特許第6548872号(P6548872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548872
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/02 20060101AFI20190711BHJP
   D06F 37/16 20060101ALI20190711BHJP
   D06F 39/10 20060101ALI20190711BHJP
   D06F 37/12 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   D06F33/02 T
   D06F37/16
   D06F39/10 E
   D06F37/12 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-114874(P2014-114874)
(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公開番号】特開2015-228892(P2015-228892A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】川口 弘暁
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−094376(JP,A)
【文献】 実開平03−010877(JP,U)
【文献】 特開平11−300080(JP,A)
【文献】 特開2008−104714(JP,A)
【文献】 実開平03−049087(JP,U)
【文献】 特開2004−159973(JP,A)
【文献】 特開2011−224226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/02
D06F 37/12
D06F 37/16
D06F 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸形の洗濯槽と、
この洗濯槽の内底部に配置した撹拌体と、
この撹拌体を回転駆動する駆動装置と、
前記洗濯槽の内部に前記撹拌体の上方で該洗濯槽の内部を上下に仕切るように設置される仕切板と、
前記洗濯槽の前記仕切板下方の位置から前記仕切板上方の位置にかけて設けられた通水路であって、前記仕切板に対して上方の位置に出口部を有する通水路と、
この通水路を通して、前記仕切板より上方の前記出口部から前記洗濯槽内へと水を循環させる循環装置と、
前記通水路にそれを通る水からリントを捕獲するように設けられたフィルタと、
前記洗濯槽内に給水する給水装置と、
前記洗濯槽内の水位を検知する水位検知手段と、
洗濯機の運転を制御する制御手段と、を具備し、
前記制御手段は、前記水位検知手段の検知結果に基づいて、前記仕切板を使用すると共に前記駆動装置と前記循環装置を作動させる洗濯時の給水水位を、前記仕切板より下方の位置の水位であって前記作動による前記水の循環中に前記仕切板上の洗濯物に水面が達することがない水位となるように前記給水装置を制御し、その仕切板より下方の洗濯物を前記駆動装置の駆動による前記撹拌体の水流で洗い、当該仕切板上の洗濯物を前記循環装置により循環する前記出口部からの水で洗うように構成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記循環装置が、前記撹拌体の裏側に設けられたポンプ羽根と、前記回転槽の底部に形成されて前記ポンプ羽根を収容するポンプ室から成り、前記撹拌体の回転に伴う前記ポンプ羽根の回転による揚水作用で、前記通水路を通しての前記洗濯槽内の水の循環をさせるようになっていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記循環装置が、前記洗濯槽外に位置するポンプから成り、このポンプにより前記通水路を通しての前記洗濯槽内の水の循環をさせるようになっていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
前記フィルタを、前記通水路の前記ポンプより上流側に設けたことを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【請求項5】
前記フィルタを、前記通水路の前記ポンプより下流側であって前記通水路の出口部直前の位置に設けたことを特徴とする請求項3記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆる縦軸形の洗濯機においては、洗濯槽が軸方向を上下(縦)にした縦軸形で、この洗濯槽の内底部に配置した撹拌体を回転させて洗濯をするようになっている関係上、形くずれや布傷みしやすい洗濯物を洗うのに、ネット袋に洗濯物を入れて洗う方法が採用されている。
【0003】
又、デリケートな洗濯物を洗うのに、洗濯槽の内部を上記撹拌体の上方で仕切板により上下に仕切り、その下方で、洗濯物を撹拌体の回転による水流で洗うと共に、撹拌体との接触による機械力を与えて洗うのに対し、上方では、洗濯物に撹拌体との接触による機械力を与えず、撹拌体の回転による水流のみで洗うものが供されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
更に、同じくデリケートな洗濯物を洗うのに、洗濯槽の内部を撹拌体の上方で仕切った仕切板の下方で、洗濯物を撹拌体の回転による水流で洗うと共に、撹拌体との接触による機械力を与えて洗うのに対し、上方では、洗濯物に撹拌体との接触による機械力を与えず、洗濯槽の下部から揚げた水を上方よりシャワー状に振りかけて洗うものが供されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−159973号公報
【特許文献2】特開平9−94376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の、ネット袋に洗濯物を入れて洗う方法によれば、洗濯物が他の洗濯物と絡まることが避けられるものの、形くずれを防止するにはさほど効果がなかった。
一方、特許文献1に記載のものでは、仕切板の下方で洗われる洗濯物のみならず、上方で洗われる洗濯物も洗濯槽内の洗濯水に浸漬されるために、特にその水面付近に位置する洗濯物に、水面に浮遊して集まりやすいリント(糸くず)が付着しやすく、洗濯効果が損ねられるという問題点を有していた。
【0007】
又、特許文献2に記載のものでは、洗濯槽の下部から揚げた水に含まれるリントが仕切板の上方で洗われる洗濯物にかかり続けることで付着しやすく、洗濯効果がやはり損ねられるという問題点を有していた。
【0008】
そこで、洗濯物を形くずれさせず、リントの付着による洗濯効果の低下もなくして洗濯できる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の洗濯機は、縦軸形の洗濯槽と、この洗濯槽の内底部に配置した撹拌体と、この撹拌体を回転駆動する駆動装置と、前記洗濯槽の内部に前記撹拌体の上方で該洗濯槽の内部を上下に仕切るように設置される仕切板と、前記洗濯槽の前記仕切板下方の位置から前記仕切板上方の位置にかけて設けられた通水路であって、前記仕切板に対して上方の位置に出口部を有する通水路と、この通水路を通して、前記仕切板より上方の前記出口部から前記洗濯槽内へと水を循環させる循環装置と、前記通水路にそれを通る水からリントを捕獲するように設けられたフィルタと、前記洗濯槽内に給水する給水装置と、前記洗濯槽内の水位を検知する水位検知手段と、洗濯機の運転を制御する制御手段と、を具備し、前記制御手段は、前記水位検知手段の検知結果に基づいて、前記仕切板を使用すると共に前記駆動装置と前記循環装置を作動させる洗濯時の給水水位を、前記仕切板より下方の位置の水位であって前記作動による前記水の循環中に仕切板上の洗濯物に水面が達することがない水位となるように前記給水装置を制御し、その仕切板より下方の洗濯物を前記駆動装置の駆動による前記撹拌体の水流で洗い、当該仕切板上の洗濯物を前記循環装置により循環する前記出口部からの水で洗うように構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の特徴作用を示す主要部分の縦断面図
図2】洗濯機全体の縦断側面図
図3】デリケートコースの実行内容を示すフローチャート
図4】第2の実施形態を示す図1相当図
図5】第3の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態につき、図1から図3を参照して説明する。
まず、図2には、洗濯機の全体構成を示しており、外箱1を外殻とし、この外箱1の内部に水槽2aを、複数本(1本のみ図示)の吊り棒3a及びこの吊り棒3aにそれぞれ装設したスプリング3bを主体とする弾性支持機構3により、縦軸状態で揺動可能に弾性支持して配設している。
【0012】
水槽2aの内部には、回転槽2bを水槽2aと同心の縦軸状に配設しており、この回転槽2bと水槽2aとで洗濯槽4を構成している。この洗濯槽4は縦軸形であり、回転槽2bの周側部には脱水用の孔5を多数形成し、回転槽2bの上縁部に例えば液体封入形の回転バランサ6を装着している。
【0013】
回転槽2bの底部には、ポンプ室7を凹陥状に形成しており、このポンプ室7に撹拌体8の下半部を収容して回転槽2bの内底部(洗濯槽4の内底部)に該撹拌体8を配置している。撹拌体8は円盤状のもので、表側である上面部に撹拌羽根8aを放射状に複数(1つのみ図示)有し、裏側である下面部にポンプ羽根8bを同じく放射状に複数(2つのみ図示)有していて、更に、その間の基盤部に通水孔8cを複数(これも2つのみ図示)有している。
【0014】
前記ポンプ室7は上記撹拌体8のポンプ羽根8bを収容しており、このポンプ室7の周側部の1箇所(図で後部)に出口部7aを形成し、この出口部7aから上方に延ばして回転槽2bの周側部の1箇所(これも図で後部)に、通水路9を設けている。この通水路9は、詳細には上記回転槽2bの周側部の1箇所を縦長の通水路カバー10で覆って形成したものであり、上部寄りの途中部にフィルタ11を付設している。このフィルタ11は、詳しくは図示しないが、通水路9を後述のように通る洗濯水からリントを捕獲するものである。
【0015】
そして更に、通水路9の上端部には、散水口12を通水路カバー10に穿孔して形成している。この散水口12は通水路9を通った水を回転槽2bの内下方に向けてシャワー状に散水するものである(図1参照)。
【0016】
水槽2aの底部から下方には、駆動装置13を配設している。この駆動装置13は、詳しくは図示しないが、モータを主体とするもので、上記回転槽2bと撹拌体8とを直接的且つ選択的に回転させるようになっている。このほか、水槽2aの底部には排水口14を形成しており、この排水口14に連ねて水槽2aの下方には、排水弁15や排水ホース16から成る排水装置17を配設している。又、排水口14部分には、水槽2a内の水位を検知するためのエアトラップ18を並設している。
【0017】
一方、水槽2aの上端部にはリング状の水槽カバー19を装着しており、この水槽カバー19には、それの中央部の開口を開閉する内蓋20を取付けている。更に、この水槽カバー19の上方に位置して前記外箱1の上端部には、トップカバー21を装着しており、このトップカバー21は中央部に洗濯物出入口22を有し、この洗濯物出入口22を、この場合、二つ折りの外蓋23で開閉するようにしている。
【0018】
トップカバー21の後部には、給水弁24と、これに連通する洗剤投入部を有する給水ケース25と、この給水ケース25を前記水槽2aに接続する接続ホース26から成る給水装置27を配置しており、併せて、前記エアトラップ18に連なって前記水槽2a内(洗濯槽4内)の水位を検知する水位検出手段である水位センサ28を配置している。
トップカバー21の前部には、上面に、洗濯機の運転についての使用者の任意の操作に供する操作パネル29を設け、その裏側に洗濯機の作動全般を制御する制御手段である、例えばマイクロコンピュータを主体とする制御装置30を配置している。
【0019】
そして、前記回転槽2bの内部(洗濯槽4の内部)には、仕切板31の設置ができるようにしている。この仕切板31は、通水孔32を全域にわたり多数(一部のみ図示)有するもので、そのほか、裏面に、水中での浮遊を避けるためのおもり33を有している。この仕切板31に対して、前記回転槽2bの前記撹拌体8より上方の中間部の内周部には、仕切板載置部34を形成しており、仕切板31はこの仕切板載置部34に載置して回転槽2bの内部に水平状に設置できるもので、その設置状態では、前記回転槽2bの内部を前記撹拌体8の上方で上下に仕切るようになっている。又、その設置状態で、前記通水路9は、前記回転槽2b(洗濯槽4)の仕切板31下方の位置から仕切板31上方の位置にかけて存するようになっている。
【0020】
次に、上記構成の洗濯機の作用を述べる。
上記構成の洗濯機では、操作パネル29が有した操作キーによる操作で、洗濯及び脱水の行程が順に自動で、あるいは任意に選択して実行できるようになっており、更に、デリケートな洗濯物とそれ以外の洗濯物とを分けて洗うのに適した分け洗いコースを選択して実行することができるようになっている。
【0021】
分け洗いコースでは、回転槽2b内にデリケートではない洗濯物A(図1参照)を投入した後、仕切板31を設置し、その後に仕切板31上にデリケートな洗濯物B(図1参照)を投入する。
図3は、分け洗いコースの実行内容を示しており、同コースの運転が開始(S1)されると、最初に洗濯物量の検知を行う(S2)。分け洗いコースでのこの洗濯物量の検知は、上記仕切板31より下方に位置する洗濯物Aについて行うことになる。
【0022】
次いで、検知した洗濯物量に応じた給水水位の決定をする(S3)。この給水水位の決定は、後のすすぎ時に有効となるものであるが、このとき、検知した洗濯物量が仕切板31の正常な設置(仕切板載置部34上の載置)を妨げるような量であれば、異常の報知をするようにすることが好ましい。
次いで、決定した水位に応じた洗剤量の表示をし(S4)、給水ケース25の洗剤投入部への洗剤のセットを待って、給水装置27による給水を開始する(S5)。給水の開始後には、撹拌体8を、洗剤の溶解に適したモードで回転させて、供給した水に洗剤を溶解させる(S6)。
【0023】
この後、水位センサ28による水槽2a内の給水水位の検知をし(S7)、この場合、仕切板31より下方の位置での検知で給水を停止する(S8)。すなわち、この分け洗いコースでは、洗濯物A,Bを次に述べるように洗うときの水槽2a内の給水水位(洗濯槽4内の給水水位)を、回転槽2b内の仕切板31より下方の位置に制御するようにしている。従って、このときに制御装置30は水位制御手段として機能している。
【0024】
次いで、撹拌体8を、仕切板31の下方に位置する洗濯物Aを洗うのに適したモードで回転させて、洗濯物Aを洗う(S9)。これにより、洗濯物Aは撹拌体8の回転による水流で洗われると共に、撹拌体8との接触や静止状態の回転槽2bの内周面との接触等による機械力を受けて洗われる。
【0025】
この後、撹拌体8を、上述よりも駆動時間の長いモードで回転させる(S10)。この駆動時間の長いモードでの撹拌体8の回転に伴うポンプ羽根8bの回転により、回転槽2b内の水は、仕切板31より下方の位置において通水孔8cを通じポンプ室7に吸引され、該ポンプ室7の出口部7aから通水路9を通じ揚げられてフィルタ11を通り、そして図1に示すように、仕切板31より上方の位置において散水口12から回転槽2bの内下方に向けてシャワー状に散水されることを繰返して循環される。よって、ポンプ羽根8bとポンプ室7は、洗濯槽4内の水を通水路9を通して循環させる循環装置を構成するものであり、仕切板31上に位置するデリケートな洗濯物Bは、その循環装置によるシャワー状の散水を受けて押し洗いするように洗われる。
【0026】
又、このときには、仕切板31の下方に位置する洗濯物Aも、撹拌体8の回転による水流で洗われると共に、撹拌体8との接触や静止状態の回転槽2bの内周面との接触等による機械力を受けて洗われるものであり、その洗いによって洗濯物Aからはリントが出る。併せて、洗濯物Aからは、先(S9)での洗いによってもリントが出ており、それが上記ステップ(S10)で出たリントに加わる。そして、それらのリントは、上述のポンプ室7から通水路9を通じて揚げられる水に伴って通水路9を通るが、フィルタ11を通る過程で該フィルタ11に捕獲される。
従って、仕切板31より上方の位置において散水口12からシャワー状に散出される水を受けて洗われる洗濯物Bにリントがかかることはない。
【0027】
この後、排水装置17による水槽2a内及び回転槽2b内からの排水をし(S11)、次いで、回転槽2bを、前記洗濯物量の検知結果に応じた時間、高速回転させることによる洗濯物A,Bの遠心脱水をし(S12)、その後に給水装置27による給水を開始する(S13)。
そして、水位センサ28による水槽2a内の給水水位の検知をし(S14)、この場合には、仕切板31上の洗濯物Bまで充分に浸漬する水位に達したところで給水を停止する(S15)。
【0028】
この後、撹拌体8を、先(S9)の仕切板31の下方に位置する洗濯物Aをすすぐのに適したモードで回転させて、洗濯物Aをすすぐ(S16)。このとき、仕切板31の上方では、撹拌体8の回転に伴う弱い水流が仕切板31の通水孔32を通じて生じるので、仕切板31の上方に位置する洗濯物Bもデリケートな布質に適した水流ですすがれる。
この後、排水装置17による水槽2a内及び回転槽2b内からの排水をし(S17)、次いで、回転槽2bを高速回転させることによる洗濯物A,Bの遠心脱水をし(S18)、その後に運転の終了をする(S19)。
【0029】
このように本実施形態においては、洗濯槽4の内部を仕切板31により上下に仕切って行う洗濯時(分け洗いコース)に、仕切板31より下方の洗濯槽4内の水を、通水路9を通して仕切板31の上方から、該仕切板31上に置いた洗濯物Bにシャワー状に振りかけていわば押し洗いするように洗うもので、これにより洗濯物Bを形くずれさせずに洗うことができる。
【0030】
そして特に、上記通水路9にはフィルタ11を設けて該通水路9を通る水からリントを捕獲するようにしている。これにより、仕切板31の下方に位置して撹拌体8の回転による水流並びに撹拌体8との接触や回転槽2bの内周面との接触等による機械力で洗われる洗濯物Aから出たリントは、フィルタ11に捕獲されて仕切板31上の洗濯物Bにかかることが実質的になくされる。
【0031】
又、本実施形態においては、上記分け洗いコースで、洗い時における洗濯槽4内の水位を洗濯槽4内の仕切板31より下方の位置に制御するようにしている。これにより、洗濯槽4内の水(洗濯水)が仕切板31上の洗濯物Bに達することはなく、上述の仕切板31より下方の洗濯物Aから出て水中、特には水面部分に浮遊するリントが仕切板31上の洗濯物Bに達することもない。
このようにして本実施形態においては、洗濯物Bを形くずれさせず、リントの付着による洗濯効果の低下もなくして洗濯できる。
【0032】
加えて、本実施形態においては、洗濯槽4内の水を通水路9を通し循環させて仕切板31上の洗濯物Bにシャワー状に振りかけさせる循環装置を、撹拌体8の裏側に設けたポンプ羽根8bと、回転槽2bの底部に形成されてポンプ羽根8bを収容するポンプ室7とにより構成しており、これによって、必要な循環装置を洗濯機本来の構成要素を工夫することで構成でき、合理的ならしめ得る。
【0033】
以上に対して、図4及び図5は第2及び第3の実施形態を示すもので、それぞれ、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0034】
[第2の実施形態]
図4に示す第2の実施形態においては、第1の実施形態の通水路9に代わる通水路41を、水槽2aの底部から上方部にかけて(洗濯槽4の仕切板31下方の位置から仕切板31上方の位置にかけて)水槽2aの外部に配管した管路で構成し、その途中(水槽2aの底部側)に、第1の実施形態の循環装置に代わる循環装置としてポンプ42を設けている。従って、この場合、回転槽2b外に位置させてポンプ42を設けている。
このようにすることにより、そのポンプ42を回転槽2b外に付設するだけで必要な回転槽2b内の水の循環を行わしめ得る効果が得られる。
【0035】
又、この場合、通水路41のポンプ42より上流側(水槽2aの底部側)に、第1の実施形態のフィルタ11に代わるフィルタ43を設けている。
このようにすることにより、仕切板31上の洗濯物Bにリントがかかることのないようにできるばかりでなく、ポンプ42へのリントの侵入をも防ぐことができ、ポンプ42のリント詰まりによる故障など、不具合の発生を防止できる。
【0036】
更に、この場合、排水経路である排水ホース16を通水路41のフィルタ43部分から分岐させて設けており、この構成により、フィルタ43を排水経路の上流側(水槽2aの底部側)に設けている。
このようにすることにより、排水経路へのリントの侵入をも防ぐことができ、排水経路リント詰まりなどの不具合の発生を防止することができる。
【0037】
[第3の実施形態]
図5に示す第3の実施形態においては、上述のフィルタ43とも代わるフィルタ51を通水路41のポンプ42より下流側であって通水路41の出口部41a直前の位置に設けている。
このようにすることにより、仕切板31上の洗濯物Bにリントがかかることのないようにできるのはもとより、特にはフィルタ51の捕獲したリントを取除く等の手入れが使用者により容易にできるようになる効果が得られる。
【0038】
以上説明した洗濯機は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
そのほか、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
図面中、4は洗濯槽、7はポンプ室(循環装置)、8は撹拌体、8bはポンプ羽根(循環装置)、9は通水路、11はフィルタ、13は駆動装置、27は給水装置、28は水位センサ(水位検出手段)、30は制御装置(水位制御手段)、31は仕切板、41は通水路、41aは通水路の出口部、42はポンプ(循環装置)、43はフィルタ、51はフィルタを示す。
図1
図2
図3
図4
図5