特許第6549110号(P6549110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6549110擬似ランダムアクセスプロシージャを用いた遊休モード端末の端末間直接通信方法及びそのための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549110
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】擬似ランダムアクセスプロシージャを用いた遊休モード端末の端末間直接通信方法及びそのための装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20190711BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20190711BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20190711BHJP
   H04W 74/08 20090101ALI20190711BHJP
【FI】
   H04W72/04
   H04W92/18
   H04W4/06
   H04W74/08
【請求項の数】9
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-523661(P2016-523661)
(86)(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公表番号】特表2016-523498(P2016-523498A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】KR2014005860
(87)【国際公開番号】WO2015002439
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】61/841,895
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/843,463
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/843,886
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/843,888
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/843,889
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】キム ハクソン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ハンピョル
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0157670(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/074257(WO,A2)
【文献】 特開2014−207669(JP,A)
【文献】 特表2008−505591(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0017807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて基地局が遊休端末のD2D(device−to−device)通信を支援する方法であって、
D2D送信端末から、所定の個数のD2D通信用シグネチャのうちの一つに対応する第1のメッセージを受信するステップと
前記遊休端末を含む一つ以上のD2D受信端末に、D2D信号受信のための制御情報を含む第2のメッセージを送信するステップであって
前記第2のメッセージは、オンページングDRX(Discontinued Reception)区間を除く追加的な区間に送信され、
前記第2のメッセージは、前記D2D送信端末が送信するD2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを前記遊休端末に受信させる、ステップと、
前記遊休端末が、前記第2のメッセージの受信時点から前記第3のメッセージの受信時点まで起床状態を維持するように設定されるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のメッセージ前記D2D送信端末に送するステップをさらに含み
前記第2のメッセージは、D2D信号送信のための制御情報をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記D2D通信用シグネチャは、ランダムアクセスプリアンブル用のシグネチャと区別される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のメッセージは、前記第3のメッセージが送信される無線リソースに関する情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のメッセージは、前記遊休端末のページンググループ別異なる時点を前記第3のメッセージの前記受信時点として指示する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のメッセージは、前記遊休端末のページンググループに前記第3のメッセージの前記受信時点を指示する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記D2D送信端末は前記休端であり
前記基地局は、RRC接続設定が完了する前に前記D2D送信端末が前記第3のメッセージを送信するように、前記第2のメッセージを前記一つ以上のD2D受信端末に送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
無線通信システムにおいて遊休端末がD2D(device−to−device)信号を受信する方法であって、
オンページングDRX(Discontinued Reception)区間を除く追加的な区間に、基地局から、D2D信号受信のための制御情報を含む第2のメッセージを受信するステップと
前記第2のメッセージの制御情報に基づいて、D2D送信端末から、D2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを受信するステップであって、
前記第2のメッセージは、前記D2D送信端末が送信するD2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを前記遊休端末に受信させる、ステップと
前記第2のメッセージの受信時点から前記第3のメッセージの受信時点まで起床状態を維持するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記第2のメッセージは、前記遊休端末のページンググループに前記第3のメッセージの前記受信時点を指示する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、無線通信システムにおいて遊休モード端末が端末間直接通信を用いて信号を送受信する方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を適用して改善する無線通信システムの一例として3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution;以下、“LTE”という。)通信システムについて概略を説明する。
【0003】
図1は、無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造の概略を示す図である。
【0004】
E−UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunications System)システムは、既存UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)から進化したシステムであり、現在、3GPPで基礎的な標準化作業が進行している。一般に、E−UMTSをLTE(Long Term Evolution)システムと呼ぶこともできる。UMTS及びE−UMTSの技術規格(technical specification)の詳細な内容についてはそれぞれ、“3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network”のRelease7及びRelease8を参照することができる。
【0005】
図1を参照すると、E−UMTSは、端末(User Equipment;UE)、基地局(eNode B;eNB)、及びネットワーク(E−UTRAN)の終端に位置して外部ネットワークと接続される接続ゲートウェイ(Access Gateway;AG)を含む。基地局はブロードキャストサービス、マルチキャストサービス及び/又はユニキャストサービスのために多重データストリームを同時に送信することができる。
【0006】
一つの基地局には一つ以上のセルが存在する。セルは1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅の一つに設定されて、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。異なるセルは異なる帯域幅を提供するように設定することができる。基地局は複数の端末に対するデータ送受信を制御する。下りリンク(Downlink;DL)データに対して、基地局は下りリンクスケジューリング情報を送信して、該当の端末にデータが送信される時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat and reQuest)関連情報などを知らせる。また、上りリンク(Uplink;UL)データに対して、基地局は上りリンクスケジューリング情報を該当の端末に送信して、当該端末が使用可能な時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ関連情報などを知らせる。基地局間にはユーザトラフィック又は制御トラフィック送信のためのインターフェースを用いることができる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AG、及び端末のユーザ登録などのためのネットワークノードなどで構成することができる。AGは、複数のセルで構成されるTA(Tracking Area)単位で端末の移動性を管理する。
【0007】
上述したような従来のLTE通信方式の無線通信は、基地局(eNode B)と端末(UE)間の通信方式を集中的に考慮する。ただし、最近では端末間直接通信方式の技術開発に対する要求が増す一方である。
【0008】
図2は、端末間直接通信の概念図である。
【0009】
図2を参照すると、UE1及びUE2が相互間の端末間直接通信を行っており、UE3及びUE4も相互間の端末間直接通信を行っている。eNBは、適切な制御信号を用いてUE間の直接通信のための時間/周波数リソースの位置、送信電力などを制御することができる。以下では、端末間直接通信をD2D(device−to−device)通信と呼ぶ。
【0010】
上述したD2D通信は色々な側面で、既存のLTE通信方式とは異なる要求事項を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したような議論に基づき、以下では無線通信システムにおいて端末間直接通信を用いて信号を送受信する方法及びそのための装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面では、無線通信システムにおいて基地局が遊休モード端末のD2D(device−to−device)通信を支援する方法であって、D2D送信端末から、所定の個数のD2D通信用シグネチャのうちの一つに対応する第1のメッセージを受信し、前記遊休モード端末を含む一つ以上のD2D受信端末に、D2D信号受信のための制御情報を含む第2のメッセージを送信し、前記第2のメッセージは、前記D2D送信端末が送信するD2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを前記遊休モード端末に受信させるようにする方法を提案する。
【0013】
本発明の他の側面では、無線通信システムにおいて遊休モード端末がD2D(device−to−device)信号を受信する方法であって、前記遊休モード端末のオン(ON)区間に、基地局から、D2D信号受信のための制御情報を含む第2のメッセージを受信し、前記第2のメッセージの制御情報に基づいて、送信端末から、D2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを受信し、前記第2のメッセージは、前記遊休モード端末のページンググループを考慮して決定される方法を提案する。
【0014】
本発明の更に他の側面では、無線通信システムにおいて遊休モード送信端末(UE)がD2D(device−to−device)通信を行う方法であって、RRC接続が設定されていない前記遊休モード端末が、所定の個数のD2D通信用シグネチャのうちの一つをランダムに選択して、あらかじめ決定された時間−周波数リソースの中からランダムに選択されたリソースで第1のメッセージを基地局に送信し、前記基地局から、D2D放送又はグループキャスト信号送信のための制御情報を含む第2のメッセージを受信し、前記第2のメッセージを用いて受信した制御情報に基づいて、一つ以上の受信端末に、前記D2D放送又はグループキャスト信号を含む第3のメッセージを送信する方法を提案する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施例によれば、無線通信システムにおいて干渉を効率的に緩和しながら端末間直接通信を行うことができる。
【0016】
本発明から得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造の概略を示す図である。
図2】端末間直接通信の概念図である。
図3】3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらを用いた一般的な信号送信方法を説明するための図である。
図4】本発明で用いるランダムアクセスプロシージャを具体的に説明するための図である。
図5】本発明で用いるランダムアクセスプロシージャを具体的に説明するための図である。
図6】本発明の一例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
図7】本発明の一例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
図8】本発明の他の例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
図9】本発明の他の例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
図10】本発明の他の例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
図11】本発明の一例において2つ以上の端末が同時に放送(ブロードキャスト)を試みて衝突の発生する状況を説明するための図である。
図12】本発明の一側面によってmsg3のコーディング(符号化)率を下げる方法を説明するための図である。
図13】本実施例による反復送信の効果について説明するための図である。
図14】本実施例による反復送信の効果について説明するための図である。
図15】本実施例による反復送信の効果について説明するための図である。
図16】受信端末によるmsg3の合成過程を説明するための図である。
図17】受信端末によるmsg3の合成過程を説明するための図である。
図18】受信端末によるmsg3の合成過程を説明するための図である。
図19】eNBがmsg3を中継する役割を担う場合に、Rx UEの受信動作手順を説明するための図である。
図20】送信端末が受信端末からmsg4にてmsg3受信に成功したか否かを知らせるフィードバックを受けてeNBに知らせる方式を示す図である。
図21】基地局が受信端末からmsg4にてmsg3の受信に成功したか否かを知らせるフィードバックを直接受ける方式を示す図である。
図22】本発明の一例によってmsg4送信リソースを様々な送信にリンクして決定する概念を説明する図である。
図23】本発明の実施例によってmsg2とmsg3との送信タイミングの関係を示す図である。
図24】本発明の実施例によってmsg2とmsg3との送信タイミングの関係を示す図である。
図25】本発明の実施例によってmsg2とmsg3との送信タイミングの関係を示す図である。
図26】本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴を3GPPシステムに適用した例である。
【0019】
本明細書は、LTEシステム及びLTE−Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示であり、本発明の実施例は上記の定義に該当するいずれの通信システムにも適用することができる。
【0020】
上述したようなD2D通信方式が効率的に行われるには、端末間通信を行うための無線リソースが効率的に割り当てられなければならない。特に、D2D通信には、緊急状況で信号を遅延無く速やかに送信するための方法が要求され、本明細書はこのような要求を満たすための方法を提供する。
【0021】
そのために、まず、本発明を適用し得るLTEシステムにおける動作を考察し、LTEシステムにおいてRACH手順を用いて効率的にD2D通信を行う方法を提示する。
【0022】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらを用いた一般的な信号送信方法を説明するための図である。
【0023】
端末は、電源が入ったり、新しいセルに進入したりした場合、基地局と同期を取るなどの初期セル探索(Initial cell search)を行う(S301)。そのために、端末は基地局から1次同期チャネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)及び2次同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得することができる。その後、端末は、基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信してセル内放送情報を取得することができる。一方、端末は、初期セル探索段階で下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信して下りリンクチャネル状態を確認することができる。
【0024】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)及び該PDCCHに乗せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel;PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得することができる(S302)。
【0025】
一方、基地局に最初に接続したり信号送信のための無線リソースがなかったりする場合、端末は基地局に対してランダムアクセスプロシージャ(Random Access Procedure)を行うことができる(段階S303乃至段階S306)。このために、端末は、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)で特定のシーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHでプリアンブルに対する応答メッセージを受信することができる(S304及びS306)。競合ベースRACHの場合、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)をさらに行うことができる。
【0026】
上述したような手順を行った端末は、その後、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)及び物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)送信(S308)を行うことができる。特に、端末はPDCCHを介して下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割り当て情報のような制御情報を含み、その使用目的によってフォーマットが異なる。
【0027】
一方、端末が上りリンクで基地局に送信する又は端末が基地局から受信する制御情報は、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、上述したCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHで送信することができる。
【0028】
図4及び図5は、本発明で用いるランダムアクセスプロシージャを具体的に説明するための図である。
【0029】
まず、端末がランダムアクセスプロシージャを行う場合としては次のような場合がある。
【0030】
− 端末が基地局とRRC接続(RRC Connection)しておらず、初期接続(initial access)をする場合
− 端末がハンドオーバー過程で、ターゲット(target)セルに初めて接続する場合
− 基地局の命令によってランダムアクセスプロシージャが要求される場合
− 上りリンクの時間同期が取れていないか、無線リソースを要求するために用いられる指定された無線リソースが割り当てられていない状況で、上りリンクで送信するデータが発生する場合
− 無線接続失敗(radio link failure)又はハンドオーバー失敗(handover failure)時に復旧過程を行う場合
【0031】
LTEシステムでは、ランダムアクセスプリアンブルを選択する過程において、端末が特定の集合の中から任意の一つのプリアンブルを選択して使用する競合ベースランダムアクセスプロシージャ(contention based random access procedure)と、基地局が特定の端末にのみ割り当てたランダムアクセスプリアンブルを使用する非競合ベースランダムアクセスプロシージャ(non−contention based random access procedure)の両方とも提供する。ただし、非競合ベースランダムアクセスプロシージャは、上述したハンドオーバー過程や基地局の命令によって要求される場合に限って用いることができる。
【0032】
一方、端末が特定の基地局とランダムアクセスを行う過程は、大きく、(1)端末が基地局にランダムアクセスプリアンブルを送信する段階(以下、混同がない限り、“第1メッセージ(message1)”送信段階という。)、(2)送信されたランダムアクセスプリアンブルに対応して基地局からランダムアクセス応答を受信する段階(以下、混同がない限り、“第2メッセージ(message2)”受信段階という。)、(3)ランダムアクセス応答メッセージによって搬送された情報を用いて上りリンクメッセージを送信する段階(以下、混同がない限り、“第3メッセージ(message3)”送信段階という。)、及び(4)上記の上りリンクメッセージに対応するメッセージを基地局から受信する段階(以下、混同がない限り、“第4メッセージ(message4)”受信段階)を含むことができる。
【0033】
図4に、非競合ベースランダムアクセスプロシージャにおける端末と基地局の動作過程を具体的に示す。
【0034】
(1)ランダムアクセスプリアンブル割り当て
上述した通り、非競合ベースランダムアクセスプロシージャは、(1)ハンドオーバー過程の場合、及び(2)基地局の命令によって要求される場合に行うことができる。もちろん、これら2つの場合であっても競合ベースランダムアクセスプロシージャを行うことができる。
【0035】
まず、非競合ベースランダムアクセスプロシージャのためには、衝突の可能性がない指定されたランダムアクセスプリアンブルを基地局から受信することが重要である。ランダムアクセスプリアンブルが指示される方法には、ハンドオーバー命令を用いた方法及びPDCCH命令を用いた方法がある。これによって、端末にはランダムアクセスプリアンブルが割り当てられる(S401)。
【0036】
(2)第1メッセージの送信
端末は、上述したように、自身にのみ割り当てられたランダムアクセスプリアンブルを基地局から受信し、その後に、該プリアンブルをその基地局に送信する(S402)。
【0037】
(3)第2メッセージの受信
端末は、上記の段階S402のようにランダムアクセスプリアンブルを送信した後に、基地局がシステム情報又はハンドオーバー命令を用いて指示したランダムアクセス応答受信ウィンドウ内で、ランダムアクセス応答の受信を試みる(S403)。さらにいうと、ランダムアクセス応答情報は、MAC PDU(MAC Packet Data Unit)の形式で送信されてもよく、該MAC PDUは、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)で伝達されてもよい。また、上記PDSCHで伝達される情報を端末が適切に受信するために、端末はPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)をモニタリングすることが好ましい。すなわち、PDCCHには、PDSCHを受信すべき端末の情報、PDSCHの無線リソースの周波数及び時間情報、そしてPDSCHの送信形式などが含まれていることが好ましい。端末が自身に送信されるPDCCHの受信にいったん成功すると、該PDCCHの情報によって、PDSCHで送信されるランダムアクセス応答を適切に受信することができる。そして、ランダムアクセス応答には、ランダムアクセスプリアンブル識別子(例えば、RA−RNTI(Random Access Preamble identifier))、上りリンク無線リソースを知らせる上りリンク承認(UL Grant)、臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)、及び時間同期補正値(Timing Advance Command:TAC)が含まれてもよい。
【0038】
上述したようにランダムアクセス応答にランダムアクセスプリアンブル識別子を含める理由は、一つのランダムアクセス応答には一つ以上の端末のためのランダムアクセス応答情報が含まれてもよいため、上りリンク承認(UL Grant)、臨時C−RNTI及びTACがどの端末に有効であるかを知らせる必要があるからである。この段階で端末は、段階S402で自身が選択したランダムアクセスプリアンブルと一致するランダムアクセスプリアンブル識別子を選択すると仮定する。
【0039】
非競合ベースランダムアクセスプロシージャでは、ランダムアクセス応答情報を受信することによってランダムアクセスプロシージャが正常に行われたと判断し、ランダムアクセスプロシージャを終了することができる。
【0040】
図5は、競合ベースランダムアクセスプロシージャにおいて端末と基地局の動作過程を説明するための図である。
【0041】
(1)第1メッセージの送信
まず、端末は、システム情報又はハンドオーバー命令(Handover Command)で指示されたランダムアクセスプリアンブルの集合からランダムに(randomly)一つのランダムアクセスプリアンブルを選択し、該ランダムアクセスプリアンブルを送信可能なPRACH(Physical RACH)リソースを選択して送信することができる(S501)。
【0042】
(2)第2メッセージの受信
ランダムアクセス応答情報を受信する方法は、上述した非競合ベースランダムアクセスプロシージャにおけるものと同様である。すなわち、端末は、上記段階S401でランダムアクセスプリアンブルを送信した後に、基地局がシステム情報又はハンドオーバー命令で指示したランダムアクセス応答受信ウィンドウ内で、ランダムアクセス応答の受信を試み、対応するRA−RNTI情報を用いてPDSCHを受信する(S402)。これによって、上りリンク承認(UL Grant)、臨時セル識別子(Temporary C−RNTI)、及び時間同期補正値(Timing Advance Command:TAC)などを受信することができる。
【0043】
(3)第3メッセージの送信
端末が自身に有効なランダムアクセス応答を受信した場合には、該ランダムアクセス応答に含まれた情報をそれぞれ処理する。すなわち、端末は、TACを適用し、臨時C−RNTIを保存する。また、UL承認を用いて、データ(すなわち、第3メッセージ)を基地局に送信する(S403)。第3メッセージには端末の識別子が含まれなければならない。これは、競合ベースランダムアクセスプロシージャでは基地局はいかなる端末がランダムアクセスプロシージャを行うか判断できず、後で衝突解決をするためには端末を識別しなければならないためである。
【0044】
端末の識別子を含める方法としては2つの方法が議論されている。一つの方法は、端末がランダムアクセスプロシージャ前に既に当該セルから割り当てられた有効なセル識別子を有していると、端末は、UL承認に対応する上りリンク送信信号を用いて自身のセル識別子を送信するというものである。他の方法は、仮にランダムアクセスプロシージャ前に有効なセル識別子が割り当てられていないと、端末は、自身の固有識別子(例えば、S−TMSI又はランダムID(Random Id))をデータに含めて送信するというものである。一般に、固有識別子はセル識別子よりも長い。端末は、UL承認に対応するデータを送信すると、衝突解決のためのタイマー(contention resolution timer)を始動させる。
【0045】
(4)第4メッセージの受信
端末がランダムアクセス応答に含まれたUL承認を用いて自身の識別子を含めたデータを送信した後、その端末は衝突解決のために基地局の指示を待つ。すなわち、特定のメッセージを受信するためにPDCCHの受信を試みる(S404)。PDCCHを受信する方法として2つの方法が議論されている。前述したように、UL承認に対応して送信された第3メッセージが端末自身の識別子で送信された場合、端末は自身のセル識別子を用いてPDCCHの受信を試みる。第3メッセージに含まれている識別子が固有識別子である場合、ランダムアクセス応答に含まれた臨時C−RNTIを用いてPDCCHの受信を試みることができる。前者の場合、仮に衝突解決タイマーが満了する前に自身のセル識別子を用いてPDCCHを受信した場合に、端末は正常にランダムアクセスプロシージャが行われたと判断し、ランダムアクセスプロシージャを終了する。後者の場合には、衝突解決タイマーが満了する前に臨時C−RNTIを用いてPDCCHを受信すると、該PDCCHが示すPDSCHによって伝達されるデータを確認する。仮にこのデータの内容に自身の固有識別子が含まれていると、端末は、正常にランダムアクセスプロシージャが行われたと判断し、ランダムアクセスプロシージャを終了する。
【0046】
D2D通信のためのリソースの割り当ては基地局から受けることができる。そのために、D2D通信の送信端末が基地局に無線リソースを要求し、基地局がそれに応答してリソースを割り当てると、これを用いて送信端末は一つ又はそれ以上の受信端末に信号を送信することができる。ただし、以下の説明では、このような一般的なD2D通信方式とは別に又は付加的に、上述したランダムアクセスプロシージャのように送信端末が基地局にランダムに接続してD2D通信を開始する方法を提案する。
【0047】
本発明の一実施例では、既存のランダムアクセスプロシージャの第1乃至第4メッセージを下記のように変更して、放送(broadcast、ブロードキャスト)、グループキャスト(groupcast)又はグループ通信サービス方式の端末間直接通信を実現する方法を提案する。説明の便宜のために、第1乃至第4メッセージはmsg1、msg2、msg3及びmsg4と表現することができる。
【0048】
以下の説明で使われるmsg1、msg2、msg3、msg4は、下記の各段階で伝達される情報又は信号を意味する。下記の段階は様々な提案方法に一般的に適用される手順であり、特定の提案方法に対してはその手順が正確に一致しないこともある。ただし、説明の便宜上、下記のように分類する。
【0049】
Msg1(段階1):
段階1は、(段階3で送信される予定である)放送/グループキャスト信号の送信を、後で定められる規則にしたがって試みる旨を知らせる過程と定義することができる。ここで言及する信号を、便宜上、msg1と呼ぶことができる。この信号はD2D UEから特定のeNBに伝達することができ、方法によっては、他のD2D UEがmsg1を受信してもよい(overhearing)。
【0050】
Msg2(段階2):
段階2は、段階1に対する基地局の応答であり、段階1を要求したD2D UEがmsg3に該当する放送/グループキャスト信号を送信するために必要な情報(例えば、リソース割り当て、電力制御、タイミングアドバンス(timing advance)、CP長など)を伝達する。ここで言及する信号をmsg2と呼ぶことができる。
【0051】
Msg3(段階3):
段階3は、段階1を要求したD2D放送/グループキャスト送信端末(Tx UE)が放送/グループキャスト信号をD2D Rx UEに伝達する過程である。場合によっては、制限されたD2D受信端末(Rx UE)(UEグループ)にのみ伝達されるようにしてもよい(受信対象を限定する)。また、場合によっては、基地局が当該信号を受信して適切な対応動作を行う(eNBが中継又は反復送信を代行する)ようにしてもよい。ここで言及する信号をmsg3と呼ぶことができる。
【0052】
Msg4(段階4):
段階4は、段階3が正常に行われるように補助する動作であり、段階3の信号受信に成功したか否か、又は成功しなかった場合にはどのチャネルがどのように誤って受信されたかなどによって関連動作を行うようにする段階である。場合によって、基地局は、段階3で送信されたメッセージ(msg3)を、段階4の送信時点にD2D Rx UE又はRx UEグループへ放送/グループキャストすることもできる。ここで言及された信号をmsg4と呼ぶことができる。
【0053】
上述した過程は、下記のようにPRACH手順と類似性を有するが、説明の便宜上、PRACHの用語及び手順を導入して説明したものに過ぎず、全体的な動作及び機能は異なってもよい。これは、以下の説明で別の言及がない限り、PRACH手順、機能を再使用することを意味する。
【0054】
以下、上述した手順(メッセージ)を用いたD2D通信方式の適用例を、図面を参照して説明する。
【0055】
図6及び図7は、本発明の一例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
【0056】
図6及び図7で、Tx UEは、D2D通信を開始するために、あらかじめ設定されたリソース区間で、ランダムアクセスプリアンブルと同様にmsg1をeNBに送信することができる。Tx UEのmsg1を受信するeNBは、Tx UEにサービスを提供するサービングeNBでよく、このeNBはTx UEのD2D通信の放送/グループキャストを支援することができる。
【0057】
図6及び図7で、eNBはmsg1に対する応答として、Tx UEのmsg3の送信のためのリソース割り当てなどの情報を含めたmsg2を、Tx UEに送信することができる。
【0058】
図6の例では、このように、msg2を受信したTx UEが所定グループのRx UEにmsg3を送信することを示している。すなわち、図6の例では、Tx UEは、msg2で割り当てられたリソースなどを用いて、msg3をeNBを経由せずにRx UEに直接伝達することができる。これを受信したRx UEは、必要によって、msg4をTx UEに伝達し、msg3の受信に成功したか否かを知らせることができる。
【0059】
一方、図7の例では、図6と違い、Tx UEに代えてサービングeNBがmsg3を所定Rx UEグループに送信する例を示している。これを受信したRx UEは、必要によってmsg3の受信に成功したか否かなどをmsg4でeNBに伝達することができる。
【0060】
図8乃至図10は、本発明の他の例によって擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてD2D通信を行う手順を示す図である。
【0061】
図8は、図6と同様に、放送/グループキャスト信号をTx UEが直接送信する例を示している。ただし、図8では、Tx UEの送信するmsg3をサービングeNBも受信し、必要によってmsg4を送信する過程をさらに示している。このようにeNBがmsg3を受信することによって、後述するように、HARQ再送信要求などに対してTx UEだけでなくeNBも再送信の主体となり得る。
【0062】
図9は、放送/グループキャスト信号(msg3)をTx UEとeNBが両方とも/選択的に送信する方式を示している。すなわち、eNBは、Tx UEのmsg3を中継送信することができ、これによって、Rx UEは2つの経路の信号を合成することができる。すなわち、事前に放送/グループキャスト信号情報をeNBに伝達した後に又はeNBがオーバーヒヤリングした後に同図のように送信し、Rx UEはこれらの信号を合成することができる。
【0063】
図9ではeNBがTx UEの信号を中継することを示しているが、これは、eNBに限定されず、他の装置で行ってもよい。
【0064】
図9の例を時間的な手順からみると、Tx UEがmsg3を送信(放送)する時点とeNBがmsg4を送信する時点とが異なるように設定されることが好ましい。図9では、このように、Tx UEがmsg3を送信した後、eNBが当該msg3を含むmsg4をRx UEに中継することを示している。ここで、Tx UEは当該時点でmsg3の送信を反復してもよい。
【0065】
TDDシステムでは、同じ周波数を使用することから、msg3の送信時点にTx UEも送信し、eNBも送信する場合には、eNBはmsg3をTx UEから受信すると同時にmsg3を送信する過程を行わなければならないが、これは実現し難い設計であり、好ましくないといえる。しかし、TDDの場合にも、同時に送信しないように実現することが可能であるため、それぞれ異なる時点に送信された信号を受信して保存しておき、チェースコンバイニング(chase combining:CC、チェース合成)又は増分リダンダンシ(incremental redundancy:IR)を用いてコーディング利得を上げるためにこれを使う方法も十分に適用可能である。この観点で、一度のmsg3送信によってRx UEに放送メッセージを伝達する目的と、eNBに(中継放送(relaying broadcast)のために)msg3メッセージ/コンテンツを伝達する目的とを同時に実現することもできる。
【0066】
一方、FDDの場合、Tx UEはD2D ULスペクトルを使用し、eNBはDLスペクトルを使用するので、時間の設計においてより自由である。msg3をD2D Tx UEから受信しながら同時にmsg3を中継するサービスを行うことさえできる。したがって、タイミングの設計において、FDDはTDDに比べて遅延(latency)を減らすことができる。
【0067】
一方、eNBのmsg4送信時点にTx UEがmsg3を同時に送信することも考慮することができる。このようにすると、Rx UEの観点では、同じ周波数上で異なる送信端末から送信された信号が合成して受信されるため、信号合成利得を得ることができる。この場合、簡単な方法として同じフォーマットで送信する方法があるが、重畳符号化(superposition coding)方式もあり、又はこれらのハイブリッド形態も可能である。
【0068】
この例で示しているmsg4は、他の例におけるmsg4とその役割が異なってもよい。Tx UEの立場でmsg4をmsg3の応答として考えると、Tx UEのmsg4の受信時点(RACHメッセージ4送信/受信時点のようにD2D msg4の時点も事前に定められている場合)と、eNBのmsg3を含むmsg4の送信時点とが異なるべきであろう。eNBはmsg3をTx UEから正確に受信したことを確認した後に(D2D msg4の本来の目的;他の例におけるmsg4)、所定の規則によって定められた特定のmsg4(msg3と同じフォーマット又はmsg3の内容を含むように設計された新しいmsg4信号)の送信時点に送信しなければならない。したがって、Tx UEのmsg3を含めてRx UEに伝達するよう図示されているmsg4は、他の例におけるmsg4が使われる場合には、区別してmsg5と呼ぶこともできる。
【0069】
ここで、msg3と同じフォーマットのmsg5を中継及び反復すると、図9に示すように、Tx UEも同じ時点にmsg3を送信して利得を増加させることができる。仮に別のフォーマットのmsg5を送信する場合には、Tx UEが当該別のフォーマットでmsg5を生成して送信することによって、同様に、コンバイニング利得(combining gain)を得ることができると期待される。ここで、送信は、Rx UEのページング及びDRX周期を考慮して反復されてもよく、これによって、Rx UEがスリープモード(sleep mode)から起床(ウェイクアップ)してこのような放送信号を少なくとも一度は受信できるようにすることができる。
【0070】
一方、図10は、送信UEが放送/グループキャスト信号を生成するが、Rx UEへの実際の信号伝達はeNBが行う例を示している。すなわち、D2D Tx UEから放送する情報がmsg3でeNBに伝達され、該eNBがRx UEに放送/グループキャストを直接行う方式で動作することができる。これによれば、Tx UEの電力消費の低減などにおいて利益がある。
【0071】
また、図10のようにmsg3送信をeNBに委任することをより効率的にするために、msg1と同時に放送メッセージを送る方式も考慮することができる。
【0072】
以下では、上述したような説明に基づいてより具体的な例を挙げて説明するが、まず、msg4が必要な場合と必要でない場合について具体的に説明する。
【0073】
図11は、本発明の一例において2つ以上の端末が同時に放送を試みて衝突が発生する状況を説明するための図である。
【0074】
具体的には、第1のD2D Tx UE(1110)と第2のD2D Tx UE(1120)は同時に、eNBにD2D放送を開始するために擬似ランダムアクセスプロシージャによるmsg1乃至msg4を送信することができる。第1のD2D Tx UE(1110)が送信するmsg1と第2のD2D Tx UE(1120)が送信するmsg1は、LTEにおけるランダムアクセスプリアンブルのようにTx UEを区別せず、msg1送信時点及び周波数によってのみTx UEが識別されるように設計されてもよく、この場合、eNBは両者を区別しないでmsg2を送信し、衝突が発生しうる。このような衝突は、eNBとmsg3及びmsg4を交換することによって、LTEにおける衝突と同様に解決することができる。また、本実施例では、eNBとの衝突解決手順だけでなく、Rx UEのmsg4送信によっても衝突解決ができると仮定する。すなわち、2つ以上のTx UEの放送信号が衝突することを認知したRx UE(1130)もmsg4を送信して衝突を解決できることを提案する。
【0075】
以下では、上述した擬似ランダムアクセスプロシージャを用いたD2D通信方式におけるmsg1乃至msg4の具体的な構成についてより具体的に説明する。
【0076】
Msg1
本発明の実施例に係るmsg1は、LTEにおけるランダムアクセスプリアンブルと同様に、送信端末が、システム情報にて受信した所定のシグネチャの中からランダムにシグネチャを選択し、あらかじめ定められた時間−周波数リソースの中からランダムに選択されたリソースで送信するように構成されることを提案する。
【0077】
D2D通信用msg1に関するシステム情報は、LTEのPRACHと同様、下記のとおりである。説明の便宜のために、この情報をD2D−PRACH構成情報と称するが、任意の名称にしてもよい。
【0078】
【表1】
【0079】
上記のシステム情報において、root indexの数A、物理構成の個数B、zeroCorrelation Zoneの構成個数C、及び周波数オフセットの数Dは、必要に応じて任意の個数にすることができる。また、これは例示的なものであり、上述したシステム情報の一部が省略されてもよい。
【0080】
Msg2−(スケジューリング命令としてのmsg2の役割)
下記では正常のスケジューリングと(緊急)放送用スケジューリング命令とが異なってもよいという仮定の下に2つの場合を区別して説明している。同じスケジューリングフォーマットであるとしても、その各フィールド(bit field)が意味する又は解釈される方式を目的によって異なるように実現することもできる。まずデコーディング(復号化)をし、該当のフィールドに(緊急)放送と一般のスケジューリングを区別する指示子フィールド(例えば、1ビット)をおくこともできる。
【0081】
A.放送/グループキャストのためのmsg2スケジューリング命令コンテンツ
− (非常に単純化した)リソース割り当て情報
− (非常に単純化された、または切断された)MCS
− ホッピングフラグ(Hopping flag)
− 優先順位指示子(緊急状況の場合)
− 電力制御命令(又は、後述するような固定/最大電力値(調節可能な値)
− タイミングアドバンス又は部分時間同期情報
− 必要な場合、インバンドエミッション情報(In−band emission information)
− UE IDベースのプロセシング
− グループキャストHARQ情報
− 優先順位カウンティング情報(公平性情報)
− その他のフィールド
B.一般スケジューリングのためのmsg2スケジューリング命令コンテンツ
− (非常に単純化した)リソース割り当て情報
− (非常に単純化された、または切断された)MCS
− ホッピングフラグ(Hopping flag)
− 優先順位指示子(緊急状況でない場合)
− 電力制御命令(又は、後述するような固定/最大電力値(調節可能な値)
− タイミングアドバンス又は部分時間同期情報
− 必要な場合、インバンドエミッション情報(In−band emission information)
− UE IDベースのプロセシング
− グループキャストHARQ情報
− 優先順位カウンティング情報(公平性情報)
− その他フィールド
【0082】
一方、既存のRACH手順のランダムアクセス応答(RAR)ベースのRACHスケジューリング命令をそのまま用いる場合には、下記の各フィールドの用途を異なるように設定してもよい。
【0083】
20ビットUL承認(ランダムアクセス応答承認)
− ホッピングフラグ−1ビット
− 固定サイズのリソースブロック割り当て−10ビット
− 切断型MCS−4ビット
− PUSCH送信のためのTPC命令−3ビット
− UL遅延−1ビット
− CSI要求−1ビット
【0084】
上記の1ビットのCSI要求は、D2D放送用に事実上使われる可能性がないので、これを特定のビットに設定し、仮想コーディング用ビットとして用いてコーディング利得を得ることもできる。又は、上述したように、(緊急)放送/グループキャストを区別する指示子の用途に使われてもよい。一例として、下記のように設定されてもよい。
【0085】
− Bit state “A”:(緊急)放送/グループキャストスケジューリング承認
− Bit state “B”:一般スケジューリング承認
【0086】
msg3 & msg4
上述した手順で説明したとおり、msg3及びmsg4は、Tx UEが実質的に放送して伝達しようとする実質的なメッセージ及びそれに対する受信応答でよい。以下では、放送メッセージを効率的に伝達するために導入されるべき手順及び技術について更に説明する。
【0087】
LTE放送メッセージの代表にはPBCHがあり、これはシステム情報を伝達する。中でもMIBメッセージは、その重要性を勘案して、反復コーディングを用いて非常に低いコーディング率を維持している。
【0088】
このような観点で、D2D放送メッセージであるmsg3も、低いコーディング率を維持することが好ましい。これを実現する方法として、msg3をn回(n=1,2,..,N_repetition、上位層又は物理層信号によって構成可能)送信してコーディング率を十分に確保できるようにすることを提案する。
【0089】
図12は、本発明の一側面によってmsg3のコーディング率を下げる方法を説明するための図である。
【0090】
上述したように、受信端末においてコーディング率を下げるための一方法には、Tx UEが反復して直接送信できるようにHARQメカニズムを用いたり、又は上述したように、msg3を受信したeNB又は中継機のような装備が送信を中継したりする方法がある。すなわち、Tx UEが再送信又は反復的送信をしてもよく、eNBを介して再送信又は反復送信をしてもよく、両者を適用してもよい。図12には、Rx UEがeNB及びTx UEの両方から送信されたmsg3を合成して受信する例を示している。
【0091】
msg3を複数のソースから受信してそれらを合成しなければならない状況で、FDDの場合、Tx UEのmsg3送信はUL帯域を使用し、eNBによって中継されたmsg3はDL帯域を使用するので、必ずしもTx UE msg3送信時点とeNB反復msg3送信時点とが一致する必要はない。異なる帯域で伝達されたmsg3を合成することによって、有意の合成利得を得ることができる。
【0092】
TDDでも同様に、Tx UEとeNBの同期の取れた送信又は反復を必須にする必要はないが、可能なら、同じ時点に送ることがリソース消費の側面では一層効率的である。
【0093】
図13乃至図15は、本実施例による反復送信の効果について説明するための図である。具体的には、図13乃至図15は、msg3を2回送信したが応答がなく、結局、3回目にmsg3を送信して成功する場合を例示している。
【0094】
図13は、eNBのような中継サービスがなく、D2D Tx UEが反復送信を直接行う例である。このような反復的送信は、本発明者による他の発明に開示された方法、すなわち、ページング(paging)信号の特性上、複数のUEが同時にページング信号を受信することができず、起床する度にページンググループ単位に聴取できるように反復送信する方法とは異なる意味の反復送信である。すなわち、Rx UEの立場で1回以上又は一つ以上のノード(Tx UE、eNB、又は中継機)から信号が重複受信されるようにすることにその意味がある。又は、HARQ手順によってデータを送信してエラーが発生する場合、これを復旧するレベルで同じRV又は異なるRVを送信し、受信端末で合成するようにするHARQ復元過程と関係がある。
【0095】
図13は、eNBが中継送信に参加しない場合、図14は参加する場合、図15は、eNBとTx UEの両方が再送信に参加する場合を示している。
【0096】
図14で、Tx UEから送信される一番目のmsg3とeNBから送信される2番目のmsg3は、互いに異なる時点と異なる空間で送信された信号であるが、互いに適宜合成することによってデコーディング性能を向上させることができる。例えば、受信端末でチェースコンバイニング又は増分リダンダンシを用いると、コーディング利得を向上させることができる。したがって、図13乃至図15に例示された方法においてmsg3は、異なる時点もしくは同じ時点、又は、同じ送信地点もしくは異なる送信地点のいずれで送信された場合でも、受信端末で適切なプロセス(例えば、CC、IR)及びバッファリング管理を行うことによって復調の成功確率を格段に高めることができる。
【0097】
この過程で、Tx UEがeNBにmsg3を伝達する方法として、まず、別個のリソース及びチャネルを用いて直接伝達することができ、D2D Tx UEがmsg3を放送する時にeNBがその情報をオーバーヒヤリングし、それに基づいてデコードされた値を再送信に含めることも可能である。この場合、Tx UEに特別な情報を与え、“msg3をよく受信しており、以降のエラー発生時に自身が再送信に直接参加する”旨を伝達できる応答信号をTx UEに伝達することが好ましい。このような信号は、物理層の他、上位層の信号によっても伝達可能である。
【0098】
図16乃至図18は、受信端末によるmsg3の合成過程を説明するための図である。
【0099】
Tx UEから最初に送信又は再送信されたmsg3をmsg3.ai(i=0,1,2,…,N1_repetition)と示し、eNBから送信されたmsg3をmsg3.bi(i=1,2,3,…,N2_repetition)と)と示している。
【0100】
図16では、Tx UEのみがmsg3を送信するので、受信端末ではmsg3をバッファリングし、次に到着するmsg3とCC又はIR動作を行って適切な結果値を得ることができる。複数回送信されて成功する場合を考慮すれば、次のような2つの動作が可能であろう。
【0101】
(M1)Tx UEから現在受信したmsg3.a(i)値と以前に受信したmsg3.a(i−1)に対してCC又はIRを行う。このようにして得た結果を次の段階でCC又はIRの入力値として用いる。
【0102】
(M2)受信して保存している全てのmsg3.aiに対して、新しい値を受信する度にCC又はIRを行う。
【0103】
図17は、Tx UEとeNBから同時にmsg3を反復受信する場合を示している。この場合にも様々な形態でCC又はIRを行うことができる。この場合、次のようなCC又はIRを行うことができる。
【0104】
1)Tx UEから受信したmsg3.a系列に対してのみ上記のM1又はM2方式によってCC又はIRを行い、さらにeNBから受信したmsg3.b系列に対してのみ上記のM1又はM2方式によってCC又はIRを行った後、両結果値(a系列、b系列)に対してさらにCC又はIRを行う。
【0105】
2)送信地点にかかわらず、受信した信号の順で上記のM1又はM2方式によってCC又はIRを行う。
【0106】
図18は、Tx UEからの初期送信後に、再送信は全てeNBから行われる場合を示している。
【0107】
この場合、msg3.a0、msg3.b1、msg3.b2をそれぞれCC又はIRすることができる。この場合も同様に、上述したM1又はM2方式を用いることができる。
【0108】
上述の方式は、図示のように、msg3を全て受信した場合を仮定している。特定のUEは一部のmsg3のみを受信するように設計されていてもよく、この場合には、受信されなかったmsg3は上記の提案方式において省略し、次の段階を実行しながらCC又はIRを行えばいい。
【0109】
LTE RACHの場合、msg1を初期送信した端末はmsg2のモニタリング及びそれに対するmsg3の送信を行うように設計されている。本実施例に係る方法はmsg3をRx UEをターゲットにして放送する目的で使用するので、Rx UEはmsg1を受信さえしておらず、msg2のモニタリングを試みないはずである。しかも、msg3をTx UEが送った事実も知っておらず、これをモニタリングして受信しようとしないはずである。特に、msg3はたいていUEが送信するものであるが、これを受信しなければならないという点が大きく異なる。
【0110】
したがって、msg3を受信させるためには、事前に特別な措置を取る必要がある。特に、msg3の信号をデコーディング及びデモジュレーション(復調)する情報が必要である。この点で、msg3に対するスケジューリング承認の役目を担うmsg2を受信UEも受信することが好ましい。すなわち、msg3のデコーディング、デモジュレーションを行うための情報(リソース割り当て、MCS、HARQ、送信時点、タイミングアドバンス、cp長、緊急指示子、ホッピング指示子、優先順位指示子、msg3の送信回数、再送信タイミング、HARQ応答方法など)をmsg2に含めてRx UEに伝達することが好ましい。また、msg2情報のデコーディング及びデモジュレーション情報に先立ってRx UEはmsg2を受信しなければならず、よって、msg2が送信される又は送信される可能性のある時点に関連する情報、RNTIに関連する情報(msg2 PDCCHがRNTIでマスキングされている場合、これをデマスキングするためのRA−RNTIのような情報、D2D Tx UEのために留保されたRNTI値の範囲又は特定の割り当て値)、Tx UE ID(必要な場合)、Tx UEのmsg1送信情報(時間−周波数リソースインデックス、サブフレーム、無線フレーム、UE ID、IMSI)、特に、msg2スクランブリング、マスキングに用いられる情報をあらかじめ知らせることが好ましい。
【0111】
又は、msg2が送信されるサブフレーム情報(固定又は可変値)を放送してRx UEにあらかじめ知らせ、これによって設定されたサブフレーム又は無線フレームに対して継続的にモニタリングを行ってmsg3をデコーディング及びデモジュレーションしなければならない。
【0112】
一方、中継伝達される場合、msg3の形態ではなくmsg4の形態で伝達される可能性があるので、msg4の伝達時点にRx UEが継続的にモニタリングをして、msg4(msg3の情報を含むフォーマットで送信する場合も、msg3をそのまま送信する場合も含む)をデコーディング及びデモジュレーションして最終的に放送メッセージが得られるようにしなければならない。
【0113】
又は、msg3と同じフォーマットで送信する場合は、事実上msg4はなく、単にmsg3の再送信又は反復送信と見なすこともできる。
【0114】
次に、msg2を受信することによってmsg3を正常に送信したと仮定する。msg3はTx UEからeNB及びRx UEに伝達され得る。eNBの場合、msg3を受信するとmsg4をTx UEに伝達し、受信に成功したか否かを示すことができる。グループキャストの場合も同様に、msg3を受信したRx UEはmsg4(Rx UEがTx UEに伝達するメッセージであって、eNBがTx UEに伝達するメッセージと同一であってもよいが、異なるように設計されてもよい。)を送信し、受信に成功したか否かを返信することができる。ただし、放送である場合には、Rx UEはmsg4の送信過程を省略してもよい。又は、msg4受信に成功したか否かをRx UEからeNBに伝達し、これをeNBが取りまとめてTx UEに伝達する方法も可能である。これは、eNBが全てのRx UEの信号を相対的によく受信できるという仮定の下における方法であり、この場合、eNBは、msg3の受信に成功したか否かを最終決定する装置となってもよい。しかも、msg3が正しく伝達されていない場合、eNBは再びmsg2をスケジューリングしてmsg3の送信を再び試みるようにすることもできる。
【0115】
これと異なる問題として、msg3を送信したが、それに対する応答がない場合がありうる。これについて分析する。応答がない場合、すなわち、Tx UEがmsg4を受信できなかった場合は、eNBが送るmsg4のPDCCHをデコーディングできなかった場合と、PDSCHをデコーディング及びデモジュレーションできなかった場合に大別できる。
【0116】
(1)PDCCHエラーの場合(PDCCHの検出失敗)
msg4のためのPDCCHをモニタリングしたが、msg4 PDCCHが検出されなかった場合である。これは、msg3を受信できなかった場合であるが、msg3の衝突(一つ以上のTx UE端末がmsg1を送信してmsg2応答を同時に受け、それぞれmsg3を送信する。)によって正しく受信できなった場合と、msg3送信無線チャネルが良好でないことから正しく受信できなかった場合とに分類できる。D2D放送の送信手順に失敗したのであるから、簡単な解決方法はmsg1から手順を再び開始することである。もちろん、この過程で、以前に受信した各種パラメータ及びそれに対する設定値は再使用されてもよい。
【0117】
又は、パラメータを一定レベル強化して使用することもできる。例えば、msg1の送信電力を従来に比べて高い送信電力にして再び開始することができる。又はmsg1の受信に成功したなら、msg2のスケジューリング承認のために設定されたTPC命令などをより高い値に設定してスケジューリングを試みることもできる。
【0118】
又は、msg4応答がない場合、msg1は省略し、msg2が送信されるように約束された(このような状況で認知できるように約束された)サブフレームでmsg2をモニタリングしてmsg3のスケジューリング承認を再び受信する方法もある。
【0119】
一方、msg4そのものを省き、単純にmsg3を放送することで終える方法も可能である。msg4は、msg3に対するHARQ動作及びRRC接続の完了又は確認などの用途のために設計されたものであるが、D2Dにおいて特に放送を行う場合には応答が不要な場合があり、msg4が不要であってもよい。特に、外部ネットワークカバレッジ(outside network coverage)の場合にはmsg4無しで動作するのに無理がないだろう。
【0120】
(2)PDSCHエラー状況(PDSCHの復調失敗)
msg4 PDCCH検出に成功したということは、直前の手順でmsg3を正常に受信したことを意味し、従って、msg4 PDCCHを送信したはずである。しかし、PDSCHにエラーが発生して復調が不可能な場合がありうる。この場合は、普通のHARQ動作におけるエラー状況と同一であり、一般の場合、正常のHARQ動作ではNACKを送信しようとするはずである。しかし、D2D放送の場合には既存のRACHとは違い、msg3を再送信する必要がない場合もある。仮に再送信をする場合には、msg2を用いて再送信のためのスケジューリング承認を送信して行う方法と、事前に指定されたスケジューリング承認情報を用いてTx UEが独自で再送信を行う方法が可能である。
【0121】
2つ以上のTx UEがmsg3を送信しても、場合によっては、そのいずれか一つのmsg3がeNBに検出されて復調に成功する。この場合、msg4応答が、msg3の送信に成功したTx UEに伝達されるはずである。そして、msg3の受信に成功したeNBは、成功したTx UEが放送メッセージの受信に成功したか否かを知らせるmsg4を用いてmsg3に応答するはずである。すると、Tx UEは放送送信過程を終了する。しかし、msg4応答を受けたが、自身に対するmsg4でない場合には、msg1の送信手順に戻って再び始めることが好ましい。eNBすらどのTx UEが放送を送信したか判別できず、msg3のためのmsg2スケジューリング承認を生成できないためである。このような衝突解決過程は現在RACH msg4を用いて行っており、この場合、msg4の受信後、自身のUE IDがないと判断されると、再びmsg1を行う。
【0122】
図19は、eNBがmsg3を中継する役割を担う場合に、Rx UEの受信動作手順を説明するための図である。
【0123】
中継されたmsg3は、RACHプロシージャからすれば段階4(msg4)に該当すると見なすこともできる。ただし、その内容がmsg3であるから、図19では、中継されたmsg3と表記する。
【0124】
D2D Rx UEは、D2D放送を受信する他、eNBとの接続を維持している可能性があり、このため、eNBからPDCCH/EPDCCHを介してPDSCHのスケジューリングを受けることができる。このような場合であれば、Rx UEはD2D放送のmsg3(中継された又はそうでないmsg3)を受信すべきか、eNBからの一般的なPDSCHを受信すべきかを決定しなければならない。
【0125】
もちろん、受信能力があれば両者とも受信して処理することもできる。しかし、仮に2つのうちの一つを受信することが好ましいと判断される場合(特に、同一キャリア、帯域又はスペクトル上で受信される場合)には、中継されたD2D放送のmsg3を受信することが好ましい。放送メッセージは特性上、緊急な信号であることを考慮すると、D2Dリンクに受信優先順位をおくことが好ましい。
【0126】
しかし、複数のキャリアが存在し、キャリア1はeNB−UE通信、キャリア2はD2D通信接続を維持している状況で、キャリア2で中継されたD2D放送のmsg3が送信されると、これを受信すると同時に、キャリア1に同一時間にスケジュールされたPDSCHも併せて受信することが好ましい。
【0127】
既存のRACH動作を参照すると、次のとおりである。
【0128】
LTE RACH動作において、RA−RNTIとC−RNTI又はSPC−RNTIが同じサブフレームに割り当てられ、UEが複数のタイミングアドバンスグループで構成されていない場合、当該UEはC−RNTI又はSPS−RNTIでスクランブルされたCRCを有するPDCCHが示すPDSCHをデコーディングする必要がない。
【0129】
【表2】
【0130】
ここで、従来とは違い、RA−RNTIがD2D放送用に用いられていると仮定すれば、特定のサブフレームでRA−RNTIと共にC−RNTI、SPS C−RNTIが検出されても、RA−RNTIのみをデコーディングし、C−RNTI、SPS C−RNTIを検出しなくてもよい。すなわち、C−RNTI、SPS C−RNTIが来ることを期待しない動作が追加されなければならない。
【0131】
仮に、D2D放送にRA−RNTIではなくD2D RNTIのような新しいRNTIを導入して放送、グループキャストを行うとすれば、D2D RNTIの他に、C−RNTI、SPS C−RNTIでスケジューリングされるPDSCHはないと仮定するように義務付けることができる。
【0132】
中継されたmsg3はデコーディング時間について制約がない点を考慮すれば、受信して保存しておき、余力のある時にデコーディングする動作も可能てある。例えば、C−RNTI、SPS C−RNTIと共にD2D用RNTIも同時に受信して、緊急の程度又は優先順位によって順次デコーディングを行うことも実現可能であろう。
【0133】
上記の内容はmsg4に関するものであるが、D2D動作におけるmsg2(放送msg3のスケジューリング承認)を受信するD2D Tx UEにとってはD2Dリンクに優先順位をおかなければならず、このため、D2D RA−RNTI又は新しいD2D RNTIのようにD2D msg2を伝達するリンクを優先的に受信しなければならない。すなわち、同一サブフレームにおいてC−RNTI、SPS C−RNTIでスケジュールされたPDSCHが存在することを期待しないようにすることができる。
【0134】
本内容ではD2D放送について主に言及したが、提案技術はグループキャストの他、ユニキャストにも適用可能である。
【0135】
グループキャストの場合
本発明の一実施例では更にグループキャストのためのHARQ ACK/NACK設計を行うことを提案する。特に、グループキャストUEの場合、放送UEとは違い、送信msg3に対するHARQ ACK/NACKを用いてグループメンバーを管理することができる。
【0136】
したがって、グループキャストではmsg4がTx UEに伝達されることが好ましい。しかし、Tx UEの再送信を代行する対象が存在すると、その対象にmsg4を伝達し、Tx UEに伝達しなくても再送信パケットを受信することができる。例えば、eNBがこのような役割を担うことができる。又は、近接している他の中継UEがこのような再送信を行ってもよい。もちろん、このような中継対象がいないなら、Tx UEに伝達されることが好ましい。
【0137】
Tx UEに伝達される過程では、Tx UEに直接伝達する方法も、迂回して伝達する方法も使用可能である。eNB又は他のD2D UEを介し迂回してTx UEにエラーの有無、再送信の必要性などを知らせることができる。
【0138】
一方、放送の場合には、受信メッセージのエラー有無をフィードバックしない方がより好ましい。不特定多数に伝達されるだけに、その一部対象が正しく受信できなかったという事実は必ずしも知る必要はないためである。
【0139】
さらにいうと、Rx UEがmsg3の受信に成功した場合には、eNBが中継したmsg3を送信する必要がない。仮に、一部のRx UEが失敗した場合には、eNBが中継したmsg3を送信することが好ましいだろう。eNBが再送信をするには、このような事前知識が必要であるが、この情報はTx UEから得てもよく、eNBがRx UEからフィードバックを直接受けて、再送信をするか否かを決定してもよい。例えば、Tx UEがmsg3を送信すると、一部のUEは受信に成功するが、他のUEは受信に失敗する可能性がある。失敗したUEは、Tx UEにmsg4を直接送信してmsg3の受信成功又は失敗を通知することができる。又は、eNBの存在を知り、eNBが中継して再送信に参加することを知ると、eNBにmsg4を送信することもできる。Rx UEから返信されたmsg4は事実上HARQ ACK/NACK情報に対応してもよく、これはグループ内msg3情報の受信状態を知らせる基準となる。
【0140】
仮にTx UEのみmsg4のACK/NACKを聞いた場合には、これをeNBに知らせるシグナリング過程が必要とされ、これは、eNBとTx UE間の接続がある場合には、上位信号で知らせてもよく、MAC又は物理シグナリングで知らせてもよい。
【0141】
ただし、ある程度の遅延を甘受しなければならない。このような遅延は、場合によってはシステムの効率性に大きな影響を及ぼすこともあり、遅延を減らすために、Rx UEからmsg4 ACK/NACKをeNBが直接受信できるようにすることもできる。このようにすると、eNBが受信したACK/NACKの統計に基づいて又は個々のACK/NACKフィードバック情報に基づいて、再送信するか否か及び再送信方式を決定することができる。
【0142】
UEを個々に制御する場合には、個々のUEに再送信を試みることができ、UEのグループに対して一つの応答を得ることもできる。後者の場合、UEのグループのACK/NACKの統計の結果、P_AN%以上がACKである場合には、全て受信したと仮定し、再送信をせずに次の送信を試みる。逆に、P_AN%以下がACKである場合には再送信を試みるように特定の閾値を導入することができる。又は、受信に失敗したUEのみNACKを送信し、これをSFN合成して受信されるようにしてもよい。これにより、NACKの信号の強度又はエネルギーに基づいてどれくらいのUEがmsg3を正しく受信できなかったか推定することができ、これに基づいて再送信するか否か及び再送信方式を決定することができる。
【0143】
図20は、送信端末が受信端末からmsg4にてmsg3の受信に成功したか否かを知らせるフィードバックを受けてeNBに知らせる方式を示している。
【0144】
eNBは、このように送信端末から受信した情報に基づいて、再送信するか否かを決定することができ、これによってmsg3の再送信を行うことができる。
【0145】
図21は、基地局が受信端末からmsg4にてmsg3の受信に成功したか否かを知らせるフィードバックを直接受ける方式を示している。
【0146】
この場合、基地局は自分で、受信端末から受信したmsg4に基づいて再送信するか否かを決定し、msg3を受信端末に再送信することができる。
【0147】
ここで、eNBにフィードバック情報が送信される場合、ACK/NACKリソースはPUCCHを用いることが基本となるだろう。ただし、UuリンクのPUSCH送信を考慮して、同時送信状況が発生する場合、PUSCHにピギーバック(piggybacking)する方式を用いることもできる。ここで、PUCCHリソースは付加的なPUCCHリソース領域に割り当てて管理する場合を考慮することができ、個々のPUCCHリソース割り当てはmsg3送信リソースと関連付けて(linkage)動的に選択して使用するようにすることもできる。リソース領域の開始位置は、N_pucch_offsetを与えて事前に指定し、その領域内でmsg3送信リソース位置など(RBインデックス、RB及びサブフレームインデックス、UE ID、及びRB及びSFインデックスなど)とリンクさせてすべてのサブフレームにおいて新しく決定されるようにすることができる(例えば、PDCCH CCE−to−PUCCHインデックスのリンクのような方式)。
【0148】
又は、msg2グループRNTI及び/又はRARインデックスにリンクさせて決定することもできる。
【0149】
図22は、本発明の一例によってmsg4の送信リソースを様々な送信にリンクして決定する概念を説明する図である。
【0150】
すなわち、msg4 PUCCHを介してACK/NACKを送信するリソースは、UE ID、msg2 RNTI、msg2 RARインデックス、msg2 PDSCH RB位置及び/又はmsg4 RB位置にマッピングさせて決定することができ、この場合、msg4の送信のための個々のリソース割り当てが省略されてもよい。
【0151】
上述したように提案された方法は、RRC接続されたUE(RRC Connected UE)の他、遊休モードのUE(RRC Idle UE)にも適用することができる。緊急状況を考慮すれば、遊休(アイドル)モードのUEもD2D放送信号の送受信に参加可能でなければならないためである。
【0152】
遊休モードのUEがRRC接続を確立せずに情報を伝達、例えば放送することが現在の標準では不可能なため、別のD2Dモードを作って放送をしない限り、遊休モードのUEは放送を行うことができない。したがって、現在の標準によって遊休モードのUEが放送を行うために必要とされるRRC接続を行うためには、事前にRACH手順が必要である。
【0153】
ところが、RRC接続を完了せずにRACH手順の途中に放送を送信できるとすれば、遅延に関して有利である。そこで、本発明の一例では、このように遊休モードの端末が擬似ランダムアクセスプロシージャを用いてRRC接続手順の完了前にも放送を行えるようにする方法を提案する。簡単な例示としては、Tx UEがmsg1を送信し、Tx UEがmsg2をeNBから受けた後、直ちにmsg3を放送信号送信用に使用できるように設定することを提案する。
【0154】
以下、遊休モードの端末が放送を行うための手順は、特に言及がない限り、図6乃至図10の手順のいずれをも用いることができる。
【0155】
緊急状況などの理由で又はグループ通信用グループキャストのために放送/グループキャストする内容があるD2D Tx UEは、msg1をeNBに送信することができる。これは、放送信号を送信するために必要なスケジューリング情報を要求する信号と見なすことができる。既存プリアンブルとは目的/シーケンス構成が異なってもよい。また、eNBは両者を区別するために別個のシーケンス、リソース、送信パターンなどを有することもできる。
【0156】
本発明の他の例で、msg2はmsg1のリソース要求に対する単純な許諾(grant)のみを意味することもできる。例えば、放送送信リソース、時間、周波数などが事前に構成されている場合、又は暗黙的に分かる場合には(msg1情報によって異なるか、UE ID、プリアンブルインデックス、送信リソース位置/インデックス又はこれら情報の組合せなどによって分かるなら)、msg1を送信してmsg2を受信してeNBに許諾だけを受けるわけである。そして、Rx UEは、事前に構成されるか暗黙的に分かる時間、周波数リソース位置で放送信号を受信するだろう(ここで、サブフレーム、無線フレームだけでなく、タイミングアドバンス情報(timing advance information)も時間リソースとして考慮されてもよい。)。
【0157】
msg3のための暗黙的な情報の例として、緊急又は特別な目的の放送信号は常に特定の時間及び周波数リソースで送信され、これによって、eNBは、当該リソースで或る信号が検出されるとこれを緊急又は特別な目的の放送信号と見なし、それに従って措置を取ることができる。
【0158】
本発明の他の例は、上述した例とは違い、msg2がmsg1要求に対する単純許諾でない場合であり、msg2を用いてmsg3を送信するために必要なスケジューリング情報を伝達するように設定することができる。一方、遊休モードのUEがいつmsg3を聞かなければならないか知らない場合には、これを知らせるために、ページング(paging)のような起床手順を導入することもできる。D2D遊休モードのUEへ、ページングによって放送信号のモニタリング候補時点、サブフレーム、無線フレームを知らせる。すなわち、いつ起床して聞かなければならないかに関する情報を知らせる。
【0159】
msg3が送信される前に、これについて全てのUEに指示されなければならない。これは、既存のページングとは異なる付加的なページングと認識されてもよい。ページングではUE ID、上位層パラメータによってUEがいつ起床してモニタリングしなければならないかを決定したが、本実施例に係る新しいページングでは、msg2を聞くべきD2D Rx UEのために全てのUEが特定の時間に特定のリソースをモニタリングするようにするページング信号が導入されてもよい。ただし、既存のページング動作の変化を最小化するためにページングはそのままにするが、異なる時刻に起床するD2D Rx UEがmsg2を逃さずに聞くことができるようにmsg2を複数回送信するようにし、これで、全てのRx UEにmsg3を少なくとも一度は受信できる機会を提供することができる。このように、同じ内容を繰り返して送信する周期は、内容を聞くべき基本D2D Rx UEが少なくとも一度は起床してmsg2を聞くことができるように設定することが好ましい。正確な周期は、msg2検出性能などにしたがって別々に設定されてもよい。
【0160】
関連した動作として、msg2を送信する度にmsg3も併せて送信することができる。これは、msg2を送信して一定時間が過ぎた後にmsg3を送信するようにする方式によって実現することができる。又は、複数回のmsg2を送信してからmsg3を1回送信する動作も可能である。ここで、msg2とmsg3は一対一の対応関係でなくてもよく、多対一の対応にしてもよい。ここで、タイミングの関係はt>0から様々に設定されてもよい。このようなタイミングの関係は、UEページング動作と関連付けることも可能である。
【0161】
msg3を受信する動作は他の信号に比べて高い優先順位を有するようにする必要がある。msg3が緊急信号であるとともに放送される信号であれば、その緊急性から、他の信号の送受信よりも高い優先順位で受信されるように実現する必要がある。仮にmsg3を受信すべきサブフレームで上りリンク送信をしなければならない場合には、UEからeNBへの送信において、当該チャネルを省略(skipping)/放棄(dropping)/遅延(delaying)してもよい。
【0162】
eNBがD2D UEに該当の時点で信号を送信する場合には、msg3受信が当該信号に比べて優先するので、当該信号の送信動作を止めることが好ましい。この場合にも、関連送信チャネル動作(例えば、HARQ)をスキップしたり遅延させたりすることが可能である。このような動作は、一つ以上のサブフレーム(複数のサブフレーム)に、サブフレームのグループ(又はセット)に、又は不規則周期パターンを有するサブフレームグループ(又はセット)もしくはサブフレームベースの周期単位に現れてもよい。
【0163】
再びmsg2について説明すると、msg2の基本送信情報としてTA(timing advance)、時間/周波数割り当て、電力増強情報(power ramping information)などが含まれてもよい。ここで、TA情報は、放送Rx UEがおおよその受信時点を推定するために有用に用いることができる。例えば、TAの非常に大きいUEが放送Tx UEであり、TAを考慮しないでサブフレーム情報のみを受け、自身のTAを基準にしたりTA=0を基準にしたりして受信を試みる場合には、タイミング誤整列(timing mis−alignment)によって放送信号を正常に受信できない可能性もある。したがって、TAが大きいほどその重要性は増すだろう。
【0164】
この点で、Tx UEのTAの値をすべてのRx UEに知らせるメカニズムを導入することが好ましい。msg2によって搬送されるTA値を受信し、これを以後の受信用途に用いてもよい。すなわち、TAを補正した/考慮した値でTx UEは送信をし、Rx UEは受信をする。
【0165】
必要な場合、CP長を知らせてこれを送信/受信UEが利用することも可能である。例として、放送信号の送信リソースが事前に互いに知っている値に固定されていたり、例として、D2DでもRA_RNTI=1+t_id+10*f_idを用いてRA−RNTIを決定するとき、t_id、f_idを放送/グループキャスト対象UEが全て共有していたりすると、msg2を同じRA_RNTIでデコーディングすることができる。ここで、t_idは特定のPRACHの最初のサブフレームインデックス(0≦t_id<10)を、そしてf_idは周波数領域で降順に当該サブフレーム内の特定のPRACHのインデックスを示す(0≦f_id<6))。
【0166】
他の例として、D2Dでは他の形態でRA−RNTIを決定することもできる。事実上msg2のコンテンツはPDSCHで伝達されるので、D2D放送信号の受信に必須の情報又は役立つ情報を含むように設計することは難しくない。基本的には、いつ放送信号が送信されるかに関する情報、そしてどのリソース領域で送信されるかに関する情報が必要である。前述したように、UEのPO、PFが異なるので、放送信号が一度だけ送信されると、その情報を全ての遊休モードのUEが同時に聞くことができないという問題がある。このため、msg2を全てのRx UEが聞けるように、特定時間区間TでN回にわたって同じ内容を伝達する必要がある。
【0167】
ここで、内容は同一であっても、カプセル化(encapsulation)は異なるように設定されて伝達されてもよい。ここで、既存動作と異なる一つの点は、msg1を送信しないUEがmsg2を受信しなければならないということである。そのために別の事項が要求されてもよい。
【0168】
グループキャストである場合、グループのUEが全てmsg2を受信するように要求されてもよい。msg2から放送受信に必要な情報を得たと仮定し、Tx UEは放送信号を(Rx UEが全て知っている)事前に約束された時間/周波数リソースで送信する。一方、t_id、f_id値で構成された送信領域でmsg1を送信すると、msg2を受信する一つ以上のRA_RNTIが存在するので、既存の標準技術では、UEはt_id、f_idがマッチする一つのRA_RNTIで受信を試みることになる。
【0169】
仮に複数のt_id、f_idが存在し、複数のmsg1送信領域(放送信号用にmsg1のために特別に予約された値)で送信される場合、msg2が複数のRA_RNTIで送信されても、UEは複数のRA_RNTIに対してそれぞれブラインドデコーディング(blind decoding)を試みてmsg2の受信を成功させる方法を提案する。この方法は、msg1を送信できるリソース領域を複数個確保することによってmsg1送信の柔軟性を高めることができる。ただし、多すぎるt_id、f_idは多すぎるRA_RNTIを生成し、結局としては、UEのモニタリングすべきID値が増加して複雑さが増加しうるため、これを適度のレベルに管理するためには、制限された数のt_id、f_idを有することが好ましい。例えば、数個程度であれば、UEがブラインドデコーディングする上で複雑さが大きく増加しないものと判断される。
【0170】
これをより簡単にするために、特定のt_id、f_id値が全て同じRA−RNTIを有するようにしてもよい。すなわち、送信位置が異なっても、事前に構成された特定のリソース領域においてその送信位置が一つのRA−RNTIにマッピングされていると、一つのRA−RNTIでRARメッセージ(msg2)を得ることができる。
【0171】
上記の動作をRRC接続されたUEに適用する際には一部の動作を改善してもよい。RRC接続されたUEであるにも拘わらず、遊休モードのUEのように動作するよう上記の動作を適用することも可能である。この場合、新しい動作が定義されることと等価てある。
【0172】
Tx UEが接続モードにあると、敢えてPRACH手順を行う必要はない。既に少なくともDL同期化及びTAはある程度追跡されていると仮定できる。この場合、放送要求をmsg1ではなく他の信号を用いて行うことができる。
【0173】
最も基本的な方法は、スケジューリング要求(scheduling request)を送信するものである。この信号が、RRC接続されたUEに対して、遊休UEのためのmsg1の役割を担うと見なすことができる。msg2を全てのRx UEが聞くべきだという条件を満たすには、RA−RNTIのように共通探索領域(Common search space:CSS)で送信されることが好ましい。この場合、特別なリソースのSRとこれに対応する放送−RNTIが要求される。ここで、特別なSRリソースは、SRリソースの特性がCS(cyclic shift)インデックスとOCS(orthogonal cover sequence)インデックスによって決定されるので、このうち、特定のインデックスの組合せをSRリソースとして用いることができる。
【0174】
又は、上述したSR送信のためのリソースは、上位層信号によって構成されてもよい。現在SRとして使用中の全てのリソースを構成可能なリソースの対象とすることができる。或いは、特定のRBを放送−SRのみを送信するRBとしてもよく、特定のインデックス範囲を放送−SRを送信するインデックスとすることもできる。また、拡散係数(Spreading Factor:SF)3に該当するシンボルと拡散係数4に該当するシンボルとで構成されるインデックスの組合せは、SF=3の制約により、SRリソースが一般CP、DELTA=1の場合に36個のみを使用できるが、これは、SF=4の場合に48個の中から12個を使用しない結果である。これらの12個を、上述した例における放送SR送信用に定義して使用することもできる。
【0175】
このように特別に決定されたSRリソースによって、eNBは特別なRNTIを作ってこれを全てのRx UEが検出できるように生成して送信することができる。特別なRNTIを使用する場合には、このRNTIをRx UEが認知していることが好ましい。すべてのサブフレームで特別なRNTIをモニタリングすることは端末にとって負担となりうる。代わりに、D2D UEは特別なRNTIのみすべてのサブフレームでモニタリングするようにしてもよい。これは、BD(blind decoding)を増加させない限度内で行われるべきである。
【0176】
Msg2とmsg3とのタイミングの関係
図23は、本発明の一実施例を説明するために、ページンググループを考慮したmsg2、msg3の送信タイミングの関係を示している。図23の例では、3つの異なるページンググループが存在し、それぞれ異なる時点にオンーオフ(on−off)区間を有すると仮定した。
【0177】
このような状況で全てのRx UEがmsg2を受信するようにする一方法として、D2D Rx UEの全てのページンググループはmsg2を聞くように別個のオン区間(on−duration)を有してもよい。この場合、一度のmsg2の送信だけで必要なmsg2の情報を伝達できるという長所がある。その後、msg2の情報を受信したUEのうち、Tx UEは、msg2が示した指定時間、リソースでmsg3を送信し(放送)、その他のRx UEは、msg2が示した指定時間、リソースでmsg3を受信する。
【0178】
この方法では、msg2を聞くための追加的な区間を生成するためのシグナリングが定義されることが好ましい。また、msg2の受信後、msg3の放送又は受信までの区間に、再び(DRXで)スリープ/遊休モードに回帰するように設定することもできるが、msg2受信時点がmsg3送信時点に関連付いていて(例えば、指定された時間の後に利用できるリソースがある場合に送信する。)、そしてその時間が十分に小さい時間であれば、オン状態を維持することもできる。両メッセージの間の区間を、端末はmsg3放送準備又は受信準備、すなわち、時間及び周波数同期を十分に維持できるようにする時間として活用することもできるためである。
【0179】
さらに、図9に示した動作を行う場合に、受信UEはmsg4も基地局から受信する必要があるので、msg2を受信した遊休モードのUEは、少なくともmsg3が送信される時点以前に、或いはmsg4が送信される時点以前にオン状態に切り替わって対応する信号の受信を準備するように規定されてもよい。もちろん、このようなmsg2を受信できなかった場合には、通常の動作に戻ってオフ区間では一切の受信を省略し、バッテリーの消費を防止することができる。
【0180】
図24は、本発明の他の実施例によって、各端末のページンググループのオン区間に合わせてmsg2を送信し、その後、スケジューリングによって指定された時間にmsg3を送信する例を示している。
【0181】
図24の例は、図23で上述した例と基本的な仮定や方式は同一に適用することができ、ただし、ページンググループのオン区間に合わせてそれぞれmsg2を複数回送信しているという点が異なる。ここで、msg3の送信時点はスケジューリングによって定められ、この間にスリープモードも起床モード(wake−up mode)も可能である。そして、msg3送信時点は、前述したように、事前に規則によって指定されてもよく(例えば、k時間後に送信)、スケジューリング時点/状況に合うように調整して指定されてもよい。又は、タイマーを起動させて一定時間以内に送信をするようにしてもよい。
【0182】
図25は、本発明の更に他の実施例によってmsg2とmsg3とのタイミングの関係を説明するための図である。
【0183】
図25と上述の例との差異は、msg2はページンググループのオン区間に合わせて個別的に送信をするが、msg3は、全てのページンググループがmsg2を受けた後に適切な時点に送信するということである。本実施例ではmsg3の送信時点が最も重要であり、その時点を適切に決める必要がある。例えば、最後のページンググループのオン区間にmsg2を送ってから、一定時間後にmsg3を送信したり受信したりするようにすることが可能である。同様に、上述したいずれの方式も適用可能である。
【0184】
ここでも、msg3を送信すべき時点に送信するTx UE及び受信するRx UEの両方とも聞くことができるように別途の指示をする必要がある。これは、スケジューリングノード(eNB又はクラスターヘッド(cluster head))がUEにmsg3の送信/受信時点を知らせる方法か、最後のmsg2の送信時点を知らせる方法によって可能である。
【0185】
図25で、ページンググループ1の場合、msg3の送信時点まで時間が長くかかりうるため、その間にどのようなモードを取るかも重要である。msg3の送信時点を認知できるようにする情報があるなら、一定時間の間スリープモードを維持してもよい。
【0186】
他の情報としていくつのページンググループがあるか(D2D放送用に)、又は(ページンググループ分類が確実でない場合に)何回のmsg2送信をするかに関する情報があると、msg3の送信及び受信時点を予測することができる。このようなページンググループやmsg2送信回数に関する情報は、eNBからUEに伝達することができる。放送/グループキャスト信号を送信するUEは、指定された回数だけmsg2が送信され得ると把握し、最後のmsg2が終了した後にmsg3を送信することが好ましい。すなわち、中間に存在するmsg2を検出してもmsg3を送信しないことが好ましい。
【0187】
或いは、eNBが送信するmsg2にそれ以降何回のmsg2が送信されるかを知らせるフィールドが含まれてもよいが、このフィールドは、各msg2の後に送信予定であるmsg2の個数に関するカウンターと解釈されてもよい。すなわち、このカウンターが0になるmsg2を最後のmsg2と見なすことができる。或いは、msg3の送信時点を正確に(例えば、何番目の無線フレームの何番目のサブフレームで送信されるかを)msg2で指定できると、UEはmsg2を複数回受信しても当該msg2が反復して指示する一つの時点でのみmsg3を送信すればいい。
【0188】
更なる措置として、ページンググループ間の間隔(ページンググループ間のオン区間の間隔)及びページンググループのオン区間とmsg3との間隔を基本的に特定の単位の整数倍に指定しておくか、又はそのようになるようにページンググループやmsg3送信/受信時点をスケジューリングすることができる。このようなチップ(tip)は、タイミング確認(timing verification)に役立てることができる。例えば、ページンググループ1のためのmsg2とページンググループ2のためのmsg2はN時間単位、ページンググループ2のためのmsg2とページンググループ3のためのmsg2はM時間単位、ページンググループ3のためのmsg2とmsg3はK時間単位に定められるようにする。N、M、Kは、既存タイミングユニットの整数倍であることが好ましい。タイミングユニットがN、M、又はKになってもよい。又は、ページング候補時点(ページングフレーム)の最小公倍数、最大公約数になってもよい。
【0189】
図26は、本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【0190】
図26を参照すると、通信装置は、プロセッサ11、メモリ12、RFモジュール13を備えることができ、このような構成21,22,23を備える他の通信装置とD2D通信を行うことができる。
【0191】
図26で、一つの通信装置はTx UEであり、他の通信装置は基地局又はRx UEでよい。図26の通信装置は、説明の便宜のために示すものであり、一部のモジュールは省略されてもよい。また、通信装置は必要なモジュールをさらに備えてもよい。
【0192】
通信装置において、プロセッサ11,21は、上述したような本発明の実施例に係る方法を行うための制御全般を行うことができる。メモリ12,22は、プロセッサ11,21と接続して必要な情報の保存を行うことができ、RFユニット13,23は、無線信号を送受信してプロセッサ11,21に伝達することができる。
【0193】
以上説明した実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施されてもよい。また、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明する動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は他の実施例に含まれてもよく、又は他の実施例の対応する構成又は特徴に取って代わってもよい。
【0194】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって実現することができる。ハードウェアによる実現の場合、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって実現することができる。
【0195】
ファームウェアやソフトウェアによる実現の場合、本発明の一実施例は、以上説明した機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態として実現することができる。ソフトウェアコードはメモリユニットに保存されてプロセッサによって駆動されてもよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられて、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0196】
本発明は、当業者にとって、本発明の特徴から逸脱しない範囲で他の特定の形態として具体化できることは明らかである。したがって、上記の詳細な説明はいずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的解釈によって決定されなければならず、本発明の等価的範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0197】
上述したような無線通信システムにおいて端末間直接通信を用いて信号を送受信する方法及びそのための装置について3GPP LTEシステムに適用される例を中心に説明したが、これらの方法及び装置は、3GPP LTEシステムの他、様々な無線通信システムにも適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26