(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二の内蓋を前記第一の内蓋から取り外す際に必要な前記第一の係止片の移動量は、前記内蓋が前記蓋体に取り付けられた状態で前記第一の係止片の前記干渉部が前記蓋体の前記周縁部と干渉するまでの移動量よりも大きい
請求項4〜6のいずれか一項に記載の炊飯器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの外観斜視図であり、
図2は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの内蓋40Aを取り外した状態の外観斜視図であり、
図3は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの縦断面概略図であり、
図4は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの蒸気経路周辺の縦断面概略図である。
図1〜
図3に示すように、本実施の形態1に係る炊飯器100Aは、内部に米などの調理物である被加熱物を保持する有底筒状の内釜30が取り出し自在に収容され、内釜30を誘導加熱する加熱手段である加熱コイル11を有する箱体形状の本体10と、本体10のヒンジ部12に開閉自在に設けられた蓋体20と、蓋体20の内釜30側となる面、つまり下面に着脱自在に取り付けられ、蓋体20で本体10の上面を閉じた際に、内釜30の上部開口を閉塞する内蓋40Aとを備えている。
【0013】
図3に示すように、内釜30は、外周面の上側に、外側に向かって突出したフランジ31が外周に沿って設けられている。加熱コイル11は、それぞれ円環状に形成され、内釜30が収容される開口の底部に配置されている。その底部の中央には、加熱コイル11により誘導加熱される内釜30の温度を検出する温度センサー13が設置されている。
【0014】
本体10の前面には、蓋体20を開ける際に押下される開閉ボタン14が設けられている。この開閉ボタン14を押下すると、蓋体20と本体10との係止が解除されて、蓋体20を開けることができる。また、本体10の内部の背面側には、商用電源を高周波電力に変換して加熱コイル11に供給するための回路が実装された電源基板15が設けられている。この電源基板15は、インバーター回路を構成するスイッチング素子などの部品で構成されている。
【0015】
蓋体20の上面の前面側には、炊飯ボタンなどの各種操作ボタンを備えた操作パネル21が設けられている。蓋体20の内部には、操作パネル21の各種入力スイッチ、液晶パネルが実装された操作基板22が設けられている。操作基板22は、操作パネル21からの入力に基づいて電源基板15に制御信号を出力するとともに、液晶パネルに炊飯器100Aの動作状態などを表示させる。なお、操作基板22を構成する回路は、その機能を実現する回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPU、マイコンなどの演算装置とその動作を規定するソフトウェアで構成することもできる。また、蓋体20の下面には、内釜30内の温度を検知する蓋センサー23と、本体10内に収容される内釜30内を上方から加熱するための蓋ヒーター24と、が設けられている。
【0016】
内蓋40Aは、蓋体20の下面に取り付けられる第一の内蓋50Aと、第一の内蓋50Aの内釜30側となる面、つまり下面に取り付けられる第二の内蓋60Aとからなる。そして、第一の内蓋50Aは第二の内蓋60Aよりも蓋体20側に位置し、第二の内蓋60Aは第一の内蓋50Aよりも内釜30側に位置している。また、第二の内蓋60Aには、中央部が下方に突出した溜まり部61が形成されており、
図4に示すように、第一の内蓋50Aと第二の内蓋60Aとの間には、おネバを溜める空間であるおネバ溜め空間61aが形成されている。このおネバ溜め空間61aは、内釜30内で発生した蒸気が通過する経路の役割も果たしている。
【0017】
第一の内蓋50Aの外周部には、内蓋40Aと内釜30との間を密閉状態、つまり内釜30内を密閉状態にする第一のパッキン51が設けられている。
図3に示すように、第二の内蓋60Aの中央には、内釜30内の蒸気圧に応じて上下に移動して連結口(図示せず)を開閉する開閉弁62が設けられており、その開閉弁62の周りには、おネバ溜め空間61aの入口である複数の第二の連通孔63が形成されている。さらに、第二の連通孔63の周り、つまり外周部には第一の内蓋50Aと第二の内蓋60Aとの間を密閉状態、つまりおネバ溜め空間61aを密閉状態にする第二のパッキン64が設けられている。また、
図4に示すように、第一の内蓋50Aには、おネバ溜め空間61aの出口である複数の第一の連通孔52が形成されている。つまり、第一の連通孔52と第二の連通孔63とは連通している。
【0018】
図3に示すように、蓋体20の内側側面の前面側には、内蓋40Aの第一の内蓋50Aを係止する第二の係止片25が設けられている。この第二の係止片25には、凹形状の凹部25aが設けられている。また、
図2に示すように、蓋体20の内側側面の背面側には、2つの支持部26が間隔を開けて設けられている。これら支持部26と蓋体20の下面との間には第一の内蓋50Aの第一の凸部57(後述する
図8参照)の厚さ程度の隙間が形成されている。なお、支持部26の数は2つに限定されず、3つ以上でもよい。また、
図4に示すように、蓋体20の内部には、内釜30内で発生した蒸気が通過する経路である蓋体蒸気経路27aを形成する周縁部27が設けられている。また、蓋体20の上面には、蓋体蒸気経路27aの出口である蒸気口28が形成されている。また、周縁部27の外側には、蓋体20と第一の内蓋50Aとの間を密閉状態、つまり蓋体蒸気経路27aを密閉状態にする第三のパッキン29が設けられている。
【0019】
なお、内蓋40Aが蓋体20の下面に取り付けられた状態において、蓋体20および内蓋40Aを平面視して第一の連通孔52と蓋体蒸気経路27aとが重なる位置に形成されている。つまり、第一の連通孔52は蓋体蒸気経路27aの入口となる。そのため、おネバ溜め空間61aと蓋体蒸気経路27aとは連通しており、第二の連通孔63と第一の連通孔52と蒸気口28とは全て連通している。
【0020】
ここで、炊飯器100Aは、内釜30内に米と水とを収容して加熱コイル11によって内釜30を加熱してご飯を炊き上げるが、炊飯中においては、内釜30内では主に蒸気が発生して、第二の連通孔63、おネバ溜め空間61a、第一の連通孔52、蓋体蒸気経路27aの順で通過し、蒸気口28から炊飯器100Aの外部へ排出される。
【0021】
そして、炊飯中には、蒸気とともにおネバが内釜30内を上昇し、蒸気とともに上昇したおネバは、第二の連通孔63から内蓋40A内のおネバ溜め空間61aに入り、おネバ溜め空間61aにおネバが溜め込まれる。このときおネバと蒸気とは分離され、蒸気は第一の連通孔52を通過して蒸気口28から炊飯器100Aの外部へ排出される。
【0022】
一方、分離されたおネバは第二の内蓋60Aが受け皿となり、溜まり部61に溜め込まれることになる。そして、炊飯終了後に内釜30内の圧力が下がると、開閉弁62は自重とおネバの重さにより下がり、連結口が開いてそこからおネバ溜め空間61a内に溜め込まれたおネバが内釜30内に戻されることになるため、美味しいご飯を炊き上げることができる。また、おネバを内釜30内に効率的に戻すことができる。
【0023】
図5は、本発明の実施の形態1に係る内蓋40Aを下面側から見た外観斜視図であり、
図6は、本発明の実施の形態1に係る内蓋40Aの側面概略図であり、
図7は、本発明の実施の形態1に係る内蓋40Aの分解斜視図であり、
図8は、本発明の実施の形態1に係る第一の内蓋50Aの外観斜視図であり、
図9は、本発明の実施の形態1に係る第二の内蓋60Aの外観斜視図である。
【0024】
次に、本実施の形態1に係る内蓋40Aについて
図5〜
図9を用いて詳細に説明する。
内蓋40Aは、上記の通り第一の内蓋50Aと第二の内蓋60Aとからなり、第二の内蓋60Aは第一の内蓋50Aの下面に対して着脱自在に取り付けられる。
【0025】
図8に示すように、第一の内蓋50Aは、その下面の外周部に第一のパッキン51が設けられており、その第一のパッキン51よりも内側には第一の係止部53および第二の係止部56が設けられている。なお、第一の係止部53と第二の係止部56とは、互いに対向する位置に設けられている。
図7に示すように、第一の係止部53は、第二の内蓋60Aの着脱時にスライド(移動)する第一の係止片54と、第一の係止片54を第一の内蓋50Aの中心方向に付勢するバネを介してスライド自在に保持する係止片ホルダー55とを備えている。また、第二の係止部56には、凹形状の凹部56aが設けられている。ここで、第一の係止片54は、耐蒸気性の高い材料であるシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)で構成されており、蒸気による経年劣化を抑制している。
【0026】
また、第一の内蓋50Aの下面に設けられている第一の係止部53よりも内側には、角丸な長方形状の孔である第一の連通孔52が二つ形成されている。なお、第一の連通孔52の数は二つに限定されない。また、第一の内蓋50Aの第一の係止部53側の外周端には、外側に向かって突出した第一の凸部57が設けられており、第一の内蓋50Aの外周端の第一の凸部57と対向する位置には、外側に向かって突出した第二の凸部58が設けられている。
【0027】
第一の係止片54は、
図6に示すように、第一の内蓋50Aの下面側に位置し、ユーザが移動させる際に把持するレバー部54aと、第一の内蓋50Aの蓋体20側となる面、つまり上面側に位置し、レバー部54aに連動して移動する干渉部54bと、第一の内蓋50Aの下面側に位置する凹形状の凹部54cとを備えている。
【0028】
第二の内蓋60Aは、その上面の外周部に第二のパッキン64が設けられている。また、
図9に示すように、中央部が下方に突出し、おネバ溜め空間61aを形成する溜まり部61が設けられている。溜まり部61の中央には開閉弁62が設けられており、溜まり部61の外周には円形状の孔である第二の連通孔63が複数形成されている。また、第二の内蓋60Aの外周端には、外側に向かって突出した第一の凸部65および第二の凸部66が設けられている。なお、第一の凸部65と第二の凸部66とは、互いに対向する位置に設けられている。
【0029】
開閉弁62は、例えば耐熱性を有するシリコンゴムなどで構成されており、連結口を開閉するものであり、炊飯時に発生する内釜30内の蒸気圧で上方に移動して連結口を密閉状態とし、炊飯が終了したときには、自重で下がって連結口を開状態とする。また、溜まり部61には、炊飯時に蒸気から分離されたおネバが溜まるようになっている。
【0030】
図10は、本発明の実施の形態1に係る第二の内蓋60Aの第一の内蓋50Aへの着脱方法を説明する内蓋40Aの側面概略図である。なお、
図10(a)は、第二の内蓋60Aの第一の内蓋50Aへの取り付け完了前の状態を示す図であり、
図10(b)は、第二の内蓋60Aの第一の内蓋50Aへの取り付け完了後の状態を示す図であり、
図10(c)は、第二の内蓋60Aの第一の内蓋50Aからの取り外し完了前の状態を示す図である。
【0031】
次に、第二の内蓋60Aの第一の内蓋50Aへの着脱方法について
図10を用いて説明する。
第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aに取り付けるには、まず、
図10(a)に示すように第二の内蓋60Aの第二の凸部66を第一の内蓋50Aの凹部56aに挿入する。その後、第二の内蓋60Aの第二の凸部66を中心として第二の内蓋60Aの第一の凸部65側を第一の内蓋50A側に回動させる、つまり、第二の内蓋60Aの第一の凸部65を第一の内蓋50Aの第一の係止片54に向かって押し付ける。すると、第一の内蓋50Aの第一の係止片54は第二の内蓋60Aの第一の凸部65と干渉、つまり接触し、第二の内蓋60Aの第一の凸部65に押された第一の内蓋50Aの第一の係止片54は、第一の係止片54を第一の内蓋50Aの中心方向に付勢するバネの弾性力に抗して第一の内蓋50Aの外側に移動する。第二の内蓋60Aの第一の凸部65が第一の内蓋50Aの凹部54cに到達したら、第一の内蓋50Aの第一の係止片54が第一の内蓋50Aの内側に移動し、
図10(b)に示すように第二の内蓋60Aの第一の凸部65が第一の内蓋50Aの凹部54cに係止される。このようにして、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aに取り付けることができる。
【0032】
一方、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aから取り外すには、
図10(c)に示すように第一の内蓋50Aのレバー部54aを把持して第一の係止片54を、第一の係止片54を第一の内蓋50Aの中心方向に付勢するバネの弾性力に抗して第一の内蓋50Aの外側に移動させる。そして、第二の内蓋60Aの第一の凸部65が第一の内蓋50Aの凹部54cに係止された状態が解除されたら、第二の内蓋60Aの第二の凸部66を中心として第二の内蓋60Aの第一の凸部65側を第一の内蓋50A側とは反対側に回動させる、つまり、第二の内蓋60Aの第一の凸部65を第一の内蓋50Aの第一の係止片54から離す。その後、第二の内蓋60Aの第二の凸部66を第一の内蓋50Aの凹部56aから抜く。このようにして、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aから取り外すことができる。
【0033】
図11は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの第一の内蓋50Aに第二の内蓋60Aが取り付けられている状態の蓋体20周辺の側面概略図であり、
図12は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの第一の内蓋50Aに第二の内蓋60Aが取り付けられていない状態の蓋体20周辺の側面概略図であり、
図13は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの第一の内蓋50Aに第二の内蓋60Aが取り付けられている状態の縦断面概略図であり、
図14は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの第一の内蓋50Aに第二の内蓋60Aが取り付けられていない状態の縦断面概略図である。なお、
図13(b)は、
図13(a)に示す炊飯器100Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示しており、
図14(b)は、
図14(a)に示す炊飯器100Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示している。
【0034】
次に、内蓋40Aの蓋体20への着脱方法について
図11〜
図14を用いて説明する。
内蓋40Aを蓋体20に取り付けるには、まず第一の内蓋50Aの第一の凸部57を蓋体20の下面と支持部26との間に挿入する。その後、第一の内蓋50Aの第一の凸部57を中心として第一の内蓋50Aの第二の凸部58側を蓋体20側に回動させる、つまり、第一の内蓋50Aの第二の凸部58側の端部を蓋体20の第二の係止片25に向かって押し付ける。第二の係止片25は、バネにより蓋体20の背面側へ付勢される。
【0035】
このとき、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられている状態であれば、蓋体20の第二の係止片25は第一の内蓋50Aの第二の凸部58側の端部と干渉し、第二の係止片25を蓋体20の背面側へ付勢するバネの弾性力に抗して押されて蓋体20の前面側に移動する。そして、第一の内蓋50Aの第二の凸部58が蓋体20の凹部25aに到達したら、蓋体20の第二の係止片25が蓋体20の背面側に移動し、
図11および
図13に示すように第一の内蓋50Aの第二の凸部58が蓋体20の凹部25aに係止される。このようにして、内蓋40Aを蓋体20に取り付けることができる。なお、このとき、第一の内蓋50Aの干渉部54bは蓋体20の周縁部27内、つまり蓋体蒸気経路27a内に収納されている。
【0036】
一方、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられていない状態であれば、
図12および
図14に示すように、第一の内蓋50Aの第一の凸部57を中心として第一の内蓋50Aの第二の凸部58側を蓋体20側に回動させると、第一の内蓋50Aの第二の凸部58側の端部が蓋体20の第二の係止片25と干渉する前に、第一の内蓋50Aの干渉部54bが蓋体20の周縁部27と干渉する。そして、第一の内蓋50Aがそれ以上蓋体20側に回動しないようになっている。
【0037】
図15は、本発明の実施の形態1に係る第一の内蓋50Aの第一の係止片54の干渉部54bの位置を説明する平面視図である。なお、
図15(a2)は
図15(a1)に示す第一の内蓋50Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示しており、
図15(b2)は
図15(b1)に示す第一の内蓋50Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示しており、
図15(c2)は
図15(c1)に示す第一の内蓋50Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示している。
【0038】
ここで、第一の内蓋50Aの第一の係止片54の干渉部54bの位置について説明する。
図15に示すように、第一の内蓋50Aの干渉部54bの位置は、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられている状態かどうかによって変わる。そして、
図15(a2)に示すように、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられている状態であれば、第一の内蓋50Aの干渉部54bは、第二の内蓋60Aの第一の凸部65によって押されて第一の内蓋50Aの外側に移動し、蓋体20の蓋体蒸気経路27a内に収納される位置、つまり蓋体20の周縁部27と干渉しない位置となる。一方、
図15(b2)に示すように、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられていない状態であれば、第一の内蓋50Aの干渉部54bは初期位置に移動し、蓋体20の周縁部27と干渉する位置となる。
【0039】
このように、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられていない状態では、第一の内蓋50Aを蓋体20に取り付けようとすると、第一の内蓋50Aの干渉部54bが蓋体20の周縁部27と干渉する位置にあるため、第一の内蓋50Aを蓋体20に取り付けられないようになっている。そのため、第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止することができる。
【0040】
また、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられていない状態では、第一の内蓋50Aの第一の凸部57を中心として第一の内蓋50Aの第二の凸部58側を蓋体20側に回動させると、第一の内蓋50Aの第二の凸部58側の端部が蓋体20の第二の係止片25と干渉する前に、第一の内蓋50Aの干渉部54bが蓋体20の周縁部27と干渉するようになっており、第一の内蓋50Aが蓋体20側に回動しないことを認識しやすくなっている。そのため、第一の内蓋50Aを蓋体20に無理矢理取り付けようとして第一の内蓋50Aの第二の凸部58側の端部を蓋体20の第二の係止片25に向かって押し付けるのを防止することができる。
【0041】
また、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aから取り外す際に必要な第一の内蓋50Aの第一の係止片54の移動量は、内蓋40Aが蓋体20に取り付けられた状態で第一の係止片54の干渉部54bが蓋体20の周縁部27と干渉するまでの移動量よりも大きい。つまり、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aから取り外すには、
図15(c2)に示すように、第一の内蓋50Aの干渉部54bを蓋体20の蓋体蒸気経路27a内に収納される位置からさらに第一の内蓋50Aの外側の位置に移動させる必要がある。そのため、内蓋40Aが蓋体20に取り付けられている状態では、第一の内蓋50Aの第一の係止片54を第二の内蓋60Aが取り外せる位置まで移動するより先に、第一の内蓋50Aの干渉部54bが第二の内蓋60Aの周縁部27に干渉するため、第二の内蓋60Aを取り外せないようになっている。これによって、内蓋40Aが蓋体20に取り付いた状態で、第二の内蓋60Aのみ取り外された状態になることを防止し、第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止することができる。
【0042】
また、第一の連通孔52は、第一の係止片54が設けられていない位置に形成されており、かつ、第一の係止片54の移動範囲外の位置に形成されている。そのため、第一の係止片54によって第一の連通孔52が塞がれることがなく、蒸気が蒸気口28から炊飯器100Aの外部へ排出されにくくなるのを抑制することができる。
【0043】
図16は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100Aの蓋体20に内蓋40Aが取り付けられていない状態の縦断面概略図である。なお、
図16(b)は、
図16(a)に示す炊飯器100Aの点線で囲まれた部分の拡大図を示している。
内蓋40Aが蓋体20に取り付けられている状態では、蓋体20の第二の係止片25は、内蓋40Aの端部によって押されて移動し、内釜30のフランジ31と干渉しない位置となるが、内蓋40Aが蓋体20に取り付けられていない状態では、
図16に示すように、蓋体20の第二の係止片25は初期位置に移動し、内釜30のフランジ31と干渉する位置となる。
【0044】
このように、内蓋40Aが蓋体20に取り付けられていない状態で蓋体20を閉めようとすると、蓋体20の第二の係止片25が内釜30のフランジ31と干渉する位置にあるため、蓋体20を閉められないようになっている。そのため、内蓋40Aの取り付け忘れを防止することができる。
【0045】
以上、本実施の形態1に係る炊飯器100Aによれば、第一の内蓋50Aが備える第一の係止片54により、第二の内蓋60Aを係止し、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aに取り付けることができる。また、第二の内蓋60Aが第一の内蓋50Aに取り付けられていない状態で第一の内蓋50Aを蓋体20に取り付けようとすると、第一の内蓋50Aの第一の係止片54と蓋体20とが干渉し、第一の内蓋50Aを蓋体20に取り付けることができない。そのため、第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止することができる。つまり、第一の係止片54により、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aに取り付けることができ、第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止することができるため、第二の内蓋60Aを第一の内蓋50Aに取り付ける機構と第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止する機構とを別に設ける必要がなく、コストを抑制しつつ、第二の内蓋60Aの取り付け忘れを防止することができる。
【0046】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては(一部の)説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
【0047】
図17は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器100Bの縦断面概略図であり、
図18は、本発明の実施の形態2に係る内蓋40Bを下面側から見た外観斜視図であり、
図19は、本発明の実施の形態2に係る内蓋40Bを上面側から見た外観斜視図であり、
図20は、本発明の実施の形態2に係る内蓋40Bの分解斜視図である。
本実施の形態2では、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに係止する構造が実施の形態1とは異なっている。
【0048】
図17〜
図19に示すように、第一の内蓋50Bの内釜30側となる面、つまり下面には、外周部に第一のパッキン51が設けられており、その第一のパッキン51よりも内側には第二の係止部56が設けられている。また、第一の内蓋50Bの蓋体20側となる面、つまり上面には、第一の係止部70が設けられている。なお、第一の係止部70と第二の係止部56とは、互いに対向する位置に設けられている。
図20に示すように、第一の係止部70は、第二の内蓋60Bの着脱時にスライド(移動)する第一の係止片71と、第一の係止片71をバネを介してスライド自在に保持する係止片ホルダー72とを備えている。また、第二の係止部56には、凹形状の凹部56aが設けられている。ここで、第一の係止片71は、耐蒸気性の高い材料であるシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)で構成されており、蒸気による経年劣化を抑制している。
【0049】
また、第一の内蓋50Bの下面の第一の係止部70よりも内側には、角丸な長方形状の孔である第一の連通孔52が二つ形成されている。なお、第一の連通孔52の数は二つに限定されない。また、第一の内蓋50Bの第一の係止部70側の外周端には、外側に向かって突出した第一の凸部57が設けられており、第一の内蓋50Bの外周端の第一の凸部57と対向する位置には、外側に向かって突出した第二の凸部58が設けられている。
【0050】
第一の係止片71は、第一の内蓋50Bの上面に位置しており、ユーザが移動させる際に把持するレバー部71aと、第一の内蓋50Bの外側に向かって突出した爪部71bと、第一の係止片71の両側面に設けられ爪部71bよりもさらに突出した干渉部71cとを備えている。また、係止片ホルダー72は、第一の内蓋50Bの上面に位置しており、凹形状の凹部72aと、干渉部71cが出入りする孔部72bとを備えている。また、係止片ホルダー72は、バネにより第一の係止片71を第一の内蓋50Bの外側方向に付勢する。
【0051】
第二の内蓋60Bは、第一の内蓋50B側となる面、つまり上面の外周部に第二のパッキン64が設けられている。また、中央部が下方に突出し、おネバ溜め空間61aを形成する溜まり部61が設けられている。溜まり部61の中央には開閉弁62が設けられており、溜まり部61の外周には円形状の孔である第二の連通孔63が複数形成されている。また、第二の内蓋60Bの外周端には、外側に向かって突出した第一の凸部80および第二の凸部66が設けられている。なお第一の凸部80と第二の凸部66とは、互いに対向する位置に設けられている。
第一の凸部80は、上記の通り第二の内蓋60Bの外側に向かって突出しており、さらに端部が上面側に向かって突出した爪部80aを備えている。
【0052】
図21は、本発明の実施の形態2に係る第二の内蓋60Bの第一の内蓋50Bへの着脱方法を説明する内蓋40Bの側面概略図である。なお、
図21(a)は、第二の内蓋60Bの第一の内蓋50Bへの取り付け完了前の状態を示す図であり、
図21(b)は、第二の内蓋60Bの第一の内蓋50Bへの取り付け完了後の状態を示す図であり、
図21(c)は、第二の内蓋60Bの第一の内蓋50Bからの取り外し完了前の状態を示す図である。
【0053】
次に、第二の内蓋60Bの第一の内蓋50Bへの着脱方法について
図21を用いて説明する。
第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに取り付けるには、まず、
図21(a)に示すように第二の内蓋60Bの第二の凸部66を第一の内蓋50Bの凹部56aに挿入する。その後、第二の内蓋60Bの第二の凸部66を中心として第二の内蓋60Bの第一の凸部80側を第一の内蓋50B側に回動させる、つまり、第二の内蓋60Bの第一の凸部80を第一の内蓋50Bの第一の係止片71に向かって押し付ける。すると、第一の内蓋50Bの第一の係止片71は第二の内蓋60Bの第一の凸部80の爪部80aと干渉、つまり接触し、第一の凸部80の爪部80aに押された第一の係止片71は、第一の係止片71を第一の内蓋50Bの外側方向に付勢するバネの弾性力に抗して第一の内蓋50Bの内側に移動する。第一の凸部80の爪部80aの底面が第一の係止片71の爪部71bの先端部を越えたら、第一の係止片71が第一の内蓋50Bの外側に移動し、
図21(b)に示すように第二の内蓋60Bの第一の凸部80の爪部80aが第一の内蓋50Bの第一の係止片71の爪部71bに係止される。このようにして、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに取り付けることができる。
【0054】
一方、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bから取り外すには、
図21(c)に示すように第一の内蓋50Bのレバー部71aを把持して第一の係止片71を第一の内蓋50Bの内側に移動させる。そして、第二の内蓋60Bの第一の凸部80の爪部80aが第一の内蓋50Bの第一の係止片71の爪部71bに係止された状態が解除されたら、第二の内蓋60Bの第二の凸部66を中心として第一の内蓋50Bの第一の凸部80側を第一の内蓋50B側とは反対側に回動させる、つまり、第二の内蓋60Bの第一の凸部80を第一の内蓋50Bの第一の係止片71から離す。その後、第二の内蓋60Bの第二の凸部66を第一の内蓋50Bの凹部56aから抜く。このようにして、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bからに取り外すことができる。
【0055】
図22は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器100Bの第一の内蓋50Bに第二の内蓋60Bが取り付けられている状態の蓋体20周辺の縦断面概略図であり、
図23は、本発明の実施の形態2に係る炊飯器100Bの第一の内蓋50Bに第二の内蓋60Bが取り付けられていない状態の蓋体20周辺の縦断面概略図である。なお、
図23(b)は、
図23(a)に示す炊飯器100Bの点線で囲まれた部分の拡大図を示している。
【0056】
次に、内蓋40Bの蓋体20への着脱方法について
図22〜
図23を用いて説明する。
内蓋40Bを蓋体20に取り付けるには、まず第一の内蓋50Bの第一の凸部57を蓋体20の下面と支持部26との間に挿入する。その後、第一の内蓋50Aの第一の凸部57を中心として第一の内蓋50Bの第二の凸部58側を蓋体20側に回動させる、つまり、第一の内蓋50Bの第二の凸部58側の端部を蓋体20の第二の係止片25に向かって押し付ける。第二の係止片25は、バネにより蓋体20の背面側へ付勢される。
【0057】
このとき、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられている状態であれば、蓋体20の第二の係止片25は第一の内蓋50Bの第二の凸部58側の端部と干渉し、第二の係止片25を蓋体20の背面側へ付勢するバネの弾性力に抗して押されて蓋体20の前面側に移動する。そして、第一の内蓋50Bの第二の凸部58が蓋体20の凹部25aに到達したら、蓋体20の第二の係止片25が蓋体20の背面側に移動し、
図22に示すように第一の内蓋50Bの第二の凸部58が蓋体20の凹部25aに係止される。このようにして、内蓋40Bを蓋体20に取り付けることができる。なお、このとき、第一の内蓋50Bの第一の係止片71全体であるレバー部71a、爪部71b、および、干渉部71cが蓋体20の周縁部27内、つまり蓋体蒸気経路27a内に収納されている。
【0058】
一方、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられていない状態であれば、
図23に示すように、第一の内蓋50Bの第二の凸部58側の端部が蓋体20の第二の係止片25と干渉する前に、第一の内蓋50Bの干渉部71cが蓋体20の周縁部27と干渉する。そして、第一の内蓋50Bがそれ以上蓋体20側に回動しないようになっている。
【0059】
図24は、本発明の実施の形態2に係る第一の内蓋50Bの第一の係止片71の干渉部71cの位置を説明する平面視図である。なお、
図24(a2)は
図24(a1)に示す第一の内蓋50Bの点線で囲まれた部分の拡大図を示しており、
図24(b2)は
図24(b1)に示す第一の内蓋50Bの点線で囲まれた部分の拡大図を示しており、
図24(c2)は
図24(c1)に示す第一の内蓋50Bの点線で囲まれた部分の拡大図を示している。
【0060】
ここで、第一の内蓋50Bの第一の係止片71の干渉部71cの位置について説明する。
図24に示すように、第一の内蓋50Bの干渉部71cの位置は、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられている状態かどうかによって変わる。そして、
図24(a2)に示すように、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられている状態であれば、第一の内蓋50Bの干渉部71cは、第二の内蓋60Bの第一の凸部80の爪部80aによって押されて第一の内蓋50Bの内側に移動し、蓋体20の蓋体蒸気経路27a内に収納される位置、つまり蓋体20の周縁部27と干渉しない位置となる。一方、
図24(b2)に示すように、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられていない状態であれば、第一の内蓋50Bの干渉部71cは初期位置に移動し、蓋体20の周縁部27と干渉する位置となる。
【0061】
このように、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられていない状態では、第一の内蓋50Bを蓋体20に取り付けようとすると、第一の内蓋50Bの干渉部71cが蓋体20の周縁部27と干渉する位置にあるため、第一の内蓋50Bを蓋体20に取り付けられないようになっている。そのため、第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止することができる。
【0062】
また、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられていない状態では、第一の内蓋50Aの第一の凸部57を中心として第一の内蓋50Bの第二の凸部58側を蓋体20側に回動させると、第一の内蓋50Bの第二の凸部58側の端部が蓋体20の第二の係止片25と干渉する前に、第一の内蓋50Bの干渉部71cが蓋体20の周縁部27と干渉するようになっており、第一の内蓋50Bが蓋体20側に回動しないことを認識しやすくなっている。そのため、第一の内蓋50Bを蓋体20に無理矢理取り付けようとして第一の内蓋50Bの第二の凸部58側の端部を蓋体20の第二の係止片25に向かって押し付けるのを防止することができる。
【0063】
また、第一の内蓋50Bが蓋体20に取り付いた状態では、第一の係止片71は蓋体蒸気経路27a内に収納され、触れることができない。そのため、第一の内蓋50Bが蓋体20に取り付いた状態で、第二の内蓋60Bのみを取り外すことはできない。これによって、第一の内蓋50Bが蓋体に取り付いた状態で、第二の内蓋60Bのみ取り外された状態になることを防止し、第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止することができる。
【0064】
また、第一の連通孔52は、第一の係止片71が設けられていない位置に形成されており、かつ、第一の係止片71の移動範囲外の位置に形成されている。そのため、第一の係止片71によって第一の連通孔52が塞がれることがなく、蒸気が蒸気口28から炊飯器100Aの外部へ排出されにくくなるのを抑制することができる。
【0065】
以上、本実施の形態2に係る炊飯器100Bによれば、第一の内蓋50Bが備える第一の係止片71により、第二の内蓋60Bを係止し、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに取り付けることができる。また、第二の内蓋60Bが第一の内蓋50Bに取り付けられていない状態で第一の内蓋50Bを蓋体20に取り付けようとすると、第一の内蓋50Bの第一の係止片71と蓋体20とが干渉するため、第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止することができる。つまり、第一の係止片71により、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに取り付けることができ、第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止することができるため、第二の内蓋60Bを第一の内蓋50Bに取り付ける機構と第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止する機構とを別に設ける必要がなく、コストを抑制しつつ、第二の内蓋60Bの取り付け忘れを防止することができる。