(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548654
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】油圧シリンダ及び歯車配列を用いて患者支持面を直線的に移動させるための装置
(51)【国際特許分類】
A61G 13/02 20060101AFI20190711BHJP
F16H 19/04 20060101ALI20190711BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
A61G13/02
F16H19/04 E
F16H19/04 J
A61N5/10 T
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-546757(P2016-546757)
(86)(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公表番号】特表2017-508497(P2017-508497A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015050659
(87)【国際公開番号】WO2015107107
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2017年12月26日
(31)【優先権主張番号】102014100444.2
(32)【優先日】2014年1月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】シュタウディンガー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,グイド
【審査官】
井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−339798(JP,A)
【文献】
特開平06−042601(JP,A)
【文献】
特表2003−505201(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201768121(CN,U)
【文献】
特開平4−25605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00 − A61G 13/02
A61N 5/10
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者支持面を直線的に移動させるための装置であって、
固定された柱頭ユニット(12)と、
柱頭ユニット(12)に対して直線的に移動可能であって、上部に患者支持面(106)が固定可能な支持面ユニット(14)と、
支持面ユニット(14)を柱頭ユニット(12)に対して移動させる油圧シリンダ(40)と、
を備え、
第1のラック(72)が柱頭ユニット(12)に取り付けられ、
第2のラック(74)が支持面ユニット(14)に取り付けられ、
第3のラック(76)が柱頭ユニット(12)に取り付けられ、
第3のラック(76)が、第1のラック(72)と所定距離だけ間隔をあけて平行に延び、
歯車集合体(60)が油圧シリンダ(40)のピストンロッド(48)に設けられ、
歯車集合体(60)が、第1のラック(72)、第2のラック(74)及び第3のラック(76)と噛み合って、油圧シリンダ(40)の作動時に、歯車集合体(60)が第1のラック(72)、第2のラック(74)及び第3のラック(76)上で回転し、
歯車集合体(60)が、第1のラック(72)と噛み合う第1の歯車(62)と、第2のラック(74)と噛み合う第2の歯車(64)と、第3のラック(76)と噛み合う第3の歯車(66)と、を有し、
第1の歯車(62)と第2の歯車(64)と第3の歯車(66)が、共通の軸(68)に回転方向に固定して取り付けられ、
軸(68)が、ピストンロッド(48)に対して回転可能に取り付けられ、
第2の歯車(64)が、第1の歯車(62)と第3の歯車(66)との間に設けられ、
第1の歯車(62)と第2の歯車(64)の歯数の比が異なり、
第1の歯車(62)と第3の歯車(66)の歯数の比が同一である
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
歯車集合体(60)が、第1のラック(72)及び第3のラック(76)を第2のラック(74)と逆方向に相対移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
第2の歯車(64)が、第1の歯車(62)より大きい直径を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
第1の歯車(62)と第2の歯車(64)の歯数の比が、1:1から1:4の間である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
軸(68)が、ピストンロッド(48)の端部に設けられたフォーク頭部(70)に対して回転可能に取り付けられ、ピストンロッド(48)の端部とは、油圧シリンダ(40)のシリンダチューブ(42)とは逆側の端部である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
柱頭ユニット(12)が、床面に固定可能な柱(104)に固定するための固定部材(16)を有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
支持面ユニット(14)が、患者支持面(106)を支持するための支持面(18)と、少なくとも1つの交差部材(20,22)とを有し、
交差部材(20,22)は、支持面(18)に対して横方向に取り付けられて、その内側面(30)に第2のラック(74)が取り付けられる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
柱頭ユニット(12)と支持面ユニット(14)とが直線案内ユニット(24,32)を介して互いに接続され、
直線案内ユニット(24,32)は、柱頭ユニット(12)と支持面ユニット(14)が所定の軸に沿って互いに直線的に移動することを可能にすると共に、柱頭ユニット(12)と支持面ユニット(14)が互いにそれ以外の移動を行うことを全て妨げる
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
油圧シリンダ(40)が、特にはそのシリンダチューブ(42)及び/またはそのシリンダ基部(44)が、柱頭ユニット(12)に固定される
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
油圧シリンダ(40)が、シリンダチューブ(42)と、シリンダ基部(44)と、シリンダチューブ(42)の内部を移動可能なピストン(46)と、ピストン(46)に取り付けられるピストンロッド(48)とを有し、
歯車集合体(60)が、ピストンロッド(48)におけるピストン(46)とは逆側の端部に設けられる
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者支持面を直線的に移動させるための装置に関する。この装置は、固定された柱頭ユニットと、この柱頭ユニットに対して直線的に移動可能であって、その上に患者支持面を固定可能な支持面ユニットとを有する。更に、この装置は、支持面ユニットを柱頭ユニットに対して移動させるための油圧シリンダを備える。
【背景技術】
【0002】
一般的な手術台は、手術台基部と、高さ調整可能な柱と、手術のために患者が載せられる患者支持面とから構成される。手術中に患者のレントゲン撮影を行うためには、放射線を透過可能な領域が形成されて、その領域内で例えばレントゲン撮影装置のCアームを案内できるように、患者支持面が柱に対して移動可能となっていることが好適である。
【0003】
元来、固定された柱頭ユニットに対して支持面ユニットを移動させる方法として、3つの方法が知られている。支持面ユニットは、患者支持面を取り付け可能であって、手術台における手術台基部とは逆側に設けられる。第1に、固定された柱頭ユニットに対して支持面ユニットを手動で移動させることが可能な手術台が知られている。この手術台は、支持面ユニットを移動させるために相当の力を手で加える必要があるという不便があり、そのため手術の利便性が低下する。更に、正確に的を絞る方法は、実行するのが困難である。これらの不便を回避すべく、これに代わる実施形態では、電気モータによって支持面ユニットが柱頭ユニットに対して移動される。
【0004】
支持面ユニットを、1つ以上の油圧シリンダの助けを借りることにより、油圧によって柱頭ユニットに対して移動させてもよい。このような油圧を用いる手術台の問題点は、実行され得るストロークよりもシリンダが長くなければならないことである。このことは、結果として、一般的に手術台の柱頭ユニットの内部では確保できないような構造的な長さが必要になるため、単純な油圧シリンダでは移動を達成するのが困難である。
【0005】
更には、柱頭ユニットに対して支持面ユニットを移動させるために2つの油圧シリンダを使用する方法も知られており、これら2つの油圧シリンダは互いに隣接して設けられて、一方のシリンダが作動する時は他方のシリンダが移動し、これらのストロークの合計が必要とされる総ストロークとなる。しかし、このような手術台の問題点は、非常に高価であって、且つ横方向に大きな設置スペースが必要になることである。
【0006】
本発明の目的は、油圧シリンダを使用して患者支持面を直線的に移動させるための装置、及び簡素でコンパクトな構造を実現する当該装置の組み立て方法を提供することにある。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置、及び独立項である方法クレームの特徴を有する方法によって達成される。本発明の更に好適な実施形態は、従属項において特定されている。
【0008】
本発明によれば、少なくとも1つの第1のラックが柱頭ユニットに取り付けられ、少なくとも1つの第2のラックが支持面ユニットに取り付けられる。歯車集合体が油圧シリンダのピストンロッド、特にはピストンロッドにおけるシリンダチューブと逆側の端部に設けられ、歯車集合体が、第1のラック及び第2のラックと噛み合って、油圧シリンダの作動時に、歯車集合体が第1のラック及び第2のラックの両方の上で回転する。歯車集合体は、好ましくは第1のラック及び第2のラックの上で逆方向に回転する。
【0009】
このように歯車集合体が2つのユニットに設けられたラック上で回転することは、支持面ユニットが柱頭ユニットに対して移動する総移動距離が、第1のラック及び第2のラック上における歯車集合体の回転距離に起因するという利点がある。これによれば、患者支持面は、油圧シリンダのストロークよりはるかに大きい距離だけ、柱頭ユニットに対して移動することができる。そして、それゆえ、要求される長い調整距離を実現するために、最小で可能な限りコンパクトなシリンダを使用することができる。
【0010】
歯車集合体の回転は、歯車集合体を構成する1つ以上の歯車が、ラックと噛み合ってその結果として回転することを特に意味していると解される。
【0011】
更に好適な実施形態によれば、歯車集合体が、正確に1つの歯車だけを有し、当該歯車が第1のラック及び第2のラックの両方と噛み合う。この場合、柱頭ユニットに対して支持面ユニットが移動しうる総移動距離は、油圧シリンダのストロークの2倍に正確に一致する。なぜなら、歯車は2つのラックの上で同じ回転距離、すなわち油圧シリンダのストロークの長さに一致する回転距離を有するからである。特に、油圧シリンダは、総移動距離が200mmから500mmの間となるように、そのストロークが選択される。
【0012】
更に好適な実施形態によれば、歯車集合体が、第1の歯車と少なくとも1つの第2の歯車とを有し、第1の歯車が第1のラックと噛み合い、第2の歯車が第2のラックと噛み合う。2つの歯車の大きさの比は、ギア比を油圧シリンダのストロークと総移動距離との間に調整するために使用することができる。従って、同じ総移動距離を達成するためには、より一層短いストロークを有するより一層コンパクトな油圧シリンダを使用することができる。特に、第2の歯車は、第1の歯車より大きい直径を有する。
【0013】
更に好適な実施形態によれば、第1の歯車と第2の歯車の歯数の比が、1:1から1:4の間、特には12/21または12/24である。この結果、ギア比すなわち移動比は、1:2から1:5の間となる。歯数の比が12/21であることは、ギア比が1:2.75であるという結果をもたらす。従って、総移動距離300mmを達成するためには、例えば、109mmのストロークを有する1つだけの油圧シリンダを使用しなければならない。従って、より一層コンパクトな構成が達成される。
【0014】
更に、第3のラックが柱頭ユニットに設けられ、歯車集合体が、第3のラックと噛み合う第3の歯車を有することが好適である。第3のラックは、特に第2のラックと所定距離だけ離れて平行に設けられる。第1の歯車及び第3の歯車は、好ましくは同じ大きさである。従って、より一層安定した構成が達成される。なぜなら、歯車集合体は、柱頭ユニットを構成する2つのラックの上で支持することができるからである。特に、第2のラックと噛み合う第2の歯車は、第1の歯車と第3の歯車の間に設けられる。
【0015】
第1の歯車、第2の歯車及び/または第3の歯車は、特に共通の軸に回転方向に固定して取り付けられ、そしてこの軸が、ピストンロッドに対して回転可能に取り付けられる。これにより、相対回転不能な3つの歯車を有する歯車群が形成される。もし、歯車が1つだけ設けられれば、その歯車は同様に回転可能な軸に対して回転方向に固定して取り付けられるか、或いはそれに代えて固定された軸に対して回転可能に取り付けられるかのどちらかである。
【0016】
軸が、特にピストンロッドの端部に設けられたフォーク頭部に対して回転可能に取り付けられ、ピストンロッドの端部とは、油圧シリンダのシリンダチューブとは逆側の端部である。このようにして、歯車集合体とピストンロッドとの間には、簡単ではあるが十分に安定した接続が確立される。
【0017】
好ましくは、柱頭ユニットが、床面に固定可能な柱に固定するための固定部材を有している。
【0018】
支持面ユニットが、患者支持面を支持するための支持面を有し、好ましくはその支持面の上に患者支持面を固定可能である。支持面ユニットは、特に、支持面の上に横方向に設けられて第2のラックが取り付けられる少なくとも1つの交差部材を更に有する。交差部材は、好ましくは支持面の逆側に設けられる。第2のラックは、好ましくは交差部材の内側面に、すなわち手術台の柱に面する側面に設けられる。従って、ラックと油圧シリンダとを有する集合体は、ふたの下方に取り付けられており、それにより外部から損傷を受けることが防止されている。
【0019】
更に好適には、柱頭ユニットと支持面ユニットとが、少なくとも1つの直線案内ユニットを介して、好ましくは逆側に設けられた少なくとも2つの直線案内ユニットを介して互いに接続される。そして、直線案内ユニットは、柱頭ユニットと支持面ユニットが所定の軸に沿って互いに直線的に移動することを可能にすると共に、柱頭ユニットと支持面ユニットが前記所定の軸によって定義される方向とは異なる方向へ移動することを妨げる。好ましくは、直線案内ユニットそれぞれは、柱頭ユニットに設けられる直線案内キャリッジを有している。そして、直線案内キャリッジは、所定の軸の方向に並べられた長手方向の凹部を有し、この凹部が支持面に設けられた軌道の上を案内される。これにより、移動を案内する確実かつ簡略な手段が達成される一方で、信頼性のある取り付けが確保される。
【0020】
好ましくは、油圧シリンダが柱頭ユニットに固定される。このことは、柱頭ユニットに対して支持面ユニットが移動した時に、油圧シリンダをそれに沿って移動させる必要がないという利点がある。特に、シリンダ基部の一部が、柱頭ユニットを構成するフレームの凹部に収容されるので、特に簡略な取り付けが達成される。それに代えて、油圧シリンダは支持面ユニットに固定されてもよい。
【0021】
好ましくは、油圧シリンダが、シリンダチューブと、シリンダ基部と、シリンダの内部を移動可能なピストンと、ピストンに取り付けられるピストンロッドとを有する。歯車集合体は、ピストンロッドにおけるピストンとは逆側の端部に設けられる。従って、油圧シリンダの特に簡略な構成が達成されると共に、特別に設計された高価なシリンダを購入する必要がない。
【0022】
本発明の更なる態様は、上述の装置を組み立てる方法に関する。当該方法では、まずシリンダチューブの内部にシリンダ基部の全体を挿入することにより、油圧シリンダを組み立てる。そして、シリンダチューブの内部に、ピストン、ピストンロッド及びシール部材を挿入する。それにより得られ、シリンダ基部、シリンダチューブ、ピストン、ピストンロッド、及びシール部材を有するユニットを、柱頭ユニットを構成するフレームの受け部材に配置する。シリンダチューブにおけるピストンロッドが突出する先端部を押圧し、シリンダ基部の一部を、シリンダチューブの外部へ押し出して、フレームの嵌合凹部に嵌合させる。最後に、油圧シリンダの底部側に油配管を取り付ける。歯車集合体は、ピストンロッドにおけるシリンダチューブとは逆側の端部に設けられる。
【0023】
上述の組み立て方法及び真っ直ぐのストロークを有する1つのシリンダだけが必要とされるという事実によれば、少数の部品から構成される特に簡略なシリンダの組み立てを提供することが可能となる。そして、その組み立て方法では、単純で標準的なチューブをシリンダチューブとして使用することができる。これによれば、特に簡単な組み立てと特に簡単な設計が可能となる。より詳細には、油圧シリンダが、特別に費用の掛かる構成や、特別な大きさを備える必要がない。更に、高価なネジ接続や、高価なフランジ接続や、溶接による継ぎ合わせが不必要である。
【0024】
本発明の更なる特徴や効果については後述する。本発明の実施例のより詳細な内容について、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図1の手術台の患者支持面を直線的に移動させるための装置を示す概略斜視図。
【
図3】
図2の装置の柱頭ユニットを示す概略斜視図。
【
図4】第1の作動状態における装置の一部分を示す平面図。
【
図5】第2の作動状態における
図2及び
図4の装置の一部分を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、手術台100を大幅に簡略化した概略斜視図である。手術台は、床面に取り付けるための手術台基部102を有している。手術台100は、特に高さ調節可能とされた柱104を更に有している。柱104における手術台基部102の逆側には、患者が載せられる患者支持面106が設けられている。
【0027】
患者支持面106は、患者支持面を直線的に移動させるための装置10を介して柱104に接続されている。これにより、患者支持面106は、柱104に対し、所定軸に沿う所定方向へ直線的に移動可能となっている。このことは、特に、放射線を透過可能な最大領域を作り出すために必要であって、当該領域において患者支持面106の上に横たわる手術中の患者のレントゲン写真を撮影することができる。
【0028】
図2は、柱104に対して患者支持面106を直線的に移動させるための装置10を示す概略斜視図である。
図3は、装置10の柱頭ユニット12を示す概略斜視図である。
図4及び
図5は、2つの異なる作動状態における
図2の装置の一部分を示す図であって、装置10の支持面ユニット14が柱頭ユニット12に対して異なる位置に移動した状態で示されている。
【0029】
装置10は、柱頭ユニット12を備え、この柱頭ユニット12によって装置10は手術台100の柱104に取り付けられている。更に詳細には、柱頭ユニット12はフレーム16を有し、このフレーム16が前述のような取り付けを可能とすると共に、柱頭ユニット12に対して必要な安定性を与えている。
【0030】
装置10は、支持面ユニット14を更に備え、この支持面ユニット14は、支持面18と2つの横交差部材20,22とを有している。支持面ユニット14は、支持面18の上に固定することができ、支持面18によって支持される。従って、支持面ユニット14が柱頭ユニット12に対して移動される時、患者支持面106はそれに対応して柱104に対して移動される。
【0031】
柱頭ユニット12と支持面ユニット14は、互いに接続されることにより、互いに対して直線案内ユニット24を介して両方向矢印P1の方向に移動可能である。この直線案内ユニット24は、2つの案内キャリッジ26を備え、各案内キャリッジ26は両方向矢印P1の方向に延びる長手方向凹部28をそれぞれ有している。2つのキャリッジは、この長手方向凹部28により、横交差部材20の内側面30に設けられる不図示のレール上を案内される。
【0032】
詳細には、第2の直線案内ユニット32は、第1の直線案内ユニット24の逆側である柱頭ユニット12の側に設けられている。これにより、支持面ユニット14と柱頭ユニット12とが両側において安定して互いに接続される。支持面ユニット14は、直線案内ユニット24,32を介して柱頭ユニット12に取り付けられ、これにより支持面ユニットは直線案内ユニット24,32によって定められる所定方向へ直線的に移動可能となっている。
【0033】
柱頭ユニット12に対する支持面ユニット14の移動を実行するために、油圧シリンダ40が、フレーム16上の座部41に配置されて設けられている。油圧シリンダ40は、シリンダチューブ42と、シリンダ基部44と、シリンダチューブ42の内部で両方向矢印P1の方向へ移動可能に案内されるピストン46とを有している。ピストン46には、ピストンロッド48が取り付けられ、このピストンロッド48は、油圧シリンダ40におけるシリンダ基部44とは逆側であるシリンダチューブ42の外部へ向けて突出している。油圧シリンダ40の先端部47は、シリンダヘッド50によって封止され、その内部においてピストンロッド48が案内されている。ピストン46をシリンダチューブ42に対して移動させることを目的として、油を供給しまた排出するための油圧配管が、シリンダ基部44及びシリンダヘッド50の両方の内部に設けられている。
【0034】
上述の構造によれば、特別に製造された複雑な部品を要することなく、通常の部品を使用して単純な方法で油圧シリンダ40を組み立てることができる。シリンダ基部44を取り付けるためには、シリンダ基部44がシリンダチューブ42の内部に挿入されるので、単純な通常のチューブをシリンダチューブ42として使用することができる。そして、適切に封止されたピストン46及びピストンロッド48が、シリンダチューブ42の内部へ共に挿入される。シリンダヘッド50もまた取り付けられる。そして、油圧シリンダ40の先端部47に対して圧力が作用し、この圧力によってシリンダ基部が矢印P2の方向へ押圧されて、シリンダ基部44の一部がフレーム16の凹部54に嵌合する。これにより、油圧シリンダ40がフレーム16に固定される。従って、必要なのは油圧配管52を設けることだけである。
【0035】
ピストンロッド48におけるピストン46と逆側には、歯車集合体60が設けられる。この歯車集合体60は、第1の歯車62と、第2の歯車64と、第3の歯車66とを有し、これら全てが共通の軸68に対して回転方向に固定して取り付けられることにより、歯車群を形成する。
【0036】
軸68は、ピストンロッド48に固定して取り付けられるフォーク頭部70に対して順番に取り付けられることにより、フォーク頭部に対して回転可能となっている。従って、歯車62から66は、軸68に対して常に一様に回転する。
【0037】
柱頭ユニット12には、第1のラック72と第3のラック76とが配置され、これらは所定距離だけ間隔をあけて互いに平行に延びている。支持面ユニット14を構成する横交差部材20の内側面30には、第2のラック74が配置され、好ましくは第1及び第3のラック72,76に対して平行に延びている。
【0038】
第1の歯車62は第1のラック72と噛み合い、第2の歯車64は第2のラック74と噛み合い、第3の歯車66は第3のラック76と噛み合っている。
【0039】
図4は、ピストンロッド48がシリンダチューブ42の最も奥まで押し込まれた作動状態を示している。油圧シリンダ40が作動すると、ピストンロッド48がシリンダチューブ42の外部へ移動することにより、支持面ユニット14を柱頭ユニット12に対して移動させる。
【0040】
これにより、第1及び第3の歯車62,66が第1及び第3のラック72,76に沿って回転し、その回転方向は、第2のラック74に沿って回転する第2の歯車64とは逆向きである。これにより、回転軌跡の集合によって移動軌跡が形成され、その移動軌跡に沿って支持面ユニット14が柱頭ユニット12に対して移動する。これによれば、比較的大きな総移動距離を比較的短いストロークによって実現することができるという利点があるので、簡素な構造を有する小型でコンパクトな油圧シリンダ40を使用して、柱頭ユニット12のフレーム16の内部に容易にまとめることができる。
【0041】
図に示す典型的な実施形態では、第1の歯車62の第2の歯車64に対するギア比は、そしてまた第3の歯車66の第2の歯車64に対する歯数の比は、どちらも12/21であって、その結果、ストロークと総移動軌跡との比は、1:2.75である。詳細には、総移動軌跡は200mmから500mmの間である。
【0042】
他の実施形態では、他のギア比がまた選択可能であって、結果として異なるギア比を選択可能であって、従って油圧シリンダ40の長さと達成可能な総移動距離との比を調整可能となっている。
【0043】
本実施形態に代えて、第3のラック76、そしてまた第3の歯車66も、省略することが可能である。
【0044】
更に、油圧シリンダ40を、本実施形態に代えて支持面ユニット14に取り付けることも可能である。
【0045】
更に他の実施形態では、歯車62から66のうち1つだけが設けられ、それが2つのラック72,74と噛み合い、その2つのうち一方が柱頭ユニット12に設けられて他方が支持面ユニット14に設けられている。この実施形態では例えば、ギア比は1:2であって、従って総移動距離がシリンダ40のストロークの2倍に一致する。これによれば、更に簡略化されてよりコスト効率の良い構成を達成することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 装置
12 柱頭ユニット
14 支持面ユニット
16 フレーム
18 支持面
20,22 交差部材
24 直線案内ユニット
26 案内キャリッジ
28 凹部
30 内側面
32 直線案内ユニット
40 油圧シリンダ
41 座部
42 シリンダチューブ
44 シリンダ基部
46 ピストン
47 先端部
48 ピストンロッド
50 シリンダヘッド
52 油圧配管
54 凹部
60 歯車集合体
62,64,66 歯車
68 軸
70 フォーク頭部
72,74,74 ラック
100 手術台
102 手術台基部
104 柱
106 患者支持面
P1,P2 方向