(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548985
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】ドア内設置用スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/54 20060101AFI20190711BHJP
E06B 9/06 20060101ALI20190711BHJP
E06B 9/52 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/06 620H
E06B9/52 N
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-149722(P2015-149722)
(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公開番号】特開2017-31574(P2017-31574A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 文雄
【審査官】
秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−96478(JP,U)
【文献】
特開2004−187578(JP,A)
【文献】
特開2005−232943(JP,A)
【文献】
特開2003−206682(JP,A)
【文献】
実開昭57−143400(JP,U)
【文献】
特開平7−286487(JP,A)
【文献】
特開2003−138869(JP,A)
【文献】
特開2010−127068(JP,A)
【文献】
特開2008−163670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52−9/54
E06B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの両端にそれぞれ取り付けられた一対の巻取軸と、巻取軸を保持する軸ホルダーとを有し、
ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに、上記巻取軸がそれぞれ上記軸ホルダーを介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ、上記スクリーンが、両巻取軸間の空間に張設する上記スクリーンの張設長さに余裕を持たせて上記巻取軸に取り付けられている、
ことを特徴とするドア内設置用スクリーン装置。
【請求項2】
上記スクリーンの両端を取り付ける一対の巻取軸をそれぞれ複数段に分割した分割巻取軸の連結により形成して、それらの分割巻取軸を伸縮自在に嵌挿し、上記スクリーンを最上段の分割巻取軸に固定し、最下段の分割巻取軸には固定又は着脱自在に取り付け可能にした、
ことを特徴とする請求項1に記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項3】
上記軸ホルダーが、巻取軸に巻いたスクリーンを導出する開口部を持つ巻取軸用の抱持腕を備えると共に、少なくとも、上記額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに設ける軸ホルダーの一方が、一対の巻取軸を並列状態で保持可能に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項4】
一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの一端に取り付けられた巻取軸と、該スクリーンの他端に取り付けられた保持桟と、上記巻取軸を保持する軸ホルダーと、上記保持桟が取り付けられる取付部材とを有し、
ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とのいずれか一方に、上記巻取軸が上記軸ホルダーを介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ、その他方に、上記保持桟が上記取付部材を介して取り付けられていて、上記スクリーンが、上記巻取軸と保持桟との間の空間に張設される、
ことを特徴とするドア内設置用スクリーン装置。
【請求項5】
上記スクリーンの一端を巻き付けた巻取軸がその両端において回転軸を支持されるケース型の軸ホルダーに対して回転可能に支持され、該巻取軸内に収容したスプリングにより、該巻取軸がそれに巻き付けたスクリーンを巻き取る回転方向に付勢されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項6】
上記スクリーンの一端を巻き付ける巻取軸と該スクリーンの他端を保持する保持桟とを、それぞれ複数段に分割した分割巻取軸及び分割保持桟の連結により形成して、それらの分割巻取軸及び分割保持桟をそれぞれ伸縮自在に嵌挿し、上記スクリーンを最上段の分割巻取軸及び最上段の分割保持軸に固定し、最下段の分割巻取軸及び最下段の分割保持軸には固定又は着脱自在に取り付け可能にした、
ことを特徴とする請求項4に記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項7】
ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とのいずれか一方における巻取軸取付側に、そこに設置されている軸ホルダーに加えて、上記保持桟の取付部材を並設している、
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項8】
一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの両端にそれぞれ取り付けられた一対の保持桟と、上記保持桟が取り付けられる取付部材とを有し、
ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに、上記保持桟がそれぞれ上記取付部材を介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ、一対の保持桟間の空間に、プリーツを上下方向に向けたアコーディオンプリーツ状の上記スクリーンが張設される、
ことを特徴とするドア内設置用スクリーン装置。
【請求項9】
上記スクリーンを水平方向に貫通する複数段のコードの各一端を一方の保持桟に固定すると共に、それらの各コードの他端を、他方の保持桟内において重錘又はバネによる引張力付与部材に連結することにより、上記各コードを緊張状態に保持して展張した上記スクリーンの垂れ下がりを抑制している、
ことを特徴とする請求項8に記載のドア内設置用スクリーン装置。
【請求項10】
一部開扉の通風状態にするための、ドアの下端と床面との間に介装する楔形のドアストッパーを備え、
該ドアストッパーには、上記一部開扉に伴って、ドアの内側に張設する上記スクリーンよりも室内側にドア枠の一部が露出するのを覆い隠す補助板を、スクリーンの下端に相当する高さに取り付け可能に形成している、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のドア内設置用スクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として玄関用ドア等を、ドアガード、ドアチェーン、楔形をなすドアストッパー、その他の煽り止めによる一部開扉の通風状態において使用する場合に、該ドアの内側において、開扉部分からの虫の侵入防止、該開扉部分の目隠し等を行うために設置するドア内設置用スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、開放した玄関用ドアの内側においてその開放部分からの虫の侵入防止や目隠しを行う場合、ドアが全開放されても使用できるようなパネルスクリーンや収納式スクリーン装置等を、上記ドアの周囲の額縁内の全体にわたって設置するのが通例である。しかしながら、近年では防犯意識が高まるにつれ、ドアガード、ドアチェーンを利用し、必要に応じて楔形ドアストッパーやその他の煽り止め等を併用して、ドアの開放範囲を小さくする傾向にあるため、スクリーンの張設範囲を小さくして、ドア内設置用スクリーン装置を一層簡素で安価なものにすることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した要望に基づくもので、その技術的課題は、玄関用ドアの内側等に設置するスクリーン装置を、ドアの開放範囲が小さい場合に適し、しかも、スクリーンの張設範囲をほぼ額縁内の一部に収めることができて、簡素で安価なものでありながら、防虫効果も十分に期待できるスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明によれば、一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの両端にそれぞれ取り付けられた一対の巻取軸と、巻取軸を保持する軸ホルダーとを有し、ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに、
上記巻取軸が、それぞれ
上記軸ホルダーを介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ
、上記スクリーンが、両巻取軸間の空間に張設する上記スクリーンの張設長さに余裕を持たせて
上記巻取軸に取り付け
られていることを特徴とするドア内設置用スクリーン装置が提供される。
【0005】
本発明に係る上記ドア内設置用スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーンの両端を取り付ける一対の巻取軸をそれぞれ複数段に分割して、それらの分割巻取軸をそれぞれ伸縮自在に嵌挿し、上記スクリーンを最上段の分割巻取軸に固定し、最下段の分割巻取軸には固定又は着脱自在に取り付け可能にしたものとして構成される。
このような構成は、ドア内設置用スクリーン装置の不使用時における嵩張らない保管を可能にするものである。
【0006】
また、本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の他の好ましい実施形態においては、上記軸ホルダーが、巻取軸に巻いたスクリーンを導出する開口部を持つ巻取軸用の抱持腕を備えると共に、少なくとも、上記額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに設ける軸ホルダーの一方が、一対の巻取軸を並列状態で保持可能に形成されているものとして構成することができる。
このような構成は、ドア内設置用スクリーン装置の一時的な不使用時におけるスクリーンの保管を、一方の軸ホルダーにおける巻取軸の並列状態での保持により簡便に行うことを可能にするものである。
【0007】
更に、上記課題を解決するため、本発明によれば、一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの一端に取り付けられた巻取軸と、該スクリーンの他端に取り付けられた保持桟と、上記巻取軸を保持する軸ホルダーと、上記保持桟が取り付けられる取付部材とを有し、ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とのいずれか一方に、
上記巻取軸が上記軸ホルダーを介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ
、その他方に、
上記保持桟が上記取付部材を介して取り付けられ
ていて、上記スクリーンが、上記巻取軸と保持桟との間の空間に張設されることを特徴とするドア内設置用スクリーン装置が提供される。
【0008】
上記構成を有するドア内設置用スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーンの一端を巻き付けた巻取軸がその両端において回転軸を支持されるケース型の軸ホルダーに対して回転可能に支持され、該巻取軸内に収容したスプリングにより、該巻取軸がそれに巻き付けたスクリーンを巻き取る回転方向に付勢されているものとして構成することができる。かかる構成は、スクリーン装置の設置時に常にスクリーンを自動的に緊張状態に保持可能にするものである。
【0009】
また、上記ドア内設置用スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記スクリーンの一端を巻き付ける巻取軸と該スクリーンの他端を保持する保持桟とをそれぞれ複数段に分割して、それらの分割巻取軸及び分割保持桟をそれぞれ伸縮自在に嵌挿し、上記スクリーンを最上段の分割巻取軸及び最上段の分割保持軸に固定し、最下段の分割巻取軸及び最下段の分割保持軸には固定又は着脱自在に取り付け可能にしたものとして構成される。
【0010】
更に、上記ドア内設置用スクリーン装置の好ましい実施形態においては、ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とのいずれか一方における巻取軸取付側に、そこに設置されている軸ホルダーに加えて、上記保持桟の取付部材を並設したものとして構成される。
このような構成は、前述の一対の巻取軸を伸縮自在にした場合と同様に、ドア内設置用スクリーン装置の不使用時における嵩張らない保管を可能にするものである。
【0011】
また、前記課題を解決するため、本発明によれば、一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置し、その開扉部分を通気性のあるスクリーンで覆うためのスクリーン装置であって、
上記スクリーン装置は、上記スクリーンと、スクリーンの両端にそれぞれ取り付けられた一対の保持桟と、上記保持桟が取り付けられる取付部材とを有し、ドアの内側に設置されている額縁のドア開端側の側面とドア自体の室内側面とに、
上記保持桟がそれぞれ
上記取付部材を介して軸線を上下方向に向けて取り付けられ
、一対の保持桟間の空間に、プリーツを上下方向に向けたアコーディオンプリーツ状の
上記スクリーン
が張設されることを特徴とするドア内設置用スクリーン装置が提供される。
【0012】
上記アコーディオンプリーツ状のスクリーンを用いたドア内設置用スクリーン装置においては、該スクリーンを水平方向に貫通する複数段のコードの各一端を一方の保持桟に固定すると共に、それらの各コードの他端を、他方の保持桟内において重錘又はバネによる引張力付与部材に連結することにより、上記各コードを緊張状態に保持して、展張した上記スクリーンの垂れ下がりを抑制するのが望ましい。
【0013】
更に、上述したスクリーン装置をドア内に設置するに当たり、一部開扉の状態で該ドアを使用するために、張設したスクリーンよりも室内側にドア枠の一部が露出する開扉状態になることがあり、それに伴う室内外の直接的な連通や室内空間の見苦しさを避けるために、ドアの下端と床面との間に介装する楔形のドアストッパーを備え、該ドアストッパーには、上記一部開扉に伴って、ドアの内側に張設する上記スクリーンよりも室内側にドア枠の一部が露出するのを覆い隠す補助板を、スクリーンの下端に相当する高さに取り付け可能に形成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上に詳述した本発明のドア内設置用スクリーン装置によれば、玄関用ドアの内側等に設置するスクリーン装置を、ドアの開放範囲が小さい場合に適し、しかも、スクリーンの張設範囲をほぼ額縁内の一部に収めることができて、簡素で安価なものでありながら、防虫効果も十分に期待できるスクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第1実施例の使用状態を、スクリーンの大半を省略して示す斜視図である。
【
図2】上記第1実施例の使用状態を示す横断面図である。
【
図3】上記第1実施例のスクリーン装置におけるスクリーンの展張状態を示す斜視図である。
【
図4】上記第1実施例のスクリーン装置の収納状態を示す斜視図である。
【
図5】上記第1実施例の使用時における
図2の要部拡大図である。
【
図6】
図5のドアストッパー及びそれに取り付ける補助板からなる隙間封止具の斜視図である。
【
図7】本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第2実施例におけるスクリーンの展張状態を示す斜視図である。
【
図8】第2実施例のスクリーン装置を収納状態にした場合の斜視図である。
【
図9】本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第3実施例におけるスクリーンの展張状態を示す斜視図である。
【
図10】第3実施例のスクリーン装置を収納状態にした場合の斜視図である。
【
図11】本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第4実施例におけるスクリーンの展張状態を示す斜視図である。
【
図12】第4実施例のスクリーン装置を収納状態にした場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図4は、本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第1実施例を示している。この第1実施例に係るスクリーン装置1Aは、主として玄関用ドアを、ドアガード、ドアチェーン、楔形のドアストッパー、その他の煽り止めによる一部開扉の通風状態において使用する場合に、該ドアの内側において、開扉部分からの虫類の侵入防止、該開扉部分の目隠し等を行うために設置するものである。なお、このスクリーン装置1Aは、主として玄関用ドア等において用いるのに適しているが、それに限るものでない。
【0017】
上記第1実施例に係るスクリーン装置1Aについて具体的に説明すると、
図1及び
図2は、該スクリーン装置1Aを建物内のドア20の内側に取り付けて使用する態様を示し、
図3及び
図4は、上記スクリーン装置1Aの構成を示している。
このスクリーン装置1Aは、一部開扉の通風状態にあるドア20の内側において、開扉部分を通気性のあるスクリーン2で覆い、その開扉部分からの虫の侵入防止、該開扉部分の目隠し等を行うためのもので、上記ドア20の周枠を形成するドア枠21に対して蝶番22により開閉自在に取り付けられているドア20の内側において、額縁23のドア開端側の側面23aと、該ドア20自体の室内側面20aとに、上記スクリーン2の両端にそれぞれ取り付けている一対の巻取軸4A,5Aを、それぞれの軸線を上下方向に向けて取り付け、両該巻取軸間の空間に該スクリーン2を張設するものである。
【0018】
上記通気性のあるスクリーン2としては、防虫や花粉の侵入防止等に適するネットや不織布、或いはレース状の布などを用いることができる。該スクリーン2の両端を巻き付ける巻取軸4A,5Aは、それらを保持できるような形態の軸ホルダー7に保持させたうえで、それぞれ上記額縁23のドア開端側の側面23aと該ドア20自体の室内側面20aとに、取付部材8を介して取り付けるように構成している。該軸ホルダー7の取り付けを行う取付部材8としては、マグネットとそれに吸着させる吸着板、一対の面ファスナー、両面接着テープを含む離脱可能な接着剤、その他簡単な係止具等を用いることができる。
【0019】
上記スクリーン2は、両端をそれぞれ巻取軸4A,5Aの周囲に固定したうえで、寸法的には、少なくとも予想される最大の張設長さに形成して、その長さに余裕を持たせ、使用に際しては、スクリーン装置1Aの設置場所に応じて必要な長さのスクリーン2を両巻取軸4A,5A間に導出し、その長さを設置場所に適合させることができる。余裕となる長さのスクリーン2は、両巻取軸4A,5Aの一方又は双方に巻き付けておけばよい。また、巻取軸4A,5Aに対するスクリーン2の巻取り量の調整により、額縁23のドア開端側の側面23aとドア20の室内側面20aとの間のスクリーン2の張設範囲を適宜調整することもできる。なお、該スクリーン2の上下方向長さは、できるだけ額縁23の内側寸法に適合させることが望まれる。
【0020】
上記軸ホルダー7としては、
図1や
図3、
図4等に示しているように、弾性ある合成樹脂や軽金属材、バネ材等により構成され、巻取軸4A,5Aに巻いたスクリーン2を導出する開口部7bを中間部に持つ巻取軸用の一対の抱持腕7aを対向配置して、該抱持腕7aにより巻取軸4A,5Aを弾性的に抱持する構成のものを、巻取軸4A,5Aの上下部に対応させて、該巻取軸4A,5Aの取付面に配置するのが望ましい。上記抱持腕7aによる巻取軸の弾性的な抱持は、巻取軸に対するスクリーン2の巻き量の多少に対応させることができる点でも有利なものである。なお、
図3に示す軸ホルダー7は、スクリーン装置1Aの不使用時の収納をも考慮して、2本の巻取軸をまとめて並列状態で保持できるようにしているが、1本の巻取軸を保持するものであっても差し支えない。
【0021】
上述したスクリーン装置1Aは、それ自体の不使用時における嵩張らない保管を考慮する必要があり、また、ドア20からの人の出入り等のためにスクリーン装置1Aが一時的に不使用になることもあり、その場合の保管についても同様である。上述した2本の巻取軸4A,5Aを並列状態でまとめて保持できるようにした
図3や
図4の軸ホルダー7は、このような場合におけるスクリーン装置1Aの保管をも簡便に行えるようにしたものである。上記額縁23のドア開端側の側面23aとドア20自体の室内側面20aとに設ける軸ホルダー7の少なくとも一方を、一対の巻取軸4A,5Aを並列状態で保持可能な上記構造の軸ホルダー7(
図4参照)とすることにより、2本の巻取軸4A,5Aをその軸ホルダー7において並列状態で保持させておくことが可能になり、しかも、スクリーン2は両巻取軸に巻き取ることができるので、見苦しい状態になることはない。
【0022】
本発明に係る上記ドア内設置用スクリーン装置1Aを玄関用ドアの内側において、額縁23のドア開端側の側面23aと該ドア20自体の室内側面20aとの間に一対の巻取軸4A,5Aを取り付けて使用する場合においては、
図1に示すように、一部開扉に伴って露出するドア枠21の下辺部と、スクリーン2の下端部との間に、小さいながらも室内外を連通させる隙間25が生じる可能性がある。この隙間25は、室内側では上方から垂下するスクリーン2の下端が床面上にまで達しているのに対し、一部開扉によって、上記床面よりも低いドア枠21の下辺部で室内側に露出している部分A(
図5参照)では、その露出する部分Aとスクリーン2の下端部との間の高低差により生じるものであり、必ずしも無視できない場合があるので、望ましくは、該隙間25を封止する封止具27を用意する必要がある。そのため、
図5(
図2の要部拡大図)及び
図6を参照して、該封止具27の一例について以下に説明する。
【0023】
図5及び
図6は、上記ドア枠21の下辺部とドア枠21より内側の室内床面との間の段差に基づく隙間25を封止する封止具27の構成と使用態様を例示するもので、この封止具27においては、ドア20を一部開扉の状態に保持して使用するために、ドア20の下端と該ドアのドア枠21との間に介装する楔形のドアストッパー28を利用し、該ドアストッパー28に、上記一部開扉に伴って、ドア20の内側に張設される上記スクリーン2よりも室内側においてドア枠21の下辺部の一部が露出するのを覆い隠すため、スクリーン2の下端に相当する高さに補助板29を取り付け可能に形成している。
【0024】
上記補助板29は、それをドアストッパー28に対して取り付けるのが適しているが、ドアストッパー28に対する適切な取り付け高さは、当該ドアストッパーの設置位置によって決まるために、現実的に本発明に係るドア内設置用スクリーン装置をドアの内側に設置した段階で、はじめてその高さをほぼ正確に理解できるものである。そのため、
図6に示すように、ドアストッパー28に対して補助板29の一部29aを差し込んで保持させるための高さを異にする複数段の切り溝28aを予め切設しておいてもよいが、接着、ネジ止め、釘止め、その他の手段でユーザーにおいて適切な高さに取り付ける可能にしておくこともできる。また、上記補助板29のドア側の一部29bは、ドア20の下部と接触する可能性があるので、該補助板29をユーザーにおいて簡単に切除できる素材で形成しておくのが望ましい。
【0025】
更に、
図7及び
図8は、本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第2実施例を示している。この第2実施例に係るスクリーン装置1Bは、上記第1実施例の巻取軸4A,5Aと同様に、スクリーン2の両端をそれぞれ巻き付ける一対の巻取軸4B,5Bを備えているが、それらの巻取軸4B,5Bのそれぞれを、複数段に分割した分割巻取軸9a〜9cの連結により形成し、それらの分割巻取軸9a〜9cを伸縮自在に嵌挿して、上記スクリーン2を最上段の分割巻取軸9aに固定し、最下段の分割巻取軸9cには固定又は着脱自在に取り付け可能に構成し、これにより、スクリーン装置1Bの不使用時における巻取軸4B,5Bの長さ方向の嵩張りを解消可能にするものである。
【0026】
これを更に具体的に説明すると、上記一対の巻取軸4B,5Bは、それらの複数段の分割巻取軸9a〜9cを相互に嵌挿して伸縮自在にするため、図示の実施例では、相互に連結した場合の最上段及び最下段の分割巻取軸9a,9cは最大径の同径のものとし、中段の分割巻取軸9bは、それを最上段の分割巻取軸9aと一体に連結し、上記最下段の分割巻取軸9cに嵌挿できる径を持つものとして構成している。中段の分割巻取軸9bを最下段の分割巻取軸9cと一体にして、それを最上段の分割巻取軸9aに嵌挿できるように構成することもできる。
【0027】
上記巻取軸4B,5Bは、このように複数に分割した分割巻取軸を相互に嵌入することにより、
図8に示すような短縮形態になるように形成しているが、上記実施例の構成に限ることなく、任意段数に分割することができ、それらの場合に、隣接する分割巻取軸を適宜相互に嵌挿して長さを短縮することができるが、最上段及び最下段の分割巻取軸の径は、同一又は近似した径であることが望ましい。
【0028】
そして、上記一対の巻取軸4B,5B間に取り付けるスクリーン2は、上述のようにそれらの巻取軸が伸縮することから、最上位の両分割巻取軸9aに対して該スクリーン2の上部を接着剤10で固定し、また最下位の分割巻取軸9cは、接着剤による固定又は適宜手段での着脱自在の固定により、使用時にスクリーン2が風等でなびくのを抑制すると同時に、
図8に示すような短縮状態での収納保管時に、スクリーン2を分割巻取軸に巻き付けて、容易に整然とした折り畳み状態にできるようにしておくのが望ましい。
なお、この第2実施例のスクリーン装置1Bにおける使用の態様や、使用のために用いるその他の構成は、第1実施例の場合と格別の差異がないので、それらの記載を援用してその説明を省略する。
【0029】
図9及び
図10は、本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第3実施例を示している。この第3実施例に係るドア内設置用スクリーン装置1Cは、基本的には、前記第1実施例と比較して、スクリーン2の巻取りを一方の巻取軸4Cのみに特定して、その巻取軸にスクリーン2の長さの余裕分を巻き取るようにし、それによって、スクリーン2の他端は巻き取る必要がなくなるので、単に、そのスクリーンの端部を保持する保持桟11に取り付けるようにしている。
【0030】
上記の構成は、図示するように、巻取軸4Cの内部にスクリーン2を巻き取るためのスプリング12を収容するのに適しているが、該巻取軸4Cとして、単にスプリング12を収容しない第1実施例の巻取軸4A等と同様なものを用いることもでき、その場合には、同第1実施例において用いている軸ホルダー7を、単一の巻取軸のみを保持する構成のものとして、額縁23のドア開端側の側面23a、或いはドア20自体の室内側面20aに対して取り付けるように構成すればよい。一方、保持桟11は、適宜断面形状を有する筒体により形成し、前述した第1実施例の取付部材8により所要の位置に固定すればよい。
【0031】
更に、上記スクリーン2の一端を巻き付ける巻取軸4Cと該スクリーン2の他端を保持する筒体状の保持桟11とを、それぞれ複数段に分割した分割巻取軸及び分割保持桟の連結により形成して、それらの分割巻取軸及び分割保持桟を前記第2実施例のようにそれぞれ伸縮自在に嵌挿するように構成する場合には、第2実施例として上述したところに準じて額縁23のドア開端側の側面23a、或いはドア20自体の室内側面20aに対して取り付けできるように構成すればよい。分割巻取軸及び分割保持桟に対するスクリーン2の取り付けも、第2実施例と同様に行えばよい。
【0032】
一方、巻取軸4C内に上記図示のスプリング12を収容し、巻取軸4Cに対してスクリーン2を巻き取る方向の付勢力を作用させる場合には、巻取軸4Cの両端を回転軸14によりケース型の軸ホルダー13に対し回転可能に支持させたものとし、前記第1実施例の構成に準じて、該軸ホルダー13を額縁23のドア開端側の側面23aとドア20自体の室内側面20aとのいずれか一方に対し、軸線を上下方向に向けて取付部材8を介して取り付け、他方には、スクリーン2の他端を保持する保持桟11を、同様に取付部材8を介して取り付けることになる。このスクリーン装置1Cの不使用時における保管を考慮する場合には、
図10に示すように巻取軸4Cを支持する軸ホルダー13及び保持桟11をまとめて適所に保管してもよいが、額縁23のドア開端側の側面23aとドア20自体の室内側面20aとのいずれか一方に、それぞれ取付部材8,8を並設しておき、それらに軸ホルダー13及び保持桟11を保持させるようにしてもよい。
【0033】
また、
図11及び
図12は、本発明に係るドア内設置用スクリーン装置の第4実施例を示している。このドア内設置用スクリーン装置1Dは、一部開扉の通風状態にあるドアの内側に設置する上記第1〜第3実施例と同様な態様で使用するものであって、
図1を参照してそれを説明すると、ドア20の内側に設置されている額縁23のドア開端側の側面23aと、ドア20自体の室内側面23aとに、それぞれ、
図11に示しているような、軸線を上下方向に向けた一対の保持桟11a,11bを、前記取付部材8により取り付けるようにしている。そして、それらの保持桟11a,11bに、両該保持桟間の空間に張設するところの、プリーツ15aを上下方向に向けたアコーディオンプリーツ状のスクリーン15の両端をそれぞれ取り付けている。
【0034】
上記スクリーン15は、軽量なネット等の素材を交互に逆方向に折り返して、折り畳む方向に弾性的に付勢されたプリーツ15aが付与されたものとして構成し、素材自体の強度及び上記折返しによる補強により、一対の保持桟11a,11b間において弛みを生じることなく展張可能なものとして保持させることもできるが、図を参照して以下に説明するように、引張力付与部材18を付設したコード16を該スクリーンに水平に貫通させることにより、展張したスクリーン15の垂れ下がりを抑制することもできる。
【0035】
図示の実施例では、上記スクリーン15を用いたドア内設置用スクリーン装置1Dにおいて、該スクリーン15を水平方向に貫通する複数段のコード16の各一端を一方の保持桟11bに固定すると共に、それらの各コードの他端を、スクリーン15を水平に貫通させ、それを他方の保持桟11a内に挿入した部位において上方に転向させたうえで、保持桟11a内の最上位に設けた転向子17に巻き掛けて下方に転向させ、その転向させた各コード16の先端をまとめて、重錘18aからなる引張力付与部材18に連結することにより、上記各コード16を緊張状態に保持し、展張した上記スクリーン15の垂れ下がりを抑制するように構成している。上記引張力付与部材18を構成する重錘18aに代えて、転向子17に巻き掛けて下方に転向させた各コード16の先端に、それに対して引張力を作用させるバネを連結することもできる。
【符号の説明】
【0036】
1A スクリーン装置
2 スクリーン
4A,5A 巻取軸
7 軸ホルダー
20 ドア
21 ドア枠
23 額縁