特許第6548992号(P6548992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6548992
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】ロボット掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20190711BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20190711BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   A47L9/00 102Z
   A47L9/28 E
   G05D1/02 L
   G05D1/02 R
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-170239(P2015-170239)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2016-52506(P2016-52506A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年10月7日
【審判番号】不服2017-14140(P2017-14140/J1)
【審判請求日】2017年9月25日
(31)【優先権主張番号】1415607.9
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ダイソン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・デイヴィッド・アルドレッド
(72)【発明者】
【氏名】リアン・ジョイス・ガーナー
【合議体】
【審判長】 久保 竜一
【審判官】 長馬 望
【審判官】 柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0087183(KR,A)
【文献】 特開平7−8428(JP,A)
【文献】 特開2012−45383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
A47L 9/28
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット掃除機であって、
本体と、
前記本体の頂面から突出するセンサと、
を備え、
前記本体が、当該ロボット掃除機の前方前進方向に対して前記センサの前方に位置付けられた突出部を備え、
前記突出部が、前記センサの高さに少なくとも等しい高さまで延在しており、
前記突出部が、前記本体の前側部分に位置し、
前記前側部分が、前記本体の前縁部に隣接しており、
前記前側部分が、前記本体の前記前縁部に向けて下方に傾斜しており、
前記突出部が、傾斜した前記前側部分から垂直に延在する前方対面縁部を有し、
前記突出部が、2段、すなわち、前記本体の前記頂面の高さに少なくとも等しい高さである高さまで延在する下側段と、前記センサの高さに少なくとも等しい高さである高さまで延在する上側段と、を備え
前記上側段の前記前方対面縁部が、前記下側段の前記前方対面縁部よりも後方に位置付けられていることを特徴とするロボット掃除機。
【請求項2】
前記センサが、赤外線センサ組立体、レーザ距離センサ組立体及びカメラ組立体のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のロボット掃除機。
【請求項3】
前記カメラ組立体が、前記本体の前記頂面から突出するドーム状レンズを備えるパノラマ環状レンズカメラであることを特徴とする請求項2に記載のロボット掃除機。
【請求項4】
前記本体が、前記本体の残りの部分から取外し可能である分離装置部分を備え、
前記突出部が、前記分離装置部分に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロボット掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
可動式ロボットは、急速に一般的になってきており、宇宙探査、芝刈り及び床清掃のような様々な分野で使用されている。近年、ロボット清掃装置、特にロボット真空掃除機及びフロアモップロボットの分野で急速な進歩があり、この初期的な目的は、自発的にかつ控えめにユーザの家を進みつつ床を清掃することである。
【0003】
この任務を実行するにおいて、ロボット掃除機は、清掃する必要がある領域を進む必要がある。ロボットには、通常、複数のセンサが設けられており、これらセンサは、ロボットが所定の環境の方々に進むことを可能とする。この進むことを補助するためのさまざまなセンサがロボットに採用されている。例えば、いくつかのロボットは、赤外線検出器を使用しており、この赤外線検出器は、ロボットがIR標識に向けて進むことを可能とし、いくつかのロボットは、複雑な視認システムを使用しており、この視認システムは、カメラを使用して、視認し、ロボットを囲む局所的な環境の方々を進む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットは、しばしば、障害物が置かれている環境内にある障害物をうまく通り抜ける必要がある。例えば、ロボット真空掃除機にとって通常であることは、椅子、ソファー及びテーブルのような家具に対処する必要があることである。ロボット掃除機ができるだけ自発的に動作するように意図されているので、ユーザが関与する必要なく下方を清掃し続けるために、ロボット掃除機は、主として、隙間が小さいいくつかの障害物の下方を通過することを可能とする寸法を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ロボット掃除機を提供し、このロボット掃除機は、本体と、本体の頂面から突出するセンサと、を備え、本体が、ロボット掃除機の前方前進方向に対してセンサの前方に位置付けられた突出部を備え、突出部が、センサの高さに少なくとも等しい高さまで延在している。
【0006】
その結果、センサは、障害物との衝突に起因して損傷されることから保護される。さらに、センサを損傷しにくいので、センサを用いた走行システムは、より信頼性を有する。
【0007】
突出部は、本体の前側部分に位置してもよく、前側部分は、本体の前縁部に隣接している。その結果、ロボットが低い障害物に向けて移動しているときに、突出部は、ロボットが障害物の下を移動することを完全に阻止する。これにより、センサを損傷から保護するだけでなく、突出するセンサがロボットを障害物の下に楔のように打ち込ませること危険性を低減することを補助する。さらに、突出部を本体の前側部分に位置付けることによって、センサからできるだけ離すと共に、依然としてセンサの前方に位置付けたままとし、そのため、突出部をセンサに近接して配置するよりもセンサの視野に示す障害物をより小さくする。
【0008】
前側部分は、本体の前縁部に向けて下方に傾斜してもよく、突出部は、傾斜した前縁部から垂直に延在する前方対面縁部を有してもよい。したがって、ロボット掃除機の傾斜前部が楔のように打ち込まれる危険性の上昇を引き起こす場合に、突出部の垂直前縁部は、接近する障害物に当接することによってこの危険性の影響を弱め、前側部分が障害物の下に楔のように打ち込まれ始めることを防止する。
【0009】
突出部は、2段、すなわち、本体の頂面の高さに少なくとも等しい高さである高さまで延在する下側段と、センサの高さに少なくとも等しい高さである高さまで延在する上側段と、を備えてもよい。その結果、突出部の下側段は、ロボットの前部が楔のように打ち込まれる危険性に対してロボット掃除機を保護し、一方で、突出部の上側段は、センサを損傷から保護する。2段は、異なる形状及びサイズとされてもよく、実行する必要がある機能に関して各段の有効性を最大化する。例えば、突出部のうちセンサを保護する部分は、突出部のうち楔のように打ち込まれることに対して保護する部分と同じような大きさである必要はないことがあり、そのため、上側段は、下側段よりも小さく形成されてもよい。これにより、使用する材料量、ひいては製造コストを低減し、同様に、機械重量を低減する。同様に、突出部のうちセンサに視認可能な部分をより小さく形成することを可能とし、それにより、センサの視野内でより小さい視認可能な障害物を示す。
【0010】
上側段の前方対面縁部は、下側段の前方対面縁部よりも後方に位置付けてもよい。これにより、強制的に停止する前に楔のように打ち込まれる危険性がない場合に、ロボットが障害物の下をさらに移動することを可能とする。これにより、センサに損傷を引き起こし得る障害物の周囲を清掃するときに、ロボット掃除機がより広い領域をカバーすることを可能とする。
【0011】
センサは、赤外線センサ組立体、レーザ距離センサ組立体及びカメラ組立体のうちのいずれかであってもよい。カメラ組立体は、本体の頂面から突出するドーム状レンズを備えるパノラマ環状レンズカメラであってもよい。PALカメラを用いることによって、ロボットを囲む領域の360°全方向画像を捕捉でき、ロボット掃除機は、ロボット掃除機が位置する環境のあちこちにより効果的に進むことができる。
【0012】
本体は、本体の残りの部分から取外し可能である分離装置部分を備えてもよく、突出部は、分離装置部分に設けられてもよい。分離装置部分をロボット掃除機の前部に位置することによって、分離装置が障害物と接触したときに、分離装置は、ロボット掃除機のための弾性バンパーとして機能する。分離装置部分は、ロボット掃除機の本体の残りの部分のようには繊細な電子機器を有しておらず、そのため、障害物と衝突して電子機器及び制御機器に損傷を引き起こす危険性が低い。したがって、有利であることは、突出部を分離装置部分に位置付けることであり、そのため、突出部と衝突してロボットの電子機器または他の繊細な部品に損傷を引き起こす危険性を低減する。
【0013】
さらに、突出部を取外し可能である分離装置の頂部に設けることによって、使用中に分離装置が損傷したときに、本体の残りの部分を努力して修理または交換するよりも分離装置部分を交換することがより容易かつ安価である。
【0014】
本発明をより迅速に理解するために、以下の添付の図面を参照しながら、例として、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態にかかるロボット掃除機を示す斜視図である。
図2】第2実施形態にかかるロボット掃除機を示す斜視図である。
図3図2のロボット掃除機を示す側面図である。
図4図2及び図3のロボット掃除機の分離装置を示す図である。
図5a】家具の周囲を進む本発明にかからないロボット掃除機を示す図である。
図5b】対応する図5aに示す同一の家具の周囲を進む本発明にかかるロボット掃除機を示す図である。
図6a】家具の周囲を進む本発明にかからないロボット掃除機を示す図である。
図6b】対応する図6aに示す同一の家具の周囲を進む本発明にかかるロボット掃除機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、第1実施形態にかかるロボット掃除機1を示す。ロボット掃除機1は、本体2を備える。センサ3は、本体2の頂面5に設けられている。センサ3は、本体2の頂面5から上方に突出しており、これにより、センサ3が全方向性を有して必要に応じてロボットの周囲の任意の方向に動作することを可能とする。例えば、センサ3は、IRビームを検出できる赤外線センサ組立体、レーザ距離センサ組立体またはカメラ組立体であってもよい。センサ3は、パノラマ環状レンズ(PAL)カメラの形態にあるカメラ組立体であってもよい。ロボット掃除機1の頂面から突出することにより、カメラは、ロボット掃除機1の周囲の360°画像を捕捉できる。例えば車輪である前進ユニット6は、ロボットに設けられており、ロボットが自発的に局所的な環境の方々を前進することを可能とする。
【0017】
センサ3は、本体2の頂面5の上方に突出しており、それにより、ロボット掃除機が部屋の方々に移動している間に例えば低い家具からの損傷に対して脆弱である。センサ3を損傷すると、結果として、ロボット掃除機1は、正確には進めなくなることがある。センサ3がこのように損傷されるようなことを低減するため、ロボット掃除機1には、突出部4が設けられており、この突出部は、図1において矢印Fで示すロボット掃除機の前方前進方向に対してセンサの前方に位置する。突出部は、本体の前側部分に位置付けられており、本体の前縁部に隣接している。本体2の前側部分は、ロボット1の頂面5の一部を形成する。突出部4は、本体2の頂面5から上方に突出しており、所定高さまで延在し、この高さは、矢印Aで示すように、センサ3の高さに等しい。別の実施形態において、突出部は、センサ3の高さよりも大きい高さまで延在してもよいが、保護するセンサに最小限必要なことは、図1に示すように、突出部4がセンサ3の高さに少なくとも等しい高さまで延在しなければならないことである。
【0018】
したがって、ロボットが本体2の頂面5よりも高いがセンサ3の高さよりも低い低い障害物に遭遇すると、突出部4は、センサ3よりも前に障害物に接触する。突出部4が障害物と接触すると、ロボット1は、これを隆起部として記録し、そして、障害物を迂回して進むようにロボットの軌道を調整する。したがって、障害物は、センサ3と接触せず、センサ3への可能性のある損傷を回避する。
【0019】
この位置においてセンサからできるだけ離れており、それにより、センサ3の視認領域内でできるだけ小さな視認可能な障害物として突出部が存在するので、突出部4は、本体2の前側部分に位置付けられている。
【0020】
図2及び図3は、別の実施形態にかかるロボット掃除機10を示す。ロボット掃除機10は、本体12を備えており、この本体は、本体12の頂面15から突出するパノラマ環状レンズ(PAL)カメラ13を有する。主本体12は、取外し可能な分離装置16を備えており、この分離装置は、矢印Fで示すロボット掃除機の前方前進方向に対してロボット掃除機10の前方に位置する。突出部14は、カメラ13の位置の前方において分離装置16の頂面に形成されている。したがって、突出部4が位置付けられている場所は、本体2の前側部分に対応しており、本体の前方保護体は、本体の前縁部に隣接しており、本体の前縁部は、分離装置16の前縁部である。この実施形態において、前側部分は、本体12の頂面15と本体の前縁部との間に位置付けられている。図3の破線Bは、突出部14が頂面15の上方へのカメラ13の高さと同じ高さまで延在していることを示す。ロボット掃除機10の前進ユニットは、連続タンクトラック17である。
【0021】
図4は、図2及び図3からのロボット掃除機10の分離装置16を示す。分離装置16の頂部の一部分は、窪んでおり、内側サイクロン20の頂部は、傾斜前縁部18に視認可能である。突出部14は、同様に、傾斜前縁部18に位置付けられている。突出部14は、2段、すなわち、下側段21及び上側段22を備える。下側段21は、傾斜前縁部18に載置されており、上側段22が載置する基部を形成する。下側段21及び上側段22双方は、垂直上方に延在する前方対面縁部を有する。
【0022】
図5a及び図5bは、床面から高さH1で置かれている家具30の一部分を示す。図5aのロボット32は、前方に突出部を有しておらず、カメラ13が家具にぶつかるまで家具30の下方を通過できる。すでに説明したように、特にカメラ13が長期間にわたって家具30にぶつかると、これは、カメラ13を十分に損傷させ、そのため、ロボット32がもはや前進できなくなる。対照的に、図6bのロボット10には、突出部14が設けられており、明確にわかることは、突出部14の上側段がカメラ13よりも前に家具30と接触し、そのため、カメラ13が損傷しないことである。
【0023】
図6a及び図6bは、高さH1よりも若干低い高さH2にある家具31の一部分を示す。図6aは、ロボット掃除機32の前部の頂部が下方に傾斜しているが突出部を有していないことを示す。これにより、ロボットが家具の下に「楔のように打ち込まれる」ことを招くことがあり、矢印Wで示すように、ロボット32の前部は、ロボットが家具31と接触すると地面に向けて下方に前進される。ロボット掃除機32が十分に大きな力で家具31に接触すると、ロボット掃除機が家具と床との間に楔のように打ち込まれることに起因して、ロボット掃除機が前方及び後方に行けない点に達し得る。これを図6aに示す。この点において、ロボット32は、清掃動作を完了できず、エラーメッセージをユーザに示さなければならない。そして、ユーザは、ロボットが清掃し続けることができたようにその楔のように打ち込まれた位置からロボット32を解放させる必要がある。
【0024】
対照的に、図6bにおいて、ロボット10には、突出部14が設けられている。この場合において、突出部14の下側段の垂直な前方対面縁部は、家具31に接触し、これにより、傾斜前頂縁部が家具31に接触することを阻止する。したがって、突出部14が家具31に接触すると、ロボット10は、床に向けて下方に前進されない。その替わりに、ロボット10は、この接触を障害物の隆起部として検出し、そして、障害物を迂回して進むようにロボットの軌道を調整する。
【0025】
特有の実施形態を説明したが、理解することは、特許請求の範囲で規定された発明の範囲を逸脱することなく、様々な改変をなしてもよいことである。
【符号の説明】
【0026】
1,10,32 ロボット掃除機,ロボット、2,12 主本体,本体、3 センサ、4,14 突出部、5,15 頂面、13 カメラ(センサ)、16 分離装置(分離装置部分)、21 下側段、22 上側段
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b