(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洗浄部を備えた柄の後端部にグリップが外嵌固定され、前記柄の後端部の外面とグリップの前端部の内面との間には、柄に沿って流動する洗浄液を前記グリップ内に流入させる流入口が形成されているとともに、前記グリップの後端部には、前記グリップ内の洗浄液を外部に排出する排出口が形成されている洗浄具であって、
前記グリップは、前記柄の後端部に外嵌固定されるグリップ本体と、当該グリップ本体に外嵌される把持筒体とを備え、前記グリップ本体と前記把持筒体との嵌合部位の夫々には、周方向の複数部位においてグリップ軸線方向に沿って少なくとも径方向内方側に突出する突条を有し、且つ、前記グリップ本体の前記突条と前記把持筒体の前記突条とがグリップ軸線方向から相対回転不能な状態で嵌合する回り止め部が設けられ、
前記グリップ本体の内面における複数の前記突条の先端部位が、前記グリップ本体内に挿入された前記柄の後端部の外面を支持する支持部に構成され、
前記柄の後端部の外面と前記グリップ本体の内面との対向面間で、且つ、前記グリップ本体の前記突条の周方向での隣接間に相当する部位には、前記流入口から前記グリップ内に流入した洗浄液を前記排出口側に流動案内する洗浄液用排出流路が形成されている洗浄具。
前記回り止め部の前記両突条は、前記グリップ本体と前記把持筒体との嵌合部位の全周に亘って波形状に湾曲形成された波形周壁部のうち、径方向内方側に突出する谷部から構成されている請求項1記載の洗浄具。
前記グリップ本体の前端部には、前記洗浄部側ほど柄の外面から離間する先広がりの流入ガイド部が形成され、この流入ガイド部の外周面の基端部には、前記グリップ本体に外装された前記把持筒体の前端がグリップ軸線方向から当接する第1位置決め部が形成されている請求項1又は2記載の洗浄具。
前記グリップ本体の後端部には、吊下げ掛止孔を形成してあるキャップが装着され、このキャップには、前記グリップ本体の内部空間と前記吊下げ掛止孔とを連通する外部排出流路が形成され、前記外部排出流路の前記吊下げ掛止孔側の開口が前記排出口に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる洗浄具においては、柄の後端部の外面とグリップの内面との対向面間に洗浄液用排出流路(排出隙間)を形成するにあたり、柄とグリップとの嵌合構造の簡素化と機械強度の向上及び組付け作業の容易化を図ることが要望されている。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、グリップの合理的な改造により、上述の要望を達成しつつ、柄の後端部の外面とグリップの内面との対向面間に洗浄液用排出流路を確実に形成することのできる洗浄具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、洗浄部を備えた柄の後端部にグリップが外嵌固定され、前記柄の後端部の外面とグリップの前端部の内面との間には、柄に沿って流動する洗浄液を前記グリップ内に流入させる流入口が形成されているとともに、前記グリップの後端部には、前記グリップ内の洗浄液を外部に排出する排出口が形成されている洗浄具であって、
前記グリップは、前記柄の後端部に外嵌固定されるグリップ本体と、当該グリップ本体に外嵌される把持筒体とを備え、前記グリップ本体と前記把持筒体との嵌合部位の夫々には、周方向の複数部位においてグリップ軸線方向に沿って少なくとも径方向内方側に突出する突条を有し、且つ、前記グリップ本体の前記突条と前記把持筒体の前記突条とがグリップ軸線方向から相対回転不能な状態で嵌合する回り止め部が設けられ、
前記グリップ本体の内面における複数の前記突条の先端部位が、前記グリップ本体内に挿入された前記柄の後端部の外面を支持する支持部に構成され、
前記柄の後端部の外面と前記グリップ本体の内面との対向面間で、且つ、前記グリップ本体の前記突条の周方向での隣接間に相当する部位には、前記流入口から前記グリップ内に流入した洗浄液を前記排出口側に流動案内する洗浄液用排出流路が形成されている点にある。
【0008】
上記構成によれば、グリップ自体が、柄の後端部に外嵌固定されるグリップ本体と、当該グリップ本体に外嵌される把持筒体との二重構造に構成されているので、グリップ本体は柄の後端部との嵌合連結機能を主体にして構成し、且つ、把持筒体は把持機能を主体にして構成することが可能で、グリップとして嵌合強度と把持性とが調和した形態を容易に得ることができる。
また、グリップ本体と把持筒体との嵌合部位に設けられる回り止め部の構成要素として、周方向の複数部位においてグリップ軸線方向に沿って少なくとも径方向内方側に突出する突条が形成されているため、柄とグリップとの嵌合構造の機械的強度を向上することができる。
しかも、柄の後端部に外嵌固定されるグリップ本体に対して把持筒体をグリップ軸線方向から嵌合操作するだけで、互いの突条同士が嵌合して相対回転が阻止されるから、組付けの容易化を図りながら把持筒体の不要な回動を確実に阻止することができる。
さらに、グリップ本体の内面側に突出する複数の突条の先端部を、グリップ本体内に挿入された柄の後端部の外面を支持する支持部に構成することにより、柄の後端部の外面とグリップの内面との対向面間で、且つ、グリップ本体の突条の周方向での隣接間に相当する部位には、流入口からグリップ内に流入した洗浄液を排出口側に流動案内する洗浄液用排出流路を形成することができる。
それ故に、柄の後端部の外面又はグリップの内面に洗浄液用排出流路を形成するための専用の隙間形成部材を別途設ける必要がなく、柄とグリップとの嵌合構造の簡素化を図ることができる。
【0009】
したがって、グリップの上述の合理的な改造により、柄とグリップとの嵌合構造の簡素化と機械強度の向上及び組付け作業の容易化を図りながら、柄の後端部の外面とグリップの内面との対向面間に洗浄液用排出流路を確実に形成することができる。
【0010】
本発明による第2の特徴構成は、前記回り止め部の前記両突条は、前記グリップ本体と前記把持筒体との嵌合部位の全周に亘って波形状に湾曲形成された波形周壁部のうち、径方向内方側に突出する谷部から構成されている点にある。
【0011】
上記構成によれば、グリップ本体と把持筒体との嵌合部位を構成する波形周壁部のうち、径方向内方側に突出する谷部をもって回り止め部の両突条を構成するので、グリップ本体及び把持筒体を共に頑丈に構成することができるばかりでなく、把持筒体の外周面側に現れる波形の凹凸条が滑り止め部として機能するので、グリップの把持性を向上することができる。
【0012】
本発明による第3の特徴構成は、前記グリップ本体の前端部には、前記洗浄部側ほど柄の外面から離間する先広がりの流入ガイド部が形成され、この流入ガイド部の外周面の基端部には、前記グリップ本体に外装された前記把持筒体の前端がグリップ軸線方向から当接する第1位置決め部が形成されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、グリップ本体の前端部に形成した先広がりの流入ガイド部により、洗浄部から柄に沿って流下してくる洗浄液を効率良くグリップ内に流入案内することができるとともに、流入ガイド部の基端側の立ち上がり部分を利用して、グリップ本体に外装された把持筒体の前端に対する第1位置決め部を簡単に構成することができる。
【0014】
本発明による第4の特徴構成は、前記グリップ本体の後端部には、吊下げ掛止孔を形成してあるキャップが装着され、このキャップには、前記グリップ本体の内部空間と前記吊下げ掛止孔とを連通する外部排出流路が形成され、前記外部排出流路の前記吊下げ掛止孔側の開口が前記排出口に構成されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、グリップ本体の後端部に装着されたキャップの吊下げ掛止孔で壁等の吊下げフックに吊下げ掛止することができるばかりでなく、グリップ本体の内部空間内に流入した洗浄液がキャップの外部排出流路を経由してキャップの吊下げ掛止孔内に排出される際、キャップのうち、外部排出流路の排出口に吊下げ掛止孔を介して対面する掛止構成部に洗浄液が接触して、掛止構成部に沿って洗浄液を流下案内することができる。
【0016】
本発明による第5の特徴構成は、前記キャップには、前記グリップ本体に外嵌された前記把持筒体の後端とグリップ軸線方向から当接する第2位置決め部が形成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、グリップ本体の後端部に装着されるキャップを利用して、グリップ本体に外嵌された把持筒体の後端に対する第2位置決め部を簡単に構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、洗浄具の一例である両面洗浄式のバスクリーナを示す。このバスクリーナは、
図1〜
図3に示すように、板状の洗浄用基体1の表裏の洗浄取付け部1Aの各々に、当該洗浄取付け部1Aの面積よりも大きな洗浄体2を脱着自在に装着してなる洗浄部Cと、この洗浄部Cの洗浄用基体1に対して操作部Hの柄H1を起伏揺動自在に取付けるための柄取付け部Mと、この柄取付け部Mの柄接続筒体20に対して脱着自在に取付けられる伸縮調節自在な柄H1を備えた操作部Hとの三つの主要部から構成されている。
【0020】
洗浄部Cは、
図1〜
図4に示すように、合成樹脂製の薄板状の洗浄用基体1の表裏面全体が洗浄取付け部1Aに構成され、この表裏の洗浄取付け部1Aには、洗浄用基体1における両洗浄取付け部1Aの外縁間に連続する周側面1Bの少なくとも一部を被覆する状態で雄型の第1面ファスナ3が接着剤や熱融着等により貼着されている。
第1面ファスナ3は、洗浄用基体1の両洗浄取付け部1Aに対応する中央側面ファスナ部3Aと、洗浄用基体1の周側面1Bの少なくとも一部を覆い、且つ、両洗浄取付け部1Aの外縁よりも外方側に張り出す外縁側面ファスナ部3Bとからなる。
第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bは、
図3に示すように、洗浄用基体1の周側面1Bにおける左右方向に沿って略一直線状の前端面1Ba側を被覆する外縁前面側面ファスナ部3Baと、周側面1Bにおけるやや後方窄まりの左右の側端面1Bb側を被覆する外縁横面側面ファスナ部3Bbと、前記周側面1Bにおける略半円弧状の後端面1Bc側を被覆する外縁後面側面ファスナ部3Bcとから構成されている。
【0021】
さらに、
図3に示すように、洗浄用基体1の一方の洗浄取付け部1Aに貼着される一方の第1面ファスナ3の中央側面ファスナ部3Aと、洗浄用基体1の他方の洗浄取付け部1Aに貼着される他方の第1面ファスナ3の中央側面ファスナ部3Aとが、両外縁側面ファスナ部3Bのうち、洗浄用基体1の周側面1Bの前端面1Ba側を被覆する両外縁前面側面ファスナ部3Baで一体的に連続形成されている。
そのため、洗浄用基体1の両洗浄取付け部1Aに第1面ファスナ3を貼着する場合、一方の中央側面ファスナ部3Aと他方の中央側面ファスナ部3Aとを一体形成する両外縁前面側面ファスナ部3Baの境界線部位を、洗浄用基体1の周側面1Bの前端面1Ba側に位置合わせし、この状態で両中央側面ファスナ部3Aを洗浄用基体1の両洗浄取付け部1A側に折り返すことにより、各中央側面ファスナ部3Aをそれに対応する洗浄用基体1の洗浄取付け部1Aに簡単、確実に貼着することができる。
【0022】
第1面ファスナ3は、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂を用いて、可撓性の基材の一側面に、先端部が鉤状,矢尻状又はマッシュルーム状に形成されている多数の係合素子群を略直立姿勢で一体成形して構成されている。
【0023】
両洗浄体2の被取付け面2a(
図4参照)の各々には、洗浄用基体1の表裏の第1面ファスナ3における中央側面ファスナ部3A及び外縁側面ファスナ部3Bに対して脱着自在に係合する雌型の第2面ファスナ4が接着剤や熱融着等により貼着されているとともに、表裏の両第2面ファスナ4の各々は、洗浄体2の被取付け面2aの輪郭形状と同一形状に構成されている。
各第2面ファスナ4は、第1面ファスナ3の中央側面ファスナ部3Aの全域に脱着自在に係合する中央側ファスナ部4Aと、第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bの全域に脱着自在に係合する外縁側面ファスナ部4Bとから構成されている。
また、両第2面ファスナ4の各々は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどの熱可塑性合成樹脂の合成繊維フィラメント糸(マルチフィラメント糸やモノフィラメント糸)からなる立毛繊維群を地組織部の一側面に起立状態で形成し、且つ、合成繊維フィラメント糸に第1面ファスナ3の係合素子群と係合するループ状やアーチ状等の係合部を形成してある不織布から構成されている。
【0024】
そして、
図3、
図4に示すように、洗浄用基体1の表裏の第1面ファスナ3における中央側面ファスナ部3Aに対して両第2面ファスナ4の中央側ファスナ部4Aが係合し、且つ、両第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bに対して両第2面ファスナ4の外縁側面ファスナ部4Bが係合することにより、第1面ファスナ3と第2面ファスナ4との係合面積の拡大によって両洗浄体2の装着維持力を増大することができる。
また、洗浄作業時において、洗浄用基体1の表裏に位置する一方の洗浄体2が洗浄対象面に存在する他物に衝突したときでも、両面ファスナ3,4の係合境界層に沿って洗浄用基体1が分断方向(剪断方向)に移動することがなく、両洗浄体2の装着維持力を増大することができる。
【0025】
さらに、両洗浄体2の各第2面ファスナ4の外縁側面ファスナ部4Bの全体が、洗浄用基体1の表裏の第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3B側に引き寄せられた状態で係合するため、両洗浄体2間を通して洗浄用基体1の周側面1Bが外部に露出することを抑制することができる。しかも、洗浄用基体1の表裏に位置する一方の洗浄体2が洗浄対象面に存在する他物に衝突したとき、一方の洗浄体2における衝突部位の変形に伴って係合状態にある第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bと第2面ファスナ4の外縁側面ファスナ部4Bとが追従して一体的に撓み変形するため、第2面ファスナ4が第1面ファスナ3から剥離することを抑制することができる。
【0026】
また、
図2、
図4に示すように、洗浄用基体1の第1面ファスナ3における外縁側面ファスナ部3Bの輪郭形状全周の外縁が、両洗浄体2の第2面ファスナ4における外縁側面ファスナ部4Bの輪郭形状の全周の外縁よりも内方に配置され、第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bにおける輪郭形状の外縁よりも外方に位置する両洗浄体2の第2面ファスナ4における輪郭形状の外縁部分4aが把持用の指掛け部5に構成されている。
そして、表裏の一方の洗浄体2を交換する必要が生じたとき、把持用の指掛け部5に指を掛けることで洗浄体2を簡単、容易に摘み操作することができる。それ故に、両洗浄体2の中間層を把持して無理やりに剥離操作する必要性がなく、例え、両洗浄体2の中間層がスポンジ等の柔軟な材質で構成されている場合でも、両洗浄体2の中間層の破損を抑制した状態でスムーズに剥離することができる。
【0027】
図2、
図4に示すように、洗浄用基体1における両洗浄取付け部1Aの周縁部1aは、周縁側ほど薄肉となる先窄まりのテーパー形状に形成され、そのテーパー形状の周縁部1aの外縁間に連続する周側面1Bは、横断面形状が円弧状の曲面に形成されている。
そのため、両洗浄体2の第2面ファスナ4の外縁側面ファスナ部4Bが、第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bに係合すると、洗浄用基体1の表裏に貼着されている両第1面ファスナ3の外縁側面ファスナ部3Bに対して、両第2面ファスナ4の外縁側面ファスナ部4Bが、洗浄用基体1の周縁部1aのテーパー形状に沿って引き寄せられた傾斜状態で係合する。これにより、両洗浄体2間を通して洗浄用基体1の周側面1Bが外部に露出することをより抑制することができ、且つ、両第2面ファスナ4が第1面ファスナ3から剥離することをより良好に抑制することができる。
【0028】
図8〜
図10に示すように、洗浄用基体1の左右方向中央部における後方側部位には、柄取付け部Mの柄接続筒体20を左右方向の横軸芯X周りで揺動自在に枢支する左右一対の柄取付け部21と、当該柄取付け部21に枢支された柄接続筒体20が洗浄用基体1の表裏側に通過揺動自在で、且つ、洗浄用基体1の略半円弧状の後端面1Bcの左右中央位置において開口する切欠き部6とが形成されているとともに、洗浄用基体1の両洗浄取付け部1Aにおける切欠き部6の開口縁部には、第1面ファスナ3に対する位置決め用の突起部7が形成されている。
この突起部7は、洗浄用基体1の切欠き部6の開口縁部のうち、両柄取付け部21よりも後方側の直線状開口縁部に沿って形成される左右一対の第1位置決めリブ7aと、両柄取付け部21よりも前方側のコの字状開口縁部に沿って形成される第2位置決めリブ7bとから構成されている。
【0029】
また、
図1〜
図4に示すように、両第1面ファスナ3と両第2面ファスナ4及び両洗浄体2にも、柄取付け部21に枢支された柄接続筒体20の表裏側への通過揺動を許容する切欠き部8,9,10が形成され、両第1面ファスナ3の切欠き部8の開口縁部には、洗浄用基体1の両柄取付け部21の外面側が入り込む凹部11が形成されている。
【0030】
そして、洗浄用基体1の表裏の洗浄取付け部1Aに装着された洗浄体2を選択使用する場合、洗浄用基体1の柄取付け部21に枢支された操作部Hの柄H1を、洗浄用基体1の切欠き部6と両洗浄体2の切欠き部10及び両第2面ファスナ4の切欠き部9を通過する状態で表裏に反転揺動操作するだけで済む。
しかも、洗浄用基体1の両洗浄取付け部1Aにおける切欠き部6の開口縁部には、第1面ファスナ3に対する位置決め用の突起部7が形成されているので、第1面ファスナ3の取付けを確実、容易に行うことができるとともに、第1面ファスナ3の一部が切欠き部6内に入り込むことに起因する柄接続筒体20の揺動操作抵抗の増加、及び、それに伴う操作部Hの操作性の低下を抑制することができる。
【0031】
両洗浄体2の各々は洗浄用スポンジから構成されている。洗浄用スポンジとしても、従来から種々の形態のものが開発され、その何れの形態の洗浄用スポンジも好適に用いることができる。
当該実施形態で用いられる洗浄用スポンジは、
図1〜
図4に示すように、ウレタンフォーム製のスポンジ(連続気泡を備えた弾性発泡体の一例)からなる立方体状の洗浄本体(タワシ本体)2Aの一側面の全域に、合成繊維フィラメント糸からなる洗浄用の立毛繊維群が地組織部の表裏面の一側面に起立状態で備えられている洗浄用布帛2Bが接着剤や熱融着等により貼着されている。
また、洗浄本体2Aの他側面の被取付け面2aには、雌型の第2面ファスナ4が接着剤や熱融着等により貼着されている。
当該実施形態においては、表裏の両洗浄体2として洗浄性能(洗浄機能)の異なるものが使用されている。具体的には、一方の洗浄体2においては、立毛繊維群を構成する合成繊維フィラメント糸が細繊度のポリエステルフィラメント糸から構成されている。他方の洗浄体2においては、立毛繊維群を構成する合成繊維フィラメント糸が太繊度のナイロンフィラメント糸と細繊度のポリエステルフィラメント糸との混合から構成されている。
そして、ヤング率の高いポリエステルフィラメント糸を細繊度とすることにより、洗浄・清掃対象面に存在する無数の微小な凹部内の微細な汚れを除去するに適した腰・反発性を得ることができる。また、ヤング率の低いナイロンフィラメント糸を太繊度とすることにより、表面にこびりついた汚れの掻き落としに適した腰・反発性を得ることができる。
【0032】
次に、柄取付け部Mについて説明する。
図1〜
図4に示すように、柄接続筒体20の前端部は、洗浄用基体1の両柄取付け部21間に入り込み配置可能な二股脚部20Aに形成され、この柄接続筒体20の二股脚部20Aの外面には、両柄取付け部21の相対向面に一体的に突出形成された円形の揺動支点軸部22に対して左右方向の内方側から横軸芯X周りで回動自在に嵌合する円筒状の枢支軸孔部23が窪み形成されている。
両揺動支点軸部22の先端面における左右方向での対向間隔は、柄接続筒体20の二股脚部20Aに形成される両枢支軸孔部23の左右方向での外面間隔よりも小に構成され、自然状態では、両揺動支点軸部22が両枢支軸孔部23に横軸芯X周りで回動自在に嵌合維持されている。
また、柄接続筒体20の二股脚部20Aをスリット24の幅内で小幅側に弾性復元力に抗して挟み操作することにより、二股脚部20Aの両枢支軸孔部23を両柄取付け部21から離脱させることができる。
柄接続筒体20の二股脚部20Aのスリット24には、二股脚部20Aの小幅側への撓み変形を阻止する略U字状の離脱阻止部材25が脱着自在に嵌着されている。
【0033】
次に、操作部Hについて説明する。
操作部Hは、
図2、
図5〜
図9に示すように、柄軸線方向から摺動状態で伸縮自在に嵌合接続可能な2本のアルミニウム製のパイプ柄30,31を備えた柄H1と、大径側のパイプ柄31の後端部に外嵌状態で固着される合成樹脂製のグリップH2と、両パイプ柄30,31間に内装され、且つ、柄軸線方向の任意の伸縮操作位置で両パイプ柄30,31を締め付け固定する伸縮固定機構H3とから構成されている。
【0034】
尚、小径側のパイプ柄30の前端部は、
図2、
図4に示すように、柄取付け部Mの柄接続筒体20に水密状態で内嵌し、且つ、接着剤等で固着されている。そのため、浴室の天井や壁など、グリップH2の把持位置よりも高所の被洗浄面を洗浄する場合でも、小径側のパイプ柄30の外周面と柄接続筒体20の内周面との間を経由して柄H1内に洗浄液等が浸入することはない。
また、大径側のパイプ柄31の前端部には、伸縮固定機構H3の第2ストッパー部材61との当接により、大径側のパイプ柄31に対する小径側のパイプ柄30の抜け出し移動を阻止する伸縮ガイド部材32が固着されている。
【0035】
次に、操作部HのグリップH2について説明する。
図2、
図5〜
図8に示すように、グリップH2の前端部の内面と大径側のパイプ柄31の後端部の外面との間には、柄H1に沿って流動する洗浄液をグリップH2内に流入させる流入口40が形成されているとともに、グリップH2の後端部には、グリップH2内の洗浄液を外部に排出する排出口41が形成されている。
グリップH2は、大径側のパイプ柄31の後端部に接着、圧入等の適宜固定手段で外嵌固定される合成樹脂製のグリップ本体42と、当該グリップ本体42に外装固定される合成樹脂製の把持筒体43、及び、グリップ本体42の後端部に嵌合装着され、且つ、吊下げ掛止孔44を形成してある合成樹脂製のキャップ45とから構成されている。
【0036】
グリップ本体42と把持筒体43との嵌合部位には、
図7に示すように、周方向の複数部位においてグリップ軸線方向に沿って少なくとも径方向内方側に突出する突条46A,46Bを有し、且つ、グリップ本体42の突条46Aと把持筒体43の突条46Bとがグリップ軸線方向から相対回転不能な状態で嵌合する回り止め部46が設けられている。
この回り止め部46の両突条46A,46Bは、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合部位の全周に亘って略三角形状の谷部42a,43aと山部42b,43bとが交互に位置する波形状に湾曲形成された波形周壁部42A,43Aの内周面のうち、周方向に所定ピッチで径方向内方側に突出する谷部42a,43aから構成されている。
【0037】
そして、
図7に示すように、グリップ本体42の内面における複数の突条(谷部42a)46Aの先端部位が、グリップ本体42内に挿入された大径側のパイプ柄31の後端部の外面を同心状態で支持する支持部に構成され、大径側のパイプ柄31の後端部の外面とグリップ本体42の内面との対向面間で、且つ、突条46Aの周方向隣接間に、換言すれば、グリップ本体42の波形周壁部42Aの内周面のうち、突条46Aの周方向隣接間において径方向外方側に突出する山部42bの形成箇所に、流入口40からグリップ本体42内に流入した洗浄液を排出口41側に流動案内する横断面形状が略三角形状の洗浄液用排出流路47が形成されている。
把持筒体43の波形周壁部43Aの外周面においては、
図7に示すように、周方向に所定ピッチで径方向内方側に突出する谷部43aと、周方向に所定ピッチで径方向外方側に突出する山部43bとが周方向で交互に配置されているため、この複数の谷部43aと山部43bとによる凹凸条をもってグリップH2の滑り止め部が構成されている。
【0038】
上述のように、グリップH2自体を、大径側のパイプ柄31の後端部に外嵌固定されるグリップ本体42と、当該グリップ本体42に外嵌される把持筒体43との二重構造に構成し、且つ、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合部位に設けられる回り止め部46の構成要素として、周方向の複数部位においてグリップ軸線方向に沿って少なくとも径方向内方側に突出する突条46A,46Bを形成することにより、大径側のパイプ柄31とグリップ本体42との嵌合構造の機械強度を向上することができる。
しかも、大径側のパイプ柄31の後端部に外嵌固定されるグリップ本体42に対して把持筒体43をグリップ軸線方向から嵌合操作するだけで、互いの突条46A,46B同士が嵌合して相対回転が阻止されるから、組付けの容易化を図りながら把持筒体43の不要な回動を確実に阻止することができる。
さらに、グリップ本体42の内面側に突出する複数の突条46Aの先端部を、グリップ本体42内に挿入された大径側のパイプ柄31の後端部の外面を支持する支持部に構成することにより、大径側のパイプ柄31の後端部の外面とグリップ本体42の内面との対向面間で、且つ、突条46Aの周方向隣接間に、流入口40からグリップ本体42内に流入した洗浄液を排出口41側に流動案内する洗浄液用排出流路47を形成することができる。それ故に、大径側のパイプ柄31の後端部の外面又はグリップ本体42の内面に洗浄液用排出流路47を形成するための専用の隙間形成部材を別途設ける必要がなく、大径側のパイプ柄31とグリップ本体42との嵌合構造の簡素化を図ることができる。
【0039】
グリップ本体42の前端部には、洗浄部C側ほど大径側のパイプ柄31の外面から離間する先広がりの流入ガイド部48が一体形成され、この流入ガイド部48の外周面の基端部には、グリップ本体42に外嵌された把持筒体43の前端43cとグリップ軸線方向から当接する第1位置決め部49が形成されている。
上述のように、グリップ本体42の前端部に形成した先広がりの流入ガイド部48により、洗浄部Cから柄H1に沿って流下してくる洗浄液を効率良くグリップ本体42内に流入案内することができるとともに、流入ガイド部48の基端側の立ち上がり部分を利用して、グリップ本体42に外嵌された把持筒体43の前端に対する第1位置決め部49を簡単に形成することができる。
【0040】
図6、
図8に示すように、グリップ本体42の内周面で、且つ、小径側のパイプ柄30との嵌合接続領域を除く残余領域の周方向複数個所には、嵌合される小径側のパイプ柄30の後端面にグリップ軸線方向から当接する位置決め用リブ51が一体形成されている。
また、グリップ本体42の内周面の後端部には、当該グリップ本体42の後端開口42cから挿入されたキャップ45の係合爪45Aが係合する係合筒部52が一体形成されている。この係合筒部52の周方向複数個所には、係合筒部52の弾性復元力に抗しての拡径側への撓み変形を許容するスリット53が形成されているとともに、キャップ45の係合爪45Aの周方向複数個所には、係合爪45Aの弾性復元力に抗しての縮径側への撓み変形を許容するスリット54が形成されている。
【0041】
キャップ45には、グリップ本体42の内部空間Sとキャップ45の吊下げ掛止孔44とを連通する外部排出流路55が形成され、外部排出流路55の吊下げ掛止孔44側の開口が前述の排出口41に構成されている。
キャップ45には、グリップ本体42に外嵌された把持筒体43の後端43dとグリップ軸線方向から当接する第2位置決め部56が形成されている。
【0042】
そして、グリップ本体42の後端部に装着されたキャップ45の吊下げ掛止孔44で壁等の吊下げフックに掛止することができるばかりでなく、グリップ本体42の内部空間S内に流入した洗浄液がキャップ45の外部排出流路55を経由してキャップ45の吊下げ掛止孔44内に排出される際、キャップ45のうち、外部排出流路55の排出口41に吊下げ掛止孔44を介して対面する掛止構成部45Bに洗浄液が接触して、当該掛止構成部45Bに沿って洗浄液を流下案内することができる。
また、グリップ本体42を利用して、グリップ本体42に外装された把持筒体43の後端43dに対する第2位置決め部56を簡単に形成することができる。
【0043】
次に、伸縮固定機構H3について説明する。
この伸縮固定機構H3は、
図2、
図5、
図6、
図8〜
図10に示すように、小径側のパイプ柄30の前端部に一体移動状態で固着される合成樹脂製の第1ストッパー部材60と、大径側のパイプ柄31の内周面に摺接する状態で第1ストッパー部材60に係合保持され、且つ、第1ストッパー部材60との相対回動操作に伴って大径側のパイプ柄31を伸縮固定するための摩擦力を付与する合成樹脂製の第2ストッパー部材61とから構成されている。
【0044】
第1ストッパー部材60は、小径側のパイプ柄30の後端部に内嵌状態で固着される円柱状の取付け頭部60Aと、大径側のパイプ柄31の内周面に沿って摺動する円柱状の摺動ガイド部60Cと、取付け頭部60Aと摺動ガイド部60Cとを偏心位置において繋ぐ偏心軸部60Bとから構成されている。
【0045】
第2ストッパー部材61は、第1ストッパー部材60の偏心軸部60Bに外嵌する偏心軸穴61Aと、当該偏心軸穴61Aの中心を通る直径方向の両側部位のうち、一方の部位において第2ストッパー部材61を円周方向で分断するスリット61Bと、他方の部位において偏心軸穴61Aの内周面から第2ストッパー部材61の外周面近くまで及ぶ切込み部61Cとが形成されている。
第2ストッパー部材61は、切込み部61Cの形成箇所の薄肉部61Dを支点として拡径側に弾性変形可能に構成されている。そのため、小径側のパイプ柄30に固着された第1ストッパー部材60と大径側のパイプ柄31の内周面に摩擦保持された第2ストッパー部材61との相対回転操作に伴う偏心軸部60Bと偏心軸穴61Aとの偏心回転により、偏心軸部60Bの径方向外方への押圧作用に伴って第2ストッパー部材61が次第に拡径変形する。これに伴って大径側のパイプ柄31の内周面と第2ストッパー部材61の外周面との間での摩擦力が増大し、最終的には大径側のパイプ柄31に対して伸縮固定可能な摩擦力を付与することができる。
また、第2ストッパー部材61の自然状態での外径は、大径側のパイプ柄31の内径よりも少し大に構成されている。
そのため、第2ストッパー部材61は、それの弾性復元力に抗して縮径変形させた状態で大径側のパイプ柄31内に挿入されるため、第2ストッパー部材61の外周面と大径側のパイプ柄31の内周面との間に摩擦力が常に発生している。
【0046】
第1ストッパー部材60の偏心軸部60Bには、直径方向外方に突出する規制突起60Dが一体形成され、第2ストッパー部材61には、第1ストッパー部材60の規制突起60Dの回動範囲を略180度弱の範囲に当接規制する回動範囲規制凹部61Eが形成されている。
図10の(a)に示すように、回動範囲規制凹部61Eの回動方向一端側の規制面61aに第1ストッパー部材60の規制突起60Dが当接した状態では、第2ストッパー部材61が最も縮径した固定解除操作状態となり、
図10の(b)に示すように、回動範囲規制凹部61Eの回動方向他端側の規制面61bに第1ストッパー部材60の規制突起60Dが当接した状態では、第2ストッパー部材61が最も拡径した固定操作状態となる。
【0047】
そして、柄H1の両パイプ柄30,31を使用条件等に応じて伸縮調節する場合、その調節前においては、
図10の(b)に示すように、回動範囲規制凹部61Eの回動方向他端側の規制面61bに第1ストッパー部材60の規制突起60Dが当接した固定操作状態にある。
伸縮調節時には,グリップH2の把持筒体43を一方の手で把持し、他方の手で小径側のパイプ柄30を把持して固定解除側に回動操作する。この回動操作により、
図10の(a)に示すように、回動範囲規制凹部61Eの回動方向一端側の規制面61aに第1ストッパー部材60の規制突起60Dが当接した固定解除操作状態となる。この状態で、グリップH2側に固定されている大径側のパイプ柄31に対して小径側のパイプ柄30を伸縮操作して柄H1の長さを調節する。
その後、グリップH2の把持筒体43を一方の手で把持し、他方の手で小径側のパイプ柄30を把持して固定側に回動操作する。この回動操作により、
図10の(a)に示す固定解除操作状態から
図10の(b)に示す固定操作状態に切り替える。このとき、第2ストッパー部材61の外周面と大径側のパイプ柄31の内周面との間で滑りが発生する可能性があるが、第2ストッパー部材61の外周面が大径側のパイプ柄31の内周面に弾性復元力で圧接されているため、小径側のパイプ柄30の回転操作に伴って滑りが次第に小さくなる。
【0048】
尚、第1ストッパー部材60には、グリップ軸線方向で貫通する貫通孔60Eが形成されている。そのため、小径側のパイプ柄30内の前部側空間に浸入した洗浄液等を第1ストッパー部材60の貫通孔60Eを経由してグリップH2側に排出することができる。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、スポンジ製の洗浄本体2Aに洗浄用布帛2Bを貼着してある洗浄体2を、洗浄用基体1の表裏両面の洗浄取付け部1Aに貼着したが、洗浄用基体1の下面にのみ洗浄体2を貼着してもよい。
また、洗浄部Cとしては、合成樹脂製の洗浄用基体1の下面に、ブラシ毛束に対する植毛用凹部を備えた複数の毛束保持部が一体的に突出形成されているブラシ洗浄部であってもよい。
【0050】
(2)上述の第1実施形態では、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合部位の全周に亘って波形状の波形周壁部42A,43Aを形成して、この波形周壁部42A,43Aの内周面のうち、周方向に所定ピッチで径方向内方側に突出する谷部42a,43aをもって、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合箇所での周方向の複数部位において、グリップ軸線方向に沿って径方向内方側に突出する突条46A,46Bを構成したが、この突条46A,46Bとしては、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合箇所での周方向の複数部位において径方向内方側にのみ突出するように構成してもよい。
【0051】
(3)上述の第1実施形態では、グリップ本体42と把持筒体43との嵌合部位を、全周に亘って三角波形状の波形周壁部42A,43Aに構成したが、この波形周壁部42A,43Aを、全周に亘って四角波形状又は半円弧波形状等に構成してもよい。
【0052】
(4)上述の第1実施形態では、グリップH2を、大径側のパイプ柄31の後端部に外嵌固定されるグリップ本体42と、当該グリップ本体42に外装固定される把持筒体43、及び、グリップ本体42の後端部に嵌合装着され、且つ、吊下げ掛止孔44を形成してあるキャップ45とから構成したが、キャップ45としては、吊下げ掛止孔44を備えずに排出口41のみが形成されているものであってもよい。
【0053】
(5)上述の第1実施形態では、グリップH2の後端部に、グリップ軸線方向に沿って後方に開口する排出口41を形成したが、この排出口41を、グリップH2の後端部において直径方向に開口させてもよい。