【実施例】
【0036】
本発明のブレンドは、ポリウレタンフォーム配合物(表1)中で調べた。
【0037】
試験には、新規のブレンドの特性をベンチマークテストする、3つの商業上入手可能な生成物との比較を含んだ(表2)。
【0038】
実施例C3は、本発明のスコーチ抑制剤の成分Bに対応し、供給業者らによって記載されたUS7,390,912B2においてポリマー系またはオリゴマー系のラクトン酸化防止剤として特徴づけられ、Milliken Chemicalから入手可能なMilliguard(登録商標)AOX−1として既知である、商業上入手可能なブレンドである。
【0039】
実施例C4は、US5219892に記載され、Vanderbilt Chemicals、LLCから入手可能であるVANOX(登録商標)液体スコーチ抑制剤であり、アルキル化ジフェニルアミンおよび1種のアルキル化フェノール系化合物を含み、特に(a)テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)]メタン、および(b)アミン対ジイソブチレンのモル比が1:1.1〜1:2.5である、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物を含む。安定剤組成物は、第3の相乗効果成分、フェノチアジンまたはフェノチアジンのある種のアルキル誘導体を含むことができる。
【0040】
実施例C5は、Ciba Specialty Chemicalsによって入手可能な、Irgastab(登録商標)PUR68で既知である製品であり、その製品は、米国特許第5356966号の教示に従うと考えられ、恐らくラクトン誘導体および他の酸化防止剤を含んでいるが、正確な組成は分からない。
【0041】
実施例C6は、フェノール誘導体イソトリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(80%)およびMilliguard(登録商標)AOX−1ラクトン(実施例C3)(20%)からなる。比較のブレンドは、米国特許第7247658号で教示された成分に近い比率に従う(実施例4)。
【0042】
実施例C7は、フェノール誘導体イソ−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(9%)、アミン対ジイソブチレンのモル比が1:1.1〜1:2.5である、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物(14%)、Milliguard(登録商標)AOX−1として既知である、商業上入手可能なポリマー系またはオリゴマー系のラクトン生成物(34%)、およびSongsorb(登録商標)3260、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(43%)(Songwonによって製造され、Vanderbilt Chemicals,LLCから入手可能)からなる。比較のブレンドは、米国特許第7601853B2号において教示された成分の比率に従う(追加のパッケージBB)。
【0043】
実施例8は、2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン(10%)、およびMilliguard(登録商標)AOX−1として既知である商業上入手可能なポリマー系またはオリゴマー系のラクトン生成物(10%)、および3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のC−13〜C−15アルコールエステルの混合物(ANOX(登録商標)13−15(Addivant USA,LLC)、CAS:171090−93−0)を含む。
【0044】
以下の表2および表2Aに示すように、本発明のブレンド実施例1は、フォーム組成物において同等の充填濃度(0.2pbw)で、減少したdEの測定によって示されるように、ほとんど変色しなかった。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
最新の先行技術(US7,390,912B2)からの2つのラクトン組成物に対して本発明のブレンドを比較する別の回の試験は、本発明のブレンド(実施例1)は、スコーチをより劇的に低減する(表3)ことを示す。実施例C7は、フェノール系アルキル化ジフェニルアミン、ポリマー系ラクトン、およびベンゾトリアゾールの組み合わせであり、実施例1と異なり、混合して液体ブレンドを生成するのではなく、商業上の用途で非常に所望される特徴である液体を生成することをここに示す。
【0047】
【表4】
他のシリーズは、難燃剤の非存在下で、本発明の配合は、スコーチを低減し続けていることを示している。特に、本発明のブレンドの総重量は、現存の配合より少ないが、より軽度のスコーチを示す(表4)。
【0048】
【表5】
ガス退色研究
環境因子およびフォーム変色
窒素酸化物煙霧による影響に気付いているフォーム製造業者らは、今日、一般的に、その影響を軽減する新規製品を示す一方で、変色の問題を販売先に注意喚起する情報刊行物を出版している(脚注18参照)。
【0049】
PURフォームのNO
x煙霧への曝露を模擬実験するために、初めに、対象の材料が曝露される生成燃焼煙霧を取り込むための単純な実験器具を用いて、ガス退色として既知である試験を開発した(脚注19参照)。これについて、製造業者らは、試料の回転ラックと共に密閉容器内に配置されたブンゼンバーナーに取り付けた煙霧チャンバを提供し始めた。検体を取り込まれた燃焼ガス煙霧に一定の時間曝露する(脚注20参照)。本発明者らの評価において、検体をチャンバ内に置き、色度測定を用いて定期的に調べる。
【0050】
本研究において、先行技術の配合物(C7)に対して本発明のブレンドを比較するのに、2つの濃度レベルを調べた。より高濃度(3.5pbw)では、本発明のブレンドは、先行技術の配合物(dE=7.05)よりも有意により軽度の変色(dE=4.81)を示し、一方より低濃度(0.5pbw)では、先行技術に対して著しく有利であることがやはり示されている。特に、選択されたレベル(3.5pbw)は、C7が得られた特許において引用され、したがって実施例1に対する有用な比較として役立つ(表5)。
【0051】
【表6】
C4(フェノール系/ADPAブレンド)に対して実施例1を比較したガス退色評価および光退色研究
実施例1(本発明のブレンド)を、産業用配合物で一般に用いられる2つのレベルで、一般的なフェノール系/ADPAブレンドと比較した。さらに配合を、PURフォーム、表1でフォームAにおいて用いられた難燃剤で変更した。
【0052】
Fyrol(登録商標)HF−5およびHF−4の難燃剤は、それぞれ、ICL Industrial Productsから入手可能な、知的所有権下にあるリン酸エステルブレンドおよび非ハロゲンリン酸エステルである。データは、実測の間に示され、いくらか興味深い。本発明の配合は、難燃剤の種類に関係なく、試験期間の間(2時間)発色により寄与しないことが明らかとなった(表6)。
【0053】
【表7】
C4(フェノール系/ADPAブレンド)に対して実施例1を比較した光退色評価
最後に、フォーム小片を一般的な蛍光に曝露し、6日間観察した。本発明のブレンドは、ADPA/フェノール系ブレンド(C4)と比べられ、試験期間を通して、2つの選択された濃度においてより軽度の変色を示した(表7)。
【0054】
【表8】
成分対ブレンドの評価
本発明のブレンドが、その各成分について真の相乗効果を示すのを明らかにするために、スコーチ特性を実施例1の各成分について決定した。生成されたフォームについて、ガス退色研究も実施した(表8)。
【0055】
2つの器具を用いて、単純平均、およびブレンドの特定の成分濃度に基づく加重平均を含むブレンドの特性を評価した。個々の成分は、以下の、フェノール系誘導体PH−1(23.24)>ラクトン誘導体AOX−1(8.88)>ヒドロキノンHQ−1(4.14)のように、最も暗い内部から最も明るい内部までの、異なるレベルの特性を示した。それぞれが、ブレンドの最終的なスコーチ特性に等しく寄与すると仮定すると、予測されるdE値は
である。それぞれが、ブレンド組成物におけるその加重含量に応じて寄与すると仮定すると、予測される値は、
である。実際、ブレンドは、単純平均と加重平均の両方未満であり、したがって真の相乗効果を示す(dE=5.47)。煙霧チャンバの結果は、同様の傾向を示したが、恐らくより驚いたことに、変色が、期待された平均と比較して最も軽度であるだけでなく、全ての測定値未満であり(表8)、ブレンドの真の相乗効果が再度示された。
【0056】
【表9】
配合調整
ブレンドにおける成分の相対濃度を変化させ、評価した(表9)。この一連の実験において、ラクトン、ヒドロキノン、またはその両方のいずれかを増加させると、一般に、実施例1と比較して、スコーチ特性を改善すること(A〜C)が明らかになった。フェノール系を増加させ、ラクトンおよびヒドロキノンを減少させると、実施例1と比較して、スコーチ特性が低減すること(D)になる。しかし、ヒドロキノンの濃度を増加させた結果、ブレンドの調製後数日以内に沈殿が形成され、液体が不安定になった。成功する商品の1つの要件は、可能な限り長く液体を維持することであり、変更されたブレンドの中には、より不適合なものがあることを示唆する。
【0057】
【表10】
揮発性の考察
説明されたように、ポリウレタンフォームに存在する、成分の揮発性を低減することが望まれている。Gossnerらは、「先行技術より、ポリウレタンフォームは揮発性有機成分(VOC)を放出する可能性があることが既知であり、この放出は一般に望ましくない。これらの放出は、(検出可能)であり、…」と説明している
21。本発明では、可能性として、化合物の揮発性を低減する、より高い分子量のアルキル化フェノール系化合物を使用するように調整することができる。これを示すために、より高い分子量のフェノール系を置換したこと、すなわち、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のC−13〜C−15アルコールエステルの混合物(ANOX(登録商標)13−15)以外は、実施例1と同じである実施例8を調製した。初めに、変更されたブレンド実施例8を、実施例1と同様に実施して観測した(表10)。
【0058】
【表11】
スコーチ抑制剤パッケージの使用者によって好まれるように、放出またはVOCを減らすように配合を調整することができる。調整された組成物実施例8は、実施例1と比較して、時間と共により低減された揮発性を示した。装入量の重量減少を時間に対して測定する熱重量分析(ASTM E2008)によれば、2つのブレンドにおいて有意な差が示された(表11)。期待されたように、試験中を通して、より分子量の高い成分は重量減少を小さくするのに役立つ(実施例1対実施例8を比較)。
【0059】
【表12】
試験結果を評価すると、以下のことが示される。
【0060】
実施例1ブレンドは、その単一の成分と比較した場合、同じ重量を基準にして、その成分よりもスコーチを大幅に低減し、真の相乗効果を示す。US7,390,912B2(実施例C3)で特定されたラクトン酸化防止剤は、このラクトンブレンドを用いた本発明の組成物(実施例1)と比較して、スコーチをより低減しない。本発明のブレンドの、他の酸化防止剤成分もまた、ブレンド(実施例1)と比較してスコーチをより低減しない。またさらに説明されるように、C3の評価で用いられたラクトンの試験された装入レベル(0.5pbw)は、実施例1のブレンドのラクトンレベル(0.05pbw)よりもさらにより高かった。C6およびC7などの先行技術C3に関する「ラクトン」特許類で開示された他のブレンドもまた、本発明のブレンドよりもよりスコーチを生じることが分かった。
【0061】
実施例C5は、その正確な配合物は製造業者らによって開示されていないが、商業上入手可能なラクトン組成物である。ここでも、本発明の配合物(実施例1)は、同じ充填レベルでスコーチをより起こさなかった。
【0062】
実施例1はまた、アルキル化ジフェニルアミン(実施例C4に存在する)およびその親原料であるジフェニルアミンを含まない。DPAは、多くの製品およびヨーロッパにおいて望ましくない(脚注23参照)。したがって、実施例1は、スコーチの低減を促進し、一方で健康上の懸念を減ずる。
【0063】
したがって、本発明はまた、ジフェニルアミンを含まない、またはジフェニルアミンを実質的に含まない、添加剤配合物を組み入れたポリウレタンフォームも含む。本発明の配合はまた、C4などのアルキル化ジフェニルアミンブレンドと比較して、NO
x煙霧および一般的な蛍光に曝露している間、発色をより起こさないように寄与する。
【0064】
実施例1により、本発明のブレンドが、いくつかの先行技術または商用の組成物よりもスコーチをより低減することが示されているが、様々な市場セクターで恐らく懸念されている揮発性を低減するように変更することができる。
脚注1:M.P.Ludaら、「Discoloration in fire retardant flexible polyurethane foams.Part I.Characterization」、Polymer Degradation and Stabilization、83 (2004)、215頁
脚注2:Brian Kaushiva、「Structure−Property Relationships Of Flexible Polyurethane Foams」、Ph.D.論文、Virginia Polytechnic Institute and State University、1999年、5頁(http://scholar.lib.vt.edu/theses/available/etd−083199−185156/unrestricted/KAUSHIVA1.PDF、アクセス7−6−11
脚注3:Y.Su、Wang Wan Jiang、「Thermal Stability of Poly(oxypropylene−ether) Polyol」、Thermochimica Acta、123 (1988)、221〜231頁
脚注4:J.DeMassa、「Polyol Stabilization and the Introduction of a New PUR Slabstock Foam Antioxidant」、Conference: Polyurethanes 2011年 Technical Conference
脚注5:J.DeMassa、「PTZ:A Troublesome Ingredient; Promising Solutions」、Polyurethane Foam Association、Spring Meeting 2012年
脚注6:Klempner、74頁
脚注7:John R.Richards、Control of Nitrogen Oxides Emissions、Student Manual、APTI Course 419、3〜4頁(2000)、「The leading contributors of anthropogenic NOX emissions are vehicles and electric generating units (EGUs)」
脚注8:James A.Tompkins、Jerry D.Smith、The Warehouse Management Handbook、Tompkins Press、第2版、399頁、1998年
脚注9:Foamex web publication、http://www.fxi.com/assets/pdf/Discoloration_Info.pdf、アクセス4−11−12
脚注10:Kobaraら、Aerosol and Air Quality Research、7巻、2号、194頁、2007年
脚注11:Jia L、Xu Y、「Characterization of condensed phase nitric acid particles formed in the gas phase」、J Environ Sci(中国)、23(3)、412頁、2011年
脚注12:「Flexible polyurethane foam inhibited from discoloring」、Bridgestone Corporation、米国特許出願公開第2006/0247325号(2006)
脚注13:「Additives for Polyurethanes」、http://www.mufong.com.tw/Ciba/ciba_guid/additives_polyurethane.pdf、18頁、アクセス4−18−12
脚注14:B.P.ThapliyalおよびR.Chandra、Prog.Polym.Sci.15巻、735〜750、1990年、738頁
脚注15:J.Gardetteら、Makromol.Chem.182(1981)、2723頁
脚注16:「Reduced VOC and Fog Emissions In Flame Retardant Automotive Foams」、Polyurethane Foam Association、2005 Fall Meeting 2005年10月6日、Francis Marion Hotel、Charleston、South Carolina
脚注17:ASTM E2008、「Standard Test Methods for Volatility Rate by Thermogravimetry」
脚注18:Foamex技術文書、http://fxi.com/assets/pdf/Discoloration_Info.pdf、アクセス1−29−15
脚注19:http://www.freepatentsonline.com/3988292.pdf
脚注20:装置:United States Testing Co., Inc、大気煙霧チャンバ、型番8727、通し番号13411、230ボルト、50サイクル、1相
脚注21:Matthaus Gossner、Peter Haas、Sven Meyer−Ahrens、Bert Klesczewski、「Process for production of flexible polyurethane foams with low emission」、US20100305228A1
脚注22:PFA Spring Meeting 2012年5月16〜17日、Baltimore Maryland、「PTZ:Troublesome Ingredient; Promising Solutions」
脚注23:http://grist.org/news/chemical−banned−in−europe−is−probably−on−your−apple/、アクセス4−25−12