(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548462
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】付加製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/188 20170101AFI20190711BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20190711BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20190711BHJP
B29C 64/218 20170101ALI20190711BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20190711BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20190711BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20190711BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20190711BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20190711BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
B29C64/188
B29C64/124
B29C64/153
B29C64/218
B23K15/00 501B
B33Y10/00
B23K26/34
B23K26/21 Z
B22F3/16
B22F3/105
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-112736(P2015-112736)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-13686(P2016-13686A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】62/013,286
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ジョー ジェイ.リウ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー.クレッカ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェイ アーネスト クチェク
(72)【発明者】
【氏名】タハニー イブラヒム エル‐ワーダニー
(72)【発明者】
【氏名】リー エー.ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヴィー.ヴィーンズ
【審査官】
越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第02620240(EP,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02491472(GB,A)
【文献】
特開2005−141120(JP,A)
【文献】
特開2004−293635(JP,A)
【文献】
特表平08−507969(JP,A)
【文献】
特開2008−162011(JP,A)
【文献】
特開2007−245330(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0255198(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02730354(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0197683(US,A1)
【文献】
米国特許第06622570(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントを形成するための付加製造方法であって、
基体上に付加材料の第一の層を形成することと、
前記付加材料の第一の層をディープローリングすることと、
前記付加材料の第一の層の上に付加材料の第二の層を形成することと、
を含み、
前記ディープローリング工程が局所的なディープローリングを含み、
略凸状の輪郭を有するクラウンローラを備えるディープローリングツールが、ツールホルダに取り付けられ、これを使用して前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つをディープローリングする、方法。
【請求項2】
前記付加材料の第二の層をディープローリングする工程をさらに含む、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項3】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つのディープローリングによって、前記付加材料の層の1mm〜1.5mmの深さに残留応力を与える、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項4】
前記付加材料の第二の層のディープローリングが、前記付加材料の第一の層を実質的に変形させない、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項5】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つをディープローリングして、前記付加材料の層に塑性を生じさせる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項6】
前記付加材料の層を形成する工程が、粉末堆積、レーザ加工ネットシェイピング、粉体層法、電子ビーム方法、ワイヤ供給技術、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項7】
前記形成工程および前記ディープローリング工程が連続して実行される、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項8】
前記付加材料が、ニッケル合金、チタン合金、チタン、クロム合金、ニッケルクロム合金、ステンレス鋼、鋼鉄、アルミ合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項9】
前記付加材料がインコネル718であり、前記インコネル718の層の少なくとも一つが、270kg/mm2〜425kg/mm2の範囲の硬度を有する、請求項8記載の付加製造方法。
【請求項10】
前記第一および第二の層の少なくとも一つが、任意の異方性微細構造を実質的に減少するようにディープローリングされる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項11】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つが、20μin〜140μinの範囲の表面粗度を有するようにディープローリングされる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項12】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つのディープローリングによって、前記層の微細構造を微細化する、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項13】
前記付加材料の前記第一および第二の層の少なくとも一つの第一の部分が、前記少なくとも一つの層の第二の部分とは異なる圧力でディープローリングされることによって、前記第二の部分とは硬度が異なる前記第一の部分が得られる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項14】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つが、引張残留応力を実質的になくすようにディープローリングされる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項15】
前記クラウンローラが、1mm〜5mmの幅を有する先端を有する、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項16】
前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つが、2500N〜7000Nの範囲の負荷でディープローリングされる、請求項1記載の付加製造方法。
【請求項17】
基体上に前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つを形成する前記工程が、
金属粉末を溶融することと、
前記溶融された金属粉末の溶融プールを前記基体上に形成させて、前記溶融プールを凝固させることと、
を備え、
前記ローリング工程が、前記凝固した溶融プールをローリングすることを含む、
請求項1記載の付加製造方法。
【請求項18】
前記層上のディープローリングされた複数の箇所が互いにオーバーラップするように、前記付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つがディープローリングされる、請求項1記載の付加製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造に関し、より詳細には、付加製造製品および方法に関する。従来の機械加工は、材料の除去に依存し、多くの場合、部品の複雑性に関して制限される。付加製造は、これらの課題の多くを回避し、その結果、高度に複雑な幾何学形状を持つニアネットシェイプ(near net shape)の製品を生産するための性能が得られる。
【背景技術】
【0002】
都合の悪いことに、多くの従来の付加製造技術では、より望ましい鍛造材料とは対照的に、鋳込材料に相当する程度の硬度または延性などの力学的特性を持つ製品しか得られない。さらに、従来の付加製造を通じて生産された製品の多くは、製品全体に引張残留応力、または望ましくない表面粗度を有することがある。これにより、付加材料の付加的な層と既に形成されている付加材料の層との結合が困難となる。また、従来の付加製造技術によって形成された部品は、配向微細構造を持つ層を含むことがあり、製品を弱める可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの望ましくない特性のいくつかに対処するために、従来の付加製造方法によって形成された製品は、かなりの数の後処理および熱処理を受ける。これにより、鍛造性能の達成についての成功度がさまざまとなる。当技術分野において、力学的特性が改善された製品を生産する付加製造手法に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
コンポーネントを形成するための付加製造方法を開示する。その方法は、基体上に付加材料の第一の層を形成する工程を含む。付加材料の第一の層は、ディープローリングされる。次に、付加材料の第一の層上に、付加材料の第二の層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】コンポーネントを形成するための製造方法の実施形態を示すフローチャートである。
【
図2A】基体上に形成された付加材料の第一の層を示す概略図である。
【
図2B】ローリングされる付加材料の第一の層を示す概略図である。
【
図2C】付加材料の第一の層の上部に形成された付加材料の第二の層を示す概略図である。
【
図2D】ローリングされる付加材料の第二の層を示す概略図である。
【
図3】付加材料の層をディープローリングするのに使用されるディープローリングツールの平面図である。
【
図4】クラウンローラの実施形態を示す平面図である。
【
図5】ローリング工程の実施形態を示す概略図である。
【
図6】付加材料の堆積層およびそれらの微細構造を持つワークピースを示す顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
コンポーネントを形成するための付加製造方法(本明細書では「ハイブリッド付加製造方法」とも呼ぶ)を本明細書に開示する。その方法は、基体上に付加材料の第一の層を形成する工程を含む。この工程に続いて、付加材料の第一の層をローリングして、付加材料の第一の層の塑性を生じさせる。この工程に続いて、付加材料の第一の層の上部に付加材料の第二の層を形成する。この工程に続いて、付加材料の第二の層をローリングして、付加材料の第二の層の塑性を生じさせる。このプロセスは、付加製造における多くの利益を有する。例えば、付加材料の層における残留引張応力の量の減少、付加材料の層への圧縮残留応力の追加、付加材料の各層の硬化、比較的平らな表面を持つ付加材料の層の生成、および付加材料の層の中の異方性微細構造の存在の減少が含まれる。
【0007】
図1は、ハイブリッド付加製造の一実施形態を示す。工程10は、基体上に付加材料の第一の層を形成することを含む。付加材料は、付加製造に使用される多くの好適な材料の一つであってもよい。形成工程10にローリング工程12が続く。ローリング工程12は、付加材料の第一の層をローリングすることを含み、付加製造機械のコンポーネントであるディープローリングツールを用いて実現できる。ローリング工程12に形成工程10’が続く。形成工程10’は、付加材料の第一の層の上部に付加材料の第二の層を形成することを含む。形成工程10’にローリング工程12’が続く。ローリング工程12’は、付加材料の第二の層をローリングすることを含み、ディープローリングツールを用いて実現できる。これらの工程を繰り返して、付加材料の付加的な層を形成およびローリングできる。
【0008】
図2A〜
図2Dは、ハイブリッド付加製造方法の一実施形態を概略的に図示する。
図2Aは、形成工程10を示す。
図2Aは、さらに、堆積ツール14、金属粉末16およびワークピース18を示す。堆積ツール14は、粉末ノズル20、粉末供給管22および熱源24を含む。堆積ツール14は、付加製造機械の部品として構成され、複数の自由度(dof)(例えば、3dof、5dof、6dof)を有することができる。ワークピース18は、基体26および第一の層28を含む。金属粉末16が、粉末供給管22を通じて粉末ノズル20に供給される。金属粉末16は、ニッケル合金、チタン合金、チタン、クロム合金、ニッケルクロム合金(例えば、インコネル718)、アルミ合金、ステンレス鋼、および鋼鉄を含むことができる。インコネル718は、ニッケルクロム合金の一つの例である。金属粉末16が、粉末ノズル20から出て、基体26上に堆積する。基体26は、金属粉末16をそこに付着するような、金属を含む平面でもよいし、プラスチックで作られた平面でもよい。熱源24が、基体26上の金属粉末16を溶融し、基体26上に溶融プールを形成する。溶融プールは、凝固し、最終的に第一の層28になる。第一の層28は、本明細書に記述する任意の他の層の様に、金属粉末16から形成された付加材料の層である。第一の層28は、後の形成工程において基体として機能する。堆積ツール14は、コンピュータプログラムによって命令されるような特定量の金属粉末16を堆積することによって、規定の厚さを持つ第一の層28を作ることが可能になる。第一の層28を形成する前述の方法は、粉末堆積またはレーザ加工ネットシェイピングである。当業者は、本開示の範囲から逸することなく、第一の層28の形成に他の付加製造技術を使用できることを容易に理解する。
【0009】
第一の層28の形成に使用できる他の付加製造技術は、ステレオリソグラフィ(stereolithography)技術、粉体層技術およびワイヤ供給技術を含む。ワイヤ供給技術は、溶接および冷金属融解を含むことができる。ステレオリソグラフィ技術を使用して第一の層28を形成するために、プラットホームを感光性高分子樹脂に浸す。紫外線を樹脂の上方に位置付け、活性化させる。露出した樹脂が、紫外線にさらされると硬くなり、それ故に、所望の厚さの固体層が生成される。この固体層はローリングできる。その後、プラットホームを下げ、樹脂の新規の層を硬くする。それ故に、所望の厚さの新規の層が生成される。
【0010】
第一の層28の形成に好適な別の付加製造技術に、粉体層法がある。粉体層法は、プラットホームの上部の上に載っている金属粉末の層を使用して第一の層28を形成する。レーザまたは電子ビームなどの熱源が、プラットホームの全体にわたる金属粉末を焼結または融解する。融解された層は第一の層28になる。第一の層28が形成された後、プラットホームが第一の層28と一緒に下げられ、融解していない粉末が第一の層28の全体にわたる空間に充填される。その後、その粉末が焼結または融解して第二の層を形成する。粉体層法は、プラスチック、ポリマ、混合物およびセラミックはもちろん、金属を用いてもよく機能する。ワイヤ供給技術も、第一の層28の形成に好適であろう。ワイヤ供給技術は、金属粉末とは対照的に、ワイヤを熱源に供給し、これを溶融および凝固して付加材料の層を形成するという点で粉末ベースの技術とは異なる。
【0011】
図2Bは、ローリング工程12、ワークピース18、およびディープローリングツール30を示す。ワークピース18は、基体26および第一の層28を含む。ディープローリングツール30は、ツールホルダ32およびクラウンローラ(crowned roller)34を含む。ローリング工程12において、第一の層28が、ディープローリングツール30によってローリングされる。ディープローリングツール30は、堆積ツール14と同様に、付加製造機械の部品として構成され、堆積ツール14に見合った複数の自由度を有することができる。
【0012】
動作中、クラウンローラ34は、第一の層28の表面に対して押し付けられ、第一の層28に対する圧力または点接触負荷を生成する。クラウンローラ34は、点接触負荷を第一の層28に局所的に与えることができる。つまり、第一の層28の幅全体にも、または第一の層28の幅の一部分のみにも及ぶことができる。他の実施形態では、クラウンローラ34は、第一の層28の選択された領域のみに点接触負荷を加えることができる。クラウンローラ34が第一の層28に及ぼす力の量は、第一の層28の所望の力学的特性に応じて変化させることができる。力の量は、特定の負荷を生み出す付加製造機械の能力にも応じて異なる。例えば、力の量は、およそ2500N〜およそ7000Nの範囲の負荷であってもよい。次に、クラウンローラ34を、点接触負荷を第一の層28に加えながら、第一の層28の表面にわたって平行移動させる。以下にさらに記述するように、クラウンローラ34の幾何学形状に基づき、第一の層28にかかる圧力または点接触負荷は、所与の負荷のために著しく異なる。
【0013】
第一の層28は、1回だけローリングされてもよいし、複数回ローリングされてもよい。第一の層28を複数回ローリングすることによって、第一の層28の均一なローリングを保証する役割を果たす。これは、第一の層28の第一の部分を、第一の層28の第二の部分と異なる圧力でローリングすることも可能になる。それ故に、以下にさらに記述するように、第一の層28の一部分を、第一の層28の別の一部分と比較して、より高い硬度、異なる表面粗度、または本質的により微細化された(refined)微細構造を持つように形成できる。従って、第一の層28、またはワークピース18における任意の他の層を複数回または選択的にローリングすることによって、第一の層28の力学的特性の制御における優れた精度が可能になる。複数個のクラウンローラ34を並列に使用して、第一の層28の第一の部分と第二の部分とを同時にローリングできる。これによりローリング工程12の速度を上げることができる。
【0014】
ディープローリングツール30が第一の層28の表面にわたって平行移動すると、クラウンローラ34によって生成された点接触負荷または圧力の関数として、クラウンローラ34が、ある程度の塑性を第一の層28に与える。点接触負荷の結果として、クラウンローラ34は、第一の層28の表面に局所的に入り込む。しかしながら、点接触負荷または圧力によっては、第一の層28の表面の断面輪郭は変化しない、またはワークピース18における座屈もしくは体積変形は生じない。この理由は、使用される負荷量が、通常、ローリングされる部分全体における全体的な変形を起こすローリング成形加工に使用されるそれらの負荷(例えば、50000N〜75000N)よりも小さいからである。第一の層28に入り込むレベルは、100ミクロンよりも小さくてもよい。当然のことながら、第一の層28の表面に入り込む高さは、材料の種類に応じて制御および調節することができる。例えば、第一の層28が脆性材料から成る、または薄い(例えば、2mm)場合には、入り込みを最小限にできる。他方で、第一の層28が強固な材料から成る、または厚い場合には、入り込みをより深くできる。
【0015】
図2Cは、
図2Aと同じコンポーネントであるが、さらに第二の層36を含む場合を示す。
図2Cに示すように、第一の層28をローリングした後、形成工程10’において第一の層28の上部に第二の層36を形成できる。このプロセスは、第一の層28が金属粉末16のための基体としての機能を果たす以外には、形成工程10と同一であってもよい。第二の層36は、第一の層28と同じ厚さでもよいし、異なる厚さでもよい。第一の層28において生じた塑性と、第二の層36の堆積中の第一の層28のその後の再加熱との組み合わせによって、第一の層28の微細構造の微細化を促進する。
【0016】
図2Dは、
図2Bと同じコンポーネントを示し、ローリング工程12’を図示する。ローリング工程12’において、第二の層36にある程度の塑性を与えるディープローリングツール30によって第二の層36がローリングされる。第二の層36(または、任意のその後に堆積する層)のローリングでは、第一の層28(または、任意のそれ以前に堆積した層)を実質的に変形しない。ローリング工程12’のプロセスは、ローリング工程12と同一であってもよい。付加的な形成およびローリング工程を連続して繰り返して、ワークピース18を形成できる。ワークピース18は、第一の層28、第二の層36、および任意のさらなる形成された層から形成される。ワークピース18は、基体26をさらに含む。さらなる層をワークピース18に追加しないときに、完成されたコンポーネントが生産される。
【0017】
図3は、ディープローリングツール30の実施形態を示す。ディープローリングツール30は、ツールホルダ32およびクラウンローラ34を含む。先に論じたように、ディープローリングツール30は、付加製造機械の部分として構成され、複数の自由度(dof)(例えば、3dof、5dof、6dof)を有する。これにより使用されるディープローリングツール30は、複雑な幾何学形状を持つ製品をローリングできる。ディープローリングツール30は、付加製造セル内に位置する任意の機械加工スピンドルにも適合できる。ディープローリングツール30は、任意の付加製造機械の負荷容量に適合するように調整もできる。
【0018】
図4は、クラウンローラ34の実施形態を示す。クラウンローラ34は、略凸状の輪郭を有し、先端38を含む。先端38は、クラウンローラ34の中央から突出する。クラウンローラ34の先端38の幾何学形状は、様々である。例えば、先端38は、およそ1mm〜およそ5mmの幅を持つ平坦部分を備えることができる。いくつかの実施形態では、先端38は、5mmよりも長い幅を持つ平坦部分を備えることができる。他の例では、先端38は、さまざまな半径(例えば、およそ0.25mm〜およそ3mm)の丸い領域を備えることができる。先端38の幾何学形状は変えられるため、ハイスループットローリング(high throughput rolling)、または微細なもしくは複雑な構造のローリングにも適合させることができる。すなわち、先端38は比較的大きくてもよく、それにより第一の層28のより広い表面積にわたってローリングできる(すなわち、ハイスループット)。より微細なローリングが要求される場合には、これは第一の層28の特定部分により大きい点接触負荷を与えることを意図し、先端38を狭く、もしくは鋭い端部を有するようにすることができる、あるいは鈍くすることができる。先端38の変更可能な形態により、クランク軸の段部に凹状面などの複雑な幾何学形状を持つ付加製造製品のディープローリングも可能になる。第一の層28がディープローリングされるときには、先端38は、第一の層28に接触する、クラウンローラ34の唯一の部分である。
【0019】
図5は、ローリング工程12の実施形態を示す概略図である。
図5は、クラウンローラ34の先端38、第一の層28、第一の端部40、および第二の端部42を示す。第一の端部40および第二の端部42が、第一の層28の幅44を画定する。先端38の幅46は、第一の層28の幅44よりも短い。
図5に示すように、先端38の幅46が第一の層28の幅44よりも小さいため、幅44にわたって、第一の層28の種々の部分をディープローリングできる。動作中、先端38は、第一の端部40付近の第一の層28の一部分に当てられる。先に詳述したように、その一部分がローリングされる。次に、先端38が第一の層28の表面から引き上げられ、第二の端部42の方に向かってマージン分だけ調節され(indexed)、次にローリングする第一の層28の別の一部分に当てられる。
図5に示すように、端の先端38が幅46の半分だけ調節されると(indexed)、第一の層28におけるローリングの50パーセントがオーバーラップする。当業者にとって、このプロセスを使用して25パーセントなどの他のオーバーラップを達成できることが認識できるであろう。このプロセスは、先端38が第二の端部42に到達するまで繰り返される。この方式による第一の層28のローリングによって、幅44にわたる実質的に均一なローリングの生成が促進される。このプロセスは、第二の層36および任意のその後に堆積される付加材料の層にも応用できる。
【0020】
第一の層28(または、ワークピース18を形成する任意の他の層)のローリングは、多数の利益を提供する。従来の付加製造技術では、多くの場合、得られるワークピースは、引張残留応力を有する。残留応力は、応力の元々の原因を除去した後に固体材料に残る応力である。引張応力は、膨張を招く応力状態である。付加製造によって形成される大抵の層は、引張応力を含む。引張応力は望ましい場合もあるが、多くの場合では、そのような応力は望ましくはない。付加材料の層が形成されると、特に金属の溶融によって、引張応力のポケットが層に不均等に分布されることがある。この理由は、金属に伴う熱が、層に沿う局部的な伸張を招くことがあるからである。層が冷却すると、層のある区域が冷却して他の区域よりも縮小し、層内に異なる残留応力を残す。付加製造には引張応力を生成し得る性向があるため、ローリングしない場合には、第一の層28における残留応力は引張応力である。
【0021】
しかしながら、第一の層28に塑性を与えるようにローリングする場合には、引張残留応力は、大部分は均一な圧縮残留応力に取って代えられる。圧縮応力は、本質的に引張応力とは正反対のものである。つまり、膨張をもたらす応力状態とは対照的に、この応力状態は圧縮およびより密度の高い微細構造をもたらす。圧縮残留応力は、第一の層28の深さ全体、または選択された深さのみにわたって与えることができる。例えば、第一の層28の深さが1.5mmである場合には、圧縮残留応力は、第一の層28の1mmまたは1.5mm全体を通して与えることができる。残留応力を与える深さの制御に加えて、クラウンローラ34を第一の層28の選択された一部分に局所的に当てて、その選択された一部分に規定の量の圧縮応力を生じさせることができる。圧縮応力は、金属疲労および何らかの形態の応力腐食に対する抵抗を与えることができるという点において有益であり得る。圧縮残留応力は、第一の層28の硬化をも促進する。第一の層28は、硬化すると延性を失う。引張残留応力のいくつかのポケットがあることが望ましい場合には、単に第一の層28をローリングしないことによって、それらのポケットを第一の層28に残してもよい。要するに、第一の層28における残留応力は、ローリングされる第一の層28の位置、およびそこに当てられる点接触負荷の量に基づき優れた制御を受ける。
【0022】
ディープローリングツール30を使用して第一の層28を硬化することの特定の利益は、第一の層28の種々の部分を選択的に硬化できることである。ディープローリングツール30を用いた第一の層28または任意の他の層の硬化の特性が予測可能であるため、最終製品の組み立てにおいて優れた精度が可能となる。例えば、インコネル718が第一の層28の構成要素である場合には、およそ2000N〜およそ4000Nの力を(例えば、ディープローリングツール30によって)加えたときのその層のビッカース硬さの測定値は、およそ270kg/mm
2〜およそ425kg/mm
2の範囲にできる。ワークピース18が複数の層から成るときには、最外層が最も高い硬度値を有し、各々のより深い層になるにつれて硬度勾配が徐々に低下する。この理由は、その層の上方に別の層(一つまたは複数)を追加するときに、各層が再加熱にさらされることによって、その層の硬度が低下するからである。最外層は、ローリングされた後にはあらゆる再加熱を受けないため、最も高い硬度値を有する。第一の層28をローリングするなおも別の利益は、ローリングによって、第一の層28が持つ任意の異方性微細構造の除去を促進できることである。異方性は、方向依存性を持つ特性である。ローリングをしない場合には、第一の層28の力学的特性は、ある程度の方向性を含む。
【0023】
図6は、基体26および付加材料の三つの層からなるワークピース18を示す顕微鏡写真である。堆積層48および50は、ローリングされない。堆積層52は、ローリングされる。
図6は、さらに、配向微細構造を有する粒子54、および配向微細構造が実質的にない粒子54’を示す。
【0024】
堆積層48および50は、堆積し、ローリングされていない。
図6から見てとれるように、粒子54は、(基体26から上方に)実質的に形成方向に伸長する。粒子54の実質的に一方向における伸長によって、堆積層48および50の異方特性が生じる。その結果、堆積層48および50の一方向が、例えば、別の方向よりも20%強くなることがある。
図6は、ローリングされる堆積層52も示す。粒子54’のあらゆる方向における伸長の欠乏から見てとれるように、堆積層52に与えられる塑性が、堆積層52の異方性微細構造の実質的な減少を促進する。それ故に、堆積層52の微細構造が概して等方性となり、これは、堆積層52の強度があらゆる方向においておおよそ同じであることを意味する。
【0025】
各々の層をローリングすることの別の利益は、ローリングされた層の表面粗度が、堆積したローリングされない層よりも滑らかであることである。例えば、第一の層28が、インコネル718から形成され、堆積されるがローリングされない場合には、表面粗度は、およそ300μin〜およそ900μinの範囲である。しかしながら、第一の層28がローリングされて層に塑性を与える場合には、表面粗度をおよそ20μin〜およそ140μinの範囲に改善できる。これにより、その上に形成される第二の層36のための、平坦かつ均一な表面(焦点面)を持つ第一の層28が提供される。このことは、第一の層28と第二の層36との間に欠陥が生じる可能性を低減させる。ローリングは、第二の層36の形成中に欠陥を引き起こし得る緩く焼結されている粒子の除去も促進する。第一の層28の改善された表面粗度のなおも別の利益は、ワークピース18の機械加工後における要件を低減できることである。
【0026】
(可能な実施形態の論述)
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な記述である。
【0027】
数ある可能な方法の中でも、コンポーネントを形成するための付加製造方法は、基体上に付加材料の第一の層を形成することと、付加材料の第一の層をディープローリング(deep rolling)することと、付加材料の第一の層の上に付加材料の第二の層を形成することと、を含む。
【0028】
先行する段落のコンポーネントを形成するための付加製造方法は、任意で、追加的および/または代替的に、以下の特徴、構成の任意の一以上および/または付加的なコンポーネントを含むことができる。
【0029】
付加材料の第二の層は、ディープローリングできる。
【0030】
ディープローリング工程は、局所的なディープローリングを含むことができる。
【0031】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つのディープローリングによって、およそ1mm〜およそ1.5mmの深さに残留応力を与えることができる。
【0032】
付加材料の第二の層のディープローリングでは、付加材料の第一の層は実質的に変形しない。
【0033】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つをディープローリングして、付加材料の層に塑性を生じさせることができる。
【0034】
付加材料の層を形成する工程は、粉末堆積、レーザ加工ネットシェイピング、粉体層法、電子ビーム方法、ワイヤ供給技術、およびそれらの組み合わせからなる群より選択できる。
【0035】
形成工程およびローリング工程は、連続して実行できる。
【0036】
付加材料は、ニッケル合金、チタン合金、チタン、クロム合金、ステンレス鋼、鋼鉄、アルミ合金、ニッケルクロム合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択できる。
【0037】
インコネル718の層の硬度は、270kg/mm
2〜およそ425kg/mm
2の範囲であり得る。
【0038】
第一および第二の層の少なくとも一つをディープローリングすることによって、任意の異方性微細構造を実質的に減少できる。
【0039】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つを、およそ20μin〜およそ140μinの範囲の表面粗度を有するようにローリングできる。
【0040】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つのディープローリングによって、層の微細構造を微細化できる。
【0041】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つの第一の部分を、層の第二の部分とは異なる圧力でディープローリングすることによって、層の第二の部分とは硬度が異なる層の第一の部分を得ることができる。
【0042】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つを、引張残留応力を実質的になくすようにディープローリングできる。
【0043】
略凸状の輪郭を有するクラウンローラを備えるディープローリングツールをツールホルダに取り付け、これを使用して付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つをディープローリングできる。
【0044】
クラウンローラは、およそ1mm〜およそ5mmの幅を持つ平坦部分を含むことができる。
【0045】
クラウンローラは、およそ1mm〜およそ5mmの幅を有する先端を有することができる。
【0046】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つは、およそ2500N〜およそ7000Nの範囲の負荷でディープローリングできる。
【0047】
基体上に付加材料の層を形成する工程は、金属粉末を溶融することと、溶融された金属粉末の溶融プールを基体上に形成することと、溶融プールを凝固させることと、を含むことができる。ローリング工程は、凝固した溶融プールをローリングすることを含む。
【0048】
製品は、記述した方法に従い形成できる。
【0049】
記述した方法に従い形成された製品は、任意の異方性微細構造を実質的に減少するように、少なくとも第一および第二の層がローリングされる。
【0050】
記述した方法に従い形成された製品は、引張残留応力を実質的になくすようにローリングされた、付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つを有する。
【0051】
付加材料の第一および第二の層の少なくとも一つは、その層上のディープローリングされた複数の箇所が互いにオーバーラップするように、ディープローリングされる。
【0052】
本発明を例示的な実施形態(一つまたは複数)を参照して記述したが、本発明の範囲から逸することなく、さまざまな変化を為し、均等物をそれらの要素と置換できることが当業者に理解される。さらに、多くの変更を、本発明の本質的な範囲から逸することなく、本発明の教示に従い、特定の状況または材料に適応するように為すことができる。従って、本発明が、開示する特定の実施形態(一つまたは複数)に限定されず、添付の請求項の範囲内に収まるすべての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0053】
14…堆積ツール
16…金属粉末
18…ワークピース
20…粉末ノズル
22…粉末供給管
24…熱源
26…基体
28…第一の層
30…ディープローリングツール
32…ツールホルダ
34…クラウンローラ
36…第二の層