特許第6548911号(P6548911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548911
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】鉄道車両用ヘッドランプ
(51)【国際特許分類】
   B61D 29/00 20060101AFI20190711BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20190711BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20190711BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20190711BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20190711BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20190711BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20190711BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190711BHJP
【FI】
   B61D29/00
   F21S8/10 151
   F21S8/10 353
   F21S8/10 140
   F21S8/10 340
   F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-38509(P2015-38509)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-159704(P2016-159704A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】小島 周平
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−276739(JP,A)
【文献】 特開2014−229510(JP,A)
【文献】 特開2014−019394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21Y 115/10
F21Y 101/00
B61D 29/00
F21S 8/10
B60Q 1/04
B60Q 1/14
B60Q 1/26
B60Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の幅方向に配列され同時に点灯される複数の第1の半導体発光素子と前記幅方向に配列された複数のレンズ部とそれぞれし、前記幅方向に斜めに交差する第1の軸方向に沿って配置される複数の主光源ユニットと、
前記第1の軸方向に配列され同時に又は前記第1の軸方向に順次点灯可能な複数の第2の半導体発光素子を有する補助光源ユニットと、
前記主光源ユニットを収容する第1の収容部と、前記補助光源ユニットを収容する第2の収容部とを有する支持体と
を具備する鉄道車両用ヘッドランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両用ヘッドランプであって、
前記支持体は、前記複数の主光源ユニットを位置決めする第1の収容部と、前記補助光源ユニットを収容する第2の収容部とを有し、
前記第1の収容部は、前記複数の主光源ユニットから出射される照明光を拡散反射させる反射面を有する
鉄道車両用ヘッドランプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鉄道車両用ヘッドランプであって、
前記複数の主光源ユニットの各々は、前記方向及び前記第1の軸方向に直交する方向に配列され
鉄道車両用ヘッドランプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の鉄道車両用ヘッドランプであって、
前記複数の第2の半導体発光素子は、白色光又は赤色光を出射することが可能に構成される
鉄道車両用ヘッドランプ。
【請求項5】
請求項4に記載の鉄道車両用ヘッドランプであって、
前記鉄道車両用ヘッドランプは、前記鉄道車両の前部及び/又は後部に取り付けられる灯具である
鉄道車両用ヘッドランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両用の灯具に用いられる車両用ヘッドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両に設けられる灯具として、メタルハライドバルブ等の放電バルブを光源として備えたプロジェクタ型のものが採用されている。この鉄道車両用灯具は、放電バルブの放電発光部の光をリフレクタで反射し、集光レンズで集光して車両前方や後方へ照射するように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年においては、放電バルブに代わる新たな光源として、消費電力が少なくかつ長寿命な発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を鉄道車両用灯具に用いることが提案されている。例えば特許文献2には、赤色発光する第1の発光ダイオードと、白色発光する第2の発光ダイオードと、第1及び第2の発光ダイオードが配置される灯室を形成するハウジングとを備えた鉄道車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−23417号公報
【特許文献2】特開2014−19394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、空気抵抗の低減、デザイン性の向上等を目的として、新幹線や特急電車の先頭車両は流線形状をなすものが広く採用されている。このため、ヘッドランプとしての前照灯を構成する灯具の設計自由度が制限されつつある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の灯具では、奥行き方向に大きな寸法が必要となるため、灯具全体をコンパクトに構成することができない。一方、特許文献2に記載の灯具では、流線形の先頭車両に設置する上で、当該車両の流線形状を損なわずに前照灯として必要とされる光量の白色光を目的とする照射範囲に照明光を適切に出射することは容易でない。
【0007】
さらに、例えば鉄道の駅等においては、通過電車の進入を構内アナウンスや電光掲示板等でホームに待機している利用客に報知するのが一般的である。しかしながら、構内の報知だけでは必ずしもすべての利用客に通過電車の進入を十分に告知できるとは限られず、当該報知に気付いていない利用客にとっては、進入してきた車両を見たときに当該車両が停車するものと誤認することが考えられる。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、装置構成をコンパクトにしつつ、車両の流線形状を損なわずに目的とする照度及び照射範囲で照明光を出射することができ、さらに車両前方へ必要な情報を提示することができる車両用ヘッドランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る車両用ヘッドランプは、主光源ユニットと、補助光源ユニットと、支持体とを具備する。
上記主光源ユニットは、一軸方向に配列され同時に点灯される複数の第1の半導体発光素子を有する。
上記補助光源ユニットは、第1の軸方向に配列され同時に又は上記第1の軸方向に順次点灯可能な複数の第2の半導体発光素子を有する。
上記支持体は、上記主光源ユニットを収容する第1の収容部と、上記補助光源ユニットを収容する第2の収容部とを有する。
【0010】
上記車両用ヘッドランプにおいて、主光源ユニットは、一軸方向に多連に配列された複数の第1の半導体発光素子を有するため、車両の前方に向けて必要な照度の照明光を必要な範囲に適正に出射することができる。
また、上記車両用ヘッドランプは、補助光源ユニットを備えているため、第2の半導体発光素子の点灯形態によって車両の前方へ有意の情報を提示することができる。例えば、上記複数の第2の半導体発光素子を第1の軸方向に順次点灯させることで、前方に対して当該車両の接近、通過等の何等かの情報を提示することができる。
さらに、上記車両用ヘッドランプは、主光源ユニット及び補助光源ユニットを収容する支持体を備えているため、ヘッドランプ全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0011】
上記複数の第1の半導体発光素子は、上記第1の軸方向に対して斜めに交差する第2の軸方向にそれぞれ配列されてもよい。
上記第2の軸方向は、典型的には車両前方に直交する縦方向あるいは横方向である。これにより車両の流線形状を損なうことなく、必要な照度の照明光を所定の範囲内に適正に出射することができる。
【0012】
上記主光源ユニットは、上記第1の軸方向及び/又は上記第1の軸方向に直交する第3の軸方向に配列された複数の主光源ユニットを含んでもよい。
これにより、ヘッドランプとして要求される照度、照射範囲、光軸等を容易に実現することが可能となる。
【0013】
上記複数の第2の半導体発光素子は、典型的には、白色光又は赤色光を出射することが可能に構成されるが、これに限られず、黄色、青色等の他の色の光を出射することが可能に構成されてもよい。
例えば、上記車両用ヘッドランプが鉄道車両の前部に取り付けられる灯具として用いられる場合には、上記複数の第2の半導体発光素子は白色光を出射するように構成される。また、上記車両用ヘッドランプが鉄道車両の後部に取り付けられる灯具として用いられる場合には、上記複数の第2の半導体発光素子は赤色光を出射するように構成される。
なお、上記車両用ヘッドランプは、鉄道車両に限られず、乗用車や商業、二輪車等の一般車両のヘッドランプにも適用可能である。

【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、装置構成をコンパクトにしつつ、車両の流線形状を損なわずに目的とする照度及び照射範囲で照明光を出射することができ、さらに車両前方へ必要な情報を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプの全体を示す斜視図である。
図2】上記ヘッドランプを備えた鉄道車両を示す概略斜視図である。
図3】上記ヘッドランプの平面図である。
図4】上記ヘッドランプの正面図である。
図5】上記ヘッドランプの右側面図である。
図6図4におけるA−A線概略拡大断面図である。
図7】上記ヘッドランプにおける主光源ユニットの構成を示す要部の概略斜視図である。
図8】上記ヘッドランプにおける補助光源ユニットの点灯形態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、鉄道車両用のヘッドランプを例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプ(以下、単にヘッドランプという)の全体を示す斜視図である。図2は、本実施形態のヘッドランプが鉄道車両に取り付けられたときの状態を示す概略斜視図である。
なお、図においてX軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する3軸方向を示しており、X軸及びY軸は水平方向(特にY軸方向は車両の進行方向)、Z軸は高さ方向にそれぞれ対応する(以下の各図においても同様)。
【0018】
本実施形態のヘッドランプ1は、鉄道車両用の灯具として用いられ、先頭車両あるいは最後尾車両の左右両側にそれぞれ取り付けられる前部標識灯あるいは後部標識灯として構成される。図2に示すように、車両Tは流線形状を有しており、その前部の両側面にヘッドランプ1がそれぞれ取り付けられている。左右のヘッドランプ1はそれぞれ同一の構成を有し、その形状は左右において対称に構成される。ここでは左側のヘッドランプについて説明する。
【0019】
図3はヘッドランプ1の平面図、図4はその正面図、図5はその右側面図、図6は、図4におけるA−A線概略拡大断面図である。
【0020】
本実施形態のヘッドランプ1は、主光源ユニット10と、補助光源ユニット20と、支持体30と、カバー40と、筐体50とを備える。ヘッドランプ1は、前方に向かって先細り形状を有しており、その正面(前面)側は流線的に形成されている。
【0021】
主光源ユニット10は、複数(本例では5個)の主光源ユニット10A1,10A2,10B1,10B2及び10B3で構成される(以下、個別に説明する場合を除き、主光源ユニット10A1,10A2,10B1,10B2及び10B3を主光源ユニット10と総称する)。
【0022】
複数の主光源ユニット10は、それぞれ同一方向に配向された光軸を有し、典型的には、Y軸方向に平行又は略平行に各光軸が設定される。本実施形態では、上段側に2個、下段側に3個の計5個の主光源ユニット10が用いられる。主光源ユニット10の数はこれに限られず、また、主光源ユニット10は単数であってもよい。
【0023】
上段側に配置される2個の主光源ユニット10A1及び10A2は、例えばロービーム用の光源に用いられ、X軸方向に斜めに交差するa軸方向に配列される。a軸方向は、図1及び図3に示すように、上方から見てX軸を反時計回りに角度θだけ回転させた軸方向に対応する。図1及び図3に示すように、内側に位置する主光源ユニット10A1は、外側に位置する主光源ユニット10A2よりも前方側へ所定の長さだけ突出するように配置される。
【0024】
一方、下段側に配置される3個の主光源ユニット10B1,10B2及び10B3は、例えばハイビーム用の光源に用いられ、主光源ユニット10A1,10A2と同様にa軸方向に配列される。図1及び図3に示すように、中央側に位置する主光源ユニット10B2は、外側に位置する主光源ユニット10B3よりも前方側へ所定の長さだけ突出するように配置される。一方、内側に位置する主光源ユニット10B1は、中央側に位置する主光源ユニット10B2よりも前方側へ所定の長さだけ突出するように配置される。
【0025】
なお、ロービーム及びハイビーム用の主光源ユニットは、上述の例に限られず、適宜設定することが可能である。例えば、上段に配置される2個の主光源ユニット10A1,10A2がハイビーム用に、下段に配置される3個の主光源ユニット10B1〜10B3がロービーム用に、それぞれ設定されてもよい。
【0026】
主光源ユニット10A1及び10A2、並びに10B1〜10B3がそれぞれa軸方向に配列されることにより、流線形状の車両Tの側部からヘッドランプ1を過度に突出させることなくヘッドランプ1を車両Tに取り付けることが可能となるため、車両Tの流線形状が損なわれることを阻止することができる。したがって、a軸方向は、ヘッドランプ1が取り付けられる車両Tへ側部の形状や進行方向に対する角度等に応じて適宜設定することができる。
【0027】
また、図5及び図6に示すように、上下に多段で配置される主光源ユニット10において、下段に位置する主光源ユニット10B1,10B2及び10B3は、上段に位置する主光源ユニット10A1及び10A2よりも前方側へ所定の長さだけ突出するように配置されている。これにより、ヘッドランプ1全体の構成が流線的となるため、車両Tの流線形状を損なうことなくヘッドランプ1を車両Tへ取り付けることが可能となる。
【0028】
さらに、本実施形態において、主光源ユニット10は、相互に直交する2軸方向(a軸方向及びZ軸方向)に配列された複数の主光源ユニット10A1,10A2,10B1〜10B3で構成されているため、ヘッドランプとして要求される照度、照射範囲、光軸等を容易に実現することが可能となる。
【0029】
図7は、主光源ユニット10の構成を示す要部の概略斜視図である。
【0030】
各主光源ユニット10は、それぞれ同様の構成を有し、図7に示すように円筒をZ軸方向に押し潰したような略扁平な合成樹脂製の筒体11と、筒体11の前端部を覆う透光部12と、透光部12にX軸方向に等間隔で配列された複数のレンズ部120とを有する。筒体11の内部には、複数の第1の半導体発光素子L1と、これらを支持する第1の回路基板S1とがそれぞれ内蔵される(図6参照)。
【0031】
複数の第1の半導体発光素子L1は、それぞれ白色光を出射することが可能なLEDで構成される。LEDは、半導体チップであってもよいし、出射口にレンズが設けられた(例えば砲弾型の)パッケージ部品であってもよい。複数の第1の半導体発光素子L1の数は特に限定されず、本実施形態では4個の半導体発光素子が用いられる。
【0032】
複数の第1の半導体発光素子L1は、透過部12の複数のレンズ部120と対向するようにa軸方向(第1の軸方向)に斜めに交差するX軸方向(第2の軸方向)に等間隔に配置される。複数の第1の半導体発光素子L1は、同時に点灯されるように構成され、その出射光がレンズ部120を介して前方へ投射される。
【0033】
第1の回路基板S1は、図6に示すように、筒体11の前方側に実装面を前方(Y軸方向)に向けて設置される。第1の回路基板S1は、図示しない電源ユニットに電気的に接続され、その実装面に搭載された複数の第1の半導体発光素子L1に電力を供給する。
【0034】
一方、補助光源ユニット20は、主光源ユニット10の下方に配置される。補助光源ユニット20の正面形状は、図1及び図4に示すように、ヘッドランプ1の下縁に沿って形成された流線的な形状を有する。補助光源ユニット20は、図6に示すように合成樹脂製の筒体21と、筒体21の前端部を覆う透光部22とを有する。筒体21の内部には、複数の第2の半導体発光素子L2と、これらを支持する第2の回路基板S2とがそれぞれ内蔵される(図6参照)。
【0035】
第2の回路基板S2の実装面は、Y軸方向に対して所定角度上向きに配置される。筒体21の内面は反射面として機能し、第2の半導体発光素子L2からの出射光を反射させながら透光部22へ導く。透光部22は、カバー40の内面に対向し、カバー40の流線形状に対応するように斜めに配置される。透光部22は、光拡散機能を有していてもよい。
【0036】
複数の第2の半導体発光素子L2は、それぞれ白色光又は赤色光を出射することが可能なLEDで構成される。LEDは、第1の半導体発光素子L1と同様に、半導体チップであってもよいし、出射口にレンズが設けられた(例えば砲弾型の)パッケージ部品であってもよい。複数の第2の半導体発光素子L2は、筒体21の一方の側端部から他方の側端部に向かってa軸方向に間隔をあけて配列される。複数の第2の半導体発光素子L2は、同時に、又は、a軸方向に順次点灯可能に構成される。
【0037】
例えば、ヘッドランプ1が前照灯(前部標識灯)として機能する場合には、補助光源ユニット20は、複数の第2の半導体発光素子L2を白色光でa軸方向に順次点灯させることが可能に構成される。
一方、ヘッドランプ1が尾灯(後部標識灯)として機能する場合には、補助光源ユニット20は、複数の第2の半導体発光素子L2を赤色光で同時に点灯させるように構成される。
【0038】
図8A〜Eは、ヘッドランプ1が前照灯として機能するときの補助光源ユニット20の点灯形態の一例を示す正面図である。
【0039】
補助光源ユニット20は、例えば図8Aに示す無灯状態から、図8B、C,D及びEに示す順で、図中左端から右端にかけて順次、補助灯LSを点灯させる。図8Eは、補助光源ユニット20の複数の半導体発光素子L2がすべて点灯した状態を示しており、所定時間経過後、再び図8Aに示す無灯状態に戻り、図8B〜Eに示す順次点灯状態が繰り返される。補助光源ユニット20は、補助灯LSが図8A〜Eに示す状態で連続的に遷移するように複数の第2の半導体発光素子L2を発光させてもよいし、各状態を所定時間維持して段階的に遷移するように複数の第2の半導体発光素子L2を発光させてもよい。このように補助光源ユニット20は、照明用の光源というよりはむしろ、車両の前方へ所定の情報を提示する表示灯として構成される。
【0040】
例えば鉄道の駅などにおいては、通過車両の進入を構内アナウンスや電光掲示板等でホームに待機している利用客に報知するのが一般的である。しかしながら、構内の報知だけでは必ずしもすべての利用客に通過車両の進入を十分に告知できるとは限られず、当該報知に気付いていない利用客にとっては、進入してきた車両を見たときに当該車両が停車するものと誤認することが考えられる。
【0041】
本実施形態によれば、車両のヘッドランプ1に設けられた補助光源ユニット20に、当該車両が通過車両であることを示す情報を表示することで、ホームで待機する利用客に注意を促すことができる。これにより、進入してきた車両を見た利用客に、当該車両が通過車両であることを報知することが可能となる。
【0042】
通過車両であることを示す情報としては、例えば、図8A〜Eに示したように補助灯LSの点灯状態を連続的又は断続的に変化させたものが採用される。なお、上述の例のように補助灯LSの点灯領域の長さが時間変化する形態のほか、補助灯LSの照射領域や色を変化させたり、補助光源ユニット20内のすべての半導体発光素子L2を点滅させたりしてもよい。
【0043】
支持体30は、例えば合成樹脂材料で構成され、筐体50の内部に収容される。支持体30は、光源ユニット10を収容する第1の収容部31と、前記補助光源ユニット20を収容する第2の収容部32とを有する。
【0044】
第1の収容部31は、各主光源ユニット10に対応するように形成された複数の第1の収容部31A1,31A2,31B1,31B2及び31B3を含む(以下、個別に説明する場合を除き、第1の収容部31A1,31A2,31B1,31B2及び31B3を第1の収容部31と総称する)。
【0045】
第1の収容部31は、各主光源ユニット10を位置決め固定できるように構成される。各主光源ユニット10は、例えば、支持体30の後方側から前方側へ向けて挿入されることで、図6に示すような位置に固定される。この場合、図6に概略的に示すように、支持部材30の後端部に、主光源ユニット10の後端部と係合する係合部33が設けられてもよい。
【0046】
各第1の収容部31にはさらに、各主光源ユニット10から出射される照明光を拡散反射させる反射面34が設けられる。反射面34は、図1及び図3に示すように、各主光源ユニット10の前端部に隣接する底面部に部分的に形成されたシボ面で構成される。
反射面34は、白色等の塗膜で形成されてもよいし、金属膜、蒸着膜等であってもよい。反射面34は、主光源ユニット10の前縁部に平行な斜辺を有する三角形状に形成されるが、形状はこれに限られず、また、上記底面部の全域に形成されてもよい。
【0047】
第2の収容部32は、支持体30の下縁部に沿って形成されており、内部に補助光源ユニット20を収容する。第2の収容部32は、補助光源ユニット20の透光部22を外部へ露出させる開口を有し、その開口の内側周縁部に筒体21が固定される。
【0048】
カバー40は、透明なプラスチック材料の射出成形体で構成され、支持体30の前面を覆うように筐体50に固定される。カバー40は、全体的に流線形状を有しており、車両Tの側面と略連続的な面を形成するように構成される。カバー40は、典型的には、図示しないシールリングを介して支持体30あるいは筐体50に固定される。
【0049】
筐体50は、金属あるいは合成樹脂で構成され、支持体30を収容する空間部を有する。筐体50は、ヘッドランプ1の外部から各主光源ユニット10及び補助光源ユニット20へ電力を供給するケーブルあるいは端子部が設けられる。筐体50にはさらに、各主光源ユニット20及び補助光源ユニット20の光軸を調整するための機構部が収容される。
【0050】
以上のように構成される本実施形態のヘッドランプ1において、主光源ユニット10は、一軸方向(X軸方向)に多連に配列された複数の第1の半導体発光素子L1を有するため、車両Tの前方に向けて必要な照度の照明光を必要な範囲に適正に出射することができる。
【0051】
また、本実施形態のヘッドランプ1は、補助光源ユニット20を備えているため、第2の半導体発光素子L2の点灯形態によって車両Tの前方へ有意の情報を提示することができる。例えば、複数の第2の半導体発光素子L2をa軸方向に順次点灯させることで、前方に対して当該車両の接近、通過等の情報を提示することができる。
【0052】
さらに、本実施形態のヘッドランプ1は、主光源ユニット10及び補助光源ユニット20を収容する支持体30を備えているため、ヘッドランプ全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
例えば以上の実施形態では、主光源ユニット10における複数の第1の半導体発光素子L1をX軸方向に配列された例を説明したが、これに限られず、これら第1の半導体発光素子L1は、例えばZ軸方向に配列されてもよい。また、複数の主光源ユニット10は、a軸方向及びZ軸方向にそれぞれ配列される例に限られず、少なくとも一軸方向に配列されていればよい。
【0055】
さらに以上の実施形態では、車両用ヘッドランプとして、鉄道車両用のヘッドランプを例に挙げて説明したが、これに限られず、乗用車や商業者、二輪車等の一般車両のヘッドランプにも適用可能である。この場合、補助光源ユニットは、例えば、方向指示器等として機能させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…ヘッドランプ
10,10A1,10A2,10B1,10B2,10B3…主光源ユニット
20…補助光源ユニット
30…支持体
31,31A1,31A2,31B1,31B2,31B3…第1の収容部
32…第2の収容部
40…カバー
50…筐体
L1…第1の半導体発光素子
L2…第2の半導体発光素子
図1
図2
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図5
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図7
図8