕切壁の上流側の水処理槽に設けられる流入バッフルの構成としては、上記の構成に代えて、水を上方側から下方側へ導く他の種々の構成を採用可能である。例えば、流入バッフルから水が流出する流出口が、
図2の流入バッフル812のように底部ではなく、流入バッフルの側面に設けられていてもよい。いずれの場合も、流入バッフルから流出する水は、流入バッフルの下端よりも下方に移動し得る。従って、流入バッフルから移流開口に移動する水が底部に堆積した堆積物(例えば、汚泥)を撹拌することを抑制するためには、仕切壁によって形成される移流開口が、流入バッフルの下端よりも高い位置から流入バッフルの下端よりも低い位置まで拡がっていることが好ましい。換言すれば、移流開口の上端は、流入バッフルの下端よりも高い位置に配置され、移流開口の下端は、流入バッフルの下端よりも低い位置に配置されていることが好ましい。なお、流入バッフルを省略してもよい。
【0077】
(6)排水処理装置の外壁(槽本体)の構成としては、
図5に示す槽本体801の構成に代えて、複数の水処理槽を収容する空間を形成する他の種々の構成を採用可能である。例えば、排水処理装置の外壁は、水平な方向に延びる円筒状の胴部と、胴部の両端を塞ぐ2つのキャップ部と、で構成されてもよい。
【0078】
(7)排水処理装置の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、夾雑物除去槽810に嫌気濾材が充填されてもよい。また、接触濾床槽830に代えて、微生物を保持する担体が流動する担体流動槽を採用してもよい。また、仕切壁900の中央部分の夾雑物除去槽810側の面に、他の水処理槽を固定してもよい。他の水処理槽としては、例えば、鉄電極を用いて水中に鉄イオンを溶出させ、鉄とリンとの不溶性の化合物を生成して沈殿させることによって、排水処理装置から放流される水のリン酸イオンの濃度を低減するリン除去槽を採用してもよい。
【0079】
また、ピークカット機構としては、
図2の実施例の放流エアリフトポンプ870に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、排水処理装置が、好気処理部(例えば、接触濾床槽830)と、原水を受け入れて、受け入れた原水を好気処理部へ供給するための前段処理部(
図1の実施例では、夾雑物除去槽810と嫌気濾床槽820との全体)とを有する場合には、前段処理部から好気処理部へ被処理水を少量ずつ移送するエアリフトポンプを採用可能である。また、前段処理部から好気処理部への単位時間当たりの移流量を制限する堰(例えば、V型堰や小孔)を採用してもよい。このようなピークカット機構を設けることによって、好気処理部から未処理の水が流出する可能性を低減できる。ただし、ピークカット機構が省略されてもよい。この場合、排水処理装置の各水処理槽内では、通常の使用状態では、水位は、変動せずにおおよそ一定である。このような一定の水位は、設計上の最高水位ということができる。
【0080】
また、処理フローとしては、
図1に示すフローに限らず、他の任意のフローを採用可能である。例えば、水位センサと、水位センサによって特定される水位に応じて制御される移送ポンプと、を有する流量調整槽が設けられても良い。また、家庭からの排水に限らず、産業排水を処理する排水処理装置を採用してもよい。
【0081】
いずれの場合も、開口縁部から突出する突出部を有する仕切壁は、夾雑物除去槽810と嫌気濾床槽820とを仕切る壁に限らず、他の任意の2つの水処理槽の間を仕切る壁に適用可能である。例えば、
図3の仕切壁803が、移流開口824の縁から接触濾床槽830側に突出する突出部を有していても良い。
【0082】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。