(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の工程の(A3)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、前記剥離層上で互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のプローブの製造方法。
前記プローブは、取り付け端を有するフット部と、針先が先端に設けられる針先部と、該フット部と該針先部とを連結する連結部とを含み、一方の端部に該取り付け端を有し、他方の端部に該針先を有する全体に板状のプローブであり、
前記第1の工程の(A4)工程では、該プローブの該フット部が前記固定層の上に形成され、該針先部が前記犠牲層の上に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブの製造方法。
前記第1の工程の(A4)工程は、前記プローブ層の前記各プローブが所定の配置位置となるように、前記ベース層上で、各プローブの配置位置が調整されて該プローブ層が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
前記第2の工程の(B2)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることを特徴とする請求項6に記載のプローブの製造方法。
前記プローブは、取り付け端を有するフット部と、針先が先端に設けられる針先部と、該フット部と該針先部とを連結する連結部とを含み、一方の端部に該取り付け端を有し、他方の端部に該針先を有する全体に板状のプローブであり、
前記第2の工程の(B3)工程では、該プローブの該フット部が前記固定層の上に形成され、該針先部が前記犠牲層の上に形成されることを特徴とする請求項6または7に記載のプローブの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のプローブの製造方法においては、
図17に示すように、多数のプローブ1000を基台上に一括的に形成するのが通常である。多数のプローブ1000の取り扱いには困難が生じることがあって、プローブの製造歩留まりを低下させることがあった。
【0012】
また、製造された多数のプローブ1000をそれぞれ用い、プローブ基板上の所定の位置に針立て作業を行ってプローブ組立体を製造しようとする場合、作業時間が増大するという問題を有していた。
【0013】
さらに、被検査体であるICの集積度の高まりにより、プローブ組立体の製造においては、プローブ基板上の極狭い領域に多数のプローブを配置することが求められて、プローブ1000の針立て作業自体が困難な作業となっている。
【0014】
そこで、多数のプローブを備えたプローブ組立体の製造に用いられ、プローブ基板上での1つずつの針立て作業を不要にするプローブが求められている。
【0015】
本発明の目的は、多数のプローブを製造するプローブの製造方法であって、その多数のプローブの1つずつについてのプローブ基板上での針立て作業を不要とすることができるプローブの製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様は、
(A1)基板上に剥離層を形成する工程、
(A2)前記剥離層上の一部の領域に固定層を形成する工程、
(A3)前記剥離層上に前記固定層と同層に犠牲層を形成することにより、該固定層および該犠牲層からなるベース層を形成する工程、
(A4)前記ベース層上に複数の板状のプローブを形成してプローブ層を形成することにより、前記ベース層と前記プローブ層とからなるプローブ連結体を前記剥離層上に形成する工程、並びに
(A5)前記プローブ連結体を前記基板上の前記剥離層から取り外す工程、
に関し、上記(A1)工程から上記(A5)工程を、この順序で、複数回繰り返し、前記プローブ連結体を複数製造する第1の工程と、
前記複数のプローブ連結体を積み重ね、前記ベース層と前記プローブ層とが交互に積層されてなる第1のプローブ積層体を製造する第2の工程と、
前記第1のプローブ積層体から前記ベース層に含まれる前記犠牲層を除去することにより、該ベース層の前記固定層と前記プローブ層とが交互に積層されてなる第2のプローブ積層体を形成する第3の工程とを有し、
前記固定層によって連結されて互いに離間配置された複数の前記プローブを形成することを特徴とするプローブの製造方法に関する。
【0018】
本発明の第1の態様において、前記第1の工程の(A3)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、前記剥離層上で互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。
【0019】
本発明の第1の態様において、前記プローブは、取り付け端を有するフット部と、針先が先端に設けられる針先部と、該フット部と該針先部とを連結する連結部とを含み、一方の端部に該取り付け端を有し、他方の端部に該針先を有する全体に板状のプローブであり、
前記第1の工程の(A4)工程では、該プローブの該フット部が前記固定層の上に形成され、該針先部が前記犠牲層の上に形成されることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、前記第1の工程の(A4)工程は、前記プローブ層の前記各プローブが所定の配置位置となるように、前記ベース層上で、各プローブの配置位置が調整されて該プローブ層が形成されることが好ましい。
【0021】
本発明の第1の態様において、前記プローブの前記連結部は、前記針先部と前記フット部とを繋ぐバネ構造をなすことが好ましい。
【0022】
本発明の第2の態様は、
基板上に剥離層を形成する第1の工程と、
前記剥離層の形成された前記基板を用い、(B1)固定層を形成する工程、(B2)前記固定層と同層に犠牲層を形成することにより該固定層および該犠牲層からなるベース層を形成する工程、並びに、(B3)前記ベース層上に複数の板状のプローブを形成してプローブ層を形成することにより、該ベース層と該プローブ層とからなるプローブ連結体を形成する工程を、(B1)から(B3)の順で複数回繰り返して行い、前記基板の前記剥離層の上に、前記プローブ連結体が複数積層されてなる第3のプローブ積層体を製造する第2の工程と、
前記第3のプローブ積層体を前記基板から取り外して第4のプローブ積層体を製造する第3の工程と、
前記第4のプローブ積層体から、前記ベース層に含まれる前記犠牲層を除去することにより、該ベース層の前記固定層と前記プローブ層とが交互に積層されてなる第5のプローブ積層体を形成する第4の工程とを有し、
前記固定層によって連結されて互いに離間配置された複数の前記プローブを形成することを特徴とするプローブの製造方法に関する。
【0023】
本発明の第2の態様において、前記第2の工程の(B2)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。
【0024】
本発明の第2の態様において、前記プローブは、取り付け端を有するフット部と、針先が先端に設けられる針先部と、該フット部と該針先部とを連結する連結部とを含み、一方の端部に該取り付け端を有し、他方の端部に該針先を有する全体に板状のプローブであり、
前記第2の工程の(B3)工程では、該プローブの該フット部が前記固定層の上に形成され、該針先部が前記犠牲層の上に形成されることが好ましい。
【0025】
本発明の第2の態様において、前記プローブの前記連結部は、前記針先部と前記フット部とを繋ぐバネ構造をなすことが好ましい。
【0026】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様のプローブの製造方法および本発明の第2の態様のプローブの製造方法のいずれかによって製造されることを特徴とするプローブに関する。
【0027】
本発明の第4の態様は、
(A1)基板上に剥離層を形成する工程、
(A2)前記剥離層上の一部の領域に固定層を形成する工程、
(A3)前記剥離層上に前記固定層と同層に犠牲層を形成することにより、前記剥離層上に該固定層および該犠牲層からなるベース層を形成する工程、
(A4)前記ベース層上に、複数の板状のプローブを形成してプローブ層を形成することにより、前記ベース層とプローブ層とからなるプローブ連結体を前記基板上に形成する工程、並びに
(A5)前記プローブ連結体を前記基板から取り外す工程
をこの順で複数回繰り返し、前記プローブ連結体を複数製造する第1の工程と、
前記複数のプローブ連結体を積み重ね、前記ベース層と前記プローブ層とが交互に積層されてなる第1のプローブ積層体を製造する第2の工程と、
前記第1のプローブ積層体から前記ベース層に含まれる前記犠牲層を除去する第3の工程を含む製造方法によって製造され、
前記ベース層の前記固定層と前記プローブ層とが交互に積層されて、該固定層によって連結されて互いに離間配置された複数の前記プローブを含むことを特徴とするプローブ積層体に関する。
【0028】
本発明の第4の態様において、前記第1の工程の(A3)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、前記剥離層上で互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。
【0029】
本発明の第5の態様は、
基板上に剥離層を形成する第1の工程と、
前記剥離層の形成された前記基板を用い、(B1)固定層を形成する工程、(B2)前記固定層と同層に犠牲層を形成することにより該固定層および該犠牲層からなるベース層を形成する工程、並びに、(B3)前記ベース層上に複数の板状のプローブを形成してプローブ層を形成することにより、該ベース層と該プローブ層とからなるプローブ連結体を形成する工程を、(B1)から(B3)の順で複数回繰り返して行い、前記基板の前記剥離層の上に、前記プローブ連結体が複数積層されてなる第3のプローブ積層体を製造する第2の工程と、
前記第3のプローブ積層体を前記基板から取り外して第4のプローブ積層体を製造する第3の工程と、
前記第4のプローブ積層体から、前記ベース層に含まれる前記犠牲層を除去する第4の工程とを含む製造方法によって製造され、
前記ベース層の前記固定層と前記プローブ層とが交互に積層されて、該固定層によって連結されて互いに離間配置された複数の前記プローブを含むことを特徴とするプローブ積層体に関する。
【0030】
本発明の第5の態様において、前記第2の工程の(B2)工程で形成される前記ベース層の前記固定層と前記犠牲層とは、互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。
【0031】
本発明の第6の態様は、本発明の第3の態様のプローブを含むことを特徴とするプローブ組立体に関する。
【0032】
本発明の第7の態様は、本発明の第4の態様のプローブ積層体および本発明の第5の態様のプローブ積層体のいずれかを用いることを特徴とするプローブ組立体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、多数のプローブを製造するプローブの製造方法であって、その多数のプローブの1つずつについてのプローブ基板上での針立て作業を不要とすることができるプローブの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を用い、説明を行う。
【0036】
実施の形態1.
<プローブの製造方法1>
本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、互いに離間配置された複数のプローブを製造するプローブの製造方法である。
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブを例示する平面図である。
【0038】
図1に示すように、第1実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブ1は、取り付け端2を有するフット部3と、針先4が先端に設けられる針先部5と、フット部3と針先部5とを連結する連結部6とを含んで構成される。そして、プローブ1は、一方の端部に、プローブ1の取り付けに用いられる取り付け端2を有し、他方の端部に針先4を有して全体に板状の構造を有する。
【0039】
プローブ1において、取り付け端2は、例えば、プローブ組立体(図示されない)の製造のために、基板となるプローブ基板(図示されない)への取り付けに使用される。すなわち、プローブ1は、フット部3の端面を取り付け端2として用いることにより、プローブ基板上の所定の位置に立設され、プローブ組立体の構成に用いられる。
【0040】
また、プローブ1において、針先部5の針先4は、IC等の被検査体(図示されない)の電極に当接されて電気的な接続を実現するのに使用される。そして、プローブ1の連結部6は、針先部5とフット部3とを繋ぐバネ構造を有する。例えば、連結部6は、
図1に示すように、圧縮コイルバネのらせん構造を平面視して得られる形状を模したような構造、すなわち、伸長する方向にS字状に屈曲する構造を連ねたような形状を有することができる。
【0041】
第1実施形態のプローブの製造方法では、以上の構造を有するプローブ1を複数、一括して製造する。より具体的には、第1実施形態のプローブの製造方法では、例えば、1つの固定層により連結されて同一平面上で互いに離間するように配置された複数の板状のプローブ1からなるプローブ層を形成する。そして、そのプローブ層を固定層とともに複数積層して、固定層とプローブ層とが交互に積層されてなるプローブ積層体を形成する。そのプローブ積層体の製造により、それを構成する要素として、互いに離間して配置された複数のプローブ1が一括して製造される。
【0042】
図2は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法によって製造される1つのプローブ層を示す平面図である。
【0043】
図2に示すように、1つのプローブ層11は、例えば、同一平面上に離間配置された複数のプローブ1からなる。そして、プローブ層11を構成する複数のプローブ1は、それぞれのフット部3が1つの固定層12によって連結されて、同一の平面上に配置される。
【0044】
図3は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブ積層体の一例を示す前面図である。
【0045】
図3に示すように、プローブ層11は、複数のプローブ1を含有するとともにそれらの間を連結する固定層12を介して他のプローブ層11の上に積層される。その結果、複数のプローブ層11から、プローブ積層体13(後述の第2のプローブ積層体)が形成される。
【0046】
そして、第1実施形態のプローブの製造方法では、
図3に例示するプローブ積層体13を製造することによって、固定層12によって連結されて互いに離間する複数のプローブ1を一括して製造することができる。
【0047】
製造されたプローブ積層体13に含まれる複数のプローブ1は、それぞれのフット部3の取り付け端2を用いることにより、一括してプローブ基板(図示されない)上に立設されてプローブ組立体を製造することができる。
【0048】
以下で、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法を説明する。
【0049】
図4は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法を説明するフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、第1実施形態のプローブの製造方法は、次に概要を示す第1の工程(S1)、第2の工程(S2)、および第3の工程(S3)を有して構成される。
【0051】
第1の工程(S1)、第2の工程(S2)、および第3の工程(S3)により、
図1等に示したプローブ1が複数体、互いに離間するように固定層12上に配置されるため、プローブ1を一括して形成することができる。
【0052】
[第1の工程(S1)]
第1の工程(S1)は、次の(A1)工程(S1−1)〜(A5)工程(S1−5)をこの順で複数回繰り返し、上述したプローブ積層体13の前駆体となるプローブ連結体を所望とする数だけ製造する工程である。
【0053】
[(A1)工程]
基板上に剥離層を形成する工程(S1−1:剥離層形成工程)
[(A2)工程]
(A1)工程で形成された剥離層上の一部の領域に固定層を形成する工程(S1−2:固定層形成工程)
[(A3)工程]
(A1)工程で形成された剥離層上の固定層の形成されない領域に、(A2)工程で形成された固定層と同層となる犠牲層を形成することにより、剥離層上に固定層および犠牲層からなるベース層を形成する工程(S1−3:ベース層形成工程)
[(A4)工程]
(A3)工程で形成されたベース層の上に、複数の板状のプローブを互いに離間するように形成して、基板上に、ベース層と、その上に配置された複数のプローブを含むプローブ層とからなるプローブ連結体を形成する工程(S1−4:プローブ連結体形成工程)
[(A5)工程]
(A4)工程で形成されたプローブ連結体を基板から取り外す工程(S1−5:プローブ連結体取り外し工程)
【0054】
この第1の工程(S1)では、
図4に示すように、(A5)工程(S1−5)の後、(A6)の判断工程(S1−6)で所望とする数のプローブ連結体が製造されたか否かの判断がされる。プローブ連結体の製造数が所望とする数より少ないと判断された場合には(S1−6:No)、再び(A1)工程(S1−1)に戻って、(A1)工程(S1−1)〜(A5)工程(S1−5)の各工程がこの順で繰り返される。
【0055】
その後、(A5)工程(S1−5)後の(A6)の判断工程(S1−6)において、プローブ連結体の製造数が所望とする数と判断された場合には(S1−6:YES)、次の第2の工程(S2)へと進行する。
【0056】
[第2の工程(S2)]
第2の工程(S2)は、上述した第1の工程(S1)で製造された複数のプローブ連結体を積み重ね、ベース層とプローブ層とが交互に積層されてなる第1のプローブ積層体を形成する工程である。
【0057】
[第3の工程(S3)]
第3の工程(S3)は、上述した第2の工程(S2)で製造された第1のプローブ積層体からベース層に含まれる犠牲層を除去することにより、ベース層の固定層とプローブ層とが交互に積層されてなる第2のプローブ積層体を形成する工程である。
【0058】
以下で、第1実施形態のプローブの製造方法を構成する第1の工程(S1)〜第3の工程(S3)の各工程について、図面等を用いてより詳しく説明する。尚、以下の説明において、上述の
図1〜
図3のプローブ1、プローブ層11およびプローブ積層体13と共通する構成要素については同一の符号を付してある。
【0059】
[第1の工程(S1)]
第1実施形態のプローブの製造方法を構成する第1の工程(S1)は、上述した(A6)工程(S1−6)の判断工程で所望とする数のプローブ連結体が製造されたと判断されるまで、上述の(A1)工程〜(A5)工程を繰り返し、上述のプローブ連結体を所望とする数となるまで製造する。
【0060】
((A1)工程)
図5は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A1)工程を説明する工程図である。
【0061】
第1の工程(S1)の(A1)工程では、
図5に示すように、基板31として、表面がエッチングにより鏡面処理されたシリコン結晶基板が準備される。そして、シリコン結晶基板である基板31表面には、剥離層32が形成される。
【0062】
基板31上での剥離層32の形成は、例えば、ドライフィルムレジストを用いて行うことができる。ドライフィルムレジストは、通常、カバーフィルムとレジスト層とキャリアフィルムからなる3層構造を備えたフィルム型のレジスト材料である。剥離層32の形成時においては、ドライフィルムレジストのカバーフィルムを剥離して基板31の上にラミネートする。次いで、ドライフィルムレジストのキャリアフィルムを剥離して、基板31上に残されたドライフィルムレジストのレジスト層を剥離層32として使用することができる。
【0063】
また、剥離層32の形成には、銅の他、銅とニッケルの合金等のエッチング可能な金属材料を選択して用いることも可能である。剥離層32の形成に銅を用いる場合、例えば、スパッタ法等により形成することができる。その場合、銅からなる剥離層32を成長させるに先立って、剥離層32の成長を促進するために、例えば、ニッケルのような接着層(図示されない)を、スパッタ法等により、基板31上に均一に形成することができる。
【0064】
尚、後述するように、第1実施形態のプローブの製造方法では、第1の工程(S1)の(A3)工程において、エッチング可能な金属材料を用いて犠牲層を形成することが可能である。その場合、剥離層32および犠牲層のうち、剥離層32のみを選択的にエッチング除去できるように、剥離層32と犠牲層とは異なるエッチング特性を備えた異なる金属材料とすることが好ましい。
【0065】
((A2)工程)
図6は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A2)工程を説明する工程図である。
【0066】
第1の工程の(A2)工程では、
図6に示すように、基板31上の剥離層32の上で、その一部の領域に固定層12を形成する。
【0067】
固定層12は、上述の
図2に示したように、同一平面上に離間配置された複数のプローブ1の各フット部3を互いに連結して1つのプローブ層11を形成するために用いられる絶縁性の構成部材である。
【0068】
したがって、固定層12は、
図6に示すように、後に複数のプローブ1のフット部3が配置可能となるように、例えば、剥離層32の端部の一部の領域に設けられる。
【0069】
また、固定層12は、プローブ層11の複数のプローブ1を連結し、後述するように、剥離層32および後述する犠牲層の剥離時に、一緒に除去されない性能を備えることが求められる。
【0070】
そのため、固定層12の形成には、パターニング可能なセラミックスや加熱硬化型の樹脂組成物を用いることが好ましい。また、例えば、光を用いたパターニングの可能な感光性の樹脂組成物を用いることも可能である。その場合、剥離層32の上に、例えば、スピンコート法等の塗布法を利用してその感光性の樹脂組成物を塗布した後、露光と現像を行って所望とするパターニングを行う。その後、加熱を行うなどして剥離層32の一部領域に固定層12を形成することができる。
【0071】
((A3)工程)
図7は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A3)工程を説明する工程図である。
【0072】
第1の工程の(A3)工程では、
図7に示すように、剥離層32上の固定層12の形成されない領域に、固定層12と同層となるように犠牲層33を形成する。そして、(A3)工程は、剥離層32上に、固定層12およびその固定層12と同層の犠牲層33からなるベース層34を形成する。
【0073】
ベース層34において、固定層12と犠牲層33とは、互いに対向する端部の少なくとも一部が接するように形成されることが好ましい。そして、ベース層34において、剥離層32上の固定層12と犠牲層33との間の隙間は無いか、または、ごく小さいことが好ましい。
【0074】
また、ベース層34において、固定層12と犠牲層33とは互いに同じ厚さを有することが好ましい。そして、固定層12と犠牲層33とは、剥離層32上で互いに同じ高さを有することが好ましい。
【0075】
そのため、第1の工程の(A3)工程では、犠牲層33の形成の後、研磨工程を設け、固定層12と犠牲層33とが、剥離層32上で互いに同じ高さを有するようにすることが好ましい。
【0076】
以上により、第1の工程の(A3)工程では、そこで形成されるベース層34の固定層12と犠牲層33とが互いに同じ厚さを有して隣接するように配置されることが好ましい。ベース層34がこのような構造を有することにより、後にその上に形成される板状のプローブ1のベース層34側の側面の平滑性を向上することができる。
【0077】
((A4)工程)
図8は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A4)工程を説明する工程図である。
【0078】
第1の工程の(A4)工程では、
図8に示すように、ベース層34上に、板状のプローブ1を形成する。より具体的には、プローブ1の連結部6と針先部5がベース層34の犠牲層33上に形成され、フット部3がベース層34の固定層12上に形成される。このとき、フット部3の連結部6側の一部は、連結部6等と同様に、犠牲層33上に配置される。そして、(A4)工程は、ベース層34とプローブ1を複数含むプローブ層11とからなるプローブ連結体35が基板31上の剥離層32の上に形成される。
【0079】
図9は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A4)工程でベース層上に形成されたプローブを示す模式的な平面図である。
【0080】
図9に示すように、(A4)工程では、固定層12と犠牲層33とからなるベース層34上に、複数の板状のプローブ1を互いに離間するように形成する。それによって、複数のプローブ1を含むプローブ層11を形成する。そして、(A4)工程は、ベース層34と複数のプローブ1を含むプローブ層11とからなるプローブ連結体35を基板31(
図9中図示されない)上の剥離層32の上に形成する。
【0081】
尚、
図9においては、ベース層34上に3体のプローブ1が並べられた状態を示しているが、その数は任意である。ベース層34上に複数体を並べた状態でプローブ1を取り扱うことが可能である。
【0082】
(A4)工程におけるプローブ1の形成についてより詳しく説明すると、例えば、以下の方法にしたがって形成することができる。
【0083】
初めに、ベース層34の上に感光材料からなるフォトレジスト材料が、例えば、スピンコート法により均一な厚さに塗布される。これにより、基板31の全面に均一な感光性のレジスト層(図示されない)が形成される。このレジスト層は、マスク(図示せず)を用い、そのパターンにしたがって、所望の部分の露光を行う選択露光が施され、その後、現像される。このマスクは、複数の離間配置されたプローブ1を含むそれら全体の平面形状に対応するパターンを有する。
【0084】
このマスクのパターンのレジスト層への転写により、基板31上のベース層34の上には、凹所(図示されない)を備えたレジスト層が形成される。レジスト層の凹所は、上述したように、複数のプローブ1からなる全体の平面形状に対応した平面形状を有する。そして、レジスト層の凹所の各プローブ1に対応する部分は、
図1に示した取り付け端2を有するフット部3と針先部5と連結部6の平面形状に対応する各部分を有して構成されている。そして、レジスト層は、その凹所の底面にベース層34を露出させるレジストパターンを形成している。
【0085】
次に、(A4)工程では、上述のレジスト層の凹所内に、プローブ材料を、例えば、めっき処理によって堆積する。その結果、(A4)工程においては、レジスト層の凹所内で、プローブ1が、ベース層34上に固着して形成されて、互いに離間するように配置される。
【0086】
上述のプローブ材料としては、一種の材料のみを用いることができ、また、異種材料を組み合わせて用いることもできる。例えば、プローブ材料として金属材料を用いる場合、単体の金属を用いることができ、また、合金を用いることもできる。プローブ材料に用いることができる金属材料としては、具体的には、ニッケル、金、銀、錫、亜鉛、ロジウム、タングステン等の金属単体を挙げることができる。また、それらを含む、例えば、ニッケル燐合金等の合金、または、それら金属単体や合金を複数種組み合わせて形成されたもの等を挙げることができる。
【0087】
次に、ベース層34上に複数のプローブ1を互いに離間するように形成した後、(A4)工程では、上述の凹所を備えたレジスト層の除去が行われる。その結果、(A4)工程においては、
図9に示したように、複数のプローブ1が、それぞれベース層34上に固着して形成されて、互いに離間するように配置される。より具体的には、各プローブ1の連結部6と針先部5がベース層34の犠牲層33上に形成され、フット部3がベース層34の固定層12上に形成される。このとき、フット部3の連結部6側の一部は、連結部6等と同様に、犠牲層33上に配置される。そして、基板31上の剥離層32の上に、ベース層34と複数のプローブ1を含むプローブ層11とからなるプローブ連結体35を形成することができる。
【0088】
((A5)工程)
図10は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A5)工程を説明する工程図である。
【0089】
第1の工程の(A5)工程では、
図8および
図9に示した基板31上のプローブ連結体35を基板31から取り外し、
図10に示すように、プローブ連結体35を得る。
【0090】
図11は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程の(A5)工程で得られたプローブ連結体を示す模式的な平面図である。
【0091】
図11に示すように、(A5)工程で得られるプローブ連結体35は、複数のプローブ1が、それぞれベース層34上に固着して設けられて、互いに離間するように配置されている。より具体的には、各プローブ1の連結部6と針先部5がベース層34の犠牲層33上に配置され、フット部3がベース層34の固定層12上に配置される。このとき、フット部3の連結部6側の一部は、連結部6等と同様に、犠牲層33上に配置される。
【0092】
(A5)工程において、プローブ連結体35の基板からの取り外しは、エッチング処理によって行われる。すなわち、プローブ連結体35を基板31上から取り外すために、ベース層34と基板31との間にある剥離層32を除去するよう、エッチング液を用いたエッチング処理(ウェットエッチング処理)が施される。このエッチング処理により、基板31から取り外されて、
図10に示されるように、プローブ連結体35が得られる。
【0093】
このとき、上述したように、犠牲層33を残して剥離層32のみを選択的にエッチング除去できるように、剥離層32と犠牲層33とは異なるエッチング特性を備えた異なる材料とされている。そのため、基板31から取り外されたプローブ連結体35では、犠牲層33は安定的に残されている。
【0094】
剥離層32がドライフィルムレジストを用いて形成される場合、犠牲層33は、例えば、銅を用いて形成することができる。また、剥離層32が、例えば、銅を用いて形成される場合、犠牲層33は、例えば、ドライフィルムレジストを用いて形成することができる。
【0095】
剥離層32および犠牲層33について、このような構成材料の選択を行うことにより、固定層12と犠牲層33と複数のプローブ1とからなるプローブ連結体35を基板31から取り外し、安定して製造することができる。
【0096】
((A6)工程)
次に(A6)工程では、上述したように、所望とする数のプローブ連結体35が製造されたか否かの判断がなされる。このとき、所望とするプローブ連結体35の製造数は、数千体から数万体とすることもできる。
【0097】
そして、プローブ連結体35の製造数が所望とする数より少ない場合には、再び上述した(A1)工程に戻って、(A1)工程(S1−1)〜(A5)工程(S1−5)の各工程がこの順で繰り返される。その後、(A5)工程(S1−5)後の(A6)工程において、プローブ連結体35の製造数が所望とする数に到達したと判断された場合には、次の第2の工程(S2)へと進行する。
【0098】
[第2の工程(S2)]
図12は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第2の工程(S2)を説明する工程図である。
【0099】
第1実施形態のプローブの製造方法を構成する第2の工程(S2)は、上述した第1の工程(S1)で製造された複数のプローブ連結体35を積み重ねる。そして、固定層12および犠牲層33からなるベース層34と、複数のプローブ1を含むプローブ層11とが交互に積層されてなる第1のプローブ積層体36を製造する。
【0100】
尚、
図12は、プローブ連結体35を3段積み重ねた状態であって、プローブ1の針先4側である前面側から見た状態を模式的に図示している。プローブ連結体35の積層数は、
図12に示した3段に限られず任意であり、例えば、数十から数万のオーダーとすることができる。
【0101】
[第3の工程(S3)]
第1実施形態のプローブの製造方法を構成する第3の工程(S3)は、上述した第2の工程(S2)で製造された第1のプローブ積層体36から、それを構成する各プローブ連結体35のベース層34に含まれる犠牲層33を除去する。この犠牲層33の除去は、ウエットエッチングによる選択エッチングや剥離剤による剥離処理によって、複数の犠牲層33について一括して行うことができる。
【0102】
そして、各プローブ層11を構成するプローブ1はそれぞれ、ベース層34を構成していた固定層12によりフット部3が固着されて連結され、互い離間するように配置される。このようにして、ベース層34の固定層12とプローブ層11とが交互に積層されてなる第2のプローブ積層体として、
図3に示したプローブ積層体13を形成する。
【0103】
プローブ積層体13を製造することで、同一平面上に複数のプローブ1を配置してなるプローブ層11を複数段重ねることができ、複数のプローブ1をブロック状にして製造することができる。そして、ブロック状の複数のプローブ1を一括して取り扱うことができる。
【0104】
製造されたプローブ積層体13を構成する複数のプローブ1は、それぞれのフット部3の取り付け端2が用いられ、一括してプローブ基板上(図示されない)に立設されて、後述するプローブ組立体を製造することができる。すなわち、プローブ積層体13は、含有する複数のプローブ1のそれぞれについて、プローブ基板上での単独の針立て作業を不要とし、プローブ組立体を製造することができる。
【0105】
尚、以上の第1実施形態のプローブの製造方法では、第1の工程(S1)で、固定層12および犠牲層33を含むベース層34とプローブ層11とからなるプローブ連結体35を所望とする数だけ製造した。次いで、第2の工程(S2)でそれらを積み重ね、
図12に示した、ベース層34とプローブ層11とが交互に積層されてなる第1のプローブ積層体36を製造した。その後、第3の工程(S3)で各プローブ連結体35のベース層34に含まれる犠牲層33を一括して除去し、
図3に示したプローブ積層体13を形成した。
【0106】
このとき、第1実施形態のプローブの製造方法は、上記とは別の方法により、
図3に示したプローブ積層体13を形成することも可能である。その別の方法の例では、第1の工程でベース層34の犠牲層33が除去されて固定層12およびプローブ層11のみとなったプローブ連結体を複数製造する。その後、第2の工程でそれらを積み重ね、
図3に示したプローブ積層体13を形成することができる。この第1実施形態のプローブの製造方法の別の例では、上述の第3の工程(S3)を経ることなく、直接に、
図3に示したプローブ積層体13を形成することができる。
【0107】
その場合、第1の工程(S1)において、基板31上の剥離層32の上にプローブ連結体35を形成する(A4)工程(S1−4:プローブ連結体形成工程)の後、プローブ連結体35を基板31から取り外す前に、新たに、ベース層34から犠牲層33のみを除去する工程を設ける。そして、ベース層34が固定層12のみとなった状態で、上述の(A5)工程(S1−5:プローブ連結体取り外し工程)と同様の工程により、固定層12とプローブ層11とからなるプローブ連結体を基板31から取り外す。その後、第2の工程で、固定層12とプローブ層11とからなるプローブ連結体を複数積み重ねることにより、
図3に示したプローブ積層体13を形成することができる。
【0108】
また、第1実施形態のプローブの製造方法において、
図3では、複数のプローブ1の針先4が等間隔となるピッチで配列されている。しかし、IC等の被検査体(図示されない)の電極配置に合わせてプローブ1の針先4の配置位置を調整することも可能である。
【0109】
その場合、上述した第1の工程の(A4)工程では、プローブ層12を構成する各プローブ1が所定の配置となるように、ベース層34上で、各プローブ1の配置位置が調整されてプローブ層12が形成される。すなわち、上述の被検査体の電極配置に合わせてプローブ1の針先4の配置位置が調整されるように、ベース層34上で、各プローブ1の配置位置が調整されてプローブ層12が形成される。
【0110】
また、第1の工程の(A4)工程でプローブ1の配置位置を調整する方法のほか、第1の工程の(A3)工程においてベース層34の高さを調整する方法により、プローブ1の針先4の配置位置を調整することができる。
【0111】
このように、プローブ1の針先4の配置位置を調整してプローブ積層体13を製造することにより、そのプローブ積層体13を用いたプローブ組立体(図示されない)では、ブロック状にされた複数のプローブ1が一括して被検査体の電極に接触できるようになる。
【0112】
以上により、第1実施形態のプローブの製造方法は、プローブ積層体13を製造することで、同一平面上に複数のプローブ1を配置してなるプローブ層11を複数段重ねることができ、複数のプローブ1をブロック状にして製造することができる。そして、ブロック状の複数のプローブ1をプローブ積層体13の構成要素として一括して取り扱うことができる。
【0113】
したがって、複数のプローブ1のそれぞれは、プローブ基板上での単独の針立て作業が不要とされ、迅速かつ簡便にプローブ組立体を製造することができる。
【0114】
そして、プローブ1は、連結部6の有するバネ構造に由来したバネ作用によって、針先部5の針先4が被検査体の電極に押し付けられたときに、連結部6の弾性変形に伴って針先4を被検査体の電極に向けて付勢することができる。その結果、プローブ1は、連結部6のバネ作用により、針先部5の針先4と被検査体の電極との間の高信頼の電気的接続を実現することができる。
【0115】
実施の形態2.
<プローブの製造方法2>
上述した第1実施形態のプローブの製造方法は、上述した第1の工程(S1)により
図10等に示したプローブ連結体35を複数体製造した。次いで、上述した第2の工程(S2)で第1のプローブ積層体36を製造し、上述した第3の工程(S3)でプローブ積層体13を製造し、複数のプローブ1を得た。
【0116】
本発明において、
図3に示したプローブ積層体13を製造する方法は、上述した第1実施形態のプローブの製造方法のみに限られるわけではない。
【0117】
例えば、剥離層32の形成された基板31上に、プローブ連結体35を複数積み重ねる。その後で、基板31から複数段のプローブ連結体35を一体として取り外す。次いで、犠牲層33を除去してプローブ積層体13を製造するという別の方法を実施することも可能である。
【0118】
以下、上述した別の方法に対応する本発明の第2実施形態のプローブの製造方法について説明する。
【0119】
図13は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法を説明するフローチャートである。
【0120】
図13に示すように、第2実施形態のプローブの製造方法は、次の第1の工程(S11)〜第4の工程(S14)を有して構成される。そして、上述した第1実施形態のプローブの製造方法と同様に、
図2に示したプローブ層11および
図3に示したプローブ積層体13を製造する。それによって、
図1等に示したプローブ1を複数、互いに離間するように配置して一括して形成することができる。形成されるプローブ1は、
図1等に示したように、取り付け端2を有するフット部3と、針先4が先端に設けられる針先部5と、フット部3と針先部5とを連結する連結部6とを含んで構成される。連結部6は、針先部5とフット部3とを繋ぐバネ構造を有する。そして、プローブ1は、上述のように、一方の端部に、プローブ1の取り付けに用いられる取り付け端2を有し、他方の端部に針先4を有して全体に板状の構造を有する。
【0121】
したがって、以下の説明においては、上述の
図1〜
図3のプローブ1、プローブ層11およびプローブ積層体13と共通する構成要素、並びに、第1実施形態のプローブの製造方法の構成要素と共通する構成要素については同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0122】
[第1の工程(S11)]
第2実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S11)は、基板上に剥離層を形成する工程であり、第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A1)工程(S1−1:剥離層形成工程)と同様の工程となる。
【0123】
すなわち、第1の工程(S11)は、
図5に示した第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A1)工程と同様である。すなわち、第1の工程(S11)では、基板31として、例えば、表面がエッチングにより鏡面処理されたシリコン結晶基板が準備され、基板31上に剥離層32が形成される。剥離層32の形成には、上述したように、例えば、ドライフィルムレジストを用いて行うことができ、また、銅の他、銅とニッケルの合金等のエッチング可能な金属材料を選択して用いることも可能である。
【0124】
[第2の工程(S12)]
第2実施形態のプローブの製造方法の第2の工程(S12)は、上述した第1の工程(S11)で製造された基板31の剥離層32の上に、プローブ連結体35が複数段積層されてなる第3のプローブ積層体41を製造する。
【0125】
図14は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法の第2の工程を説明する工程図である。
【0126】
第2実施形態のプローブの製造方法の第2の工程(S12)は、剥離層32の形成された基板31を用い、次の(B1)工程(S12−1)〜(B3)工程(S12−3)をこの順で複数回繰り返す工程である。そして、所望とする複数段のプローブ連結体35を基板31の剥離層32の上に積層して製造することができる。
【0127】
(B1)工程
上述の第1の工程(S11)で剥離層32の形成された基板31を用い、剥離層32上の一部の領域に固定層12を形成する工程(S12−1:固定層形成工程)
(B2)工程
(B1)工程で固定層12の形成された基板31を用い、剥離層32上の固定層12の形成されない領域に、固定層12と同層に犠牲層33を形成することにより、固定層12および犠牲層33からなるベース層34を剥離層32上に形成する工程(S12−2:ベース層形成工程)
(B3)工程
(B2)工程で形成されたベース層34上に、複数の板状のプローブ1を互いに離間するように形成して複数のプローブ1を含むプローブ層11を形成することにより、ベース層34とプローブ層11とからなるプローブ連結体35を形成する工程(S12−3:プローブ連結体形成工程)
【0128】
上述の(B1)工程(S12−1:固定層形成工程)は、上述した
図6の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A2)工程(S1−2:固定層形成工程)と同様の工程である。また、上述の(B2)工程(S12−2:ベース層形成工程)は、上述した
図7の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A3)工程(S1−3:ベース層形成工程)と同様の工程である。
【0129】
また、上述の(B3)工程(S12−3:プローブ連結体形成工程)は、上述した
図8の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A4)工程(S1−4:プローブ連結体形成工程)と同様の工程である。
【0130】
例えば、第2の工程(S12)の(B1)工程(S12−1)では、
図6に示したように、固定層12は、後に複数のプローブ1のフット部3を配置できるように、剥離層32の一部の領域に設けられる。また、固定層12は、後の剥離層32および犠牲層の剥離時に、一緒に除去されないことが求められる。
【0131】
また、(B2)工程(S12−2)では、
図7に示したように、剥離層32上の固定層12の形成されない領域に、固定層12と同層となるように犠牲層33を形成し、固定層12と犠牲層33とからなるベース層34を形成する。
【0132】
このとき、ベース層34において、固定層12と犠牲層33とは、互いに対向する端部の少なくとも一部が接するように形成されることが好ましい。そして、ベース層34において、剥離層32上の固定層12と犠牲層33との間の隙間は無いか、または、ごく小さいことが好ましい。
【0133】
また、ベース層34において、固定層12と犠牲層33とは互いに同じ厚さを有することが好ましい。そして、固定層12と犠牲層33とは、剥離層32上で互いに同じ高さを有することが好ましい。
【0134】
そのため、(B2)工程(S12−2)では、犠牲層33の形成の後、研磨工程を設け、固定層12と犠牲層33とが、剥離層32上で互いに同じ高さを有するようにすることが好ましい。
【0135】
以上により、(B2)工程(S12−2)では、そこで形成されるベース層34の固定層12と犠牲層33とが互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。ベース層34がこのような構造を有することにより、後にその上に形成される板状のプローブ1のベース層34側の側面の平滑性を向上することができる。
【0136】
また、(B3)工程(S12−3)では、
図8に示したように、ベース層34上に、板状のプローブ1を形成する。より具体的には、プローブ1の連結部6と針先部5がベース層34の犠牲層33上に形成され、フット部3がベース層34の固定層12上に形成される。このとき、フット部3の連結部6側の一部は、連結部6等と同様に、犠牲層33上に配置される。
【0137】
このように、(B3)工程(S12−3)では、
図9に示したように、ベース層34上に、複数の板状のプローブ1を互いに離間するように形成することによって、複数のプローブ1を含むプローブ層11を形成する。そして、(B3)工程(S12−3)は、ベース層34と、複数のプローブ1を含むプローブ層11とからなるプローブ連結体35を基板31上の剥離層32の上に形成する。
【0138】
そして、第2の工程(S12)では、
図13に示すように、(B3)工程(S12−3)の後、(B4)の判断工程(S12−4)で所望とする数のプローブ連結体が基板31の剥離層32の上に製造されたか否かの判断がなされる。
【0139】
プローブ連結体35の製造数が所望とする数より少ない場合には(S12−4:NO)、再び(B1)工程(S12−1)に戻って、(B1)工程(S12−1)〜(B3)工程(S12−3)の各工程がこの順で繰り返される。そして、基板31の剥離層32上に、複数段のプローブ連結体35が積み重ねられて製造される。
【0140】
尚、繰り返される第2の工程(S12)の(B1)工程(S12−1)〜(B3)工程(S12−3)において、第2回目以降の(B1)工程(S12−1)では、固定層12が、その前の回の(B3)工程(S12−3)で形成されたプローブ連結体35のプローブ層11の上に形成される。同様に第2回目以降の(B2)工程(S12−2)では、犠牲層33が、その前の回の(B3)工程(S12−3)で形成されたプローブ連結体35のプローブ層11の上に形成される。
【0141】
より具体的には、繰り返される第2の工程(S12)の第2回目以降の(B1)工程(S12−1)では、固定層12が、その前の回に形成されたプローブ連結体35のプローブ層11の、プローブ1のフット部3の配置領域上に形成される。また、第2回目以降の(B2)工程(S12−2)では、犠牲層33が、その前の回に形成されたプローブ連結体35のプローブ層11の、プローブ1の連結部6および針先部5の配置領域上に形成される。
【0142】
したがって、繰り返される第2の工程(S12)の第2回目以降では、その前の回に形成されたプローブ連結体35のプローブ層11上で、ベース層34の固定層12と犠牲層33とが互いに同じ高さを有して隣接するように配置されることが好ましい。
【0143】
このように第2の工程(S12)では、(B1)工程(S12−1)〜(B3)工程(S12−3)をこの順で複数回繰り返して行う。そして、上述したように、基板31の剥離層32の上に、ベース層34とプローブ層11とからなるプローブ連結体35を複数積層して構成された第3のプローブ積層体41を製造する。
【0144】
そして、(B3)工程(S12−3)後の(B4)の判断工程(S12−4)において、プローブ連結体35の製造数が所望とする数に到達したと判断された場合には(S12−4:YES)、次の第3の工程(S13)へと進行する。
【0145】
[第3の工程(S13)]
第2実施形態のプローブの製造方法の第3の工程(S13)は、上述の第2の工程(S12)で製造された第3のプローブ積層体41を用い、それから基板31を取り外して第4のプローブ積層体を製造する工程である。
【0146】
第3のプローブ積層体41からの基板31の取り外しは、
図10および
図11に示した第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A5)工程と同様の方法によって行うことができる。すなわち、
図14の第3のプローブ積層体41において、基板31の取り外しは、上述の第1実施形態のプローブの製造方法の第1の工程(S1)の(A5)工程と同様のエッチング処理によって行うことができる。このエッチング処理により、第4のプローブ積層体が得られる。
【0147】
そして、この第4のプローブ積層体は、
図12等に示した第1のプローブ積層体36と同様の構造となる。したがって、第2実施形態のプローブの製造方法では、第3の工程(S13)により、第4のプローブ積層体として、
図12等に示した第1のプローブ積層体36を製造することができる。
【0148】
[第4の工程(S14)]
第2実施形態のプローブの製造方法を構成する第4の工程(S14)は、第4のプローブ積層体から犠牲層33を除去する。すなわち、第4の工程(S14)は、第3の工程(S13)で製造された、複数のプローブ連結体35を積層してなる第4のプローブ積層体から、プローブ連結体35のベース層34に含まれる犠牲層33を除去する。犠牲層33の除去は、上述した第1実施形態のプローブの製造方法の第3の工程(S3)と同様に、ウエットエッチングによる選択エッチングや剥離剤による剥離処理によって行うことができる。そして、複数の犠牲層33について一括して行うことができる。
【0149】
そして、各プローブ層11を構成するプローブ1はそれぞれ、固定層12によりフット部3が固着されて連結され、互い離間するように配置される。このようにして、ベース層34を構成していた固定層12と、プローブ層11とからなり、それらが交互に積層されて構成された第5のプローブ積層体として、
図3に示した、プローブ積層体13を形成することができる。
【0150】
製造されたプローブ積層体13を構成する複数のプローブ1は、それぞれのフット部3の取り付け端2が用いられ、一括してプローブ基板上(図示されない)に立設されて、後述するプローブ組立体を製造することができる。すなわち、プローブ積層体13は、含有する複数のプローブ1のそれぞれについて、プローブ基板上での単独の針立て作業を不要とし、プローブ組立体を製造することができる。
【0151】
以上により、第2実施形態のプローブの製造方法は、プローブ積層体13を製造することで、同一平面上に複数のプローブ1を配置してなるプローブ層11を複数段重ねることができ、複数のプローブ1をブロック状にして製造することができる。そして、ブロック状の複数のプローブ1を、プローブ積層体13の構成要素として一括して取り扱うことができる。
【0152】
したがって、複数のプローブ1のそれぞれは、プローブ基板上での単独の針立て作業が不要とされ、迅速かつ簡便にプローブ組立体を製造することができる。
【0153】
尚、
図3では、複数のプローブ1の針先4が等間隔となるピッチで配列されているが、上述した第1実施形態のプローブの製造方法と同様に、IC等の被検査体(図示されない)の電極配置に合わせてプローブ1の針先4の配置位置を調整することも可能である。例えば、第2の工程の(B3)工程でプローブ1の配置位置を調整する方法のほか、第2の工程の(B2)工程においてベース層34の高さを調整する方法により、プローブ1の針先4の配置位置を調整することができる。このように、プローブ1の針先4の配置位置を調整してプローブ積層体13を製造することにより、そのプローブ積層体13を用いたプローブ組立体(図示されない)では、ブロック状にされた複数のプローブ1が一括して被検査体の電極に接触できるようになる。このとき、プローブ1は、フット部3と針先部5とを連結する連結部6がバネ構造を有しており、被検査体の電極との良好な接触を実現することができる。
【0154】
実施の形態3.
<プローブ組立体>
本発明の第3実施形態のプローブ組立体は、上述した第1実施形態のプローブの製造方法または第2実施形態のプローブの製造方法によって製造された
図1のプローブ1を含むことを特徴とする。
【0155】
そして、第3実施形態のプローブ組立体は、後述するように、第1実施形態のプローブの製造方法および第2実施形態のプローブの製造方法のいずれかによって製造された
図3のプローブ積層体13を用いて製造される。
【0156】
図15は、本発明の第3実施形態のプローブ組立体を模式的に示す側面図である。
【0157】
図15に示すように、第3実施形態のプローブ組立体100は、平面形状が全体に円形である配線基板112と、配線基板112の下面112aの中央部に取り付けられた矩形平面形状のプローブ基板114と、プローブ基板114の一方の面114aに取り付けられた多数のプローブ1とを備える。
【0158】
プローブ組立体100では、各プローブ1が、そのフット部3を用い、プローブ基板114の一方の面114a上に形成された対応する導電路(図示されない)のそれぞれの接続部(図示されない)に立設されて固着されている。
【0159】
尚、各プローブ1は、上述したように、第1実施形態のプローブの製造方法および第2実施形態のプローブの製造方法のいずれかによって製造されたものである。したがって、各プローブ1はフット部3に、それらを連結する固定層を有するが、
図15では図示を省略している。また、上述したように、第3実施形態のプローブ組立体100では、
図3のプローブ積層体13を用いてプローブ基板114にプローブ1を取り付けた後、固定層12を除去し、プローブ1が固定層12を有しない構造とすることも可能である。
【0160】
プローブ組立体100において、プローブ基板114は、プローブ1が設けられた一方の面114aと反対側の面を配線基板112の下面112aに対向させて、配線基板112に固定されている。
【0161】
配線基板112は、内部に導電路(図されない)が組み込まれた電気絶縁性の材料からなる。配線基板112の上面の周縁部には、テスタ(図示されない)への接続端となる多数のテスタランド(図示されない)が設けられている。配線基板112に取り付けられたプローブ基板114の各プローブ1は、プローブ基板114の対応する導電路および配線基板112内の対応する導電路を経て、上述した配線基板112の対応する各テスタランドに電気的に接続される。これにより、各プローブ1は、配線基板112の対応するテスタランドを経て、上述したテスタに電気的に接続される。
【0162】
そして、プローブ組立体100は、IC等の被検査体(図示されない)を試験する電気的試験に用いられる。被検査体は、電気的接続装置であるプローブ組立体100を経て、試験手段であるテスタに電気的に接続される。
【0163】
プローブ組立体100において、プローブ1は、連結部6の有するバネ構造に由来したバネ作用によって、針先部5の針先が被検査体の電極に押し付けられたときに、連結部6の弾性変形に伴って針先部5の針先を被検査体の電極に向けて付勢することができる。その結果、プローブ1は、連結部6のバネ作用により、針先部5の針先と被検査体の電極との間の高信頼の電気的接続を実現することができる。
【0164】
実施の形態4.
<プローブ組立体の製造方法>
本発明の第4実施形態のプローブ組立体の製造方法では、上述した第1実施形態のプローブの製造方法および第2実施形態のプローブの製造方法のいずれかによって製造された、
図3のプローブ積層体13を用いる。そして、例えば、
図15に示した上述の第3実施形態のプローブ組立体100を製造することができる。
【0165】
図16は、本発明の第4実施形態のプローブ組立体の製造方法を説明する工程図である。
【0166】
第4実施形態のプローブ組立体の製造方法では、プローブ積層体13を構成している複数の
図1のプローブ1を一括して使用する。すなわち、
図16に示すように、複数のプローブ1からなるプローブ積層体13を用い、そこに含まれる複数のプローブ1それぞれのフット部3の取り付け端2を使用する。そして、例えば、プローブ基板114上にプローブ積層体13を一体的に立設させて、
図15に示した第3実施形態のプローブ組立体100の製造に用いることができる。
【0167】
プローブ基板114の導電路(図示されない)のそれぞれの接続部(図示されない)とプローブ積層体13を構成する各プローブ1との電気的な接続は、半田のような導電性接合材による接合、レーザによる溶接等の方法によって行うことができる。
【0168】
尚、第4実施形態のプローブ組立体の製造方法においては、プローブ組立体100を製造した後、
図3のプローブ積層体13を構成する固定層12を除去することも可能である。
【0169】
以上により、第4実施形態のプローブ組立体の製造方法は、プローブ積層体13を用いて、多数のプローブ1の1つずつについてのプローブ基板114上での針立て作業を不要とし、プローブ組立体100を製造することができる。
【0170】
尚、本発明の権利範囲は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。