【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、重金属を包含する流体から重金属を除去する方法であって、30%vol.と60%vol.間の、硫黄を含浸させた活性炭触媒と、30%vol.と60%vol.間の、鉄を含浸させた活性炭触媒と、5%vol.と40%vol.間のフィラー材料(filler material)とを包含し、これら3つの成分全体で100%vol.になる混合物(mixture)と流体を接触させ、空乏レベルの重金属を含む流体を得るために、流体を混合物に接触させた状態で混合物に重金属を吸収させ、混合物から空乏レベルの重金属を含む流体を排出する方法、により達成される。
【0013】
驚いたことには、硫黄を含浸させた活性炭触媒と鉄を含浸させた活性炭触媒とフィラー材料との混合物を使用すると、流体から重金属を除去する方法がより効率的であることが分かった。また、5と40%vol.間のフィラー材料を使用すると、触媒の活性がより容易に再生されることも分かった。この実証例として、Kombisorbon(登録商標)ユニットは、工業用地において定期的に(1年に2−4回)再生される。この再生期間の後の乾燥期間は、活性炭だけの場合と比較して活性炭(80%)/フィラー材料(20%)混合物を含む反応層の場合、40%(48時間の代わりに28時間)以上短縮される。
【0014】
用語重金属は、相対的に高い密度を有しかつ低濃度で有毒又は有害なあらゆる金属化学元素を意味する。重金属の例としては、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)及び鉛(Pb)が含まれる。有毒な重金属は、特に環境状況においてその潜在的な毒性で知られているあらゆる相対的に濃密度の金属又は半金属である。用語は、主要な社会的関心が向けられている10の化学製品の世界保健機関のリストに全て示されている、カドミウム、水銀、鉛及びヒ素に特に適用されてきた。他の例としては、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、銀(Ag)及びアンチモン(Sb)を含んでいる。
【0015】
驚いたことには、この方法が、ガス、即ち、都市の固形廃棄物、産業固形廃棄物及び下水汚泥又は産業廃水から出る液体を除去する焼却プラントからの、セメント工業からの、石油精製からの、化学製造からの、金属仕上げからの、プリント回路製造からの、石油及びガス採取からの、及び危険な廃棄物からの排ガスから、重金属を除去するのに使用可能であることが分かった。
【0016】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.、39%vol.、40%vol.、41%vol.、42%vol.、43%vol.、44%vol.、45%vol.、46%vol.、47%vol.、48%vol.、49%vol.、50%vol.、51%vol.、52%vol.、53%vol.、54%vol.、55%vol.、56%vol.、57%vol.、58%vol.又は59%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0017】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.、59%vol.、58%vol.、57%vol.、56%vol.、55%vol.、54%vol.、53%vol.、52%vol.、51%vol.、50%vol.、49%vol.、48%vol.、47%vol.、46%vol.、45%vol.、44%vol.、43%vol.、42%vol.、41%vol.、40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.又は31%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0018】
好適実施形態においては、混合物は、40%vol.と50%vol.間の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0019】
好ましくは、硫黄を含浸させた活性炭触媒は、5%重量と20%重量間の硫黄を包含する。
【0020】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.、39%vol.、40%vol.、41%vol.、42%vol.、43%vol.、44%vol.、45%vol.、46%vol.、47%vol.、48%vol.、49%vol.、50%vol.、51%vol.、52%vol.、53%vol.、54%vol.、55%vol.、56%vol.、57%vol.、58%vol.又は59%vol.の、鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0021】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.、59%vol.、58%vol.、57%vol.、56%vol.、55%vol.、54%vol.、53%vol.、52%vol.、51%vol.、50%vol.、49%vol.、48%vol.、47%vol.、46%vol.、45%vol.、44%vol.、43%vol.、42%vol.、41%vol.、40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.又は31%vol.の、鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0022】
好適実施形態においては、混合物は、40%vol.と50%vol.間の、鉄を含浸させた活性炭触媒を包含する。
【0023】
好ましくは、鉄を含浸させた活性炭触媒は、10%重量と30%重量間の鉄を包含する。
【0024】
活性炭触媒は、好ましくは押出しされ、かつ0.80−130mmの粒径(grain size)を有する。活性炭触媒は、好ましくは粒状化され、かつ0.30から4.75mmの粒径を有する。従って、活性炭触媒は粉末状ではない。
【0025】
一実施形態において、活性炭触媒は、好ましくは、粒状化されかつ押出しされた触媒の混合物である。
【0026】
炭素触媒は、褐炭及び瀝青炭、果実の種、ココナツの殻、亜炭、泥炭、木材、おがくず/のこくず、石油コークス、骨屑及び製紙工場廃棄物(リグニン)、PVC、レーヨン、ビスコース、ポリアクリロニトリル又はフェノールのような合成ポリマーから製造できる。
【0027】
炭素触媒は、
物理的処理:熱、蒸気、酸素、CO
2、空気
化学的処理:酸、強塩基(strong base)又は塩類(例えば、硫酸、塩酸(chlorhydric acid)又はリン酸、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化亜鉛)で含浸
物理的及び化学的処理両者の組み合わせ
で活性化できる。
【0028】
活性炭触媒は、400から1800m
2/gの比表面積(specific surface area)(BET)及び酸又はアルカリpHを有することができる。
【0029】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも5%vol.、6%vol.、7%vol.、8%vol.、9%vol.、10%vol.、11%vol.、12%vol.、13%vol.、14%vol.、15%vol.、16%vol.、17%vol.、18%vol.、19%vol.、20%vol.、21%vol.、22%vol.、23%vol.、24%vol.、25%vol.、26%vol.、27%vol.、28%vol.、29%vol.、30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.又は39%vol.の、フィラー材料を包含する。
【0030】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.、31%vol.、30%vol.、29%vol.、28%vol.、27%vol.、26%vol.、25%vol.、24%vol.、23%vol.、22%vol.、21%vol.、20%vol.、19%vol.、18%vol.、17%vol.、16%vol.、15%vol.、14%vol.、13%vol.、12%vol.、11%vol.、10%vol.、9%vol.、8%vol.、7%vol.又は6%vol.の、フィラー材料を包含する。
【0031】
好適実施形態においては、フィラー材料は、5から15%vol.の量で存在する。
【0032】
好ましくは、フィラー材料は、プラスチック、金属、アルミナ、セラミック材料又はその混合物を包含する。
【0033】
種々の実施形態によれば、フィラー材料は、サドル(鞍形:saddle)形状、リング形状、球形状、円環(torus)形状、プリズム形状又は不規則な形状の中から選択された一形状である。
【0034】
具体的には、50−79%の自由体積を有するセラミック材料でできたフィラー材料を用い得る:
i.Novalox(登録商標)サドル(鞍形:saddle):12.7−76.2mm
ii.バール(Berl)サドル:4−50mm
iii.円筒状リング(Cylindrical ring):5−200mm
iv.Pall(登録商標)リング(ring):25−100mm
v.移行性格子ライニング(Transitional grid lining)
vi.1つの棒(bar)又は1つの十字形(cross)を備えた円筒状リング:80−200mm
vii.格子ブロック(Grid block):215×145×90mm
【0035】
具体的には、95−98%の自由体積を有する金属でできたフィラー材料を用い得る:
i.円筒状リング(Cylindrical ring):15−50mm
ii.Pall(登録商標)リング:15−90mm
iii.VSP(登録商標):25−50mm
iv.Top-Pak(登録商標):15mm
v.Novalox(登録商標)−M:15−70mm
vi.Twin-Pak(登録商標):10−15mm
vii.Interpak(登録商標):10−20mm
【0036】
具体的には、87−97%の自由体積を有するプラスチックでできたフィラー材料を用い得る:
i.Novalox(登録商標)サドル:12.7−50.8mm
ii.Pall(登録商標)リング:15−90mm
iii.VSP(登録商標):25−90mm
iv.Igel(登録商標):40mm
v. Netball(登録商標):45−90mm
【0037】
従って、フィラー材料は、混合された材料のいくつかの特性を改善、強化するために、活性炭触媒に添加された分離した別々の粒子から構成されている。フィラー材料の粒子は、一般的に、4mmを超える平均粒径(粒子の平均最大寸法(番号による)に基づいている)を有する。通常、それらの平均粒径(粒子の平均最大寸法(番号による)に基づいている)は、200mmよりも小さい。
【0038】
一実施形態において、硫黄を含浸させた活性炭触媒、鉄を含浸させた活性炭触媒及びフィラー材料の混合物は活性炭触媒とフィラー材料以外の固形成分を含まない。従って、これら3つの成分の総量が混合物の100%vol.を成している。混合物は、その構成要素が異なる粒径と異なる密度等を有するので、異種混合物であることは言うまでもない。混合物は、好ましくは、フィラーの分離した別々の粒子と活性炭触媒の分離した別々の粒子との混合物から成る。このことは、活性炭触媒を交換する必要がある時、活性炭触媒のフィラーからの分離を容易にする。
【0039】
種々の実施形態によれば、この方法は、流体がガス、好ましくは、下水焼却プラント、汚泥焼却プラント又は有害廃棄物焼却プラントからの排ガスである場合に使用することができる。
【0040】
好適実施形態においては、ガスは、少なくとも50mg/dscm、好ましくは少なくとも45mg/dscm、さらに好ましくは少なくとも40mg/dscmの重金属を包含する。
【0041】
好適実施形態においては、ガスは、少なくとも1000ng/dscm、好ましくは少なくとも500ng/dscm、さらに好ましくは少なくとも200ng/dscmのダイオキシンを包含する。ここで使用されている用語“ダイオキシン”は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants)で定義されたPCBsを含むダイオキシン及びダイオキシン様物質を意味する。
【0042】
種々の実施形態によれば、上記方法で使用される流体は、液体であり得る。
【0043】
好ましくは、液体は、少なくとも1時間、2時間、3時間又は10時間触媒組成物(catalyst composition)と接触した状態に置かれる。
【0044】
種々の実施形態によれば、液体は、少なくとも50mg/lの重金属、好ましくは少なくとも45mg/l、さらに好ましくは少なくとも40mg/lの重金属を包含する。
【0045】
好適実施形態においては、液体は、少なくとも20μg/l、好ましくは少なくとも2μg/l、さらに好ましくは少なくとも0.02μg/lのダイオキシンを包含する。