特許第6548949号(P6548949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548949
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】電子パッケージ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20190711BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20190711BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20190711BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   H01L23/12 F
   H01L23/12 N
   H01L23/12 501P
   H05K1/18 R
   H01L27/146 D
   H01L31/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-90773(P2015-90773)
(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-134615(P2016-134615A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】201510022806.5
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515114784
【氏名又は名称】恆勁科技股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】PHOENIX PIONEER TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】胡 竹 青
(72)【発明者】
【氏名】許 詩 濱
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0009102(US,A1)
【文献】 特開2006−019341(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/130582(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/101163(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0096321(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0026589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/339
H01L 27/14−27/148
H01L 27/30
H01L 29/762
H01L 31/00−31/02
H01L 31/0232、31/0248、31/0264
H01L 31/08、31/10
H01L 31/107−31/108、31/111
H01L 31/18
H01L 51/42
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の表面と第2の表面とを有するモールド化合物である第1の絶縁層であって、前記第1の絶縁層の第1の表面の一部に前記第1の絶縁層とは材質が異なる第2の絶縁層が形成されている第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に埋め込まれており、前記第1の絶縁層の第1の表面に露出する少なくとも1つの感知領域及び複数の電極パッドを有する電子素子と、
前記第2の絶縁層に設けられ、それらの電極パッドに接触することで、前記電子素子に電気的に接続され、前記感知領域をカバーしていない第1の回路層と、
前記第1の絶縁層の第2の表面に結合され、前記第1の回路層に電気的に接続され、かつ前記電子素子に接触し、表面が前記第1の絶縁層の第2の表面と面一である第2の回路層と、
前記第1の絶縁層に埋め込まれ、前記第1の回路層と前記第2の回路層に電気的に接続され、前記第1の回路層と前記第2の回路層に直接接触する複数の導電柱体と、
を含み、
前記電子素子は前記第1の絶縁層の第1の表面と面一であり、前記複数の電極パッドは前記第1の絶縁層の第1の表面よりも突出しており、前記第1の絶縁層の第2の表面は前記電子素子が前記絶縁層の第2の表面から露出しないように、前記電子素子の全体をカバーしていることを特徴とする電子パッケージ構造。
【請求項2】
対向する第1の表面と第2の表面とを有するモールド化合物である第1の絶縁層であって、前記第1の絶縁層の第1の表面の一部に前記第1の絶縁層とは材質が異なる第2の絶縁層が形成されている第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に埋め込まれており、前記第1の絶縁層の第1の表面に露出する少なくとも1つの感知領域及び複数の電極パッドを有する電子素子と、
前記第2の絶縁層に設けられ、それらの電極パッドに接触することで、前記電子素子に電気的に接続され、前記感知領域をカバーしていない第1の回路層と、
前記第1の絶縁層の第2の表面に結合され、前記第1の回路層に電気的に接続され、かつ前記電子素子に接触せず、表面が前記第1の絶縁層の第2の表面と面一である第2の回路層と、
前記第1の絶縁層に埋め込まれ、前記第1の回路層と前記第2の回路層に電気的に接続され、前記第1の回路層と前記第2の回路層に直接接触する複数の導電柱体と、
を含み、
前記複数の電極パッドは前記第1の絶縁層の第1の表面よりも突出しており、
前記第1の絶縁層の第2の表面は前記電子素子が前記第1の絶縁層の第2の表面から露出しないように、前記電子素子の全体をカバーしていることを特徴とする電子パッケージ構造。
【請求項3】
前記第1の絶縁層の第2の表面及び前記第2の回路層に設けられた絶縁保護層をさらに含み、前記絶縁保護層は前記電子素子に接触していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子パッケージ構造。
【請求項4】
前記絶縁保護層に前記第2の回路層の一部が露出していることを特徴とする請求項3に記載の電子パッケージ構造。
【請求項5】
前記第1の絶縁層の第2の表面に設けられた複数の導電素子をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子パッケージ構造。
【請求項6】
前記第2の絶縁層及び前記第1の回路層に設けられる絶縁保護層をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子パッケージ構造。
【請求項7】
前記絶縁保護層に前記第1の回路層の一部が露出していることを特徴とする請求項6に記載の電子パッケージ構造。
【請求項8】
前記絶縁保護層は前記感知領域をカバーしている、または前記絶縁保護層は前記感知領域をカバーしていないことを特徴とする請求項6に記載の電子パッケージ構造。
【請求項9】
前記第1の絶縁層の第2の表面に設けられ、前記第1の回路層に電気的に接続された回路ビルドアップ構造をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子パッケージ構造。
【請求項10】
前記電子素子の感知領域をカバーしている光透過部材をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子パッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子パッケージ構造に関し、特に薄型化可能な電子パッケージ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子産業が発展している現在、電子製品は、軽薄短小及び機能多様化の方向へ進んでおり、それに伴って半導体パッケージ技術も様々なパッケージ形態が開発されている。
【0003】
現在、センサ素子またはカメラレンズに用いられる電子素子としては、主に、ワイヤボンディング(wire bonding)パッケージ型、またはチップオンボード(Chip On Board、COB)型が利用されている。
【0004】
図1Aに示すように、従来のワイヤボンディングパッケージ構造1は、基板10と、電子素子13と、パッケージ樹脂18とを含む。
【0005】
基板10は、上下側に第1の回路層11及び第2の回路層12が設けられ、それらの間に形成された貫通孔またはビアホール型導電体14により第1及び第2の回路層11、12が電気的に接続されるとともに、上下側に第1の絶縁保護層16及び第2の絶縁保護層17が形成されることで、第1及び第2の回路層11、12の一部が第1及び第2の絶縁保護層16、17に露出され、複数の導電素子15が第2の回路層12に形成される。
【0006】
電子素子13は、センサ素子であり、基板10上側に形成され、複数のワイヤ130により第1の回路層11に電気的に接続され、電子素子13の上表面には指紋識別用の感知領域131が設けられている。
【0007】
パッケージ樹脂18は、基板10の上側に形成され、電子素子13及びそれらのワイヤ130を包む。
【0008】
従来のワイヤボンディング型パッケージ構造1において、パッケージ樹脂18によってセンサ領域131が覆われた感知有効な厚さdは極薄でなければならない(さもなければ感知できなくなる)ため、極めて高い精度が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ワイヤ130が一定の高ループを有し、かつモールド製造工程にはパッケージ樹脂18が電子素子13を均一に覆うような十分な高さが必要であるため、パッケージ樹脂18の極薄の厚さを制御しにくくなり、ワイヤボンディング型パッケージ構造1の薄型化の要求を達成することができない。
【0010】
図1Bは、従来のCOB型パッケージ構造1’の断面模式図である。図1Bに示すように、COB型パッケージ構造1’は、基板10’(図1Aに示す構造を参照)と、カメラレンズであるIC電子素子13と、光透過部材19と、パッケージ樹脂18とを含む。
【0011】
電子素子13は、基板10’の上側に形成され、複数のワイヤ130により基板10’に電気的に接続され、電子素子13の上表面には光感知用の感知領域131が設けられている。
【0012】
光透過部材19は、複数の支持部材190により電子素子13の上表面に形成され、感知領域131をカバーする。
【0013】
パッケージ樹脂18は、非光透過材であり、基板10の上側に形成され、光透過部材19、電子素子13及びそれらのワイヤ130を包んでおり、光透過部材19の上表面は、パッケージ樹脂18に露出している。
【0014】
従来のCOB型パッケージ構造1’において、カメラレンズの薄型化が必要である。ただし、電子素子13が基板10’に接着され、かつ光透過部材19がそれらの支持部材190により電子素子13に設けられる必要があるため、COB型パッケージ構造1’全体の厚さは薄型化が困難である。
【0015】
上記の課題を解決するために、半導体のシリコン貫通電極(Through Silicon Via、TSV)技術を応用してパッケージを行うものが知られている。図1Cに示すように、従来の光感知パッケージ構造1”は、シリコン基板10”と、光透過部材19’とを含む。
【0016】
シリコン基板10”は、上下側に第1の回路層11及び第2の回路層12が設けられ、それらの間に形成された導電シリコン貫通孔100により第1の回路層11及び第2の回路層12が電気的に接続されるとともに、上側に感知領域131が形成され、下側に絶縁保護層17’が形成されることで、第2の回路層12の一部が絶縁保護層17’に露出され、複数の導電素子15が第2の回路層12の露出表面に形成される。
【0017】
光透過部材19’は、接着層190’によりシリコン基板10”の上側に形成され、感知領域131をカバーする。
【0018】
ただし、従来の光感知パッケージ構造1”において、導電シリコン貫通孔100の製造コストが高価であり、統合が難しく、技術的困難性が高く、特にセンサ素子またはカメラレンズに応用された電子素子はいずれもコストが高い。
【0019】
そこで、上記の従来技術の様々な問題は、当業界で解決すべき重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の従来技術の種々の欠点に鑑み、本発明は、
対向する第1の表面と第2の表面とを有する絶縁層と、
前記絶縁層に埋め込まれており、前記絶縁層の第1の表面に露出する少なくとも1つの感知領域及び複数の電極パッドを有する電子素子と、
前記絶縁層の第1の表面に設けられ、それらの電極パッドに接触することで前記電子素子に電気的に接続され、前記感知領域をカバーしていない第1の回路層と、
を含むことを特徴とする電子パッケージ構造を提供する。
【0021】
前記電子パッケージ構造において、前記絶縁層の第2の表面に結合され、前記第1の回路層に電気的に接続される第2の回路層をさらに含む。また、前記絶縁層の第2の表面及び前記第2の回路層に設けられた絶縁保護層をさらに含み、例えば前記絶縁保護層に前記第2の回路層の一部が露出している。若しくは、前記第2の回路層は、前記電子素子に接触しても接触しなくてもよい。
【0022】
前記電子パッケージ構造において、前記絶縁層の第1の表面及び前記第1の回路層に設けられ、前記感知領域をカバーしていない絶縁保護層をさらに含み、例えば、前記絶縁保護層に前記第1の回路層の一部が露出している。
【0023】
さらに、本発明は、
対向する第1の表面と第2の表面とを有する絶縁層と、
前記絶縁層に埋め込まれており、前記絶縁層の第1の表面に露出する少なくとも1つの感知領域及び複数の電極パッドを有する電子素子と、
前記絶縁層の第1の表面に設けられ、それらの電極パッドに接触することで前記電子素子に電気的に接続され、前記感知領域をカバーしていない第1の回路層と、
前記感知領域をカバーしている絶縁保護層と、
を含むことを特徴とする電子パッケージ構造を提供する。
【0024】
前記電子パッケージ構造において、前記絶縁層の第2の表面に結合され、前記第1の回路層に電気的に接続される第2の回路層をさらに含む。また、前記絶縁層の第2の表面及び前記第2の回路層に設けられた他の絶縁保護層をさらに含む。前記他の絶縁保護層に前記第2の回路層の一部が露出している。若しくは、前記第2の回路層は、前記電子素子に接触しても接触しなくてもよい。
【0025】
前記電子パッケージ構造において、前記絶縁保護層は、さらに前記絶縁層の第1の表面及び前記第1の回路層に設けられており、例えば、前記絶縁保護層に前記第1の回路層の一部が露出している。
【0026】
それらの電子パッケージ構造において、前記絶縁層に埋め込まれ、前記第1の回路層及び前記第2の回路層に電気的に接続された複数の導電柱体をさらに含む。
【0027】
それらの電子パッケージ構造において、前記絶縁層の第2の表面に設けられた複数の導電素子をさらに含む。
【0028】
それらの電子パッケージ構造において、前記絶縁層の第2の表面に設けられ、前記第1の回路層に電気的に接続された回路ビルドアップ構造をさらに含む。
【0029】
それらの電子パッケージ構造において、前記電子素子の感知領域をカバーしている光透過部材をさらに含む。
【発明の効果】
【0030】
上記のように、本発明に係る電子パッケージ構造は、主に電子素子が絶縁層に埋め込まれ、第1の回路層が該電子素子に電気的に接続されることにより、製造時、従来のワイヤボンディングのループまたはパッケージ樹脂の厚さを考慮する必要なく、該絶縁層の厚さを容易に制御することができ、より好ましい均一性及びより薄い厚さを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】従来のワイヤボンディング型パッケージ構造の断面模式図である。
図1B】従来のCOB型パッケージ構造の断面模式図である。
図1C】従来の光感知パッケージ構造の断面模式図である。
図2A】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図2A-1】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図であり、図2Aの他の態様を示す図である。
図2B】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図2B-1】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図であり、図2Bの他の態様を示す図である。
図2C】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図2D】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図2E】本発明に係る電子パッケージ構造の第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図3A】本発明に係る電子パッケージ構造の第2の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図3A-1】本発明に係る電子パッケージ構造の第2の実施例の各種の態様の断面模式図であり、図3Aの他の態様を示す図である。
図3B】本発明に係る電子パッケージ構造の第2の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図3B-1】本発明に係る電子パッケージ構造の第2の実施例の各種の態様の断面模式図であり、図3Bの他の態様を示す図である。
図3C】本発明に係る電子パッケージ構造の第2の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図4A】本発明に係る電子パッケージ構造の第3の実施例の各種の態様の断面模式図である。
図4B】本発明に係る電子パッケージ構造の第3の実施例の各種の態様の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、具体的な実施例を用いて本発明の実施形態を説明する。この技術分野に精通した者は、本明細書の記載内容によって簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。
【0033】
また、明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、この技術に周知する者が理解できるように明細書に記載の内容に合わせて説明されるものであり、本発明の実施を制限するものではないため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に入る。また、明細書に記載の例えば「上」、「第一」、「第二」、「一」等の用語は、説明が容易に理解できるようにするためのものであり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更又は調整は、技術内容の実質的変更がなければ、本発明の実施可能の範囲と見なされる。
【0034】
図2Aないし図2Eは、本発明に係る電子パッケージ構造2a〜2eの第1の実施例の各種の態様の断面模式図である。この実施例に係る電子パッケージ構造2a〜2eは、例えば指紋識別または画像センサの製品などに適用することができる。
【0035】
図2Aに示すように、電子パッケージ構造2aは、第1の絶縁層20と、第2の絶縁層200と、電子素子23と、導電柱体24と、第1の回路層21と、第2の回路層22とを含む。
【0036】
第1の絶縁層20は、対向する第1の表面20aと第2の表面20bとを有する。この実施例において、第1の絶縁層20は、例えば、モールド化合物(molding compound)、誘電材(dielectric material)、エポキシ樹脂(epoxy)、ポリイミド(polyimide、PI)、その他感光または非感光性材料等のような有機樹脂であり、第1の絶縁層20の第1の表面20aに、必要に応じて第1の絶縁層20と材質が同一または異なる第2の絶縁層200を形成することができる。また、第1の絶縁層20及び第2の絶縁層200は同時に形成してもよい。
【0037】
電子素子23は、第1の絶縁層20に埋め込まれている。この実施例において、電子素子23は、センサ素子、例えば半導体チップ構造であり、作用面23aと、作用面23aに対向する非作用面23bとを有する。作用面23aには、例えば光感知領域または指紋感知用の感知領域231と複数の電極パッド230とが設けられており、これにより感知領域231及びそれらの電極パッド230は、第1の絶縁層20の第1の表面20aに露出される。
【0038】
電子素子23が第1の絶縁層20に埋め込まれているため、製造時には従来のパッケージ樹脂を作製する必要がなく、構造全体の厚さを低減することができる。
【0039】
第1の回路層21は、第1の絶縁層20の第1の表面20aに設けられ、それらの電極パッド230に接触することで電子素子23に電気的に接続されており、感知領域231をカバーしていない。この実施例において、パターニング製造工程の電気メッキ、沈積またはエッチ方法により、例えば銅材である第1の回路層21を形成する。
【0040】
この実施例において、電子パッケージ構造2aは、第1の絶縁層20の第2の表面20bに結合される第2の回路層22をさらに含む。例えば、第2の回路層22は、第2の表面20bから第1の絶縁層20に埋め込まれる。ここで、第2の回路層22の表面は、第1の絶縁層20の第2の表面20bと面一またはそれよりもやや低くてもよい。若しくは、第2の回路層22は、第1の絶縁層20の第2の表面20bに設けられてもよい(図示せず)。
【0041】
さらに、パターニング製造工程の電気メッキ、沈積またはエッチ方法により、例えば銅材である第2の回路層22を形成する。
【0042】
また、第2の回路層22の一部は、さらに、電子素子23の放熱のために、電子素子23の非作用面23bに接触してもよい。
【0043】
また、電子パッケージ構造2aは、第1の絶縁層20に埋め込まれ、第1の回路層21に電気的に接続された複数の導電柱体24をさらに含む。このため、第2の回路層22は、それらの導電柱体24により第1の回路層21に電気的に接続される。ただし、第1の回路層21は、電子素子23の非作用面23bに電気的に導通していない。
【0044】
他の実施例において、図2A−1に示すように、第2の回路層22は、電子素子23の非作用面23bに接触していない。即ち、第2の回路層22と電子素子23の非作用面23bとの間には第1の絶縁層20を有し、しかも、第1の回路層21、それらの導電柱体24及び第2の回路層22の導電経路は、電子素子23の非作用面23bの下方に延在している。
【0045】
第1の回路層21が電子素子23に直接的に電気的に接続されるようにしているため、ワイヤボンディングにより電子素子23と第1の回路層21とを電気的に接続する必要はなく、構造全体の厚さの低減に有利である。
【0046】
電子パッケージ構造2bは、図2Bに示すように、図2Aの構造に対応するものであり、第1の絶縁層20の第2の表面20bに設けられた複数の導電素子25をさらに含む。具体的には、それらの導電素子25は、第2の回路層22に設けられることで第2の回路層22に電気的に接続される。
【0047】
この実施例において、それらの導電素子25は、例えば半田ボール、半田バンプ、銅バンプ等、いずれの態様であってもよいが、それらに限定されるものではない。
【0048】
他の実施例において、第2の回路層22は、図2B−1に示すように、図2A−1に対応するものであり、電子素子23の非作用面23bに接触していない。即ち、第2の回路層22と電子素子23の非作用面23bとの間には第1の絶縁層20を有する。
【0049】
電子パッケージ構造2cは、図2Cに示すように、図2Bに対応するものであり、第1の絶縁層20の第1の表面20a及び第1の回路層21に設けられており、感知領域231をカバーしていない第1の絶縁保護層26’をさらに含む。例えば、第1の絶縁保護層26’は、誘電材である。
【0050】
さらに、電子パッケージ構造2cは、第2の回路層22が形成されずに、導電素子25が直接導電柱体24に接触可能に設けられてもよい。
【0051】
図2Dに示す電子パッケージ構造2dは、図2B及び図2Cに基づいた他の態様である。その第1の絶縁保護層26は、誘電層またはソルダーマスク(solder mask)であり、第1の絶縁保護層26に第1の回路層21の一部が露出している。例えば、第1の絶縁保護層26は、複数の第1の開口260を有し、それらの第1の開口260に第1の回路層21の一部が露出している。若しくは、該第1の絶縁保護層の表面は、該第1の回路層の表面と面一であり、該第1の絶縁保護層に該第1の回路層の上面が露出してもよい(図示せず)。
【0052】
また、電子パッケージ構造2dは、第1の絶縁層20の第2の表面20b及び第2の回路層22に設けられた第2の絶縁保護層27をさらに含む。例えば、第2の絶縁保護層27は、誘電層またはソルダーマスクである。
【0053】
また、第2の絶縁保護層27には、それらの導電素子25との結合のために第2の回路層22の一部が露出している。例えば、第2の絶縁保護層27は、複数の第2の開口270を有し、それらの第2の開口270に第2の回路層22の一部が露出している。若しくは、第2の回路層の表面は、第2の回路層の表面と面一であり、第2の絶縁保護層には、それらの導電素子との結合のために該第2の回路層の上面が露出してもよい(図示せず)。
【0054】
図2Eに示す電子パッケージ構造2eにおいて、図2C及び図2Dの他の態様によれば、第1の絶縁保護層26’は、感知領域231をカバーし密封する。
【0055】
図3Aないし図3Cは、本発明に係る電子パッケージ構造3a〜3cの第2の実施例の各種の態様の断面模式図である。この実施例は、多層回路の設計の点で第1の実施例と異なっているが、その他の構造はほぼ同一である。以下の説明では、第1の実施形態と相違する点についてのみ詳述し、第1の実施形態と同一である構造の説明を省略する。
【0056】
電子パッケージ構造3aは、図3A及び図3A−1に示すように、図2A及び図2A−1に対応するものであり、第1の絶縁層20の第2の表面20bに設けられ、第2の回路層22及びそれらの導電柱体24により第1の回路層21に電気的に接続される回路ビルドアップ構造30をさらに含む。
【0057】
この実施例において、回路ビルドアップ構造30は、少なくとも1つの誘電層300と、誘電層300に設けられた回路層301とを有し、回路層301は、誘電層300に設けられた導電柱体302により第2の回路層22に電気的に接続される。
【0058】
さらに、回路層301は、それらの導電素子25との結合のために誘電層300に露出している。
【0059】
電子パッケージ構造3bは、図3B及び図3B−1に示すように、図2B及び図2B−1に対応するものであり、図2Cまたは図2Dに示す構造のいずれかの技術的特徴に基づいて変更することができる。一つの例として、図2Cに示すいずれかの技術的特徴によれば、例えば誘電層またはソルダーマスクであって感知領域231をカバーしていない第1の絶縁保護層26を第1の絶縁層20の第1の表面20a及び第1の回路層21に設ける。
【0060】
図3Cに示す電子パッケージ構造3cは、図2Eに対応するものであり、すなわち、誘電材である第1の絶縁保護層26’は、感知領域231をカバーしている。
【0061】
図4A及び図4Bは、本発明に係る電子パッケージ構造4a、4bの第3の実施例の各種の態様の断面模式図である。この実施例は、電子パッケージ構造4a、4bがカメラレンズに応用される点、例えば光透過部材40が新しく加えられた点で上記2つの実施例と異なっているが、その他の構造はほぼ同一である。以下の説明では、相違点についてのみ詳述し、同一である構造の説明を省略する。
【0062】
電子パッケージ構造4a、4bは、図4A及び図4Bに示すように、図2D及び図3Bを例として、電子素子23の感知領域231をカバーする、例えばレンズまたはガラスである光透過部材40をさらに含む。例えば、光透過部材40は、従来の支持部材を用いることなく、第1の絶縁保護層26に接着可能である。従って、構造全体の厚さを低減することができる。
【0063】
この実施例において、図4Aに示す電子パッケージ構造4aは、第1の絶縁保護層26の表面が第1の回路層21の表面と面一である。
【0064】
若しくは、図4Bに示す電子パッケージ構造4bは、第1の絶縁保護層26が第1の回路層21を包んでいる。
【0065】
上記のように、本発明に係る電子パッケージ構造2a〜2e、3a〜3c、4a〜4bによれば、主に電子素子23が第1の絶縁層20に埋め込まれ、第1の回路層21が電子素子23に電気的に接続されるようにしているため、製造時に、ワイヤボンディングのループまたはパッケージ樹脂の厚さを考慮する必要なく、第1の絶縁層20の厚さを容易に制御することができ、より好ましい均一性及びより薄い厚さを達成することができる。
【0066】
さらに、非半導体製造工程が採用されているため、製造コストが低下する。
【0067】
さらに、電子パッケージ構造2a〜2e、3a〜3c、4a〜4bは、製品の要求に応じて構造や設計を容易に調整することができるため、その設計自由度が大きい。
【0068】
さらに、上記実施例はランドグリッドアレイ(Land Grid Array、LGA)またはボールグリッドアレイ(Ball Grid Array、BGA)に適用することができる。
【0069】
上記のように、それらの実施の形態は本発明の原理および効果・機能を例示的に説明するに過ぎず、本発明はこれらによって限定されるものではない。本発明は、この技術分野に精通した者により本発明の主旨を逸脱しない範囲で色々な修飾や変更をすることが可能であり、そうした修飾や変更は本発明の特許請求の範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0070】
1 ワイヤボンディング型パッケージ構造
1’ COB型パッケージ構造
1” 光感知パッケージ構造
10、10’ 基板
10” シリコン基板
100 導電シリコン貫通孔
11、21 第1の回路層
12、22 第2の回路層
13、23 電子素子
130 ワイヤ
131、231 感知領域
14 ビアホール型導電体
15、25 導電素子
16、26、26’ 第1の絶縁保護層
17、27 第2の絶縁保護層
17’ 絶縁保護層
18 パッケージ樹脂
19、19’、40 光透過部材
190 支持部材
190’ 接着層
2a〜2e、3a〜3c、4a〜4b 電子パッケージ構造
20 第1の絶縁層
20a 第1の表面
20b 第2の表面
200 第2の絶縁層
23a 作用面
23b 非作用面
230 電極パッド
24、302導電柱体
260 第1の開口
270 第2の開口
30 回路ビルドアップ構造
300 誘電層
301 回路層
d 厚さ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2A-1】
図2B
図2B-1】
図2C
図2D
図2E
図3A
図3A-1】
図3B
図3B-1】
図3C
図4A
図4B