【実施例】
【0061】
例1:色非補正0.26NAシステム「非補正0.40/0.26NA」
図6は、窓又はカバースリップ68と、組織検体69と、導光管からの0.095NA入力の場合の光線とを有して示される、光学系10等のスキャナでの使用に適するレンズ群60の概略図である。
この設計は、焦点が検体69内の50μm又は99μm深さである(表1の「公称撮像深度」参照)と仮定する。
レンズ群60は、0.26NA非補正システムを構成し、フルオロフォアとしてFITCを用いるFITC(フルオレセインイソチオシアネート)一光子蛍光共焦点撮像に適応し、したがって、駆動波長は488nmであり、蛍光は、蛍光ピーク波長532nmの概ね520nmから550nmまで広がる帯で戻る。
光学性能は、
図1に示されるタイプのバルク光学系よりもわずかに良好であるように設計される。
レンズ群60は、Schott(商標)N−SF66の基板62と、Ohara(商標)L−LAM60の非球面レンズ64とを有し、基板62と非球面レンズ64は平坦界面66において交わる。基板62は、平坦界面66に部分的な色補正性を持たせ、非球面レンズ64は(後述するように)、用途での最小正味分散ガラスに近い。
【0062】
例2:色非補正0.30NAシステム「非補正0.47/0.30NA」
図7は、窓又はカバースリップ78と、組織検体79とを有して示されるレンズ群70の概略図である。
この例も、光学系10等のスキャナでの使用に適し、FITC一光子蛍光共焦点撮像に適応するが、
図1のバルク光学系よりもはるかに良好な光学性能を有する。長さがより短く、倍率がより高いことにより、製造不完全性(後述)の影響をわずかにより受けやすい。
レンズ群70は、OharaのS−NPH2の基板72と、SchottのL−LAM60の非球面レンズ74とを備え、OharaのS−NPH2の基板72は、より高い開口数でわずかに良好な部分色補正をもたらす。
【0063】
この開口数は、この種の非補正システムを用いて得る努力をする価値がある概ね最高の開口数である。
その理由は、駆動波長及び蛍光波長での軸方向応答(すなわち、一定軸方向位置の所与の平面での、その平面の軸方向位置の関数としての収束光の最大強度)が、大まかなサイズの示される2つの非補正システムのレンズ群の場合、約5μmのみ互いから軸方向にシフトしたピークを有するためである。
このシフトは、設計(請求項0に記載の実施形態に限定される場合)及び開口数から概ね独立している。この設計は原理上、補正を必要としない。
長く薄い要素を破損することなく一体的に機械加工することが非常に困難であるため、レンズ群70は生産のみを理由として2ピース(すなわち、基板72及び非球面レンズ74)である。したがって、レンズ群70は、この例では、2ピースで製造された上で、ともに接着される。
しかし、製造の便宜を図るために、2ピースのガラスを使用すべきであることを考えると、2つのタイプの同様のガラスを利用して、平坦界面76から小量の補正を得ることが可能になる。しかし、このデバイスと、1つのガラスで作られるデバイス(1つのガラスの二ピースであろうと)との性能差は非常に小さい。したがって、この例は「非補正」として説明され、小さな補正は重要ではなく、後述するいわゆる「補正」設計(例えば、例3参照)の補正と比較して小さい。
【0064】
低開口数では、軸方向応答の広い軸方向拡散は、シフト、ひいては駆動ストレール比と蛍光ストレール比との最大積が、最大ストレール比の積とそれほど変わらないにもかかわらず、駆動応答及び周波数応答が略全体的に重なることを意味する。
しかし、開口数が上がるにつれて、2つの軸方向応答でのシフト及びピークの程度もより明確に解像されることになり、各波長の最大ストレール比が非常に高いにも関わらず、最大ストレール積は1よりもはるかに低い。
要するに、開口数の増大に伴って軸方向色シフトの程度が大きくなり、したがって、開口数増大の恩恵を受けるためには、色補正が必要になる。
【0065】
例3:完全色補正0.33NAシステム「ユニバーサル0.50/0.33NA」
図8は、窓又はカバースリップ88と、組織検体89とを有して示されるレンズ群80の概略図である。この例も、光学系10等のスキャナでの使用に適し、OharaのS−NPH2の基板82と、非球面レンズ84 OharaのL−LAM60とを備え、これらは球面界面86において交わる。レンズ群80は、一方では球面界面86からの屈折力と、非球面レンズ84のOhara L−LAM60ガラスとレンズ群80の遠位先端部での自由空間との間の非球面界面87からの屈折力の逆の波長変動により、450nm〜850nmの波長での光をマイクロメートル以内で基本的に同じ焦点に送るように構成される。
【0066】
その結果、レンズ群80は、様々なマルチチャネル一光子又は二光子蛍光/反射共焦点顕微鏡法又は内視鏡システムに使用することができる。
450nm〜850nmの帯内の任意の多くの駆動波長が使用可能であり、これらは共通焦点に運ばれる。共通焦点はまた、帯内の任意の蛍光/反射でレンズ群80を通して光ファイバ(
図2〜
図3の光ファイバ12参照)に再び結合する確率が最大の点である。
セクション0での幾らかより詳細な分析が、これらの文章を裏付けし、請求項0のスキャン完全色補正レンズ群がいかに広く適用可能かを示す。
書いている時点(2012年)で利用可能な共焦点又は二光子システムは、特にこれらのシステムで予見される非常に広い全体視野(最高で1mm×1mm)にわたり、これら全ての機能を有するものはない。
【0067】
より一般的には、大半の用途で非球面レンズ14に好ましい材料は、アッベ(Abbe)チャートの中央に見出される。
低屈折率低分散材料、いわゆる「クラウンガラス」(例えば、N−FK51A)は、所与の屈折率に対して非常に重度の非球面を必要とし、それにより、材料は分散性がないが、表面それ自体が分散性を有するようになる。
アッベチャートの反対側では、高屈折率高分散材料、いわゆる「フリントガラス」(例えば、N−SF66)は、高い分散性を有するが、同じ屈折率を得るために、比較的軽度の非球面のみを必要とする。
L−LAM60等のアッベチャートの中央は、最良の歩み寄りであり、非球面は軽度であり、材料自体は、N−SF66又はS−NPH2のような高屈折率材料よりも分散性が低い。
【0068】
この原理の例外は、非常に低い分散性(概ねN−BK7の分散性)及び屈折率2.4を有するダイアモンドである。これは、適する機械加工方法が良質の非球面の製造に使用される場合、非補正システムに最適な材料であり得る。
機械加工方法、例えば、化学蒸着(CVD)成長ダイアモンド非球面レンズの電子ビーム旋盤加工がより実行可能になる場合、ダイアモンドは、将来、本発明の実施形態で使用される主要材料であることが予見される。
【0069】
幾つかの実施形態では、スキャナに、3つ以上の光学要素を含むレンズ群が提供される(開口数が非常に高いデバイスで使用される等)。
しかし、
図2〜
図3のレンズ群14の2要素構成では、最高で約0.6の開口数まで、光ファイバ12の出力での励起光を楕円体窓26外部の高分解能(狭い点像分布関数)点に高い波面収差補正で収束させるとともに、同じ点(及び蛍光波長点像分布関数によって画定される近傍)からの蛍光及び/又は反射光を蛍光波長での光ファイバ12の出力に再び、これもまた高い波面収差補正で伝達することが可能である。
この構成は、以下の特別なジオメトリ特性及び製造特性も有する:
i)潜在的な一製造不完全性は、レンズ群14の2つの要素の位置合わせずれであり、これは、非球面要素18に相対する基板30間の界面が球面であり、したがって、補償オフセットにより基板30への光ファイバ12の取り付け点を横方向にシフトすることによる能動的位置合わせで略全体的に相殺することができることにより、非球面要素18に相対する基板30の純粋な回転(例えば、角度δθによる)に低減され、
ii)別の潜在的な製造不完全性は、球面(基板30と非球面要素18との界面を構成する)の偏心であるが、この影響も、基板30に対する光ファイバ12の取り付け点の補償横方向オフセットによって相殺することができ、
iii)長く薄いレンズは、高い砕けリスクなしでは、CNC(コンピュータ数値制御)レンズ構築ロボットにより容易に操作し機械加工されず、したがって、1要素設計であっても、同じ材料の間に平坦界面を有する2部分から最良に作られる。界面の両側に異なる材料を利用して、部分的色補正を提供することにより、製造制約を利用し得る。
【0070】
これらの特性のうちのこれらの第1は、
図9を参照することによって更に説明される。
図9は、レンズ群90(
図2〜
図3のレンズ群14と同等)の概略図であるが、基板30と非球面レンズ18とが位置合わせずれを有する。位置合わせずれの影響は、オフセットδxのみファイバ取り付け点を横方向にシフトさせることによる能動的位置合わせ中に略全体的に相殺することができる。
図9に示されるように、光ファイバ12が補償位置にある状態では、光ファイバ12から出た光円錐は、完全に位置合わせされたシステムと略同じ媒質を通って非球面レンズ18に伝搬する。
図9のシステムと完全に位置合わせされたダブレットとの唯一の光学差は、補償後に残る基板30の有効厚の小さな変化δzであり、
図3の記号では、この軸方向変位は、
【数4】
である。
【0071】
t
s+r
i=10mm及び1°の位置合わせずれを有する長いデバイスの場合、上記誤差は約3μmである。したがって、誤差は、能動的位置合わせにより、この実施形態による設計が大方影響を受けない小さな要素厚誤差に変わる。
そのようなデバイスの任意の性能を酷く損なうには、厚さ誤差が20μmのオーダでなければならないと推定される。界面が平面界面(半径=∞)である場合、レンズ群の要素間の任意の横方向位置合わせずれは、光ファイバの補正横方向オフセットによって補償することができる。
【0072】
別の製造不完全性は、球面の偏心である。
偏心は、球面の中心と遠位非球面の光軸(すなわち、回転対称軸)との横方向オフセットとして説明し得る。この偏心は、ファイバの先端位置の光軸からの横方向オフセットと同じ種類の収差、すなわち、三次コマを生じさせる。したがって、光ファイバ先端部の意図的な横方向オフセットを使用して、球面の偏心から生じる三次収差を相殺することができる。
この相殺又は「補償」方式は光学性能を回復させることが分かっている。すなわち、上述した不完全性を有するが、光ファイバ先端位置の能動的な位置合わせによって補償されたシステムは、そのような不完全性がない理想的なシステムと略同じ光学性能(数百分の1デシベル以内で)を有する。
【0073】
したがって、
図2の(a)及び(b)等の本発明による2レンズ要素を有する実施形態の2要素構成での能動的な位置合わせにより、主な製造不完全性の影響が相殺可能なことを見て取ることができる。
【0074】
不完全性の他の潜在的な原因はレンズ要素厚誤差であり、本発明の実施形態によるレンズ要素厚誤差の影響の受けやすさははるかに低い。
【0075】
製造不完全性への耐性
450nm〜850nmの幅広化可視光スペクトル内の励起/蛍光波長と併用するように構成される、球面界面を間に有するレンズ群内の2つの異なるガラスと、非球面遠位とを有する本発明の実施形態を通る磁場伝搬をシミュレートして、生じ得る性能と、製造不完全性の予見可能な原因への耐性とを特定した。
図10は、ピーク光子数とファイバオフセット(μm)との関係として表される、基板30の近位面上の設計公称中心位置からのファイバオフセット(光軸に直交)の関数としての、光学系10(及びその変形)を備える一光子共焦点顕微鏡によって収集される蛍光のプロットである。
顕微鏡は、システムの焦点に配置された1000個のナトリウムフルオレセインフルオロフォアを含むサブ分解可能物体を撮像する場合、表1に付与される特徴を有し、システムは、100μW、488nm光源によって駆動され、ピクセル滞留時間300nsを有する。
【0076】
全ての計算は、球面波電磁場シミュレーション方法を用いて行われた。(「ユニバーサル080 057」と記されたシステムについて以下に説明する)。
【0077】
図11及び
図12は、側方分解能及び軸方向分解能のそれぞれの対応するプロットである。
【0078】
図10等の性能低下のこれらの曲線は、本発明による能動的位置合わせ方法を使用して、ファイバ及び球面界面の両方の位置合わせずれの影響を一緒に研究することにより、そのような製造不完全性を補償するのに十分に正確にファイバを位置決めすることができることを示す。
【0079】
図13は、μm単位での球面界面の偏心の関数として色補正システムによって収集された光子数によって測定された性能低下のプロットである。概ね4/40’のISO10110−6仕様に等しい5μmまでの偏心の場合(界面半径は約0.4mmであり、したがって、5μm偏心は、5μm/0.4mm=0.0125rad=40分の表面傾斜に等しい)、性能低下が軽いことが見られる。
図14は、10μmの球面界面偏心によって損なわれる「不完全」システムのファイバ横方向位置の関数としての光子数と一緒の
図10の光子数曲線(その図の左に向けて)を再現する。例えば、システムが10μmの球面界面の偏心(ISO10110−6 4/1°20’)を受ける場合、ファイバを概ね7.5μm±2.0μmずらすことにより、完全に近い性能が回復されることが
図14から見られる。
【0080】
この実施形態による色補正の有効性の指示として、システム「ユニバーサル050 033」の「完全」版によって達成される色補正は、
図15に示され、
図16によってまとめられる。
図16は、システムの理想的なバージョンと、適切なファイバ位置シフトによって補正された後の5μm及び10μmの球面界面横方向オフセットを有するバージョンとの焦点のシフトを示す。
【0081】
システムが、球面界面(基板と非球面レンズとの)の不完全な位置決めによって損なわれる場合、間隔の狭い蛍光波長及び駆動波長を用いて(例えば、488nm駆動波長及び532nm蛍光ピーク)一光子撮像が行われているとき、ファイバ位置の補償シフトにより、完全に近い光学性能を回復可能なことが既に示されている。
しかし、そうして補償されたシステムは、非球面に相対する逆にオフセットされたファイバ及び球面界面により、もはや軸対称ではない(すなわち、光軸を中心とした回転対称性をもはや有さない)。
したがって、そのような「補償済み」システムは、側方色シフト及び軸方向色シフトも受ける。
【0082】
図17は、5μm及び10μmのそれぞれの球面界面偏心(ISO10110−6 4/40’及び4/1°20’にそれぞれ等しい)に適切なファイバ位置オフセットにより補償された場合の「ユニバーサル050 033」システムの蛍光波長の関数としてのmm単位での駆動場焦点に相対する蛍光焦点の横方向(側方)シフトを示す。理想的なシステムは、軸対称であり、側方色シフトを有さない。同じプロットは、理論上の横方向共焦点分解能も示し、
【数5】
式中、λ
dは駆動又は励起波長であり、λ
fは蛍光ピーク波長である。式5は、明視野非アポダイズ系のエアリー円盤側方分解能式に類似する共焦点系である(ここで、ω
1,1≒3.83は次数1の第1種ベッセル関数のファーストゼロである)。
【数6】
半値全幅分解能は、式5によって与えられる値の
【数7】
倍である。
【0083】
図18は、理想的な(すなわち、偏心、オフセット、又は他の製造不完全性がない)システム及び補償されたシステムの周波数範囲450nm〜850nm内の「ユニバーサル050 033」システムの収差損失のプロットであり、補償後の色補正の有効性を示す。
図17は、球面界面の5μm及び10μm偏心を有する補償済みシステムの横方向色シフトが共焦点分解能よりもはるかに低いことを示し、したがって、不完全性に起因する収差損失(
図18にプロットされるように)は、5μm偏心システムの場合には「完全」な場合よりも0.22dB大きいだけであり、10μmシステムの場合の損失増大は1dB未満である。
同様に、偏心システムの波長の関数としての側方分解能のプロットは、理論値と略同じであり、これは
図19に示され、
図19は、理想的なシステム及び補償済みシステムの波長範囲450nm〜850nmでの「ユニバーサル050 033」システムの横方向分解能のプロットである。
【0084】
したがって、レンズ群内に2つの異なるガラスと、2つの異なるガラス間の球面界面と、非球面遠位面とを有するそのようなシステムを使用して、拡張帯450nm〜850nm内の駆動波長及び蛍光波長の任意の数の対を用いる一光子共焦点撮像を実行することができ、それでもなお、全ての撮像波長を基本的に同じ焦点にすることを見て取ることができる。これにより、その波長帯内の任意の数の対での真のマルチチャネル一光子共焦点撮像が可能になる。
【0085】
これらのシステムは、異なるレベルの有効性を有する二光子及び多光子撮像に使用することもできる。そのような撮像システムの成功は、100fs以下まで下がる幅の非常に狭いパルスの放射に依存する。
レンズ系は、補正されない場合、パルス幅を損なうおそれがある。
レンズ系は、2つの成分にパルス拡散を導入する。
第1の成分は、不可避の材料分散であり、周波数への依存性は平滑であり、周波数への四次依存性によって良好に近似される。したがって、その依存性は、搬送ファイバによって導入される分散に非常によく類似し、したがって、例えば、補償格子又は分散補償ファイバによって略完全に補償することができる。
第2の成分は、「マルチパス」成分であり、非中心光線の飛行時間と、レンズ系を通る光軸に沿って伝搬する主光線との差から生じるものとして見なすことができる。不良マルチパスは、周波数に伴う急な位相変動に繋がり、格子又は分散補償ファイバによって補償することができない。
非補正レンズでは、周辺光線と主光線との飛行時間差の単純な推定値は、
【数8】
によって与えられる。式中、Fは焦点距離であり、λは中心動作波長であり、cは自由空間光速であり、λ
F及びλ
CはフラウンホーファーF線及びC線波長であり、V
Cはこれらの線から計算されるアッベ数である。
本明細書でのシステムでは、NA≒0.4の場合、この非補正式は122fsという推定値を生成する。しかし、これらの3つのシステムの実際の補正された位相応答は、384.3THz(619nm〜1054nmの波長及び中心波長780nmに対応する)を中心とした200THz幅帯について計算される場合、結果は
図20に示されるようなものである。
図20は、3つのシステムの全体システムの位相応答及び各システムでの中心光線のみの位相が示されている。3つのシステムは、それぞれの場合で略同じように見え、差位相、すなわち、上述した第2の「マルチパス」位相遅延は
図21に示されている。
図21での微細構造は、レンズ群を通る生じ得る多くの異なるパスに沿って延びる光構成要素間の干渉と、色補正によるこれら全てのパスのわずかに不完全な等化に起因するものである。
【0086】
時間依存性を有する10fs幅光パルス(ここでは、T=10fs及びλ
C=780nm)
【数9】
がシステムに入力される場合の対応する時間領域出力応答は、
図22及び
図23に示される。
図22は、相対サイズを示すために補償済みパルスが重ねられた、材料分散が補償される前のレンズ系全体からの応答を示す。一方、
図23は、マルチパスのみによるパルス幅広化を示す。
各システムの色補正がマルチパス遅延を20fs未満に保つことが明らかであり、これは上記の非補正値122fsよりもはるかに短い。チャープ格子を用いる現在の群遅延補償は、約50fs幅のパルスを実現することができ、
図23は、これらのシステムがこの程度の補償を妨げないように十分以上に補正され、補償されたシステムにより20fs以下のパルスを実現可能な場合のみ、パルス幅広化への大きな一因として示し始めることを明らかにする。
【0087】
二光子撮像は多くの場合、ノイズに対する良好な信号のために非常に高い電力を必要とする。フルオレセインについての計算は、用途に応じて10mW〜5Wの電力が慣れていることを示す。しかし、光学ガラスの非常に高い透明度(低吸収性)は、中間エアギャップなしでのスキャンファイバへのレンズ群の直接接合が、これらの高電力での熱負荷からレンズを破損しないことを意味する。Schottは、N−SF66ガラスの概ね0.995mm〜25mmの透過率を示し、これは吸収係数0.2m
−1に対応する。
【0088】
この吸収係数を用いて、
図24は、0.1NAの1ワットビームがロッドの左側に入力される場合、直径0.5mm及び長さ5μmのSchott N−SF66ロッドでの、ロッド外部に相対しての定常状態温度情報を示す。
これらの状況は、上述した「ユニバーサル050 033」システムへの光入力に対応する。ここでは、ロッドが空中で素早くスキャンされることによる対流によってかなり効率的に冷却され、したがって、ロッドの縁部が周囲温度近くに維持されると仮定される。100μW未満がロッド自体によって吸収され、温度上昇は1ケルビン未満である。(
図24でのピーク上昇は0.288Kである)。
【0089】
上述したシステムは、構築を容易にする単純性を有する。しかし、実際の屈折実施形態は、開口数約0.5に制限されているように見え、大きな口径食損失を伴ってのみこれらを達成する。
【0090】
本発明の第2の群の実施形態によれば、2つ以上の異なるガラスの第1のレンズ群と、それに加えて、第1のレンズ群の前方に配置された1つ又は複数の要素の第2のレンズ群とを備える光学系が提供され、これらの実施形態の幾つかでは、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間にはギャップ(例えば、エアギャップ又は自由空間であり得る)がある。
レンズ群のこの組み合わせは、相殺分散を提供し、450nm〜850nm波長の広い光スペクトル内の駆動/蛍光波長対(蛍光波長及び駆動波長が同じである場合を含む)に適応する。これにより、より高い開口数が可能になるが、複雑性の増大及び製造の難しさの増大という代償がある。
【0091】
最も実用的なそのような実施形態は、そのようなエアギャップ又は自由空間を含む。そのような実施形態による光学系は、
図25において100で概略的に示される。
光学系100は、搬送光ファイバ(図示せず)から出た光をコリメートするコリメータダブレット104a、104bを含む第1のレンズ群102を含む(近位端部から遠位端部に)。コリメータダブレット140a、104bの後に自由空間のギャップ106が続き、次に、第2のレンズ群108が続く。
第2のレンズ群108は、低屈折率低分散ガラス(Schott N−FK51A等)のビーム縮小又はコリメート要素110aと、屈折率がより高く、分散がより高いガラス(Schott N−LAK34等)の非球面レンズ110bとを含む。
ビーム縮小又はコリメート要素110aは、コリメートビームをわずかに縮小し、低倍率ガリレオ式望遠鏡として機能する。非球面レンズ110bは、結果として生成されたビームを出力フォーカスに変換する。ビーム縮小又はコリメート要素110aは、コリメータダブレット104a、104b、及び非球面レンズ110bの分散の影響を相殺する波長に応じて、正又は負の屈折をビームに加える。
第2のコリメータダブレット要素104b及び第2のレンズ群108は、円筒形筐体スリーブ112内に配置される。カバースリップは114で示される。
【0092】
図25の光学系100の光学性能を、
図26のレイトレーシングプロット120(コリメートビーム部分120及び122−それぞれ自由空間ギャップ106及び非球面レンズ110b内−が示される)に示されるようにシミュレートした。そのシミュレーションで光学系100に使用した特性、特に、表面、中心厚、及び材料のデータを表3に提示し、その光学性能を表4に提示し、その機械的性能を表5に提示する。
【0093】
【表3】
【0094】
第1のレンズ群102と第2のレンズ群108との間のコリメートは、あまり完全ではなく、したがって、2つのレンズ群102、108の相対位置の調整が、球面収差をビームに導入する。したがって、屈折面の不完全な軸方向シフトから生じる球面収差は、2つのレンズ群102、108の隔たりへの補償調整によって補正することができる。
不完全性から生じるコマ収差は、入力光ファイバの側方位置の調整によって補償することができる。しかし、系光学100内の多くの表面により、この光学系には非点収差が存在することもあり、必要な場合、能動的補償方法を使用して、第1のレンズ群102に相対する第2のレンズ群108の側方位置を調整することができる。
そのような方法は、
i)筐体スリーブ112内の特大ボア又は第2のレンズ群108の小さな外径、及び
ii)相対位置を調整するための押し棒を受け入れるとともに、第2のレンズ群108に接着剤を塗り、能動的位置合わせ後に最適位置に固定する、筐体スリーブ112を通るアクセスポート
を利用する。
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
本発明の第3の群の実施形態による光学系は、戻り蛍光を受け入れ、案内することができる高度にマルチモード化された補助コアを有する光ファイバを利用する。これは、蛍光戻りパスの設計を簡易化し、したがって、中程度の収差補正で、多光子撮像に合う単純化されたシステムをもたらす。
【0098】
図27は、第3の群の実施形態による、光ファイバ132と、レンズ群134とを備える非デスキャン多光子光学系130の概略図である。
光ファイバ132は中央一モード駆動コア136を備え、このコアは、多光子駆動波長でシステムを駆動し、多光子蛍光戻り光を収集し、それ自体がファイバ外装140によって囲まれたマルチモード蛍光収集コア138によって囲まれる。
レンズ群134は、基板142と、非球面レンズ144と、それらの間の平坦界面146とを備える。レンズ群134は、検体(生物学的組織等)内に強い焦点を配置する。
多光子蛍光は、マルチモード蛍光収集コア138内に撮像され、このコアの高マルチモード性蛍光は、波面がかなりの収差を有し得る場合であっても、蛍光を受け入れ案内することを意味する。したがって、レンズ群を色補正する必要性が回避され、光学系130を含む走査型顕微鏡又は内視鏡は、非デスキャン多光子系として機能することができる。
【0099】
本発明の第4の群の実施形態による光学系は、スキャン光ファイバに配置された1つ又は複数の補助導光コア(「ナビゲータ」コアと呼ぶことができる)を利用し、それにより、1つ又は複数のナビゲータコアを使用して、撮像開口数を主高分解能値(中央撮像コアを使用)と低値(例えば、0.1NA)との間で切り換えることができる。
複数のそのようなナビゲータコアがある場合、徐々により高い分解能の1つ又は複数の中間ステップを提供することが可能である。
この手法により、ユーザは、粗い軸方向分解能並びに配置誤差及び手の不安定性に対する高い許容差で画像を容易に位置決めし、次に、標的組織が識別されるか、見つけられると、高分解能モード(より低い許容差を有する)に切り換えることができる。
【0100】
図28及び
図29は、この第4の群の実施形態によるマルチコア光学系150、160の概略図である。それぞれは、
図27のレンズ群134と同等のレンズ群を有し、同様の参照番号が同様の特徴の識別に使用されている。
【0101】
図28を参照すると、マルチコア光学系150は、光ファイバ152と、レンズ群134とを含む。光ファイバ152は中央一モードコア154を含み、このコアは主撮像チャネルを提供する。
中央コア154を用いて実行される撮像は、非常に鮮鋭な軸方向分解能を提供することができ、その結果、検体内の関心のある特徴を見つけることが難しくなり得る。したがって、光ファイバ152は、粗い軸方向分解能を有するナビゲーションチャネルを提供する1つ又は複数のオフセット極低NA単一モード又は少数モード「ナビゲータ」コア156も含む。
コア154、156はファイバ外装158によって囲まれる。したがって、ナビゲータコア156を通しての撮像は、関心のある特徴の発見をより容易にすることができ、検体内のこれらの特徴がユーザによって見つけられると、システムは、主撮像コア154を通しての撮像に切り換えることができる。
この切り換えは、2つのコア154、156の出力に別個の光検出器が光学系150に設けられた顕微鏡又は内視鏡を提供し、例えば、その結果生成される検体の画像がユーザに表示されるディスプレイの入力として、これらの光検出器を切り換えることによって行うことができる。
ナビゲータコア156は、光軸160から横方向に変位するが、その低開口数は、この概念上の不完全性がシステムの共焦点性能をあまり低下させないことを意味する。
ナビゲータコア156は:
i)コア154、156の間を結合するエバネセント場を通して、中央コア154の案内性をあまり変えないように光軸160から十分離れるが、
ii)横方向オフセットに起因するコマ収差が、ナビゲータコア156の共焦点性能を過度に損なわないように光軸160に十分に近くに
横方向に変位する。
【0102】
図29を参照すると、マルチコア光学系170は、光ファイバ172と、レンズ群134とを含み、この実施形態による技法を示し、それにより、撮像ファイバコアを切り換えることにより、検体への撮像深度を異なる間で切り換えることができ、したがって、粗い撮像深度調整を行うことができる。光ファイバ172は、中央主一モードコア174と、1つ又は複数の側方オフセットコア176とを含む。コア174、176はファイバ外装178によって囲まれる。
【0103】
この実施形態では、1つ又は複数の側方オフセットコア176のそれぞれは、z方向(すなわち、光軸160に平行する方向)においてもオフセットした出口先端部を有する。ここでも、別個のコアの横方向変位は、側方オフセットから生じるコマ収差が、各オフセットコア176の共焦点性能を過度に損なわないように十分に小さいが、エバネセント結合を回避するのに十分遠く離れる。検体へのシステムの撮像深度は、軸方向オフセットが異なるコア176間で撮像を切り換えることにより、異なる値間で切り換えられる。
【0104】
レンズ群134は、共焦点性能を大きく損なわずに、異なる軸方向オフセットに対応することができるように設計される。例えば、表1の低NA設計(非補正040 026又は非補正047 030)は、ファイバ先端部の軸方向位置の影響をかなり受けにくい性能を有し、したがって、撮像深度は、コア先端部と基板との隔たりを調整することによって制御することができる。
焦点の軸方向シフトはシステムの線形倍率の二乗に反比例するため、倍率がより低く、NAがより小さいシステムの使用により、より大きな深度制御が提供可能である。
低倍率システムでは、それに対応してより高いピーターマンII NAの単一モードファイバコア出力場を利用して、一定光学性能を維持する。
【0105】
本発明の第5の群の実施形態は、上述した非球面屈折レンズを使用するのではなく、屈折レンズ要素を利用する。そのような一実施形態では、上述した屈折レンズの寸法と同等の寸法(例えば、直径約0.5mm×長さ2mm〜3mm)の円柱形ガラス基板が、スキャンファイバの端部に取り付けられる。回折格子は、ファイバから円柱形基板の他端部に取り付けられ、組立体全体は、上述した屈折レンズと同じようにスキャンされる。
図30の(a)は、そのような光学系180の概略図であり、光学系180は、スキャン光ファイバ182と、スキャン円柱形ガラス基板184と、円柱形基板184の遠位端部188に配置されたホログラフィック(回折格子)レンズ186とを備える。
【0106】
ファイバ出力場は、光ファイバ182の先端部から円柱形基板184を通して回折格子レンズ186の近位面に回折し(ファイバ先端部から
図2〜
図3の実施形態の非球面に回折するのと同じ)、回折格子レンズ186により(非球面回折面ではなく)検体に収束される。
【0107】
図31は、光学系180の概略側面図(立面で示され、寸法、回折格子平面190、及び焦点面192が示される)と、回折格子レンズ186の図とを含み、回折格子レンズ186は、反射モード撮像(蛍光波長及び駆動波長が同じ)又は多光子蛍光及び非デスキャンシステムで最も容易に使用し得るタイプの回折格子レンズであり、非補償格子は、低コストでかなり実用的なものと予期される。
【0108】
しかし、回折レンズを使用することにおける主な問題の1つは、波長の影響の受けやすさであり、駆動波長での焦点は典型的には、蛍光波長での焦点よりも、格子から数十μm遠くになる。
一光子又はデスキャン多光子蛍光用途では、格子の波長依存性は大きな問題である。例えば、駆動波長λ
D=488nm及び蛍光ピーク波長λ
F=532nmを有し、ホログラフィックレンズが、格子レンズの平面から1mmの軸方向距離において駆動光を収束させる一光子共焦点用途では、蛍光波長は、レンズ面から距離488/532mmのところ、すなわち、駆動波長焦点から83μmの距離のところで収束することを予期することができる。この量の色シフトは、全ての共焦点撮像方式を妨げることになる。
【0109】
しかし、ホログラフィックレンズの半分が、駆動光を収束させる格子に与えられ、残り半分が蛍光を収束させる格子に与えられる場合、2つのシステム焦点は、同じ点まで戻すことができる。
図30の(b)は、そのような「補償」回折格子レンズ200を含むが、その他の点では
図30の(a)の光学系180と同等である光学系200の概略図である。
図32は、補償回折格子レンズ200の図である。補償回折格子レンズ200では、回折格子は8つの45°扇形に分割される。1つ置きの扇形(それぞれ「I
D格子」と記される)は、格子レンズの平面から1mmの軸方向距離にある点に488nm光を収束させる格子を含む。一方、その他の全ての扇形(それぞれ「I
F格子」と記される)には、532nm光で同様に行う格子が与えられる。扇形の縁部には急な格子不連続性がある。
【0110】
図33は、(左記録)488nm駆動波長及び(右記録)532nm蛍光波長での扇形格子(格子202等)の焦点面点像分布関数の図を含む。両像は、12.4×12.4μmを有する。カラーキーは任意の単位である。
図34は、488nm駆動波長及び532nm蛍光ピーク波長を有する扇形格子の焦点面共焦点応答の図を含む。左記録は、サブ分解可能なフルオロフォアの共焦点応答を示し、一方、右記録は共焦点応答の二乗平方根を示す。両像は、12.4×12.4μmの辺長を有し、カラーキーはここでも任意の単位である。半値全幅側方分解能は1.2μmである。
【0111】
図32の例のように、扇形の角度が45°である場合、駆動波長及び蛍光波長の両方のストレール比は約0.25である。その理由は、格子面積の半分が各波長に与えられ、したがって、収束場のピーク振幅が、仮に格子全体が単一の波長に完全に調整された場合の概ね半分であるためである。したがって、光学系200は、上述した回折系に相対して概ね12dBの感度損失を受ける。
しかし、回折解決策は、幾つかの用途では有用で低コストな代替であり得る。さらに、蛍光格子が駆動光格子よりも広い面積であるように、各波長に向けられる格子表面の割合を変更することができ、その場合、駆動波長焦点強度の損失は、より高い駆動光パワーで補償することができ、又はその逆も同様である。
【0112】
能動的な位置合わせ
本発明の上述した実施形態によれば、能動的な位置合わせ方法も提供され、それにより、光ファイバ及びレンズ群(
図2の(a)及び(b)の光ファイバ12及びレンズ群14等)を位置合わせすることができる。
概して、光ファイバは位置合わせ治具に配置され、位置合わせ治具により、励起光が光ファイバに入力され、レンズ群からの出力光が適する光検出器波面センサ、天文学者の星テスト装置又は干渉計等)に向けられながら、光ファイバ及びレンズ群の相対位置及び無機を位置合わせすることができる。
次に、最小収差最適相対位置及び向きが得られるまで、相対位置及び向きが調整され、最小収差最適相対位置及び向きが得られた時点で、光ファイバはレンズ群に接合される。
【0113】
図35は、上述した実施形態の光学系を位置合わせするように構成された、本発明の実施形態による能動的位置合わせ装置210の図である。
位置合わせ装置210は、全体X、Y並進移動器212、全体回転器214、全体Z並進移動器216、相対X、Y並進移動器218、及び相対Z並進移動器220を含む。
位置合わせ装置210は、相対Z並進移動器220に取り付けられるファイバクランプ222と、全体回転器214から延びるアーム226に取り付けられる(所定位置にカバースリップを保持するばねを含む)レンズクランプ224と、垂直ポスト228と、水平レール230(ポスト228によって支持される様々な構成要素及びそれ自体のz方向での並進移動をサポートし可能にする)と、レール230上の取り外し可能な大まかな位置合わせターゲット232と、レール230の遠位端部に配置された光検出器234とも含む。
位置合わせ装置210は任意選択的に、光検出器234の前に光学的に配置されるNDフィルタ236(減衰が必要な場合)を含む。
【0114】
光検出器234は、波面センサ、自己参照干渉計(点回折干渉計等)、又はCCDカメラ(少なくとも50×50ピクセル格子にわたり略コリメートされた点像分布関数を見えるのに十分に高い分解能と、相対強度を線形測定する、すなわち、所与の輝度が同じ強度の光に再現可能に対応するように、オートゲインなしで測定する能力とを有する)等の任意の適する形態であり得る。この実施形態では、光検出器234はハートマンセンサの形態である。
【0115】
全体回転器214により、ユーザは、ファイバ及びレンズ群の相対位置を一定に保ちながら、ファイバクランプ222に保持される光ファイバと、レンズクランプ224に保持されたレンズ群とを水平軸の回りで回転させることができる。
全体X、Y並進移動器212及び全体Z並進移動器216により、ユーザは、ファイバ及びレンズ群の相対位置を一定に保ちながら、回転する狭持されたファイバ及びレンズ群を任意の方向に並進移動させることができる。
相対X、Y並進移動器218及び相対Z並進移動器220により、ユーザは、入力ファイバ及びレンズ群の相対位置を調整することができる。
【0116】
位置合わせ装置210は、レール230の近位端部240に取り付けられた高開口数コリメート対物レンズ238と、コリメート対物レンズ238からのコリメート出力ビーム幅を光検出器234の測定面積に合わせる可変ガリレオ式望遠鏡242とを更に含む。
【0117】
ガリレオ式望遠鏡242は、レール230に取り付けられる摺動式レンズホルダ244a、244b、244cに配置された複数の個々のレンズを備える。
位置合わせ装置210の較正は、コリメート対物レンズ222からのコリメート出力ビーム幅を光検出器234の測定面積に合わせるこれらのレンズのレンズ倍率を選び、次に、そうして識別されたレンズをガリレオ式望遠鏡242に装填し、レンズホルダ24を位置決めすることによってこれらのレンズ間の理論上の軸方向隔たりを設定することによって実行される。
これらのレンズのうちの最も遠いものは、両凸レンズ(レンズホルダ244c内)であり、その倍率及びレール230での軸方向位置は、ガリレオ式望遠鏡242の所望のズームを提供するように選択される。
【0118】
能動的位置合わせワークフローは以下である。
i)光ファイバ及びレンズ群が、ファイバクランプ222及びレンズクランプ224にそれぞれ装填される。
ii)光ファイバの先端部が、相対Z並進移動器220を使用してレンズ群の近位面の10μm以内に運ばれる。
iii)レンズの目視中央X位置について、相対X、Y並進移動器218を用いてX位置を調整し、次に、ファイバ−レンズ群組立体を90°回転させ、次に、目視中央Y位置について、相対X、Y並進移動器218を用いてY位置を調整し、次に、回転して戻すことにより、計画閲覧顕微鏡(plan viewing microscope)(図示せず)を用いて、光ファイバの大まかに正確な横方向(X,Y)位置が設定される。
iv)目視でファイバが中央に配置され、レンズ群の近位面の10μm以内にあるとユーザが見なすまで、必要に応じてステップii及びiiiが繰り返される。
v)光ファイバに、約1mWの駆動波長光が供給される。
vi)公称動作ビーム幅(波面センサ若しくは干渉計が使用される場合)又は点像分布関数での最大ピーク強度(CCDカメラが使用される場合)で光検出器234を照明するように、全体X、Y、及びZ並進移動器212を用いてX、Y、及びZ位置が調整される。
vii)X及びY位置が、相対X、Y並進移動器218を用いてわずかに調整されて、測定収差を補正し、次に、ステップviが繰り返される。
viii)全体システムの最小全体収差(光検出器234がCCDカメラの形態の場合、最大スポット輝度に対応する)が達成されるまで、ステップvi及びviiが繰り返される。
ix)次に、レンズ−ファイバ組立体が、計画閲覧顕微鏡を用いて接着される。
【0119】
レンズ面品質評価
本発明の上述した実施形態によれば、レンズ面品質評価方法も提供される。概ね、この方法によれば、既知の直径のピンホールが、光学系(任意の上述した実施形態による)の焦点に位置決めされ、ピンホールを透過した電力が測定され、ピンホールが取り外されて、合計出力電力を測定することもでき、次に、合計出力電力に対するピンホール透過電力の比率が、二乗平均平方根レンズ面粗さに関連することができる。
【0120】
粗いレンズ面は、透過光を収差がないが、減衰した部分と、ランダム拡散部分とに分割する。非収差部分の電力減衰係数は、
【数10】
である。式中、σは表面粗さによって誘導される波中のRMS波面誤差であり、λは光の波長である。入力光の割合1−Τ
2はランダム拡散部分に変換され、密な焦点に収束しない。したがって、密な焦点に寄与する光の割合を測定することに基づく表面粗さ品質保証テストは以下である。
【0121】
図36は、上述した実施形態の光学系を位置合わせするように構成された、本発明の実施形態によるレンズ面品質評価装置250の図である(テスト下のレンズ又はレンズ群252と共に示される)。評価装置250は、レーザ源254と、約50−50方向性結合器256と、退避可能なピンホール258と、第1の電力測定ヘッド260と、第2の電力測定ヘッド262とを含む。
【0122】
レーザ源254からの光は、結合器256によって参照ファイバ264(光を第1の電力測定ヘッド260に送る)と、光をレンズ252に送る駆動ファイバ266とに分割される。レンズ252を透過した光の幾らかは、ピンホール258を透過し、第2の電力測定ヘッド262に達する。
【0123】
上述したように、粗いレンズ面は、透過光を収束部分(収差がないが、減衰する)264と、ランダム拡散部分266とに分割する。
【0124】
結合器256の精密な分割比は重要ではなく、参照ファイバ264及び駆動ファイバ266の出力での感知可能な光レベルで十分である。代替的には、ビームスプリッタを使用して、光を基準ビーム及び駆動ビームに分割することができる。
全ての測定は、第1の測定ヘッド260への電力P1と、第2の電力測定ヘッド262への電力P2との比率としてとられ、P1及びP2は同時に測定される。望ましくは、これは、トリガーすることができるタイプのものである場合、電力測定ヘッド260、262の両方へのトリガー信号を用いて行われる。
原理上、電力出力が略変動しない、高度に安定したレーザ源254を用いる場合、結合器256及び第1の電力測定ヘッド260を省くことができ、単純に第2の電力測定ヘッド262への絶対電力を測定することができる。
しかし、トリガーされる同時測定から得られる比率P2/P1の使用により、品質のより低い変動する出力レーザ源の使用が可能になる。
ピンホール258は、取り外し可能であり、これもまた、XYZ並進移動ステージ(図示せず)に取り付けられる。並進移動ステージは、レンズ252の焦点、すなわち、第2の電力測定ヘッド262にピーク電力を与える位置でのピンホール258のアパーチャに調整される。このピーク電力は、P1に対するP2の比率の測定比率として記録され、次に、ピンホール258が退避する。P1に対するP2の比率として記録される第2の電力測定ヘッド262への電力も再び測定される。
ピンホール258がない状態での測定値に対するピンホール258がある状態での測定値の比率が、レンズ品質の測定値として使用される最終的な実験結果である。
【0125】
所与の直径のピンホール及びレンズ開口数の場合、RMS表面粗さは、最終的なQA尺度から計算することができる。
図37は、nm単位での円内半径の関数としての焦点それ自体にセンタリングされた焦点面での円形穴によって囲まれた焦点面を通って流れる合計電力の計算された割合の、0nm〜200nmRMSの10nm刻みでの表面粗さでのプロットである。RMS表面粗さと曲線との対応性が図から不明瞭である場合、曲線が、垂直シーケンスにおいて、プロットの右に示される表面粗さ値のシーケンスに対応することに留意されたい。
【0126】
曲線は、表面粗さを有する0.3NAレンズを通しての光の伝搬を記述する全マクスウェル方程式の数値積分によって計算された。各円内エネルギー曲線は、5つのモンテカルロシミュレーションで得られた曲線の平均曲線である。50nm、60nm、及び70nmRMS表面粗さ曲線では、両側98%信頼誤差バーも示される。
図37の所与の円内半径について、RMS表面粗さの関数としてのその半径での
図37の各曲線の値のプロットは、この所与の半径を有するピンホール258が使用され、レンズ出力が0.3NA場である場合の
図36の評価装置250の較正曲線をもたらす。
【0127】
図38は、直径5μm、10μm、及び15μmのピンホール並びに0.3NAレンズ及び0.266NAレンズの両方の場合での、nm単位のRMS表面粗さの関数としての、ピンホール位置がピーク電力スループットに調整された場合のそのようなプロット、すなわち、ピンホールを透過することができる、レンズの合計電力出力の割合のプロットである。
【0128】
図38にプロットされた割合が、厳密なピンホール直径の影響もあまり受けなければ、特に5μmピンホールにおいて場開口数の影響もあまり受けないことを見て取ることができる。したがって、これらの結果から、
図36の評価装置250が表面粗さの信頼できる測定値を生成するはずであることが分かる。5μmピンホール結果での最小二乗最良近似ガウス曲線も
図38に示されている。したがって、レンズのRMS表面粗さの良好な作業推定値が、
【数11】
によって与えられることを見て取ることができる。式中、fはテストで測定された割合であり、σはナノメートル単位での、5nm直径ピンホールが使用される場合である。
式10の関係は、
図38に示されるガウス最小二乗最良近似曲線
【数12】
の逆である。
図37に示されるような焦点面にわたる光の拡散は、表面粗さの統計学的特性(特に、相関長)に幾らか依存するが、式11は、式9の電力割合と略同じである。
実際に、表面粗さの妥当な推定値は、単純に式9の電力割合式の逆を使用することによって得ることができる。これは、5μm直径ピンホール及び0.3NAレンズの場合、ピンホール透過電力が粗いレンズによって収束されている電力の割合であることを意味する。
5μm直径ピンホールは、収束光264と拡散光266との良好な弁別子であり、したがって、式10は焦点面内の拡散光の分布に非常に弱く依存するのみである可能性が高く、問題なのは、拡散光266がピンホール258のアパーチャから外れるべきであることのみである。したがって、式10は、
図36の評価装置250を用いて実行されたテストからレンズ面粗さを推定するロバストな方法である。
【0129】
付録1:生体内撮像系でのストレール比/色収差結合仕様
ストレール仕様と色シフト仕様とを結合する一方法は、
図39の(a)及び(b)に概略的に示される考えられる実験を通してであり、この実験は、収差の許容可能な定義(
図39の(a))と非許容可能な定義(
図39の(b))とを比較する。
収差の許容可能な定義は、収差仕様が励起波長及び蛍光波長の両方で同じ公称焦点で満たされるものである。
図39の(a)及び(b)では、λ=488nmの場合での波面及びRMS誤差<0.05が270に示され、λ=532nmの場合での波面及びRMS誤差<0.05が272に示される。
図39の(a)では、λ=488nm及びλ=532nmでの収差測定に同じ公称焦点が選ばれる(274で示される)。
図39の(b)では、λ=488nm及びλ=532nmでの収差測定に異なる公称焦点が選ばれ(それぞれ276及び278で示される)、焦点276、278間の変位は、色シフト280の測定値である。
【0130】
結合仕様を使用して、生体内系での色収差の有害な影響を明確に可視化することができる。
図39の(a)及び(b)の例は、駆動波長488nm及び蛍光ピーク532nmを有する一光子蛍光共焦点撮像の場合であるが、原理は駆動波長及び蛍光波長の任意の組に適用される。
【0131】
図39の(a)を参照すると、この考えられる実験では、所望の出力NA及び所望の撮像点を得るように照明された干渉計内のレンズ系を用いて、波長の1つでの最良の焦点が見つけられる。ストレール比が測定される。次に、干渉計を決して調整せずに、ソースの波長が他方の波長に変更され、ストレール比が測定される。これらの2つのストレール比の積は、機器の感度を定義する。
【0132】
この考えられる実験では、テスタは、干渉計を異なる公称焦点に再収束し、上記測定を繰り返して、よりよい結果を得ることができるか否かを調べる。再収束がストレール比積の更なる低減を与えないような焦点が見つかる場合、この最小結果が結合仕様であり、さらに、最終公称焦点は焦点面上の点を定義する。
【0133】
2つのストレール比の測定間で干渉計は調整されないため、軸方向及び横方向(色合わせ)の両方の許容可能な色シフト仕様が、この仕様では暗示的なことに留意されたい。逆に、
図39の(b)に示される「非許容可能測定」方法では、2つのストレール比測定間で調整が可能である。この技法は、色シフトの明示的な測定値を与える。色シフトは、駆動波長及び蛍光ピーク波長でのストレール比を別個に最適化する、2つの一般に異なる焦点間の変位に等しい。
【0134】
したがって、S(r,λ)が、システムが波長λで駆動される場合の位置ベクトルrを有する位置における物体空間でのストレール比である場合、その波長での最適ストレール比は、
【数13】
である。この波長での「焦点」は、最適ストレール比を達成する位置r
maxである。そして、レンズ系の最適ストレール積仕様は、
【数14】
である。式中、λ
Dは駆動波長であり、λ
Fは蛍光ピーク波長である。すなわち、個々の波長の最大ストレール比の積ではなく、最大化され、仕様として使用される積である。共焦点系焦点は、この最大ストレール比を達成する位置rである。
【0135】
実際に、
【数15】
である合計収差損失を定義することができ、色収差損失
【数16】
も定義することができる。色収差損失は、最適ストレールの積に対する最適ストレール積の比率である。
潜在的な収差損失
【数17】
は、システムに色シフトがない場合に達成することができる収差損失である。色シフトがない場合、最適ストレールの積は、最適ストレール積と同じであり、共焦点系焦点及び2つの別個の波長での焦点は同じ点である。一般に、合計損失は常に潜在的な損失よりも大きく、
【数18】
である。
この考えられた実験が、照明点が撮像面上でスキャンされるにつれて変化する、考えられる全ての撮像位置に対応する全ての最小ストレール比積点の軌跡として、焦点面の定義に使用されることに留意されたい。
【0136】
多光子系では、上記概念が使用されるが、ストレール比は、駆動波長の場合、格子蛍光プロセス次数のべき乗(すなわち、Nのべき乗)になる。システムがデスキャンではない(すなわち、α=0である)場合、蛍光波長ストレール比は1で置換される。したがって、例えば、デスキャン二光子撮像では、
【数19】
である。
【0137】
付録2:収束電磁場の開口数の一般定義
本明細書では、収束光場の開口数の以下の定義が使用されている。これは、遠視野強度測定のみを使用してシングルモードファイバ固有場の半径を測定する証明された方法である焦点面スポットの半径のピーターマンII定義の概念に基づいている。
【0138】
図40は、光軸292で焦点290から放射状に延び、遠視野強度パターンを焦点を中心とした半径R(電磁場が焦点からのこの半径で遠視野挙動に達するのに十分大きい)の球殻に投射した光円錐の図である。遠視野殻上の座標は、変更された球形極座標であり、縦角度φ及び真空内の正規化光学半径ρは、問題となっている点を焦点に結ぶ光線と光軸とによってなされる緯度角θの正弦である。焦点が屈折率nの材料である場合、
ρ=n sinθ 式19
である。
【0139】
従来の円柱座標系での物理的半径は、正規化半径が媒質の屈折率に近づく(すなわち、真空中では1に近づく)につれて無限大に発散する。
【0140】
これらの定義を所与として、ピーターマンII開口数は、
【数20】
であり、式中、I(ρ,φ)は、変更された座標の関数としての遠視野強度、すなわち、球殻上の各点での単位面積を通る電力束である。
【0141】
この定義は、強度分布のセントロイドが光軸上にあることを必要とする。光軸上にない場合、セントロイドの位置ベクトルを計算し、光軸がセントロイドを通るように座標軸を位置決めし直さなければならない。
【0142】
開口数のこの定義は以下の特性を有する。
i)場が非アポダイズである場合、すなわち、球殻がクリアな開口内部で均一に照明される場合、開口数の望まれる定義、すなわち、照明円錐の半角の正弦になる。
ii)ハイゼルベルク不等式、すなわち、
【数21】
を満たす。
【0143】
不等式中、r
2は、強度点像分布関数の光軸の回りの旋回の半径であり、すなわち、
【数22】
であり、式中、Iは強度焦点面であり、rは光軸292からの距離であり、面積分は全焦点面Fにわたって行われる)。同じことが、
i)点像分布関数(ひいては遠場分布)が、ゼロ位相(自由空間で収束する場でのゼロ収差に対応する)を有するガウスであり、且つ
ii)ガウススポットサイズが方向から独立する、すなわち、場の分布が放射対称である(方位角から独立する)
とき且つそのときに限り当てはまる。
【0144】
したがって、ピーターマンII半径は、収差が存在しない場合の射出瞳場の潜在的な側方分解能を測定する。上記特性は、アポダイズ系の潜在的な分解能の優れた特徴付けに役立ち、新しい定義は、非アポダイズ状況では通常のものになり、したがって、これはOptiscanによって専ら使用される定義である。
【0145】
ガウス焦点、すなわち、場の振幅がexp(−r
2/(2σ
2))に比例する焦点では、旋回の半径はσであり、モードフィールド直径は
【数23】
である。同じスポットサイズ及び電力の2つのガウスビームが様々な距離、離間される場合、2つのスポット焦点を結ぶ線に沿った中点からの横方向変位xの関数としてのビーム強度は、
図41に示されるようなものであり、
図41は、a×σに関して様々なスポット隔たりでの正規化横方向変位に対して正規化強度をプロットすることにより、2つのガウススポットの分解性を示す。aの値は図に示され、上から下の順序で強度曲線に対応する(図の一番上の曲線がa=2.82に対応し、一番下の曲線がa=2に対応するように)。
【0146】
水平軸上の変位は、σ=1であるように正規化される。垂直軸は、焦点x=0の中点での強度が1であるように正規化される。スポットが1σ離れている場合、スポット間に強度のディップはなく、分解されない。しかし、最小ディップとピーク強度とのコントラストは、1σ間隔よりも広い分離距離に伴って急に増大する。非アポダイズ場のレイリー基準は、ディップの輝度とピーク輝度との26.3%コントラストに対応する。ガウス場では、
図41は、このコントラストが約2.5σで達成されること、又は式21から、隔たりが0.56λ/NAであるときに達成されることを示す。これは、非アポダイズ場でのレイリー分解能に極めて近く、0.61λ/NAである。したがって、ガウス分解能として
【数24】
を使用することが妥当であることが分かり、その理由は、これがピーターマンIIモードフィールド直径であり、広く理解されているためである。したがって、この定義に従うガウスビームの明視野分解能は、
【数25】
である。
【0147】
N光子共焦点像分布関数は、駆動波長点像分布関数のN乗と、蛍光点像分布関数との積である。したがって、ガウスビームの場合、共焦点点像分布関数もガウスであり、スポットサイズは、構成ビームの全ての逆数スポットサイズの和の逆数である(ガウス関数内の指数が加算されるため)。したがって、完全に色補正されたシステムの共焦点分解能は、
【数26】
である。
【0148】
本発明の範囲内の変更形態は、当業者により容易に行うことができる。したがって、本発明が、例として上述された特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0149】
以下の特許請求の範囲及び本発明の上記説明では、明確な言葉又は必然的な暗示により、文脈により別段のことが要求される場合を除き、「備える(comprise)」又は「備える(comprises)」若しくは「備えている(comprising)」等の変形は、包含的な意味で使用されており、すなわち、述べられた特徴の存在を指定するが、本発明の様々な実施形態での更なる特徴の存在又は追加を除外しない。
【0150】
さらに、本明細書での従来技術へのいかなる言及も、そのような従来技術がいかなる国でも共通一般知識の部分をなすか、又はなしたことを暗示することを意図していない。