(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外扉は、該外扉から前記シャッターの下方まで延びる把持部と、前記把持部を幅方向に移動させる移動装置と、を有し、複数の前記パレットに跨って幅方向に延び連続的に設けられ、
さらに前記機械式駐車装置は、前記移動装置を制御する第2制御装置を備え、
第2制御装置は、車両を入出庫させるパレットの前方に前記把持部を移動させるように前記移動装置を制御する、請求項3に記載の機械式駐車装置。
前記外扉は、該外扉から前記シャッターの下方の把持位置まで延びる把持部と、前記シャッターより前方の退避位置と前記把持位置との間で前記把持部を動かす部材駆動装置と、を有し、複数の前記パレットに跨って前記幅方向に延び連続的に設けられ、
さらに前記機械式駐車装置は、前記部材駆動装置を制御する第2制御装置を備え、
第2制御装置は、車両を入出庫させる前記パレットの前方の前記把持部を前記把持位置に移動させるように前記部材駆動装置を制御する、請求項3に記載の機械式駐車装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された機械式駐車装置は、パレットの四方が囲まれているので、たとえ駐車中の自動車に人が取り残されていてもパレットから落下し得ないという点で、本質安全を確保している。
しかし運転者は側板に設けられた出入り口を介して出入りするため、運転者が入出庫時に、内部空間のうち通路及びパレット上の空間以外の空間(以下、立入禁止空間)に入ることとなる。この立入禁止空間には、パレットを移動させるための様々な機械装置が設置されている。
【0007】
そのため例えば立入禁止空間に人が取り残された状態で機械装置が動き出すと、人を機械装置に巻き込む事故が起こる可能性がある。そのような事故を未然に防ぐべく、機械式駐車装置の本質安全をさらに向上させる必要があった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、内部空間のうち通路及びパレット上の空間以外の空間に人が立ち入るのを防ぐことができる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、車両を搭載する複数のパレットを備える機械式駐車装置であって、
前記機械式駐車装置の外縁の内側の内部空間を囲む外壁と、
前記内部空間に設置された前記パレットの前面に位置し前記パレットの前端部から前方に向けて延び前記外壁に開口する車両が通過可能な通路と、
前記パレットの幅方向両端部に設けられ、前記パレットの前端部から後端部にかけて前後方向かつ上方に延びる長仕切りと、
前記長仕切りの前記前後方向の両端部にそれぞれ連結し前記パレットから上方に延びる2つの短仕切りと、
前記通路の前記幅方向の両端部に設けられ、前記開口の幅方向両端部から前記長仕切りの前端部まで延びる隔壁面と、
前記パレットより前方に位置する外扉と、を備え、
前記2つの短仕切りのうちの少なくとも一方は、開閉可能に設けられており、
前記外扉は、前記2つの短仕切りのうちの前方側に位置する短仕切りと共に開閉する、機械式駐車装置が提供される。
【0010】
また前記長仕切り、前記短仕切り、前記隔壁面及び前記外壁は、少なくとも1m以上の高さを有する。
【0011】
また前記短仕切りと前記外扉とは、上下方向に開閉する扉であり、
前記外扉は、前方側に位置する前記短仕切りの下方の把持位置まで延びる把持部を有し、
前記把持部は、前記外扉が上方に開放されるときに前方側に位置する前記短仕切りを押し上げる。
【0012】
また前記外扉は、前記短仕切りより前方の退避位置と前記把持位置との間で前記把持部を動かす部材駆動装置、を有し、
さらに前記機械式駐車装置は、前記パレットを搭載し昇降するケージと、
前記部材駆動装置と前記ケージとを制御する第1制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記ケージが前記把持部より下方にあるときに、前記把持部が前記退避位置に位置するように前記部材駆動装置を制御した後に、前記ケージを前記把持部より上方に移動させ、その後、前記把持部が前記把持位置に位置するように前記部材駆動装置を制御する。
【0013】
また鉛直軸を中心に前記パレットを回転させる回転装置を有し、
前記2つの短仕切りは、その双方が開閉可能に設けられている。
【0014】
また前記機械式駐車装置は、前記幅方向に複数配置された前記開口と、
複数の前記開口の後方にそれぞれ位置する複数の前記パレットと、を備えた二多段式駐車装置であり、
前記外壁は、前記パレットの前方であって隣り合った前記パレットとの間に設けられた前方外壁を有し、
前記前方側に位置する前記短仕切りは、上下方向に開閉するシャッターである。
【0015】
また前記外扉は、該外扉から前記シャッターの下方まで延びる把持部と、前記把持部を幅方向に移動させる移動装置と、を有し、複数の前記パレットに跨って幅方向に延び連続的に設けられ、
さらに前記機械式駐車装置は、前記移動装置を制御する第2制御装置を備え、
第2制御装置は、車両を入出庫させるパレットの前方に前記把持部を移動させるように前記移動装置を制御する。
【0016】
また前記外扉は、該外扉から前記シャッターの下方の把持位置まで延びる把持部と、前記シャッターより前方の退避位置と前記把持位置との間で前記把持部を動かす部材駆動装置と、を有し、複数の前記パレットに跨って前記幅方向に延び連続的に設けられ、
さらに前記機械式駐車装置は、前記部材駆動装置を制御する第2制御装置を備え、
第2制御装置は、車両を入出庫させる前記パレットの前方の前記把持部を前記把持位置に移動させるように前記部材駆動装置を制御する。
【0017】
また前記前方外壁と前記隔壁面は、上端部が固定され下方に向けて垂れ下がるように延び、車両が入出庫する入出庫高さから上下方向に隙間を隔てた位置に下端を有し、
前記外扉は、該外扉から前記シャッターの下方まで延び前記隙間を通過しながら幅方向に移動可能な把持部と、前記把持部を前記幅方向に移動させる移動装置と、を有し、複数の前記パレットに跨って前記幅方向に延び連続的に設けられ、
さらに前記機械式駐車装置は、前記移動装置を制御する第2制御装置を備え、
第2制御装置は、車両を入出庫させる前記パレットの前方に前記把持部を移動させるように前記移動装置を制御する。
【0018】
また前記外扉は、各パレットの前方にそれぞれ設けられ、別々に昇降する複数の小外扉を有し、
各小外扉は、該小外扉から前記シャッターの下方まで延びる把持部をそれぞれ有する。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明の装置によれば、外壁、長仕切り、及び後方側に位置する短仕切りで、通路とパレット上の空間を機械式駐車装置の外縁より外側の空間につなげ、内部空間のうち通路及びパレット上の空間以外の空間(立入禁止空間)から隔離することができる。そのため車両の駐車中のみならず入出庫時にも立入禁止空間に人が立ち入るのを防ぐことができるため、本質安全をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
本発明の機械式駐車装置1は、地上に建設した建屋内部や、地下に形成した空間に機械装置を配設し、多数の車両を立体的に格納する設備である。本発明の機械式駐車装置1は、エレベータ方式、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式、平面往復方式、二多段方式、等、の機械式駐車装置である。
【0023】
(第1実施形態)
第1実施形態の機械式駐車装置1は、エレベータ方式、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式、平面往復方式の機械式駐車装置である。以下、エレベータ式駐車装置を例として、本発明の第1実施形態の機械式駐車装置1について説明する。
【0024】
図1は、本発明の機械式駐車装置1の正面図である。
本発明の機械式駐車装置1は、車両Aを搭載する複数のパレット2と、車両Aをパレット2に入出庫させる入出庫部15とを備える。
【0025】
また本発明の機械式駐車装置1は、外壁8、通路4(
図2を参照)、長仕切り10、短仕切り12、隔壁面18、外扉20、ケージ14、及び回転装置30(
図2を参照)を備える。
【0026】
以下の説明において、車両Aが入出庫するときのパレット2の幅方向を単に幅方向、又は横方向とし、そのパレット2の長手方向を前後方向とする。また前後方向のうち、出庫の際に車両Aがパレット2から降りるときの進行方向前方を単に前方とし、その反対方向を後方とする。
【0027】
ケージ14は、パレット2を搭載し、昇降路16を上下方向に昇降する装置である。
【0028】
図1は、入出庫部15に位置するパレット2に車両Aが入出庫している時点の機械式駐車装置1を表している。本実施形態の機械式駐車装置1は、入出庫部15より上方にのみ車両Aを格納する場所若しくは位置(以下、駐車室)を備える。
【0029】
駐車室は、例えば機械式駐車装置1がエレベータ式駐車装置の場合の格納棚36であり、機械式駐車装置1が垂直循環方式の機械式駐車装置である場合のケージである。
【0030】
ケージ14は、例えば機械式駐車装置1がエレベータ式駐車装置の場合、昇降路16を上下方向に往復するケージである。
【0031】
回転装置30は、鉛直軸を中心にパレット2を回転させる。回転装置30は、入出庫部15に設けられていてもよく、ケージ14に設けられていてもよい。またパレット2を回転する場所は、入出庫部15に限らず、その他の場所で回転してもよい。
【0032】
外壁8は、機械式駐車装置1の外縁の内側の空間である内部空間6を囲む壁である。例えば
図1のエレベータ式駐車装置1の場合、その前後左右と上面が外壁8により囲まれている。例えば本発明の機械式駐車装置1が建物内部のボイド内に組み込まれた機械式駐車装置である場合、外壁8は、その建物自体の外壁である。例えば機械式駐車装置1が、駐車室とは異なる階に乗込部を備えた水平循環方式又は多層循環方式の機械式駐車装置である場合、外壁8は、車両Aが駐車室を囲う外壁だけでなく、その乗込部の外壁をも含む。
【0033】
図2は、
図1のD−D矢視図とその斜視図である。
図2(A)は
図1のD−D矢視図であり、
図2(B)は
図1の斜視図である。
図2は、機械式駐車装置1の入出庫部15がある階層を示している。なお、
図2(B)は、棚柱34、ケージ14、及び入出庫部15がある階層以外の階層、後述するセフティエッジ20a、閉鎖検知機構20bの描写を省略している。
【0034】
図3は、
図2(A)のE−E矢視図である。
図3は、セフティエッジ20aと閉鎖検知機構20bの描写を省略している。
パレット2は、内部空間6に設置される。車両Aの入出庫時にパレット2は、入出庫部15に設置される。
【0035】
パレット2には、長仕切り10と短仕切り12が設けられる。
【0036】
長仕切り10は、パレット2の幅方向両端部に設けられ、パレット2の前端部から後端部にかけて前後方向かつ上方に延びる。長仕切り10は、板であることが好ましいが、人が通り抜けられないほど細かい目を有する網や柵であってもよい。
【0037】
長仕切り10には、人が指又は手を入れることができるが、パレット2上からは出ることはできない大きさの貫通孔10aが設けられていることが好ましい。例えばこの貫通孔10aは、10cm角であってもよい。長仕切り10にこの貫通孔10aが設けられている場合、この貫通孔10aに相当する部分の格納棚36の壁(例えば外壁8の内面等)には、機械式駐車装置1の管理人室に助けを求めるための緊急ボタンが設けられる。
【0038】
この構成により、パレット2が格納棚36に格納されると、長仕切り10の貫通孔10aに緊急ボタンが露出する。それによりパレット2上に取り残された人が、貫通孔10aを介して緊急ボタンを押すことにより、管理人室に助けを求めることができる。
【0039】
短仕切り12は、長仕切り10の前後方向の両端部にそれぞれ連結し、パレット2から上方に延びる。短仕切り12は、パレット2の前後方向両端部に一つずつ、合計2つ設けられている。2つの短仕切り12のうちの少なくとも一方は、開閉可能に設けられている。
【0040】
本実施形態の短仕切り12は、平板や人が通り抜けられないほど細かい目を有する網もしくは柵であってもよく、シャッターであってもよい。短仕切り12は、そのパレット2の上面側に、鏡13を有することが好ましい。それにより車両Aの運転者は、正面の鏡13に映る車両Aを見ながらパレット上に車両Aを駐車させることができる。2つの短仕切り12がいずれも開閉する場合は、両方の短仕切り12が鏡13を有していることが好ましい。
【0041】
また、短仕切り12は、外扉20と同じ方向に開閉する扉である。
【0042】
例えば外扉20が上下方向に開閉する場合は、短仕切り12も上下方向に開閉する。外扉20が横方向に開閉する場合は、短仕切り12も横方向に開閉する。
【0043】
短仕切り12は、人が挟まれても怪我をしないように、軽量に設けられていることが好ましい。
【0044】
例えば短仕切り12が上下方向に開閉する扉である場合、短仕切り12は、パレット2の前後方向端部より外側に位置することが好ましい。例えば
図3に示した例の場合、長仕切り10は、パレット2の前後方向端部の外側まで延びている。長仕切り10の前後方向端部のパレット2側の鉛直面には、短仕切り12を誘導するためのレール12aが上下方向に延びて設けられている。レール12aは、短仕切り12の幅方向両端部に連結し、短仕切り12を上下方向に誘導する。
【0045】
また、パレット2、長仕切り10若しくはレール12aには、長仕切り10の下端部又はパレット2の下面より下方に短仕切り12の下端部が移動するのを防ぐストッパーが設けられていることが好ましい。
【0046】
なお、機械式駐車装置1が、パレット2を水平方向に動かして入出庫部15に移動させる装置である場合は、パレット2が入出庫部15に設置されたときに短仕切り12の下端部が後述する把持部22の上端部より上方に位置するようにストッパーが設置されることが好ましい。
【0047】
図2に示すように通路4は、内部空間6の入出庫部15に設置されたパレット2の前面に位置し、パレット2の前端部から前方に向けて延び、外壁8に開口する車両Aが通過可能な通路である。以下、外壁8に設けられたこの開口を単に開口9とする。
【0048】
隔壁面18は、通路4の幅方向の両端部に設けられ、開口9の幅方向両端部から長仕切り10の前端部まで延びる平面である。通路4の幅方向両側に設けられた壁が隔壁面18を有することが好ましい。しかしこれに限らず、隔壁面18は、例えば厚い外壁8の通路4に面した側面であってもよい。
【0049】
長仕切り10、短仕切り12、隔壁面18及び外壁8は、人が乗り越えにくい高さを有する。長仕切り10、短仕切り12、隔壁面18及び外壁8は、少なくとも1m以上の高さを有することが好ましい。さらに長仕切り10、短仕切り12、隔壁面18及び外壁8の高さは、1.7m以上であることが最も好ましい。
【0050】
外扉20は、パレット2より前方に位置し、2つの短仕切り12のうちの前方側に位置する短仕切り12と共に開閉する。例えば
図2の例で外扉20は、通路4の後端部であって、短仕切り12の前方に設けられている。外扉20は既知の開閉機構により開閉されるものであってよい。
【0051】
しかし外扉20が短仕切り12と共に開閉できる構成となっているのであれば、外扉20は、開口9と通路4の後端部との間や開口9に設けられていてもよく、通路4に人が入ることができないのであれば、外壁8の前方側に設けられていてもよい。
【0052】
外扉20は、上下方向と横方向のいずれに開閉する扉でもよいが、上下方向に開閉する扉であることが好ましい。また外扉20は、人が挟まれても怪我をしないように軽量に設けられていることが好ましい。
【0053】
さらに外扉20は、
図3に示すように、前方側に位置する短仕切り12の下方の把持位置Bまで延びる把持部22を有する。
【0054】
把持部22は、外扉20が上方に開放されるときに前方側に位置する短仕切り12を押し上げる部材である。把持部22は、外扉20から後方に向けて延びる棒状又は板状の部材であることが好ましい。
【0055】
把持部22は、外扉20に固着されていることが好ましいが、後述する第2実施形態又は第3実施形態の機械式駐車装置1のように、揺動可能又は移動可能に設けられていてもよい。
【0056】
外扉20は、床又は隔壁面18に対向する開閉方向の端部に、例えば車両A等の物や人と接触したことを検知するセフティエッジ20a(
図1を参照)を有することが好ましい。
【0057】
「床又は隔壁面18に対向する開閉方向の端部」は、例えば上下方向に開閉する場合の外扉20の下端部である。外扉20が幅方向に開閉する場合は、人や物に接触し得る外扉20の幅方向端部である。
【0058】
例えば外扉20が上下方向に開閉する場合、セフティエッジ20aは、外扉20の下端部に回動可能に取り付けられたリンクを介して上下方向に移動可能に連結される幅方向に延びるセフティ棒と、外扉20の下端部に取り付けられセフティ棒に接触したことを検知するリミットスイッチとを有していてもよい。セフティ棒は、外扉20の下端部より下方に設けられる。人や物にセフティ棒が接触すると、リンクが回動してセフティ棒が上方に移動し、リミットスイッチに接触する。リミットスイッチは、接触を検知すると検知信号を外扉20の開閉を制御する制御装置に出力する。制御装置は、検知信号を入力すると、外扉20の動きを止め、又は外扉20を開く。
【0059】
それにより、外扉20が人や物に接触したことを検知して外扉20の動きが止まり、又は外扉20が開くので、外扉20が人や物を挟み込むのを防ぐことができる。
【0060】
また外扉20は、扉が閉まったことを検知する閉鎖検知機構20b(
図1を参照)を有していることが好ましい。閉鎖検知機構20bは、リミットスイッチとストライカーを有する。
【0061】
外扉20には、後方又は幅方向外方に突出したストライカーが設けられる。また外扉20が閉じたときにストライカーに対向する部位(例えば機械式駐車装置1の棚柱34や壁等)には、リミットスイッチが設けられる。
【0062】
この構成により、外扉20が閉鎖する高さになった時点でストライカーがリミットスイッチに接触するので、外扉20が閉鎖したことを確認することができる。
【0063】
本発明の機械式駐車装置1は、これらの構成により、内部空間6のうちの通路4とパレット上の空間を隔壁面18、長仕切り10及び短仕切り12で取り囲み、隔壁面18が外壁8の開口9と長仕切り10の前端部との間で延びるので、通路4とパレット2上の空間(以下、立入可能空間)とを機械式駐車装置1の外縁より外側の空間(以下、外部空間)につなげることができる。また機械式駐車装置1は、このような隔壁面18、長仕切り10及び短仕切り12を備えることにより、立入可能空間を、内部空間6のうち立入可能空間以外の空間(以下、立入禁止空間)から隔離することができる。それにより、人が立入禁止空間に入れる入口や隙間等が無いので、人が立入禁止空間に侵入するのを防ぐことができる。
【0064】
立入禁止空間には、パレット2を移動させるための装置(例えばケージ14や、水平方向にパレット2を搬送する搬送装置、等)や、格納棚36、等の機械装置(以下、単に機械装置)が設置されている。
【0065】
本発明の機械式駐車装置1は、立入可能空間を壁で囲うことで物理的に立入可能空間と立入禁止空間とを分け、立入禁止空間への人の侵入を阻止することで、本質安全を確保できる。つまり、本発明の機械式駐車装置1は、人が機械装置に接触することで生じる事故(例えば人が機械に挟まれる事故や、格納棚36から落下する事故)が起こる可能性を減少させることができる。
【0066】
すなわち例えば車両Aに人が取り残されたままパレット2が格納棚36に格納されても、人が乗り越えにくい高さを有した長仕切り10と短仕切り12がパレット2の前後左右の端部を囲むので、入出庫部15で短仕切り12が開くまで人がパレット2上から出ることができない。それにより人が格納棚36に格納されたパレット2から落下する事故を未然に防ぐことができる。
【0067】
次に、本発明の第1実施形態の機械式駐車装置1の運転方法について機械式駐車装置1がエレベータ式駐車装置であり、外扉20が上下方向に開閉する場合を例にして説明する。
【0068】
図4と
図5は、本発明の第1実施形態の機械式駐車装置1の出庫時の運転方法の説明図である。
図4、
図5の順に時間が経過する。
図4と
図5は、セフティエッジ20aの描写を省略している。
【0069】
この例の入出庫部15は、エレベータ式駐車装置1の昇降路16の下端部に設けられている。入出庫部15より下方には格納棚36が無いため、パレット2が入出庫部15より下方に移動することはない。この例のケージ14は入出庫部15とその上方とを往復して昇降する。
【0070】
図4(A)は、ケージ14が上方からパレット2を入出庫部15に搬送するときの
図2(A)のE−E矢視図である。
【0071】
車両Aを搭載したパレット2は、入出庫部15の上方に設置された格納棚36から引き出され、ケージ14に載せ替えられて入出庫部15まで昇降路16を下降する。
【0072】
図4(B)は、パレット2を入出庫部15に設置したときの
図2(A)のE−E矢視図である。
【0073】
この例の外扉20は上下方向に開閉する扉である。短仕切り12は、パレット2の前後方向端部の外側まで延びた長仕切り10のその前後方向端部に取り付けられている。
【0074】
把持部22は、入出庫部15に設置されたパレット2の前方側に位置する短仕切り12の下方となる位置(すなわち、把持位置B)まで延びているので、上方から降りてきたケージ14が入出庫部15にパレット2を置くと、短仕切り12の下端部が把持部22の上方に位置する。例えば短仕切り12の下端部がパレット2の下面の高さに位置している場合、短仕切り12が把持部22の上に載せられるので、短仕切り12は、レール12aに沿って把持部22の厚み分上方に移動する。
【0075】
入出庫部15の後方側には、把持部22が無いので、前後の短仕切り12のうち前方の短仕切り12だけが把持部22の上に載る。
【0076】
例えば2つの短仕切りの双方が開閉可能に設けられている場合は、次に、回転装置30でパレット2を回転させる。
【0077】
図5(A)は、回転装置30がパレット2を回転した後の
図2(A)のE−E矢視図である。
【0078】
図5(B)は、
図5(A)の後に、回転装置30が、回転後の入出庫部15にパレット2を設置したときの
図2(A)のE−E矢視図である。
【0079】
回転装置30はパレット2を持ち上げ、鉛直方向の軸を中心として、パレット2を180°回転させ、その後、パレット2を入出庫部15に設置する。
【0080】
それにより前方側に位置する短仕切り12(すなわち車両Aの前方に近接して位置する短仕切り12)が把持部22の上方に位置する。
【0081】
本発明の機械式駐車装置1は、回転装置30と、パレット2の前後方向に設けられた開閉可能な短仕切り12とを備えることにより、車両Aが前方に進行しながら入出庫の両方を行うことができる。つまり、入庫時には車両Aをパレット2に前向き駐車(車両Aの前方が入出庫部15の後方側に位置する駐車)をすることができ、出庫時には、車両Aの前方側の短仕切り12が開くので、そのまま車両Aが前方に進行して出庫できる。
【0082】
そのため、パレット2が長仕切り10と短仕切り12に囲まれていても、本質安全を確保しながら、バックで進行することなく入出庫することができる。
【0083】
なお、本発明の機械式駐車装置1は、前後の2つの短仕切り12のうち、一方側のみが開閉可能に設けられていてもよい。その場合は、機械式駐車装置1は回転装置30を有さず、パレット2の前端部にのみ開閉可能な短仕切り12を有する。この場合の後方側の短仕切り12は、開閉できないように、パレット2又は長仕切り10に固定されていることが好ましい。
【0084】
図6は、把持部22と短仕切り12との位置関係の説明図である。
図6(A)は、パレット2が上方から入出庫部15に降りてくるときの図、
図6(B)は、パレット2を入出庫部15に設置したときの図、
図6(C)は、外扉20が上昇したときの図である。なお、
図6は、セフティエッジ20aの描写を省略している。
【0085】
図7は、外扉20と短仕切り12が開いたときの
図2(A)のE−E矢視図である。なお、
図7は、セフティエッジ20aの描写を省略している。
【0086】
ケージ14は上下方向にのみ移動するので、昇降路16を移動する間、短仕切り12は水平方向に移動しない。つまり
図6(A)に示すように上方からパレット2が下降すると、短仕切り12のみが把持部22の上方に位置し、パレット2が把持部22に接触しない位置(把持部22の後端部より後方の位置)に位置する。
【0087】
ケージ14又は回転装置30によりパレット2が入出庫部15に設置されると、把持部22の上面の上又は把持部22の上方には、前方の短仕切り12のみが位置する。
【0088】
そのため外扉20が上方に開放すると、
図6(C)に示すように把持部22が短仕切り12の下端部(例えば短仕切り12の下面)に接触し、短仕切り12を上方に押し上げる。それにより、外扉20は、入出庫部15に設置されたパレット2がどのパレット2であっても、短仕切り12を外扉20に連動させて開閉することができる。
【0089】
これにより外扉20と短仕切り12が連動して開き、パレット2上の空間が通路4を介して外部空間と連通するので、通路4を通って人が車両Aに乗り込み、出庫させることができる。
【0090】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態の機械式駐車装置1の把持部22と短仕切り12との位置関係の説明図である。
図8(A)は、パレット2が入出庫部15の下方から入出庫部15に向かうときの図である。
図8(B)は、ケージ14が把持部22より上方にパレット2を上昇させたときの図である。
図8(C)は、パレット2を入出庫部15に設置したときの図である。なお、
図8は、セフティエッジ20aの描写を省略している。
【0091】
本実施形態の機械式駐車装置1は、入出庫部15の下方からパレット2が上昇し、入出庫部15に設置されるエレベータ方式、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式、平面往復方式、等、の機械式駐車装置である。
【0092】
本実施形態の把持部22は、把持位置Bと退避位置Cの間で移動する。退避位置Cは、短仕切り12に接触しない短仕切り12より前方の位置である。
【0093】
例えば本実施形態の外扉20は、把持部22を退避位置Cと把持位置Bとの間で動かす部材駆動装置24を有することが好ましい。把持部22が鉛直軸を中心に揺動可能に外扉20に取り付けられており、部材駆動装置24がその鉛直軸を回転させるモータであってもよい。もしくは部材駆動装置24がラックを動かすアクチュエータであり、そのアクチュエータの移動により鉛直軸に同軸に取り付けられたピニオンが回転するものであってもよい。部材駆動装置24の構成は、これらに限らず、その他の構成のものであってもよい。
【0094】
機械式駐車装置1は、第1制御装置28を備える。第1制御装置28は、部材駆動装置24とケージ14とを制御する制御装置である。
【0095】
次に、本実施形態の機械式駐車装置1の運転方法について説明する。
【0096】
本実施形態のパレット2は、入出庫部15の下方から入出庫部15に向けて移動する。例えばエレベータ式駐車装置のケージ14のように、パレット2を移動させる装置が上下方向にのみ移動し、水平方向には移動しない場合、把持位置Bにある把持部22と短仕切り12の上端が衝突しないように、把持部22を一旦、把持位置Bから退避させる必要がある。
【0097】
第1制御装置28は、パレット2を搭載したケージ14が把持部22より下方にあるときに、把持部22が退避位置Cに位置するように部材駆動装置24を制御する。これによりパレット2を搭載したケージ14が入出庫部15を通過しても、短仕切り12は把持部22に干渉しない。
【0098】
把持部22が退避位置Cに移動した後、第1制御装置28は、ケージ14を把持部22より上方に移動させるように部材駆動装置24を制御する。
【0099】
パレット2の下面が把持部22より上方に移動した後、第1制御装置28は、把持部22が把持位置Bに位置するように部材駆動装置24を制御する。
【0100】
その後、第1制御装置28は、パレット2を入出庫部15に設置するようにケージ14を制御する。
【0101】
この構成により本実施形態の機械式駐車装置1は、把持部22が退避位置Cに退避可能に構成されているので、短仕切り12を把持部22に衝突させずにパレット2が入出庫部15を通過できる。それにより、機械式駐車装置1が入出庫部15より下方に格納棚36を備える場合であっても、本質安全を確保できる。
【0102】
なお、その他の第2実施形態の機械式駐車装置1の構成は、第1実施形態のそれと同様である。
【0103】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の機械式駐車装置1について説明する。本実施形態の機械式駐車装置1は二多段式駐車装置である。
【0104】
図9は、本発明の第3実施形態の機械式駐車装置1の正面図である。
図9(A)は、外扉20が閉まっているときの正面図であり、
図9(B)は外扉20が開いているときの正面図である。
【0105】
図10は、第3実施形態の機械式駐車装置1の1F部分の斜視図である。
図10(A)は外扉20が閉じているときの図であり、
図10(B)は、外扉20が開いているときの図である。
【0106】
なお、
図10は、柱や梁、及び2Fと3Fの描写を省略している。
【0107】
この例において、二多段式駐車装置1は、同一の設置スペースP,Q,Rに3段(1F,2F,3F)の駐車スペースが設けられた地上3段昇降横行式である。なお、設置スペースP,Q,Rとは、二多段式駐車装置1が設置されている敷地を示している。
【0108】
この例において、3段のうち1Fに位置するパレット2aは、水平に横行可能であり、2Fに位置する2つのパレット2bは、横行と昇降が可能であり、3Fに位置する3つのパレット2cは、昇降のみが可能になっている。
【0109】
従って、この例において、車両Aの収容台数は、1Fに2台、2Fに2台、3Fに3台で計7台である。
【0110】
なお、本発明は上述した二多段式駐車装置に限定されず、それ以外の二多段式駐車装置であってもよい。
【0111】
例えば、駐車スペースの段数は、二段以上であれば何段であってもよい。また、同一段の収容台数も3台に限定されず、2台以上であれば何台でもよい。
【0112】
各パレット2には、長仕切り10と短仕切り12が取り付けられている。
本実施形態の長仕切り10は、第1実施形態のそれと同様である。
【0113】
本実施形態の後方側に位置する短仕切り12は、長仕切り10又はパレット2に固定された開閉できない平板又は柵若しくは網である。後方側に位置する短仕切り12は、そのパレット2の上面側(すなわち前方)に、鏡13を有することが好ましい。
【0114】
本実施形態の前方側に位置する短仕切り12は、上下方向に開閉するシャッター12bであることが好ましい。長仕切り10の上端部には、シャッター12bを収納できるシャッターケース12cが設けられている。シャッターケース12cの中には、幅方向に延びる軸を中心に回転し、シャッター12bを巻き付ける図示しないシャフトが設けられている。シャッター12bは、下端が上方に持ち上げられることにより、シャフトに巻き取られ、シャッターケース12cに収納される。
【0115】
なお、本実施形態の前方側に位置する短仕切り12は、この他の構成でもよい。
【0116】
本実施形態の通路4は、第1実施形態の通路4と同様に、開口9の後方(すなわち内部空間6)に設置されたパレット2の前面に位置し、パレット2の前端部から前方に向けて延び、外壁8に開口する。
図9に示すように本実施形態の機械式駐車装置1は、各設置スペースP,Q,Rにつき1つずつ開口9を有する。言い換えると、本実施形態の機械式駐車装置1は、前方の外壁8に、複数の開口9が設けられている。複数の開口9は、幅方向に配置される。例えば
図9に示した二多段式駐車装置1の例の場合、設置スペースP,Q,Rが3つであり、車両Aが入出庫する入出庫高さ(FL)に3つの開口9が設けられている。
【0117】
複数の開口9の後方には、複数のパレット2がそれぞれ位置する。例えば車両Aの入出庫時には、
図9(B)に示すように、全ての設置スペースP,Q,Rの開口9の後方にパレット2が配置される。つまり外扉20が開くときには必ず全ての設置スペースP,Q,Rの開口9の後方にはパレット2が配置される。
【0118】
一方、駐車時には、各パレット2は、各段の駐車スペースに位置する。
【0119】
機械式駐車装置1の後方と幅方向側面とを囲む外壁8は、フェンス8bである。機械式駐車装置1の前方の外壁8は、パレット2の前方であって隣り合ったパレット2の間に設けられた前方外壁8aである。言い換えると前方外壁8aは、隣り合った開口9と開口9との間で幅方向に延びる外壁8である。
【0120】
本実施形態の通路4の幅方向の両端部には、第1実施形態と同様に、隔壁面18が設けられている。隔壁面18は、開口9の幅方向両端部から長仕切り10の前端部まで延びる壁面である。
【0121】
隔壁面18と前方外壁8aとは、それぞれ別箇に設けられた壁が連結して設けられていてもよく、一体成型されていてもよい。
【0122】
また例えば前方外壁8aの壁の厚みが隔壁面18を形成していてもよい。つまり前方外壁8aが一つの立方形の壁であり、その壁の前後方向に延びる側面が隔壁面18であってもよい。
【0123】
(隔壁面18と前方外壁8aとの具体例1)
具体例1の隔壁面18と前方外壁8aとは、
図9に示すように、外扉20よりも後方に設けられており、入出庫高さ(FL)から上方に向けて延びている。
【0124】
図11は、隔壁面18と前方外壁8aとの具体例2と具体例3の説明図である。
図11(A)は、具体例2の説明図であり、
図11(B)は具体例3の説明図である。
【0125】
(隔壁面18と前方外壁8aとの具体例2)
具体例2の隔壁面18と前方外壁8aは、いずれも、外扉20よりも前方に設けられており、入出庫高さ(FL)から上方に向けて延びている。この場合外扉20は、隔壁面18及び前方外壁8aと、パレット2との間の隙間で昇降する。この隙間は、人が通り抜けられないほどの間隔(例えば約10cm)に設けられている。
【0126】
この場合外扉20は、隔壁面18及び前方外壁8aと、パレット2との間の隙間で昇降する。この隙間は、人が通り抜けられないほどの間隔(例えば約10cm)に設けられている。
【0127】
(隔壁面18と前方外壁8aとの具体例3)
具体例3の隔壁面18と前方外壁8aは、いずれも、外扉20よりも後方に設けられている。本具体例の隔壁面18と前方外壁8aは、上方から下方に向けて延びている。
【0128】
例えば本具体例の前方外壁8aと隔壁面18は、上端部が固定され下方に向けて垂れ下がるように延びる。本具体例の前方外壁8aと隔壁面18は、入出庫高さ(FL)から上下方向に隙間Tを隔てた位置に下端を有する。例えば隙間Tは、人が潜り抜けられない幅(例えば入出庫高さ(FL)から約10cm)であることが好ましい。
【0129】
図11(B)に示した二多段式駐車装置1の例では、2Fのパレット2bを横行させるための横行枠38によってパレット2bがチェーンで吊り上げられている。横行枠38は、長さ方向両端部に車輪39を有し、2Fに設けられた2本の水平レール40に沿って、図示しない水平駆動装置により水平に横行する。
【0130】
本具体例の隔壁面18と前方外壁8aは、例えば水平レール40に固定されていてもよい。
図11(B)の例では水平レール40に隔壁面18と前方外壁8aの上端部が固定されている。しかしこれに限らず、隔壁面18と前方外壁8aは、横行枠38に接触しないのであれば、水平レール40の前方側側面に連結されていてもよく、水平レール40より上方に延びていてもよい。または水平レール40の他に、前方で幅方向に延びる梁などに、隔壁面18と前方外壁8aが固定されていてもよい。
【0131】
把持部22が後述する具体例1の把持部22である場合、隔壁面18と前方外壁8aの下端は、把持部22の上面の高さより上方に位置することが好ましい。その場合、把持部22は、隙間Tを幅方向に移動する。
【0132】
具体例1〜3の構成により、隔壁面18と前方外壁8aは、人が立入禁止空間(この例では、隣り合ったパレット2とパレット2との間)に侵入するのを防ぐことができる。
【0133】
なお、フェンス8bとパレット2との間に人が侵入できる隙間があるときは、フェンス8bとパレット2との間にも隔壁面18と前方外壁8aとを備えることが好ましい。
【0134】
本実施形態の外扉20は、上下方向に開閉する既知の外扉である。外扉20を上下に開閉する機構は、既知の機構である。
【0136】
具体例1、2の外扉20は、複数のパレット2に跨って幅方向に延び連続的に設けられている。つまり、例えば
図9(B)と
図11(B)のように1Fの設置スペースQに駐車した車両Aを入出庫させる場合であっても、設置スペースP,Rの前の外扉20も上方に開放する。
【0137】
(外扉20の具体例1)
図12(A)は、具体例1の外扉20の背面図であり、
図12(B)は、具体例1の外扉20の平面図である。
【0138】
本具体例の外扉20は、隙間Tを通過しながら、幅方向に移動可能な把持部22と、その把持部22を幅方向に移動させる移動装置26とを有する。
【0139】
第2制御装置32は、車両Aを入出庫させるパレット2の前方に把持部22を移動させるように移動装置26を制御する。
【0140】
本具体例の把持部22は、外扉20からシャッター12bの下方の把持位置Bまで延びる。
【0141】
例えば
図12(A)(B)に示した移動装置26は、複数のスプロケット26a、チェーン26b、モータ26c、及び把持部用レール26dを有する。
【0142】
スプロケット26aは、外扉20の後面かつ下端部であって、その幅方向両端部に、前後方向に延びる軸を中心に回転可能に取り付けられている。
【0143】
チェーン26bは、それらのスプロケット26aに掛け回された無端状のチェーン26bであり、把持部22に連結している。
【0144】
モータ26cは、スプロケット26aを回転駆動させ、チェーン26bに連結した把持部22を幅方向に移動させる。
【0145】
把持部用レール26dは、外扉20の後面の下端部に幅方向に延びて設けられており、把持部22の前端部を把持部用レール26dに沿ってスライドさせる。
【0146】
なお、移動装置26の構成は、その他のものであってもよい。
【0147】
また、本具体例の外扉20を備える機械式駐車装置1は、移動装置26を制御する第2制御装置32を備える。例えば
図12(A)(B)に示した移動装置26の場合、第2制御装置32は、モータ26cの作動を制御することにより、車両Aを入出庫させるパレット2の前方に把持部22を移動させるようにモータ26cを制御する。
【0148】
なお、本具体例の外扉20には、具体例2又は3の隔壁面18と前方外壁8aとを使用することが好ましい。
【0149】
つまり、外扉20が、隔壁面18と前方外壁8aの後方(すなわち隔壁面18及び前方外壁8aとパレット2との間)に位置することが好ましい。もしくは外扉20が隔壁面18と前方外壁8aよりも前方に位置する場合でも、隔壁面18と前方外壁8aと入出庫高さ(FL)との間に把持部22が通り抜けられる隙間が設けられていることが好ましい。
【0150】
それにより、本具体例の把持部22は、把持位置Bまで延びた形状のまま、隔壁面18と前方外壁8aに衝突せずに幅方向に移動することができる。
【0151】
(外扉20の具体例2)
図12(C)は、具体例2の外扉20の背面図であり、
図12(B)は、
図12(C)のF−F矢視図である。
【0152】
具体例2の外扉20は、シャッター12bの下方の把持位置Bまで延びる把持部22と、シャッター12bより前方の退避位置Cと把持位置Bとの間で把持部22を動かす部材駆動装置24と、を有する。
【0153】
本具体例の外扉20は、各パレット2の前方にそれぞれ把持部22と、その把持部22を動かす部材駆動装置24が設けられている。例えば
図12(C)(D)に示す例では、把持部22の後端が鉛直軸を中心に回転可能に外扉20の後面に取り付けられている。
図10と
図12(C)(D)の部材駆動装置24は、例えばその鉛直軸を回転させるモータ24aである。
【0154】
しかしこれに限らず部材駆動装置24の構成は、例えばリンクとアクチュエータ、ラック・アンド・ピニオンとアクチュエータ等、その他のものであってもよい。
【0155】
さらに本具体例の外扉20を備える機械式駐車装置1は、部材駆動装置24を制御する第2制御装置32を備える。第2制御装置32は、車両Aを入出庫させるパレット2の前方に位置する把持部22のみを把持位置Bに移動させ、その他の把持部22を退避位置Cに位置するように各部材駆動装置24を制御する。
【0156】
本具体例の外扉20は、具体例1〜3のいずれの前方外壁8aと隔壁面18を使用する場合にも、使用できる。本具体例の外扉20を備える二多段式駐車装置1は、地上のみならず地下にも駐車スペースを有していてもよい。
【0157】
本具体例の外扉20のその他の構成や効果は、具体例1の外扉20と同様である。
【0158】
(外扉20の具体例3)
図12(E)は、具体例3の外扉20の平面図である。
【0159】
具体例3の外扉20は、各パレット2の前方にそれぞれ設けられ、別々に昇降する複数の小外扉20cを有する。つまり設置スペースP,Q,Rごとに別々の小外扉20cが取り付けられている。これらの小外扉20cは、それぞれ別々に上下に開閉する。
【0160】
各小外扉20cは、シャッター12bの下方まで延びる把持部22をそれぞれ有する。
【0161】
本具体例の外扉20は、具体例1〜3のいずれの隔壁面18と前方外壁8aと併用することができる。
【0162】
この構成により、入出庫時に、他の小外扉20cを閉めたまま、入出庫する車両Aの前の小外扉20cのみを開くので、入出庫に関係しないパレット2の短仕切り12が開かない。それにより、把持部22を移動させることなく、他の小外扉20c、前方外壁8a、隔壁面18、長仕切り10、及び後方の短仕切り12により人が立入禁止空間(例えばパレット2とパレット2との間の隙間等の空間)に侵入するのを防ぐことができる。
【0163】
具体例3のその他の構成と効果は、具体例1、2と同様である。
【0164】
この構成により、本実施形態の機械式駐車装置1は、入出庫するパレット2の短仕切り12のみを開放し、その他の短仕切り12を閉じたままに維持する。外扉20が開くときは必ず開口9の後方にパレット2が配置される。パレット2とパレット2との間に前方外壁8a及び隔壁面18が位置するので、隣り合ったパレット2間の隙間に人が侵入するのを防ぐことができる。
【0165】
従って機械式駐車装置1が二多段式駐車装置であっても、本質安全を確保できる。
【0166】
本実施形態の機械式駐車装置1のその他の構成と効果は、第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
【0167】
上述した本発明の装置によれば、外壁8、長仕切り10、及び後方側に位置する短仕切り12で、通路4とパレット2上の空間を、機械式駐車装置1の外縁より外側の空間につなげ、内部空間6のうち通路4及びパレット2上の空間以外の空間(立入禁止空間)から隔離することができる。そのため車両Aの駐車中のみならず入出庫時にも立入禁止空間に人が立ち入るのを防ぐことができるため、本質安全をさらに向上させることができる。
【0168】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。