(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記集熱器の全体または一部における日中での前記熱媒体の流通停止中にて、前記集熱器における前記熱媒体の流通を日中に再開する事を特徴とする、請求項2に記載の太陽熱集熱システム。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の太陽熱集熱システムの構成の第1の例を示す模式図である。
【0003】
図11の太陽熱集熱システムは、集熱器1と、ポンプ2と、熱媒体流路3と、加熱器4と、開閉弁5と、熱利用流体流路6とを具備し、太陽光線から太陽熱を集熱する。矢印X及びYは、互いに垂直な水平方向を示す。矢印Zは、鉛直方向を示す。
【0004】
熱媒体流路3内の熱媒体11は、ポンプ2で搬送され、集熱器1に流入する。熱媒体11は、集熱器1にて太陽光線により加熱される。加熱された熱媒体11は、集熱器1から流出して加熱器4に流入し、加熱器4内の熱利用流体12を熱交換により加熱する。
【0005】
加熱器4から流出した熱利用流体12は、熱利用流体流路6を介して不図示の熱利用先に流入する。熱利用先の例は温熱利用設備であり、熱利用先が例えば給湯設備であれば、加熱器4にて熱利用流体12である水が加熱され給湯される。熱利用先の別の例は発電設備であり、熱利用先が例えばランキンサイクルを構成するタービン発電設備であれば、加熱器4にて熱利用流体12であるタービン作動媒体が加熱される。熱利用先の別の例は水処理施設であり、熱利用先が例えば海水淡水化設備であれば、加熱器4にて熱利用流体12である海水が加熱される。
【0006】
熱利用流体12の熱は、熱利用先で利用され、熱利用流体12は、その温度が低下して熱利用先から流出する。このようにして、熱利用流体12は、加熱器4と熱利用先との間を熱利用流体流路6を介して循環する。熱利用流体流路6には、開閉弁5が設けられている。一方、熱媒体11の熱は、加熱器4で利用され、熱媒体11は、その温度が低下して加熱器4から流出する。このようにして、熱媒体11は、集熱器1と加熱器4との間を熱媒体流路3を介して循環する。
【0007】
図12及び
図13は、従来の集熱器1の構造を示す斜視図及び断面図である。
【0008】
集熱器1の種類には、集光型と非集光型がある。集光型の集熱器1の例は、トラフ型、フレネル型、タワー型などの集熱器1である。
図12及び
図13は、トラフ型の集熱器1の一例を示している。
【0009】
集熱器1は、
図13に示すように、反射鏡21と、集熱管22と、支柱23と、ガラス管24とを具備し、大地Gに設置されている。
【0010】
反射鏡21は、水平方向に長い曲面状の形状を有している。反射鏡21の長手方向に垂直な断面は、放物線である。集熱器1は、太陽光線S
1が放物線の軸K(焦点と頂点を結ぶ直線)と平行になるように、反射鏡21を回転駆動させる。即ち、反射鏡21は、太陽の高度に関して太陽を追尾する。符号S
2は、反射鏡21で反射された太陽光線S
1の反射光を示す。
【0011】
集熱管22は、放物線の焦点位置に設置されている。反射鏡21の回転中心は、集熱器1によって放物線の焦点である場合もあるし、焦点でない場合もある。
図13では、支柱23の先端が回転中心であり、反射鏡21は矢印A
1のように回転駆動される。反射鏡21と集熱管22は構造上つながっており一体化されているので、反射鏡21が矢印A
1のように回転すると、それに合わせて集熱管22も矢印A
2のように回転する。集熱管22の回転中心は、反射鏡21の回転中心と同一である。そのため、集熱管22の周方向位相の観点では、集熱管22における反射鏡21に最も近い表面場所は、反射鏡21が回転しても変わらない。
【0012】
図14は、従来の集熱器1の構造を示す拡大断面図である。
【0013】
集熱管22は、反射鏡21の水平軸と平行に配置された管である。太陽光線S
1は、反射鏡21で反射され、反射光S
2として集熱管22の位置に集光される。集熱管22の内部には、熱媒体11が流通している。熱媒体11は、集熱管22の一方の端から流入し、集熱管22の他方の端から流出する。
【0014】
集熱管22は、反射光S
2が集光される部分のみが、透明なガラス管24の中に設置されている。集熱管22は、例えば金属管である。集熱管22とガラス管24との間の空間は、真空13である事が望ましい。ただし、集熱管22とガラス管24との間のシール構造の都合上、集熱管22とガラス管24との間には空気がある場合もある。熱媒体11は例えば油であり、集光された反射光S
2により加熱される。
【0015】
図15は、従来の太陽熱集熱システムの構成の第2の例を示す模式図である。
図15の説明において、第1の例と同一部分の説明は省略する。
【0016】
図15の太陽熱集熱システムは、加熱器4の代わりに蓄熱槽7を具備している。
図15の太陽熱集熱システムはさらに、蓄熱槽7の入口付近にて熱利用流体流路6に設けられた開閉弁5に加えて、蓄熱槽7の出口付近にて熱利用流体流路6に設けられた開閉弁8と具備している。
【0017】
蓄熱運転時において、熱媒体流路3内の熱媒体11は、ポンプ2で搬送され、集熱器1に流入する。熱媒体11は、集熱器1にて太陽光線により加熱される。加熱された熱媒体11は、集熱器1から流出して蓄熱槽7に流入し、蓄熱槽7内の蓄熱物質14を熱交換により加熱する。このとき、開閉弁5、8は閉じられており、熱利用流体12は循環していない。
【0018】
熱利用運転時には、これらの開閉弁5、8が開けられる。その結果、熱利用流体流路6内の熱利用流体12が、蓄熱槽7に流入し、蓄熱物質14との熱交換により加熱される。このように、本システムの熱媒体11の熱は、蓄熱物質14を介して熱利用流体12に与えられる。蓄熱槽7から流出した熱利用流体12は、不図示の熱利用先に流入する。熱利用流体12の熱は、熱利用先で利用され、熱利用流体12は、その温度が低下して熱利用先から流出する。このとき、ポンプ2は停止しており、熱媒体11は循環していない。
【0019】
図16は、従来の太陽熱集熱システムの構成の第3の例を示す模式図である。
図16の説明において、第1及び第2の例と同一部分の説明は省略する。
【0020】
図16の太陽熱集熱システムは、
図15の太陽熱集熱システムと同様に、蓄熱槽7及び開閉弁8を具備している。ただし、
図16の蓄熱槽7は、蓄熱物質14を有していない。
【0021】
蓄熱運転時において、熱媒体流路3内の熱媒体11は、ポンプ2で搬送され、集熱器1に流入する。熱媒体11は、集熱器1にて太陽光線により加熱される。加熱された熱媒体11は、集熱器1から流出して蓄熱槽7に流入し、蓄熱槽7内の温度を上昇させていく。このとき、開閉弁5、8は閉じられており、熱利用流体12は循環していない。
【0022】
熱利用運転時には、これらの開閉弁5、8が開けられる。その結果、熱利用流体流路6内の熱利用流体12が、蓄熱槽7に流入し、蓄熱槽7内の熱媒体11との熱交換により加熱される。蓄熱槽7から流出した熱利用流体12は、不図示の熱利用先に流入する。熱利用流体12の熱は、熱利用先で利用され、熱利用流体12は、その温度が低下して熱利用先から流出する。このとき、ポンプ2は停止しており、熱媒体11は循環していない。
【0023】
図17は、従来の太陽熱集熱システムの構成の第4の例を示す模式図である。
図17の説明において、第1から第3の例と同一部分の説明は省略する。
【0024】
図17の集熱器1は、非集光型であり、太陽の追尾も行わない。
図17の太陽熱集熱システムは、集熱器1が家屋の屋上に設置された給湯システムである。
【0025】
蓄熱運転時において、熱媒体流路3内の熱媒体11は、ポンプ2で搬送され、集熱器1に流入する。熱媒体11の例は不凍液である。熱媒体11は、集熱器1にて太陽光線により加熱される。加熱された熱媒体11は、集熱器1から流出して蓄熱槽7に流入し、蓄熱槽7内の熱利用流体12を熱交換により加熱する。このとき、不図示の開閉弁5、8は閉じられており、熱利用流体12は循環していない。熱利用流体12の例は水である。
【0026】
熱利用運転時には、これらの開閉弁5、8が開けられる。その結果、蓄熱槽7内の熱利用流体12が、蓄熱槽7から流出して、不図示の熱利用先に流入する。熱利用流体12の熱は、熱利用先で利用され、熱利用流体12は、その温度が低下して熱利用先から流出する。このとき、ポンプ2は停止しており、熱媒体11は循環していない。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の太陽熱集熱システムの構成を示す模式図である。
【0047】
図1の太陽熱集熱システムは、
図16のシステムと同様に、集熱器1と、ポンプ2と、熱媒体流路3と、開閉弁5と、熱利用流体流路6と、蓄熱槽7と、開閉弁8とを具備している。本実施形態の蓄熱槽7は、
図16の蓄熱槽7に相当するが、
図11の加熱器4、
図15の蓄熱槽7、または
図17の蓄熱槽7に置き換えてもよい。これらの加熱器4や蓄熱槽7は、いずれも加熱装置の例である。本実施形態の集熱器1は、集光型でも非集光型でもよい。本実施形態の集熱器1は、例えばトラフ型である。
図1の太陽熱集熱システムはさらに、直達日射量計31と、制御部32とを具備している。
【0048】
直達日射量計31は、太陽光線の直達日射量を計測可能な位置、例えば、集熱器1付近に配置されている。直達日射量計31は、太陽光線の直達日射量を計測し、直達日射量の計測結果を制御部32に送信する。
【0049】
制御部32は、直達日射量計31から受信した直達日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。制御部32は例えば、熱媒体11の流通の停止、熱媒体11の流通の再開、熱媒体11の流量の調整などの制御を行う。本実施形態の制御部32は、ポンプ2のオン/オフや動作速度を制御する事で、熱媒体11の流通を制御する事ができる。制御部32はさらに、集熱器1、蓄熱槽7、開閉弁5、8などの動作を制御してもよい。
【0050】
以下、本実施形態の制御部32の動作について説明する。
【0051】
制御部32は、直達日射量計31を利用して直達日射量を継続的に監視し、直達日射量とあらかじめ定めておいた所定値とを定期的に比較する。所定値は例えば、制御部32のメモリまたはストレージに格納されている。所定値の例は、0W/m
2、または0W/m
2付近の値である。
【0052】
制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、直達日射量が所定値より大きいときには、ポンプ2の動作を継続する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が継続される。一方、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、直達日射量が所定値より小さくなったときには、ポンプ2を停止する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が停止される。
【0053】
制御部32は、直達日射量が所定値に一致するときには、熱媒体11の流通を継続してもよいし、熱媒体11の流通を停止してもよい。ただし、所定値を0W/m
2に設定する場合には、直達日射量が所定値に一致するときに熱媒体11の流通が停止される。この場合には、直達日射量が0W/m
2以外であれば熱媒体11の流通が継続され、直達日射量が0W/m
2であれば熱媒体11の流通が停止される。
【0054】
このように、制御部32は、直達日射量が所定値より小さくなったときには、ポンプ2を停止して、集熱器1における熱媒体11の流通を停止する。制御部32は、その後も直達日射量の監視を継続する。
【0055】
そして、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が所定値より小さいときには、ポンプ2の停止を継続する。これにより、熱媒体11の流通の停止が継続される。一方、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が所定値より大きくなったときには、ポンプ2の動作を再開する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が再開される。
【0056】
本実施形態では、ポンプ2の動作を再開するための所定値は、ポンプ2を停止するための所定値と同じ値である。ただし、これらの所定値は、互いに異なる値としてもよい。
【0057】
図2は、第1実施形態の太陽熱集熱システムにおける直達日射量及び獲得熱量の例を示すグラフである。
図2(a)は、直達日射量計31により計測される直達日射量の時間変化の一例を示す。
図2(b) の実線は、この直達日射量に対する集熱器1の獲得熱量の時間変化を示す。
図2(b)の獲得熱量は、集熱器1内の熱媒体11が流通したと仮定した場合に、集熱器1の出口に搬送される熱量を示す。熱媒体11の獲得熱量の総量は、集熱器1内の熱媒体11が集熱した熱量(
図2(b)にて点線で示す)の総量に一致する事になる。
【0058】
図2(a)の直達日射量は、時刻t
1に0W/m
2に低下している。そのため、所定値が0W/m
2である場合、ポンプ2は時刻t
1に停止される。その後、ポンプ2の停止は、時刻t
3まで継続される。一方、
図2(a)の直達日射量は、時刻t
3に0W/m
2から上昇している。そのため、ポンプ2の動作は時刻t
3に再開される。
【0059】
直達日射量がゼロになると、集熱器1の受熱量はゼロに減少する。一方、集熱器1の受熱量がゼロになっても、集熱器1は放熱している。よって、集熱器1の獲得熱量は、
図2(b)に示すように、直達日射量がゼロになると負値になる。
図2(b)では、直達日射量が時刻t
1からゼロになる事で、集熱器1の獲得熱量が時刻t
5から負値になっている。
【0060】
これは、
図18(b)でも見られる現象である。しかしながら、
図2(b)の負値の絶対値は
図18(b)の負値の絶対値より小さくなっている。理由は、本実施形態では、直達日射量がゼロになると、ポンプ2を停止するからである。ポンプ2の停止中には、熱媒体11が搬送されないため、熱媒体11により集熱器1から搬出される熱量はゼロである(そのため、ポンプ2の停止中の集熱量はゼロである)。よって、
図2(b)の負値の絶対値は、
図18(b)の負値の絶対値より小さくなる(詳細な理由は後述)。よって、本実施形態によれば、直達日射量がゼロのときの集熱器1の無駄な放熱を低減する事ができる。
【0061】
また、本実施形態では、直達日射量がゼロになるとポンプ2を停止させる。一方、直達日射量がゼロになってもポンプ2の動作を継続する場合には、集熱量が負値である期間にもポンプ2が動作する事になる。この場合、この期間には太陽光線からエネルギを得られないにもかかわらず、ポンプ2の動作により電力が消費されるため、エネルギの無駄が大きくなり、システムの獲得エネルギ量が大きく減少する。しかしながら、本実施形態によれば、直達日射量がゼロになるとポンプ2を停止させる事で、このようなエネルギの無駄を減らす事ができ、システムの獲得エネルギ量の低下を抑制する事ができる。
【0062】
また、熱媒体11の流通が停止すると、集熱器1の内壁面と熱媒体11との間の熱伝導が強制対流熱伝達ではなくなるため、集熱器1の内壁面と熱媒体11との間の熱伝達率が低下する。そのため、熱媒体11の流通が停止すると、集熱器1を通じての熱媒体11からの大気への放熱量は低減される。その結果、日の出から日の入りまでの集熱量はより増加するため、この事も本実施形態の獲得エネルギの増加に寄与する。
【0063】
また、熱媒体11の流通停止は、ポンプ2の停止以外の手法で実現してもよい。熱媒体11の流通停止は例えば、熱媒体流路3に設置された不図示の開閉弁を全閉する事で実現してもよい。この場合、熱媒体11の流通再開は、この開閉弁を開く事で実施できる。この開閉弁の動作は、制御部32により制御される。
【0064】
以上のように、本実施形態では、太陽光線の日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。よって、本実施形態によれば、集熱器1の集熱量の変動により太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0065】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の太陽熱集熱システムの構成を示す模式図である。
【0066】
図3の太陽熱集熱システムは、
図1の構成要素に加えて、温度計33、34を具備している。ただし、
図3では、直達日射量計31、ポンプ2、開閉弁5、熱利用流体流路6、蓄熱槽7、及び開閉弁8の図示が省略されている。
【0067】
温度計33は、集熱器1の入口付近の熱媒体流路3に設置されており、集熱器1の入口における熱媒体11の温度(入口温度)を計測する。集熱器1の入口は、第1箇所の例である。集熱器1の入口温度は、第1温度の例である。温度計33は、集熱器1の入口温度の計測結果を制御部32に送信する。
【0068】
温度計34は、集熱器1の出口付近の熱媒体流路3に設置されており、集熱器1の出口における熱媒体11の温度(出口温度)を計測する。集熱器1の出口は、第1箇所より熱媒体に関して下流の第2箇所の例である。集熱器1の出口温度は、第2温度の例である。温度計34は、集熱器1の出口温度の計測結果を制御部32に送信する。
【0069】
制御部32は、温度計33から受信した入口温度と温度計34から受信した出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、この温度差に基づいてポンプ2を停止する事で、熱媒体11の流通を停止する。本実施形態では、この温度差を、出口温度から入口温度を差し引いた値とする。よって、熱媒体11の温度が集熱器1内で上昇すれば、温度差は正となり、熱媒体11の温度が集熱器1内で低下すれば、温度差は負となる。
【0070】
また、制御部32は、直達日射量計31から受信した直達日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、この直達日射量に基づいてポンプ2の動作を再開する事で、熱媒体11の流通を再開する。
【0071】
以下、本実施形態の制御部32の動作について説明する。
【0072】
制御部32は、温度計33、34を利用して上記の温度差を継続的に監視し、温度差とあらかじめ定めておいた所定値(第1所定値)とを定期的に比較する。第1所定値は例えば、制御部32のメモリまたはストレージに格納されている。第1所定値の例は、0℃、または0℃付近の値である。第1所定値が0℃の場合、温度差と第1所定値との比較結果は、熱媒体11の温度が集熱器1内で上昇したか低下したかを示す。
【0073】
また、制御部32は、直達日射量計31を利用して直達日射量を継続的に監視し、直達日射量とあらかじめ定めておいた所定値(第2所定値)とを定期的に比較する。第2所定値は例えば、第1所定値と同様に、制御部32のメモリまたはストレージに格納されている。第2所定値の例は、0W/m
2、または0W/m
2付近の値である。
【0074】
制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が第1所定値より大きいときには、ポンプ2の動作を継続する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が継続される。一方、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が第1所定値より小さくなったときには、ポンプ2を停止する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が停止される。制御部32は、温度差が第1所定値に一致するときには、熱媒体11の流通を継続してもよいし、熱媒体11の流通を停止してもよい。
【0075】
このように、制御部32は、温度差が第1所定値より小さくなったときには、ポンプ2を停止して、集熱器1における熱媒体11の流通を停止する。一般に、集熱器1の集熱量はこの温度差に比例する。そのため、温度差が0℃の時刻には、集熱量はゼロである。
図2の時刻t
5は、このような時刻の一例である。第1実施形態で所定値が0W/m
2の場合には、直達日射量が0W/m
2になる時刻t
1にポンプ2が停止される。一方、第2実施形態で第1所定値が0℃の場合には、温度差が0℃になり集熱量がゼロになる時刻t
5にポンプ2が停止される。
【0076】
そして、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が第2所定値より小さいときには、ポンプ2の停止を継続する。これにより、熱媒体11の流通の停止が継続される。一方、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が第2所定値より大きくなったときには、ポンプ2の動作を再開する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が再開される。
【0077】
このように、本実施形態では、ポンプ2の停止の判断には温度差を利用するが、ポンプ2の動作の再開の判断には直達日射量を利用する。理由は、ポンプ2の停止時には、太陽光線からの集熱量を温度差から評価する事ができないからである。
【0078】
以上のように、本実施形態では、入口温度と出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。よって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、集熱器1の集熱量の変動により太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0079】
図20の場合、
図20(a)の直達日射量がゼロに変わるときは何回もあるが、
図20(b)の集熱量は正値のままである。この場合、第1実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにポンプ2が停止してしまう事になる。ポンプ2の停止と再稼働が短時間で繰り返されるため、仮にこれが毎日多数回繰り返されると、ポンプ2は老朽化が激しくなり好ましくない。これに対し、第2実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにもポンプ2は停止しない。第2実施形態には、このような利点がある。一方、第1実施形態には、直達日射量が温度差に影響するまでのタイムラグ(例えば、時刻t
1と時刻t
5とのタイムラグ)が熱媒体11の流通制御に影響する事を回避できるという利点がある。
【0080】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態の太陽熱集熱システムの構成を示す模式図である。
【0081】
図4の太陽熱集熱システムは、
図3の構成要素に加えて、温度計35、36を具備している。ただし、
図4では、直達日射量計31、ポンプ2、開閉弁5、熱利用流体流路6、蓄熱槽7、及び開閉弁8の図示が省略されている。
【0082】
本実施形態の集熱器1は、第1から第3集熱部(集熱ユニット)1a〜1cを具備している。第1集熱部1aと第2集熱部1bは、熱媒体11に関して互いに並列に配置されている。第3集熱部1cは、熱媒体11に関して第1及び第2集熱部1a、1bと直列に配置されている。本実施形態の第1から第3集熱部1a〜1cの各々は、
図12及び
図13に示す集熱器1と同じ構造を有している。
【0083】
第1から第3集熱部1a〜1cは、熱媒体流路3により互いに接続されている。熱媒体流路3は、第1集熱部1aが設けられた第1流路3aと、第2集熱部1bが設けられた第2流路3bと、第3集熱部1cが設けられた第3流路3cとを具備している。熱媒体流路3は、第1及び第2流路3a、3bに分岐しており、第1及び第2流路3a、3bは、第3流路3cに合流している。
【0084】
温度計35は、第1集熱部1aの出口付近の第1流路3aに設置されており、第1集熱部1aの出口における熱媒体11の温度(第1出口温度)を計測する。温度計35は、第1出口温度の計測結果を制御部32に送信する。なお、第1集熱部1aの入口における熱媒体11の温度(第1入口温度)は、温度計33により計測される。第1入口温度は、集熱器1の入口温度に相当する。
【0085】
温度計36は、第3集熱部1cの入口付近の第3流路3cに設置されており、第3集熱部1cの入口における熱媒体11の温度(第3入口温度)を計測する。温度計35は、第3入口温度の計測結果を制御部32に送信する。なお、第3集熱部1cの出口における熱媒体11の温度(第3出口温度)は、温度計34により計測される。第3出口温度は、集熱器1の出口温度に相当する。
【0086】
制御部32は、温度計33から受信した入口温度と温度計34から受信した出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、この温度差に基づいてポンプ2を停止する事で、熱媒体11の流通を停止する。
【0087】
制御部32は、温度計33からの第1入口温度と温度計35からの第1出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御してもよい。また、制御部32は、温度計36からの第3入口温度と温度計34からの第3出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御してもよい。これらの場合、温度差の算出方法や、第1所定値の設定方法は、温度計33からの入口温度と温度計34からの出口温度とを使用する場合と同じ方法を使用可能である。
【0088】
また、制御部32は、直達日射量計31から受信した直達日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、この直達日射量に基づいてポンプ2の動作を再開する事で、熱媒体11の流通を再開する。
【0089】
本実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0090】
なお、
図4の集熱器1の集熱部1a〜1cの個数は、3個であるが、2個としてもよいし、4個以上としてもよい。
【0091】
(第4実施形態)
第4実施形態の太陽熱集熱システムは、
図4に示す構成を具備している。
【0092】
本実施形態の制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度計33からの入口温度と温度計34からの出口温度との温度差に基づいて、熱媒体11の流通を停止する。温度計34からの出口温度は、温度計35からの第1出口温度に置き換えてもよい。同様に、温度計33からの入口温度は、温度計36からの第3入口温度に置き換えてもよい。また、本実施形態の制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量計31からの直達日射量に基づいて、熱媒体11の流通を再開する。これらの動作は、第3実施形態と同様である。
【0093】
ただし、本実施形態の制御部32は、集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が第1所定値より小さい時間が所定時間より長く続かない限り、ポンプ2の動作を継続する。一方、制御部32は、集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が第1所定値より小さい時間が所定時間より長く続いたときには、ポンプ2を停止する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が停止される。制御部32は、温度差が第1所定値より小さい時間が所定時間と同じ時間だけ続いたときには、熱媒体11の流通を継続してもよいし、熱媒体11の流通を停止してもよい。所定時間は例えば、第1及び第2所定値と同様に、制御部32のメモリまたはストレージに格納されている。
【0094】
図5は、第4実施形態の太陽熱集熱システムにおける直達日射量及び獲得熱量の例を示すグラフである。
図5(a)は、直達日射量計31により計測される直達日射量の時間変化の一例を示す。
図5(b)は、この直達日射量に対する集熱器1の獲得熱量の時間変化を示す。
【0095】
図5(b)では、時刻t
5に温度差が0℃になる事で、時刻t
5に獲得熱量がゼロになっている。
図5(b)ではさらに、時刻t
5以後に温度差が0℃より小さく維持される事で、時刻t
5以後に獲得熱量が負値に維持されている。そのため、第1所定値が0℃である場合、温度差が0℃より小さい時間が時刻t
5以降に所定時間より長く続くと、ポンプ2が停止される。
図5(b)の時刻t
6は、温度差が0℃より小さい時間が所定時間に達した時刻を示している。その結果、
図5(b)の獲得熱量は時刻t
6にて増加している。その後、ポンプ2の停止は、時刻t
3まで継続されている。
図5(b)の獲得熱量は、集熱器1内の熱媒体11が流通したと仮定した場合に、集熱器1の出口に搬送される熱量を示す。
【0096】
本実施形態によれば、第1から第3実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0097】
また、第1実施形態では、
図19(a)のように直達日射量がゼロになったり正値になったりを繰り返すと、ポンプ2の停止と再稼働とが何度も繰り返される。同様に、第2及び第3実施形態では、温度差が正値になったり負値になったりを繰り返すと、ポンプ2の停止と再稼働とが何度も繰り返される。これは、一般にポンプ2にとって好ましくない。一方、本実施形態によれば、温度差が正値になったり負値になったりを繰り返しても、ポンプ2の停止と再稼働とが何度も繰り返される事を回避する事ができる。
【0098】
(第5実施形態)
第5実施形態の太陽熱集熱システムは、
図4に示す構成を具備している。
【0099】
本実施形態の制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度計33からの入口温度と温度計34からの出口温度との温度差に基づいて、熱媒体11の流通を停止する。温度計34からの出口温度は、温度計35からの第1出口温度に置き換えてもよい。同様に、温度計33からの入口温度は、温度計36からの第3入口温度に置き換えてもよい。また、本実施形態の制御部32は、ポンプ2が停止して熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量計31からの直達日射量に基づいて、熱媒体11の流通を再開する。これらの動作は、第3及び第4実施形態と同様である。
【0100】
ただし、本実施形態の制御部32は、熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が第2所定値より大きい時間が所定時間より長く続かない限り、ポンプ2の停止を継続する。一方、制御部32は、熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が第2所定値より大きい時間が所定時間より長く続いたときには、ポンプ2の動作を再開する。これにより、集熱器1における熱媒体11の流通が再開される。制御部32は、直達日射量が第2所定値より大きい時間が所定時間と同じ時間だけ続いたときには、熱媒体11の停止を継続してもよいし、熱媒体11の流通を再開してもよい。所定時間は例えば、第1及び第2所定値と同様に、制御部32のメモリまたはストレージに格納されている。
【0101】
第4実施形態の流通停止方法と第5実施形態の流通再開方法とを組み合わせて使用する場合、流通再開用の所定時間は、流通停止用の所定時間と同じ値としても異なる値としてもよい。また、第5実施形態の流通再開方法は、第1または第2実施形態の流通停止方法と組み合わせて使用してもよい。
【0102】
本実施形態によれば、第1から第4実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。また、本実施形態によれば、直達日射量がゼロになったり正値になったりを繰り返しても、ポンプ2の停止と再稼働とが何度も繰り返される事を回避する事ができる。
【0103】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態の太陽熱集熱システムの構成を示す模式図である。
【0104】
図6の太陽熱集熱システムは、
図4のシステムから第3集熱部1c、第3流路3c、及び温度計33、34、36を除去し、
図4のシステムに温度計37と開閉弁41、42とを追加した構成を具備している。第1集熱部1aと第2集熱部1bは、熱媒体11に関して並列に配置されている。
【0105】
温度計37は、第1集熱部1aの入口付近の第1流路3aに設置されており、第1集熱部1aの入口における熱媒体11の温度(第1入口温度)を計測する。温度計37は、第1入口温度の計測結果を制御部32に送信する。
【0106】
温度計35は、第1集熱部1aの出口付近の第1流路3aに設置されており、第1集熱部1aの出口における熱媒体11の温度(第1出口温度)を計測する。温度計35は、第1出口温度の計測結果を制御部32に送信する。
【0107】
開閉弁41は、第2集熱部1bの入口より上流の第2流路3bに設けられている。開閉弁42は、第2集熱部1bの出口より下流の第2流路3bに設けられている。本実施形態の開閉弁41、42の開閉は、制御部32により制御される。ポンプ2の動作中に開閉弁41、42が開けられると、第2集熱部1bに熱媒体11が流通する。ポンプ2の動作中に開閉弁41、42が閉じられると、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止する。このように、ポンプ2の発停は、集熱器1の全体における熱媒体11の流通の制御用に使用できるのに対し、開閉弁41、42の開閉は、集熱器1の一部における熱媒体11の流通の制御用に使用できる。
【0108】
制御部32は、温度計37からの第1入口温度と温度計35からの第1出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が所定値より大きいときには、開閉弁41、42を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、温度差が所定値より小さくなったときには、開閉弁41、42を全閉する。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止され、集熱器1の放熱量が低減される。
【0109】
この場合、制御部32は、開閉弁41、42を閉じると共に、ポンプ2の流量を低下させる。その結果、開閉弁41、42を閉じた後の集熱器1における熱媒体11の流量は、開閉弁41、42を閉じる前の集熱器1における熱媒体11の流量より低下し、集熱器1の放熱量がさらに低減される。これは、後述する第7及び第8実施形態でも同様である。第1集熱部1aは、第1部分の例である。第2集熱部1bは、第2部分の例である。
【0110】
また、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられ第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、温度差が所定値より小さいときには、開閉弁41、42を閉じておく。一方、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられている場合に、温度差が所定値より大きくなったときには、開閉弁41、42を開く。その結果、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第2集熱部1a、1bに熱媒体11が流通する事となる。
【0111】
この場合、制御部32は、開閉弁41、42を開くと共に、ポンプ2の流量を上昇させる。例えば、ポンプ2の流量を、開閉弁41、42を閉じる前の値に戻す。その結果、開閉弁41、42を開いた後の集熱器1における熱媒体11の流量は、開閉弁41、42を開く前の集熱器1における熱媒体11の流量より上昇する。これは、後述する第7及び第8実施形態でも同様である。
【0112】
以上のように、本実施形態では、入口温度と出口温度との温度差に基づいて、集熱器1の一部における熱媒体11の流通の停止及び再開や、集熱器1における熱媒体11の流量を制御する。これにより、ポンプ2の消費電力を低減する事ができ、また、放熱量も低減する事ができる。仮に
図6の太陽熱集熱システムが直達日射量計31を具備していない場合、第1及び第2集熱部1a、1bの両方における熱媒体11の流通を停止させると、熱媒体11の流通を再開させる判断基準がないという問題があった。しかしながら、本実施形態では、温度計35、37を利用して得られる温度差という判断基準があるので、
図6の太陽熱集熱システムが直達日射量計31を具備していない場合でも、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、第1集熱部1aからの放熱量を低減する事ができる。よって、本実施形態によれば、集熱器1の集熱量の変動により太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0113】
また、本実施形態によれば、熱媒体11の流通の再開を温度に基づいて制御する事が可能となるので、直達日射量計31を不要とする事ができる。
【0114】
太陽熱集熱システムの起動特性の都合で、システム全体としては熱媒体11の流通を継続したい場合がある。この場合、システムの一部だけでも熱媒体11の流通を停止させれば、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、熱媒体11の流通を停止した第2集熱部1bからの放熱量を低減する事ができる。
【0115】
なお、
図6の集熱器1の集熱部1a、1bの個数は、2個であるが、3個以上としてもよい。この場合、開閉弁41、42と同様の弁を、2個以上の集熱部の上流及び下流に設けてもよい。これにより、制御部32は、2個以上の集熱部における熱媒体11の流通の停止や再開を制御する事が可能となる。
【0116】
(第7実施形態)
第7実施形態の太陽熱集熱システムは、
図6に示す構成を具備している。
【0117】
本実施形態の制御部32は、温度計37からの第1入口温度と温度計35からの第1出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が所定値より小さい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、温度差が所定値より小さい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を全閉する。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止される。
【0118】
また、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられ第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、温度差が所定値より大きい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を閉じておく。一方、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられている場合に、温度差が所定値より大きい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を開く。その結果、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第2集熱部1a、1bに熱媒体11が流通する事となる。
【0119】
本実施形態によれば、第6実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。また、本実施形態によれば、熱媒体11の流通の再開を温度に基づいて制御する事が可能となるので、直達日射量計31を不要とする事ができる。
【0120】
図20の場合、
図20(a)の直達日射量がゼロに変わるときは何回もあるが、
図20(b)の集熱量は正値のままである。この場合、第1実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにポンプ2が停止してしまう事になるが、第7実施形態では、ポンプ2の発停を開閉弁41、42の開閉に置き換える事になり、このときに開閉弁41、42が閉じられてしてしまう事になる。開閉弁41、42の開放と閉止が短時間で繰り返されるため、仮にこれが毎日多数回繰り返されると、開閉弁41、42は老朽化が激しくなり好ましくない。これに対し、第7実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにも開閉弁41、42は閉じられない。第7実施形態には、このような利点がある。
【0121】
(第8実施形態)
第8実施形態の太陽熱集熱システムは、
図6に示す構成を具備している。
【0122】
本実施形態の制御部32は、直達日射量計31からの直達日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、直達日射量が所定値より小さい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、直達日射量が所定値より小さい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を全閉する。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止される。
【0123】
また、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられ第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が所定値より大きい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を閉じておく。一方、制御部32は、開閉弁41、42が閉じられている場合に、直達日射量が所定値より大きい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を開く。その結果、第2集熱部1bにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第2集熱部1a、1bに熱媒体11が流通する事となる。
【0124】
本実施形態によれば、第6及び第7実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。なお、本実施形態では、直達日射量が所定値より小さいまたは大きい時間と所定時間を比較する代わりに、直達日射量と所定値を比較する事で、熱媒体11の流通を制御してもよい。
【0125】
太陽熱集熱システムの起動特性の都合で、システム全体としては熱媒体11の流通を継続したい場合がある。この場合、システムの一部だけでも熱媒体11の流通を停止させれば、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、熱媒体11の流通を停止した第2集熱部1bからの放熱量を低減する事ができる。
【0126】
図20の場合、
図20(a)の直達日射量がゼロに変わるときは何回もあるが、
図20(b)の集熱量は正値のままである。この場合、第1実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにポンプ2が停止してしまう事になるが、第8実施形態では、ポンプ2の発停を開閉弁41、42の開閉に置き換える事になり、このときに開閉弁41、42が閉じられてしてしまう事になる。開閉弁41、42の開放と閉止が短時間で繰り返されるため、仮にこれが毎日多数回繰り返されると、開閉弁41、42は老朽化が激しくなり好ましくない。これに対し、第8実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにも開閉弁41、42は閉じられない。第8実施形態には、このような利点がある。
【0127】
(第9実施形態)
図7は、第9実施形態の太陽熱集熱システムの構成を示す模式図である。
【0128】
図7の太陽熱集熱システムは、
図4のシステムから第2集熱部1bと温度計33、35とを除去し、
図4のシステムに開閉弁41〜44を追加した構成を具備している。第1集熱部1aと第3集熱部1cは、熱媒体11に関して直列に配置されている。本実施形態の第2流路3bは、熱媒体11が第1集熱部1aをバイパスして流通するバイパス流路として使用可能である。
【0129】
開閉弁41は、第2流路3bの入口付近に設けられている。開閉弁42は、第2流路3bの出口付近に設けられている。開閉弁43は、第1集熱部1aの入口より上流の第1流路3aに設けられている。開閉弁44は、第1集熱部1aの出口より下流の第1流路3aに設けられている。これらの開閉弁41〜44の開閉は、制御部32により制御される。
【0130】
ポンプ2の動作中に開閉弁41、42が閉じられ開閉弁43、44が開けられると、第1及び第3集熱部1a、1cに熱媒体11が流通する。ポンプ2の動作中に開閉弁41、42が開けられ開閉弁43、44が閉じられると、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止し、第3集熱部1cのみに熱媒体11が流通する。この際、熱媒体11は、第1集熱部1aをバイパスして第2流路3cを流通する。このように、ポンプ2の発停は、集熱器1の全体における熱媒体11の流通の制御用に使用できるのに対し、開閉弁41〜44の開閉は、集熱器1の一部における熱媒体11の流通の制御用に使用できる。
【0131】
制御部32は、温度計36からの第3入口温度と温度計34からの第3出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が所定値より大きいときには、開閉弁41、42を全閉しておき、開閉弁43、44を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、温度差が所定値より小さくなったときには、開閉弁41、42を開き、開閉弁43、44を全閉する。その結果、第3集熱部1cにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止され、集熱器1の放熱量が低減される。
【0132】
この場合、制御部32は、開閉弁43、44を閉じると共に、ポンプ2の流量を低下させる。その結果、開閉弁43、44を閉じた後の集熱器1における熱媒体11の流量は、開閉弁43、44を閉じる前の集熱器1における熱媒体11の流量より低下し、集熱器1の放熱量がさらに低減される。これは、後述する第10及び第11実施形態でも同様である。第3集熱部1cは、第1部分の例である。第1集熱部1aは、第2部分の例である。
【0133】
また、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられ第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、温度差が所定値より小さいときには、開閉弁41、42を開いておき、開閉弁43、44を全閉しておく。一方、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられている場合に、温度差が所定値より大きくなったときには、開閉弁41、42を全閉し、開閉弁43、44を開く。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第3集熱部1a、1cに熱媒体11が流通する事となる。また、開閉弁41、42が閉じられる事で、第2流路3bの使用が解除される。
【0134】
この場合、制御部32は、開閉弁43、44を開くと共に、ポンプ2の流量を上昇させる。例えば、ポンプ2の流量を、開閉弁43、44を閉じる前の値に戻す。その結果、開閉弁43、44を開いた後の集熱器1における熱媒体11の流量は、開閉弁43、44を開く前の集熱器1における熱媒体11の流量より上昇する。これは、後述する第10及び第11実施形態でも同様である。
【0135】
以上のように、本実施形態では、入口温度と出口温度との温度差に基づいて、集熱器1の一部における熱媒体11の流通の停止及び再開や、集熱器1における熱媒体11の流量を制御する。よって、本実施形態によれば、集熱器1の集熱量の変動により太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。
【0136】
また、本実施形態によれば、熱媒体11の流通の再開を温度に基づいて制御する事が可能となるので、直達日射量計31を不要とする事ができる。
【0137】
なお、
図7の集熱器1の集熱部1a、1cの個数は、2個であるが、3個以上としてもよい。この場合、開閉弁43、44と同様の弁を、2個以上の集熱部の上流及び下流に設けてもよい。これにより、制御部32は、2個以上の集熱部における熱媒体11の流通の停止や再開を制御する事が可能となる。
【0138】
太陽熱集熱システムの起動特性の都合で、システム全体としては熱媒体11の流通を継続したい場合がある。この場合、システムの一部だけでも熱媒体11の流通を停止させれば、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、熱媒体11の流通を停止した第1集熱部1aからの放熱量を低減する事ができる。
【0139】
(第10実施形態)
第10実施形態の太陽熱集熱システムは、
図7に示す構成を具備している。
【0140】
本実施形態の制御部32は、温度計36からの第3入口温度と温度計34からの第3出口温度との温度差に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、温度差が所定値より小さい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を全閉しておき、開閉弁43、44を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、温度差が所定値より小さい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を開き、開閉弁43、44を全閉する。その結果、第3集熱部1cにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止される。
【0141】
また、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられ第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、温度差が所定値より大きい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を開いておき、開閉弁43、44を全閉しておく。一方、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられている場合に、温度差が所定値より大きい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を全閉し、開閉弁43、44を開く。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第3集熱部1a、1cに熱媒体11が流通する事となる。また、開閉弁41、42が閉じられる事で、第2流路3bの使用が解除される。
【0142】
本実施形態によれば、第9実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。また、本実施形態によれば、熱媒体11の流通の再開を温度に基づいて制御する事が可能となるので、直達日射量計31を不要とする事ができる。
【0143】
太陽熱集熱システムの起動特性の都合で、システム全体としては熱媒体11の流通を継続したい場合がある。この場合、システムの一部だけでも熱媒体11の流通を停止させれば、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、熱媒体11の流通を停止した第1集熱部1aからの放熱量を低減する事ができる。
【0144】
図20の場合、
図20(a)の直達日射量がゼロに変わるときは何回もあるが、
図20(b)の集熱量は正値のままである。この場合、第1実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにポンプ2が停止してしまう事になるが、第10実施形態では、ポンプ2の発停を開閉弁41〜44の開閉に置き換える事になり、このときに開閉弁43、44が閉じられてしてしまう事になる。開閉弁41〜44の開放と閉止が短時間で繰り返されるため、仮にこれが毎日多数回繰り返されると、開閉弁41〜44は老朽化が激しくなり好ましくない。これに対し、第10実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにも開閉弁41、43は閉じられない。第10実施形態には、このような利点がある。
【0145】
(第11実施形態)
第11実施形態の太陽熱集熱システムは、
図7に示す構成を具備している。
【0146】
本実施形態の制御部32は、直達日射量計31からの直達日射量に基づいて、集熱器1における熱媒体11の流通を制御する。具体的には、制御部32は、ポンプ2が動作して集熱器1に熱媒体11が流通している場合に、直達日射量が所定値より小さい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を全閉しておき、開閉弁43、44を開いておく。一方、制御部32は、ポンプ2が動作している場合に、直達日射量が所定値より小さい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を開き、開閉弁43、44を全閉する。その結果、第3集熱部1cにおける熱媒体11の流通が維持されたまま、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止される。
【0147】
また、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられ第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が停止している場合に、直達日射量が所定値より大きい時間が所定時間より長く続かない限り、開閉弁41、42を開いておき、開閉弁43、44を全閉しておく。一方、制御部32は、開閉弁43、44が閉じられている場合に、直達日射量が所定値より大きい時間が所定時間より長く続いたときには、開閉弁41、42を全閉し、開閉弁43、44を開く。その結果、第1集熱部1aにおける熱媒体11の流通が再開され、第1及び第3集熱部1a、1cに熱媒体11が流通する事となる。また、開閉弁41、42が閉じられる事で、第2流路3bの使用が解除される。
【0148】
本実施形態によれば、第9及び第10実施形態と同様に、太陽熱集熱システムの獲得エネルギ量が低下する事を抑制する事が可能となる。なお、本実施形態では、直達日射量が所定値より小さいまたは大きい時間と所定時間を比較する代わりに、直達日射量と所定値を比較する事で、熱媒体11の流通を制御してもよい。
【0149】
太陽熱集熱システムの起動特性の都合で、システム全体としては熱媒体11の流通を継続したい場合がある。この場合、システムの一部だけでも熱媒体11の流通を停止させれば、ポンプ2の消費電力を低減する事ができる。また、仮にポンプ2の流量を低下させなかったとしても、熱媒体11の流通を停止した第1集熱部1aからの放熱量を低減する事ができる。
【0150】
図20の場合、
図20(a)の直達日射量がゼロに変わるときは何回もあるが、
図20(b)の集熱量は正値のままである。この場合、第1実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにポンプ2が停止してしまう事になるが、第11実施形態では、ポンプ2の発停を開閉弁41〜44の開閉に置き換える事になり、このときに開閉弁43、44が閉じられてしてしまう事になる。開閉弁41〜44の開放と閉止が短時間で繰り返されるため、仮にこれが毎日多数回繰り返されると、開閉弁41〜44は老朽化が激しくなり好ましくない。これに対し、第11実施形態の太陽熱集熱システムでは、このときにも開閉弁41、43は閉じられない。第11実施形態には、このような利点がある。
【0151】
(第12実施形態)
第12実施形態の集熱器1の動作を、
図13を参照して説明する。本実施形態の集熱器1は、第1から第11実施形態のいずれかの太陽熱集熱システムに設置されている。これは、後述する第13から第15実施形態の集熱器1についても同様である。
【0152】
本実施形態の集熱器1は、集熱器1に熱媒体11が流通している場合には、
図13に示すように、太陽光線を集熱管22に集光するように動作する。加えて、本実施形態の集熱器1は、集熱器1の全体または一部における熱媒体11の流通が停止している場合にも、太陽光線を集熱管22に集光するように動作する。即ち、本実施形態の反射鏡21は、熱媒体11の流通時にも流通停止時にも、集熱管22に太陽光線の焦点が合うように回転し続ける。集熱器1は、太陽高度を追尾するように反射鏡21を回転させる事で、太陽光線を集熱管22に集光させる事ができる。
【0153】
本実施形態によれば、熱媒体11の流通停止中にも集熱器1が集光を継続する事で、熱媒体11の流通再開時に集熱器1による集熱を直ちに再開する事が可能となる。
【0154】
なお、第12実施形態の集熱器1が
図4、
図6、
図7のように複数の集熱部を具備する場合には、第12実施形態で説明した反射鏡21の回転制御を個々の集熱部ごとに適用可能である。
【0155】
(第13実施形態)
図8は、第13実施形態の集熱器1の動作を説明するための断面図である。
【0156】
本実施形態の集熱器1は、集熱器1に熱媒体11が流通している場合には、太陽光線を集熱管22に集光するように動作する(
図13参照)。しかしながら、本実施形態の集熱器1は、集熱器1の全体または一部における熱媒体11の流通が停止している場合には、
図8に示すように、太陽光線を集熱管22に集光しないように動作する。即ち、本実施形態の反射鏡21は、熱媒体11の流通停止時には、集熱管22に太陽光線の焦点が合わない位置に回転移動させておく。そして、本実施形態の集熱器1は、集熱器1における熱媒体11の流通が再開された場合には、集熱管22への太陽光線の集光を再開するように動作する。
【0157】
本実施形態によれば、熱媒体11の流通停止中に集熱器1の集光を停止する事で、集熱管22内の熱媒体11が高温で劣化する事を防止可能となる。太陽が急に雲から現れたとき、直達日射量は充分にあるが、ポンプ2の起動特性の都合でポンプ2の流量が充分に小さいかゼロである場合がある。この際、太陽光線の焦点が集熱管22に合っていると、熱媒体11が局所的に高温になり、その領域において熱媒体11が劣化してしまう。しかしながら、本実施形態のように太陽光線の焦点が集熱管22に合っていなければ、このような劣化を防止できる。本実施形態の動作は例えば、熱媒体11の流通停止中や流通再開直後の熱媒体11の流量がゼロである場合や小さい場合などに効果的である。
【0158】
なお、第13実施形態の集熱器1が
図4、
図6、
図7のように複数の集熱部を具備する場合には、第13実施形態で説明した反射鏡21の回転制御を個々の集熱部ごとに適用可能である。
【0159】
(第14実施形態)
図9は、第14実施形態の集熱器1の動作を説明するための断面図である。
【0160】
本実施形態の集熱器1は、集熱器1の全体または一部における熱媒体11の流通が停止している場合には、反射鏡21の凸面を風Wの上流側に向け、反射鏡21を集熱管22より風Wの上流側に移動する。
図9では、風Wは−X方向に吹いているため、反射鏡21の凸面は+X方向を向いている。そして、本実施形態の集熱器1は、集熱器1における熱媒体11の流通が再開された場合には、集熱管22への太陽光線の集光を再開するように反射鏡21を回転させる。反射鏡21は、集光パネルの例である。集熱管22は、集光により集熱する部分の例である。
【0161】
本実施形態によれば、集熱管22に当たる風W(空気流)の流速を、反射鏡21により低下させる事ができる。よって、本実施形態によれば、集熱管22から大気への強制対流熱伝達率を低下させる事ができ、集熱管22からの放熱量を低減する事ができる。
【0162】
なお、第14実施形態の集熱器1が
図4、
図6、
図7のように複数の集熱部を具備する場合には、第14実施形態で説明した反射鏡21の回転制御を個々の集熱部ごとに適用可能である。
【0163】
(第15実施形態)
図10は、第15実施形態の集熱器1の動作を説明するための断面図である。
【0164】
本実施形態の集熱器1は、集熱器1の全体または一部における熱媒体11の流通が停止している場合には、反射鏡21の凸面を上方(+Z方向)に向け、反射鏡21を集熱管22より上方に移動する。そして、本実施形態の集熱器1は、集熱器1における熱媒体11の流通が再開された場合には、集熱管22への太陽光線の集光を再開するように反射鏡21を回転させる。
【0165】
風Wが充分に小さい場合、集熱管22から大気への強制対流熱伝達は小さい。よって、集熱管22から大気への自然対流熱伝達を小さくすれば、集熱管22からの放熱量は低減される。そこで、本実施形態では、反射鏡21の凸面を上方に向ける事で、集熱管22の真上の空気流れを抑制する。これにより、本実施形態によれば、集熱管22から大気への自然対流熱伝達を低下させる事ができ、集熱管22からの放熱量を低減する事ができる。
【0166】
なお、第15実施形態の集熱器1が
図4、
図6、
図7のように複数の集熱部を具備する場合には、第15実施形態で説明した反射鏡21の回転制御を個々の集熱部ごとに適用可能である。
【0167】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定する事を意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施する事ができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行う事ができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。