(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明にかかる潜熱顕熱分離型の空調システム1の実施形態を説明する。
【0042】
図1は、第1実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムを示す図である。
図2は、第1実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの空気線図である。
【0043】
第1実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAに居室30から送風された還気RAの一部を混合して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0044】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしてのデシカントローター11と、顕熱ローター12と、アフタークーラー13と、再生ヒーター14と、を有する。また、顕熱ローター12とアフタークーラー13の間には、還気RAを外気OAに混合する混合部50を有する。
【0045】
第1実施形態のデシカントローター11は、除湿処理が可能な一般的なデシカントローターでよい。顕熱ローター12は、外気OAと還気RAとで顕熱交換する。アフタークーラー13は、還気RAを外気OAに混合することで冷却除湿の目標露点温度を上げることができ、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用できる。再生ヒーター14は、排熱やヒートポンプの室熱を用いることができる。
【0046】
また、第2空調機20は、冷却部材としての冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。冷却コイル21は、顕熱のみを処理するため高温冷水(14℃〜16℃程度)を用いることができ、冷凍機の効率が向上する。
【0047】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節することが可能となっている。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0048】
図1に示すように、第1実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、高負荷時に、以下のように処理する。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、デシカントローター11で除湿する。
(2)デシカントローター11で除湿された外気OAの熱を顕熱ローター12で奪う。
(3)顕熱ローター12で熱を奪われた外気OAに居室30から送風された還気RAを混合部50で混合する。
(4)(3)において還気RAと混合した外気OAをアフタークーラー13で冷却除湿する。
(5)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(6)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(7)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、(2)において奪った熱を用いて顕熱ローター12で加熱する。
(W2)顕熱ローター12で加熱した還気RAを再生ヒーター14でさらに加熱する。
(W3)再生ヒーター14で加熱された還気RAをデシカントローター11に通過させ、潜熱をデシカントローター11から除去し、排気EAとして送風する。
【0049】
このように、デシカントローター11で除湿した後の高温の外気OAを顕熱ローター12で熱交換すると、還気RAが顕熱ローター12を通過する際に高温になるので、再生ヒーター14によるW(2)での加熱エネルギを小さくすることが可能となる。
【0050】
しかしながら、デシカントローター11で除湿した後の高温の外気OAを顕熱ローター12で熱交換した後、さらに冷却する必要があるが、このままアフタークーラー13で冷却すると、7℃程度の冷水では除湿量が不足し、潜熱顕熱分離空調ができなくなる。
【0051】
そこで、第1実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、デシカントローター11で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで必要絶対湿度を上げ、アフタークーラー13のための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0052】
また、還気RAが顕熱ローター12を通過する際に高温になり、再生ヒーター14によるW(2)での加熱エネルギを小さくすることができるので、熱源の選択肢を広くすることが可能となる。例えば、ヒートポンプ、コジェネ排熱、又は太陽熱等も利用可能となる。
【0053】
さらに、冷却コイル21は、顕熱のみを処理すれば良いため、高温冷水(14℃〜16℃程度)を使用できる。
【0054】
図3は、第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムを示す図である。
図4は、第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの空気線図である。
【0055】
第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAに居室30から送風された還気RAの一部を混合して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0056】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしての全熱交換ローター16と、アフタークーラー13と、を有する。また、顕熱ローター12とアフタークーラー13の間には、還気RAを外気OAに混合する混合部50を有する。
【0057】
第2実施形態の全熱交換ローター16は、除湿処理が可能な一般的な全熱交換ローターでよい。アフタークーラー13は、還気RAを外気OAに混合することで冷却除湿の目標露点温度を上げることができ、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用できる。
【0058】
また、第2空調機20は、冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。
【0059】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節することが可能となっている。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0060】
図3に示すように、第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、高負荷時に、以下のように処理する。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16で排気EAと熱交換し、冷却除湿する。
(2)全熱交換ローター16で冷却除湿された外気OAに居室30から送風された還気RAを混合部50で混合する。
(3)(2)において還気RAと混合した外気OAをアフタークーラー13で冷却除湿する。
(4)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(5)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(6)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16に通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0061】
第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、特に夏期に用いられることが好ましい。全熱交換ローターのため再生ヒーターは、不要となる。
【0062】
しかしながら、全熱交換ローター16で除湿した後の外気OAは、まだ温度が高く、さらに冷却減湿する必要があるが、このままアフタークーラー13で冷却すると、一般的な冷水(7℃程度)では除湿不足となる。
【0063】
そこで、第2実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、全熱交換ローター16で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで必要絶対湿度を上げ、アフタークーラーのための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0064】
また、1つの全熱交換ローター16のみを用いることで、安価に潜熱顕熱分離方式の空調システム1を構築することが可能となる。
【0065】
図5は、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムを示す図である。
図6は、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの夏期の空気線図である。
図7は、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期を示す図である。
図8は、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期の空気線図である。
【0066】
第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAに居室30から送風された還気RAの一部を混合して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気
EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0067】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしての兼用ローター18と、アフタークーラー13と、再生ヒーター14を有する。また、顕熱ローター12とアフタークーラー13の間には、還気RAを外気OAに混合する混合部50を有する。
【0068】
第3実施形態の兼用ローター18は、回転数に応じてデシカントローターとしての機能と全熱交換ローターの機能を使い分けることが可能なローターである。回転数が2〜20rph程度の場合、デシカントローターとして機能し、主に除湿を行う。回転数が8〜20rpm程度の場合、全熱交換機として機能し、主に排気EAとの全熱交換を行う。
【0069】
兼用ローター18の回転数の変更は、図示しない駆動部の回転数を変更してもよいし、異なる減速比を有する図示しない減速部材を切り替えることで変更してもよい。
【0070】
アフタークーラー13は、還気RAを外気OAに混合することで冷却除湿の目標露点温度を上げることができ、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用できる。再生ヒーター14は、排熱やヒートポンプの室熱を用いることができる。
【0071】
また、第2空調機20は、冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。冷却コイル21は、顕熱のみを処理するため高温冷水(14℃〜16℃程度)を用いることができ、冷凍機の効率が向上する。
【0072】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節することが可能となっている。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0073】
第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、一例として、夏期等の高負荷期と中間期で第1空調機10の仕様を変更して処理する。
【0074】
まず、夏期等の高負荷期における第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図5及び
図6に示すように、夏期には、兼用ローター18は、回転数を10〜20rpmに上げて、全熱交換ローターとして使用する。なお、再生ヒーター14は使用しない。
【0075】
夏期における第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、兼用ローター18を全熱交換ローターとして使用し、冷却除湿する。
(2)全熱交換ローターで冷却除湿された外気OAに居室30から送風された還気RAを混合部50で混合する。
(3)(2)において還気RAと混合した外気OAをアフタークーラー13で冷却除湿する。
(4)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(5)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(6)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1,W2)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、再生ヒー
ター14を使用せず、全熱交換ローターとしての兼用ローター18を通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0076】
このように、夏期に用いられる第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、比較的高温の外気OAを、全熱交換ローターとして機能する兼用ローター18で冷却除湿するので、再生ヒーター14を使用する必要がなくなり、再生ヒーター14の作動のためのエネルギが不要となり、一般的なデシカント方式より省エネルギを実現することが可能となる。
【0077】
しかしながら、兼用ローター18で除湿した後の空気は、まだ高温であり、さらに冷却する必要があるが、このままアフタークーラー13で冷却すると、除湿量が不足し、7℃程度の冷水では、潜熱顕熱分離空調ができなくなる。
【0078】
そこで、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、兼用ローター18で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで必要絶対湿度を上げ、アフタークーラー13のための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0079】
また、1つの兼用ローター18のみを用いることで、安価に潜熱顕熱分離方式の空調システム1を構築することが可能となる。
【0080】
次に、中間期における第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図7及び
図8に示すように、中間期には、兼用ローター18は、回転数を2〜20rphに下げて、デシカントローターとして使用する。また、中間期には、アフタークーラー13は、使用しない。
【0081】
中間期における第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、兼用ローター18の回転数を下げることでデシカントローターとして使用し、除湿する。
(2,3,4)中間期では、デシカントローターで除湿された外気OAは、還気RAを混合されず、アフタークーラー13も使用されず、そのまま第1空調機10から第2空調機20に送風される。
(5)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(6)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、
再生ヒーター14で加熱する。
(W2)再生ヒーター14で加熱された還気RAを、デシカントローターとして使用している兼用ローター18に通過させ、潜熱をデシカントローターから除去し、排気EAとして送風する。
【0082】
このように、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、負荷にあわせて効率の良い潜熱顕熱分離空調をすることができ、中間期にも効率良く対応することが可能となる。
【0083】
さらに、第3実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、兼用ローター18の回転数を増して全熱交換器として用い、排エネルギを回収した後、アフタークーラー13に代えて温水等で加熱する加熱器を用い、冷却コイル21に代えて加熱コイルを用いること
で、冬期にも対応することが可能である。
【0084】
図9は、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの高負荷期を示す図である。
図10は、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの高負荷の空気線図である。
図11は、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期を示す図である。
図12は、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期の空気線図である。
【0085】
第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAに居室30から送風された還気RAの一部を混合して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0086】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしての兼用ローター18と、顕熱処理ローター12と、アフタークーラー13と、再生ヒーター14と、を有する。また、顕熱ローター12とアフタークーラー13の間には、還気RAを外気OAに混合する混合部50を有する。
【0087】
第4実施形態の兼用ローター18は、回転数に応じてデシカントローターとしての機能と全熱交換ローターの機能を使い分けることが可能なローターである。回転数が2〜20rph程度の場合、デシカントローターとして機能し、主に除湿を行う。回転数が8〜20rpm程度の場合、全熱交換ローターとして機能し、主に排気EAとの全熱交換を行う。
【0088】
兼用ローター18の回転数の変更は、図示しない駆動部の回転数を変更してもよいし、異なる減速比を有する図示しない減速部材を切り替えることで変更してもよい。
【0089】
顕熱処理ローター12は、外気OAと還気RAとで顕熱交換する。アフタークーラー13は、還気RAを外気OAに混合することで冷却除湿の目標露点温度を上げることができ、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用できる。再生ヒーター14は、排熱やヒートポンプの室熱を用いることができる。
【0090】
また、第2空調機20は、冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。冷却コイル21は、顕熱のみを処理するため高温冷水(14℃〜16℃程度)を用いることができ、冷凍機の効率が向上する。
【0091】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節することが可能となっている。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0092】
第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、夏期等の高負荷期と中間期で第1空調機10の仕様を変更して処理する。
【0093】
まず、夏期等の高負荷期における第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図9及び
図10に示すように、夏期には、兼用ローター18は、回転数を8〜20rpmに上げて、全熱交換ローターとして使用する。なお、顕熱ローター12及び再生ヒーター14は使用しない。
【0094】
夏期における第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、兼用ローター18を全熱交換ローターとし
て使用し、冷却除湿する。
(2,3)全熱交換ローターで冷却除湿された外気OAに居室30から送風された還気RAを混合部50で混合する。
(4)(3)において還気RAと混合した外気OAをアフタークーラー13で冷却除湿する。
(5)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(6)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(7)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1,W2,W3)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、顕熱ローター12及び再生ヒーター14を使用せず、全熱交換ローターとしての兼用ローター18を通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0095】
このように、夏期に用いられる第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、比較的高温の外気OAを、全熱交換ローターとして機能する兼用ローター18で冷却除湿するので、再生ヒーター14を使用する必要がなくなり、再生ヒーター14の作動のためのエネルギが不要となり、一般的なデシカント方式より省エネルギを実現することが可能となる。
【0096】
しかしながら、兼用ローター18で除湿した後の空気は、まだ高温であり、さらに冷却する必要があるが、このままアフタークーラー13で冷却すると、除湿量が不足し、7℃程度の冷水では、潜熱顕熱分離空調ができなくなる。
【0097】
そこで、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、兼用ローター18で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで必要絶対湿度を上げ、アフタークーラー13のための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0098】
また、1つの兼用ローター18のみを用いることで、安価に潜熱顕熱分離方式の空調システム1を構築することが可能となる。
【0099】
次に、中間期における第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図11及び
図12に示すように、中間期には、兼用ローター18は、回転数を2〜20rphに下げて、デシカントローターとして使用する。また、中間期には、アフタークーラー13は、使用しない。
【0100】
中間期における第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、兼用ローター18の回転数を下げることでデシカントローターとして使用し、除湿する。
(2)デシカントローターで除湿された外気OAの熱を顕熱ローター12で奪う。
(3,4)中間期では、顕熱ローター12で熱を奪われた外気OAは、還気RAを混合されず、アフタークーラー13も使用されず、そのまま第1空調機10から第2空調機20に送風される。
(6)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(7)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第2空調機10に取り入れ、(2)において奪った熱を用いて顕熱ローター12で加熱する。
(W2)顕熱ローター12で加熱した還気RAを再生ヒーター14で加熱する。
(W3)再生ヒーター14で加熱された還気RAを除湿処理可能ローター11に通過させ、潜熱をデシカントローター11から除去し、排気EAとして送風する。
【0101】
このように、第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、負荷にあわせて効率の良い潜熱顕熱分離空調をすることができ、中間期にも効率良く対応することが可能となる。
【0102】
図13は、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの高負荷期を示す図である。
図14は、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの高負荷の空気線図である。
図15は、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期を示す図である。
図16は、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムの中間期の空気線図である。
【0103】
第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAに居室30から送風された還気RAの一部を混合して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0104】
第1空調機10は、プレクーラー19と、除湿可能ローターとしての兼用ローター18と、顕熱処理ローター12と、アフタークーラー13と、再生ヒーター14と、を有する。また、顕熱ローター12とアフタークーラー13の間には、還気RAを外気OAに混合する混合部50を有する。
【0105】
第5実施形態の兼用ローター18は、回転数に応じてデシカントローターとしての機能と全熱交換ローターの機能を使い分けることが可能なローターである。回転数が2〜20rph程度の場合、デシカントローターとして機能し、主に除湿を行う。回転数が8〜20rpm程度の場合、全熱交換ローターとして機能し、主に排気EAとの全熱交換を行う。
【0106】
兼用ローター18の回転数の変更は、図示しない駆動部の回転数を変更してもよいし、異なる減速比を有する図示しない減速部材を切り替えることで変更してもよい。
【0107】
プレクーラー19は、外気OAを冷却する。顕熱処理ローター12は、外気OAと還気RAとで顕熱交換する。アフタークーラー13は、還気RAを外気OAに混合することで冷却除湿の目標露点温度を上げることができ、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用できる。再生ヒーター14は、排熱やヒートポンプの室熱を用いることができる。
【0108】
また、第2空調機20は、冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。冷却コイル21は、顕熱のみを処理するため高温冷水(14℃〜16℃程度)を用いることができ、冷凍機の効率が向上する。
【0109】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節することが可能となっている。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0110】
第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、夏期等の高負荷期と中間期で第1空調機10のうち、使用する部分又は使用しない部分を切り替えて処理する。
【0111】
まず、夏期等の高負荷期における第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図13及び
図14に示すように、夏期には、兼用ローター18は、回転数を8〜20rpmに上げて、全熱交換ローターとして使用する。なお、プレクーラー19、顕熱ローター12及び再生ヒーター14は使用しない。
【0112】
夏期における第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1,2)外気OAを第1空調機10に取り入れ、兼用ローター18を全熱交換ローターとして使用し、冷却除湿する。
(3,4)全熱交換ローターで冷却除湿された外気OAに居室30から送風された還気RAを混合部50で混合する。
(5)還気RAと混合した外気OAをアフタークーラー13で冷却除湿する。
(6)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(7)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(8,8’)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1,W2,W3)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、顕熱ローター12及び再生ヒーター14を使用せず、全熱交換ローターとしての兼用ローター18を通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0113】
このように、夏期に用いられる第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、比較的高温の外気OAを、全熱交換ローターとして機能する兼用ローター18で冷却除湿するので、再生ヒーター14を使用する必要がなくなり、再生ヒーター14の作動のためのエネルギが不要となり、一般的なデシカント方式より省エネルギを実現することが可能となる。
【0114】
しかしながら、兼用ローター18で除湿した後の空気は、まだ高温であり、さらに冷却する必要があるが、このままアフタークーラー13で冷却すると、除湿量が不足し、7℃程度の冷水では、潜熱顕熱分離空調ができなくなる。
【0115】
そこで、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、兼用ローター18で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで必要絶対湿度を上げ、アフタークーラー13のための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0116】
次に、中間期における第4実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の処理について説明する。
図15及び
図16に示すように、中間期には、兼用ローター18は、回転数を2〜20rphに下げて、デシカントローターとして使用する。また、中間期には、アフタークーラー13は、使用しない。
【0117】
中間期における第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、以下のように処理される。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、デシカントローターとして使用する兼用ローター18の除湿能力で目標湿度を達成できる温度まで、プレクーラー19によってプレクーリングする。
(2)兼用ローター18の回転数を下げることでデシカントローターとして使用し、プレクーリングされた外気OAを除湿する。
(3)デシカントローターで除湿された外気OAの熱を顕熱ローター12で奪う。
(4,5,6)中間期では、顕熱ローター12で熱を奪われた外気OAは、還気RAを混合されず、アフタークーラー13も使用されず、そのまま第1空調機10から第2空調機20に送風される。
(7)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(8)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第2空調機10に取り入れ、(2)において奪った熱を用いて顕熱ローター12で加熱する。
(W2)顕熱ローター12で加熱した還気RAを再生ヒーター14で加熱する。
(W3)再生ヒーター14で加熱された還気RAを除湿処理可能ローター11に通過させ、潜熱をデシカントローター11から除去し、排気EAとして送風する。
【0118】
このように、第5実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、負荷にあわせて効率の良い潜熱顕熱分離空調をすることができ、中間期にも効率良く対応することが可能となる。また、プレクーラー19によって、プレクーリングをすることで、室内顕熱負荷が小さくても室温は再熱をせずに適温に保たれる。
【0119】
また、中間期でも外気温湿度が高く、デシカントローターとしての兼用ローター18で除湿することが困難であって、アフタークールで冷却除湿すると室温が低下してしまう低顕熱負荷の場合、プレクールを行うことで、低顕熱負荷であっても再熱が不要となり、省エネルギとなる。
【0120】
図17は、第6実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムを示す図である。
【0121】
第6実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAを冷却除湿して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0122】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしての全熱交換ローター16と、プレアフタークーラー13aと、アフタークーラー13bと、を有する。
【0123】
第6実施形態の全熱交換ローター16は、除湿処理が可能な一般的な全熱交換ローターでよい。プレアフタークーラー13aは、アフタークーラー13bの前に、高温冷水で予め冷却し、省エネルギを達成するためのものである。アフタークーラー13bは、一般的な空調で用いる7℃の低温冷水を使用し、室内ヒューミディスタット等によって冷水量が制御される。また、複数の室内空調機があり、複数の室内ヒューミディスタットが相反する値となった場合、いずれか1つの指示値を指標として冷水量を制御すればよい。
【0124】
また、第2空調機20は、冷却コイル21と、居室30に送風するためのファン22と、を有する。
【0125】
還気RAは、居室30から流路31を経て第1空調機10及び第2空調機20に送風される。流路31には、調整ダンパ32が設けられ、流量を調節してもよい。なお、調整ダンパ32は、各送風箇所に対してそれぞれ設けてもよい。
【0126】
図17に示すように、第6実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、高負荷時に、以下のように処理する。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16で排気EAと熱交換
し、冷却除湿する。
(2)全熱交換ローター16で冷却除湿された外気OAをプレアフタークーラー13aにおいて高温冷水で冷却除湿する。
(3,4)プレアフタークーラー13aで冷却除湿された外気OAをアフタークーラー13bで低温冷水で冷却除湿する。
(5)アフタークーラー13で冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(6)第1空調機10から送風された外気OA及び居室30から送風された還気RAを第2空調機20に取り入れ、冷却コイル21で冷却する。
(7)冷却コイル21で冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16に通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0127】
第6実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、特に夏期に用いられることが好ましい。全熱交換ローター16のため再生ヒーターは、不要となる。また、1つの全熱交換ローター16のみを用いることで、安価に潜熱顕熱分離方式の空調システム1を構築することが可能となる。
【0128】
しかしながら、全熱交換ローター16で除湿した後の外気OAは、まだ温度が高く、さらに冷却減湿する必要があるが、このままアフタークーラー13bで冷却すると、一般的な冷水(7℃程度)では除湿不足となる。
【0129】
そこで、第6実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、全熱交換ローター16で除湿した後、プレアフタークーラー13aで高温冷却することで、冷凍機効率の低い7℃冷水の使用量を少なくし、効率の良い除湿を可能としたものである。また、除湿が足りないときは、還気RAを外気OAに混合することで風量全体を増加させ、除湿量を増加させればよい。
【0130】
図18は、第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システムを示す図である。
【0131】
第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、外気OAを熱交換及び冷却して第2空調機20に送風すると共に、還気RAの一部を排気EAとして外部に排出する第1空調機10と、第1空調機10から送風される外気OA及び還気RAの一部を取り入れ、居室30に送風する第2空調機20と、を備える。
【0132】
第1空調機10は、除湿可能ローターとしての全熱交換ローター16と、プレアフタークーラー13aと、を有する。
【0133】
第2実施形態の全熱交換ローター16は、除湿処理が可能な一般的な全熱交換ローターでよい。プレアフタークーラー13aは、高温冷水により室内湿度よりやや高い湿度まで除湿する。
【0134】
また、第2空調機20は、アフタークーラー21aと、高温冷水コイル21bと、居室30に送風するためのファン22と、を有する。アフタークーラー21aは、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用し、室内ヒューミディスタット等によって冷水量が制御される。アフタークーラー21a及び高温冷水コイル21bは、並列に設置される。アフタークーラー21aには、第1空調機10から外気OAが送風される。また、アフタークーラー21aには、第1調整ダンパ32aで流量を調整された還気RAが居室30から送風される。高温冷水コイル21bには、第2調整ダンパ32bで流量を調整された還気RAが居
室30から送風され、顕熱を除去する。
【0135】
図18に示すように、第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1では、高負荷時に、以下のように処理する。
(1)外気OAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16で排気EAと熱交換し、冷却除湿する。
(2)全熱交換ローター16で冷却除湿された外気OAをプレアフタークーラー13aにおいて高温冷水で冷却除湿する。
(3)プレアフタークーラー13aで冷却除湿された外気OAを第1空調機10から第2空調機20に送風する。
(4a)プレアフタークーラー13aで冷却除湿された外気OA及び居室30から送風され第1調整ダンパ32aで流量を調整された還気RAをアフタークーラー21aにおいて低温冷水で冷却除湿する。
(4b)並行して、居室30から送風され第2調整ダンパ32bで流量を調整された還気RAを高温冷水コイル21bによって顕熱除去する。
(5)アフタークーラー21a及び高温冷水コイル21bで冷却された外気OAをファン22によって居室30に給気SAとして送風する。
(W1)居室30から送風された還気RAを第1空調機10に取り入れ、全熱交換ローター16に通過させ、熱交換して排気EAとして送風する。
【0136】
第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、特に夏期に用いられることが好ましい。全熱交換ローターのため再生ヒーターは、不要となる。また、1つの全熱交換ローター16のみを用いることで、安価に潜熱顕熱分離方式の空調システム1を構築することが可能となる。
【0137】
しかしながら、全熱交換ローター16で除湿した後の外気OAは、まだ温度が高く、さらに冷却減湿する必要があるが、このままアフタークーラー21aで冷却すると、一般的な冷水(7℃程度)では除湿不足となる。
【0138】
そこで、第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、全熱交換ローター16で除湿した後、プレアフタークーラー13aにおいて高温冷水で冷却除湿することで、アフタークーラー21aで使用する低温冷水の量を減らして効率を向上できる。また、除湿が足りないときは、還気RAを外気OAに混合することで風量全体を増加させ、除湿量を増加させればよいため、アフタークーラー21aのための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができる。
【0139】
図19は、本実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1の第2空調機20を複数設置した例を示す。
【0140】
第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、第2空調機20で除湿量を制御することが可能である。第2空調機20は、例えば、各階又は各室ごとに複数設置することが可能である。そのため、第7実施形態の潜熱顕熱分離方式の空調システム1は、
図18に示した第1調整ダンパ32a及び第2調整ダンパ32bを制御することで各階又は各室毎に分散処理して除湿することができ、各階又は各室をそれぞれ個別に快適に制御することが可能となる。また、各階又は各室毎の要求する量を除湿することができればよいので、システム全体の効率が向上する。
【0141】
また、還気RAを第1空調機10まで送風する必要がないため、流路31を形成するダクトのうち、第1空調機10と第2空調機20の間のダクトが必要ない。
【0142】
なお、
図17に示した第6実施形態及び
図18に示した第7実施形態は、低負荷時の対応として、
図9に示した第4実施形態の第1空調機10のアフタークーラー13の代わりに、プレアフタークーラー13a及びアフタークーラー13b,21aを備えたものとしてもよい。
【0143】
以上、本実施形態にかかる空調システム1は、外気OAを除湿するデシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18と、デシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18を通った外気OAを冷却し、居室30側に送風するアフタークーラー13と、デシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18を通りアフタークーラー13に送風される前の外気OAに居室30から送風される還気RAを混合する混合部50と、を備えるので、デシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18で除湿した後、還気RAを外気OAに混合することで、室内潜熱負荷を除去するための総除湿量に対する風量を大きくし、単位風量当たりの除湿量を下げ、冷却除湿に必要な露点温度を上げることで、必要冷却温度を一般的な冷水温度である7℃以上に高くすることが可能となる。
【0144】
本実施形態にかかる空調システム1は、居室30から送風される還気RAを加熱し、デシカントローター11、又は兼用ローター18に送風する再生ヒーター14を備えるので、デシカントローター11、又は兼用ローター18の除湿効率を向上させることが可能となる。
【0145】
本実施形態にかかる空調システム1は、デシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18を通り混合部50で混合される前の外気OAを、再生ヒーター14に送風される前の還気RAの顕熱により冷却する顕熱ローター12を備えるので、外気OAをデシカントローター11、全熱交換ローター16、又は兼用ローター18で除湿した後の高温の空気を顕熱ローター12で熱交換すると、還気RAが顕熱ローター12を通過する際に高温になるので、再生ヒーター14による加熱エネルギを小さくすることが可能となる。
【0146】
本実施形態にかかる空調システム1は、アフタークーラー13から送風された外気OAと居室30から送風された還気RAが送風される冷却部材21と、冷却部材21で冷却された空気を居室30に給気するファン22と、を備えるので、居室30の状況にあわせて冷却部材21の温度を調節することで、快適な給気SAを送風することが可能となる。
【0147】
本実施形態にかかる空調システム1は、全熱交換ローター16を通りアフタークーラー13b,21aに送風される前の外気を高温冷水で冷却除湿するプレアフタークーラー13aを備えるので、アフタークーラー13b,21aのための低温冷水の使用量を少なくすることができ、効率の良い除湿を可能としたものである。
【0148】
本実施形態にかかる空調システム1は、全熱交換ローター16とプレアフタークーラー13aを備える第1空調機10と、アフタークーラー21aと混合部50を備える第2空調機20と、を有するので、第2空調機20毎にそれぞれ個別に快適に制御することが可能となる。また、第2空調機20毎の要求する量を除湿することができればよいので、システム全体の効率が向上する。
【0149】
本実施形態にかかる空調システム1では、アフタークーラー21aは、プレアフタークーラー13aで冷却除湿された外気及び居室30から送風され第1調整ダンパ32aで流量を調整された還気RAを低温冷水で冷却除湿し、第2空調機20は、アフタークーラー21aに並行して、居室30から送風され第2調整ダンパ32bで流量を調整された還気を顕熱除去する高温冷水コイル21bを有するので、第1調整ダンパ32a及び第2調整
ダンパ32bを制御することで、第2空調機20毎にそれぞれ個別に快適に制御することが可能となる。
【0150】
本実施形態にかかる空調システムは、除湿可能ローターは、デシカントローター11からなるので、より効率の良い潜熱顕熱分離空調を可能とする。
【0151】
本実施形態にかかる空調システム1は、除湿可能ローターは、全熱交換ローター16からなるので、安価で効率の良い潜熱顕熱分離空調を可能とする。
【0152】
本実施形態にかかる空調システム1は、除湿可能ローターは、回転数を変更することによりデシカントローター11と全熱交換ローター16の機能を有するので、負荷にあわせて効率の良い潜熱顕熱分離空調を可能とする。
【0153】
本実施形態にかかる空調方法は、外気OAをデシカントローター11で除湿する第1の手順と、除湿された外気OAに居室30から送風される還気RAを混合する第2の手順と、還気RAが混合された外気OAを冷却する第3の手順と、冷却された外気OAに居室30から送風された還気RAがさらに混合される第4の手順と、還気RAがさらに混合された外気OAを冷却する第5の手順と、外気OAを居室30に給気する第6の手順と、を有するので、第2の手順によって第3の手順による一般的な空調で用いる冷水温度である7℃以上で除湿量の不足を補うことができ、効率の良い潜熱顕熱分離空調をすることが可能となる。
【0154】
本実施形態にかかる空調方法は、居室30から送風される還気RAを加熱する第7の手順と、 加熱した還気RAが第1の手順で除湿したデシカントローター11を乾燥する第8の手順と、を有するので、デシカントローター11の除湿効率を向上させることが可能となる。
【0155】
本実施形態にかかる空調方法は、第1の手順で除湿された外気OAを、第7の手順で加熱される前の還気RAの顕熱により熱交換して冷却する手順を有するので、加熱エネルギを小さくすることが可能となる。
【0156】
本実施形態にかかる空調方法は、外気OAを全熱交換ローター16で除湿する手順と、全熱交換ローター16で除湿した外気OAを高温冷水で冷却除湿する手順と、高温冷水で冷却除湿された外気OAを低温冷水で冷却除湿する手順と、低温冷水で冷却除湿された外気OAを居室30に給気する手順と、を有するので、必要絶対湿度を上げ、低温冷水で冷却除湿するための冷水の温度として、一般的な空調で用いる7℃冷水を使用することができ、効率の良い除湿を可能としたものである。また、除湿が足りないときは、還気RAを外気OAに混合することで風量全体を増加させ、除湿量を増加させればよい。
【0157】
本実施形態にかかる空調方法は、低温冷水で冷却除湿された外気OAに居室30から送風される還気RAを混合する手順と、還気RAが混合された外気OAを高温冷水で冷却除湿する手順と、を有するので、居室30毎に分散処理して除湿することができ、各居室30をそれぞれ個別に快適に制御することが可能となる。また、居室30毎の要求する量を除湿することができればよいので、システム全体の効率が向上する。
【0158】
本実施形態にかかる空調方法は、低温冷水で冷却除湿する前に、高温冷水で冷却除湿された外気OAに居室30から送風される還気RAを混合する手順を有するので、居室30毎に分散処理して除湿することができ、各居室30をそれぞれ個別に快適に制御することが可能となる。また、居室30毎の要求する量を除湿することができればよいので、システム全体の効率が向上する。
【0159】
なお、アフタークール方式とすることで、吸着除湿後の高い温度の空気との熱交換により再生空気用の熱回収量がプレクール方式より大きくなり、より省エネルギとなる。また、各実施形態でプレアフタークーラーを用いる方式を適用してもよい。
【0160】
また、高負荷時には、回転数を上げ、全熱交換器として使用することで再生空気加熱のための熱エネルギが不要となる。全熱交換器として使用する場合、アフタークールの熱エネルギが必要となるため、負荷、温湿度、及び冷凍機効率等の条件により、デシカント方式と全熱交換器のどちらが省エネルギとなるかは異なるが、一般的な事務所ビル等の条件では、全熱交換器+アフタークール方式の方がより省エネルギとなる。
【0161】
中間期では、外気温湿度条件が緩いため、兼用ローター18をデシカントローターとして使用した場合にも目標湿度まで除湿できる場合が多い。特に、室内顕熱負荷が小さい場合には、アフタークールで冷却除湿すると室温が下がりすぎて再熱負荷が発生するため、デシカントローター方式の方がより省エネルギとなる。
【0162】
また、本実施形態の空調システムでは、ローターの回転数を変更することで、兼用ローター18を全熱交換機とデシカントローターで切り替えて使用し、且つ、アフタークール前に還気RAを混合させることで、気象条件、負荷条件等の運転条件に応じて的確な運転制御が可能となる。
【0163】
さらに、第1空調機10は潜熱負荷を処理し、第2空調機20は顕熱のみを処理する潜熱顕熱分離空調を行い、第1空調機10は一般的な冷水の7℃で冷却除湿できるように、還気RAを混合してから冷却除湿する。これによって、第1空調機10は、7℃冷水を用いるが、第2空調機20には14℃〜16℃の高温冷水を使用することができ、冷凍機の効率を向上させることが可能となる。
【0164】
一般のデシカントサイクルでは、冬期の低温低湿外気との熱交換は難しかったが、ローターを全熱交換機として使用することで、冬期の熱交換が可能となり、年間のエネルギ効率が向上する。
【0165】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。