特許第6549104号(P6549104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549104
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】持続型ヒト成長ホルモン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/27 20060101AFI20190711BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190711BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20190711BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20190711BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20190711BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20190711BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   A61K38/27
   A61K47/10
   A61K47/12
   A61K47/26
   A61K47/68
   A61K9/19
   A61K9/08
【請求項の数】35
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-518140(P2016-518140)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-533345(P2016-533345A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】KR2014009059
(87)【国際公開番号】WO2015046974
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0115177
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】リム ファ ペウン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュン ウク
(72)【発明者】
【氏名】イム ホ テク
(72)【発明者】
【氏名】キム サン ユン
(72)【発明者】
【氏名】リム ヒョン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ベ スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】クォン セ チャン
【審査官】 小堀 麻子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/008779(WO,A1)
【文献】 特開2005−232177(JP,A)
【文献】 特表2001−524360(JP,A)
【文献】 特開平10−265404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト成長ホルモン(hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を混合した水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤である、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤であって、
前記緩衝溶液がクエン酸塩緩衝溶液又は酢酸塩緩衝溶液であり、
前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート系非イオン界面活性剤又はポロキサマー系非イオン界面活性剤であり、
前記糖アルコールがマンニトール又はソルビトールである、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項2】
ヒト成長ホルモン(hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びアルブミン−非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する持続型ヒト成長ホルモン結合体液状製剤である、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤であって、
前記製剤は、水溶性無機塩を含まず、
前記糖アルコールは、2%(w/v)〜4.5%(w/v)の範囲で含まれ、
前記緩衝溶液が、クエン酸塩緩衝溶液、酢酸塩緩衝溶液、又はヒスチジン緩衝溶液であり、
前記非イオン性界面活性剤がポリソルベート系非イオン界面活性剤又はポロキサマー系非イオン界面活性剤であり、
前記糖アルコールがマンニトール又はソルビトールである、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項3】
前記緩衝溶液のpHは、5.0〜6.0である、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項4】
前記糖アルコールは、水溶液の総体積に対して1%(w/v)〜10%(w/v)の範囲で含まれる、請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項5】
前記糖アルコールは、水溶液の総体積に対して2.5%(w/v)〜5%(w/v)の範囲で含まれる、請求項4に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80である、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤の濃度は、水溶液の総体積に対して0.001%(w/v)〜0.05%(w/v)である、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項8】
前記アルブミン−非含有水溶液は、糖類、多価アルコール及びアミノ酸で構成される群から選択された一つ以上をさらに含有する、請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項9】
前記アミノ酸は、ヒスチジンまたはグリシンである、請求項8に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項10】
前記ヒスチジンの濃度は、水溶液の総体積に対して1〜10mMである、請求項9に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項11】
前記持続型ヒト成長ホルモン結合体の濃度は、水溶液の総体積に対して10〜100mg/mLである、請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項12】
前記アルブミン−非含有水溶液は、さらに等張化剤を含む、請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項13】
前記等張化剤は、塩化ナトリウムである、請求項12に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項14】
前記塩化ナトリウムの濃度は、水溶液の総体積に対して0〜200mMである、請求項13に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項15】
前記凍結乾燥製剤の容器は、バイアル、デュアルチャンバーカートリッジまたはデュアルチャンバーシリンジの形態である、請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項16】
前記製剤は、塩化ナトリウムを含有しない、請求項2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項17】
前記持続型ヒト成長ホルモン結合体は、5.0mg/mL〜60.0mg/mLの濃度で製剤に含まれる、請求項2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項18】
前記製剤は、さらに保存剤を含む、請求項2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項19】
前記ヒト成長ホルモン(hGH)は、天然型ヒト成長ホルモンと同一なアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項20】
前記免疫グロブリンFc領域がIgG、IgA、IgD、IgE、またはIgM由来のFc領域である、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項21】
前記免疫グロブリンFc領域のそれぞれのドメインがIgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来した異なる起源を有するドメインのハイブリッドである、請求項20に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項22】
前記免疫グロブリンFc領域が同一な起源のドメインからなる単鎖免疫グロブリンで構成された二量体または多量体である、請求項20に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項23】
前記免疫グロブリンFc領域がIgG4 Fc領域である、請求項20に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項24】
前記免疫グロブリンFc領域がヒト非糖鎖化IgG4 Fc領域である、請求項20に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項25】
前記結合体は、ヒト成長ホルモン及び免疫グロブリンFcが非ペプチド性重合体をリンカーにして連結された形態であるか、または遺伝子組換え技術を用いて連結された形態である、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項26】
前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)及びPLGA(ポリ乳酸−グリコール酸、polylactic−glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせで構成された群から選択された、請求項25に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項27】
前記製剤は、下垂体性小人症、成長ホルモン欠乏症、プラダー・ウィリー症候群または特発性低身長の治療のためのものである、請求項1または2に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項28】
前記持続型ヒト成長ホルモン結合体は、ヒト成長ホルモン及び免疫グロブリンFcがポリエチレングリコールを介して連結された形態であり、
前記緩衝溶液は、5.0〜6.0のpHを有するクエン酸塩緩衝溶液又は酢酸塩緩衝溶液であり、
前記非イオン性界面活性剤は、水溶液の総体積に対して0.001%(w/v)〜0.05%(w/v)のポリソルベート80であり、
前記糖アルコールは、水溶液の総体積に対して2.5%(w/v)〜5%(w/v)のマンニトールまたはソルビトールであり、
塩化ナトリウムを含む請求項1に記載の持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤。
【請求項29】
理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥する段階を含む、請求項1の凍結乾燥製剤の製造方法。
【請求項30】
請求項1の凍結乾燥製剤に含まれた、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を混合した水溶液を凍結乾燥した混合物に再構築溶液を添加する段階を含む、請求項1の凍結乾燥製剤を再構築する方法。
【請求項31】
前記再構築溶液は、注射用水である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記再構築溶液は、さらに保存剤を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記保存剤は、ベンジルアルコール、m−クレゾールまたはフェノールである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法で再構築された製剤は、持続型ヒト成長ホルモン結合体を10〜100mg/mLの濃度で含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
請求項1の凍結乾燥製剤及び再構築溶液を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤、具体的には、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤及び液状製剤、前記凍結乾燥製剤の製造方法、前記凍結乾燥製剤を再構築する方法及び前記凍結乾燥製剤並びに再構築溶液を含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH、以下、「hGH」として引用される)は、ヒトの下垂体から生成される191個のアミノ酸で構成された分子量約22,000のポリペプチドホルモンであり、主に小児における下垂体性小人症の治療に使用されている。従来は、ヒトの下垂体から抽出したhGHが使用されたが、その量が制限され、治療を受けることができるヒトが極めて制限された。また、下垂体から抽出したhGHを使用した患者の一部で致命的神経疾患であるクロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt−Jacob)疾病が発生した例が報告され、このような下垂体から抽出したhGHの使用は中止された。最近では、遺伝子工学技術が発展するにつれて大腸菌、酵母などからhGHの生産に成功し、このような遺伝子工学の方法で生産された組換えhGH製剤は、毒性及び臨床試験を経て1985年以降に諸国で許可を得て市販されている。
【0003】
hGHのようなポリペプチドは、一般に安定性が低いため、容易に変性され、血液中のタンパク質加水分解酵素により分解され、腎臓や肝臓を通じて容易に除去されるので、薬理成分としてポリペプチドを含むタンパク質医薬品の血中濃度及び力価を維持するためには、タンパク質の薬物を患者に頻繁に投与する必要がある。しかし、大部分注射剤の形で患者に投与されるタンパク質医薬品の場合、活性ポリペプチドの血中濃度を維持するために頻繁に注射を打つことは、患者に苦痛を引き起こすようになる。このような問題を解決するために、タンパク質薬物の血中安定性を増加させ、血中薬物濃度を長時間高く持続させて薬効を極大化しようとする努力が続けられてきた。
【0004】
最近、活性減少の最小化と安定性の増加を同時に実現する持続性タンパク質薬物製剤として、免疫グロブリンFc領域、非ペプチド性重合体及び生理活性ポリペプチドを結合させて製造した結合体が特許文献1(生体内の持続性が増加した生理活性ポリペプチド結合体)、及び特許文献2(免疫グロブリン断片を用いたタンパク質結合体及びその製造方法)に開示された。前記方法で生理活性ポリペプチドとしてhGHを適用させて持続型hGH結合体を製造することができるが、持続型hGH結合体が含まれた薬物を製品として供給するためには、貯蔵、輸送の過程で光、熱、または添加剤内の不純物により誘導された劣化による変性、凝集、吸着、または加水分解などの物理化学的な変化を抑制しつつ生体内の効力を維持させることが必須である。特に、持続型hGH結合体は、ポリペプチド上のhGHに比べて体積が大きくなり、分子量が増加し、ポリペプチド上のhGHに比べ製剤として安定化するのに非常に困難である。
【0005】
凍結乾燥(Freeze−drying、lyophilization)は、特定のタンパク質製剤から水分を除去してタンパク質を保存する方法として用いられている。このような凍結乾燥は、水溶液や多量の水分を含有した材料を凍結させ、減圧することにより、氷を昇華させて水分を除去して乾燥物を得る方法である。そのような凍結−乾燥の過程でタンパク質の安定性を維持または増加させたり、貯蔵期間内に凍結乾燥された物質を安定化させるために、賦形剤を含む前−凍結乾燥製剤(pre−lyophilized formulation)を使用することができる。しかし、このような凍結乾燥製剤の組成は、保存しようとするタンパク質の種類に応じて、その特性の違いにより、一つのタンパク質に適用される製剤の組成が、他のタンパク質の製剤には適用されない場合が頻繁である。具体的には、異なるタンパク質は、それらの化学的な違いのため、貯蔵及び凍結乾燥過程、再構築時に異なる比率及び異なる条件の下で非活性化され得る。即ち、安定化のために用いられる物質による安定性増大の効果は、異なるタンパク質に対して同等でなく、これにより、貯蔵及び凍結乾燥、再構築時の安定性を付与するために用いられる安定化剤は、目的タンパク質の物理化学的特性に応じて適切な比率、濃度及び種類が多様である。安定化剤を併用する場合は、相互間の競争作用及び副作用により目的とすることと異なる逆効果をもたらすことができ、凍結乾燥工程または貯蔵期間中にタンパク質の性質が変化したり、濃度が変化するため、異なる効果を示すことができる。したがって、タンパク質を安定化するためには、多くの努力と注意が必要である。
【0006】
製剤の開発において、生体内持続性及び安定性を高めた持続型hGH結合体の場合、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された形態であるため、分子量及び体積が一般的なヒト成長ホルモンと明確に異なり、タンパク質を安定化するための特別な組成が要求される。また、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域は、それぞれ物理化学的特性が異なるペプチドまたはタンパク質であるため、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域を同時に安定化しなければならない。しかし、前述したように、異なるペプチドまたはタンパク質は、それらの物理化学的な違いにより、異なる比率及び異なる条件の下で漸進的に非活性化され得、それぞれのペプチドまたはタンパク質に適した安定化剤を併用する場合、相互間の競争作用及び副作用により目的としたことと異なる逆効果をもたらし得る。したがって、持続型hGH結合体の場合、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域を同時に安定化することができる安定化剤の組成を見出すことには多くの困難が伴う。また、凍結乾燥製剤の場合、再構築時、タンパク質の安定性及び活性を維持するために、多様な方法で凍結乾燥及び再構築の方法も調節される必要があり、このような方法は、製剤の組成及びタンパク質の種類に応じて変わり得る。
【0007】
また、凍結乾燥製剤において高濃度のタンパク質を含む場合には、その濃度により凍結乾燥過程中にタンパク質が凝集する傾向があるだけでなく、取り扱いにも困難な点がある。したがって、従来は高濃度のタンパク質を凍結乾燥させ、これを再構築することにより得るのではなく、低濃度のタンパク質を含む製剤を凍結乾燥させ、これを再構築する場合、小さな体積に再構築することにより、高濃度のタンパク質を得たりした。ただし、このように小さな体積で再構築するようになる場合、これに含まれていたタンパク質だけでなく、他の構成成分も濃縮され、高張性(hypertonic)になって体内投与にすぐに適用するには適しないことがあり、高濃度のタンパク質自体を凍結乾燥させることができる製剤の開発が求められてきた。
【0008】
最近、患者の便宜性を高めた繰り返し使用可能なタンパク質及びペプチド剤形が開発されている。しかし、この多回使用剤形は、反復投与後に捨てるまで微生物の汚染を防止するために、必ず保存剤が含まれなければならない。保存剤が含まれた多回使用剤形は、単回使用剤形に比べていくつかの利点がある。例えば、単回使用剤形の場合、投与量の違いにより浪費される薬物の量が多いが、多回使用剤形の場合、捨てられる製品の量を減らすことができる。さらに、一定の期間、微生物の成長の心配なく、数回使用することができ、一つの容器で提供することができ、包装を最小限に抑えることができ、経済的である。しかし、保存剤の使用が、タンパク質の安定性に影響を与えることができる。保存剤を使用する場合、最も多く知られた問題は、沈殿の形成である。タンパク質の沈殿は、薬物の効果を減少させ、体内投与時に予期しない免疫反応を引き起こすことがある。したがって、保存剤の微生物防止力を維持しながら、タンパク質の安定性に問題とならない濃度及び保存剤の選択が重要である。
【0009】
一般に、溶液状態の製剤は、注射器の形で開発され、この時、最も一般的にプレフィルドシリンジ(prefilled syringe)が使用され、これをさらに便利に助ける自動注射器(auto injector)も多く使用されている。その他、カートリッジ(cartridge)を装着し、注射量を患者に合わせて調節し、自動的に注射できるペン型注射器(pen injector)は、成長ホルモンとインスリンなどに主に用いられている。しかし、このような注射道具は、溶液状態の剤形を便利に投与することができるが、安定性が低いため、凍結乾燥しなければならない製品には、使用することができない。
【0010】
また、凍結乾燥製品は、強化ガラスでできたバイアルに凍結乾燥された製剤と溶解のための溶媒でそれぞれ製造され、使用する前に直接混合して溶解させた後、注射器に充填して注射する製品の形態が一般的である。最近、患者の便宜性を考慮し、凍結乾燥バイアルの形態(例えば、強化ガラスバイアル)で単回用の充填注射器または反復使用が可能な充填注射器の形に変更及び改善される傾向にある。そのような凍結乾燥製剤の形態としては、ドイツのベッター(Vetter)社のデュアルチャンバーカートリッジ(dual chamber cartridge)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0567902号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−0725315号公報
【特許文献3】国際特許公開第97/34631号
【特許文献4】国際特許公開第96/32478号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H.Neurath、R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような背景の下、本発明者らは、持続型ヒト成長ホルモン結合体を凍結乾燥過程中に安定性を維持することができながら、ウイルス汚染の心配なく安定的に長期間保管することができる凍結乾燥製剤、及び持続型ヒト成長ホルモン結合体を安定に保管できる液状製剤を開発するために鋭意努力した結果、緩衝溶液、糖アルコール及び非イオン性界面活性剤を含む安定化剤を用いる場合、持続型hGH結合体の安定性及び凍結乾燥の過程における安定性を増大させることにより、経済的で、かつ安定な凍結乾燥製剤を提供することができ、持続型hGH結合体の濃度が10〜58.5mg/mLで安定性に優れた塩化ナトリウムを含まない液状製剤を提供することができることを確認した。また、本発明の凍結乾燥製剤は、保管及び持ち運び時に安定しているだけでなく、再構築したとき、皮下注射製剤として適合した浸透圧及び安定性を有する剤形であることを確認した。また、保存剤を含めても安定性を維持し、多回用製剤として使用することができることを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの目的は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を混合した水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びアルブミン−非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する持続型ヒト成長ホルモン結合体液状製剤を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、前記製剤の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、前記凍結乾燥製剤に含まれた、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物に再構築溶液を添加する段階を含む、前記凍結乾燥製剤を再構築する方法を提供することにある。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、前記持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤を含む、キットを提供することにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る持続型hGH結合体の製剤は、ヒト血清アルブミン及び人体に潜在的に有害な因子を含まないため、ウイルス感染の恐れがなく、hGHポリペプチドと免疫グロブリンFc領域の結合で構成され、天然型に比べて分子量が大きく、生理活性期間が増大した持続型hGH結合体に対して安定性を提供する。特に、前記凍結乾燥製剤は、凍結乾燥過程だけでなく、再構築後も優れた安定性を提供し、保存剤を含めても安定し、多回投与用製剤としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に使用された凍結乾燥の温度勾配過程を示したものである。
図2】本発明に使用された凍結乾燥の温度勾配過程を示したものであり、1次乾燥を二区間で設定された温度勾配の過程を表示したものである。
図3a】本発明に使用された強化ガラスバイアルを示したものである。
図3b】ベッター(Vetter)社のデュアルチャンバーカートリッジ(dual chamber cartridge)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前記の目的を達成するための、本発明の一つの態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤である。
【0023】
一つの具体的な態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型hGH結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を混合した水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤である。
【0024】
一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記緩衝溶液は、酢酸塩、ヒスチジンまたはクエン酸塩緩衝溶液であることを特徴とする。
【0025】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記緩衝溶液は、酢酸塩緩衝溶液であることを特徴とする。
【0026】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記酢酸塩は、酢酸ナトリウムであり、クエン酸塩は、クエン酸ナトリウムであることを特徴とする。
【0027】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記緩衝溶液のpHは5.0〜6.0であることを特徴とする。
【0028】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記糖アルコールは、マンニトールまたはソルビトールであることを特徴とする。
【0029】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記糖アルコールは、水溶液総体積に対して1%(w/v)〜10%(w/v)の範囲で含まれることを特徴とする。
【0030】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記糖アルコールは、2.5%(w/v)〜5%(w/v)の範囲で含まれることを特徴とする。
【0031】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80であることを特徴とする。
【0032】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記非イオン性界面活性剤は、水溶液の総体積に対して0.001%(w/v)〜0.05%(w/v)の濃度であることを特徴とする。
【0033】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記アルブミン−非含有水溶液は、糖類、多価アルコール及びアミノ酸で構成される群から選択された一つ以上をさらに含有することを特徴とする。
【0034】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記アミノ酸はヒスチジンまたはグリシンであることを特徴とする。
【0035】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記ヒスチジンの濃度は、1〜10mMであることを特徴とする。
【0036】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記持続型hGH結合体は、10〜100mg/mLの濃度であることを特徴とする。
【0037】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記アルブミン−非含有水溶液は、さらに等張化剤を含むことを特徴とする。
【0038】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記等張化剤は塩化ナトリウムであることを特徴とする。
【0039】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤において、前記塩化ナトリウムは、0〜200mMであることを特徴とする。
【0040】
もう一つの具体例として、前記凍結乾燥製剤の容器は、バイアル、デュアルチャンバーカートリッジまたはデュアルチャンバーシリンジの形態であることを特徴とする。
【0041】
他の具体的な態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びアルブミン−非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する持続型ヒト成長ホルモン結合体の液状製剤である。
【0042】
一つの具体例として、前記液状製剤は、等張化剤を含有しないことを特徴とする。
【0043】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記緩衝溶液は、クエン酸塩、酢酸塩またはヒスチジン緩衝溶液であることを特徴とする。
【0044】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記糖アルコールは、マンニトールまたはソルビトールであることを特徴とする。
【0045】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記糖アルコールは、2%(w/v)〜4.5%(w/v)の濃度で製剤に含まれることを特徴とする。
【0046】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記糖アルコールは、4%(w/v)の濃度で製剤に含まれることを特徴とする。
【0047】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記緩衝溶液のpHは、5.0〜6.0であることを特徴とする。
【0048】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記緩衝溶液のpHは、5.2であることを特徴とする。
【0049】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート80であることを特徴とする。
【0050】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記非イオン性界面活性剤は、製剤の総体積に対して0.001%(w/v)〜0.05%(w/v)の濃度であることを特徴とする。
【0051】
もう一つの具体例として、前記液状製剤において、前記持続型hGH結合体は、5.0mg/mL〜60.0mg/mLの濃度で製剤に含まれることを特徴とする。
【0052】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記ヒト成長ホルモン(hGH)は、天然型hGHと同一なアミノ酸配列を有することを特徴とする。
【0053】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、またはIgM由来のFc領域であることを特徴とする。
【0054】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記免疫グロブリンFc領域のそれぞれのドメインは、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMからなる群から選択される免疫グロブリンに由来する異なる起源を有するドメインのハイブリッドであることを特徴とする。
【0055】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記免疫グロブリンFc領域は、同一な起源のドメインからなる短鎖免疫グロブリンで構成された二量体または多量体であることを特徴とする。
【0056】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0057】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記免疫グロブリンFc領域は、ヒト非糖鎖化IgG4 Fc領域であることを特徴とする。
【0058】
もう一つの具体例として、前記製剤において、前記結合体は、ヒト成長ホルモン及び免疫グロブリンFcが非ペプチド性重合体をリンカーにして連結された形態であるか、または遺伝子組換え技術を用いて連結された形態であることを特徴とする。
【0059】
もう一つの具体例として、前記製剤に含まれる結合体の非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)及びPLGA(ポリ乳酸−グリコール酸、polylactic−glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせで構成された群から選択されたことを特徴とする。
【0060】
もう一つの具体例として、前記非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコールであることを特徴とする。
【0061】
もう一つの具体例として、前記製剤は、下垂体性小人症、成長ホルモン欠乏症、プラダー・ウィリー症候群または特発性低身長の治療のためであることを特徴とする。
【0062】
本発明の別の態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体、酢酸緩衝溶液、ポリソルベート80、及びマンニトールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤である。
【0063】
本発明のもう一つの態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びクエン酸塩緩衝溶液、ポリソルベート80及びマンニトールを含むアルブミン−非含有安定化剤を含有し、前記安定化剤は、等張化剤を含まないことを特徴とする、持続型ヒト成長ホルモン結合体の液状製剤である。
【0064】
本発明のもう一つの態様は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥する段階を含む、前記凍結乾燥製剤の製造方法である。
【0065】
本発明のもう一つの態様は、前記凍結乾燥製剤に含まれた、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物に再構築溶液を添加する段階を含む、前記凍結乾燥製剤を再構築する方法である。
【0066】
一つの具体例として、前記再構築溶液は注射用水であることを特徴とする。
【0067】
他の具体例として、前記再構築溶液は、さらに保存剤を含むことを特徴とする。
【0068】
もう一つの具体例として、前記保存剤は、ベンジルアルコール、m−クレゾールまたはフェノールであることを特徴とする。
【0069】
もう一つの具体例として、前記方法で再構築された製剤は、持続型hGH結合体を10〜100mg/mLの濃度で含むことを特徴とする。
【0070】
本発明のもう一つの態様は、前記持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤を含む、キットである。
【0071】
本発明は、一つの様態として生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、hGH)と免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体、及び緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する、持続型ヒト成長ホルモン結合体製剤を提供する。
【0072】
本発明において、用語、「持続型ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH)結合体」は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が連結された形態のタンパク質であり、天然型ヒト成長ホルモンに比べて生理活性持続期間が増加された特徴を有する結合体を意味する。本発明において、用語、「持続型」とは、生理活性期間が天然型ヒト成長ホルモンに比べて増大されたことを意味し、「結合体」とは、ヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された形態を意味する。
【0073】
前記製剤は、具体的には、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤であってもよい。
【0074】
本発明において、用語、「持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤(lyophilized formulation)」とは、持続型hGH結合体を含む凍結乾燥製剤を意味する。これは、持続型hGH結合体と、これを安定化させるための賦形剤などの物質を共に凍結乾燥させ、固体状態で存在する物質を含む形態をいう。本発明において、凍結乾燥製剤は、凍結乾燥物質自体を含む概念である。前記凍結乾燥物質は、凍結乾燥ケーキ(lyophilized cake)とも呼ぶことができる。
【0075】
前記凍結乾燥製剤は、持続型hGH結合体を安定化させるための賦形剤を含む予備−凍結乾燥製剤(pre−lyophilized formulation)と持続型hGH結合体の両方が含まれた予備製剤形態において、水分を昇華させる凍結乾燥過程を経て製造される。本発明において、前記持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤は、治療学的有効量の持続型hGH結合体を含むことができ、hGHは治療学的有効量で単回用容器(single−use container)または多回用容器(multi−use container)に含有され得るが、これに制限されない。
【0076】
前記凍結乾燥製剤は、バイアル(例えば、強化ガラスバイアル)、デュアルチャンバーカートリッジまたはデュアルチャンバーシリンジの形態の容器に含有されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0077】
本発明の凍結乾燥製剤は、持続型hGH結合体を凍結乾燥過程で安定化させる組成を有し、これを保管した後、再構築する場合にも製剤の安定性を維持させる効果を示す。特に、本発明の凍結乾燥製剤は、10 mg/mLの〜100 mg/mLの高濃度の持続型hGH結合体を含めても安定性を付与する効果を有する。
【0078】
また、前記持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤は、容器に保管され、個体に投与が必要な場合などにおいて再構築することができる。
【0079】
本発明において、用語、「再構築」とは、固体状態の前記凍結乾燥物質を液状化してhGH結合体を投与可能にすることを意味する。この時、本発明の凍結乾燥製剤に含まれる持続型hGH結合体の濃度は、再構築時に1 mg/mLの〜150 mg/mLの、好ましくは10 mg/mLの〜120 mg/mL、さらに好ましくは10 mg/mL〜100 mg/mLであるが、これに制限されない。
【0080】
前記再構築は、凍結乾燥物質を含むバイアルに溶解するための溶媒を混合して溶解させる方法で行われるか、または単回用充填注射器または反復使用が可能な充填注射器の形で凍結乾燥物質に溶媒を加えて溶解させる方法で行われ得るが、特にこれに制限されるものではない。
【0081】
本発明の前記持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤は、従来の液状製剤に比べてhGH結合体を安定的に保存する利点があり、有効な結合体の濃度を調節できる特徴を有する。一方、凍結乾燥の過程で予備製剤の濃度と再構築した後の濃度は、同一または異なってもよいが、これに制限されない。
【0082】
このような本発明の凍結乾燥製剤は、持続型hGH結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物を含むことを特徴とする。
【0083】
本発明において、用語、「アルブミン−非含有水溶液」とは、持続型hGH結合体が安定して保存され、凍結乾燥過程及び再構築時に安定性を維持できるようにする物質を意味する。特に、前記アルブミン−非含有水溶液は、持続型hGH結合体及びこれを安定化させる賦形剤を含み、凍結乾燥過程の中で、持続型hGH結合体の安定性を付与し、保管安定性を有する凍結乾燥製剤を製造可能にする水溶液を意味する。前記水溶液は緩衝溶液、糖アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含有することが望ましい。または浸透圧の調整のために等張化剤を追加することができる。持続型hGH結合体のようなタンパク質において、保存安定性は、正確な投与量を保障するためだけでなく、持続型hGH結合体に対する抗原性の形態の物質の潜在的な生成を抑制するために重要である。また、前記アルブミン−非含有水溶液は、本発明における「予備製剤」と併用することができる。
【0084】
凍結乾燥製剤に添加される再構築溶液の体積調節に応じて、持続型hGH結合体の濃度を調節することができるため、前記アルブミン−非含有水溶液で持続型hGH結合体の濃度は、特に制限されるものではない。しかし、本発明の製剤は、10mg/mL〜100mg/mL以上の高濃度持続型hGH結合体を含むアルブミン−非含有水溶液も安定的に凍結乾燥することができ、製造された凍結乾燥製剤を3分以内に迅速に溶解させることができるだけでなく、再構築した溶液の持続型hGH結合体も安定性を維持させることができるという利点を有する。
【0085】
また、前記水溶液は、ヒト血清アルブミンを含まないことを特徴とする。タンパク質の安定化剤として用いられるヒト血清アルブミンは、人体の血液から製造されるため、ヒト由来の病原性ウイルスによる汚染の可能性が存在し、ゼラチンやウシ血清アルブミンは、疾患を引き起こしたり、または一部の患者の場合には、アレルギー反応を誘発する可能性がある。本発明のアルブミン−非含有安定化剤は、ヒトまたは動物由来の血清アルブミンまたは精製されたゼラチンなどの異種タンパク質を含有しないため、ウイルス感染の恐れがない。
【0086】
本発明において、用語、「緩衝溶液」とは、本発明のアルブミン−非含有水溶液に含まれ、持続型hGH結合体が安定になるように凍結乾燥過程または再構築後に製剤のpHが急激に変化しないように溶液のpHを維持させる役割をする溶液を意味する。前記緩衝溶液は、アルカリ塩(ナトリウムまたはカリウムリン酸塩またはそれらの水素または二水素塩)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム/クエン酸)、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム/酢酸)、ヒスチジンを初めとして当業界に公知となった任意の他の製薬上許容可能なpH緩衝剤を含むことができ、それら緩衝剤の混合物も使用することができるが、好ましくは、酢酸塩緩衝溶液、ヒスチジン緩衝溶液またはクエン酸塩緩衝溶液であり、さらに好ましくは酢酸塩緩衝溶液、またはクエン酸塩緩衝溶液であるが、これに制限されない。
【0087】
前記緩衝溶液を構成するクエン酸塩または酢酸塩の濃度は、好ましくは5 mM〜100 mMであり、さらに好ましくは10 mM〜50 mMであるが、これに制限されない。前記緩衝溶液のpHは、好ましくは4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.0であり、さらに好ましくは5.2〜6.0であるが、これに制限されない。
【0088】
本発明において、用語、「糖アルコール」とは、本発明の凍結乾燥製剤に含まれ、凍結乾燥の過程で持続型hGH結合体のタンパク質を保護し、再構築の後にも安定性を増大させる役割をする水素化炭水化物(hydrogenated carbohydrate)を意味する。本発明で使用される糖アルコールの濃度は、好ましくは、全体の溶液に比べ1%〜10%(w/v)であるが、これに制限されない。前記糖アルコールの濃度は、具体的には、2.5〜5%(w/v)であってもよく、前記糖アルコールの濃度が前記範囲である場合、予備製剤と同一な体積の再構築溶液で再構築したとき、等張液の範囲の浸透圧を有してもよいが、これに制限されるものではない。
【0089】
また、本発明において、前記糖アルコールは、特にこれに制限されないが、マンニトール、及びソルビトールからなる群から選択された一つ以上を使用することができ、好ましくはマンニトールが使用することができる。マンニトールのような糖アルコールは、本発明の組成物に含まれ、浸透圧の調節に関与することができる。本発明の凍結乾燥製剤を再構築した製剤は、好ましくは、等張性(isotonic)であるが、高張性または低張性製剤も本発明に適する。
【0090】
本発明において、用語、「非イオン性界面活性剤」とは、タンパク質溶液の表面張力を下げて再構築した後、疎水性表面にタンパク質が吸着されたり凝集することを防止する物質を意味する。本発明に使用可能な非イオン界面活性剤の好ましい例としては、ポリソルベート系非イオン界面活性剤及びポロキサマー系非イオン界面活性剤などを挙げることができ、これらが一つまたは二つ以上の組み合わせの形で使用することができ、その中でもポリソルベート系非イオン界面活性剤がより好ましい。ポリソルベート系非イオン界面活性剤の例としては、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、及びポリソルベート80などがあり、その中でもポリソルベート80が好ましいが、これに制限されない。また、前記非イオン界面活性剤を製剤に高濃度で使用することは適切でない可能性があるが、高濃度の非イオン界面活性剤は、UV−分光法や同焦点法のような分析法でタンパク質の濃度測定や安定性を評価するときに干渉効果を誘発し、タンパク質の安定性を正確に評価することは困難なことがあるためである。したがって、本発明の凍結乾燥製剤は、前記非イオン界面活性剤が好ましくは0.1%(w/v)以下の低濃度、より好ましくは0.001%〜0.1%(w/v)、さらに好ましくは0.001%〜0.05%(w/v)で含むことができるが、これに制限されない。
【0091】
また、前記アルブミン−非含有水溶液は、さらに糖類、多価アルコール及びアミノ酸で構成される群から選択された一つ以上をさらに含有することができる。本発明の一具体例では、代表的なアミノ酸としてヒスチジンをさらに含む場合、溶解速度を改善させることができ、再構築時に泡の生成なしに再構築することができることを確認した。
【0092】
持続型hGH結合体の安定性を増大させるために、さらに含まれてもよい糖類及び多価アルコール中の糖類の好ましい例としては、マンノース、グルコース、フコース及びキシロースなどの単糖類と、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース及びデキストランなどの多糖類などが挙げられ、多価アルコールの好ましい例としては、プロピレングリコール及び低分子量のポリエチレングリコール、グリセロール、低分子量のポリプロピレングリコールなどを挙げることができ、それらの一つまたは二つ以上の組み合わせの形で使用することができる。また、前記アミノ酸の例としては、ヒスチジンまたはグリシンがあるが、これに制限されない。ここで、前記ヒスチジンなどは、水溶液中に1〜10mMの濃度で存在することができるが、これに制限されない。
【0093】
また、前記アルブミン−非含有水溶液は、さらに浸透圧の調節のために等張化剤を含むことができる。
【0094】
本発明において、用語、「等張化剤」とは、持続型hGH結合体を再構築した後、体内に投与したときに、浸透圧を適切に維持する役割をする物質を意味する。また、前記等張化剤は、持続型hGH結合体を溶液上で、さらに安定化させる付随的な効果も示すことができる。そのような等張化剤の代表的な例としては、水溶性無機塩を挙げることができ、好ましい例としては、塩化ナトリウムが挙げられるが、これに制限されない。本発明で使用される塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは0mM〜200mMであるが、これに限定されず、製剤に含まれた成分は、種類及び量に応じて、それぞれの混合物が含まれた溶液製剤が等張液になるように、適切な量で調節することができる。
【0095】
このようなアルブミン−非含有水溶液は1/2倍、1/4倍、またはそれ以上に希釈された形で凍結乾燥することができる。本発明の一具体例では、アルブミン−非含有水溶液を1/2倍、1/4倍に希釈して凍結乾燥する場合、溶解時間を短縮することができることを確認した(試験例1−(5))。
【0096】
このような凍結乾燥された混合物を含む本発明の凍結乾燥製剤は、溶解時間が優れた利点を有する。具体的には、凍結乾燥物質において重要な特性の一つは、溶解時間であるが、これは、溶解時間が長くなるほど、より一層濃縮された溶液にタンパク質が長くさらされながら、製品の品質が悪化するためであり、また、完全に溶解されていない製品は、個体に投与することができないため、短い溶解時間は、患者及び医師の両方に便利さを提供することができる。しかし、タンパク質の濃度が増加するほど、そのような溶解時間も増加するようになる。したがって、溶解時間を短縮させるための組成物を開発することも高濃度の凍結乾燥された製剤の製造において重要な問題になることができる。
【0097】
本発明の一具体例によると、10mg/mL以上の高濃度の持続型hGH結合体を含む本発明の凍結乾燥製剤の場合にも、最小10秒、最大3分以内に溶解される結果を示した。
【0098】
また、特にこれに制限されないが、凍結乾燥された製品において、目的とする服用量(dosage)は、標的タンパク質を所望の濃度で凍結乾燥し、これを再び予備−製剤の体積で再構成して得ることができる。また、予備−製剤を希釈して体積を増加させて凍結乾燥し、再構成時には、凍結乾燥当時の体積に比べて小さい体積の再構築溶液で希釈することもできる。ただし、予備−製剤を過度に希釈する場合には、凍結乾燥サイクルが長くなることがあり(特に、1次乾燥時間)、生産コストが増加することができる。したがって、本発明の製剤は、過度な希釈なしにも高濃度の持続型hGH結合体を凍結乾燥することができるため、前記のようなコスト的利点も有することができる。
【0099】
また、本発明の凍結乾燥製剤は、前記説明した緩衝溶液、等張化剤、糖アルコール、及び非イオン界面活性剤、または再構築溶液の保存剤の以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で当業界に公知となっているその他の成分乃至物質が選択的に、さらに含まれることができる。
【0100】
本発明の一具体例では、持続型hGH結合体、緩衝溶液、糖アルコール及び界面活性剤を含むアルブミン−非含有水溶液を予備剤形に凍結乾燥製剤を製造し、その安定性及び溶解速度を確認した。具体的には、pH 5.2またはpH 5.6の20mMのクエン酸緩衝溶液、150mMの塩化ナトリウム、5%のマンニトール及び0.005%のポリソルベート80で構成された前−凍結乾燥製剤に19.5mg/mL及び78.0mg/mLの濃度の持続型hGH結合体を凍結乾燥し、蒸留水を用いて再構築した。その結果、前記濃度で安定性を付与し、特に78.0mg/mLの高濃度で安定性がさらに高い結果を示した。また、pH 5.2及び5.6の両方で安定性を示す結果を示した(試験例1−(1))。また、pH 5.2またはpH 5.6の20mMのクエン酸緩衝溶液、150mMのNaCl、5%のマンニトール及び0.005%のポリソルベート80で構成された前−凍結乾燥製剤及びpH 5.6の20mMの酢酸緩衝溶液、4%のマンニトール及び0.005%のポリソルベート80で構成された前−凍結乾燥製剤の持続型hGH結合体を溶解させた予備製剤に凍結乾燥した製剤に保存剤としてm−クレゾール、ベンジルアルコールまたはフェノールを含む再構築溶液を使用して再構築したとき、安定性が維持される結果を示した。そのような結果から、保存剤を含む再構築溶液に凍結乾燥物質を再構築し、活性が保存された再構築された製剤を製造することができることを確認した。特に、酢酸塩水溶液を使用する場合は、保存剤を含む再構築溶液で再構築した溶液の場合にも、沈殿が発生せず、安定性に優れた結果を示した(試験例1−(2))。また、19.5mg/mL、39.0mg/mL、58.5mg/mLまたは70.0mg/mLの結合体の濃度では、結合体の濃度の増加に応じて製造された凍結乾燥製剤の溶解時間が増加することを確認した(試験例1−(3))。また、前記アルブミン−非含有水溶液に含まれる持続型hGH結合体の安定化剤において、塩を含まない場合でも、溶解時間及び安定度の両方が優れ、マンニトールの濃度を増加させるほど、溶解速度を増加させることができることを確認した。または、ヒスチジンを添加する場合、マンニトールの濃度を増加させなくても、溶解速度を短縮させることができることを示した(試験例1−(4))。また、予備製剤を希釈し、密度を低くする場合は、溶解速度がより改善されることを確認し(試験例1−(5))、凍結乾燥物質が完全に乾燥することができる最適な乾燥条件を設定した(試験例1−(6))。また、マンニトールの有無が溶解時間に影響を大きく与えることを確認し(試験例1−(7))、マンニトールの濃度が4〜4.5%であるとき、58.5mg/mLの高濃度持続型hGH結合体であっても、溶解時間が30秒以内でありながらも等張液の浸透圧を示す結果を見せた(試験例1−(8))。また、このように製造された凍結乾燥製剤が4℃及び25℃の温度の両方で6ヶ月間保管しても安定性をほぼ同一に維持する結果を示し、再構築した物質を2週間25℃で保管しても安定性を維持する結果を示した(試験例1−(9))。
【0101】
具体的には、前記製剤は、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びアルブミン−非含有安定化剤を含み、前記安定化剤は、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有する持続型ヒト成長ホルモン結合体の液状製剤であってもよい。
【0102】
前記持続型ヒト成長ホルモン結合体については、先に説明した通りであり、詳細については後述する。
【0103】
本発明において、用語、「持続型hGH結合体液状製剤」とは、持続型hGH結合体を含む液状製剤を意味する。前記液状製剤は、液状の内容製剤及び外用製剤の両方を含む概念である。本発明において、前記持続型hGH結合体液状製剤は、治療学的有効量の持続型hGH結合体を含むことができ、一般に、hGHの治療学的有効量は、1回用バイアル(single−use vial)内に約1〜3 mg程度が含有された量であるが、これに制限されない。
【0104】
また、本発明の液状製剤に含まれる持続型hGH結合体の濃度は、5.0〜60.0mg/mLであることが好ましいが、これに制限されない。
【0105】
本発明の持続型hGH結合体液状製剤は、薬理学的有効量の持続型hGH結合体、及びアルブミン−非含有安定化剤を含む。
【0106】
本発明において、用語、「安定化剤」とは、持続型hGH結合体が安定して貯蔵できるようにする物質を意味する。前記安定化剤は、緩衝溶液、糖アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含有することが望ましい。持続型hGH結合体のようなタンパク質において、保存安定性は、正確な投与量を確保するためだけでなく、持続型hGH結合体の抗原性の形態の物質の潜在的な生成を抑制するために重要である。
【0107】
本発明において、用語、「緩衝溶液」とは、本発明の安定化剤に含まれ、持続型hGH結合体が安定になるように溶液製剤のpHが急激に変化しないように溶液のpHを維持させる役割をする溶液を意味する。前記凍結乾燥製剤で前述された緩衝溶液の具体的な内容は、ここでも適用される。
【0108】
前記緩衝溶液は、クエン酸塩、酢酸塩、またはヒスチジン緩衝溶液であってもよく、好ましくは、クエン酸塩緩衝溶液であるが、これに制限されない。前記緩衝溶液を構成する塩の濃度は、具体的には5 mM〜100 mMであり、より具体的には10 mM〜50 mMであるが、これに制限されない。前記緩衝溶液のpHは、具体的には4.0〜7.0、より具体的には5.0〜6.0であり、さらに具体的には5.2〜6.0であり、最も具体的には5.2であるが、これに制限されない。
【0109】
本発明において、用語、「糖アルコール」とは、本発明の液状製剤に含まれ、持続型hGH結合体の安定性を増大させる役割をする水素化炭水化物(hydrogenated carbohydrate)を意味する。本発明に使用される糖アルコールの濃度は、好ましくは、製剤の総体積に対して1〜10%(w/v)、より好ましくは2〜4.5%(w/v)、さらに好ましくは4%(w/v)であるが、これに制限されない。本発明では、前記糖アルコールは、特にこれに制限されないが、マンニトール、及びソルビトールからなる群から選択された一つ以上を使用することができ、好ましくはマンニトールを使用することができる。
【0110】
本発明において、用語、「非イオン界面活性剤」とは、タンパク質溶液の表面張力を下げて疎水性表面にタンパク質が吸着されたり凝集することを防止する物質を意味する。本発明に使用可能な非イオン界面活性剤の例としては、先に記述した通りである。
【0111】
また、本発明の製剤は、等張化剤を含有しないものであってもよい。
【0112】
前記等張化剤については、先に説明した通りである。
【0113】
本発明の一具体例によると、緩衝溶液としてpH 5.2である酢酸塩またはクエン酸塩水溶液を含む製剤であり、等張化剤を含有しないながら、マンニトールを4%(w/v)で含有する場合、安定性に優れた結果を示した。特に、pH 5.2であるクエン酸塩水溶液を緩衝溶液として含み、等張化剤を含有しないながら、マンニトールを4%(w/v)で含有する製剤の場合、持続型hGH結合体が10.0mg/mLである濃度で最も高い安定性をもたらした。
【0114】
持続型hGH結合体の保存安定性を増大させるためにさらに含まれてもよい糖類及び多価アルコールの糖類については、先に記述した種類が適用される。また、本発明の液状製剤には、前記説明した緩衝溶液、糖アルコール、及び非イオン界面活性剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で当業界に公知となっているその他の成分から物質が選択的にさらに含まれてもよい。
【0115】
特に、本発明の液状製剤は、保存剤をさらに含むことができる。
【0116】
本発明の具体例では、等張化剤を含まない持続型hGH結合体製剤の場合、pH 5.2である緩衝溶液の条件で4%(w/v)のマンニトールを含む場合、持続型hGH結合体が最も安定な結果を示した。特に、持続型hGH結合体の濃度が10.0mg/mLであるとき、クエン酸塩緩衝溶液、酢酸塩緩衝溶液及びヒスチジン緩衝溶液を使用して比較したとき、安定性が最も優れた結果を示した(試験例2)。
【0117】
本発明の前記製剤は、下垂体性小人症、成長ホルモン欠乏症、プラダー・ウィリー症候群または特発性低身長の治療のためのものであってもよく、再構築され、前記疾患の治療のために個体内に投与することができる。
【0118】
以下では、本発明の凍結乾燥製剤または液状製剤の安定化対象である持続型ヒト成長ホルモン結合体についてより詳しく説明する。
【0119】
本発明において、用語、「ヒト成長ホルモン(hGH、human growth hormone)」とは、ヒトの成長、細胞生殖(cell reproduction)及び再生を促進することができるペプチドホルモンを意味する。前記hGH配列などの情報は、NCBIのGenBankのような公知のデータベースから得ることができ、hGHの活性を示す限り、天然型ヒト成長ホルモンの配列と70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは98%以上の相同性を有するタンパク質も、本発明の範囲に含まれる。また、生物学的活性に大きく影響を及ぼさない範囲で、アミノ酸の置換、除去、挿入による変異体も本発明の範囲に含まれる。
【0120】
また、本発明において有用なhGHは、天然型hGH、その変異体、その誘導体、またはそのような断片の配列であってもよい。
【0121】
本発明において、用語、「hGH変異体」とは、天然型hGHとアミノ酸配列が一つ以上異なるペプチドであり、hGHの活性を示すことを意味する。前記hGH変異体は、天然型hGHにおいて一部のアミノ酸が置換(substitution)、追加(addition)、削除(deletion)及び修飾(modification)のいずれか一つの方法またはそれらの方法の組み合わせにより製造してもよい。
【0122】
本発明において、用語、「hGH誘導体」とは、天然型hGHと比較するとき、少なくとも80%以上のアミノ酸配列で相同性を示し、hGHの活性を示し、アミノ酸残基の一部のグループが、化学的に置換(例えば、alpha−methylation、 alpha−hydroxylation)、削除(例えば、deamination)または修飾(例えば、N−methylation)された形態を意味する。
【0123】
本発明において、用語、「hGH断片」とは、hGHのアミノ末端またはカルボキシ末端に1つまたはそれ以上のアミノ酸が追加または削除された形態であり、hGHの活性を保有するペプチドを意味し、追加されたアミノ酸は、天然に存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)も可能であり得る。
【0124】
また、本発明に使用されるhGHは、天然または組換え起源の任意の方法で製造されたものすべて可能であり、好ましくは、大腸菌を宿主細胞として用いて製造した組換えhGHであるが、これに制限されない。
【0125】
本発明において、用語、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除いた免疫グロブリンの一部分を意味する。前記免疫グロブリンFc領域は、重鎖不変領域2(CH2)及び重鎖不変領域3(CH3)の部分であってもよく、前記重鎖不変領域にヒンジ(hinge)部分を含むことができるが、これに制限されない。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型と実質的に同等または改善された効果を有する限り、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域を除いて、一部または全体の重鎖不変領域1(CH1)及び/または軽鎖不変領域1(CL1)を含む拡張されたFc領域であってもよい。また、CH2及び/またはCH3に該当する非常に長い一部のアミノ酸配列が除去された領域であってもよい。即ち、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)1つまたは2つの以上のドメインと免疫グロブリンのヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組み合わせ、6)重鎖不変領域の各ドメインと軽鎖不変領域の二量体であってもよいが、これに制限されない。
【0126】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体(mutant)を含む。アミノ酸配列誘導体とは、天然アミノ酸配列の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的置換またはそれらの組み合わせにより異なる配列を有することを意味する。例えば、IgG Fcの場合、結合に重要であると知られた214〜238、297〜299、318〜322または327〜331番のアミノ酸残基を変形のために適当な部位として利用することができる。
【0127】
また、ジスルフィド結合を形成することができる部位が除去されるか、または天然型FcからN−末端の一部のアミノ酸が除去されるか、または天然型FcのN−末端にメチオニン残基が付加されることもできるなど、多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクター機能をなくすために補体結合部位、例えば、C1q結合部位が除去されることもでき、ADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されることもできる。そのような免疫グロブリンFc領域の配列誘導体を製造する技術は、特許文献3、特許文献4などに開示されている。
【0128】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野において公知となっている(非特許文献1)。最も一般的に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アクリレート化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)、アセチル化(acetylation)及びアミル化(amidation)などで修飾(modification)することもできる。前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同一な生物学的活性を示し、Fc領域の熱、pHなどの構造的安定性を増大させた誘導体である。
【0129】
また、そのようなFc領域は、ヒト、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、またはモルモットピックなどの動物の生体内から分離した天然型から得られることもでき、形質転換された動物細胞または微生物から得られた組換えまたはその誘導体であってもよい。ここで、天然型から獲得する方法は、全体の免疫グロブリンをヒトまたは動物の生体から分離した後、タンパク質分解酵素を処理して獲得する方法であってもよい。パパインを処理する場合には、FabとFcで切断され、ペプシンを処理する場合には、pF′c及びF(ab)2に切断される。これをサイズ排除クロマトグラフィー(size−exclusion chromatography)などを用いてFcまたはpF′cを分離することができる。好ましくは、ヒト由来のFc領域を微生物から収得した組換え免疫グロブリンFc領域である。
【0130】
また、免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖または糖鎖が除去された形態であってもよい。そのような免疫グロブリンFc糖鎖の増減または除去には、化学的方法、酵素学的方法及び微生物を利用した遺伝子工学的方法のような通常の方法を用いることができる。ここで、Fcから糖鎖が除去された免疫グロブリンFc領域は、補体(c1q)との結合力が著しく低下し、抗体−依存性細胞毒性または補体−依存性細胞毒性が減少または除去されるため、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。このような点で、薬物のキャリアとしての本来の目的により合致する形は、糖鎖が除去されたり非糖鎖化された免疫グロブリンFc領域であると言える。
【0131】
また、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来またはそのような組み合わせ(combination)またはそのような混成(hybrid)によるFc領域であってもよい。好ましくは、ヒト血液中の最も豊富なIgGまたはIgM由来であり、最も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることと公知となったIgG由来である。免疫グロブリンFcは、天然のIgGを、特定のタンパク質分解酵素で処理して製造してもよく、組換え技術を用いて形質転換された細胞からも製造してもよい。好ましくは、E.coliで製造した組換えヒト免疫グロブリンFcである。
【0132】
一方、本発明において「組み合わせ(combination)」とは、二量体または多量体を形成する際に、同一な起源短鎖免疫グロブリンFc領域を暗号化するポリペプチドが異なる起源の短鎖ポリペプチドと結合を形成することを意味する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなるグループから選択された2つ以上の断片から二量体または多量体の製造が可能である。
【0133】
本発明において、「ハイブリッド(hybrid)」とは、短鎖の免疫グロブリンFc領域内に2つ以上の異なる起源の免疫グロブリンFc断片に該当する配列が存在することを意味する用語である。本発明の場合、様々な形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3、及びCH4からなるグループから1つ〜4つのドメインからなるドメインのハイブリッドが可能であり、ヒンジを含むことができる。
【0134】
一方、IgGもIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明では、そのような組み合わせ、またはそのような混成化も可能である。好ましくは、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も好ましくは補体依存毒性(CDC、Complement dependent cytotoxicity)などのエフェクター機能(effector function)がほとんどないIgG4のFc領域である。即ち、最も望ましい本発明の薬物のキャリア用免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来の非−糖鎖化されたFc領域である。ヒト由来のFc領域は、ヒト生体で抗原として作用し、これに対する新たな抗体を生成するなどの望ましくない免疫反応を引き起こす可能性がある非−ヒト由来のFc領域に比べて好ましい。
【0135】
本発明の持続型hGH結合体は、天然または組換え起源の任意の方法で製造されたhGHと、天然IgGを、特定のタンパク質分解酵素で処理したり、遺伝子組換え技術を用い、形質転換細胞から製造した免疫グロブリンFc領域を互いに結合させることにより製造してもよい。
【0136】
この時に使用される結合方法として、hGHと免疫グロブリンFc領域を非ペプチド性重合体を用いて架橋結合させたり、遺伝子組換え技術を用いてhGHと免疫グロブリンFc領域が連結された形態の融合タンパク質として製造してもよい。すなわち、前記結合体は、ヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFcが非ペプチド性リンカーを介して連結された形態で製造するか、またはhGH及び免疫グロブリンFcの融合タンパク質の形態で製造してもよい。前記融合タンパク質は、hGH及び免疫グロブリンFcがペプチド性リンカーを介して連結された形態を含むが、これに制限されない。
【0137】
本発明において、用語、「非ペプチド性重合体」とは、繰り返し単位が2つ以上結合された生体適合性重合体を意味し、前記繰り返し単位は、ペプチド結合ではなく、任意の共有結合を介して相互に連結される。本発明では、前記非ペプチド性重合体は、非ペプチド性リンカーと混合して使用することができる。
【0138】
架橋結合の際に使用される非ペプチド性重合体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)及びPLGA(ポリ乳酸−グリコール酸、polylactic−glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせで構成された群から選択することができ、好ましくは、ポリエチレングリコールであるが、これに制限されない。当該分野において既に知られているそのような誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造することができる誘導体も本発明の範囲に含まれる。
【0139】
本発明で使用される持続型hGH結合体の製造のために特許文献2などが参考文献として本発明に該当する。当業者は、前記の文献により本発明に使用される持続型hGH結合体を製造することができるが、これに制限されない。
【0140】
本発明は、もう一つの様態として、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された持続型ヒト成長ホルモン結合体、酢酸緩衝溶液、ポリソルベート80、及びマンニトールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥した混合物を含む、持続型ヒト成長ホルモン結合体の凍結乾燥製剤を提供する。
【0141】
前記ヒト成長ホルモン、免疫グロブリンFc領域、持続型ヒト成長ホルモン結合体、アルブミン−非含有水溶液、凍結乾燥及び凍結乾燥製剤については、先に説明した通りである。
【0142】
本発明は、もう一つの様態として、生理活性ペプチドであるヒト成長ホルモンと免疫グロブリンFc領域が結合された薬理学的有効量の持続型ヒト成長ホルモン結合体、及びクエン酸塩緩衝溶液、ポリソルベート80、及びマンニトールを含むアルブミン−非含有安定化剤を含有し、前記安定化剤は、等張化剤を含まないことを特徴とする、持続型ヒト成長ホルモン結合体液状製剤を提供する。
【0143】
前記ヒト成長ホルモン、免疫グロブリンFc領域、持続型ヒト成長ホルモン結合体、アルブミン−非含有安定化剤、及び液状製剤については、先に説明した通りである。
【0144】
本発明は、もう一つの様態として、持続型hGH結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤及び糖アルコールを含有するアルブミン−非含有水溶液を凍結乾燥する段階を含む、前記凍結乾燥製剤の製造方法を提供する。
【0145】
前記持続型hGH結合体、緩衝溶液、非イオン性界面活性剤、糖アルコール、アルブミン−非含有水溶液、凍結乾燥及び凍結乾燥製剤については、先に説明した通りである。
【0146】
本発明は、もう一つの態様として、前記凍結乾燥製剤の再構築溶液を添加する段階を含む、前記凍結乾燥製剤を再構築する方法を提供する。
【0147】
前記凍結乾燥製剤及び再構築については、先に説明した通りである。
【0148】
本発明において、用語、「再構築溶液」とは、固体状態の凍結乾燥物質に添加して再構築する溶液を意味する。そのような再構築溶液は注射用水(water for injection)であってもよく、その例としては、滅菌された蒸留水があるが、特にこれに制限されるものではない。
【0149】
また、前記の再構築溶液は、さらに保存剤を含むことができる。
【0150】
本発明において、用語、「保存剤」とは、製剤においてバクテリア、カビの作用を実質的に減少させる物質であり、特に多回投与用製剤の製造を容易にするために製剤に含まれる化合物である。潜在的な保存剤の実例として、オクタデシルジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド(octadecyldimethyl−benzyl ammonium chloride)、ヘキサメトニウムクロリド(hexamethonium chloride)、ベンザルコニウムクロリド(benzalkonium chloride)(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)、ベンゼトニウムクロリド(benzethonium chloride)などがあり、これと異なるタイプの保存剤は、芳香族アルコール、例えば、フェノール、ブチル、ベンジルアルコール; アルキルパラベン、例えば、メチルやプロピルパラベン; カテコール(catechol)、レゾルシノール(resorcinol)、シクロヘキサノール(cyclohexanol)、3−ペンタノール(3−pentanol)、m−クレゾール(m−cresol)などがあるが、これに制限されない。本発明での保存剤は、その中でも、ベンジルアルコール、m−クレゾールまたはフェノールがより好ましく、さらに好ましくは、ベンジルアルコールであるが、これに制限されない。保存剤の好ましい濃度は、0.001〜0.9%(w/v)であり、より好ましくは0.1〜0.9%(w/v)であるが、これに制限されるものではない。
【0151】
前記のような過程で再構築された本発明の製剤は、持続型hGH結合体を10〜100mg/mLの濃度で含むことができるが、これに制限されない。
【0152】
本発明のもう一つの態様として、前記凍結乾燥製剤及び再構築溶液を含む、キットを提供する。
【0153】
前記凍結乾燥製剤及び関連内容については、前述した通りである。
【0154】
前記キットは、凍結乾燥製剤及び再構築溶液を含み、再構築に適した一種類またはそれ以上の他の構成成分を有する組成物、溶液または装置をさらに含めて構成することができる。
【0155】
以下、本発明を下記例により、より詳しく説明する。ただし、下記例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらのみに制限されるものではない。
【実施例】
【0156】
製造例:持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体の製造
両末端にアルデヒド反応器を有する分子量約3.4 kDaのポリエチレングリコールであるALD−PEG−ALDをヒト成長ホルモン(hGH、分子量22 kDa)と結合させ、これをヒトIgG4由来の非−糖鎖化されたFc領域(約50 kDa)N末端に結合させ、本発明の代表的な持続型ヒト成長ホルモン結合体であるhGH−PEG−Fc結合体(以下、「持続型hGH結合体」と命名)を製造し、精製した。
【0157】
試験例1:持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の評価
(1)濃度及び緩衝溶液による持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の安定性の評価
持続型hGH結合体を下記表1のような濃度で含む凍結乾燥製剤を製造した後、再構築(reconstitution)して物質の安定性を確認した。緩衝溶液とpHの変更に伴う持続型hGH結合体の安定化を評価するために、緩衝溶液とpHを変更した製剤の安定性も確認した。
【0158】
下記表1のように凍結乾燥物質の安定化剤として、緩衝溶液と塩化ナトリウム(NaCl)、マンニトール(mannitol)、及びポリソルベート80(polysorbate 80)からなる製剤を前−凍結乾燥製剤(pre−lyophilized formulation)として使用し、その濃度の持続型hGH結合体を凍結乾燥し、蒸留水を用いて再構築した。凍結乾燥は、1次、2次乾燥に分けて進行し、凍結乾燥の温度勾配は、図1のように凍結−1次乾燥(4℃)−2次乾燥(20℃)に設定した。再構築は、凍結乾燥前の製剤の体積と同一な量の蒸留水で凍結乾燥物質を溶解した。再構築した液状形態の製剤を40℃で4週間保管した後、イオン交換クロマトグラフィー法(Ion exchange chromatography、IE−HPLC)を用いて安定性の評価を行い、その結果を表2に示した。表2のIE−HPLC(%)は、分析の時点における持続型hGH結合体の純度を示す。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
前記表2の結果から分かるように、持続型hGH結合体液状製剤を40℃で4週間保管したとき、濃度に応じた安定性の差がなく維持されることが示され、高濃度の持続型ヒト成長ホルモンにも安定性を付与することができることを示した。また、表2の結果から、実施例2及び実施例3を比較したとき、緩衝溶液とpHを変更した製剤も安定性が維持されることを確認した。
【0162】
(2)保存剤の種類に応じた持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体の凍結乾燥製剤の安定性及び溶解度の評価
前記試験例1−(1)の製剤である実施例2(20mMのクエン酸ナトリウム、pH 5.2、150 mMの塩化ナトリウム、5%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80)、実施例3(20mMの酢酸ナトリウム、pH 5.6、150mMの塩化ナトリウム、5%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80)、及び実施例3を基本とした等張性製剤(20mMの酢酸ナトリウム、pH 5.6、4%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80)を基にして、持続型hGH結合体を下記表3に示すように、68.25 mg/mL及び58.5 mg/mLの濃度で混合した後、凍結乾燥し、その後に表3の保存剤を含む再構築溶液を使用して溶解時間の測定及び安定性を確認した。製品性状は目視で確認して比較した。凍結乾燥及び再構築方法は、前記試験例1−(1)のように行った。再構築した液状形態の製剤を25℃で4週間保管した後、イオン交換クロマトグラフィー法(Ion exchange chromatography、IE−HPLC)及び目視で性状確認を用いて安定性の評価を行い、その結果を表4に示した。表4のIE−HPLC(%)は、分析の時点における持続型hGH結合体の純度を示す。
【0163】
【表3】
【0164】
【表4】
【0165】
前記表4の結果から分かるように、実施例4及び5より、実施例6及び7において持続型hGH結合体の安定性が維持される結果を確認することができた。しかし、実施例6〜9の結果から分かるように、保存剤の種類に応じた持続型hGH結合体の安定性の差はない結果が示された。ただし、m−クレゾールを含む再構築溶液を使用する場合は、溶解時、液状が白濁する現象が示された。
【0166】
(3)結合体の濃度に応じた持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の溶解度の評価
持続型hGH結合体を下記濃度別に含む凍結乾燥製剤を製造した後、凍結乾燥物質の製品性状及び再構築溶解度を確認した。前記試験例1−(1)の製剤である実施例1の組成(20mMのクエン酸ナトリウム、pH 5.2、150 mMの塩化ナトリウム、5%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80)を基にして、持続型hGH結合体を下記表5のような濃度で混合した後、凍結乾燥し、その後、蒸留水を用いて再構築溶解時間を測定した。凍結乾燥及び再構築方法は、前記試験例1−(1)のように行った。製品性状は目視で確認して比較した。溶解は、自動シェーカーを使用し、振幅60度、30 rpmに設定して再構築した。下記の表6は、溶解が完了するまでにかかる時間を示す。
【0167】
【表5】
【0168】
【表6】
【0169】
凍結乾燥物質の製品性状は濃度に関係なく安定して形成されたが、濃度が高いほど、より堅いケーキを確認することができた。前記表6の結果から分かるように、濃度が高いほど溶解時間が増える結果を示した。
【0170】
(4)安定化剤の種類に応じた持続型ヒト成長ホルモン(hGH)結合体の凍結乾燥製剤の安定性及び溶解度の評価
安定化剤の種類に応じた持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤を製造して溶解時間、溶解性状及び持続型hGH結合体の安定性を確認した。凍結乾燥前の予備製剤は、下記表7のような組成で準備し、前記製剤で78.0 mg/mLの持続型hGH結合体を凍結乾燥した後、蒸留水を用いて再構築し、この時の再構築に伴う溶解時間を評価した。凍結乾燥及び再構築方法は、前記試験例1−(1)のように行った。製品性状は目視で確認して比較した。溶解は、自動シェーカーを使用し、振幅60度、30 rpmに設定して再構築し、溶解時間を確認した結果を表8に示した。
【0171】
また、再構築した液状形態の製剤を40℃で4週間保管した後、イオン交換クロマトグラフィー法(Ion exchange chromatography、IE−HPLC)を用いて安定性の評価を行った。表9のIE−HPLC(%)は、分析の時点における初期結果値に対応した持続型hGH結合体の残存率を示す。
【0172】
【表7】
【0173】
【表8】
【0174】
【表9】
【0175】
前記表8の結果から分かるように、マンニトールの濃度が高いとき、溶解速度が高いことが確認できた。そして、5 mMのヒスチジン(Histidine)を添加したとき、溶解速度が改善されることが確認することができた。また、実施例15及び17番の製剤の場合、実施例19番の製剤に比べて、再構築時の泡が多く生成されることを確認した。前記表9の結果から分かるように、溶解後の安定性は、各製剤で類似して示された。ただし、塩化ナトリウムを安定化剤として含む場合は、持続型hGH結合体の安定性が少し高く示される結果が見られた。
【0176】
(5)凍結乾燥物質の密度と持続型hGH結合体の濃度に応じた凍結乾燥製剤の溶解度の評価
前記試験例1−(4)で確認された製剤である実施例19の組成(20 mMのクエン酸ナトリウム、pH 5.2、5%(w/v)のマンニトール、5 mMのヒスチジン、0.005%(w/v)のポリソルベート80)に基づいて、持続型hGH結合体の濃度に応じた凍結乾燥物質の溶解度を確認した。下記表10のような組成で予備製剤を製造して凍結乾燥した。凍結乾燥時、予備製剤を蒸留水を用い、それぞれ1倍、1/2倍、1/4倍に希釈して凍結乾燥物質を製造した。乾燥は、1次、2次乾燥に分けて進行し、凍結乾燥の温度勾配は、図1のように設定した。再構築は、希釈する前の体積の量に対応する蒸留水で溶解した。溶解は、自動シェーカーを使用し、振幅60度、30 rpmに設定して再構築した。表11は、溶解が完了するまでにかかる時間を示す。
【0177】
【表10】
【0178】
【表11】
【0179】
前記表11に見られるように、希釈して凍結乾燥物質の密度を少なくした場合、溶解速度が改善されることを確認した。また、前記製剤の組成(20 mMのクエン酸ナトリウム、5%のマンニトール、5 mMのヒスチジン、0.005%のポリソルベート80)で持続型hGH結合体の濃度を39.0 mg/mLから、48.8mg/mL及び58.5 mg/mLに増加させても、溶解速度は、類似して増加した。
【0180】
(6)凍結乾燥過程の温度勾配設定
前記試験例1−(1)の温度勾配設定(図1)で1次乾燥時間を10時間から20時間に増加させ、1次乾燥温度を4℃の一区間を−20℃、−5℃二区間に分けて設定した(図2)。既存の温度勾配の方法では、凍結乾燥物質に水分が3〜5%残っており、凍結乾燥物質が崩壊する現象を示した。温度勾配を、図2のように変更したとき、体積が大きくなっても(〜5mL)、乾燥が完全にされている凍結乾燥物質を確認することができた。
【0181】
(7)浸透圧を考慮した持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の溶解度の評価
前記試験例1−(1)及び(2)で確認された製剤の組成(20 mMの酢酸ナトリウム、pH 5.6、5%(w/v)のマンニトール、150mMの塩化ナトリウム、0.005%(w/v)のポリソルベート80 )に基づいて浸透圧を考慮した安定化剤の濃度を設定し、それに伴う凍結乾燥物質の溶解度を確認した。下記表12のような組成で予備製剤を製造して凍結乾燥した。
【0182】
凍結乾燥時、予備製剤を蒸留水を用いて1/2倍に希釈して凍結乾燥物質を製造した。乾燥は、1次、2次乾燥に分けて進行し、凍結乾燥の温度勾配は、図2のように設定した。再構築は、希釈する前の体積に相当する量を有し、0.9%のベンジルアルコールを含む蒸留水を用いて溶解した。
【0183】
溶解は、自動シェーカーを使用し、振幅60度、30 rpmに設定して再構築した。表13は、溶解が完了するまでにかかる時間及び凍結乾燥物質を再構築した後、サンプルの浸透圧を測定した結果を示す。
【0184】
【表12】
【0185】
【表13】
【0186】
前記表13で見られるように、マンニトールを削除する場合は、溶解時間が大幅に増えることを確認することができた。浸透圧は、5%(w/v)のマンニトールの場合、等張液の範囲である280〜320 mOsm/Kgよりも高く示されることが分かった。
【0187】
(8)マンニトールの濃度に応じた持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の溶解度及び浸透圧を確認
前記試験例1−(7)で確認された製剤(20 mMの酢酸ナトリウム、pH 5.6、5%(w/v)のマンニトール、0.005%(w/v)のポリソルベート80)に基づいてマンニトールの濃度に応じた凍結乾燥物質の溶解度及び浸透圧を確認した。
【0188】
下記表14と同様な組成で予備製剤を製造して凍結乾燥した。この時、凍結乾燥及び再構築の方法及び条件は、前記試験例1−(7)と同様であった。表15は、溶解が完了するまでにかかる時間及び凍結乾燥物質を再構築した後、サンプルの浸透圧を測定した結果を示す。
【0189】
【表14】
【0190】
【表15】
【0191】
前記表15で見られるように、マンニトールの濃度が4〜4.5%であるとき、等張液範囲の浸透圧を有することが分かった。マンニトールの濃度が低いほど溶解時間が長くなることを確認することができるが、塩化ナトリウムを含む場合よりは少なく示された。
【0192】
(9)持続型hGH結合体の凍結乾燥製剤の4℃、25℃保管安定性を確認
前記試験例1−(8)で確認された製剤(20 mMの酢酸ナトリウム、pH 5.6、4%(w/v)のマンニトール、0.005%(w/v)のポリソルベート80)に基づいて凍結乾燥物質の4 ℃、25℃保管安定性を確認した。安定性は、凍結乾燥状態で4℃、25℃で6ヶ月間保管した後、再構築し、イオン交換クロマトグラフィー法(Ion exchange chromatography、IE−HPLC)を用いて評価した。初期の再構築溶液は、液状の状態で、25℃で4週間保管した後、再構築し、イオン交換クロマトグラフィー法(Ion exchange chromatography、IE−HPLC)を用いて評価した。表16のIE−HPLC(%)は、分析の時点における凍結乾燥物質の持続型hGH結合体の純度を示す。表17のIE−HPLC(%)は、再構築液状形態の物質の持続型hGH結合体の純度を示す。
【0193】
【表16】
【0194】
【表17】
【0195】
前記表16で見られるように、凍結乾燥物質の場合、4℃、25℃保管する場合には、6ヶ月になっても安定性を維持する結果を示した。また、再構築した物質の場合、2週間25℃で保管しても安定性を維持することが分かった。
【0196】
試験例2:持続型hGH結合体液状製剤の開発及び評価
(1)pHと緩衝溶液の種類及び等張化剤と糖アルコールの濃度に応じた持続型hGH結合体液状製剤の安定性の評価
本発明において安定化剤として緩衝溶液の種類及び等張化剤と糖アルコールの濃度が持続型hGH結合体の安定性に及ぼす影響を実験した。下記表18のような組成で、25℃で0〜4週間保管した後、イオン交換クロマトグラフィー法、サイズ排除クロマトグラフィー法を用いて分析した。表19及び20では、IE−HPLC(%)とSE−HPLC(%)は、(Area%/ Start Area%)であり、初期結果値に対応した持続型hGH結合体の残存率を示す。表19は、保管した後、持続型hGH結合体のIE−HPLC残存率、表20は、保管した後、持続型hGH結合体のSE−HPLC残存率をそれぞれ示す。
【0197】
【表18】
【0198】
【表19】
【0199】
【表20】
【0200】
前記の結果から分かるように、IE−HPLCの結果、20mMの酢酸ナトリウム(pH5.2)の条件のときに持続型hGH結合体が安定した。SE−HPLCの結果、20mMの酢酸ナトリウム(pH 5.2)、4%(w/v)のマンニトール条件のときに持続型hGH結合体が最も安定した。
【0201】
(2)緩衝溶液の種類に応じた持続型hGH結合体液状製剤の安定性の評価
本発明において安定化剤として緩衝溶液の種類が持続型hGH結合体の安定性に及ぼす影響を実験した。試験例2(1)を通じて、選択したpH5.2、4%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80を基準にして、下記表21のような組成で、25℃で0〜4週間保管した後、IE−HPLCとSE−HPLCを用いて分析した。表22及び23でIE−HPLC(%)とSE−HPLC(%)は、(Area%/ Start Area%)であり、初期結果値に対応した持続型hGH結合体の残存率を示す。表22は、保管した後、持続型hGH結合体のIE−HPLC残存率、表23は、保管した後、持続型hGH結合体のSE−HPLC残存率をそれぞれ示す。
【0202】
【表21】
【0203】
【表22】
【0204】
【表23】
【0205】
前記結果から分かるように、IE−HPLCの結果、持続型hGH結合体の濃度が10.0mg/mLである場合、クエン酸ナトリウムの条件のときに最も安定した。SE−HPLCの結果、持続型hGH結合体の濃度が10.0mg/mLである場合、ヒスチジン、クエン酸ナトリウムの条件の順で安定した。
【0206】
また、IE−HPLCの結果、持続型hGH結合体の濃度が58.5mg/mLである場合、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムの条件の順で安定した。SE−HPLCの結果、持続型hGH結合体の濃度が58.5mg/mLである場合、ヒスチジン、クエン酸ナトリウムの条件の順で安定した。
【0207】
持続型hGH結合体の濃度が10mg/mL〜58.5mg/mLである場合、20mMのクエン酸ナトリウム(pH 5.2)、4%のマンニトール、0.005%のポリソルベート80の条件のときに安定性に優れた結果を示した。
【0208】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形で実施されることを理解することができる。これに関連し、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、制限的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は、前述した詳細な説明より、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そして、その等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に包摂されるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3a
図3b