(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548478
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】ブラシ付きの清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20190711BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
A47L9/02 D
B08B5/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-127857(P2015-127857)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-6549(P2017-6549A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】397039322
【氏名又は名称】エヌケーグループ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082832
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 邦章
(72)【発明者】
【氏名】大杉 泰啓
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−243058(JP,A)
【文献】
特開2010−220978(JP,A)
【文献】
特開2014−188133(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3004633(JP,U)
【文献】
実開昭56−114758(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0107529(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0020006(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3089223(JP,U)
【文献】
特開2013−034817(JP,A)
【文献】
実開昭51−104662(JP,U)
【文献】
特開平10−323227(JP,A)
【文献】
実開昭61−026457(JP,U)
【文献】
実開昭55−174842(JP,U)
【文献】
特開平06−304102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/02
B08B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に清掃ブラシを取り付けた清掃具を真空掃除機の吸気パイプに接続して清掃するようにしたブラシ付きの清掃具であって、
上記清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃を真空掃除機の吸気パイプに吸引するために、塵埃飛散防止体をラッパ状に拡がった筒状体として、その塵埃飛散防止体をその拡がり部側を清掃ブラシの先端側に向けて清掃ブラシの基部側から清掃ブラシの先端部側にわたって清掃ブラシのまわりを囲むように清掃具に設けるとともに、上記塵埃飛散防止体のラッパ状に拡がった外周部の先端の外周縁に被清掃部が真空吸引で寄り添って吸着して清掃ブラシが移動できなくなることを防止するために被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の凸凹部を一定間隔で設け、さらに上記ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の外周部にも被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の棒状の突起を外側方に向かって突き出して取り付けたことを特徴とするブラシ付きの清掃具。
【請求項2】
ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の外周部の先端の外周縁を清掃ブラシの先端面よりも低くするとともに、凸凹部を軸対称状に塵埃飛散防止体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のブラシ付きの清掃具。
【請求項3】
ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の外周部に棒状の突起を軸対称状に取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載のブラシ付きの清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内及び室外の広範な用途での掃除に用いられるブラシ付きの清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来から清掃具として使用されている「ホーキ」は、棒状をなす把手の先端に毛等の柔軟性を有するブラシ状のものを多数取付けて、把手を把持する清掃者の掃き操作によって、当該個所に堆積する塵埃をかき集めて清掃するようにしたものである。
【0003】
この種の「ホーキ」は、床,天井のコーナ、窓,障子の桟およびレール、家具の表面等、複雑な凹凸形状を有する清掃個所の清掃に、場所を選ばずに好便に使用できるという利点を有する反面、掃き落とされた塵埃の捕集作業が別途必要となるという欠点がある。
【0004】
この点に着目して本願発明者は、特開2010−119494号公報のように真空掃除機の吸気パイプに取付け、該吸気パイプに吸込まれる吸気を塵埃の捕集に利用する清掃具を開発している。
【0005】
この清掃具は、基台に可撓性を有する細径の中空棒を多数本取付け、中空棒の先端部に取り付けたブラシにより清掃個所の塵埃を掃き出し、掃き出された塵埃をそれぞれの中空部を経て吸気パイプに吸引して、吸気パイプに接続された真空掃除機に捕集するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−119494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように特許文献1に開示された清掃具は、古来から使用されている「ホーキ」に塵埃の捕集機能を併せもたせたものであり、効率的な清掃を実施することができる反面、天井面や壁面、カーテン等での掃き出された一部の塵埃が吸気パイプに吸引されずに周辺に飛散して落下したり、浮遊し、室内環境を逆に悪化させるおそれが多分にあり、掃除本来の目的を損ないかねないという問題があった。
【0008】
なお、室内清掃具としては、ブラッシング用のブラシのまわりに外カバーを設けて、ブラッシングで除去された塵埃を外部に落下させることなく吸引させることが提案されているが、その外カバーの吸込口は平坦で、真空吸引すると、吸込口に清掃個所が吸着して閉塞状態が生じ、清掃具をスムーズに動かせて清掃することかできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、先端に清掃ブラシを取り付けた清掃具を真空掃除機の吸気パイプに接続して清掃するようにしたブラシ付きの清掃具であって、上記清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃を真空掃除機の吸気パイプに吸引するために、塵埃飛散防止体をラッパ状に拡がった筒状体として、その塵埃飛散防止体をその拡がり部側を清掃ブラシの先端側に向けて清掃ブラシの基部側から清掃ブラシの先端部側にわたって清掃ブラシのまわりを囲むように清掃具に設けるとともに、上記塵埃飛散防止体のラッパ状に拡がった外周部の先端の外周縁に被清掃部が真空吸引で寄り添って吸着して清掃ブラシが移動できなくなることを防止するために被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の凸凹部を一定間隔で設け、さらに上記ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の
外周部にも被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の棒状の突起を外側方に向かって突き出して取り付けたことを特徴とするブラシ付きの清掃具ブラシ付きの清掃具を提供するにある。
【0010】
さらに、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の外周部
の先端の外周縁を清掃ブラシの先端面よりも低くするとともに、凸凹部を軸対称状に
塵埃飛散防止体に設けたことを特徴とする請求項1ことを特徴とするブラシ付きの清掃具を提供するにある。
【0011】
さらにまた、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の
外周部に棒状の突起を軸対称状に取り付けたことを特徴とするブラシ付きの清掃具を提供するにある。
【発明の効果】
【0012】
本願のブラシ付き清掃具は、特許請求の範囲の請求項1のように、先端に清掃ブラシを取り付けた清掃具を真空掃除機の吸気パイプに接続して清掃するようにしたブラシ付きの清掃具であって、上記清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃を真空掃除機の吸気パイプに吸引するために、塵埃飛散防止体
をラッパ状に拡がった筒状体として、その塵埃飛散防止体を
その拡がり部側を清掃ブラシの先端側に向けて清掃ブラシの基部側から清掃ブラシの先端部側にわたって清掃ブラシのまわりを囲むように清掃具に設けたことによって、天井面や壁面、さらには複雑な形状部分を掃除する場合、堆積したり、付着していた塵埃が一旦飛散するが、清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃をラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体で捕集できて、真空掃除機の吸気パイプを介して吸塵することができる。
【0013】
そして、上記塵埃飛散防止体のラッパ状に拡がった外周部の先端の外周縁に被清掃部が真空吸引で寄り添って吸着して清掃ブラシが移動できなくなることを防止するために被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の凸凹部を一定間隔で設け、さらに上記ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の
外周部にも被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の棒状の突起を外側方に向かって突き出して取り付けたことによって、清掃個所のカーテン、こたつ布団、ベッドカバー等を真空清掃しても、塵埃飛散防止体の外周縁および
外周部がカーテン、こたつ布団、ベッドカバー等を吸着して吸気パイプに外部と間に間隙が生じて閉塞状態が生じることなく、外気を吸入して、清掃具をスムーズに動かせて清掃することができる。
【0014】
また、請求項2のように、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の外周部
の先端の外周縁を清掃ブラシの先端面よりも低くするとともに、凸凹部を軸対称状に
塵埃飛散防止体に設けたことによって、清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃を清掃個所と清掃ブラシとの間から漏れ出すことなく、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体で上記のようにして効率よく捕集できる。
【0015】
さらに、請求項3のように、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の
外周部に棒状の突起を軸対称状に取り付けたことによって、カーテン等の清掃個所で塵埃飛散防止体にピッタリと寄り添って密着することを防止できて、清掃具をスムーズに動かせて清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の
基となる清掃具部の基となる斜視図、
【
図3】同上の清掃具部を一部切断した説明用断面図、
【
図6】同上の
塵埃飛散防止体の側周面に棒状の突起を側周面の側方に向かって突き出した 状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のブラシ付きの清掃具は、先端に清掃ブラシを取り付けた清掃具を真空掃除機の吸気パイプに接続して清掃するようにしたブラシ付きの清掃具であって、上記清掃ブラシのまわりに飛散する塵埃を真空掃除機の吸気パイプに吸引するために、塵埃飛散防止体をラッパ状に拡がった筒状体として、その塵埃飛散防止体をその拡がり部側を清掃ブラシの先端側に向けて清掃ブラシの基部側から清掃ブラシの先端部側にわたって清掃ブラシのまわりを囲むように清掃具に設けるとともに、上記塵埃飛散防止体のラッパ状に拡がった外周部の先端の外周縁に被清掃部が真空吸引で寄り添って吸着して清掃ブラシが移動できなくなることを防止するために被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の凸凹部を一定間隔で設け、さらに上記ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体の
外周部にも被清掃部との間に間隙を生じさせる閉塞状態防止用の棒状の突起を外側方に向かって突き出して取り付けたことを特徴としている。
【0018】
ブラシ付き清掃具1は、
図1、
図2のように基台2に多数の清掃ブラシ3を10〜30mm径程の円柱状に植設して、この基台2を所定長さの中空パイプの把手4に接合し、真空掃除機(図示せず)の吸気パイプに挿脱可能に接続して吸引清掃できるようにしている。
【0019】
上記基台2は、
図1〜
図5のように外周部の外装体6に十字状等の放射状に支持材7を架設して一体的に形成していて、外周部の外装体6との間に所定の間隙の吸入口8を設けて塵埃を吸引できるようにしている。
【0020】
そして、上記基台2の外周部に、ラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体9を30〜60度、好ましくは30〜45度の角度で斜め上方に突き出し、清掃ブラシ3で清掃する際に一旦飛散する塵埃を周辺に落下することなく、塵埃飛散防止体9よりもやや広い吸引可能な範囲で吸い込み、中空パイプの把手4を介して吸気パイプに吸い込んで集塵処理できるようにしている。
【0021】
上記塵埃飛1防止体9としては、その先端から清掃ブラシ3の先端までの距離の約2〜3倍程、好ましくは約2倍程の広い外径とし、真空掃除機の吸引力にもよるが、清掃ブラシ3の根元は塵埃飛散防止体9よりも低い位置にあり、その距離はブラシの腰の強度によって増減させるものである。
【0022】
そして、
図1〜
図5のように塵埃飛散防止体9の外周部の
先端の外周縁の全周にわたって一定間隔で凸凹状の凸凹部10を設け、清掃時に塵埃飛散防止体9に清掃個所が吸着するのを防止するようにしている。上記凸凹部10としては、
図1〜
図5のように塵埃飛散防止体9の外周
縁に円弧状やU字状、V字状の切欠状や波形状等として設けることができ、また周面を波形の凸凹状の膨出状態とすることができる。
【0023】
そして特に、
図6のように塵埃飛散防止体9の
外周部に、所定長さの細い円柱状等の棒状の突起11を軸対称状にそれぞれ軸対称状
に外側方に向かって突設し、飛散防止体9に清掃個所が吸着して清掃ブラシ3を移動できなくなるのを防止できて好ましい。
【0024】
上記では、本発明について、いくつかの実施態様例について説明したが、本発明の趣旨にもとづいて構成部材の置換や代替等による変形態様も実施可能である。
【実施例】
【0025】
図1以下は、本発明の実施例
に関する説明用のものである。ブラシ付き清掃具1は、
基本的に図1〜
図5のように基台2に多数の清掃ブラシ3を20mm径程の円柱状に植設して、この基台2を所定長さの中空パイプの把手4に接合し、真空掃除機(図示せず)の吸気パイプに挿脱可能に接続して吸引清掃できるようにしたものである。
【0026】
上記基台2には、図のようにラッパ状の塵埃飛散防止体9を設け、塵埃飛散防止体9はその先端から清掃ブラシ3の先端までの距離の約2倍程広い外径とし、ラッパ状の塵埃飛散防止体9をほぼ30度の角度で拡げて,その先端を清掃ブラシ3よりも低くして一体的に設けている。
【0027】
そして、基台2と外装体6との間に所定の間隙の吸入口8を設けて、上記したラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体9によって、清掃ブラシ3で清掃する際に一旦は飛散する塵埃を周辺に落下することなく、塵埃飛散防止体9よりもやや広い吸引可能な範囲で内側へ吸い込み、中空パイプの把手4を介して吸気パイプ5に吸い込んで集塵処理するようにしている。
【0028】
また、塵埃飛散防止体9の外周部には、
図1〜
図5のように外周
縁部に全周にわたって半円弧の凸凹状の凸凹部10を設け、清掃時に塵埃飛散防止体9に清掃個所が吸着して閉塞状態となるのを防止するようにしている。
【0029】
その際、塵埃飛散防止体9の外周部に閉塞状態防止用の凸凹部10を設けているので、清掃個所のカーテン等を真空清掃しても、塵埃飛散防止体9に吸着して閉塞状態が生じることなく、清掃具1を清掃個所にそってスムーズに動かせて清掃していくことができる。
【0030】
そして、
図6のようにラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体9の
外周部に軸対称状に円柱状の突起11を塵埃飛散防止体9に取り付けたものである。そのため、たとえ万一、カーテンやこたつ布団、ベッドカバーの清掃個所で塵埃飛散防止体9の周部が吸着状態となっても、突起11によって側周面にピッタリと寄り添って吸着することを防ぎ、塵埃飛散防止体9が閉塞状態となるのを防止できて、清掃具1をスムーズに動かせて清掃することができるとともに、外気の流通を良くして塵埃の吸引効果を高められて清掃することができる。
【0031】
しかして、上記した清掃具1で、天井面や壁面、カーテン、電気製品等を清掃ブラシ3の先端部で軽く当てるようにして清掃すると、清掃個所に堆積したり、付着していた塵埃が図5のように一旦は飛散するが、清掃ブラシ3のまわりに飛散する塵埃をラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体9で捕集し、基台2の外周部の吸入口8から内側へ吸い込み、中空パイプの把手4を介して真空掃除機の吸気パイプに吸塵して清掃していくことができる。
【0032】
このように清掃具1で天井面や壁面、カーテン、電気製品等を清掃ブラシ3を接触するようにして清掃して、堆積したり、付着していた塵埃が飛散しても、従来では清掃ブラシの外周方へ飛散する塵埃は捕集することが難しく、かつ布製品などが吸い込まれたりして吸着してスムーズな清掃が妨げられていたが、このような障害を生じさせることなく、清掃具1をスムーズに動かせて、飛散する塵埃をラッパ状に拡がった塵埃飛散防止体9で捕集できる効率のよい清掃をすることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、室内及び室外の広範な用途での掃除用に広く利用できる。
【符号の説明】
【0034】
1…清掃具 2…基台 3…清掃ブラシ 4…把手 5…吸気パイプ
9…塵埃飛散防止体 10…凸凹部 11…突起