(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ノズルアセンブリであって、可搬型容器から引き出される圧送または加圧液体製品または流体をバルブ、ポンプ、またはアクチュエータアセンブリから分配または噴霧して、流体滴の噴霧または発泡噴霧を生成する内腔または導管を含み、
(a)遠位面または外面(242)を終端とするポスト周壁を有する遠位方向に突出する封止ポスト(138)を備えるアクチュエータ本体(136)であって、前記内腔と連通する流体通路を含むアクチュエータ本体と、
(b)前記アクチュエータ本体に搭載されるカップ状多入口孔画定部材(130、200、300、400、450、500)であって、前記封止ポストの放射方向外側の前記アクチュエータ本体の孔まで近位方向に延在する周壁と、前記封止ポストの遠位面または外面に対向する内面を含む遠位放射壁(134、230、464)とを有して、前記本体の封止ポストと前記カップ状部材の周壁(159)および遠位壁との間に共用相互作用チャンバ(140、204、304、420、458)を含む流体通路を画定し、前記流体通路が、遠位側で前記遠位壁に画定される第1の放出孔(142)を終端とするカップ状部材と、を備え、
(c)前記共用相互作用チャンバは、前記アクチュエータ本体の流体通路と流体連通して複数の入口内腔(150、152、154、156)を画定するので、前記加圧流体が前記流体通路の共用相互作用チャンバに進入することができ、
(d)前記カップ状部材遠位壁の内面は、前記チャンバ内に複数の近位方向に突出する入口画定壁部またはメサを画定するように構成され、前記共用相互作用チャンバに流れ込む加圧流体を加速させて第1のパワーノズル流体流を提供するため、第1の近位方向に突出する入口画定メサ(160、260)と第2の近位方向に突出する入口画定メサ(162、262)が相互に間隔をおいて配置されて第1のパワーノズル内腔を両壁部間に画定し、
(e)また、前記カップ状部材遠位壁の内面は、前記チャンバ内に相互に間隔をおいて第3の近位方向に突出する入口画定メサ(164、264)と前記第2の近位方向に突出する入口画定メサ(162、262)とを画定するように配置され、前記共用相互作用チャンバに流れ込む加圧流体を加速させて第2のパワーノズル流体流を提供するため、両メサ間に第2のパワーノズル内腔を画定し、
(f)また、前記カップ状部材遠位壁の内面は、前記チャンバ内に相互に間隔をおいて第4の近位方向に突出する入口画定メサ(166、266)と前記第1の近位方向に突出する入口画定メサ(160、260)とを画定するように構成され、前記共用相互作用チャンバ(120、220)に流れ込む加圧流体を加速させて第3のパワーノズル流体流を提供するため、両メサ間に第3のパワーノズル内腔を画定し、
(g)また、前記第4の近位方向に突出する入口画定メサ(166、266)は、前記第3の近位方向に突出する入口画定メサ(164、264)から間隔をおいて配置されて、前記共用相互作用チャンバに流れ込む加圧流体を加速させて第4のパワーノズル流体流を提供するため、両メサ間に第4のパワーノズル内腔を画定し、
(h)前記共用相互作用チャンバは、前記カップ状部材の遠位壁に画定される前記第1、第2、第3、第4のパワーノズルと流体連通し、前記第1のパワーノズル流体流は前記第2のパワーノズル流体流、前記第3のパワーノズル流体流、前記第4のパワーノズル流体流と結合して、前記共用相互作用チャンバ内に複数の不安定な流体渦を生成し、
(i)前記共用相互作用チャンバ内の不安定な流体渦が前記第1、第2、第3、第4のパワーノズル流体流と衝突して、(a)選択された噴霧パターンでの選択された滴径範囲の流体滴の噴霧、あるいは(b)発泡噴霧として、前記第1の出口孔または放出孔から排出される振動脱出流体流を生成し、
振動渦流は対向する噴流によって前記流体通路の相互作用領域内に生成される、
ノズルアセンブリ。
前記遠位方向に突出する封止ポストの周壁と前記カップ状流体循環路の周壁とが軸方向に間隔をおいて配置されて、封止ポストの中心軸と略整合する第1および第2の遠位方向に突出する内腔として前記流体通路を画定する、請求項3に記載のノズルアセンブリ。
前記カップの遠位端壁が、共用相互作用領域と流体連通する第2の出口孔または放出口をさらに備え、共用相互作用領域および/または外部振動噴霧流に空気を捕捉して、流体製品の発泡噴霧を生成する形状を有する、請求項1に記載のノズルアセンブリ。
前記チャンバが、前記カップ状部材が前記本体の封止ポストに装着され、加圧流体が前記アクチュエータ本体を介して導入されると、前記チャンバの流体振動子入口が前記第1のパワーノズルと第2のパワーノズルを備える第1のパワーノズル対と流体連通するように構成され、前記第1のパワーノズルが、前記第1のノズルに加圧流体を通過させる運動を加速させて、前記チャンバの相互作用領域に流れ込む流体の第1の噴流を形成するように構成され、前記第2のパワーノズルが、前記第2のノズルに加圧流体を通過させる運動を加速させて、前記チャンバの相互作用領域に流れ込む流体の第2の噴流を形成するように構成され、前記第1の噴流と第2の噴流が、選択された噴流衝突角で相互に衝突し、前記流体通路の相互作用領域内に振動渦流を生成する、請求項8に記載の単体一体型流体循環路。
前記カップ状部材が前記本体の封止ポストに装着され、加圧流体が前記アクチュエータ本体を介して導入されると、前記チャンバの相互作用領域が前記流体循環路の遠位壁に画定される前記放出孔と流体連通し、前記振動渦流が、選択された噴霧幅および噴霧厚の選択された噴霧パターンで略均一な流体滴の振動噴霧として前記放出孔から排出されるように前記チャンバが構成される、請求項9に記載の単体一体型流体循環路。
前記選択された噴流衝突角が180度であり、前記チャンバが、前記カップ状部材が前記本体の封止ポストに装着され、加圧流体が前記アクチュエータ本体を介して導入される、請求項10に記載の単体一体型流体循環路。
第1の相互作用対のパワーノズルが、前記第1の放出孔に照準を合わせられる対向パワーノズル流軸を有して構成される、請求項17に記載の一体型カップ状ノズル振動噴霧生成部材。
【背景技術】
【0003】
多くの場合、洗浄流体、ヘアスプレー、スキンケア製品およびその他の液体製品は、略円錐状噴霧パターンまたは直線流を生成することができる使い捨ての加圧または手動噴霧器から分配される。一部のディスペンサまたは噴霧器は、噴霧器の始動によって製品を分配または塗布する放出孔を備えた孔付きカップを有する。たとえば、Dobbs, et alの米国特許6,793、156号の手動噴霧器は、手動携帯噴霧器の放出路内に搭載される改良孔付きカップを示す。カップは、円形孔の壁に圧入される円筒状側壁の適所に保持される。Dobbsの孔付きカップは、回転または接線流が流れる回転チャンバ状の「回転機構」を含み、回転機構は孔付きカップの円形ベース壁の内面に形成される。噴霧器を手動で始動させると、液体製品は従来の円錐噴霧状で放出孔を通過する前に、収縮した放出路と回転機構を通過する際に圧力が増大する。液体製品が凝結や詰まりを起こしやすい場合、特に最初に製品を噴霧するとき、あるいは「始動」時、噴霧は一定ではなく不十分である場合が多い。
【0004】
回転機構が設けられない場合、あるいは(たとえば、製品詰まりのために)回転機構の機能が不能となる場合、液体は流れの形状で放出孔から発射される。典型的な孔付きカップは円筒状のスカート型壁で成型され、環状保持球が、前端または遠位端の近傍でカップの側面から放射方向に突出する。通常、孔付きカップは、カップの円筒状側壁と円筒状孔壁との緊密な摩擦係合により、放出路の後端で円筒状孔に圧入される。環状保持球は、ポンプ噴霧器本体の対向円筒状部内へ突出するように設計されて、孔付きカップを孔内の適所に保持するだけでなく、孔付きカップと放出路の孔間を封止する役目を果たす。回転機構機能は、孔付きカップの底部の内面に形成されて、流体または液体製品を渦状に回転させ、略円錐状噴霧パターンに分解する機能を果たす渦流カップを提供する。
【0005】
手動ポンプ式トリガー噴霧器は、Tiramani,et alの米国特許第5,114,052号明細書に開示され、該特許は、加圧液体を渦状に回転させて、ノズル孔から噴霧を生成する放射スロットまたは溝を形成した成型スプレーキャップノズル付きのトリガー噴霧器を開示する。
【0006】
使い捨て手動噴霧器と関連して使用されるその他のスプレーヘッドまたは噴霧ノズルは、Greenの米国特許第4,036,439号明細書やLaidler,et alの米国特許第7,926,741号明細書に記載されるようなエアゾールディスペンサを含む噴射剤加圧パッケージに組み込まれる。これらのスプレーヘッドまたはノズルアセンブリはすべて、流体をディスペンサ部材から排出する分配孔と共に機能する渦流システムまたは渦流チャンバを含む。渦流システムを画定する凹部、溝、または路は、ノズルと協働し、分配孔を通じて排出される前に渦流として分配される液体または流体を捕捉する。概して、渦流システムは、分配孔のまさに中心の渦流チャンバに開口する1以上の接線渦流溝、窪み、通路または路から成り、加圧流体が渦状に回転して分配孔を通じて排出される。Greenの米国特許第4,036,439号明細書は、溝を形成した突起全体に嵌合する放出孔付きのカップ状インサートを記載しており、渦流空隙が突起とカップ状インサート間に画定される。このような渦流空隙は、液体製品が均一に流れるときだけ作用するが、液体製品が凝結または詰まりを起こしやすい場合、特に製品を最初に噴霧するとき、あるいは「始動」時に噴霧が一定ではなく不十分となることが多い。
【0007】
渦流チャンバを備えたこれらのノズルアセンブリまたはスプレーヘッド構造は、流体または液体の略円錐状の霧状噴霧を、全噴霧パターンにわたって連続的に生成するように構成され、滴径は不十分にしか制御されず、大抵は「精細な」または略霧状の滴を生成する。他の噴霧パターン(たとえば、略線形の細い楕円)も可能であるが,噴霧パターン全体の制御が制限される。これらの従来技術の渦流チャンバノズルのいずれも、液体の振動噴霧を生成することができない、あるいは精密な噴霧滴径制御または噴霧パターン制御を提供することができない。エアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器にパッケージ化されるいくつかの消費者製品では、カスタマイズされる精密な液体製品噴霧パターンを提供することが望ましい。
【0008】
流体噴霧を振動させることは、従来の連続噴霧を超える多くの利点を有し、液体の振動噴霧を生成するように構成することができ、選択された液体または流体に対して精密な噴霧滴径または精密にカスタマイズされた噴霧パターンを制御することができる。出願人は、これらの利点を提供したいと考える液体製品メーカーのアプローチを受けてきたが、従来技術の流体ノズルアセンブリは、使い捨ての手動噴霧器に組み込むように構成されていない。
【0009】
耐久性が高く正確な出願人の従来技術の流体循環路ノズル構造では、流体インサートを収容し方向付けて、流路を封止する空隙を有する耐水性ハウジングに平面状流体循環路またはインサートを組み込むことによって、流体ノズルが構成される。自動車業界で使用されるような流体振動子を装備したノズルアセンブリの良い例が共同所有米国特許第7267290号明細書(たとえば、
図3を参照)に開示されており、どのように平面状流体循環路インサートがハウジングに収容され、方向付けられるかを示す。
【0010】
噴霧を生成する流体循環路は、使い捨て手動噴霧器において非常に有効とすることができるが、従来技術の流体循環路および流体循環路ノズルアセンブリを上記装置に適合させるには、現在市販されている使い捨て手動噴霧器の設計および製造工程を変更する必要があるため、費用がかかりすぎて商業上妥当なコストで製造することができない。流体製品の使い捨て噴霧器は使用が容易でなくてはならず、起動の手間が常に小さくなければならない。それとは別の課題として、製品ベンダーは、(a)選択された滴径範囲(たとえば、20pm〜180pmのDv50)で噴霧を制御し、(b)コンパクトなパッケージ空間を維持するという需要を認知している。また、流体製品ベンダーは、空気を直接ノズル出口スロートに捕捉させることで、外部の発泡「エンジン」またはベンチュリ機能を追加せずに(選択された泡の「濃密さ」で)発泡噴霧を生成する手段を提供したいと考えている。外部発泡エンジンの追加は、消費者用製品の噴霧を発泡させる一般的方法であるが、外部発泡エンジンはコストがかかり、部品を追加することでアセンブリの複雑度も高まる。
【0011】
したがって、従来技術の課題を克服する、商業上妥当に安価な使い捨て手動噴霧器またはノズルアセンブリおよび噴霧生成方法が必要である。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の目的は、所与の液体または流体製品に対して選択される噴霧パターンの利点を提供する随意による流体循環路構造と共に使用されるように適合された、商業上妥当に安価な使い捨て手動カップ状ノズルアセンブリ、および対応する噴霧生成方法を提供することによって、上記の問題を克服することである。本発明のノズルアセンブリおよび方法は、同一のパッケージ空間内で2つの流体振動子の流量を分割することによって、選択された滴径範囲(たとえば、20pm〜180pmのDv50)を維持しつつ、噴霧を始動する設計者/製造業者の手間を低減させることができる。よって、本発明では、複数の入口が複数のまたは大きな出口と組み合わされて、粘性の高い1〜80cpsの粘度の流体(料理油、ローション、または塗料など)を、小さな噴霧始動の手間または低いBOVおよびエアゾール供給圧で噴射させることができる。また、本発明の特徴は、高い流量で小さな滴を生成することで、エアゾールまたはバルブ(BOV)配送システムのバッグによって配給することができる製品に恩恵をもたらすことができる。また、本発明は、ノズル出口スロートに直接空気を捕捉して、外部発泡「エンジン」またはベンチュリ機能を追加せずに(選択された泡の「濃密さ」で)発泡噴霧を生成する機構を提供する。このような外部発泡エンジンは、現時点で消費者製品の噴霧を発泡させる一般的な方法であるが、コストと部品が追加される。
【0014】
本発明によると、等角カップ状流体振動子スプレーノズルは、1以上の振動噴霧を生成するように設計され、略開放近位端と、1以上の中心孔を画定した略閉鎖遠位端壁とを有する円筒状カップとして構成される。多入口多出口カップ状流体振動子の実施形態は、相互作用対として構成される複数の(たとえば、2〜8個の)流体製品入口から選択された流体噴霧を生成し、共通相互作用チャンバまたは領域に流体噴霧を送り込むように構成され、流体ノズル形状内に画定される。ノズルは、随意により噴霧の有効範囲パターンおよび分布を定める選択された数(たとえば、1〜4個)の出口を備えて構成され、出口形状は、各出口からの噴霧が個々の振動噴霧流の外部との相互作用を回避し、滴の衝突を防止し、各出口の振動噴霧によって生成される選択滴径を維持するように方向付けられるべく選択される。随意により、出口は相互作用領域に配置され、相互作用領域および/または外部振動噴霧流に空気を捕捉させ、流体製品の発泡噴霧を生成するような特定の形状を有することができる。
【0015】
ノズルカップ機能または流体通路画定形状は好ましくは、カップ状部材に直接成型された後、流体製品分配パッケージのアクチュエータに装着される。このため、ハウジング空隙内に収容される流体循環路画定インサートからアセンブリを作製する必要がない。本発明は、平面状流体循環路のように機能するが、随意によりカップ状部材内に構成される流体循環路の振動誘導機能を有する多入口多出口流体循環路を備えた新規なカップを提供する。多入口多出口カップは手動圧送トリガー噴霧器と噴射剤充填エアゾール噴霧器の両方に有効であり、異なる液体または流体製品に応じて異なる噴霧を生成するように構成することができる。多入口多出口カップは、複数の所望の噴霧パターン(たとえば、均一滴の3D矩形振動パターン)を放射するように構成することができる。多入口多出口カップ状ノズルは、操作しにくい液体製品の噴霧問題を確実に克服する。随意により、振動を生成する流体振動子構造の流体動的機構は、平面状のマッシュルーム型流体循環路の動作を記載する共同所有の米国特許第7267290号明細書および第7478764号明細書(Gopalan,et al)に図示および記載される機構とコンセプトが類似しており、これらの特許はいずれも引用により全文を本明細書に援用する。
【0016】
本明細書で例示する例示的実施形態では、多入口多出口流体カップ振動子は、放出路の終端でアクチュエータの円筒状孔に圧入されて、カップの円筒状側壁とアクチュエータの円筒状孔壁との間で緊密に摩擦係合されるように構成される。随意によるカップ上の環状保持球は、アクチュエータまたはポンプ噴霧器本体の対向円筒状溝または窪み保持部内に突出して、流体カップを孔内の適所に保持するだけでなく、流体カップと放出路の孔との間を封止する役目を果たす。流体振動子機能または形状が多入口多出口流体カップの内面に形成されて、選択された噴霧パターンで均一な選択された寸法の滴の1以上の振動噴霧を生成するように機能する流体振動子を提供する。
【0017】
本発明の多入口多出口流体循環路は好ましくは、等角一体型カップ状部材として成型される。エアゾール噴霧器やトリガー噴霧器など、噴霧をカスタマイズするのに望ましい消費者用途がいくつかある。流体噴霧はこれらのケースで非常に有効であるが、典型的な市販エアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器を標準的な流体振動子構造に適合させることは、現行のエアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器の製品製造工程を過剰に変更させて、該噴霧器を一層高額なものにする。本発明の多入口多出口流体カップ構造は、典型的なエアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器において使用されるアクチュエータステムに合致するので、従来技術のアクチュエータステム上の「渦流カップ」と置き換えられることによって、他の部品に対する変更をほとんど行わずに、多入口多出口流体振動子ノズルアセンブリを使用する利点が得られる。本発明の多入口多出口流体カップおよび方法によると、市販のエアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器内で販売される液体製品および流体のベンダーは、極めて特別に調整またはカスタマイズされた噴霧を提供することができる。
【0018】
典型的ノズルアセンブリまたはスプレーヘッドは、使い捨てまたは可搬型容器から流体を引き出すバルブ、ポンプ、またはアクチュエータアセンブリから加圧液体製品または流体を分配または噴霧して出口噴霧を生成する内腔または導管を含む。スプレーヘッドは、アクチュエータ本体と、遠位面または外面を終端とするポスト周壁を備えた遠位方向に突出する封止ポストとを含む。アクチュエータ本体は、内腔と連通する流体通路を含む。
【0019】
本発明によると、カップ状多入口多出口流体循環路はアクチュエータ本体部材に搭載され、封止ポストの放射方向外側のアクチュエータ本体の孔まで近位方向に延在する周壁を組み込む。周壁は、封止ポスト遠位面または外面に対向する内面を備える遠位放射壁を保持して、本体封止ポストとカップ状流体循環路の周壁および遠位壁間に相互作用領域を有するチャンバを含む流体通路を画定する。チャンバは流体循環路振動子入口を画定するアクチュエータ本体の流体通路と流体連通するので、アクチュエータアセンブリからの加圧流体は、流体通路のチャンバおよび相互作用領域に進入することができる。流体カップ構造はカップの近位方向に突出する円筒状側壁の内側に流体入口を有し、1例では、流体入口は略環状であり、一定の断面を有する。しかしながら、流体カップの流体入口は先細であってもよい、あるいは、不連続の段部を含み(たとえば、内径が急激にまたは段階的に減少する)加圧流体の不安定さを増大させてもよい。
【0020】
流体循環路の遠位壁のカップ状内面は、多入口多出口流体形状を有する、あるいは担持するインサートを支持するので、チャンバ内に多入口多出口流体振動子の動作機能または形状を画定するように構成される。相互作用領域を画定して流体滴の振動噴霧を生成する任意の流体振動子形状を使用することができることを強調しておくべきであるが、例示目的で、選択された例示的形状を有する等角カップ状流体振動子を詳細に説明する。
【0021】
本発明の等角カップ状多入口多出口流体振動子の実施形態によると、等角流体カップのチャンバは、第1のパワーノズル(入口)対と第2のパワーノズル(入口)対を含み、各パワーノズルは、加圧入口流体をパワーノズル形状に通過させる運動を加速させて、チャンバの相互作用領域に流れ込む流体の噴流を形成するように構成される。流体噴流は相互作用領域において選択された噴流衝突角(たとえば180度、つまり、噴流が対向側から衝突する)で相互に衝突し、相互作用領域で振動渦流を生成する。流体通路の相互作用領域は、流体循環路の遠位壁に画定される1以上の放出孔または出口と流体連通し、振動渦流は、選択されたスプレー幅とスプレー厚を有する選択された噴霧パターンで、略均一な流体滴径の振動噴霧状の滴を放出孔から噴出または噴射する。
【0022】
好ましくは、パワーノズルは、カップ状流体循環路の遠位壁の内面のベンチュリ状または先細路または溝であり、内面に画定される共通の略矩形または箱状の相互作用領域を終端とする。相互作用領域の構造は噴霧パターンに影響を及ぼす。
【0023】
カップ状流体循環路パワーノズル、相互作用領域、放出口は、カップ内に嵌合されるディスクまたはパンケーキ状インサートを装着することができるが、好ましくはカップの内壁部に直接成成型される。一体型カップ状多入口多出口流体循環路としてプラスチックから成型される際、流体カップはアクチュエータの封止ポストに容易かつ経済的に装着され、封止ポストは通常、略平坦で流体不浸透性である遠位面または外面を有する。その後、封止ポストが、カップ状流体循環路の遠位壁内面と平坦面で封止係合される。封止ポストの周壁とカップ状流体循環路の周壁は共軸であり、放射方向に間隔をおいて配置されて、両周壁間に環状流体通路を画定する。これらの周壁は相互に略平行であるが、環状空間は先細に形成することで、流速を次第に増大させ、流体流の不安定性と振動を生成することができる。
【0024】
販売または配送用の多入口多出口流体循環路アイテムとして、等角単体一体型流体循環路は、遠位方向に突出する封止ポストと内腔とを有し、使い捨てまたは可搬型容器から加圧液体製品または流体を分配または噴霧して、流体滴の振動噴霧を生成するノズルアセンブリまたはエアゾールスプレーヘッドアクチュエータ本体に容易かつ経済的に組み込むように構成される。上述したように、この流体循環路アイテムは、遠位方向または軸方向に延在する周壁と、放射方向に延在する遠位壁とを有するカップ状多入口多出口流体循環路部材を含み、該遠位壁は、流体循環路機能を画定した内面と、アクチュエータの封止ポストを収容するように構成される開放近位端とを有する。カップ状部材の周壁と遠位放射壁は、カップ状部材がアクチュエータ本体の封止ポストに装着されるとき、少なくとも1つの流体通路およびチャンバを形成する内面を有する。チャンバは、入口端で流体通路と流体連通し、出口端で共通の相互作用領域と流体連通する複数の流体循環路振動子路またはパワーノズルを画定するように構成されるので、カップ状部材がアクチュエータ本体の封止ポストに装着され、(たとえば、エアゾールスプレーボタンを押して、噴射剤を解放することによって)加圧流体が導入されると、加圧流体が流体通路のチャンバおよび相互作用領域に進入し、相互作用領域内に少なくとも1つの振動渦流を生成することができる。
【0025】
カップ状部材の遠位壁は少なくとも1つの放出孔を含み、本発明の例示的な形状では、複数の放出孔はチャンバの相互作用領域と流体連通して、複数の流体噴霧出力を提供する。内側チャンバは、多入口多出口カップ状部材がアクチュエータ本体封止ポストに装着され、加圧流体がアクチュエータ本体を介して導入されると、チャンバの流体振動子入口が複数のパワーノズルと流体連通するように構成され、該パワーノズルは、加圧流体を通過させる運動を加速させて、チャンバの相互作用領域に流れ込む流体の噴流を形成するように構成され、噴流は選択された噴流衝突角で相互に衝突して、相互作用領域内で振動渦流を生成する。上述したように、チャンバの相互作用領域は、流体循環路の遠位壁に画定される1以上の放出孔と流体連通し、振動渦流は略均一の流体滴の振動噴霧として放出孔から流れ出し、各噴霧は選択された噴霧幅と噴霧厚を有する。
【0026】
本発明の方法によると、液体製品、材料、または流体を噴霧または配給する可搬型または使い捨て加圧パッケージを製造する、あるいは組み立てる液体製品製造業者は、まず、遠位方向に突出する標準的な封止ポストを通常含むエアゾールスプレーヘッドアクチュエータ本体に組み込むための等角多入口多出口流体カップ循環路を取得または製造する。アクチュエータ本体は、使い捨てまたは可搬型容器から加圧液体製品または流体を分配または噴霧して、流体滴の噴霧を生成する内腔を有する。等角多入口多出口流体循環路は、遠位方向または軸方向に延在する周壁と、内面に流体循環路機能を組み込む遠位放射壁または端壁とを有する上述のカップ状流体循環路部材を含む。カップ状部材は、アクチュエータ封止ポストを収容するように構成される開放近位端を有する。カップ状部材の周壁と遠位放射壁は、相互作用領域と流体連通する複数の流体循環路入口を備えたチャンバを含む流体通路を画定する内面を有する。
【0027】
組立方法の好適な実施形態によると、次に、製品の製造業者または組立業者は、本体部内の中心で遠位方向に突出する封止ポストを備えて、多入口多出口カップ状部材を弾性的に収容し保持するアクチュエータ本体を提供または取得する。次のステップは、封止ポストをカップ状部材の開放近位端に挿入することと、アクチュエータ本体と封止ポストを係合して、チャンバ、多入口多出口流体循環路振動子、相互作用領域に流体連通する入口またはパワーノズルを含む流体通路を包囲および封止することである。テスト噴霧を実行することで、加圧流体が流体通路に導入されるとき、加圧流体がチャンバおよび相互作用領域に進入し、流体通路の相互作用領域内で少なくとも1つの振動流渦を生成することを実証できる。
【0028】
アセンブリ方法の好適な実施形態では、製造ステップは、プラスチック材のカップ状部材を成型して等角多入口多出口流体循環路を形成することによって、内面機能を成型した遠位放射壁を有する等角単体一体型カップ状流体循環路部材を提供する結果、カップ状部材の内面がカップの内壁部に直接成型される振動誘導形状を提供することを備える。
【0029】
本発明の上記およびその他の目的、特徴、利点は、添付図面と併せて、特定の実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば自明になるであろう。各種図面中の類似の参照符号は類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】
図1Aは、従来技術に係る典型的バルブアクチュエータおよび渦流カップノズルアセンブリを有するエアゾール噴霧器の立断面図である。
【0031】
【
図1B】
図1Bは、従来技術に係る、エアゾール噴霧器およびトリガー噴霧器と共に使用される標準的な渦流カップの平面図である。
【0032】
【
図1C】
図1Cは、従来技術に係る、エアゾール噴霧器と共に使用される
図1Aおよび1Bに示す標準的な渦流カップを含む典型的アクチュエータおよびノズルアセンブリを示す概略図である。
【0033】
【
図1D】
図1Dは、従来技術に係る、アクチュエータキャップを有するディスペンサ用スプレーノズルインサートの断面図である。
【0034】
【
図1E】
図1Eは、本発明のカップ状流体振動子ノズルアセンブリによってエミュレートすることができる動作特徴を備えた従来技術の流体形状の透視平面図である。
【
図1F】
図1Fは、本発明のカップ状流体振動子ノズルアセンブリによってエミュレートすることができる動作特徴を備えた従来技術の流体形状の透視平面図である。
【
図1G】
図1Gは、本発明のカップ状流体振動子ノズルアセンブリによってエミュレートすることができる動作特徴を備えた従来技術の流体形状の透視平面図である。
【0035】
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る、多入口単出口流体カップ振動子スプレーノズル部材の内面を示す透視図であり、選択された流体振動子の振動誘導形状または特徴を示す。
【0036】
【
図3】
図3は、
図2の実施形態の平面図であり、多入口単出口流体カップの遠位壁の内面と内側流体形状とを示す。
【
図4】
図4は、
図2の実施形態の平面図であり、多入口単出口流体カップの遠位壁の内面と内側流体形状とを示す。
【0037】
【
図5A】
図5Aは、本発明に係る、
図3および4に示す等角一体型カップ状部材実施形態の相互に直交する断面図であり、ディスペンサアクチュエータにおいてアクチュエータ本体の封止ポスト部材に装着または搭載される流体カップを示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明に係る、
図3および4に示す等角一体型カップ状部材実施形態の相互に直交する断面図であり、ディスペンサアクチュエータにおいてアクチュエータ本体の封止ポスト部材に装着または搭載される流体カップを示す。
【0038】
【
図6】
図6は、本発明のカップ状部材の第2の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口カップ状流体振動子ディスペンサまたはノズルアセンブリ部材を提供する内面および内側流体形状を示す。
【
図7】
図7は、本発明のカップ状部材の第2の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口カップ状流体振動子ディスペンサまたはノズルアセンブリ部材を提供する内面および内側流体形状を示す。
【0039】
【
図8】
図8は、
図6および7の等角一体型カップ状部材の実施形態の平面図であり、同実施形態の流体形状における流体流パターンを示す。
【
図9】
図9は、
図6および7の等角一体型カップ状部材の実施形態の平面図であり、同実施形態の流体形状における流体流パターンを示す。
【
図10】
図10は、
図6および7の等角一体型カップ状部材の実施形態の平面図であり、同実施形態の流体形状における流体流パターンを示す。
【0040】
【
図11】
図11は、本発明の第3の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【
図12】
図12は、本発明の第3の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【0041】
【
図13】
図13は、本発明の第4の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第4の実施形態の平面図であり、本発明に係る多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【0042】
【
図15】
図15は、本発明に係る、発泡噴霧の生成に使用されるように構成される等角一体型カップ状部材の別の実施形態の平面図である。
【
図16】
図16は、本発明に係る、発泡噴霧の生成に使用されるように構成される等角一体型カップ状部材の別の実施形態の平面図である。
【
図17】
図17は、本発明に係る、発泡噴霧の生成に使用されるように構成される等角一体型カップ状部材の別の実施形態の平面図である。
【0043】
【
図18】
図18は、本発明の第5の実施形態の平面図であり、本発明に係る、一対の入口パワーノズルを利用する多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【0044】
【
図19】
図19は、本発明の第6の実施形態の平面図であり、本発明に係る、一対の入口パワーノズルを利用する多入口多出口流体カップディスペンサ部材の内面および内側流体形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1A、1B、1C、1Dは、従来技術によるエアゾールスプレーアクチュエータおよび渦流カップノズルの典型的特徴を示し、これらの図面は本明細書において背景およびコンテキストを追加するために提供する。特に
図1Aを参照すると、典型的な可搬型の使い捨て噴射剤加圧エアゾールパッケージ20は、液体製品24を封入する容器22と、バルブ32を制御するアクチュエータ30とを有し、バルブは、容器の首部36内に装着され容器フランジ38によって支持されるバルブカップ34内に搭載される。アクチュエータ30はバルブを開放するように押圧されて、ノズル40を装備した回転カップに加圧液体を通過させてエアゾール噴霧42を生成する。
図1Bは、典型的ノズル40と共に使用される回転カップ44の内部の仕組みを示し、4つの内腔46、48、50、52は、内腔内の矢印によって示されるように、4つの接線方向流を生成するように照準を合わせられ、これらの流は回転チャンバ60に入り、連続的に回転する液体流が結合し、様々な寸法の滴を含む略連続的噴霧42として中央放出路62から放出されるが、これらの滴は、多くのユーザが無用とみなす「精細」または微小な流体滴を含む。
【0046】
図1Cは、
図1Aおよび1Bに示す典型的アクチュエータおよびノズルアセンブリの概略透視図であり、該アセンブリはエアゾール噴霧器と共に使用される標準的な渦流カップ44を備え、アクチュエータの外面と、内面などの隠れた特徴とが示されている。上記渦流カップ44は、ノズルまたはアクチュエータ(たとえば、40)に装着され、図示されるようにエアゾール噴霧器(たとえば、20)だけでなく手動圧送トリガー噴霧器と共に使用することができる。これは、インサートと別個のハウジングとを必要としない簡易な構造である。
【0047】
図1Dは、別の流体ディスペンサノズルアセンブリ70を示し、ノズルインサート72が、ポスト76を囲む管状流体ディスペンサアクチュエータ74と共に使用される。インサート72は軸方向に延在する壁78を含み、この壁は、アクチュエータ74の内面に摩擦係合し、中央ポスト76を囲み、中央ポスト76から放射方向に間隔をおいて配置されて、環状出口通路80を画定する。流体は、矢印86によって示されるように、ディスペンサ容器から通路80内と中央突起82およびタブ84の周囲を流れ、肩部90を有する遷移領域88へと流れ込み、ノズル出口92から外へ放出される。
【0048】
本発明の流体カップ振動子は、
図1A〜1Dに示す上記のコンセプトを向上させるが、渦流カップ44の「回転」形状を流体形状と置き換え、渦流噴霧の代わりに振動流体噴霧を可能にするための構造および方法を提供する。上述したように、通常、渦状噴霧は通常円形であり、様々な寸法および速度の滴から成るが、流体噴霧は平面、矩形、または正方形断面を有し、一定の径および速度を特徴とする。よって、本発明によって作製されるノズルアセンブリからの噴霧は、様々な用途に合わせて改良あるいはカスタマイズされる一方で、従来の「渦流」カップの簡易で経済的な構成上の特徴の利点を保持する。
【0049】
出願人の分割スロート設計に類似し、本発明での改良に適した流体循環路の形状は
図1E〜1Gでは100で示し、機能上の特徴は出願人の米国特許第8,172,162号明細書にさらに示され、上記特許は引用により本明細書に援用する。出願人は、アクチュエータを介して容器から流体104を受け入れる入口102に類似する構造を組み込むように構成された流体カップを開発しており、流体はパワーノズル106、108、110に類似する構造を通って共通作動領域112まで流れて、出口を出る。しかしながら、各種流体循環路形状は、本発明のカップ状部材で使用されるように適合することができると理解され、本明細書に例示する流体循環路形状は例であり、適切な用語を説明する目的で提供される。
【0050】
次に参照する
図2〜19は、本発明の等角多入口単入口または(好ましくは)多出口流体カップ振動子の例示的実施形態において出願人が新たに開発した構造上の特徴と、本発明に係る多入口多出口流体振動子ディスペンサの構成要素を組み立てて使用する方法とを示す。多入口多出口等角カップ状流体循環路の形状は、出願人の広く認識される平面状流体形状構造を模倣しているが、流体カップなどの等角構造から1以上の所望の振動噴霧を生成するように設計され、本明細書に記載されている。本発明によると、流体噴霧を生成する流体振動子カップノズルは、流体ノズル形状の共通相互作用領域への供給用の複数の入口(たとえば、2〜6個の入口)を含む。複数の入口および共用相互作用領域を備える流体カップノズルは、ソースからの加圧流体供給源(たとえば、分配バルブ/トリガー噴霧器容器22)と流体連通する流体製品供給路を有し、供給路はそれぞれ、流体循環路ディスペンサアセンブリ内の複数の入口ノズルまたはパワーノズルと流体連通する。入口(またはパワーノズル)はすべて、共通相互作用領域と流体連通し、流体を共通相互作用領域に供給して流体製品の双安定振動噴流を生成する内腔を画定し、少なくとも1つの、好ましくは複数の出口から分配噴霧として該噴流を放出する。
【0051】
図2、3、4、5A、5Bは、多入口単出口等角カップ状ディスペンサノズル部材または流体カップ130を示し、
図2は流体カップの内部の透視図であり、
図3および4はアクチュエータから流体カップを覗き込む方向の平面図であり、流体振動子形状はおおまかに132として示され、流体カップの一部として横断遠位壁134の内部に成型される。
図5Aおよび5Bは、
図4の線5A−5Aおよび5B−5Bに沿った流体カップ130の変形版の相互に直交する断面図であり、各図は、インサートを搭載したディスペンサアクチュエータの一部を含む。
図5Aは
図4の線5A−5Aに沿った断面図であり、
図5Bは
図4の線SB−SBに沿った断面図であり、線5A−5Aに沿った面は線5B−5Bに沿った面を横切る、あるいは直交する。流体カップ130は好ましくは、多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない一体型の射出成型プラスチック流体カップ状等角ノズル部材として構成される。流体振動子の動作機能132は好ましくは、カップの内面に直接成型され、カップは
図5Aおよび5Bに示すように、遠位方向に突出する円筒状ポスト138を通常備えるタイプのアクチュエータ本体136に容易に装着されるように構成される。
【0052】
新規な流体循環路132は、共用相互作用領域140を有する多入口単出口流体カップの実施形態を提供し、共用相互作用領域140は、カップ状部材内の適所に成型される流体循環路の振動誘導形状の一部を成す。アクチュエータ136の封止ポスト138にいったん搭載されることによって、完全で効果的な流体振動子ノズルが提供される。一体型多入口単出口流体カップ振動子インサート130の相互作用領域140は、共用相互作用領域140に近接する細長の出口または放出口142を有する。流体循環路132は、
図5Aおよび5Bの矢印144で示されるように、アクチュエータ136から、遠位方向に突出する内腔を画定する第1および第2のカップ側壁路146を通るように流体流を方向付け、このカップ側壁路は、対向先細ベンチュリ状パワーノズル150、152、154、156と流体連通するポスト138を囲む(
図2〜4および5Bを参照)。遠位流体流144は、パワーノズル150、152、154、156から共用相互作用領域140へと流れ込み、各パワーノズル150、152、154、156から流れる流体は、遠位端壁134の内面に画定される共用相互作用領域140内の他のパワーノズルから流れる流体流と連通し、相互作用する。端壁134は円形、平面、またはディスク状とすることができ、振動誘導形状132の4つの入口またはパワーノズル150、152、154、156を画定する成型溝または窪みを内面に含む。
【0053】
流体循環路132は好ましくは遠位端壁134に画定され、略円筒状側壁部160、162の下流で側壁部160、162に包囲され、カップ部材130が挿入されると、環状アクチュエータ136の内面と摩擦係合して、等角一体型カップ状部材130をディスペンサ出口に固定する。等角一体型カップ状部材130は一対の対向側壁部を組み込むように
図2〜5Bに示されるが、
図2、5A、5Bに示すように、単独の略円筒状側壁159を使用することができる、あるいは3つ以上の側壁部を設けることができると理解される。側壁または側壁部は、ディスペンサアクチュエータの流体供給源から流体を受け取るカップ部材の開放近位端170(
図2および3)を画定し、カップ部材の円筒状側壁59は遠位側で、細長スロット状の遠位放出口、出口孔またはスロート142を略中心に配置した閉鎖遠位端または遠位壁134を終端とするので、出口孔または放出口142は遠位に照準を合わせられて、流体噴霧174を口から遠位方向に方向付ける。一体型流体カップ振動子部材130は、随意により遠位方向に突出する円筒状側壁部160、162に画定される第1および第2の平行に対向する略平面状「レンチフラット」部(図示せず)を含めて構成される。
【0054】
上述したように、
図2〜5Bに示す実施形態の共用相互作用チャンバ140は、複数の(たとえば、4つの)先細入口通路、またはパワーノズル(たとえば、150、152、154、156)と流体連通する複数の(たとえば、2つの遠位方向に突出する内腔146を通じてアクチュエータ本体の流体通路170Pと流体連通するため、噴霧される加圧流体144は、遠位方向へ封止ポスト138の流体浸透性外側側壁および遠位端面(242)全体に向けられて、強制的に共用相互作用チャンバ140へと流入される。パワーノズルは、複数の近位方向に突出する入口画定壁部またはメサ164、166、168、170(
図3)によって部材130内の遠位壁134に画定される。より具体的には、内方に突出する部分またはメサ170および164が相互に間隔をおいて配置されて第1のパワーノズル150を画定し、部分164および166がパワーノズル152を画定し、部分またはメサ166および168がパワーノズル154を画定し、部分またはメサ168および170がパワーノズル156を画定する。部分またはメサは相互に間隔をおいて配置されて、断面積が漸減する(内方へ先細になる)内腔を画定する先細ノズル側壁を画定し、ノズルを通じて共用相互作用チャンバ140へ流れ込む加圧流体を加速させ、方向付けるベンチュリ作用を提供する。
【0055】
よって、共用多入口相互作用チャンバ140は、間隔をおいて配置されたメサ間の内腔としてカップ状部材の遠位壁に画定される複数の入口またはパワーノズル150、152、154、156と流体連通するので、流体製品で加圧されると、第1のパワーノズル流体流は第2のパワーノズル流体流、第3のパワーノズル流体流、第4のパワーノズル流体流と結合されて、前記共用相互作用チャンバ140内に複数の不安定な流体渦を生成する。共用相互作用チャンバ140内の不安定な流体渦は、パワーノズル流体流から流入する流体噴流と衝突し、選択された噴霧パターン174で流体滴の噴霧として放出孔142から排出される振動脱出流体流を生成する。
【0056】
図2〜5Bの流体カップ実施形態130で、出願人は、上述し図示したように、典型的な4路渦流カップスプレー装置44を驚くほど有効に改良した。上述しこれらの図面に示した後継の等角一体型カップ状部材130は4路共用相互作用領域流体振動子であり、相互作用チャンバ140に移動渦を生成し、出願人の他の流体循環路形状の動作原理と同様に動作するように構成される。この結果、選択された滴径範囲(たとえば、20μm〜180μmのDv50)で力強く、容易に可変な噴霧パターン174が提供される。
【0057】
図6および7は、等角一体型カップ状部材200の別の好適な実施形態を示す。本実施形態は多入口多出口カップ状ノズルインサートまたは部材200を提供し、好ましくは、多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない一体型射出成型プラスチック流体カップ状等角ノズルとして構成される。本実施形態の機能上の特徴は、好ましくは部材の内面に直接成型される流体振動子形状202を含み、等角一体型カップ状部材200は、
図2〜5Bを参照して説明したように、封止ポスト138を有するアクチュエータ本体136に容易に装着されるように構成される。
図6および7に示す多入口多出口流体カップの実施形態200は、カップ状部材200内の適所に成型される流体循環路の振動誘導形状202の一部として、共用相互作用領域204を有する新規な流体循環路構造を提供するので、いったんアクチュエータ封止ポスト138に搭載されると、完全で有効な流体振動子ノズルが提供される。一体型多入口多出口流体カップ振動子200は、共用相互作用領域204と流体連通し隣接する第1および第2の出口孔または放出口210、212を有する。先細ベンチュリ状パワーノズル214、216、218、220は、ディスペンサアクチュエータ(
図5Bを参照)から供給される流体144、および共用相互作用領域204と流体連通し、遠位端壁部230の内面と相互に流体連通する。端壁230は円形、平面、またはディスク状であり、近位方向に延在する部分またはメサ間に画定される溝または窪みを含む成型内面を有し、略円筒状側壁部232および234内に位置する成型流体循環路形状210の4つの入口振動誘導パワーノズル214、216、218、220を形成する。
【0058】
図2〜5Bの実施形態に関して上述したように、側壁は単独の連続的な略円筒状または環状壁であってもよい、あるいは、いくつかの部分を有し、開放近位端と、図面に示すように遠位端壁230によって閉鎖される遠位端とを画定してもよい。
図6および7の実施形態では、遠位端壁230は、第1および第2の長手方向に間隔をおいて配置され、位置合わせされた出口孔放出口またはスロート210および212を組み込む。これらの口はパワーノズル入口からオフセットされるように画定され、口210はノズル214および220の放射方向外側に間隔をおき、口212はノズル216および218の放射方向外側に間隔をおき、これらの口は、ノズルおよび相互作用チャンバ204に対して寸法と位置を設定されて、第1および第2の相互に間隔をおいて配置された振動噴霧状で流体製品を遠位方向に排出する。
【0059】
パワーノズル214、216、218、220は、端壁に形成される、近位方向に延在するまたは内方に突出する成型メサ240、242、244、246によって画定され、メサ246および240は協働してパワーノズル214を形成し、メサ240および242はパワーノズル216を形成し、メサ242および244はパワーノズル218を形成し、メサ244および246はパワーノズル220を形成する。
【0060】
当業者が認識するように、
図2〜7に示す発明、特に、
図6および7の好適な多出口実施形態ならびに本発明の噴霧生成方法は、
図5Aおよび5Bに示すチャンバ140と断面が類似する共用相互作用チャンバ240への内腔を含むスプレーヘッドノズル構造部材200を提供し、該ノズル構造部材は、可搬型容器からバルブ、ポンプ、またはその他のアクチュエータアセンブリを介して引き出す圧送または加圧液体製品または流体を分配または噴霧して、流体滴の噴霧を生成する。アクチュエータ本体は、遠位面または外面(
図5Aでは242)を終端とするポスト周壁を備えた遠位方向に突出する封止ポスト138(
図5Aおよび5Bに示す)を有し、ポスト周壁においてアクチュエータ本体はインサートと協働して内腔と連通する流体通路246を提供する。130または200で示すようなカップ状多入口孔画定部材はアクチュエータ本体136に搭載され、周壁159または壁部160、162または232、234を有し、この周壁または壁部は、封止ポストの放射方向外側のアクチュエータ本体の孔まで近位方向に延在して、通路146を形成する。等角一体型カップ状部材200は遠位側で、封止ポストの遠位面または外面242に対向する内面244を有して、流体通路240を画定する横断円形端壁を終端とする。この流体通路は複数の入口パワーノズルにより共用相互作用チャンバ(204)と連通し、相互作用チャンバは遠位側で、遠位壁または端壁に画定される少なくとも1つの、好ましくは複数の放出孔(たとえば、210、212)を終端とする。
【0061】
次に
図6および7の多出口実施形態、さらにそれに対応する、実施形態の動作を可能にする移動流体渦を示す
図8、9、10を参照すると、等角一体型カップ状部材200は複数の近位方向に突出する入口画定壁、部分、またはメサを有し、共用相互作用チャンバ204に流れ込む加圧流体を加速させて
図8の流体流図に250で示す第1のパワーノズル流体流を提供するために、第1の近位方向に突出する入口画定壁部246と第2の近位方向に突出する入口画定壁部244が相互に間隔をおいて配置されて、第1の先細パワーノズル内腔220(
図7の矢印「1」)を画定する。また、カップ状部材200の遠位壁の内面は、チャンバ内に相互に間隔をおいて第3の近位方向に突出する入口画定壁部またはメサ242と第2の近位方向に突出する入口画定壁部244とを画定するように構成され、共用相互作用チャンバ204に流れ込む加圧流体を加速させて
図8の流体流図に252で示す第2のパワーノズル流体流を提供するため、第2の先細パワーノズル内腔218(
図7の矢印「2」)を両壁部間に画定する。
【0062】
図6〜10の好適な多出口実施形態のカップ状部材遠位壁の内面は好ましくは、チャンバ内に相互に間隔をおいて第4の近位方向に突出する入口画定壁部またはメサ240と第1の近位方向に突出する入口画定壁部246とを画定するように構成され、共用相互作用チャンバ204に流れ込む加圧流体を加速させて
図8の流体流図に254で示す第3のパワーノズル流体流を提供するため、第3の先細パワーノズル内腔214(
図7の矢印「3」)を両壁部間に画定する。また、第4の近位方向に突出する入口画定壁部またはメサ240は、第3の近位方向に突出する入口画定壁部242から間隔をおいて配置され、共用相互作用チャンバ204に流れ込む加圧流体を加速させて第4のパワーノズル流体流256(
図8)を提供するため、第4のパワーノズル内腔216(
図7の矢印「4」)を両壁部間に画定する。共用相互作用チャンバ204はカップ状部材の遠位壁に画定される第1、第2、第3、第4のパワーノズル214、216、218、220と流体連通するので、ノズルアセンブリ内腔が加圧流体製品を収容すると、第1のパワーノズル流体流250は第2のパワーノズル流体流252、第3のパワーノズル流体流254、第4のパワーノズル流体流256と結合して、
図8、9、19の巻き矢印260によって示される複数の不安定な流体渦を共用相互作用チャンバ内に生成する。共用相互作用チャンバ204内の不安定流体渦は、前記第1、第2、第3、第4のパワーノズル流体流と衝突し、孔の形状および数、流体の特性、流体技術において既知なその他の要因によって決定される噴霧パターンで流体滴の噴霧として流体放出孔210および212から排出される振動脱出流体流を生成する。
【0063】
図8〜10に示すように、複数のパワーノズルから相互作用チャンバに流れ込む流体流は相互作用して、流体流パターンを不安定化させる渦260を生成して移動させることで、進入する流体噴流を相互作用チャンバ204で左右に押して、振動流を生成する。よって、たとえば、まず流体250はチャンバ204に流れ込んで渦を生成する一方、対向して進入する流体噴流254は流250に衝突して、オフセット出口210へ偏向される。
図8、9、10は、振動サイクル中の渦の変化を示し、侵入する流体噴流はパワーノズル214、216、218、220から共用相互作用領域内に流れ込み続け、
図9に示すように渦が生じ、
図10に示すように、進入する噴流250を出口210に押し戻し始める寸法に達し、次いでサイクルが自身で繰り返されて最終的に、再び出口210に達する流体流254を生成する。対向する入口噴流252、256は同じように相互作用して、最初に一方の噴流、次に他方の噴流を対応するオフセット出口212まで移動させる。各対の噴流が共通相互作用領域で他方の対と瞬間的に相互作用する間、振動が保持される。
【0064】
図8〜10は、流入する噴流の渦が、どのように単独のスプレー流体カップで観察される状況と類似の状況下で動作するかを示す。しかしながら、渦が共用相互作用領域の外壁で生じると、渦は噴流(あるいは)を相互作用領域の中央部または共用部に押し込んで、そこで噴流は隣接対の噴流と相互作用し始める。この時点で、噴流は、共用相互作用領域内でさらに大きい内部渦を生成し始める。
図9は、大きな中心渦が内部の噴流を相互に離れさせ、対の対応噴流へ押し戻す瞬間の流を示す。次いで、双安定振動が継続するにつれ、渦は定期的に増進および衰退して、確実に双安定流体振動子機能を提供する。流れは内部で振動するにつれ、周期的にノズル出口または出口孔210、212を通って遠位方向に大気中に脱出する、選択された寸法の滴流を生成する。
【0065】
カップ状多入口孔画定壁部またはメサ240、242、244、246は好ましくはカップの内面に直接成型され、典型的ディスペンサの封止ポスト138に経済的に装着されるように構成される単体一体型のカップ状多入口部材200を提供する。封止ポストの遠位面または外面242は、カップ状部材の内方に突出する壁部またはメサ240、242、244、246と封止係合する略平坦な流体非浸透性外面を有し、いったん組み込まれると、略液密の閉鎖された内腔または流体通路を提供する。遠位方向に突出する封止ポストの周壁とカップ状流体循環路の周壁は、軸方向に間隔をおいて配置され、封止ポスト138の遠位方向突出中心軸に略位置合わせされる、遠位方向に突出する内腔または通路を備えた少なくとも1つの流体通路232、234を画定する。結果として生じるノズルアセンブリは随意によりトリガー噴霧器構造(図示せず)において手動ポンプと共に使用されるように構成される、あるいは、
図1Aに示すようなバルブアクチュエータ付きの噴射剤加圧エアゾール容器と共に構成される。ノズルアセンブリは好ましくは、共用相互作用領域および形状と流体連通する複数の放出口を有し、共用相互作用領域および/または外部振動噴霧流に空気を捕捉させて(選択された泡の「濃密さ」で)流体製品の発泡噴霧を生成する。
【0066】
本発明による等角一体型カップ状部材の3放出口実施形態は
図11および12に示され、多入口多出口カップ状ノズル部材またはインサート300を提供する。また、本実施形態は好ましくは、一体型射出成型プラスチック製の流体カップ状等角ノズル部材として構成され、多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない。流体振動子の動作機能または形状302は好ましくは、直接カップの内面に成型され、本発明の上述の実施形態のように、カップがアクチュエータ本体136に容易に装着されるように構成される。多入口単出口流体カップの実施形態300は、
図6および7に示すものと類似する流体循環路を提供し、カップ状部材内の適所に成型される流体循環路の振動誘導形状302の一部として共用相互作用領域304を有するので、いったんアクチュエータの封止ポスト138に搭載されると、上述したように完全で有効な流体振動子ノズルが提供される。
【0067】
一体型多入口多出口流体カップ振動子300は、共用相互作用領域304の遠位端と流体連通する第1、第2、第3の出口孔または放出口306、308、310を有する。
対向先細ベンチュリ状パワーノズル312、314、316、318と、共用相互作用領域304とは、等角一体型カップ状部材300の円形、平面、またはディスク状遠位端壁322の成型内面320内で相互に流体連通する。内面は、略円筒状側壁部330および332内に配置される振動誘導形状302の4つのパワーノズル入口または通路間に溝または窪み画定メサを含む。従来の実施形態と同様、これらの側壁部は、ディスペンサアクチュエータと係合する開放近位端を画定して、インサート300の遠位端で流体循環路形状304を通って放出口を出るように流体を方向付ける。例示の実施形態では、3つの出口孔または口306、308、310は相互作用領域304の長に沿って長手方向に並べられ、端口306および310は対応する対向ノズル対312、318および314、316からそれぞれ外方にオフセットされ、中央口308はノズル対間の中央でノズル対からオフセットされるので、流体が相互作用領域から第1、第2、第3の相互に間隔をおいた振動噴霧状で遠位方向に噴霧される。
【0068】
図11および12に示すように、カップ状インサートの遠位内面320は、複数の近位方向に突出するノズル入口画定メサまたは壁部340、342、344、346を有する流体チャンバを画定するように構成され、共用相互作用チャンバ304に流れ込む加圧流体を加速させて第1のパワーノズル流体流を提供するため、第1の近位方向に突出する入口画定壁部340と第2の近位方向に突出する入口画定壁部346とは相互に間隔をおいて配置されて、第1のパワーノズル内腔318(
図12の矢印「1」)を両壁部間に画定する。また、カップ状部材遠位壁の内面は、チャンバ内に相互に間隔をおいて第3の近位方向に突出する入口画定壁部344と第2の近位方向に突出する入口画定壁部346とを画定するように構成され、共用相互作用チャンバ304に流れ込む加圧流体を加速させて第2のパワーノズル流体流を提供する第2のパワーノズル内腔316(
図12の矢印「2」)を両壁部間に画定する。
【0069】
さらに、カップ状部材遠位壁の内面は好ましくは、流体チャンバ内に間隔をおいて第4の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部分342と第1の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部340とを画定するように構成され、共用相互作用チャンバ304に流れ込む加圧流体を加速させて第3のパワーノズル流体流を提供するため、第3のパワーノズル内腔312(
図12の矢印「3」)を両壁部間に画定する。また、第4の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部342は、第3の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部344から間隔をおいて配置され、共用相互作用チャンバ304に流れ込む加圧流体を加速させて第3のパワーノズル流体流を提供するため、第4のパワーノズル内腔314(
図12の矢印「4」)を両壁部間に画定する。
【0070】
よって、共用相互作用チャンバは、カップ状部材の遠位壁に画定されるパワーノズルと流体連通するので、流体製品で加圧されると、
図8〜10に示すように、第1のパワーノズル流体流は第2のパワーノズル流体流、第3のパワーノズル流体流、第4のパワーノズル流体流と結合して、共用相互作用チャンバ内に複数の不安定な流体渦を生成する。これらの図面に関して上述したように、共用相互作用チャンバ内の不安定な流体渦は,流入するパワーノズル流体流と衝突し、選択された噴霧パターンで流体滴の噴霧としてオフセット放出孔306、308、310から排出される振動脱出流体流を生成する。
【0071】
図13および14で400として示す他の3放出口の実施形態は、好ましくは、多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない一体型射出成型プラスチック流体カップ状等角ノズルまたはインサート部材として構成される多入口多出口カップ状ノズル部材を提供する。流体振動子の動作機能または形状410は好ましくは、直接カップの内面に成型され、本発明の上述の実施形態のように、カップがアクチュエータ本体に容易に装着されるように構成される。多入口多出口流体カップの実施形態400は従来の実施形態と同じ新規な流体循環路を提供し、カップ状部材内の適所に成型される流体循環路の振動誘導形状410の一部として共用相互作用領域420を含み、いったんアクチュエータの封止ポストに搭載されると、完全で有効な流体振動子ノズルが提供される。
【0072】
本実施形態では、一体型多入口多出口流体カップ振動子インサート400は、共用相互作用領域420に通じる第1、第2、第3、第4の対向先細ベンチュリ状パワーノズル421、422、423、424を有する。第1、第2、第3の出口孔または放出口430、432、434は遠位端壁を通って延在し、インサートの外面と共用相互作用領域420間で流体連通し、領域420に沿って長手方向に間隔をおいて配置される。出口孔または放出口は異なる振動噴霧パターンを生成するため、
図11および12の実施形態と異なる形状を有し、相互作用領域に対する放出口の数、形状、間隔、位置は、所望の出口噴霧パターンを提供するように選択することができると理解される。
【0073】
この場合、最外口430および434は、対応する対向ノズル421、424および422、423と略位置合わせされる。すなわち、口の中心は対応するノズルの軸と位置合わせされ、中央口432は最外口間を延在する細長状であり、入口パワーノズルのすべてからオフセットされる。円形、平面、またはディスク状の端壁440の成型内面は、路振動誘導形状410の4つの入口パワーノズル421〜424を提供するように間隔をおいて配置される溝または窪み画定形状メサを含み、略円筒状側壁部442および444内に配置されて、上述したようにディスペンサから流体を受け入れる開放近位端を画定する。
【0074】
複数の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部は相互に間隔をおいて形成され配置されて、
図11および12を参照して上述したように、共用相互作用チャンバ420に流れ込む加圧流体を加速させてパワーノズル流体流を提供するため、パワーノズル内腔424、423、421、422(それぞれ、
図14の矢印「1」、「2」、「3」、「4」)を両壁部間に画定する。上述したように、共用相互作用チャンバは、カップ状部材の遠位壁に画定されるパワーノズルと流体連通するので、流体製品で加圧されると、第1のパワーノズル流体流は第2のパワーノズル流体流、第3のパワーノズル流体流、第4のパワーノズル流体流と結合して、共用相互作用チャンバ内に複数の不安定な流体渦を生成する。共用相互作用チャンバ内の不安定な流体渦は第1、第2、第3、第4のパワーノズル流体流と衝突し、
図8〜10に関して説明したように、選択された噴霧パターンで流体滴の噴霧として放出孔430、432、434から排出される振動脱出流体流を生成する。
【0075】
空気を捕捉させた発泡噴霧を生成する上記実施形態の変形例を
図15に示す(
図3、4、5A、5Bの実施形態に対応)。
図15の実施形態では、ノズル部材130は、開口位置「A」で粘着性発泡放出物を生成するように構成される。次に
図15を参照すると、出口142は共用相互作用領域を画定するカップ端壁に配置し、相互作用領域140に空気を捕捉させるように選択された特定の形状を有し、振動噴霧流を出口142から排出することで発泡噴霧(図示せず)を生成することができる。
次に
図16および17(
図11、12および
図13、14にそれぞれ対応する)を参照すると、これらの実施形態でも、ノズルは、開口または位置「A」で粘着性発泡放出物を生成するように構成される。次に
図16および17を参照すると、複数の出口または放出孔のうちの1つは、共用相互作用領域を画定するカップ端壁に配置して、内側流体形状は相互作用領域(たとえば、304、420)に空気を捕捉させるように構成し、振動噴霧流を出口(たとえば、306、308、310または430、432、434)から排出することで発泡噴霧を生成することができる。
【0076】
大気は位置「A」(
図16および17に示す)で捕捉することができ、これは、専用放出孔または出口を通って、あるいは
図15に示すように、相互作用チャンバ内の局地的低圧領域に空気を引き込む大きな出口領域内で実行することができる。大気捕捉開口は、噴霧パターンを制御し、特定の流体製品のために振動噴霧流に捕捉される空気の量を制御するような寸法と構成にすることができる。当業者が理解するように、流体流に空気を捕捉させることで、その流体の有効粘度を低下させることができる。したがって、
図15〜17に示す空気捕捉機能を追加することで、ノズルおよび分配システム(エアゾール、BOV、またはトリガー噴霧器)は所望の流量および流分布を維持しつつ、より粘度の高い流体(たとえば、1〜80cpsの範囲)を噴霧することができる。開口または領域「A」の正確な形状は必須ではないが、内腔の開放面積が重要である。開口「A」が大きくなるほど泡が大きくなり、開口断面積が小さいほど泡が小さくなる。開口Aは、円形、矩形、楕円形などとすることができる。
図15、16、17に示す例示的実施形態では、大型のスロット状開口142が、
図17および16に示す実施形態によって最大の泡を生成する。
【0077】
図15、16、17に示すノズルの典型的な実施形態に関しては、泡は石鹸の泡よりも小さい。表面発泡は、流体の相互作用領域の真空状低圧領域内で移動する流体渦を、低圧または真空状領域に最も近い放出孔内腔部で、相互作用領域に近位方向に引き込まれる外気または大気に露出させることによって達成される。大気を近位方向に流体渦に引き込むことで、大気を相互作用領域に吸引して、流出する振動噴霧流/噴流と混合させることができる。開口「A」の寸法および形状は、発泡の量と分布の両方を定める。開口「A」が大きいほど泡が大きくなり、開口「A」の形状は噴霧分布内の発泡形状も伝える。噴霧の発泡はおそらくメーカーにとって有益であるだけでなく、「密着性」を高めるのを助け、噴霧流体が、ユーザによって噴霧される遠位目標対象の垂直面を流れ落ちるのを防止する。通常、ユーザが望まず、あるいは煩わしく思うことに、流体製品が(噴霧される目標面に付着する代わりに)流れ落ちる。この問題は従来の渦流ノズルの典型的な問題である(たとえば、
図1A〜1Cに示す。しかしながら、製品が本発明の流体ノズルから噴霧されるときには、このような問題は観察されない(
図15〜17に示す)。液体製品の特性は発泡性能に影響を及ぼす。表面活性剤(追加)を伴う液体は泡を生成する。発泡生成性能は液体の表面張力に関係し(低い数値が泡を生成する)、水は高い表面張力を有すると考えられる。
図15〜17に示すような発泡ノズルを用いて噴霧するのに適する液体製品はたとえば、石鹸や洗浄液であり、空気を追加および混合すると、所望の泡が生成される。
【0078】
出願人は、これらの実施形態に記載し図示する共用相互作用領域機能のための流体形状は、流体ノズル機能の関係に関する従来の理解に必ずしも従う必要がなく、関連の形状比は最適化された場合、予測するようには現れないことを発見した。たとえば、
図6〜10に示す実施形態では、2つの放出口または噴霧出口は対向パワーノズルの中心線から外方にオフセットされるように図示されており、
図11、12、13、14の実施形態では、3つの出口が設けられ、オフセットされるのは中心口である。従来の単出口放出口(一対のパワーノズル入口を有する)の場合、このオフセットは好ましくは回避される。しかしながら、出願人は、オフセット出口が多入口多出口共用相互作用領域流体振動子カップノズルにとって非常に良好に機能し、オフセット出口が、追加の噴霧最適化機会を提供することを発見した。オフセット出口の利点は、任意数の入口ノズルにとっても同等に自明である。
【0079】
次に
図18は本発明の別の実施形態を示しており、多入口多出口カップ状ノズル部材またはインサート450は、2つの放出口460および462を含む共通相互作用チャンバ458への圧力下で流体を供給する2つの対向先細ベンチュリ状パワー入口ノズル454および456を有する流体形状452を組み込む。また、本実施形態は好ましくは、多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない一体型射出成型プラスチック流体カップ状等角ノズル部材として構成される。流体振動子の動作機能または形状458は好ましくは、従来の実施形態と同様に、カップの内面に直接成型され、上述したようにカップは封止ポスト138全体にわたってアクチュエータ本体に容易に装着されるように構成される。多入口多出口流体カップの実施形態450は、共用相互作用領域458が流体循環路の振動誘導形状452の一部を成す新規な流体循環路を提供し、カップ状部材内の適所に成型されるので、いったんアクチュエータ封止ポスト138に装着されると、完全で有効な流体振動子ノズルが提供される。
【0080】
一体型多入口多出口流体カップ振動子450の第1の放出口460および第2の放出口462は、流体入口パワーノズル454、456の共通軸に沿って並べられ、共用相互作用領域458に隣接して流体連通する。第1および第2の対向する先細ベンチュリ状入口またはパワーノズル454および456と共用相互作用領域458とは、インサートの遠位端壁464の内面で相互に流体連通する。円形、平面、またはディスク状の端壁464の成型内面は、相互に間隔をおいて配置され、振動誘導形状452の2つの入口パワーノズルを生成するように成形される溝または窪み画定メサ470および472を含み、略円筒状側壁部474および476に位置する。側壁部は、噴霧される流体を収容する開放近位端を画定する。インサートの閉鎖遠位端は、横方向に間隔をおいて配置され位置合わせされる遠位放出口またはスロート460および464を含む。従来の実施形態と同様、これらの放出口は、第1および第2の相互に間隔をおいた振動噴霧の形状で流体製品を遠位に噴霧するような寸法、形状、位置に設定される。
【0081】
カップ状部材遠位壁の内面は、複数の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部を画定するように構成され、(
図18に示すように左から)共用相互作用チャンバ458に流れ込む加圧流体を加速させて第1のパワーノズル流体流を提供するため、第1の近位方向に突出する入口画定壁部分470と第2の近位方向に突出する入口画定壁部472は相互に間隔をおいて配置されて、第1のパワーノズル内腔456を両壁部間に画定する。また、共用相互作用チャンバ458に流れ込む加圧流体を加速させて第2のパワーノズル流体流を提供するため、第1および第2の近位方向に突出する入口画定壁部470、472は第2のパワーノズル内腔454を両壁部間に画定する。共用相互作用チャンバはカップ状部材の遠位壁に画定される第1および第2のパワーノズルと流体連通するため、流体製品で加圧されると、第1のパワーノズル流体流が第2のパワーノズル流体流と結合し、共用相互作用チャンバ458内に複数の不安定な流体渦を生成する。共用相互作用チャンバ内の不安定な流体渦は、第1および第2のパワーノズル流体流と衝突し、選択された噴霧パターンで流体滴の噴霧として放出孔460、462から遠位方向に排出される振動脱出流体流を生成する。
【0082】
2放出口2パワーノズルの別の実施形態が
図19に示され、好ましくは多構成インサートおよびハウジングアセンブリを必要としない一体型射出成型プラスチック流体カップ状等角ノズル部材として構成される多入口多出口カップ状ノズル部材またはインサート500を提供する。インサートは、好ましくはカップの内面に直接成形される流体振動子の動作機能または形状502を組み込み、カップはアクチュエータ本体に容易に装着されるように構成される。
図19に示す多入口多出口流体カップの実施形態の500は、カップ状ノズル部材またはインサート内の適所に成形される流体循環路振動誘導形状502の一部として共用相互作用領域504を有する新規な流体循環路を提供するので、いったんアクチュエータの封止ポストに搭載されると、完全で有効な流体振動子ノズルが提供される。一体型多入口多出口流体カップ振動子500は、第1および第2の相互に間隔をおいた放出口506および508を有し、該出口は、相互作用領域504と一対の対向パワーノズル流体入口522および524の縦軸520とを横断する横軸510に沿って並べられる。出口は軸520の両側に間隔をおいて配置されるので、パワーノズルからオフセットされ、隣接する共用相互作用領域504と流体連通する。
【0083】
第1および第2の対向先細ベンチュリ状パワーノズル522、524と共用相互作用領域504とは、インサート500の遠位端壁530の内面内で相互に流体連通する。円形、平面、またはディスク状の端壁530の成型内面は、路振動誘導形状502に2つのパワーノズル入口を形成するような形状の溝または窪み画定メサ532および534を含み、略円筒状の側壁部540および542内に配置されて、噴霧される流体を受け入れる開放近位端を画定する。インサート500の閉鎖遠位端壁は、横方向に間隔をおいて配置され並べられた放出口506、508を含み、放出口は第1および第2の相互に間隔をおいた振動噴霧状で遠位方向に流体製品を噴霧するような寸法、形状、位置に設定される。
【0084】
従来の実施形態に関して上述したように、カップ状部材またはインサート500の内壁は、複数の近位方向に突出する入口画定メサまたは壁部532、534を画定するように構成され、(
図19に示すように左から)共用相互作用チャンバ504に流れ込む加圧流体を加速させて第1のパワーノズル流体流を提供するため、これらのメサまた壁部は相互に間隔をおいて配置されて、第1のパワーノズル内腔524を両壁部間に画定する。
また、第1および第2の近位方向に突出する入口画定壁部532、534は、(
図19に示すように左から)共用相互作用チャンバ504に流れ込む加圧流体を加速させて第2のパワーノズル流体流を提供するため、第2のパワーノズル内腔522を両壁部間に画定する。共用相互作用チャンバ504は、カップ状部材の遠位壁に画定される第1および第2のパワーノズルと流体連通するので、流体製品で加圧されると、第1のパワーノズル流体流が第2のパワーノズル流体流と結合して、共用相互作用チャンバ504内に複数の不安定な流体渦を生成する。共用相互作用チャンバ内の不安定な流体渦は、第1および第2のパワーノズル流体流と衝突し、選択された噴霧パターンで流体滴の噴霧として放出孔506、508から遠位方向に排出される振動脱出流体流を生成する。
【0085】
概して、
図18および19に示す実施形態が示すように、複数(たとえば、2〜4個)の出口を備えた本発明に係る多入口多出口スプレーノズルインサートは、一対のパワーノズル入口と併せて使用することができる。出口の数、位置、形状は、出口噴霧有効範囲パターン、滴径、噴霧分布を定める。各放出孔または出口の形状は、振動噴霧流の外部との相互作用を防止して、流体ノズルの振動によって生成される滴径を保持するように選択される。
図19に示す流体カップ部材500は、
図1E〜1Gに示され、米国特許第8,172,162号明細書に記載される出願人の多噴霧設計といくつかの点で類似する動作原理を有し、上記出願は引用により本明細書に援用する。
【0086】
新規で高度なノズルアセンブリおよび方法の好適な実施形態を説明したが、本明細書に記載する教示に鑑み、他の変更や変形が当業者に示唆されると考えられる。したがって、このような変更や変形はすべて、本発明の説明の一部を構成する請求項の範囲に属するものと考えるように理解すべきである。