(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させ、その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器。
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させるときに、前記閉塞部の前記上端縁を棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器。
長手方向に距離を隔てて設けられた3つの前記折曲誘導部のうち、中央に位置する該折曲誘導部の幅が、他の2つの該折曲誘導部の幅よりも狭くなっており、それによって、前記閉塞部に括れ部が形成されている請求項3又は4に記載の棒状化粧料容器。
一つの前記閉塞部に、折曲によって複数の前記突出部が形成されるように前記折曲誘導部が形成されており、該閉塞部の折曲によって形成される複数の該突出部は、長手方向において異なる位置に位置している請求項3ないし5のいずれか一項に記載の棒状化粧料容器。
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部が設けられており、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程と、
その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する工程とを備えた、棒状化粧料製品の製造方法。
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と、前記収容空間内に前記下端
域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記製造方法は、前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程を備え、
前記工程においては、前記閉塞部の前記上端縁を前記棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する、棒状化粧料製品の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、棒状化粧料を中皿内に挿入した状態にした後、これらを案内スリーブ内に嵌挿することで、案内スリーブの内周面が、突出した弾性係止片の下端外周に当接して、係止爪を内周面から突出させて棒状化粧料の側面に食い込ませ、保持させている。この技術によれば、棒状化粧料を中皿内に円滑に挿入でき、また棒状化粧料の保持も行える。しかし棒状化粧料製品の組み立てに手間がかかるという欠点がある。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る棒状化粧料容器、棒状化粧料製品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させ、その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器を提供するものである。
【0008】
また本発明は、棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させるときに、前記閉塞部の前記上端縁を棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器を提供するものである。
【0009】
更に本発明は、棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部が設けられており、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程と、
その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する工程とを備えた、棒状化粧料製品の製造方法を提供するものである。
【0010】
更にまた本発明は、棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記製造方法は、前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程を備え、
前記工程においては、前記閉塞部の前記上端縁を前記棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する、棒状化粧料製品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中皿内への棒状化粧料の保持を確実に行いつつ、該棒状化粧料を該中皿内へ容易に保持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2には、本発明の第1実施形態の棒状化粧料容器1と、棒状化粧料2とを具備する棒状化粧料製品3が示されている。
図1には、棒状化粧料製品3が棒状化粧料容器1と棒状化粧料2とから構成されている状態が示されているが、棒状化粧料製品3は、これらの構成要素に加えて、
図1に二点鎖線で示すキャップ4を備えていてもよい。
【0014】
棒状化粧料製品3の構成要素の一つである棒状化粧料容器は、中皿10を備えている。中皿10は、環状周壁部11及び底部12を有する有底筒状の形状をした部材である。環状周壁部11の横断面形状は例えば円形とすることができる。中皿10においては、環状周壁部11と底部12とで、上方に向けて開口した空間Sが画成されている。この空間Sは、棒状化粧料2の下端域2aの収容が可能な収容空間となっている。空間Sと棒状化粧料2の下端域2aとは概ね相補形状になっている。
【0015】
中皿10の底部12には、該中皿10の昇降機構20が連設されている。昇降機構20は、昇降基部21を有している。昇降基部21は筒状の形状をしており、その外周面に、周方向に沿って延びる複数の環状段差部を有している。複数の環状段差部は昇降基部21の上下方向に沿って距離を隔てて形成されている。複数の環状段差部のうち、最も下側に位置する第1段差部21aは、昇降機構20が、後述する本体基部40内に収容されたときに、
図1に示すとおり、該本体基部40の内周壁に突設された係合用突起部42と係合するようになっている。第1段差部21aよりも上下方向の上方の位置には第2段差部21bが形成されている。第2段差部21bは、
図1に示すとおり、後述する外筒30内に昇降機構20が収容された状態において、該外筒30の下端域に形成された係合用環状突起部31と係合するようになっている。第2段差部21bよりも上下方向の上方の位置には第3段差部21cが形成されている。第3段差部21cには、
図2に示すとおり、Oリング24が取り付けられている。Oリング24は、外筒30内に昇降機構20が収容された状態において、該外筒30と昇降機構20との間にがたつき等が生じないようにするために用いられる。また中皿10の底部12には、棒状化粧料2の下端域2aを中皿10の収容空間Sに挿入する際に、収納空間S内の空気を収納空間S外に排出するための排気孔27が設けられている。
【0016】
図1に示すとおり、昇降基部21はこれを横断面視したときに、その中央域が空間21sになっている。この空間21sは昇降基部21の上下方向に沿って延びており、上部において開口している。この空間21sを画成する内周壁には雌ネジ21dが設けられている。空間21s内には、第1昇降部22が挿入される。第1昇降部22は略円筒形をした部材であり、その外面に雄ネジ22aが設けられている。この雄ネジ22aは、上述した昇降基部21の雌ネジ21dと螺合するようになっている。したがって第1昇降部22を昇降基部21の空間21s内に挿入するときには、第1昇降部22をその軸周りに回転させて、雄ネジ22aと雌ネジ21dとの螺合を進行させる。螺合の進行によって第1昇降部22は降下する。第1昇降部22の回転方向を反転させることで、第1昇降部22は上昇する。第1昇降部22の降下は、該第1昇降部22の上端に設けられているフランジ部22cが、昇降基部21の上端部に当接することで規制されるようになっている。
【0017】
図1に示すとおり、略円筒形をしている第1昇降部22には、その内部に形成された空間を画成する内周壁に、雌ネジ22bが設けられている。第1昇降部22の内部の空間内には、第2昇降部23が挿入される。第2昇降部23は略円柱形をした部材であり、その外面に雄ネジ23aが設けられている。この雄ネジ23aは、上述した第1昇降部22の雌ネジ22bと螺合するようになっている。第2昇降部23を第1昇降部22の空間内に挿入するときには、第2昇降部23をその軸周りに回転させて、雄ネジ23aと雌ネジ22bとの螺合を進行させる。螺合の進行によって第2昇降部23は降下する。第2昇降部23の回転方向を反転させることで、第2昇降部23は上昇する。第2昇降部23の降下は、該第2昇降部23が、上述した第1昇降部22の上端に設けられているフランジ部22cに当接することで規制されるようになっている。
【0018】
棒状化粧料容器1は外筒30を備えている。外筒30は薄肉の円筒形をした部材であり、その内部に、上述した中皿10及び昇降機構20を収容可能になっている。外筒30の下端縁は、該外筒30の軸線と直交する平面上に位置している。これとは対照的に外筒の上端縁30aは、斜円柱の底面の周形状をしている。したがって上端縁30aは、最上点30bと最下点30cとを有している。外筒30の下端域には、該外筒30の周方向に沿って延びる係合用環状突起部31が形成されている。係合用環状突起部31は、外筒30の内部の空間へ向けて突出している。係合用環状突起部31は、上述したとおり、昇降機構20の昇降基部21における第2段差部21bと係合するようになっている。
【0019】
棒状化粧料容器1は本体基部40を備えている。本体基部40はその外形が、稜線が丸みを帯びた略角柱状をしている。本体基部40は、これを横断面視したときに、その中央域が空間41になっている。この空間41は本体基部40の上下方向に沿って延びており、上部において開口している。空間41内には、外筒30及び昇降機構20、並びに棒状化粧料の下端域2aが収容される。本体基部40の空間41を画成する内周壁には、その下端域に係合用突起部42が突設されている。この係合用突起部42は、上述したとおり、昇降機構20の昇降基部21における第1段差部21aと係合するようになっている。本体基部40は、本実施形態においては稜線が丸みを帯びた略角柱状であるが、これに代えて横断面が円形や楕円形であってもよく、あるいは横断面が三角形、四角形、五角形及び六角形等の多角形等の他の形状であっても良い。
【0020】
図2に示すとおり、中皿10は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向Xとを有する。長手方向Xは、中皿の上下方向と一致する。したがって以下の説明では長手方向のことを上下方向ともいう。中皿10には、その側面である環状周壁部11に切欠部13が設けられている。切欠部13は、中皿10の周方向に沿って、環状周壁部11に複数箇所設けられている。切欠部13は、中皿10の下端縁10bの位置から、中皿10の上下方向Xに沿って上方に向けて略平行に延びる同じ長さの2本の切り込み線を入れることで形成されている。この切り込み線は中皿10の上端縁10aにまでは達していない。切欠部13は略矩形の形状をしている。また切欠部13は、中皿10の下端縁10bを含むように形成されている。すなわち切欠部13は、中皿10の上下方向に延び且つ該中皿10の底部12にまで達している。
【0021】
切欠部13の上端縁13aには、閉塞部15が連設されている。閉塞部15は、上下方向Xに沿って延びており、上端縁15a及び下端縁15bを有している。上端縁15aは、上述した切欠部13の上端縁13aと同位置にある。閉塞部15は、切欠部13の少なくとも一部を閉塞する形状をしていればよく、切欠部13を完全に閉塞するような形状あることは要しない。尤も、閉塞部15が切欠部13を完全に閉塞するような形状であることは好ましい形態の一つである。閉塞部15は、切欠部13の形成個数に対応する個数が形成されている。本実施形態においては、中皿10の周方向に沿った見たとき、一対の切欠部13,13が180度対向する位置に設けられている。これに対応して、一対の閉塞部15,15が180度対向する位置に設けられている。
【0022】
図2に示すとおり、各閉塞部15は、その下端縁15bが中皿10の底部12を越えて下方に延出している。延出の度合いは、2つの閉塞部15において同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。本実施形態においては、2つの閉塞部15の延出の度合いは同じになっている。
【0023】
図2に示すとおり、閉塞部15のうち、その上端縁15aと下端縁15bとの間の位置には、中皿10の収容空間S内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部17が設けられている。突出誘導部17としては例えば
図3に示すとおり、閉塞部15にその幅方向に沿って延びる折曲誘導部18a,18b,18cを、上下方向Xに距離を隔てて少なくとも3つ設けたものから構成したものを用いることができる。折曲誘導部18a,18b,18cは、閉塞部15における他の部分よりも薄く形成されていることで折曲性向を有することが好ましい
【0024】
以上の構成を有する棒状化粧料容器1を用い、これに棒状化粧料2を固定することで、目的とする棒状化粧料製品3が得られる。この工程を
図4(a)ないし(d)を参照しながら説明する。まず
図4(a)に示すとおり、本体基部40内に、中皿10を含む昇降機構20、及び外筒30を組み付ける。この時点では、棒状化粧料2は中皿10内に挿入されていない。組み付けに際しては、昇降機構20における第1昇降部22及び第2昇降部23を回転させて、これらの繰り出し/繰り下げ状態を調節しておく。例えば
図4(a)に示すとおり、第1昇降部22を最も繰り下げた状態にしておくとともに、第2昇降部23を最も繰り出した状態にしておく。第1及び第2昇降部22,23の繰り出し/繰り下げ状態がどのような場合であっても、棒状化粧料2を中皿10内に挿入する前は、該中皿10の閉塞部15における下端部15bが、昇降機構20のいずれの部材にも接していないようにする。したがって閉塞部15における突出誘導部17に変形は生じていない。
【0025】
次いで
図4(b)に示すとおり、中皿10の収容空間S(
図4(a)参照)に棒状化粧料2の下端域2a(
図2参照)を収容させる。中皿10における閉塞部15は、その内面が、該中皿10の環状周壁部11(
図2参照)の内面と滑らかに連なっているので、収容空間Sへの下端域2aの挿入は円滑に行われる。棒状化粧料2を収容空間S内に収容させるときには、昇降機構20の昇降は行わず、中皿10の位置は、
図4(a)に示す状態と同様としておく。すなわち、中皿10の閉塞部15における下端縁15bが、昇降機構20のいずれの部材にも接していないようにしておく。
【0026】
棒状化粧料2が中皿10の収容空間S内に収容されたら、外筒30を把持した状態で本体基部40を軸周りに回転させる。これによって
図4(c)に示すとおり、繰り出し状態になっている第2繰り出し部23及びこれに連設されている中皿10が次第に繰り下げられる。それに連れて、中皿10に設けられている閉塞部15も繰り下がり、該閉塞部15における下端縁15bが、昇降機構20の一部に当接する。
図4(c)に示す形態においては、閉塞部15における下端縁15bが昇降機構20の一部である昇降基部21の上端に当接した状態が示されている。この時点では、閉塞部15における突出誘導部17には変形が生じていないか、又は収容空間S内に向けての若干の変形が生じる。
【0027】
中皿10の繰り下げを更に進行させると、閉塞部15における下端縁15bが昇降基部21の上端に当接した状態が維持されたままであることから、該下端縁15bを上方に押し上げる力が閉塞部15に加わる。閉塞部15に加わったこの力は、該閉塞部15における突出誘導部17に作用して、
図4(d)に示すとおり、該突出誘導部17を起点として該閉塞部15が変形する。この変形によって、
図5に示すとおり突出部16が形成され、該突出部16が収容空間Sに向けて突出する。形成された突出部16は、棒状化粧料2の下端域2aに食い込む。これによって棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に確実に係止される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3(
図1参照)が得られる。なお、
図5においては、理解の助けとするために、棒状化粧料2は省略されている。
【0028】
以上のとおり、本実施形態によれば、棒状化粧料製品3の製造の過程において棒状化粧料2の取付及び係止が行われるので、棒状化粧料容器1の外側から特殊な操作を行うことなく、中皿10内への棒状化粧料2の保持を確実に行いつつ、該棒状化粧料2を該中皿10内へ容易に保持させることができるという利点がある。
【0029】
閉塞部15に形成された突起部16による棒状化粧料2の係止を確実にし、且つ突起部16が棒状化粧料2に食い込むことによって生じるおそれのある割れや折れの発生を効果的に防止するために、突出部16は、その先端部に向かう長さが、幅方向に沿う長さよりも短くなっていることが好ましい。すなわち突起部16は、その突出方向に沿う長さが、該突起部16の基部における幅よりも短くなっていることが好ましい。突起部16の突出方向に沿う長さをLとし、突起部16の基部における幅をWとしたとき、L/Wの値は0.05以上、特に0.1以上であることが好ましく0.7以下、特に0.5以下であることが好ましい。例えばL/Wの値は0.05以上0.7以下であることが好ましく、0.1以上0.5以下であることが更に好ましい。
【0030】
係止用突起16は、棒状化粧料2を確実に係止する機能を損なわない範囲で厚みが薄いことが、該係止用突起16が棒状化粧料2に食い込みやすい点、及び棒状化粧料2に割れや折れが生じにくくなる点から好ましい。
【0031】
前記と同様の目的により、突起部16は、その突出方向の先端部に向かうに連れ、その幅が漸次短くなっていることが好ましい。この場合、突起部16の先端は、尖鋭であることが、該突起部16が棒状化粧料2に食い込みやすい点、及び棒状化粧料2に割れや折れが生じにくくなる点から好ましい。このような形態の突起部16を形成するためには、例えば
図6に示すとおり、上下方向Xに距離を隔てて設けられた3つの折曲誘導部18a,18b,18cのうち、中央に位置する折曲誘導部18bの周方向に沿う幅を、他の2つの該折曲誘導部18a,18cの周方向に沿う幅よりも狭くすることが好ましい。この場合には、同図に示すとおり、閉塞部15に括れ部が形成されることになる。
【0032】
これまで説明してきた実施形態のように、中皿10に周方向に沿って複数の閉塞部15を設けた場合には、閉塞部15の折曲によって形成される突出部16の位置が、上下方向Xにおいて互いに異なるように、該閉塞部15に突出誘導部17を設けることが好ましい。これによって、突出部16の食い込みに起因する応力が分散されるので、棒状化粧料2に割れや折れ等の欠陥が発生しづらくなる。
【0033】
図7(a)及び(b)には、中皿10の別の実施形態が示されている。同図に示す中皿10には、切欠部(図示せず)の上端縁13aを介して閉塞部15が1つ設けられている。そして1つの閉塞部15に、折曲によって複数の突出部161,162が形成されるように突出誘導部171,172が形成されている。
図7(a)及び(b)に示す実施形態においては、上下方向Xに沿って2つの突出誘導部171,172が形成されている状態が示されている。図示していないが、それぞれの突出誘導部171,172にはそれぞれ、上下方向Xに距離を隔てて、幅方向に沿って延びる折曲誘導部を少なくとも3つ設けてある。
【0034】
図7(a)に示す実施形態は、先に述べた
図4(b)に示す実施形態と同様であり、昇降機構20における第1昇降部22は最も繰り下げた状態になっているとともに、第2昇降部23は最も繰り出された状態になっている。この状態下に、中皿10の収容空間S(
図2参照)内に、棒状化粧料2の下端域2a(
図2参照)が挿入される。この状態から、繰り出し状態になっている第2繰り出し部23及びこれに連設されている中皿10を次第に繰り下げて、それに連れて、中皿10に設けられている閉塞部15も繰り下げる。そして、該閉塞部15における下端縁15bを、昇降機構20の一部である昇降基部21の上端に当接させる。更に第2繰り出し部23及びこれに連設されている中皿10を繰り下げて、閉塞部15における下端縁15bを上方に押し上げる力を該閉塞部15に加える。この力は、閉塞部15における突出誘導部171,172に作用して、
図7(b)に示すとおり、各突出誘導部171,172を起点として該閉塞部15が変形する。この変形によって、
図7(b)に示すとおり突出部161,162が形成され、該突出部161,162が棒状化粧料2に食い込み、該棒状化粧料2を係止する。この係止状態において2つの突出部161,162は、上下方向Xにおいて異なる位置に位置している。このような態様で突起161,162が形成されることで、棒状化粧料2を一層確実に係止することができる。また、複数の突起161,162を形成することで、個々の係止用突起の突出長さを短くして、棒状化粧料2に割れや折れが生じることを一層防止しつつ、係止を確実に行うことができる。
【0035】
図8(a)及び(b)に示す実施形態は、これまでに説明してきた実施形態と比較して、中皿10に形成された閉塞部15における突出誘導部17の形態が相違している。詳細には、これまでの実施形態における突出誘導部17は、閉塞部15にその幅方向に沿って延びる折曲誘導部18a,18b,18cを上下方向Xに距離を隔てて少なくとも3つ設けたものであったのに対して、本実施形態の突出誘導部17は、閉塞部15に、その幅方向に沿って延びる薄肉部19を、閉塞部15の上下方向Xにわたって所定の長さで設けたものからなる。薄肉部19は、閉塞部15における他の部位と比較して厚みが薄く形成されている。薄肉部19は閉塞部15の幅方向の全域にわたって形成されていることが好ましいが、該薄肉部19が上下方向から加わる力に対して変形可能である限り、閉塞部15の幅方向に沿って延びていれば、その形状に特に制限はない。また、薄肉部19の上下方向Xに沿う長さは、該薄肉部19が上下方向から加わる力に対して変形し、棒状化粧料2に十分に当接するように突出する長さであれば、特に制限はない。
【0036】
図8(a)及び(b)のうち、
図8(a)は、中皿10の繰り下げが進行して、該中皿10における閉塞部15の下端縁15bが昇降機構20の一部である昇降基部21の上端に当接し始めた状態を示している。この状態においては、閉塞部15における薄肉部19に変形は生じていない。中皿10の繰り下げを更に進行させると、閉塞部15における下端縁15bが昇降基部21の上端に当接した状態が維持されたままであることから、該下端縁15bを上方に押し上げる力が閉塞部15に加わる。この力は、閉塞部15における突出誘導部17である薄肉部19に作用して、
図8(b)に示すとおり、該突出誘導部17が弓形に変形し、収容空間S、換言すれば棒状化粧料2に向けて膨出する凸の曲線を描くように撓む。この撓みによって形成された突出部16が、収容空間S、換言すれば棒状化粧料2に向けて突出する。これによって棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に確実に係止される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3(
図1参照)が得られる。本実施形態によれば、これまで説明してきた実施形態と異なり、突出部16が曲線を描いているので、該突出部16が棒状化粧料2に食い込みづらい。その結果、棒状化粧料2に割れや折れ等の欠陥が発生しづらくなる。
【0037】
薄肉部19を撓ませて突出部16を首尾よく形成する観点から、該薄肉部19の厚みは、閉塞部15における薄肉部19以外の部位の厚みに対して90%以下であることが好ましく、70%以下であることが好ましい。また、10%以上であることが好ましく、20%以上であることが好ましい。具体的には、薄肉部19の厚みは、閉塞部15における薄肉部19以外の部位の厚みに対して10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上70%以下であることが更に好ましい。
【0038】
これまで説明してきた各実施形態においては、昇降機構20によって中皿10を繰り下げて、閉塞部15の下端縁15bを昇降機構20の一部に当接させ、その当接によって閉塞部15の下端縁15bを上方に押し上げたが、これに代えて、閉塞部15の下端縁15bを、棒状化粧料容器1を構成する部材のうち、中皿10よりも下方に位置する部材(ただし昇降機構20を除く)に当接させ、その当接によって閉塞部15の下端縁15bを上方に押し上げるようにしてもよい。そのような部材としては、例えば本体基部40の内側底面や本体基部40の内側面などが挙げられる。
【0039】
図9に示す実施形態は、これまでの実施形態と比較して、中皿10の構造が異なっている。詳細には以下のとおりである。中皿10には、その側面である環状周壁部11に切欠部13が設けられている。切欠部13は、中皿10の周方向に沿って、環状周壁部11に複数箇所設けられている。切欠部13は、中皿10の上端縁10aの位置から、中皿10の上下方向Xに沿って下方に向けて略平行に延びる同じ長さの2本の切り込み線を入れることで形成されている。この切り込み線は中皿10の下端縁10bにまでは達していない。切欠部13は略矩形の形状をしている。また切欠部13は、中皿10の上端縁10aを含むように形成されている。すなわち切欠部13は、中皿10の上下方向に延び且つ該中皿10の上端縁10aにまで達している。
【0040】
切欠部13の下端縁13bには、閉塞部15が連設されている。閉塞部15は、上下方向Xに沿って延びており、上端縁15a及び下端縁15bを有している。閉塞部15の下端縁15bは、上述した切欠部13の下端縁13bと同位置にある。閉塞部15は、切欠部13の形成個数に対応する個数が形成されている。本実施形態においては、中皿10の周方向に沿った見たとき、一対の切欠部13,13が180度対向する位置に設けられている。これに対応して、一対の閉塞部15,15が180度対向する位置に設けられている。
【0041】
図9に示すとおり、各閉塞部15は、その上端縁15aが中皿10の上端縁10aを越えて上方に延出している。延出の度合いは、2つの閉塞部15において同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。本実施形態においては、2つの閉塞部15の延出の度合いは同じになっている。
【0042】
図9に示すとおり、閉塞部15のうち、その上端縁15aと下端縁15bとの間の位置には、中皿10の収容空間S内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部17が設けられている。突出誘導部17としては例えば、閉塞部15にその幅方向に沿って延びる折曲誘導部18a,18b,18cを、上下方向Xに距離を隔てて少なくとも3つ設けたものから構成したものを用いることができる。この場合、折曲誘導部18a,18b,18cは、閉塞部15における他の部分よりも薄く形成されていることで折曲性向を有することが好ましい。あるいは、突出誘導部17として、閉塞部15に、その幅方向に沿って延びる薄肉部19を、該閉塞部15の上下方向Xにわたって所定の長さで設けたものを用いることもできる。
【0043】
以上の構成を有する棒状化粧料容器1を用い、これに棒状化粧料2を固定することで、目的とする棒状化粧料製品3が得られる。この工程を
図10(a)ないし(c)を参照しながら説明する。まず
図10(a)に示すとおり、本体基部40内に、中皿10を含む昇降機構20、及び外筒30を組み付ける。組み付けに際しては、昇降機構における第1昇降部22及び第2昇降部23を回転させて、これらを繰り出し/繰り下げ状態を調節しておく。例えば
図10(a)に示すとおり、第1昇降部22及び第2昇降部23を最も繰り上げた状態にしておく。第1及び第2昇降部22,23の繰り出し/繰り下げ状態がどのような場合であっても、棒状化粧料2を中皿10内に挿入する前は、該中皿10の閉塞部15における上端縁15aが、棒状化粧料2の一部、例えば該棒状化粧料2の下端域2aにおける上端に形成された段差部2bに接していないようにする。したがって閉塞部15における突出誘導部17に変形は生じていない。
【0044】
次いで、中皿10の収容空間Sに棒状化粧料2の下端域2aを収容させる。上述のとおり、下端域2aの上端には段差部2bが形成されている。段差部2bにおいては、下端域2aよりも上側に位置する部位が、幅方向の外方に延出している。棒状化粧料2を収容空間S内に収容させるときには、昇降機構(図示せず)の昇降は行わず、中皿10の位置は変化させないでおく。すなわち、中皿10の閉塞部15における上端縁15aが、棒状化粧料2のいずれの部位にも接していないようにしておく。
【0045】
次いで、
図10(b)に示すとおり、収容空間S内への棒状化粧料2の挿入を進行させる。それによって、閉塞部15における上端縁15aが、棒状化粧料2の段差部2bに当接する。この時点では、閉塞部15における突出誘導部17には変形が生じていないか、又は収容空間S内に向けての若干の変形が生じる。
【0046】
収容空間S内への棒状化粧料2の挿入を更に進行させると、閉塞部15における上端縁15aが、棒状化粧料2の段差部2bに当接した状態が維持されたままであることから、該上端縁15aを下方に押し上げる力が閉塞部15に加わる。閉塞部15に加わったこの力は、該閉塞部15における突出誘導部17に作用して、
図10(c)に示すとおり、該突出誘導部17を起点として該閉塞部15が変形する。この変形によって、同図に示すとおり突出部16が形成され、該突出部16が収容空間Sに向けて突出する。この際、閉塞部15における上端縁15aは、中皿10の上端10aと面一になることが、棒状化粧料2を確実に保持する点で好ましい。突出誘導部17が、閉塞部15にその幅方向に沿って延びる折曲誘導部を、上下方向Xに距離を隔てて少なくとも3つ設けたものから構成したものである場合には、該突出誘導部17から形成された突出部16は、棒状化粧料2の下端域2aに食い込む。一方、突出誘導部17が、閉塞部15に、その幅方向に沿って延びる薄肉部を、該閉塞部15の上下方向Xにわたって所定の長さで設けたもの構成したものである場合には、該薄肉部の撓みによって形成された突出部16が、棒状化粧料2の下端域2aを押し付ける。このようにして、棒状化粧料2の下端域2aが中皿10の収容空間S内に確実に固定される。このようにして、目的とする棒状化粧料製品3(
図11参照)が得られる。
【0047】
以上のとおり、本実施形態によれば、棒状化粧料製品3の製造の過程において棒状化粧料2の取付及び係止が行われるので、棒状化粧料容器の外側から特殊な操作を行うことなく、中皿10内への棒状化粧料2の保持を確実に行いつつ、該棒状化粧料2を該中皿10内へ容易に保持させることができるという利点がある。
【0048】
図4(a)ないし(d)に示す手順に従い中皿10を繰り下げて、閉塞部15の変形によって形成された突出部16を棒状化粧料2に食い込ませた後、再び中皿10を繰り出す操作を行うと、変形した状態にある閉塞部15が押し戻され、突出部16による係止状態が解除されてしまう場合がある。同様に、
図10(a)ないし(c)に示す手順に従い棒状化粧料2を挿入し、閉塞部15の変形によって形成された突出部16を棒状化粧料2に食い込ませた後、棒状化粧料製品3の落下等により棒状化粧料2に対して引き抜く力が加えられると、変形した状態にある閉塞部15が押し戻され、突出部16による係止状態が解除されてしまう場合がある。これを防止するために、閉塞部15にロック機構(図示せず)を設けることが好ましい。このロック機構としては、例えば閉塞部15の変形によって突出部16が形成された後は、閉塞部15が押し戻されないように閉塞部15の変形を規制するものであることが好ましい。そのような作用を行うロック機構の具体例としては、閉塞部15を、凹凸を利用してロックする機構などが挙げられる。そのようなロック機構は、閉塞部15の側面と中皿10の切欠部13側の間などの位置に配置されていることが好ましい。
【0049】
以上の各実施形態において用いられる棒状化粧料2としては、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス、スティックアイシャドウ、スティックファンデーションなど棒状の形状を有する化粧料であれば、その種類に特に制限はない。
【0050】
棒状化粧料2の処方は、この種の化粧料に用いられている処方と同様とすることができる。棒状化粧料2は一般にワックス類、ペースト類及びオイル類を主成分として含んでおり、更に着色顔料、パール顔料等の着色剤、体質顔料等の粉体、ポリマー、増粘剤、ゲル化剤、防腐剤、保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでいる。ワックス類としては、植物ワックス、動物ワックス、石油ワックス及び鉱物ワックス等の天然ワックス又は合成ワックスのいずれでもよく、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、水素添加ホホバ油、ミツロウ、硬化ひまし油、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレンプロピレンオリゴマー、シリコーンワックス等を適宜配合したものを用いることができる。一方オイル類としては、トリグリセライド、ジグリセライド、モノエステル、ジエステル等のエステル油、その他ポリイソブテン、スクワラン等の分岐炭化水素油、シリコーン油、フッ素油、高級アルコール、ポリグリセリンエステル、コレステロールエステル、フィトステロールエステル、揮発性シリコーン等を用いることができる。これらワックス類及びオイル類はそれぞれ一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に組み合わせることが可能である。例えば
図9及び
図10に示す実施形態の中皿10の閉塞部15に設ける突出誘導部17として、
図6に示す実施形態のものや、
図7に示す実施形態のものを採用することができる。
【0052】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の棒状化粧料容器、棒状化粧料製品及びその製造方法を開示する。
<1>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させ、その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器。
【0053】
<2>
前記昇降機構は、内部に空間を有する昇降基部、該昇降基部の内側に螺合する第1昇降部、及び第1昇降部の更に内側に螺合する第2昇降部を備え、
前記昇降基部を第2昇降部の軸周りに回転させることで前記中皿を昇降可能になっている前記<1>に記載の棒状化粧料容器。
<3>
前記閉塞部の前記下端縁を前記昇降基部の上端に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げるようにした前記<2>に記載の棒状化粧料容器。
<4>
本体基部を更に備え、
前記本体基部は、これを横断面視したときに、その中央域が空間になっており、
前記空間は前記本体基部の上下方向に沿って延びており、上部において開口しており、
前記空間内に、前記外筒及び前記昇降機構、並びに前記棒状化粧料の下端域が収容されるようになっており、
前記閉塞部の前記下端縁を、前記本体基部の前記空間の内側底面又は内側側面に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げるようにした前記<1>に記載の棒状化粧料容器。
<5>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒とを備えた棒状化粧料容器であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部を設けるとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部を設け、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させるときに、前記閉塞部の前記上端縁を棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした棒状化粧料容器。
<6>
前記閉塞部の前記上端縁を棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げて、該上端縁を、前記中皿の上端と面一にするようにした前記<5>に記載の棒状化粧料容器。
【0054】
<7>
前記突出誘導部として、前記閉塞部にその幅方向に沿って延びる折曲誘導部を長手方向に距離を隔てて少なくとも3つ設け、
前記閉塞部を、前記折曲誘導部を起点としてく字状に折曲させ、この折曲によって形成された前記突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<8>
前記閉塞部のうち、前記折曲誘導部が、該閉塞部の他の部分よりも薄く形成されている前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<9>
長手方向に距離を隔てて設けられた3つの前記折曲誘導部のうち、中央に位置する該折曲誘導部の幅が、他の2つの該折曲誘導部の幅よりも狭くなっており、それによって、前記閉塞部に括れ部が形成されている前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<10>
一つの前記閉塞部に、折曲によって複数の前記突出部が形成されるように前記折曲誘導部が形成されており、該閉塞部の折曲によって形成される複数の該突出部は、長手方向において異なる位置に位置している前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<11>
前記突出部は、その先端部に向かう長さが、前記幅方向に沿う長さよりも短くなっている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
【0055】
<12>
前記突起部の突出方向に沿う長さをLとし、該突起部の基部における幅をWとしたとき、L/Wの値が0.05以上0.7以下である前記<11>に記載の棒状化粧料容器。
<13>
前記突出部は、その先端部に向かうに連れ、幅方向に沿う長さが漸次短くなっている前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<14>
前記突出誘導部として、前記閉塞部に、その幅方向に沿って延びる薄肉部を、該閉塞部の長手方向にわたって所定の長さで設け、
前記閉塞部を、前記薄肉部において撓ませ、この撓みによって形成された前記突出部が前記収容空間に向けて突出するようにした前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<15>
前記薄肉部の厚みが、前記閉塞部における該薄肉部以外の部位の厚みに対して10%以上90%以下である前記<14>に記載の棒状化粧料容器。
<16>
前記閉塞部が、前記中皿の周方向に沿って複数設けられている前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
【0056】
<17>
前記閉塞部が、前記中皿の周方向に沿って複数設けられており、
各閉塞部の折曲によって形成される前記突出部の位置が、長手方向において互いに異なっている前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<18>
前記閉塞部が、180度対向する位置に一対設けられている前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器。
<19>
前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載の棒状化粧料容器と、その棒状化粧料容器の収容空間内に下端域が収容されている棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品。
<20>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の底部にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の上端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその下端縁が前記中皿の前記底部を越えて下方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部が設けられており、
前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程と、
その収容状態から前記昇降機構によって該中皿を繰り下げて、前記閉塞部の前記下端縁を、前記棒状化粧料容器を構成する部材のうち、該中皿よりも下方に位置する部材に当接させ、その当接によって該閉塞部の該下端縁を上方に押し上げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する工程とを備えた、棒状化粧料製品の製造方法。
<21>
棒状化粧料の下端域の収容が可能な収容空間を有する有底筒状の中皿と、該中皿の底部に連設された該中皿の昇降機構と、該中皿を収容する外筒と、前記収容空間内に前記下端域が収容されている前記棒状化粧料とを備えた棒状化粧料製品の製造方法であって、
前記中皿は、その周方向に沿う幅方向と、該幅方向と直交する長手方向とを有し、
前記中皿の側面に、長手方向に延び且つ該中皿の上端縁にまで達する切欠部が設けられているとともに、該切欠部の下端縁に連設され、且つ該切欠部の少なくとも一部を閉塞する閉塞部が設けられており、
前記閉塞部は、長手方向に延び且つその上端縁が前記中皿の前記上端縁を越えて上方に延出しており、
前記閉塞部の上端縁と下端縁との間の位置において、該閉塞部に、前記収容空間内に突出する部位の形成が可能な突出誘導部を設け、
前記製造方法は、前記中皿の前記収容空間に前記棒状化粧料の前記下端域を収容させる工程を備え、
前記工程においては、前記閉塞部の前記上端縁を前記棒状化粧料の一部に当接させ、その当接によって該閉塞部の該上端縁を下方に押し下げることで、該閉塞部を前記突出誘導部を起点として変形させ、この変形によって形成された突出部を前記収容空間に向けて突出させ、該下端域を該収容空間内に係止する、棒状化粧料製品の製造方法。
<22>
前記棒状化粧料製品が、前記<19>に記載の棒状化粧料製品である前記<20>又は<21>に記載の棒状化粧料製品の製造方法。