(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、薬剤保持カートリッジには寿命があるので定期的に交換する必要がある。特許文献1の薬剤保持カートリッジを交換する際には、装置本体のカバーを取り外した後、古い薬剤保持カートリッジを取り出して新しいものを収容した後、カバーを装置本体に取り付ける。
【0007】
薬剤保持カートリッジを装置本体に取り付ける際には、薬剤保持カートリッジの向きを合わせる必要がある。このとき、特許文献1の薬剤保持カートリッジは略正方向に近い形状であるため、薬剤保持カートリッジの向きが判別し難い場合が考えられる。特に、薬剤保持カートリッジの保持体ケースの前面の開口が大きな略正方形であって方向性がないのに対し、ケースのカバーの開口部がスリット形状で方向性がある場合には、両者の形状が大きく異なることになり、初めて交換する際に使用者が薬剤保持カートリッジの向きに戸惑うことが考えられ、交換作業性が悪い懸念がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、薬剤保持カートリッジを装置本体に取り付ける際の向きを判別し易くし、薬剤保持カートリッジを初めて交換する場合であっても戸惑うことなく、容易に交換できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、薬剤保持カートリッジの空気流通孔と、装置本体のカバーの開口部とを略同方向に延びる形状にすることにより、薬剤保持カートリッジを装置本体に取り付ける際の向きを判別し易くした。
【0010】
第1の発明は、
薬剤を保持する薬剤保持体と、該薬剤保持体を収容する収容体とを備えた薬剤保持カートリッジと、
上記薬剤保持カートリッジが着脱可能に装着される装置本体とを備えた薬剤放散装置において、
上記収容体には、
該収容体の外方へ向けて膨出するように形成された壁部が設けられ、当該壁部には、所定方向に長い形状の
空気流入用開口部が形成され、
上記装置本体には、該装置本体と共に上記薬剤保持カートリッジの収容空間を形成するとともに、該収容空間を覆うように形成され、上記薬剤保持カートリッジの交換時に上記収容空間を開放するカバーが取り付けられ、
上記カバーは、上記収容体の上記壁部の膨出形状に対応するように、上記収容空間の外方へ向けて湾曲するように形成され、
上記カバーには、上記収容空間に収容された上記薬剤保持カートリッジの上記
空気流入用開口部と略同方向に長い形状の
空気吸入口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、外部の空気が、装置本体のカバーの
空気吸入口及び薬剤保持カートリッジの収容体の
空気流入用開口部を介して収容体の内部に
吸入可能になる。これにより、薬剤保持体の薬剤が外部に放散される。
【0012】
薬剤保持カートリッジを交換する際には、装置本体のカバーを操作して収容空間を開放してから古い薬剤保持カートリッジを収容空間から取り出し、その後、新しい薬剤保持カートリッジを装置本体の収容空間に収容する。このとき、カバーの
空気吸入口の延びる方向と、薬剤保持カートリッジの
空気流入用開口部の延びる方向とが略同方向であるため、薬剤保持カートリッジの
空気流入用開口部の延びる方向がカバーの
空気吸入口の延びる方向と略一致するように、薬剤保持カートリッジを向ければよく、初めての者でも薬剤保持カートリッジの向きを直感的に、かつ、容易に判別することが可能になる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
上記カバーは、支軸周りに回動することによって上記収容空間を開放可能に上記装置本体に取り付けられることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、カバーを支軸周りに回動させて収容空間を容易に開放することが可能になる。この開放状態でカバーが支軸を介して装置本体に連結されるので、カバーの
空気吸入口の延びる方向と装置本体の収容空間との関係が変わることはなく、カバーの
空気吸入口の延びる方向を基準にして薬剤保持カートリッジの方向を容易に判別することが可能になる。
【0015】
第3の発明は、第1または2の発明において
、
上記収容体には、複数の上記
空気流入用開口部が該
空気流入用開口部の長手方向と交差する方向に互いに間隔をあけて形成され、
上記カバーには、複数の上記
空気吸入口が該
空気吸入口の長手方向と交差する方向に互いに間隔をあけて形成されていことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、収容体の
空気流入用開口部が複数あり、カバーの
空気吸入口も複数あるので、薬剤の放散効率が高まる。また、収容体の
空気流入用開口部及びカバーの
空気吸入口が複数あることで、薬剤保持カートリッジの向きをより一層容易に判別することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、カバーの
空気吸入口の延びる方向と、薬剤保持カートリッジの
空気流入用開口部の延びる方向とが略同方向であるため、薬剤保持カートリッジを装置本体に取り付ける際の向きを直感的に、かつ、容易に判別することができ、薬剤保持カートリッジを初めて交換する場合であっても戸惑うことなく、容易に交換できる。
【0018】
第2の発明によれば、カバーを支軸周りに回動させて収容空間を容易に開放することができる。この開放状態でカバーが支軸を介して装置本体に連結されるので、カバーの
空気吸入口の延びる方向と装置本体の収容空間との関係が変わることはなく、カバーの
空気吸入口の延びる方向を基準にして薬剤保持カートリッジの方向を容易に判別することができる。
【0019】
第3の発明によれば
、収容体の
空気流入用開口部が複数あり、カバーの
空気吸入口も複数あるので、薬剤の放散効率を高めることができるとともに、薬剤保持カートリッジの向きをより一層容易に判別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る薬剤放散装置1を正面側、かつ、上方から見た斜視図である。この薬剤放散装置1は、例えば使用者に取り付けて使用することができるようになっている。薬剤放散装置1の取付部位としては、使用者の腕や脚、衣服、ベルト等であり、例えば手首、上腕部、足首等に取り付けて使用するのが好ましいが、取付部位はこれら部位に限定されるものではない。
【0023】
薬剤放散装置1は、薬剤保持カートリッジ2(
図11に仮想線で示す)と、薬剤保持カートリッジ2が着脱自在に装着される装置本体5とを備えている。この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、
図1〜
図9に示すように薬剤放散装置1の長手方向一側を前側とし、長手方向他側を後側とする。そして、薬剤放散装置1を前側から見たときに右となる側を右とし、左となる側を左とする。
【0024】
(薬剤保持カートリッジ2の構成)
図12〜
図18に基づいて薬剤保持カートリッジ2の構成について説明する。薬剤保持カートリッジ2は、ケース3と、薬剤を保持する薬剤保持体4とを備えている。ケース3は、薬剤保持体4を収容する収容体である。薬剤保持体4に保持される薬剤としては、常温で揮発する性質を有する各種薬剤であればよく、例えば害虫忌避剤、殺虫剤、芳香剤、除菌剤、消臭剤等を挙げることができ、これらのうち、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。薬剤を薬剤保持体4に含浸させることによって保持させてもよいし、薬剤保持体4の表面に付着させることによって保持させてもよい。薬剤は液体であるのが好ましい。
【0025】
図17に示すように、薬剤保持体4は、連続する波形をなすように折り曲げ成形したプリーツ形状の布材で構成されている。布材としては、例えば不織布や織布等を用いることができるが、これら以外にも通気性を有し、かつ、薬剤を保持することができるもの(通気性を有する発泡材等)であればよく、特に限定されない。薬剤保持体4の全体に略均一に薬剤が保持されている。
【0026】
この実施形態では、説明の便宜を図るために、
図12〜
図18に示すように薬剤保持カートリッジ2の前側、後側、右側及び左側を定義する。薬剤保持カートリッジ2の前側、後側、右側及び左側は、薬剤保持カートリッジ2を装置本体5に装着した状態において薬剤放散装置1の前側、後側、右側及び左側と同じ側となる。
【0027】
薬剤保持体4は平面視で略正方向に近い形状とされており、詳細は後述するが、装置本体5によって送風される空気が上方から下方へ通過するようになっている。
図17に示すように、薬剤保持体4の前側及び後側の所定範囲のプリーツ4bの高さ(プリーツ高さ)は、それら以外の部分、即ち、前後方向中間部のプリーツ4aの高さに比べて低く設定されている。つまり、薬剤保持体4におけるプリーツ4a、4bの連続する方向の両端部のプリーツ4bの高さは、プリーツ4a、4bの連続する方向の中間部のプリーツ4aの高さに比べて低く設定されている。
【0028】
この実施形態では、薬剤保持体4の前側及び後側のプリーツ高さの低い部分は、2山ずつとなっているが、山の数はこれに限られるものではなく、任意の数に設定することができる。また、薬剤保持体4の前側及び後側のプリーツ高さは、前後方向中間部のプリーツ高さの1/3以下、例えば1/2に設定することができる。
【0029】
ケース3は、共に樹脂材からなる上側ケース部材10と下側ケース部材20とを組み合わせることによって構成されている。下側ケース部材20は、薬剤保持体4が載置される底壁部21と、底壁部21の周縁部から上方へ延びる側壁部22とを有している。底壁部21は、薬剤保持体4の底面の形状と略同じ正方形状をなしている。
【0030】
上側ケース部材10は、上壁部11と、上壁部11の周縁部から下方へ延びる側壁部12とを有している。上側ケース部材10の側壁部12の内側に、下側ケース部材20の側壁部22が嵌合することによって上側ケース部材10と下側ケース部材20とが一体化している。
【0031】
上側ケース部材10の上壁部11は、薬剤保持体4を上方から覆うように配置される。上側ケース部材10の上壁部11は、前後方向中央部が最も上に位置し、そこから前側及び後側へ行くに従って下に位置するように、全体として上方へ膨出するように形成されている。これにより、上壁部11のうち、前側及び後側の壁部、即ち薬剤保持体4における前側及び後側のプリーツ4bを覆う壁部が、前後方向中間部の壁部、即ち薬剤保持体4における前後方向中間部のプリーツ4aを覆う壁部よりも下に位置するように形成される。
【0032】
図12や
図13に示すように、上側ケース部材10の上壁部11には、ケース3の内部に空気を流入させる複数の流入用開口部(空気流通孔)11a、11a、…が形成されている。各流入用開口部11aは、ケース3の前後方向に長い形状とされている。そして、流入用開口部11a、11a、…は、流入用開口部11aの長手方向と交差する方向、即ち左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。上壁部11の中央部に形成されている流入用開口部11aは、上壁部11の前側や後側に形成されている開口部11bに比べて前後方向に長くなっている。この開口部11bもケース3の内部に空気を流入させるためのものである。また、流入用開口部11aは、前後方向中間部の開口幅(左右方向の寸法)が広く、前側及び後側へ行くほど開口幅が狭くなっている。
【0033】
図12や
図15に示すように、上側ケース部材10の左右の側壁部12の下端部には、前後方向中央部に切欠部12aが形成されている。切欠部12aの幅は、上方へ行くほど狭くなっている。また、上側ケース部材10の左右の側壁部12には、前側及び後側にそれぞれ側壁開口部12bが形成されている。
【0034】
図14に示すように、下側ケース部材20の底壁部21には、ケース3の内部に流入した空気を流出させる流出用開口部21aが形成されている。流出用開口部21aは、底壁部21の外形状と略相似形状とされている。流出用開口部21aの周縁部には、薬剤保持体4の周縁部を空気流れ方向下流側から覆うように形成された覆い部21bが設けられている。覆い部21bは、流出用開口部21aの周縁部の全周に亘って設けられており、ケース3を下方から見たとき略矩形の枠状をなしている。これにより、薬剤保持体4の周縁部が全周に亘って覆い部21bにより覆われるとともに、空気流れ方向下流側から支持される。覆い部21bは、ケース3の内面と薬剤保持体4の周縁部との隙間に空気が流れにくくするためのものである。
【0035】
尚、この実施形態では、覆い部21bを流出用開口部21aの周縁部に設けているが、これに限らず、図示しないが、流入用開口部11aの形状を流出用開口部と同様にして、その流入用開口部11aの周縁部の全周に、薬剤保持体4の周縁部を空気流れ方向上流側から覆うように形成された覆い部を設けてもよい。また、流出用開口部21aの周縁部及び流入用開口部11aの周縁部の両方に覆い部を設けてもよい。また、覆い部21bは、流出用開口部21aの周縁部の全周に亘って設けることなく、一部に設けてもよく、例えば、薬剤保持体4のプリーツ4b、4bを覆う部分にのみ設けることもできる。また、同様に、流入用開口部11aの周縁部に覆い部を設ける場合に、流入用開口部11aの周縁部の全周に設けてもよいし、一部にのみ設けてもよい。
【0036】
覆い部21bは、薬剤保持体4の前側及び後側のプリーツ4b、4bをそれぞれ空気流れ方向下流側から覆うことになる。つまり、薬剤保持体4における覆い部21bによって覆われるプリーツ4b、4bは、覆い部21bによって覆われないプリーツ4aに比べてプリーツ高さが低く設定されることになる。薬剤保持体4における覆い部21bによって覆われる部分のプリーツ4bの高さを低くしているので、その分、薬剤保持カートリッジ2が小型になる。
【0037】
また、下側ケース部材20の底壁部21には、左右方向に延びる細い板状部21cと、前後方向に延びる細い板状部21dとが流出用開口部21aを横切るように設けられている。板状部21c、21dによって薬剤保持体4が下方から支持されることになる。
【0038】
(装置本体5の構成)
図1〜
図11に基づいて装置本体5の構成について説明する。
図8に示すように、装置本体5は、ベース部材30と、送風部としてのファン50と、ファン50を駆動する電動モーター51と、電動モーター51に電力を供給する電池(電力供給部)52、52とを有している。ファン50、電動モーター51及び電池52、52は、装置本体5のベース部材30に収容されるようになっている。電池52は、例えば単三電池や単四電池等である。
【0039】
すなわち、ベース部材30は、例えば樹脂材を成形してなるものであり、下板部31と下板部31の周縁部から上方へ延びる側板部32とを有し、上方に開放する凹状部材である。下板部31の下面31aは、使用者への取付状態で使用者に接触する取付面であり、この下面31aは、前後方向中央部が最も上に位置するように緩やかに湾曲形成され、使用者の例えば腕等に接触した際にフィットし易い形状となっている。
【0040】
図1に示すように、ベース部材30の前端部には、左右両端部からそれぞれ斜め下方へ突出する突出板部33、33が形成されている。突出板部33、33の突出方向先端部には、左右方向に延びる棒状部34の両端部がそれぞれ固定されている。棒状部34は、ベース部材30の下板部31及び側板部32の外面から離れている。また、
図2に示すように、ベース部材30の後端部にも前端部と同様な突出板部33、33と棒状部34とが設けられている。棒状部34、34には、使用者の腕等に巻き付けて薬剤放散装置1を使用者に取り付けるためのバンドB(
図3にのみ仮想線で示す)が連結される。バンドBは従来から周知のものを用いることができ、例えば布製で、長さを調節することが可能なバンド等を挙げることができる。上記前側の棒状部34は第1バンド連結部であり、後側の棒状部34は第2バンド連結部であり、これらにより、薬剤放散装置1を使用者に取り付けるための取付部が構成されている。また、前側の棒状部34と後側の棒状部34とは前後方向に互いに間隔をあけて配置されることなる。
【0041】
図8に示すように、ベース部材30の下板部31の略中央部に電動モーター51が固定されている。電動モーター51の出力軸51aは上方へ突出している。出力軸51aの上端部には、ファン50の中心部が回転一体に固定されている。ファン50は、周知のものであり、電動モーター51によって回転駆動されると、上方から空気を吸い込んで側方から流出させるように送風する。また、ベース部材30には、ファン50を下方、及び側方から覆うように形成されて空気の流路を区画形成するための空気流路形成部材53が設けられている。
【0042】
装置本体5の内部における空気流路形成部材53よりも前側及び後側には、それぞれ電池52を交換可能に収容する前側電池収容空間S1及び後側電池収容空間S2が形成されており、前側電池収容空間S1及び後側電池収容空間S2の間に電動モーター51が配置されている。各電池収容空間S1、S2は、装置本体5の左右両端部近傍に亘る細長い形状であり、上方にのみ開放されている。各電池収容空間S1、S2に電池52を収容する際には上方のみから収容することができ、一方、各電池収容空間S1、S2から電池52を取り出す際には上方へのみ取り出すことができるようになっている。各電池収容空間S1、S2の左右方向の寸法は、電池52の左右方向の寸法と略等しく設定され、また、各電池収容空間S1、S2の前後方向の寸法は、電池52の前後方向の寸法(外径)と略等しく設定されている。
【0043】
ファン50の上方には、薬剤保持体4を含む薬剤保持カートリッジ2を交換可能に収容するためのカートリッジ収容空間Rが形成されている。このカートリッジ収容空間Rは、装置本体5と、該装置本体5に取り付けられたカバー40とによって形成された空間である。カバー40は、カートリッジ収容空間Rを上方から覆うように形成され、詳細は後述するが、薬剤保持体4を含む薬剤保持カートリッジ2の交換時に、カートリッジ収容空間Rを開放可能に装置本体5に取り付けられている。
【0044】
カートリッジ収容空間Rは、前側及び後側電池収容空間S1、S2の上方に形成されている。カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2は、装置本体5によって下方から支持される。また、
図10に示すように、装置本体5の内部には、左右両側に、それぞれ薬剤保持カートリッジ2を位置決めするための位置決め部57、57が設けられている。位置決め部57、57は、上下方向に延びる板状に形成されており、その上端部が薬剤保持カートリッジ2のケース3の切欠部12aに嵌合するようになっている。
【0045】
図8及び
図11にも示すように、カートリッジ収容空間Rの前後方向の寸法は、カートリッジ収容空間Rの前端部及び後端部がそれぞれ前側及び後側電池収容空間S1、S2の開放部分に重なるように設定されている。カートリッジ収容空間Rの左右方向の寸法は、薬剤保持カートリッジ2の左右方向の寸法と略等しく設定され、また、カートリッジ収容空間Rの前後方向の寸法は、薬剤保持カートリッジ2の前後方向の寸法と略等しく設定されている。
【0046】
したがって、平面視で、前側電池収容空間S1に収容された電池52の後部が、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2の前部に重複し、後側電池収容空間S2に収容された電池52の前部が、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2の後部に重複することになる。このため、前側電池収容空間S1に収容された電池52を前側電池収容空間S1から取り出す際に電池52の移動軌跡上に、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が位置することになるとともに、後側電池収容空間S2に収容された電池52を後側電池収容空間S2から取り出す際にも電池52の移動軌跡上に、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が位置することになる。つまり、前側電池収容空間S1から取り出す電池52及び後側電池収容空間S2から取り出す電池52のいずれにも、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が干渉するように配置される。尚、前側電池収容空間S1から取り出す電池52及び後側電池収容空間S2から取り出す電池52のいずか一方にのみ、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が干渉するように配置されていてもよい。
【0047】
装置本体5のベース部材30の後端部には、左右方向に延びる支軸35が設けられている。この支軸35は、カバー40を回動可能に支持するためのものであり、従って、カバー40は支軸35周りに回動することによってカートリッジ収容空間Rを開放可能に装置本体5に取り付けられている。カバー40の開放状態を
図11に示す。
【0048】
図9に示すように、装置本体5のベース部材30の左右両側には、ファン50によって薬剤保持体4に送風された空気を放出するための薬剤放散孔55がそれぞれ形成されている。薬剤放散孔55の上流端は、装置本体5におけるファン50が配設された空間に連通している。
図7に示すように、薬剤放散孔55の下流端開口は、ベース部材30の側面に開口しており、前側の棒状部34と後側の棒状部34との間に配置されている。この薬剤放散孔55の下流端開口は、ベース部材30の下板部31の下面31aに沿うように、前後方向に長い形状となっている。薬剤放散孔55の下流端開口の前端は、前側電池収容空間S1よりも後に位置しており、また、薬剤放散孔55の下流端開口の後端は、後側電池収容空間S2よりも前に位置している。
【0049】
図7に示す側面視で薬剤放散孔55の内部にファン50の一部が見えるように、薬剤放散孔55が形成されている。これにより、ファン50から送風された空気が薬剤放散孔55から放散されやすくなる。
【0050】
また、
図7に示すように、薬剤放散孔55の下流端開口の縁部のうち、上縁部55a及び上縁部55bは略前後方向に延びている。下縁部55bは、薬剤放散装置1の使用者への取付状態で使用者に近い側に位置する第1縁部であり、上縁部55aは、第1縁部よりも使用者から離れた第2縁部である。下縁部55bは、前側及び後側へ行くほど上に位置するように形成されている。また、上縁部55aは、前側及び後側へ行くほど下に位置するように形成されている。これにより、薬剤放散孔55の下流端開口の開口幅(上下方向の寸法)は、前側及び後側へ行くほど狭くなり、前後方向中間部が広くなる。
【0051】
図9の断面図に示すように、左側の薬剤放散孔55の下流端開口の上縁部55aは、下縁部55bよりも左側、即ち、空気流れ方向下流側に位置付けられている。また、右側の薬剤放散孔55の下流端開口の上縁部55aは、下縁部55bよりも右側、即ち、空気流れ方向下流側に位置付けられている。これにより、薬剤放散孔55を流通して下流端開口に達した空気が矢印イで示すように薬剤放散装置1の下方へ向けて流れ易くなる。
【0052】
図1や
図2に示すように、カバー40は、例えば樹脂材を成形してなるものであり、カートリッジ収容空間Rと、前側及び後側電池収容空間S1、S2との両方を上方から覆うように大型に形成されている。従って、装置本体5の上面は略全体がカバー40によって覆われる。
【0053】
カバー40は、上板部41と、上板部41の左右両側縁部から下方へ延びる側板部42とを有している。
図7に示すように、上板部41は、カートリッジ収容空間Rの外方へ膨出するように形成されており、全体として、前後方向中央部が最も上に位置し、前側及び後側へ行くほど下に位置するように湾曲している。
図8に示すように、薬剤保持カートリッジ2のケース3におけるカバー40によって覆われる部分、即ち、ケース3の上壁部11は、カバー40の膨出形状に対応するように、前後方向中央部が最も上に位置するように膨出している。
【0054】
図1や
図2等に示すように、カバー40の上板部41には、空気をカートリッジ収容空間Rに吸入させる吸入口となる複数の開口部41a、41a、…が形成されている。カバー40の開口部41aは、略前後方向に長い形状であり、従って、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2の流入用開口部11aと略同方向に長い形状となる。カバー40の開口部41aは、該開口部41aの長手方向と交差する方向である左右方向に互いに間隔をあけて形成されている。
【0055】
また、カバー40の上板部41には、左右両側部に、貫通孔41cが形成されている。貫通孔41cも前後方向に長い形状とされており、空気をカートリッジ収容空間Rに吸入させるためのものである。
【0056】
カバー40は、装置本体5の上方に位置しているので、装置本体5の薬剤放散孔55の下流端開口は、薬剤放散装置1の使用者への取付状態でカバー40の開口部41aよりも使用者に近くなるように配置される。これにより、吸入用の開口部41aと薬剤放散孔55とを離して配置しながら、薬剤放散孔55から放散される薬剤を含んだ空気を使用者に近いところへ向けて供給することが可能になる。
【0057】
図2や
図3等に示すように、カバー40の後端部には、装置本体5の支軸35に支持される支持部43が設けられている。支持部43は、支軸35を囲むように形成された略筒状をなしている。尚、図示しないが、支軸をカバー40に設け、支持部を装置本体5に設けてもよい。
【0058】
図10や
図11に示すように、カバー40の前端部には係合部47が下方へ突出するように設けられている。係合部47には、係合孔47aが形成されている。一方、装置本体5の前端部には、係合爪38が突出するように設けられている。
図8等に示すように、カバー40が全閉状態にあるときに、装置本体5の係合爪38がカバー40の係合孔47aに嵌入することによってカバー40が開方向に回動しないようにロックされる。カバー40を開放する場合には、カバー40や装置本体5を弾性変形させて装置本体5の係合爪38をカバー40の係合孔47aから離脱させてロックを解除すればよい。
【0059】
図2に示すように、カバー40の後部には、電源スイッチ配設孔41bが形成されている。電源スイッチ配設孔41bは、前後方向に長い形状である。電源スイッチ配設孔41bには、前後方向にスライド操作可能な電源スイッチ60がカバー40の表面に臨むように設けられている。また、電源スイッチ配設孔41bには、運転ランプ63もカバー40の表面に臨むように設けられている。
【0060】
すなわち、この薬剤放散装置1には、電池52、52、電動モーター51、電源スイッチ60、運転ランプ63及び抵抗器(図示せず)によって電気回路が構成されている。電源スイッチ60は、電池52、52の電力を電動モーター51に供給する供給状態と、供給しない非供給状態とに切り替えるためのスイッチである。運転ランプ63は、電動モーター51が作動しているか否かを周囲の者(使用者を含む)に光によって報知するための動作状態報知用発光体であり、例えばLED等で構成することができる。抵抗器は、例えば特開2011−130742号公報に開示されているように、電池52、52の寿命と、薬剤保持カートリッジ2の寿命とを略一致させるためのものである。
【0061】
図8に示すように、電源スイッチ60及び運転ランプ63は、フレキシブル基板62の一端部に実装されている。フレキシブル基板62は、従来から周知のものであり、柔軟性を有するフィルムとフィルム上に設けられた導電層とを有する基板であり、弱い力で変形させることができるとともに、変形させた後にも導電層による導通状態を維持でき、しかも、繰り返し変形させても断線しないように構成されている。電源スイッチ60及び運転ランプ63は、フレキシブル基板62と、フレキシブル基板62の他端部から延びる配線(図示せず)とを介して装置本体5の電動モーター51や電池52と接続されている。
【0062】
フレキシブル基板62の一端部は、カバー40の上板部41の内面において電源スイッチ配設孔41bの裏側に固定されている。この固定状態において、電源スイッチ60及び運転ランプ63が電源スイッチ配設孔41bの内部に配置される。尚、電源スイッチ60及び運転ランプ63の配設位置は、カバー40の後部以外であってもよく、例えば前部であってもよいし、前後方向の中央部であってもよいが、フレキシブル基板62の取り回しを考慮するとカバー40の後部が好ましい。
【0063】
フレキシブル基板62は、装置本体5の支軸35よりも装置本体5の内側を通ってベース部材30へ向かって延びている。フレキシブル基板62の他端部は、ベース部材30の内部において後側電池収容空間S2の下方に達している。このフレキシブル基板62の装置本体5側の端部は、装置本体5に対して非固定状態、即ち装置本体5に対して固定されておらず、フリーな状態とされている。フレキシブル基板62の長さは、カバー40を回動操作した際に、フレキシブル基板62の装置本体5側の端部が装置本体5から抜けないように十分な長さに設定されている。
【0064】
尚、上記実施形態では、電源スイッチ60及び運転ランプ63の両方をカバー4に設けているが、これに限らず、電源スイッチ60及び運転ランプ63の一方のみをカバー4に設けてもよい。また、電源スイッチ60及び運転ランプ63を別々に設けてもよい。
【0065】
(薬剤放散装置1の動作)
次に、薬剤放散装置1の動作について説明する。薬剤放散装置1は、
図3に仮想線で示すバンドBを使用して使用者の腕等に取り付ける。そして、電源スイッチ60をスライドさせて「ON」にすると、電池52、52の電力が電動モーター51及び運転ランプ63に供給されて電動モーター51が作動するとともに、運転ランプ63が点灯する。電源スイッチ60をカバー40に設けているので、装置本体5を小型化し、かつ、カバー40を大型化して大きな薬剤保持体4を収容可能にする場合に、電源スイッチ60の視認性が良好になるとともに、操作性も良好になる。同様に、運転ランプ63をカバー40に設けているので、運転ランプ63の視認性が良好になる。
【0066】
電動モーター51が作動すると、ファン50が回転駆動され、ファン50の上方から空気を吸い込んで側方から流出させる。この空気の流れにより、
図9に矢印ロで示すようにカバー40の上方の空気がカバー40の上板部41に形成されている開口部41a及び貫通孔41cからカートリッジ収容空間Rに吸入される。カートリッジ収容空間Rには、薬剤保持カートリッジ2が収容されているので、吸入された空気は、薬剤保持カートリッジ2に向けて流れて、薬剤保持カートリッジ2のケース3の上部に形成されている流入用開口部11a及び開口部11bからケース3の内部に流入する。ケース3の内部に流入した空気は、ケース3の下部に流出用開口部21a(
図14に示す)が形成されているので、下方へ流れていき、この間に、薬剤保持体4を通過して薬剤を含んだ空気となり、流出用開口部21aからケース3の外部に流出する。
【0067】
空気がケース3に流入する際、
図14に示すように、薬剤保持体4の周縁部がケース3の覆い部21bによって空気流れ方向下流側から覆われているので、空気は、ケース3の内面と薬剤保持体4の周縁部との隙間に向けて流れにくくなる。これにより、ケース3の内面と薬剤保持体4の周縁部との隙間を流れる空気、即ち、薬剤を含んでいない空気が減少するので、薬剤による効力の低下が抑制される。
【0068】
上述したように、薬剤保持体4におけるプリーツ4bの高さを低くし、この高さの低いプリーツ4bを覆い部21bによって覆っている。従って、薬剤保持体4におけるプリーツ4bは、プリーツ4aに比べて空気の通過しにくい部分となっている。よって、プリーツ4bの高さを低くしてその部分の空気の通過面積が狭くなっても、効力の低下は殆ど問題にならない程度である。
【0069】
薬剤保持カートリッジ2の流出用開口部21aからケース3の外部に流出した薬剤を含む空気は、装置本体5の左右の薬剤放散孔55、55にそれぞれ流入した後、
図9に矢印イで示すように、各薬剤放散孔55の下流端開口から外部に放散される。このとき、各薬剤放散孔55の下流端開口の縁部のうち、使用者から離れている上縁部55aが、使用者に近い側の下縁部55bよりも空気流れ方向下流側に位置しているので、薬剤を含んだ空気が使用者へ向けて流れ易くなる。これにより、薬剤が使用者側に届きやすくなるので、薬剤による効力がより高まる。また、各薬剤放散孔55が装置本体5の下面31aに沿うように延びているので、薬剤を含んだ空気が装置本体5の広い範囲から放散される。
【0070】
また、装置本体5の前側の棒状部34及び後側の棒状部34の間に、各薬剤放散孔55の下流端開口が配置されているので、バンドBや棒状部34、34が、薬剤を含む空気の放散を阻害することはなく、薬剤を含む空気が所望の方向にスムーズに放散される。以上のことから、薬剤による効力が十分に得られる。
【0071】
(薬剤保持カートリッジ2の交換要領)
次に、薬剤保持カートリッジ2の交換要領について説明する。この実施形態に係る薬剤放散装置1では、電気回路に抵抗器を設けて薬剤保持カートリッジ2の寿命と電池52、52の寿命とを略一致させているので、薬剤保持カートリッジ2の交換時には、電池52、52も同時に交換することが前提となっている。
【0072】
まず、装置本体5の係合爪38をカバー40の係合孔47aから離脱させてカバー40のロックを解除する。そして、カバー40を支軸35周りに上方へ回動させてカートリッジ収容空間Rを開放状態にする。このとき、電源スイッチ60及び運転ランプ63がフレキシブル基板62に設けられているので、カバー40の回動動作はスムーズに行える。
【0073】
カバー40を開放状態にした後、カートリッジ収容空間Rに収容されている薬剤保持カートリッジ2を取り出す。薬剤保持カートリッジ2は、装置本体5に載置されているだけなので、取り出し作業は容易に行える。
【0074】
また、前側及び後側電池収容空間S1、S2に収容されている電池52、52を取り出す。前側電池収容空間S1から取り出す電池52及び後側電池収容空間S2から取り出す電池52のいずれにも、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が干渉するように配置されているので、仮に薬剤保持カートリッジ2を先に取り出さなかった場合には、電池52が薬剤保持カートリッジ2に干渉することになる。これにより、使用者は薬剤保持カートリッジ2も交換が必要であることに気づきやすくなり、電池52、52と薬剤保持カートリッジ2の同時交換を促すことができる。
【0075】
電池52、52を取り出した後、新しい電池52、52を前側及び後側電池収容空間S1、S2に収容する。その後、新しい薬剤保持カートリッジ2をカートリッジ収容空間Rに収容する。このとき、カバー40の開口部41a、41a、…の延びる方向と、薬剤保持カートリッジ2の流入用開口部11aの延びる方向とが略同方向であるため、薬剤保持カートリッジ2の流入用開口部11aの延びる方向がカバー40の開口部41a、41a、…の延びる方向と略一致するように、薬剤保持カートリッジ2を向ければよく、初めての者でも薬剤保持カートリッジ2の向きを直感的に、かつ、容易に判別することが可能になる。
【0076】
また、カバー40の開放状態でカバー4が支軸35を介して装置本体5に連結されるので、カバー40の開口部41a、41a、…の延びる方向と装置本体5のカートリッジ収容空間Rとの関係が変わることはなく、カバー40の開口部41a、41a、…の延びる方向を基準にして薬剤保持カートリッジ2の方向を容易に判別することが可能になる。
【0077】
また、カバー40の膨出形状と、薬剤保持カートリッジ2のケース3の膨出形状とが対応しているので、両者の膨出形状を利用して薬剤保持カートリッジ2の方向を容易に判別することが可能になる。
【0078】
薬剤保持カートリッジ2をカートリッジ収容空間Rに収容する際には、装置本体5の位置決め部57、57を薬剤保持カートリッジ2のケース3の切欠部12aに嵌合させる。これにより、薬剤保持カートリッジ2が所定位置で保持される。
【0079】
しかる後、カバー40を支軸35周りに回動させて閉じ、装置本体5の係合爪38をカバー40の係合孔47aに嵌入してカバー40をロックする。この状態で、カバー40の内面が薬剤保持カートリッジ2を上方から押圧して薬剤保持カートリッジ2のガタつきが抑制される。
【0080】
また、フレキシブル基板62のカバー40側の端部がカバー40に固定され、かつ、フレキシブル基板62が支軸35の内側を通っているので、カバー40の開閉動作に伴ってフレキシブル基板62が押されたり、引っ張られたりすることになる。このとき、フレキシブル基板62の装置本体5側は装置本体5に対してフリーな状態となっているので、カバー40の開閉動作時に容易に動くことができ、フレキシブル基板62に無理な力がかからないようにすることができる。
【0081】
(作用効果)
以上説明したように、カバー40に電源スイッチ60及び運転ランプ63を設けたので、装置本体5を小型化し、かつ、カバー40を大型化した場合に、電源スイッチ60の操作性及び視認性を良好にすることができ、また、運転ランプ63の視認性を良好にすることができる。
【0082】
また、カバー40が支軸35周りに回動可能に装置本体5に取り付けられ、電源スイッチ60及び運転ランプ63がフレキシブル基板62を介して装置本体5と接続されているので、薬剤保持カートリッジ2の交換時にカバー40を回動させる際、断線の恐れを無くすことができる。
【0083】
また、フレキシブル基板62が支軸35よりも装置本体5の内側を通っているので、フレキシブル基板62が外部に露出し難くなる。これにより、フレキシブル基板62の損傷を抑制できるとともに、薬剤放散装置1の見栄えを良くすることができる。
【0084】
また、フレキシブル基板52における装置本体5側の端部を、装置本体5に対して非固定状態にしてフリーな状態にしている。これにより、カバー40を回動させる際に、フレキシブル基板62におけるカバー40側の端部がカバー40と一緒に動いても、フレキシブル基板62に無理な力が作用しにくくなり、耐久性を向上させることができる。
【0085】
また、前側及び後側電池収容空間S1、S2から取り出す電池52、52に、カートリッジ収容空間Rに収容された薬剤保持カートリッジ2が干渉するように配置されているので、電池52、52の交換時に薬剤保持カートリッジ2も同時に交換するように促すことができ、薬剤の効力が使用者の気づかないうちに低下してしまっているのを未然に防止できる。
【0086】
また、前側電池収容空間S1と後側電池収容空間S2との間に電動モーター51を配置するようにしたので、薬剤放散装置1の重量バランスを良好にすることができる。
【0087】
また、電池52、52を薬剤放散装置1の下に配置して低重心化を図ることができる。この場合、交換時に少なくとも電池52の一部に薬剤保持カートリッジ2が確実に干渉するので、薬剤保持カートリッジ2の交換を効果的に促すことができる。
【0088】
また、カートリッジ収容空間R及び電池収容空間S1、S2の両方を覆うように形成されたカバー40が装置本体5に取り付けられているので、カバー40を開くことでカートリッジ収容空間R及び電池収容空間S1、S2の両方を開放することができ、薬剤保持カートリッジ2及び電池52、52の両方を容易に交換することができる。尚、電池52の本数は2本に限られるものではなく、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0089】
また、薬剤保持カートリッジ2の薬剤保持体4の周縁部を空気流れ方向から覆う覆い部21bをケース3に設けたので、薬剤保持体4とケース3の内面との隙間からの空気の流通を抑制して効力を高めることができる。そして、薬剤保持体4における覆い部21bによって覆われるプリーツ4bの高さを低く設定したので、効力を大きく低下させることなく、薬剤保持体4を小さくして薬剤保持カートリッジ2を小型化することができる。
【0090】
また、ケース3の外形状を薬剤保持体4のプリーツ高さに対応した形状にしたので、薬剤保持カートリッジ2をコンパクトにすることができる。
【0091】
また、カバー40の開口部41a、41a、…の延びる方向と、薬剤保持カートリッジ2の流入用開口部11aの延びる方向とが略同方向であるため、薬剤保持カートリッジ2を装置本体5に取り付ける際の向きを直感的に、かつ、容易に判別することができ、薬剤保持カートリッジ2を初めて交換する場合であっても戸惑うことなく、容易に交換できる。
【0092】
また、装置本体5の薬剤放散孔55における下流端開口の上縁部55aを、下縁部55bよりも空気流れ方向下流側に位置付けたので、薬剤放散孔55の下流端開口から放散される薬剤を含んだ空気が使用者へ向けて流れ易くなる。これにより、薬剤が使用者側に届きやすくなり、その結果、薬剤による効力を高めることができる。
【0093】
尚、薬剤放散装置1は、例えば置いて使用することもできるし、鞄等に取り付けて使用することもできる。
【0094】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。