(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部材は、前記建物の屋上面よりも上方に突出した壁体の少なくとも1つに対し、略平行又は略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1、5〜10のいずれか1項に記載の建物。
前記建物の屋上の下階に配置された室内機と、前記屋上に配置された室外機とを接続する冷媒管は、前記下階の側面側壁面を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1、5〜14のいずれか1項に記載の建物。
室内に配置された室内機の結露水を排出する排出管は、前記建物の壁内又は前記建物の外壁面を介して前記室内機より下方に引き落とされていることを特徴とする請求項1、5〜16のいずれか1項に記載の建物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、室外機を建物の屋上(陸屋根等)に安定して固定配置するための具体的な構造に関しては考慮されていないものであった。すなわち、上記特許文献1にあっては、室外機ケーシング内部から延びたボルトで室外機を固定することはできるが、このボルトを打ち込む地面の状態についての制約が多いため、建物の屋上(陸屋根等)に室外機を固定することが難しい。また、特許文献1に記載されたワイヤーを用いて室外機を固定する方法では、室外機の個体差に拠らずに安定して建物の屋上に固定することが困難という問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載された、免震構造の建物に室外機を固定する方法では、この免震構造の建物が高コストであるという問題があった。また上記特許文献2にあっては、地震に対する室外機の転倒を防止することはできるが、強風に対する室外機の転倒を防止する対策が施されていなく、建物の屋上(陸屋根等)に室外機を安定して固定するための構造に関しては何ら考慮されていないものであった。
【0008】
近年では、特に建物の高層化(例えば三階以上)に伴って、屋上に設置される室外機の設置密度が高くなっているが、以上のように、屋上に室外機を安定して固定することに関しては解決すべき課題が依然として残っていた。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、室外機の個体差に拠らずに、低コスト且つ簡便な構造で、屋上に室外機を安定して固定することができる建物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る建物は、屋内空間の空調を行う空調設備の室外機を備えた建物であって、前記建物の屋上面に前記室外機を固定可能な固定部材が、略平行に離間させて2個配置され、前記固定部材と該固定部材に固定された前記室外機を一体とみなした系の重心位置と前記一体とみなした系が倒れる場合の支点とを結ぶ線と、前記屋上面との間に形成される角度が45°以下であることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、固定部材と室外機を一体とみなした系の重心位置と、一体とみなした系が倒れる場合の支点とを結ぶ線と、屋上面との間に形成される角度が45°以下であるので、以下のように建物の屋上に室外機を安定して固定することができる。具体的には、例えば強風により室外機が倒れようとする方向に力(一体とみなした系が倒れる場合の支点まわりの風力モーメント(倒れ方向の風力モーメント))がかかったとしても、上記角度が45°以下であることにより、この倒れ方向の風力モーメントよりも大きい、倒れを抑える重力モーメント(一体とみなした系が倒れる場合の支点まわりの重力モーメント)が一体とみなした系に働いた状態となっている。このように、倒れを抑える重力モーメントが働いているため、地震や強風により建物の屋上に設置された室外機に力がかかっても、固定部材に対して固定された室外機が倒れずに安定した状態を維持することができる。特に、角度が45°以下であれば、1Gの力がかかっても室外機が倒れないようにすることができ、この1Gの力に耐えられれば強度面についての高い信頼性を確保することができる。また、室外機を固定するための部材として、建物の屋上面に略平行に離間させて2個配置した固定部材とすることにより、低コスト且つ簡便な構造でありながら室外機の個体差に拠らずに室外機の安定的な固定を実現することができる。
【0012】
また本発明に係る建物では、前記一体とみなした系が倒れる場合の支点のすべてに対し、前記線と前記屋上面との間に形成される角度が45°以下であることも好ましい。
【0013】
また本発明に係る建物では、前記角度が26°以下であることも好ましい。
【0014】
また本発明に係る建物では、前記室外機が1台のみ配置される場合には、前記固定部材の長さ方向に対し略中央に配置されていることも好ましい。
【0015】
また本発明に係る建物では、前記室外機が、室内に配置された複数の室内機と接続されていることも好ましい。
【0016】
また本発明に係る建物では、前記室外機が2台配置される場合には、前記2台の室外機それぞれが略平行に配置されることも好ましい。
【0017】
また本発明に係る建物では、前記室外機のうち少なくとも1つは、前記建物の屋上に最も近い下階に配置された室内機と接続されていることも好ましい。
【0018】
また本発明に係る建物では、前記室外機の冷媒管取出部それぞれは、前記室外機の同じ方向に揃えられていることも好ましい。
【0019】
また本発明に係る建物では、前記室外機は、前記室外機の給気側の面を向かい合わせるように配置されていることも好ましい。
【0020】
また本発明に係る建物では、前記固定部材は、前記建物の屋上面よりも上方に突出した壁体の少なくとも1つに対し、略平行又は略垂直に配置されていることも好ましい。
【0021】
また本発明に係る建物では、前記固定部材は、前記屋上面に設けられた防水シートに接触配置されていることも好ましい。
【0022】
また本発明に係る建物では、前記固定部材の長さが120cm以上であることも好ましい。
【0023】
また本発明に係る建物では、前記固定部材の重量が50kg以上であることも好ましい。
【0024】
また本発明に係る建物では、前記固定部材が金属レールとコンクリートで構成されていることも好ましい。
【0025】
また本発明に係る建物では、前記固定部材が、前記建物の梁又は柱に固定された柱脚に固定されていることも好ましい。
【0026】
また本発明に係る建物では、前記建物の屋上と隣接する下階を隔てる部材を貫通するパイプ状部材が配置され、前記パイプ状部材の内部には、前記屋上の室外機と接続される冷媒管が配設されていることも好ましい。
【0027】
また本発明に係る建物では、前記建物の屋上の下階に配置された室内機と、前記屋上に配置された室外機とを接続する冷媒管は、前記下階の側面側壁面を貫通して設けられていることも好ましい。
【0028】
また本発明に係る建物では、記パイプ状部材の内部には、前記パイプ状部材と前記冷媒管との隙間を埋める湿気防止部材が設けられ、前記湿気防止部材は、前記屋上側と室内側に設けられていることも好ましい。
【0029】
また本発明に係る建物では、室内に配置された室内機の結露水を排出する排出管は、前記建物の壁内又は前記建物の外壁面を介して前記室内機より下方に引き落とされていることも好ましい。
【0030】
また本発明に係る建物は、3階以上の階層を有することも好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、室外機の個体差に拠らずに、低コスト且つ簡便な構造で、屋上に室外機を安定して固定することができる建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す平面図である。
【
図2】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す裏面図である。
【
図3】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す側面図である。
【
図4】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す平面図である。
【
図5】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す裏面図である。
【
図6】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す側面図である。
【
図7】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を示す平面図である。
【
図8】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を1台配置した構成を示す正面図である。
【
図9】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を1台配置した構成を示す側面図である。
【
図10】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を1台配置した構成を示す平面図である。
【
図11】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を1台配置した構成を示す正面図である。
【
図12】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を1台配置した構成を示す側面図である。
【
図13】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を2台配置した構成を示す平面図である。
【
図14】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を2台配置した構成を示す裏面図である。
【
図15】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を2台配置した構成を示す側面図である。
【
図16】本実施形態における建物の屋上面に、室外機を2台配置した構成の部分拡大図である。
【
図17】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を2台配置した構成を示す平面図である。
【
図18】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を2台配置した構成を示す正面図である。
【
図19】本実施形態における建物の屋上面に、小型室外機を2台配置した構成を示す側面図である。
【
図20】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す平面図である。
【
図21】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す正面図である。
【
図22】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す側面図である。
【
図23】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成の部分拡大図である。
【
図24】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す平面図である。
【
図25】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す正面図である。
【
図26】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成を示す側面図である。
【
図27】本実施形態における建物の屋上面に、室外機1台及び小型室外機1台を配置した構成の部分拡大図である。
【
図28】室外機2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図29】室外機2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図30】室外機2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図31】室外機1台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図32】並列に配置された室外機各2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図33】室外機2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図34】直列に配置された室外機各2台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図35】室外機各1台に接続される冷媒管の構成を説明するための平面図である。
【
図40】柱脚を用いて、室外機2台を建物の屋上に固定した構成を示す平面図である。
【
図41】柱脚を用いて、室外機2台を建物の屋上に固定した構成を示す裏面である。
【
図42】柱脚を用いて、室外機2台を建物の屋上に固定した構成を示す側面図である。
【
図43】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上に固定した構成を示す平面図である。
【
図44】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上に固定した構成を示す正面図である。
【
図45】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上に固定した構成を示す側面図である。
【
図46】柱脚の構成を説明するための平面図である。
【
図49】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上面に固定した構成を示す平面図である。
【
図50】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上面に固定した構成を示す側面図である。
【
図51】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上面に固定した構成を示す正面図である。
【
図52】柱脚を用いて、室外機1台と小型室外機1台とを建物の屋上面に固定した構成を示す裏面図である。
【
図53】パイプ状部材と冷媒管の構成を説明するための図である。
【
図54】パイプ状部材の一部を拡大して示す断面図である。
【
図55】変形例におけるパイプ状部材と冷媒管の構成を説明するための図である。
【
図56】冷媒管を覆うカバーの構成を説明するための図である。
【
図57】変形例における冷媒管を覆うカバーの構成及び隙間埋め部材について説明するための図である。
【
図58】変形例におけるパイプ状部材と冷媒管の構成を説明するための図である。
【
図59】変形例における冷媒管を覆うカバーの構成及び隙間埋め部材について説明するための図である。
【
図60】変形例における冷媒管を覆うカバーの構成及び隙間埋め部材について説明するための図である。
【
図61】ウィンチアームの構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0034】
まず、本実施形態における建物の屋上面に、室外機を配置した構成について説明する。
図1〜12は、建物の屋上面に、室外機を1台配置した構成を説明するための図である。
図13〜27は、建物の屋上面に、室外機を2台配置した構成を説明するための図である。このうち、
図20〜27は、建物の屋上面に、異なるサイズの室外機を2台配置した構成を説明するための図である。
【0035】
図1等に示されるように、建物1の屋上面1aに設置された固定部材20に対して室外機10が固定されている。
【0036】
室外機10は、建物1の屋内に配置される室内機(図示略)とセットで空調設備として用いられる装置である。室外機10と室内機とは、冷媒管等(後述)と制御用の電線(図示略)を通じて接続されている。本実施形態では、図示した室外機10の例に限定されるわけではなく、種々の大きさ及び機能を有する室外機を適用することができる。
【0037】
なお、本発明における「屋上面」とは、概ね水平な屋上等(陸屋根或いはテラス)における屋外に露出する面を意味する。この概ね水平とは、平面に限定されるわけではなく、例えば、排水溝或いは排水口に向けて僅かな勾配が設けられている面を含む。また、屋上等は、水平面よりも上方にはみ出した壁体(パラペット等)で囲まれていることを含み、当該壁体の方向のいずれか又は全てに向けて僅かな勾配が設けられていることを含む。
【0038】
また、本発明における「建物」としては、その階層が限定されるものではないが、高層階の建物(例えば3階以上の建物)であることが好適である。つまり、高層階の建物ほど、室外機を屋上置きする利点がある。この利点について以下に説明する。例えば2階の建物においては、2階の室内に設置された室内機(図示略)と接続するための室外機を1階(地上)に設置して使用することが可能であるため、2階の建物で室外機を屋上置きする利点としては、1階(地上)に室外機を設置する分の空きスペースを確保できるという点のみである。しかし、3階以上の建物においては、次のような利点もある。すなわち、3階以上の室内に設置された室内機と接続するための室外機を1階に設置して使用することは機種によっては困難になる虞があるため、例えば3階に設置された室内機と接続する室外機を設置するためのベランダを、2階に新設する必要が生じる。このような室外機を設置するためのベランダを新設することは、建物のコストの観点からも望ましくない。以上のように、3階以上の建物で室外機を屋上置きした場合には、上記ベランダの新設の必要がなくなるという利点もあり、特に効果的である。なお、室外機を屋上置きする建物としては、集合住宅が好適であるが、その他の建物(例えば高層ビル等)でも良い。
【0039】
建物1の屋上面1aに設置される固定部材20について説明する。
図1等に示すように、固定部材20は、略平行に離間させて2個配置され、所定数の室外機10を直接又は間接的に固定が可能な直線部分を有している。この固定部材20に対して、平面視で概ね垂直に室外機10が配置される。
【0040】
図1〜
図12に示すように、室外機10が固定部材20に対し1台のみ配置される場合には、固定部材20の長手方向(
図1では上下方向)に対し略中央に室外機10が配置される。
図13〜
図27に示すように、室外機10が固定部材20に対し2台配置される場合には、2台の室外機10それぞれが略平行に配置される。
【0041】
固定部材20は、本実施形態では、
図1等に示されるように、金属レール21と、コンクリート22とで構成される。このような構成とすることで、金属レール21により円滑に室外機10を固定することができ、コンクリート22の重量、耐久性により屋上という環境に適合する利点がある。固定部材20としては、金属レール21及びコンクリート22の構成に限定されるわけではなく、その上部に室外機10を固定可能であれば他の部材を選択することも可能である。
【0042】
上記固定部材20に対して室外機10は次のように固定されている。具体的には、固定部材20と室外機10とを一体とみなした系の重心位置と一体とみなした系が倒れる場合の支点とを結ぶ線と、屋上面1aとの間に形成される角度が45°以下になるように、室外機10は固定部材20に対して固定されている。この角度は、室外機の台数やサイズに拠らずに、45°以下となっている。以下では、
図2、
図3、
図14、
図15、
図22、
図26を参照しながら、室外機1台の場合、室外機2台の場合、異なるサイズの室外機の場合それぞれについて上記角度を説明する。なお、
図2、
図3、
図14、
図15、
図22、
図26では、説明の便宜のため、強風によって室外機が倒れようとする場合(倒れ方向の風力モーメントが働く場合)について説明する。
【0043】
(室外機1台)
まず、1台の室外機10の場合について説明する。
図2は、室外機10が1台の場合の角度θを説明するための図であって、同図には、強風により、右方向に室外機10が倒れようとする場合の、支点A1まわりのモーメントが示されている。なお、
図2に示すG1は、2台の室外機10と固定部材20とを一体とみなした系の重心位置を示している。また、固定部材20と室外機10とを一体とみなした系を、以下では「一体系」とも称する。
【0044】
図2の右方向に室外機10が倒れようとする場合、例えば支点A1まわりに倒れ方向の風力モーメントF11が室外機10に働く。このような倒れ方向の風力モーメントF11がA1を支点として時計回りに働いたとしても、本実施形態では、このF11より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF1がA1を支点として反時計回りに働いた状態となっている。
【0045】
詳細には、
図2に示すように、「一体系」の重心位置G1と「一体系」が倒れる場合の支点A1とを結ぶ線L1と、屋上面1aとの間に形成される角度θが45°以下であれば、例えば強風により1Gの力が作用して倒れ方向の風力モーメントF11が「一体系」に働いたとしても、このモーメントよりも大きい、倒れを抑える重力モーメントF1が常に働いた状態となっている。このように、角度θが45°以下であれば、例えば強風により1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この力の作用により働くモーメントの方向(時計回り)とは反対方向(反時計回り)に、より大きいモーメント(倒れを抑える重力モーメントF1)が常に働くように、屋上面1aに設置された固定部材20に対して室外機10が固定されている。その結果、地震や強風により室外機10に力がかかっても、室外機10が倒れずに安定して固定部材20に固定された状態を維持することができる。特に、角度θが45°以下であれば1Gの力がかかっても室外機10が倒れないようにすることができ、この1Gの力に耐えられれば、強風や地震に対して強度面で高い信頼性を確保することができる。
【0046】
続いて、1台の室外機10の場合であって、
図2に示した室外機10の倒れ方向とは別の方向に室外機10が倒れようとする例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、例えば強風により、左方向に室外機10が倒れようとする場合の、支点A2まわりのモーメントについて説明する図である。
【0047】
例えば強風の影響により、
図3の左方向に室外機10が倒れようとする場合、支点A2まわりに倒れ方向の風力モーメントF12が室外機10に働く。このような倒れ方向の風力モーメントF12がA2を支点として反時計回りに働いたとしても、本実施形態では、次のように、このF12より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF1が働いた状態となっている。
【0048】
詳細には、
図3に示すように、「一体系」の重心位置G1と「一体系」が倒れる場合の支点A2とを結ぶ線L2と、屋上面1aとの間に形成される角度θが45°以下であれば、例えば強風により1Gの力が作用することにより倒れ方向の風力モーメントF12が室外機10に働いたとしても、このモーメントよりも大きい、倒れを抑える重力モーメントF1が常に働いた状態となっている。このように、角度θが45°以下であれば、強風により例えば1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この力の作用により支点A2まわりに働くモーメント(倒れ方向の風力モーメントF12)の方向とは反対方向(反時計回り)により大きいモーメント(倒れを抑える重力モーメントF1)が常に働くように、屋上面1aに設置された固定部材20に対して室外機10が固定されている。その結果、例えば地震や強風により、室外機10に力がかかっても、室外機10が転倒せずに安定して固定部材20に固定された状態を維持することができる。
【0049】
(室外機2台)
続いて、2台の室外機10の場合について説明する。
図14は、例えば強風により、左方向に室外機10が倒れようとする場合の、支点A11まわりのモーメントについて説明するための図である。なお、G2は、2台の室外機10と固定部材20とを一体とみなした系の重心位置を示している。
【0050】
例えば強風の影響により、
図14の左方向に2台の室外機10が倒れようとする場合、支点A11まわりに倒れ方向の風力モーメントF21が「一体系」に働く。この倒れ方向の風力モーメントF21がA11を支点として反時計回りに働いたとしても、本実施形態では、このF21より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF2がA11を支点として反時計回りに働いた状態となっている。
【0051】
詳細には、
図14に示すように、「一体系」の重心位置G2と「一体系」が倒れる場合の支点A11とを結ぶ線L11と、屋上面1aとの間に形成される角度θが45°以下になっているため、強風により例えば1Gの力が作用して倒れ方向の風力モーメントF11がA11を支点として反時計回りに「一体系」に働いたとしても、このモーメントよりも大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF2がA11を支点として時計回りに働いた状態となっている。このように、強風により例えば1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この1Gの力の作用により働くモーメントの方向とは反対方向により大きいモーメントが「一体系」に働くように、屋上面1aに設置された固定部材20に対して室外機10が固定されている。その結果、例えば地震や強風により、屋上に設置された室外機10が倒れようとする方向に大きな力がかかったとしても、室外機10が転倒せずに安定して固定部材20に固定された状態を維持することができる。特に、角度θが45°以下であれば1Gの力がかかっても2台の室外機10の転倒を抑制でき、この1Gの力に耐えられれば、強風や地震に対して強度面で高い信頼性を確保することができる。
【0052】
続いて、2台の室外機10の場合であって、
図14に示した室外機10の倒れ方向とは別の方向に室外機10が倒れようとする例について説明する。
図15は、例えば強風により、
図15の左方向に室外機10が倒れようとする場合の、支点A12まわりのモーメントについて説明する図である。
【0053】
例えば強風の影響により、
図15の左方向に2台の室外機10が倒れようとする場合、支点A12まわりに倒れ方向の風力モーメントF22が室外機10に働く。この倒れ方向の風力モーメントF22がA12を支点として反時計回りに働いたとしても、本実施形態では、このF22より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF2がA12を支点として時計回りに常に働いた状態となっている。
【0054】
詳細には、
図15に示すように、「一体系」の重心位置G2と「一体系」が倒れる場合の支点A12とを結ぶ線L12と、屋上面1aとの間に形成される角度θが45°以下に設定されている。強風により例えば1Gの力が作用して倒れ方向の風力モーメントF22が「一体系」に働いたとしても、このモーメントよりも大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF2が「一体系」に常に働いた状態となっている。このように、地震や強風により例えば1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この1Gの力の作用により働くモーメントの方向とは反対方向により大きいモーメント(倒れを抑えるモーメント)が「一体系」に働くように、固定部材20及び室外機10が屋上等に設置されている。その結果、例えば地震や強風により、屋上等に設置された室外機10が倒れようとする方向に大きな力がかかったとしても、室外機10が転倒せずに安定して固定部材20に対して固定された状態を維持することができる。
【0055】
(異なるサイズの室外機2台)
続いて、異なるサイズの室外機10の場合について説明する。
図22は、例えば強風により、
図22の左方向に異なるサイズの室外機(室外機10、小型室外機10b)が倒れようとする場合の、支点A21まわりのモーメントについて説明するための図である。なお、G3は、異なるサイズの室外機10と固定部材20とを一体とみなした系の重心位置を示している。
【0056】
例えば強風の影響により、
図22の左方向に室外機10及び小型室外機10bが倒れようとする場合、支点A21まわりに倒れ方向の風力モーメントF31が反時計回りに働く。一方で、本実施形態では、このF31より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF3がA21を支点として時計回りに常に働いた状態となっている。
【0057】
詳細には、
図22に示すように、「一体系」の重心位置G3と「一体系」が倒れる場合の支点A21とを結ぶ線L21と、屋上面1aとの間に形成される角度θが45°以下になっているため、強風により例えば1Gの力が作用して倒れ方向の風力モーメントF31がA21を支点として「一体系」に反時計回りに働いたとしても、このモーメントよりも大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF3がA21を支点として時計回りに常に働いた状態となっている。このように、角度θが45°以下になっているため、強風により例えば1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この1Gの力の作用により働くモーメントの方向とは反対方向により大きいモーメントが「一体系」に働くように、屋上面1aに設置された固定部材20に対して室外機10が固定されている。その結果、例えば地震や強風により、屋上等に設置された室外機10に大きな力がかかったとしても、室外機10が転倒せずに安定して固定部材20に対して固定された状態を維持することができる。
【0058】
続いて、異なるサイズの室外機10の場合であって、
図22に示した室外機の倒れ方向とは別の方向に室外機が倒れようとする例について説明する。
図26は、例えば強風により、
図26の右方向に室外機10が倒れようとする場合の、支点A22まわりのモーメントについて説明する図である。
【0059】
例えば強風の影響により、
図26の右方向に室外機10が倒れようとする場合、支点A22まわりに倒れ方向の風力モーメントF32が室外機10に対して時計回りに働く。一方で、本実施形態では、このF32より大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF3がA22を支点として反時計回りに常に働いた状態となっている。
【0060】
詳細には、本実施形態では、「一体系」の重心位置G3と「一体系」が倒れる場合の支点A22とを結ぶ線L22と、屋上面1aとの間に形成される角度θ(
図26参照)が45°以下に設定されているため、強風により例えば1Gの力が作用して倒れ方向の風力モーメントF32がA22を支点として「一体系」に時計回りに働いたとしても、このモーメントよりも大きいモーメントである、倒れを抑える重力モーメントF3がA22を支点として「一体系」に反時計回りに常に働いた状態となっている。つまり、地震や強風により例えば1Gの力が「一体系」に作用したとしても、この1Gの力の作用により働くモーメントの方向とは反対方向により大きいモーメントが「一体系」に働くように、固定部材20及び室外機10が屋上等に設置されている。その結果、地震や強風により、建物1の屋上等に設置された室外機10が倒れようとする方向に大きな力がかかったとしても、室外機10が転倒せずに安定して固定部材20に対して固定された状態を維持することができる。
【0061】
以上、
図2、
図3、
図14、
図15、
図22、
図26を参照しながら説明したように、室外機10と固定部材20を一体とみなした系が倒れる場合の支点のすべてに対し、当該支点と、室外機10と固定部材20を一体とみなした系の重心位置とを結ぶ線と、屋上面1aとの間に形成される角度が45°以下に設定されている。なお、
図2、
図3、
図14、
図15、
図22、
図26に示した支点A1、A2、A11、A12、A21、A22は一例であり、室外機10にかかる力の方向(室外機10の倒れる方向)により、その他の部分の支点(一体とみなした系が倒れる場合の支点)も勿論存在する。
【0062】
上述した実施形態では、角度θが45°以下である例について説明したが、好適には、角度θが33°以下であることが好ましい。より好適には、角度θが26°以下であることが好ましい。角度θが(33°より大きく)45°以下の場合には、1Gの力がかかっても室外機10が倒れないようにすることができ、この1Gの力に耐えられることで、建築物として必須のレベルである耐震クラスBの設備耐震基準を満たすことができる。より好適な数値である、角度θが(26°より大きく)33°以下の場合には、1.5Gの力がかかっても室外機10が倒れないようにすることができ、この1.5Gの力に耐えられることで、耐震クラスAの設備耐震基準を満たすことができるので、揺れの大きい屋上でも比較的大きな安心が得られ、結果的に商品価値を向上させることができる。最も好適な数値である、角度θが26°以下の場合には、2Gの力がかかっても室外機10が倒れないようにすることができ、この2Gの力に耐えられることで、重要な設備等に課せられる耐震クラスSの設備耐震基準を満たすことができるので、非常に大きな安心を得ることが出来、きわめて大きな商品価値を得ることが出来る。
【0063】
また、異なるサイズの室外機(室外機10、小型室外機10b)を固定部材20に固定するために、小型室外機10bと固定部材20とは、以下の支持台を介して連結されている。この支持台は、小型室外機10bを載置すべく所定間隔をおいて設けられた一対の載置用フレーム15(
図20)と、一対の載置用フレーム15と連結される一対のチャンネル材16(
図20、
図23)とからなり、このチャンネル材16の側面には孔が形成されている。この孔の位置を小型室外機10bの大きさに対応して選択し、チャンネル材16に一対の載置用フレーム15を連結して、載置用フレーム15上に小型室外機10bを載置する。このような構成を備えることにより、異なるサイズの室外機に対応して固定部材20に固定することが可能となっている。なお、小型室外機10bを支持する支持台としては、上述した載置用フレーム15及びチャンネル材16の構成に限定されるわけではなく、異なるサイズに調整可能な構成を備えていれば、適宜選択することが可能である。
【0064】
なお、固定部材20の長手方向の長さは、室外機10を固定可能な部分を有していれば任意であるが、本実施形態では、例えば90cm以上、100cm以上、又は110cm以上であることが好ましく、より好適には120cm以上であることが好ましい。このように、固定部材20の長手方向の長さを設定することで、固定部材20に室外機10を2台設置する場合に、最適な室外機の離間距離を確保できると同時に、室外機10を1台設置する場合にも、倒れを防ぐバランスの良い構造とすることができる。
【0065】
また、固定部材20の重量は、任意に設定することが可能であるが、本実施形態では、1つあたり例えば30kg以上又は40kg以上であることが好ましく、より好ましくは、50kg以上であることが好ましい。このような固定部材20の重量とすることで、地震、台風に対して強度面で高い信頼性を確保することができる。特に、固定部材20の長手方向の長さが120cm且つ固定部材20単体の重量が50kgであれば、市場にあるどのタイプの室外機(市場にある戸建て向け小型室外機の質量が20kg程度で、最大のもので70kg程度)が選定され、2台置き或いは1台置きする場合のどの組み合わせに対しても、地震(例えば加速度1G)や強風(例えば風速38m)に対し問題なく尤度20%程度以上を満たすことができ、設計的に非常に容易な選択で確実に安定させることができる。
【0066】
また、固定部材20は、建物1の屋上面1aよりも上方に突出したパラペット等を含む壁体(図示略)の少なくとも1つに対し、略平行又は略垂直に配置することが好適である。このように固定部材20を配置することで、屋上等の空間を有効に利用することができ、また、建物1の梁等の構造物との整合性を取り易く強度を安定させることができる。
【0067】
(防水シート)
また、固定部材20は、その底面が建物1の屋上面1aに敷かれた防水シート30に接触して配置されている。なお、
図28〜34に示すように、固定部材20が設置される場所、言い換えれば、固定部材20の底面と接触する部分においては、防水シート30の破れ等の対策として、防水シート30の1層増し貼りが施されている。また、固定部材20の長手方向(
図28では上下方向)の両端部側(固定部材20が長手方向に移動したと仮定したときに、固定部材20の底面と接触する領域)においては、防水シートの2層増し貼り(2層増貼防水シート31)が施されている。このように、2層増貼防水シート31を屋上面1aに敷くことにより、例えば強風や地震により固定部材20に力が作用して、固定部材20が防水シート30表面上を滑って移動したときに、固定部材20の底面と2層増貼防水シート31の表面とが接触して固定部材20の移動を抑えることができる。つまり、2層増貼防水シート31は、固定部材20が滑って移動したときに、固定部材20の底面と接触して固定部材20の滑りを抑制する機能(滑り止め機能)を有している。
【0068】
なお、
図28等において、固定部材20の底面と接触する部分においては、防水シート30の1層増し貼りが施されているが、防水シート30の増し貼りをしないこととしても良く、また、防水シートの2層増し貼りをする構成としても良い。
【0069】
(室外機の配置)
続いて、室外機10の好適な配置について説明する。
図29に示すように、室外機10の給気側の面11を向かい合せるように配置しても良い。これにより、室外機10同士の排気がそれぞれに干渉しないようにすることができる
【0070】
また室外機10は、固定部材20に対して次のように固定しても良い。具体的には、
図30に示すように、室外機10の冷媒管取出部12が同じ方向(
図30では室外機10の右側)に位置するように、室外機10を配置しても良い。これにより、冷媒管13の取り出し方向が揃えられるので、冷媒管13を構成する配管の煩雑さを軽減することができる。
【0071】
(柱脚)
上記では、固定部材20に対して室外機10を固定する例を説明したが、この固定部材20が、建物の梁或いは柱等に固定された柱脚40(
図37等)に固定されていても良い。このように固定部材20を柱脚40に固定することにより、地震、台風を含む強度面でより高い信頼性を確保することができる。
【0072】
(冷媒管等の構成)
続いて、室外機に接続される冷媒管及び当該冷媒管を覆うパイプ状部材の構成について説明する。
図53〜
図60に示すように、建物1の屋上等と隣接する下階を隔てる部材1cを貫通するようにパイプ状部材50が設けられ、当該パイプ状部材50の内部には、冷媒管13が配設されている。この冷媒管13は、屋上等に配置された室外機10と、例えば屋上等と隣接する下階に配置された室内機(図示略)とを接続して、内部に冷媒が流通するように構成されている。なお、
図53〜
図60には、パイプ状部材50の内部に配設される配管として、冷媒管13のみが示されているが、当該冷媒管13の他、加湿管、電源線等(以下、冷媒管13、加湿管、電源線等を含む配管を「冷媒管13等」とも称する)も配設される。
【0073】
なお、
図56、
図57、
図59、及び
図60に示すように、冷媒管13を覆う雨仕舞用の部材(カバー60)を配置して、屋上と屋内の冷媒管13等とを接続するように構成しても良い。
【0074】
また、パイプ状部材50の内部には、パイプ状部材50と冷媒管13との隙間を埋めるように、
図57等に示す隙間埋め部材70(湿気防止部材)が設けられている。同図に示すように、この隙間埋め部材70は屋上側と屋内側に設けられ、パイプ状部材50内部への湿気の供給を止める機能を有している。これにより、建物内外での温度差、湿度差が生じていてもパイプ状部材50内部での結露発生を防止することができる。隙間埋め部材70は、例えばパテ、クッション等の部材が用いられるが、湿気の供給を止める機能を有していれば、様々な部材を選択することが可能である。
【0075】
なお、図示は省略するが、建物の屋上等の下階に配置された室内機と、屋上等に配置された室外機とを接続する冷媒管13等は、屋上等の下階の側面側壁面を貫通して配設しても良い。つまり、建物1の屋上等の下階の側面側壁面を貫通するように冷媒管13等を設け、この冷媒管13等を建物1の屋上側(屋上等に設置された室外機側)へと屈曲させて屋上と屋内の冷媒管13等を接続するように構成しても良い。このように構成することによって、冷媒管13等を屋上等の下階の側面側壁面から引き込み、屋上等に配置された室外機と室内機とを接続することができる。
【0076】
(ドレイン配管)
屋内に配置された室内機の結露水等を引くためのドレイン配管(図示略)は、建物1の壁内又は壁面外側(外壁面)に沿って、室内機より下方に引き落とされている。つまり、室内機のドレイン配管は下方に引き落とされ、室内機に接続される冷媒管13は上方に引き上げられて、屋上等に配置された室外機10と接続される。このように、室外機10を屋上置きした場合であっても、室内機に接続されるドレイン配管及びゴミ捨て配管等は下方側へ引き回されている。なお、ドレイン配管が本発明における排出管に相当するものである。
【0077】
(室外機と室内機との関係)
屋上等に配置された室外機10と屋内に配置された室内機との関係について説明する。屋上等に配置された室外機10のうち少なくとも1つは、屋上等に最も近い下階(例えば3階の建物1の場合には、3階のエリア)に配置された室内機と接続されていることが好適である。言い換えれば、屋上等に配置された室外機10と、屋上等の直下の屋内に配置された室内機とを接続することがコスト及び施工性を考慮すると好適である。
【0078】
また、屋上等に設置された1台の室外機10が、複数の室内機と接続される、いわゆるマルチタイプ室外機とすることも好適である。
【0079】
(ウィンチアーム)
なお、室外機10のメンテナンスを行う場合に、室外機10の引き上げ又は引き下げを行う装置を、本実施形態における建物1の屋上に設けても良い。室外機10の引き上げ又は引き下げを行う装置としては、
図61に示すようなウィンチアーム81が挙げられる。同図に示すように、ウィンチアーム81を屋上から建物外(屋上の外周より外側)に張り出せる程度に、屋上面1aの外周に近接した位置にパイプ82を立設し、このパイプ82にウィンチアーム81を取り付けて室外機10を搬送する。このようにウィンチアーム81に連結されるパイプ82を立設可能な構造を、建物1の屋上面1aに設ける。パイプ82を立設可能な構造としては、例えば建物1の梁又は柱に固定した柱脚(
図61では図示せず)に設けることが好適である。なお、ウィンチアーム81は、
図61に示すように、地上から引き上げた室外機10を建物1の屋上等に搬送可能なように(或いは屋上等に設置された室外機10を地上に搬送可能なように)、パイプ82を中心として所定方向(
図61のR方向)に回動可能に構成されている。
【0080】
室外機10を建物1の屋上等に引き上げる又は引き下げる際には、屋上等に設けられた柱脚40(
図37等参照)にパイプ82を立設し、当該パイプ82にウィンチアーム81を固定し、当該ウィンチアーム81により室外機10を屋上等に引き上げる又は屋上等から降ろす。このように、建物1の屋上等に設置されるパイプ82及びウィンチアーム81により室外機10を移送可能に構成することにより、メンテナンス作業を円滑に行うことができ、建物の売渡時のみならず、将来的な故障時にも対応可能とすることで、建物の長期的な価値を高める大きな意義を有する。
【0081】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。