特許第6548968号(P6548968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6548968-凍結工法及びそれに使用する装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548968
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】凍結工法及びそれに使用する装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/00 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
   E03B7/00 Z
   E03B7/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-121697(P2015-121697)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-8487(P2017-8487A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592169301
【氏名又は名称】株式会社大勇フリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】大久保 太陽
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−181095(JP,A)
【文献】 実開昭57−190192(JP,U)
【文献】 特開2008−019426(JP,A)
【文献】 特開2003−219670(JP,A)
【文献】 特開昭53−115089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水管を分割可能な容器で挟持固定し、その容器内に、前記した配水管内の水を凍結させるため凍結手段を投入する凍結工法であって、前記配水管の外表面にフィンを一体的に備えた伝熱部材を密接させてある凍結工法であって、前記した伝熱部材のフィンは配水管の軸芯方向と直交する方向で配水管の軸芯方向に沿った方向に複数が並列に備えられており、前記した凍結手段は液体窒素、液体酸素または液体空気のうちの一つである凍結工法において、前記した伝熱部材はキャップボルトを使用して、配水管外表面との間隔が調整可能となっていることを特徴とする凍結工法。
【請求項2】
前記した伝熱部材は配水管の上面側に鞍状に跨設されることを特徴とする請求項1に記載の凍結工法。
【請求項3】
前記した伝熱部材は熱伝導材としてのシリコン(6)を介在して配水管に密接されることを特徴とする請求項1または2に記載の凍結工法。
【請求項4】
配水管を挟持し、内部に配水管内の水を凍結させるための凍結手段を投入する分割可能な容器を有する凍結装置であって、前記容器内で配水管の外表面にフィンを一体的に備えた伝熱部材を密接させてある凍結装置において、前記した伝熱部材は配水管外表面との間隔を調整可能とする締め付け用キャップボルトを備えていることを特徴とする凍結装置。
【請求項5】
前記したキャップボルトは伝熱部材の上面側の四隅に備えられていることを特徴とする請求項4に記載の凍結装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凍結工法、特に配水管、それも上水道管の凍結工法と、それに使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道管の交換や修理に際しては、バルブを閉める等して断水状態とし、作業を行なうことが一般的であった。しかし、この断水状態は周囲の環境に著しい悪影響を与えるものであった。
【0003】
そこで、近年、断水状態とすることなく、上水道管内の水を一時的に凍結(氷結)させ、その凍結によって一時的な止水を行なう凍結工法が行なわれるようになってきている。
【0004】
しかしながら、この凍結工法は、管内の水を凍結させ、止水作用に十分となるまでには長い時間が必要であり、作業の迅速性を妨げていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
出願人は、本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明が解決しようとする問題点は、凍結工法にあって、管内の水を止水作用に耐える状態まで凍結させるには長い時間を必要としていたという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題点を解決するために、本発明に係る凍結工法は、配水管を分割可能な容器で挟持固定し、その容器内に、前記した配水管内の水を凍結させるため凍結手段を投入する凍結工法であって、前記配水管の外表面にフィンを一体的に備えた伝熱部材を密接させてある凍結工法であって、前記した伝熱部材のフィンは配水管の軸芯方向と直交する方向で配水管の軸芯方向に沿った方向に複数が並列に備えられており、前記した凍結手段は液体窒素、液体酸素または液体空気のうちの一つである凍結工法において、前記した伝熱部材はキャップボルトを使用して、配水管外表面との間隔が調整可能となっていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る凍結工法は、前記した伝熱部材は配水管の上面側に鞍状に跨設されることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る凍結工法は、前記した伝熱部材は熱伝導材としてのシリコン(6)を介在して配水管に密接されることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係る凍結装置は、配水管を挟持し、内部に配水管内の水を凍結させるための凍結手段を投入する分割可能な容器を有する凍結装置であって、前記容器内で配水管の外表面にフィンを一体的に備えた伝熱部材を密接させてある凍結装置において、前記した伝熱部材は配水管外表面との間隔を調整可能とする締め付け用キャップボルトを備えていることを特徴とし、前記したキャップボルトは伝熱部材の上面側の四隅に備えられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る凍結工法及びそれに使用する凍結装置は上記のように構成されている。そのため、配管の水は、直に液体空気等の凍結手段で、冷却されることに加えて、伝熱部材を通しての冷却も加味され、より急激な冷却作用がなされ、止水するのに十分な凍結までの時間が大幅に短縮されることとなり、実際の管の修理、交換作業を早急に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】施工状態を示す平面図である。
図2図1中のA−A線断面図である。
図3図2中のB−B線断面図である。
図4】半割して示す斜視図である。
図5】伝熱部材の一例を示す図である。
図6】伝熱部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。図中1は対象となる配水管を示しており、この配水管1内には水が流通している。また、2は上面開口とした容器(ケーシング)であり、上下方向に中央部分で分割可能で、左右から配水管1を挟持し、ロックされる。この容器2は例えば発泡スチロール等の断熱性を有する素材で成形されている。
【0015】
一方、図中3は金属製の伝熱部材であり、この伝熱部材3は配水管1の上面に鞍状に跨設され、上面側の四隅をキャップボルト4、4‥によって締め付けられる。
【0016】
この伝熱部材3の上面には複数の平板状のフィン5、5‥が一体に並列されており、実施例にあって、このフィン5、5‥の方向は配水管1の軸芯方向と直交するものとなっている。また、この実施例でこのフィン5の板厚は3mm、高さ(取り付け面の最頂点外面から突端までの長さ)は30mm、幅(跨設される左右両端間の長さ)は50mmを想定しているもので、枚数は四枚としている。また、フィン5、5‥の方向性は配水管1の軸芯方向と沿うもの、あるいは斜交する方向とすることもできる。
【0017】
このフィン5の板厚や高さ、幅の数値や枚数は必要に応じて随時変更ができるもので、対象とする配水管1の状況により選択することができる。即ち、高さや幅を大きくして、枚数を減らすこともできる。
【0018】
この伝熱部材3の底面には全面にシリコン等の熱伝導材6が設けられており、配水管1、強いては配水管1内の水に対する冷却熱の伝熱効果を高めている。また、前記したキャップボルト4、4‥の使用によって、伝熱部材3の底面(熱伝導材6)と配水管1の外表面との間隔を調整自在としている。具体的に、この間隔は0〜3mmを想定している。また、この伝熱部材3の配水管1の軸芯方向に沿った長さは前記した容器2内に収まるサイズとなっている。
【0019】
こうして、伝熱部材3が配水管1に締着されると、その伝熱部材3を囲むように、二割された容器2が左右から装着固定され、その容器2の上面開口から液体空気等の凍結手段が注入される。この注入後、容器2の上面開口を施蓋される。この注入された凍結手段は配水管1の下方まで回り込んで配水管1を冷却し、同時に伝熱部材3を冷却して、より一層の冷却熱を配水管1に与えることとなる。
【0020】
また、図6として示す3aは伝熱部材の変形例の一つで、この場合はフィン5aの板厚は3mmであるが、その高さを20mmと低くし、幅を75mmと広くし、枚数は二枚としてある。
【0021】
上記したように、本願発明はフィン5,5aを有する伝熱部材3,3aを使用することで、凍結工法における配水管1内の水の凍結時間を短縮する。即ち、放熱作用の逆作用となっている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本実施例に係る凍結工法及びそれに使用する装置は上記のように構成されている。この実施例にあってフィン5,5aは平板状のものとしてあるが、これにこだわるものではなく、表面積を増大させるため、曲成させたり、捻ったりすることもでき、表面に凹凸を形成すること、あるいは穿孔することもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 配水管
2 容器
3,3a 伝熱部材
4 キャップボルト
5,5a フィン
6 熱伝導材
図1
図2
図3
図4
図5
図6