特許第6548552号(P6548552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548552
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】動物忌避装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/12 20110101AFI20190711BHJP
【FI】
   A01M29/12
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-207623(P2015-207623)
(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公開番号】特開2017-77220(P2017-77220A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 真也
(72)【発明者】
【氏名】杉丸 勝郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕城
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−214760(JP,A)
【文献】 特開2001−211808(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0299071(US,A1)
【文献】 特開2016−123374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射物を収容した容器と、
上記容器から噴射物を噴射させる噴射状態と、噴射物を噴射させない非噴射状態とに切り替えるための切替装置と、
動物が所定距離内に存在するか否かを検知するセンサーと、
上記センサーにより動物が所定距離内に存在することが検知された場合には上記切替装置を噴射状態にする一方、動物が所定距離内に存在しない場合には上記切替装置を非噴射状態にする制御装置とを備えた動物忌避装置において、
人間によってなされる噴射禁止動作を、人間が手を叩く動作を行ったこと、口笛を吹いたこと及び声を発したことの少なくとも1つによって発生する音に基づいて検知する動作検知手段と、
上記動作検知手段を収容する本体ケースと、
上記本体ケースの外面を覆うように配設され、該本体ケースに向けて落下する雨音を抑制する雨音抑制部材とを備え、
上記制御装置は、上記動作検知手段によって噴射禁止動作を検知したときには、動物が所定距離内に存在しても上記切替装置を非噴射状態にして噴射を禁止する噴射禁止制御を行うように構成されていることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動物忌避装置において、
上記本体ケースの上面は、該上面の周縁に近づくほど下に位置するように形成され、
上記雨音抑制部材は、上記本体ケースの上面に沿うように形成されていることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動物忌避装置において、
上記雨音抑制部材は、少なくとも上記本体ケースの上面の周縁まで延びていることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の動物忌避装置において、
上記雨音抑制部材は、樹脂材を発泡させた弾性材からなり、該雨音抑制部材の表面に気泡が開口していることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の動物忌避装置において、
上記雨音抑制部材は、上記本体ケースの外面に嵌まるように形成されていることを特徴とする動物忌避装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の動物忌避装置において、
上記雨音抑制部材は、ウレタンスポンジであることを特徴とする動物忌避装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば猫や犬等の動物に対して用いられる動物忌避装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の動物忌避装置としては、動物が所定距離まで接近したときにエアゾール容器に収容された薬剤を噴射するように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、本体ケースの内部にエアゾール容器を格納している。本体ケースの外面には、焦電型赤外線センサーが設けられている。本体ケースの内部には、エアゾール容器のノズルを操作するアクチュエータや電源、制御基板が設けられている。焦電型赤外線センサーによって動物が所定距離まで接近したことを検知すると、アクチュエータを作動させてエアゾール容器のノズルを操作して薬剤を噴射することによって動物に対する忌避効果を得るようにしている。
【0003】
特許文献2の動物忌避装置も特許文献1のものと同様に構成されており、本体ケース内に格納されたエアゾール容器から薬剤を噴射することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−214760号公報
【特許文献2】特開2001−211808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2の動物忌避装置の場合、例えば長期間使用してエアゾール容器が空になるとエアゾール容器の交換のために人間が動物忌避装置に接近することになる。このとき、特許文献1、2のものでは、動物が所定距離まで接近したか否かを赤外線センサーによって検知するようにしているので、人間が動物忌避装置に接近した瞬間にエアゾール容器内の薬剤が噴射されてしまう。また、例えば人間が動物忌避装置の前を横切ったり、周囲を通らなければならない場合にも、人間が動物忌避装置に接近すればエアゾール容器内の薬剤が噴射されてしまう。このような無用な噴射は、エアゾール容器内の薬剤を無駄に消費することになるとともに、人間を驚かせてしまうというという問題がある。
【0006】
そこで、人間が動物忌避装置に接近した時のように薬剤の噴射が不要な場合には、例えば人間が手を叩く等の噴射禁止動作を行い、この噴射禁止動作が行われたことを音として動物忌避装置が検知して以後の薬剤の噴射を所定の間だけ禁止し、その後、復帰する制御を行うことが考えられる。
【0007】
こうすることで不要な噴射を抑制することができると考えられるが、動物忌避装置は一般的に屋外で使用されるものなので、例えば雨が降った場合にはその雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知してしまう恐れがある。特に雨粒が大きな場合は、雨粒が動物忌避装置に落下したときの衝撃音が比較的大きな音になる。動物忌避装置が雨音を誤検知してしまうと、以後、所定の間は動物が動物忌避装置に接近しても薬剤が噴射されないので、動物に対する所期の忌避効果が得られなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば人間が動物忌避装置に故意に接近するような場合に容器内の噴射物を無駄に消費しないようにするとともに人間を驚かせてしまうのを防止しながら、動物に対する忌避効果が必要なときには得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、人間の噴射禁止動作によって発生する音に基づいて噴射禁止動作を検知することを前提とし、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知されないようにした。
【0010】
第1の発明は、
噴射物を収容した容器と、
上記容器から噴射物を噴射させる噴射状態と、噴射物を噴射させない非噴射状態とに切り替えるための切替装置と、
動物が所定距離内に存在するか否かを検知するセンサーと、
上記センサーにより動物が所定距離内に存在することが検知された場合には上記切替装置を噴射状態にする一方、動物が所定距離内に存在しない場合には上記切替装置を非噴射状態にする制御装置とを備えた動物忌避装置において、
人間によってなされる噴射禁止動作を、人間が手を叩く動作を行ったこと、口笛を吹いたこと及び声を発したことの少なくとも1つによって発生する音に基づいて検知する動作検知手段と、
上記動作検知手段を収容する本体ケースと、
上記本体ケースの外面を覆うように配設され、該本体ケースに向けて落下する雨音を抑制する雨音抑制部材とを備え、
上記制御装置は、上記動作検知手段によって噴射禁止動作を検知したときには、動物が所定距離内に存在しても上記切替装置を非噴射状態にして噴射を禁止する噴射禁止制御を行うように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、例えば容器の交換等のために人間が動物忌避装置に近づこうとする前に、人間が噴射禁止動作をして何らかの音が発生すると、その音に基づいて動作検知手段が人間の噴射禁止動作を検知する。これにより、制御装置は所定の間だけ噴射禁止制御を行うので、切替装置が非噴射状態にされて噴射物の噴射が禁止される。従って、容器内の噴射物が無駄に消費されなくなるとともに、人間を驚かせてしまうのが防止される。
【0012】
一方、例えば雨が降っている屋外に動物忌避装置を置いた場合には、雨が本体ケースに向けて落下する。このとき、本体ケースの外面が雨音抑制部材によって覆われているので、本体ケースに向けて落下した雨音が動作検知手段に検知されにくくなる。これにより、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知しにくくなるので、噴射禁止制御が行われなくなり、動物に対する忌避効果が必要なときに得られる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
上記本体ケースの上面は、該上面の周縁に近づくほど下に位置するように形成され、
上記雨音抑制部材は、上記本体ケースの上面に沿うように形成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、雨が雨音抑制部材の上面に降ったとき、該上面が周縁に近づくほど下に位置しているので、雨は雨音抑制部材の上面の周縁に向かって流れていき、雨音抑制部材の上面から排水される。これにより、雨音抑制部材の上面に水たまりができにくくなるので、雨音抑制部材による雨音の抑制効果が十分に得られる。
【0015】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記雨音抑制部材は、少なくとも上記本体ケースの上面の周縁まで延びていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、本体ケースの上面の略全体が広範囲に亘って雨音抑制部材によって覆われるので、誤検知がより一層効果的に低減される。
【0017】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記雨音抑制部材は、樹脂材を発泡させた弾性材からなり、該雨音抑制部材の表面に気泡が開口していることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、雨音抑制部材の表面に雨が落下した際、表面に開口している気泡内に雨水が浸入して雨音が効果的に低減される。
【0019】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
上記雨音抑制部材は、上記本体ケースの外面に嵌まるように形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、例えば雨音抑制部材を本体ケースに装着する際には、雨音抑制部材を本体ケースの外面に嵌めることで雨音抑制部材の本体ケースに対する位置決めが行われるので、装着時の作業性が良好になる。
【0021】
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、
上記雨音抑制部材は、ウレタンスポンジであることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、ウレタンスポンジで本体ケースの外面を覆うことで、他の部材(布やゲル状部材)に比べて雨音を大きく低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
第1の発明によれば、本体ケースの外面が雨音抑制部材によって覆われているので、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知しにくくなり、忌避効果が必要なときに得ることができる。
【0024】
第2の発明によれば、雨音抑制部材の上面が周縁に近づくほど下に位置するように形成されているので、雨が雨音抑制部材の上面に降ったときに雨音抑制部材の上面に水たまりができにくくなる。これにより、雨音抑制部材による雨音の抑制効果を十分に得ることができる。
【0025】
第3の発明によれば、本体ケースの上面の略全体を広範囲に亘って雨音抑制部材によって覆うことができるので、誤検知をより一層効果的に低減できる。
【0026】
第4の発明によれば、樹脂材を発泡させた弾性材によって雨音抑制部材を構成し、その表面に気泡を開口させたので、雨音を効果的に低減することができる。
【0027】
第5の発明によれば、雨音抑制部材が本体ケースの外面に嵌まるように形成されているので、雨音抑制部材の本体ケースに対する位置決めを容易に行うことができ、雨音抑制部材を本体ケースに装着する際の作業性を良好にすることができる。
【0028】
第6の発明によれば、雨音抑制部材をウレタンスポンジとしたことで、雨音を確実に低減することができ、誤検知をより一層効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】動物忌避装置の正面図である。
図2】動物忌避装置の左側面図である。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4】動物忌避装置のブロック図である。
図5】制御装置による制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る動物忌避装置1を示すものである。この動物忌避装置1は、屋外の地面に置いて使用されるものであり、例えば猫や犬等の動物が一定の範囲に近づかないようにするためのものである。
【0032】
図2及び図3にも示すように、動物忌避装置1は、エアゾール容器10と、容器カバー15と、脚部材20と、噴射部30とを備えている。エアゾール容器10は、例えばアルミニウム合金製の耐圧容器からなるものを用いることができる。アルミニウム合金製とすることで、屋外でエアゾール容器10を露出状態で使用する際に雨等による錆の発生はなく、耐候性が良好になる。尚、エアゾール容器10としては、アルミニウム合金製以外にも、ブリキ缶を使用してもよいが、その場合には防錆処理を施すのが好ましい。
【0033】
エアゾール容器10は、上下方向に延びる円筒形状とされており、例えば高さは10cm以上に設定されている。図3に示すように、エアゾール容器10の上部には、弁機構11が設けられている。弁機構11は、従来周知のものなので詳細な説明は省略するが、上下方向に進退動するステム11aとステム11aを進出方向(上方)に付勢するバネ(図示せず)とを有しており、ステム11aが進出位置にあるときには、弁機構11が閉状態となる一方、ステム11aがバネの付勢力に抗して後退位置にあるときには、弁機構11が開状態となる。
【0034】
また、エアゾール容器10は金属材をかしめて接合することによって形成されており、上部に形成されるかしめ部は、エアゾール容器10の径方向に突出して周方向に環状に延びる突条部12となっている。
【0035】
上記エアゾール容器10には、動物忌避剤として、例えば噴射剤が収容されている。その他、芳香剤、エタノール等のうち、少なくとも1種以上が収容されていてもよい。噴射剤は、例えばジメチルエーテルやLPガス等を使用することができ、噴射することで動物に聞こえる音が発生するとともに、動物が感じることのできる風や雰囲気圧力の変化を生じさせることができ、これによって動物が驚いたり、嫌がったりして忌避効果が得られる。芳香剤の場合は、動物が嫌いな香りを放つものが好ましい。また、エタノールを噴射することで、動物に付着した際に気化熱による冷却効果で動物に違和感を与えることができ、このことで忌避効果が得られる場合がある。
【0036】
容器カバー15は、エアゾール容器10の外周面を覆う筒状に形成されている。エアゾール容器10の下部は脚部材20の上部に収容され、また、図3に示すようにエアゾール容器10の上部は、後述する接続部材25に収容されている。容器カバー15は、エアゾール容器10の外周面において脚部材20に収容された部位及び接続部材25に収容された部位以外の部位を覆うことができる長さとされている。容器カバー15の色は、太陽光の吸収率が低い白色や薄い色が好ましい。これにより、晴天下でのエアゾール容器10の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0037】
また、図3に示すように、エアゾール容器10における噴出物の噴出側(上側)には、噴射部(本体部)30の一部を構成している本体ケース50に対して着脱可能に接続するための接続部材(着脱部材)25が固定されている。本体ケース50は、エアゾール容器10のステム11aを覆うキャップとなるものである。接続部材25は、エアゾール容器10から取り外す際にはドライバー等の工具が必要で簡単には取り外せないようになっている一方、噴射部30に対しては使用者が工具を使用することなく手で簡単に取り外すことができるようになっている。つまり、エアゾール容器10から接続部材25を取り外す際に要する取り外し力は、接続部材25を本体ケース50から取り外す際に要する取り外し力よりも大きく設定されている。取り外し力は、接続部材25や本体ケース50の形状等によって任意に設定できる。
【0038】
そして、エアゾール容器10に接続部材25を取り付けた状態で、この形状の接続部材25のみが噴射部30の本体ケース50に着脱できるようにしている。このため、例えば接続部材25が取り付けられていないエアゾール容器10や、別構造、別形状の接続部材が取り付けられているエアゾール容器10を噴射部30の本体ケース50に取り付けることはできないので、使用目的の異なるエアゾール容器や異なる忌避剤が収容されたエアゾール容器が誤って噴射部30の本体ケース50に取り付けられることはなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0039】
図1等に示す脚部材20は、例えば樹脂成形品とすることができる。脚部材20は、エアゾール容器10の下部を挿入することができる有底円筒状の挿入部22と、径方向外方へ突出する4つの脚23,23,…とを備えている。尚、脚23の数は4つに限られるものではなく、任意の数に設定できる。挿入部22の周壁部は中心線が上下に延びるように形成されており、下端部には図示しない底壁部が設けられている。また、4つの脚23,23,…は、挿入部22の周方向に略等間隔に配置されている。各脚23は、平面視でエアゾール容器10から外方へ突出するように形成されており、これにより、地面等に置いた状態で動物忌避装置1が転倒しにくくなっている。また、各脚23は、挿入部22の底壁部よりも下方へ延びており、地面等に置いた状態でエアゾール容器10を地面から上方へ離間させることができるようになっている。
【0040】
図3に示すように、噴射部30は、ソレノイドバルブ(切替装置)31と、ノズル32と、焦電型赤外線センサー33と、制御装置34と、電池35と、これらを収容する本体ケース50とを有している。本体ケース50は、エアゾール容器10を収容するものではないので、従来例の本体ケースに比べて小型のケースとなっている。
【0041】
本体ケース50は、例えば硬質樹脂材で構成された複数の部材を組み合わせて構成されている。
【0042】
ソレノイドバルブ31は、エアゾール容器10のステム11aに接続される通路部材40と、弁体41と、可動子42と、可動子42を動かすためのコイル43と、可動子42を付勢するバネ44と、可動子42、コイル43及びバネ44を収容するソレノイドケース45とを備えている。
【0043】
通路部材40は、本体ケース50の中央部近傍に固定されており、本体ケース50に対して動かないようになっている。通路部材40には、下面に開口して上方へ延びる上流側通路40aと、ノズル32に連通する下流側通路40bとが形成されている。上流側通路40a及び下流側通路40bは、動物忌避剤をエアゾール容器10から噴射させるための噴射通路である。
【0044】
通路部材40の上流側通路40aの上流端(下端部)には、エアゾール容器10を噴射部30に取り付けた状態でステム11aが挿入されるようになっている。この状態で、ステム11aは通路部材40の上流側通路40aの内面によって後退方向に押されてエアゾール容器10の弁機構11が開状態となるようになっている。また、ステム11aの内部と通路部材40の上流側通路40aとは気密に接続される。
【0045】
弁体41は、通路部材40の内部に配設されており、上流側通路40aの下流端を閉じるためのものであり、例えばゴム等の弾性材で構成することができる。
【0046】
ソレノイドケース45は通路部材40の上部に気密状に固定されている。このソレノイドケース45に収容される可動子42は、磁性体からなるものであり、上下方向に延びる柱状をなしている。可動子42の下端部には上記弁体41が固定されている。可動子42は、ソレノイドケース45内において上下動可能に配設されている。
【0047】
コイル43は、可動子42の外周面を囲む筒状をなしている。このコイル43の内部において可動子42が上下動するようになっている。コイル43は、ソレノイドケース45の内面に固定されている。コイル43には、制御装置34から電圧が印加されるようになっている。
【0048】
バネ44は、コイル43の内部において可動子42の上方に配設されている。バネ44は、可動子42を下方へ付勢することにより、弁体41を通路部材40の上流側通路40aの下流端に押し付けて該下流端を閉状態にする荷重を加えるためのものである。
【0049】
コイル43に制御装置34から電圧が印加されない状態では、図3に示すように、可動子42がバネ44の付勢力によって、弁体41を通路部材40の上流側通路40aの下流端に押し付けて該下流端を閉状態にする。これが非噴射状態である。このとき、エアゾール容器10の動物忌避剤が通路部材40の下流側通路40bに流入しないように、バネ44による付勢力が設定されている。
【0050】
一方、コイル43に制御装置34から電圧が印加されると、可動子42には上向きの磁力が働くようになっている。これにより、可動子42はバネ44の付勢力に抗して上昇して弁体41を通路部材40の上流側通路40aの下流端から離し、該下流端を開状態にする。これが噴射状態である。つまり、コイル43に印加する電圧は、バネ44による付勢力に抗して可動子42を上昇させることができるように設定されている。
【0051】
ノズル32は、略水平方向に延びている。ノズル32の上流端は通路部材40に固定されて下流側通路40bに連通している。ノズル32の下流端開口(噴射口)32aは本体ケース50の前面部の下部において外部に臨むように固定されている。本体ケース50の前面部とは、ノズル32の下流端開口32aが位置する部分である。ノズル32の形状としては、図示したものに限られず、短いものであってもよいし、長いものであってもよい。動物忌避剤の噴霧範囲は、ノズル32の構造によって設定することができ、上下方向よりも水平方向に広い方が好ましい。
【0052】
本体ケース50の内部における前面側には、ノズル32よりも上方に回路基板46が設けられている。回路基板46は上下方向に延びており、上部には電源のON(入)、OFF(切)を切り替えるための電源スイッチ46aが設けられている。回路基板46の電源スイッチ46aの下方には、LEDランプ46bが設けられている。さらに、回路基板46のLEDランプ46bの下方には、制御装置34が設けられ、この制御装置34の下方には、赤外線センサー33が設けられている。赤外線センサー33の地面からの高さは、平均的な猫の体高と同程度になるように設定されている。これにより、赤外線センサー33による猫の検知精度が向上する。
【0053】
本体ケース50の前面部の上部には、電源スイッチ46aを操作するためのメンブレンシートで構成された操作ボタン50aが設けられている。操作ボタン50aは、LEDランプ46bの光を透過するように構成されている。
【0054】
LEDランプ46bは、制御装置34の作動状態を表示する表示灯である。LEDランプ46bと、ノズル32の下流端開口32aとは、本体ケース50の前面部、即ち、エアゾール容器10の周方向について同一位置に配置されている。LEDランプ46bは、後述するが、音を検知したことを使用者に報知するための報知手段であるとともに、噴射禁止制御を行っていることを使用者に報知するためのものである。
【0055】
赤外線センサー33は、従来周知のものであるので、詳細な説明は省略するが、赤外線を発するもの(動物)が所定距離内に存在するか否かを検知することができるセンサーである。赤外線センサー33は、本体ケース50内においてエアゾール容器10の真上にくるように配置されている。赤外線センサー33による動物の検知範囲は、例えば赤外線センサー33から2m以上5m以下の範囲に設定することができるが、これに限られるものではない。赤外線センサー33の性能によって検知対象動物の大きさは異なるが、この実施形態では、例えば猫や小型の犬を検知できる性能を有している。
【0056】
赤外線センサー33は、本体ケース50に設けられた赤外線透過性を有するカバー50bにより覆われている。赤外線センサー33の検知範囲は、赤外線センサー33の中心から上下方向、左右方向に広がっている。この実施形態では、地面を歩行する動物を忌避対象動物としているので、赤外線センサー33の検知範囲のうち、上方へ広がる部分をカットしている。すなわち、本体ケース50における赤外線センサー33の配設部位には、正面視で、赤外線センサー33の上側を覆うように下方へ延びる検知範囲設定部としての遮断部50cが設けられている。これにより、例えば鳥等が動物忌避装置1の近傍を飛んでいても、それを忌避対象動物として検知することはない。また、例えば熱を持った物(日光下の洗濯物等)が赤外線センサー33の上方で動いた場合にも、それを忌避対象動物として検知することはないので、誤検知を防止できる。
【0057】
また、電源スイッチ46aを赤外線センサー33の上方に設けているので、電源スイッチ46aを操作する際に赤外線センサー33が人間の手を忌避対象動物として検知してしまうのを抑制することができる。
【0058】
電池35は、本体ケース50の内部において背面側に収容されている。この電池35は、エアゾール容器10の真上に配置されている。電池35は、回路基板46に接続されている。電池35は、本体ケース50に設けられた蓋50eを開閉することによって交換できるようになっている。
【0059】
また、本体ケース50には、ブザー46e(図4にのみ示す)が配設されている。ブザー46eは、従来から周知の電子音を発する電子ブザーを使用することができるが、これ以外にもスピーカーを使用してもよい。ブザー46eは、後述する噴射禁止制御を行っていることを報知するためのものである。
【0060】
さらに、本体ケース50には、音センサー46f(図4にのみ示す)が配設されている。音センサー46fは、音圧を検知するセンサーで構成することができ、少なくとも、例えば人間が動物忌避装置1から5m程度離れたところで手を叩いた音(噴射禁止動作によって発生する音)を検知することができる程度の感度を有している。このときの人間と動物忌避装置1との離間距離は、赤外線センサー33の検知範囲外となるように長い距離に設定されている。音センサー46fが検知する所定音は、人間が手を叩く音以外にも、例えば人間が発する声や、口笛等を検知することもでき、人間が故意に発する音を検知することができるように構成されている。
【0061】
音センサー46fが所定以上の音圧を検知した場合には、信号が制御装置34へ出力される。上記した手を叩くこと、声を発すること、口笛を吹くことは、詳細は後述するが、人間によってなされる噴射禁止動作の一例である。音センサー46fは人間によってなされる噴射禁止動作を音に基づいて検知する動作検知手段であり、例えばマイク等であってもよい。
【0062】
図1図2等に示すように、噴射部30は弾性材59を備えている。弾性材59は、本体ケース50の外面を覆うように配設され、該本体ケース50に向けて落下する雨音を抑制する雨音抑制部材である。弾性材59は、樹脂材を発泡させた発泡体で構成されており、例えばポリウレタン等のスポンジ(ウレタンスポンジ)である。この弾性材59の表面には、該弾性材59の気泡が開口している。ウレタンスポンジは、同じ体積で比較したとき、ゲル状部材等に比べて軽量であるため、弾性材59を設けることによって動物忌避装置1の重心位置が高まるのを抑制することができ、動物忌避装置1を安定させることができる。
【0063】
また、弾性材59は、本体ケース50の上面の形状に対応した形状となっている。すなわち、図3に示すように、本体ケース50の上壁部は全体として上方へ膨出した湾曲形状となっており、該本体ケース50の上面の中央部が最も上に位置し、該上面の周縁に近づくほど下に位置するように形成されている。そして、弾性材59は本体ケース50の上面に沿うように全体として湾曲形成されて本体ケース50の上面から側面に亘る部分(外面)に嵌まるようになっている。また、弾性材59は、少なくとも本体ケース50の上面の周縁まで延びている。弾性材59の周縁は、本体ケース50の側面に達するまで延びているのが好ましいが、本体ケース50の上面のみを弾性材59で覆うようにしてもよい。
【0064】
弾性材59の厚みは、例えば2mm以上20mm以下に設定することができ、この実施形態では約10mmに設定している。弾性材59の厚みの下限値は好ましくは5mm以上である。弾性材59の厚みを上記範囲に設定することで、雨粒が弾性材59に落下したときの衝撃が弾性材59によって十分に吸収されて雨音が低減される。
【0065】
また、図1及び図3に示すように、弾性材59の前側部分には、切欠部59aが形成されている。切欠部59aは、弾性材59をその下縁部から上方に向けて切り欠くことによって形成されており、この切欠部59aの内部にLEDランプ46bが位置するようになっている。つまり、LEDランプ46bの光を遮らないように弾性材59が形成されている。切欠部59aは必要に応じて設ければよく、必須のものではない。
【0066】
尚、弾性材59の形状は、上面に雨が溜まらないように排水が容易な形状が好ましいが、例えば略水平に延びる平板状であってもよいし、切妻屋根のような複数の斜面を組み合わせた形状等であってもよい。また、弾性材59の厚みを部分的に変えることもでき、この場合、例えば弾性材59の上部の厚みを厚くし、下部の厚みを薄くすることができる。さらに、弾性材59を設けることで本体ケース50に断熱効果を持たせることもできる。
【0067】
弾性材59は、本体ケース50に嵌めた状態で例えば接着剤や両面テープ等によって接着することができる。弾性材59を本体ケース50に嵌めると、弾性材59の厚み分だけ、弾性材59の外面が本体ケース50の側面から飛び出た状態になる。また、弾性材59は、本体ケース50から取り外すことができるようになっている。これにより、弾性材59が経年劣化した場合に、新しい弾性材59に付け替えることができるので、雨音の低減効果を長期間に亘って得ることができる。
【0068】
制御装置34は、周知のマイクロコンピュータ等で構成されており、赤外線センサー33及び音センサー46fからの入力信号及び電源スイッチ46aの操作状態を検出して、ソレノイドバルブ31、LEDランプ46b及びブザー46eを制御するように構成されている。制御装置34は、電源スイッチ46aの操作状態に基づいて電源がONにされたと判定すると、赤外線センサー33に電力供給を開始し、赤外線センサー33が作動する。
【0069】
制御装置34による制御内容について図5に示すフローチャートに従って説明する。この制御は、電源スイッチ46aがONにされるとスタートする。電源スイッチ46aがONにされた後、ステップS1に進み、人間が故意に発した音(所定音)が音センサー46fによって検知されたか否かを判定する。ステップS1においてNOと判定されて所定音が検知されない場合には、ステップS2に進んで猫や犬等の対象動物が赤外線センサー33によって検出されたか否かを判定する。
【0070】
電源がONの状態で、赤外線センサー33の検知範囲に対象動物が入ってくると、制御装置34は、赤外線センサー33により動物が所定距離内に存在することが検知されたと判定してステップS3に進む。ステップS3では、ソレノイドバルブ31のコイル43に電圧を印加してソレノイドバルブ31を所定時間(T1)だけ開放して噴射状態にする。所定時間(T1)は、例えば0.5秒以上2秒以下に設定することができ、この実施形態では0.8秒に設定されている。所定時間(T1)は、上記範囲に限られるものではない。また、ソレノイドバルブ31を複数回開閉してもよい。
【0071】
ソレノイドバルブ31を噴射状態にすると、エアゾール容器10内の動物忌避剤がステム11aから噴射部30の通路部材40の上流側通路40aを経て下流側通路40bに流入する。下流側通路40bに流入した動物忌避剤は、ノズル32に流入し、下流端開口32aから噴射される。このときの音や風等によって動物が忌避行動を示すので、忌避効果が得られる。
【0072】
動物忌避剤の噴射範囲は、ノズル32の構造やエアゾール容器10に収容する噴射剤等の成分によって変更することができる。この実施形態では、赤外線センサー33による動物の検知範囲と略等しい範囲に動物忌避剤を噴射するようにしている。ステップS3を経るとリターンしてステップS1の判定が行われる。
【0073】
尚、赤外線センサー33によって動物が検知されない場合は、制御装置34は所定距離内に動物が存在しないと判定し、この場合にはソレノイドバルブ31のコイル43に電圧を印加せずに、ソレノイドバルブ31を非噴射状態のままにしておく。この状態が待機状態である。
【0074】
一方、ステップS1においてYESと判定されて所定音が音センサー46fによって検知された場合には、ステップS4に進む。ステップS4では、LEDランプ46bを点灯させる。LEDランプ46bの光は操作ボタン50aを透過するので、動物忌避装置1に電源が入っているか否かを離れた所から把握できる。また、LEDランプ46bと噴射口32aとが本体ケース50の前面部に位置しているので、LEDランプ46bの光によって噴射口32aのおおよその位置を把握することもできる。同様に赤外線センサー33の位置も把握できる。
【0075】
ステップS4では、ブザー46eをONにする。ブザー46eから発せられる音は、例えば間欠的に鳴る音が好ましい。これと同時にステップS4で赤外線センサー33をOFFにする。これにより、人間が動物忌避装置1に接近してもソレノイドバルブ31が噴射状態にはならないのでエアゾール容器10内の噴射物が噴射されることはない。
【0076】
つまり、電源をONにしている状態で動物忌避装置1に接近しなければならなくなった場合に、接近しようとする人間が事前に拍手等によって所定音を発すれば、それを音センサー46fが検知し、制御装置34は、動物が所定距離内に存在しても切替装置31を非噴射状態にして噴射を禁止する噴射禁止制御を行う。そして、噴射禁止制御を行っていることが、LEDランプ46b及びブザー46eによって周囲に報知される。
【0077】
したがって、人間に対して噴射物が噴射されてしまうのを抑制することが可能になり、噴射物が無駄に消費されなくなるとともに、人間を驚かせてしまうことがなくなる。この噴射禁止制御は、特に電源をOFFにしようとして動物忌避装置1に接近する際や、エアゾール容器10を交換する際、動物忌避装置1の周囲を通る際にも有効である。
【0078】
ステップS4に続くステップS5では、所定時間(T2)が経過したか否かを判定する。所定時間(T2)は、この実施形態では3分間としているが、これに限らず、例えば30秒以上5分以下の時間に設定することができる。ステップS5では、所定時間(T2)が経過するまで待ち、その間は、赤外線センサー33がOFFのままである。また、ブザー46eから音が発せられているとともに、LEDランプ46bが点灯しているので、噴射禁止制御中であることが周囲の人に分かる。
【0079】
ステップS4を経て所定時間(T2)が経過するとステップS5においてYESと判定されてステップS6に進む。ステップS6では、LEDランプ46bをOFFにするとともに、ブザー46eもOFFにする。そして、赤外線センサー33をONにする。したがって、噴射禁止動作を検知した後、所定時間(T2)が経過すると噴射禁止制御を終了することができる。その後、リターンしてステップS1に進む。尚、ステップS4で赤外線センサー33をOFFにしているが、赤外線センサー33をOFFにすることなく、赤外線センサー33の検知結果を制御装置34が無視することによって噴射禁止制御を行うようにしてもよい。
【0080】
この実施形態では、弾性材59を設けていることで、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知されないようにしている。すなわち、例えば雨天時を想定した場合、弾性材59が動物忌避装置1の本体ケース50を覆うように配設されているので、雨粒が弾性材59に落下することになる。弾性材59に落下した雨粒による衝撃は弾性材59によって吸収されるので、雨粒の落下によって発生する振動、即ち雨音が十分に小さな音になり、雨音の音圧が音センサー46fによって検知不可能なレベルにまで低下する。これにより、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知されなくなる。
【0081】
このことを実験結果に基づいて説明する。実験条件について説明すると、上記動物忌避装置1の本体ケース50を覆うように弾性材59を設けておき、弾性材59の上端から上方へ50cm離れたところから水道水を流して弾性材59に当てる。このときの水道水の流量は100ml/10秒とした。水道水を弾性材59に当てる時間は、連続した10秒間である。これを3回繰り返したが、水道水が当たる音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知してしまうことは一度も無かった。つまり、ウレタンスポンジで本体ケース50を覆うという極めて簡単な構造でありながら、かなり高い確率で誤検知を防止できることが分かる。
【0082】
これに対し、例えば布やゲル状部材等で本体ケース50を覆った場合には、2/3程度の確率で、水道水が当たる音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知した。従って、本体ケース50を覆う部材としてはウレタンスポンジが最も好ましい。
【0083】
以上説明したように、この実施形態に係る動物忌避装置1によれば、噴射状態を切り替えるソレノイドバルブ31、赤外線センサー33及び制御装置34を、所定高さを有するエアゾール容器10の上側に取り付けたので、従来例のようなエアゾール容器を収容する大型のケースは不要になって動物忌避装置1を小型化でき、設置場所の自由度を向上させることができる。また、赤外線センサー33をエアゾール容器10の上側に取り付けることで、ある程度の体高を持った猫や犬等の動物の検知精度を向上させることができ、忌避効果を十分に得ることができる。
【0084】
また、使用者の噴射禁止動作によって発生する音に基づいて噴射禁止動作を検知し、その噴射禁止動作を検知したときには、動物が接近しても噴射を禁止することができるので、使用者が動物忌避装置1に故意に接近するような場合にエアゾール容器10内の噴射物を無駄に消費しないようにするとともに人間を驚かせてしまうのを防止できる。そして、本体ケース50の外面が弾性材59によって覆われているので、雨音を、人間によってなされた噴射禁止動作による音であると誤検知しにくくなり、忌避効果が必要なときに得ることができる。
【0085】
また、使用者が手を叩くことによって発生する音に基づいて噴射禁止動作を検知するようにしたので、簡単に使用できるようにしながら、噴射禁止動作の誤検知を有効に防止できる。
【0086】
また、音センサー46fが音を検知したことをLEDランプ46bによって報知させるようにしたので、例えば使用者の噴射禁止動作による音が小さくて検知できなかった場合に、噴射禁止制御が行われないことを使用者が把握できる。
【0087】
また、使用者の噴射禁止動作を検知した後、所定時間が経過すると噴射禁止制御を終了するので、利便性を高めることができる。
【0088】
尚、上記実施形態では、動物が所定距離内に存在するか否かを検知するセンサーとして赤外線センサー33を使用しているが、これに限られるものではなく、各種センサーを使用することができる。
【0089】
また、上記実施形態では、エアゾール容器10から動物忌避剤を噴射させる噴射状態と、動物忌避剤を噴射させない非噴射状態とに切り替えるための切替装置としてソレノイドバルブ31を用いているが、これに限らず、例えばカム機構を利用してエアゾール容器10のステム11aを押し下げるように構成されたものであってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、電源スイッチ46aを本体ケース50の前面部に設けているが、これに限らず、例えば、本体ケース50の上面部に設けてもよい。また、電源スイッチ46aを本体ケース50の側面部において赤外線センサー33よりも上方に設けてもよい。
【0091】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明に係る動物忌避装置は、例えば屋外で猫や犬等の動物を追い払う際に用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 動物忌避装置
10 エアゾール容器
30 噴射部
31 ソレノイドバルブ(切替装置)
33 赤外線センサー
34 制御装置
46f 音センサー(動作検知手段)
50 本体ケース
59 弾性材(雨音抑制部材)
図1
図2
図3
図4
図5