(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明による歩行補助椅子1を実施するための形態を以下に説明する。
【0012】
まず、第1形態による歩行補助椅子1Aが電動車椅子として動作することを説明する。次に、第2形態による歩行補助椅子1Bが歩行補助器として動作することを説明する。また、本発明による歩行補助椅子1が、第1形態から第2形態に移行する際に、電動車椅子に着座している利用者の起立を補助する起立補助器として動作することを説明する。反対に、本発明による歩行補助椅子1が、第2形態から第1形態に移行する際に、歩行補助器で歩行している利用者の、電動車椅子への着座を補助する、着座補助器として動作することを説明する。
【0013】
次に、第3形態による歩行補助椅子1Cが、第4形態に移行することで、歩行補助椅子1C以外の場所に着座している利用者の、さらに別の場所への移乗を補助する移乗補助器として動作することを説明する。また、第4形態による歩行補助椅子1Dが、第3形態に移行することで、利用者を前述のさらに別の場所に移乗する移乗器として動作することを説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1A〜
図1Gを参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Aの構成について説明する。
図1Aは、一実施形態による歩行補助椅子1Aの一構成例を示す側面図である。
図1Bは、
図1Aに示した形態による歩行補助椅子1Aの上面図である。
図1Cは、
図1Aに示した形態による歩行補助椅子1Aの正面図である。
図1Dは、
図1Aに示した形態による歩行補助椅子1Aの、
図1Cに示した断面線A−Aによる部分断面側面図である。
図1Eは、一実施形態による歩行補助椅子1Aの構成要素の電気的な接続関係を示すブロック回路図である。
図1Fは、一実施形態による制御部5の一構成例を示すブロック回路図である。
図1Gは、一実施形態によるコントローラ6の一構成例を示す俯瞰図である。
【0015】
(構成要素、車両部)
図1A〜
図1Dの歩行補助椅子1Aの構成要素について説明する。
図1A〜
図1Dの歩行補助椅子1Aは、車両部2と、乗載部4とを備えている。ここで、乗載部4は、利用者が着座するように構成されており、車両部2は、地面S
0を移動して乗載部4および乗載部4に乗る利用者を運搬するように構成されている。歩行補助椅子1Aは、車両部2および乗載部4を接続する座面昇降機構3をさらに備えている。座面昇降機構3は、伸縮する動作によって、車両部2に対する乗載部4の位置を昇降するように構成されている。ただし、座面昇降機構3は、
図1A〜
図1Cに示した状態では車両部2および乗載部4の間に隠れており、
図1Dに示した状態でも一部のリンク312、322、332、333以外は見えにくいので、その詳細な構成についてはより見やすい他の図面を参照して後述する。
【0016】
車両部2は、まず、左側の駆動輪22Aと、右側の駆動輪22Bと、左側のキャスター23Aと、右側のキャスター23Bとを備えている。なお、左右の駆動輪22A、22Bを区別しない場合は、単に駆動輪22と記す。また、左右のキャスター23A、23Bを区別しない場合は、単にキャスター23と記す。
【0017】
左側の駆動輪22Aは、車軸221Aを備えている。同様に、右側の駆動輪22Bは、車軸221Bを備えている。車軸221A、221Bを区別しない場合には、単に車軸221とも呼ぶ。後述するように、
図1A〜
図1Dの例では、車軸221Aが回転する仮想的な回転軸と、車軸221Bが回転する仮想的な回転軸とは、一致している。ただし、これは一構成例に過ぎず、本実施形態を限定しない。
【0018】
左側のキャスター23Aは、車軸231Aと、キャスター本体232Aと、旋回軸233Aと、取り付け金具234Aとをさらに備える。同様に、右側のキャスター23Bは、車軸231Bと、キャスター本体232Bと、旋回軸233Bと、取り付け金具234Bとをさらに備える。左右の車軸231A、231Bを区別しない場合には単に車軸231と呼び、左右のキャスター本体232A、232Bを区別しない場合には単にキャスター本体232と呼び、左右の旋回軸233A、233Bを区別しない場合には単に旋回軸233と呼び、取り付け金具234A、234Bを区別しない場合には単に取り付け金具234とも呼ぶ。
【0019】
(座標系)
ここで、
図1A〜
図1Dの直交座標系XYZについて説明する。歩行補助椅子1Aから見てX軸は前後方向に対応し、Y軸は左右方向に対応し、Z軸は上下方向に対応する。ここで、歩行補助椅子1Aから見て前に向かう方向をX軸座標が増加する方向と定義し、歩行補助椅子1Aから見て左に向かう方向をY軸座標が増加する方向と定義し、歩行補助椅子1Aから見て上に向かう方向をZ軸座標が増加する方向と定義する。このとき、駆動輪22は前輪であり、キャスター23は後輪である。
【0020】
言い換えると、
図1A〜
図1Dの直交座標系XYZは、以下のように定義することも可能である。まず、
図1A〜
図1Dの歩行補助椅子1Aが地上を移動する際には、駆動輪22およびキャスター23のうち、全ての車輪、または、少なくともそのうち3つの車輪が、地面S
0に同時に接していることが好ましい。このとき、各車輪が地面S
0に接触している3つ以上の接地点を通る平面をXY平面と呼ぶ。このXY平面に直交する軸をZ軸と呼ぶ。次に、車軸221の回転軸をY軸と呼ぶ。最後に、Y軸およびZ軸の双方に直交する軸をX軸と呼ぶ。
【0021】
なお、車軸221A、221Bの回転軸が平行ではなく一点だけで交わる場合には、これら2本の回転軸が交わる角度を二等分する線をXY平面に投影して得られる方向をX軸方向と定義しても良いし、これら2本の回転軸を通る平面がXY平面に交わる直線の方向をY軸方向と定義しても良い。
【0022】
(構成要素、車両部の続き)
車両部2は、前述の駆動輪22およびキャスター23に加えて、車両部フレーム21と、フロントフットレスト24と、スライド機構241と、リアフットレスト25と、リアフットレスト用のジョイント部251と、左側モーター26Aと、右側モーター26Bと、左側ドライバ27Aと、右側ドライバ27Bと、左側バッテリー28Aと、図示しない右側バッテリーと、
図1Eに示す制御部5とを備えている。左右のモーター26A、26Bを区別しない場合には、単にモーター26とも呼ぶ。左右のドライバ27A、27Bを区別しない場合には、単にドライバ27とも呼ぶ。左側バッテリー28Aを図示しない右側バッテリーと区別しない場合には、単にバッテリー28とも呼ぶ。
【0023】
左右のバッテリー28は、直列に接続されて、電気回路上は1つのバッテリーとして動作しても良い。例えば、左右のバッテリー28のそれぞれは直流12ボルトのカーバッテリーであっても良いし、これら左右のバッテリー28は直列に接続されて合計24ボルトの直流電圧を出力しても良い。バッテリー28は、図示しない各種の電気回路を含んでいても良い。ここで、各種の電気回路には、外部電源からバッテリー28を充電するための充電回路、バッテリー28からモーター26に出力される電力の電圧、電流、波形などを調整するドライバ27などが含まれていても良い。ドライバ27には、直流電流を交流電流に変換するインバータ回路、出力電圧を適切な値に調節する降圧回路または昇圧回路、直流電流を別の直流電流に変換するコンバータ回路、出力電力を安定化させる安定化回路、などが含まれていても良い。
【0024】
モーター26には、駆動輪22に出力する駆動力の回転数および/またはトルクを適宜な値に変換するギヤボックスなどが含まれていても良い。
【0025】
(構成要素、乗載部)
乗載部4は、乗載部フレーム41と、座面42と、背もたれ43と、左側のロックピン433Aと、右側のロックピン433Bと、背もたれジョイント部44と、左側アームレスト45Aと、右側アームレスト45Bと、左側持ち手46Aと、右側持ち手46Bとを備える。左右のロックピン433A、433Bを区別しない場合は、単にロックピン433とも呼ぶ。左右のアームレスト45A、45Bを区別しない場合は、単にアームレスト45とも呼ぶ。左右の持ち手46A、46Bを区別しない場合は、単に持ち手46とも呼ぶ。
【0026】
座面42は、昇降座面421と、左側退避座面422Aと、右側退避座面422Bと、昇降座面フレーム423と、左側退避座面フレーム424Aと、右側退避座面フレーム424Bと、左側退避座面用のジョイント425Aと、右側退避座面用のジョイント425Bとを備える。左右の退避座面422A、422Bを区別しない場合には、単に退避座面422とも呼ぶ。左右の退避座面フレーム424A、424Bを区別しない場合には、単に退避座面フレーム424とも呼ぶ。左右の退避座面用のジョイント425A、425Bを区別しない場合には、単に退避座面用のジョイント425とも呼ぶ。
【0027】
昇降座面421および退避座面422は、分離可能に構成されているが、電動車椅子として動作する第1形態の歩行補助椅子1Aでは、昇降座面421および退避座面422が隣接しており、事実上一体化されている。言い換えれば、昇降座面421および退避座面422は、互いに相補的な形状を有し、互いに隣接することで利用者にとって単独の座面42として認識されるように構成されていることが好ましい。昇降座面421および退避座面422が分離する際の動作については、歩行補助椅子1Aの第2形態の動作として後述する。
【0028】
座面42および背もたれ43は、利用者が快適かつ安全に着座出来る椅子として機能するように構成されていることが好ましい。例えば、利用者にとって座り心地が良い程度の伸縮性を有するように、座面42および背もたれ43の表面にはクッション432などが備えられていても良い。
【0029】
背もたれジョイント部44は、背もたれ43を、座面42に対向するように折り畳めるように構成されている。背もたれ43を折り畳んだ状態における歩行補助椅子1Aについては、第3形態および第4形態として後述する。
【0030】
左右のアームレスト45の構成について説明する。左側アームレスト45Aは、左側アームレスト45A用のジョイント部451Aと、左側コントローラ着脱部452Aと、左側ハンドレスト453Aと、左側ハンドレスト453A用のジョイント部454Aとを備える。同様に、右側アームレスト45Bは、右側アームレスト45B用のジョイント部451Bと、右側コントローラ着脱部452Bと、右側ハンドレスト453Bと、右側ハンドレスト453B用のジョイント部454Bとを備える。左右のアームレスト45用のジョイント部451A、451Bを区別しない場合には、単にアームレスト45用のジョイント部451とも呼ぶ。左右のコントローラ着脱部452A、452Bを区別しない場合には、単にコントローラ着脱部452とも呼ぶ。左右のハンドレスト453A、453Bを区別しない場合には、単にハンドレスト453とも呼ぶ。左右のハンドレスト453用のジョイント部454A、454Bを区別しない場合には、単にハンドレスト453用のジョイント部454とも呼ぶ。なお、
図1A〜
図1Dの例では、右側ハンドレスト453Bはセンサ455をさらに備えている。このセンサ455は、後述するように、利用者の位置を検出する。センサ455が利用者の位置を検出する方法は、赤外線やレーザ光などを用いた光学的な方法であっても良いし、超音波を用いた音響的な方法であっても良い。ここで、センサ455が配置される場所は、右側ハンドレスト453Bに限定されず、左側ハンドレスト453Aに配置しても良いし、左右のハンドレスト453の両方に配置しても良いし、さらに別の構成例としては、座面42や背もたれ43に配置しても良い。
【0031】
アームレスト45は、座面42により近い閉状態と、背もたれ43により近い開状態との間で、開閉可能に構成されている。アームレスト45は、その閉状態において、電動車椅子としての歩行補助椅子1Aに着座している状態の利用者が、歩行補助椅子1Aを掴んで保持出来るように構成されている。言い換えれば、アームレスト45は、歩行補助椅子1Aに着座している状態の利用者が、安定のために腕力で自身を支えられるように構成されていても良い。また、開状態におけるアームレスト45は、電動車椅子としての歩行補助椅子1Aに対する、左右の側面からの利用者の乗り降りを妨げない位置に配置されていることが好ましい。
【0032】
アームレスト45用のジョイント部451は、アームレスト45を、乗載部4に対して開閉可能に支持するように構成されていることが好ましい。この開閉動作は、ジョイント部451がY軸に平行な回転軸を中心に回転することで実現されても良い。
【0033】
コントローラ着脱部452は、コントローラ6を左右のアームレスト45に着脱可能に接続する。コントローラ6は、利用者が歩行補助椅子1Aの各種動作を、制御部5を介して操作するためのインタフェース装置である。コントローラ6は、制御部5に電気的に有線で接続されていることが好ましいが、無線通信により接続されていても良い。コントローラ6および制御部5の間で無線通信を行う場合は、コントローラ6はバッテリー28とは別の電源を有していても良い。
図1Bでは、コントローラ6を右側のコントローラ着脱部452Bに装着した場合の位置を破線で示しているが、左側のコントローラ着脱部452Aに装着しても良い。
【0034】
ハンドレスト453は、左右のアームレスト45の間にある空間の、歩行補助椅子1Aから見て前方において、開閉可能に構成されている。ハンドレスト453は、開状態においては利用者が左右のアームレスト45の間を通って歩行補助椅子1Aから見て前方から出入りすることを可能とする。また、閉状態においては、歩行補助椅子1Aから見て前方から利用者を保護する。
【0035】
ハンドレスト453用のジョイント部454は、左右のハンドレスト453A、453Bを、それぞれ、左右のアームレスト45A、45Bの先端部分に、開閉可能に支持するように構成されていることが好ましい。この開閉動作は、ハンドレスト453の長手方向に平行な、仮想的な回転軸の周囲を回転することで実現されても良い。
【0036】
センサ455は、左右のアームレスト45の内側に存在する利用者を検出するように構成されていることが好ましい。
【0037】
持ち手46は、歩行補助椅子1Aの後方に位置する人間が歩行補助椅子1Aを掴んで保持できるように構成されている。言い換えれば、持ち手46は、歩行補助椅子1Aを手動による移動も出来るようにも構成されている。
【0038】
図1Eを参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Aの電気的な構成要素について説明する。本実施形態による歩行補助椅子1Aは、
図1A〜
図1Dを参照して前述したドライバ27、バッテリー28、センサ455、コントローラ6、モーター26、座面昇降機構3およびフロントフットレスト24に加えて、制御部5をさらに備えている。
【0039】
ここで、制御部5は、センサ455およびコントローラ6から受信する各種の信号に応じて、ドライバ27の動作を制御する電気回路である。なお、制御部5は、プログラムを実行して動作する計算機であっても良い。また、ドライバ27は、バッテリー28から供給される電力を、制御部5の制御下で適宜に調整してから、フロントフットレスト24、モーター26およびアクチュエータ311のそれぞれに向けて送信する電気回路である。
【0040】
図1Fを参照して、本実施形態による制御部5の構成要素について説明する。制御部5は、バス50と、入出力インタフェース51と、演算装置52と、記憶装置53と、外部記憶装置54とを備える。ここで、バス50は、入出力インタフェース51、演算装置52、記憶装置53および外部記憶装置54を、相互に通信可能に接続する。入出力インタフェースは、外部の装置との間で電気的な通信を行う。演算装置52は、記憶装置53に格納されているプログラムを実行する。記憶装置53は、各種のプログラムおよびデータを読み出し可能に格納する。外部記憶装置54は、記録媒体55との間でプログラムおよびデータの読み出しおよび書き込みを行う。
【0041】
図1Gを参照して、本実施形態によるコントローラ6の構成要素について説明する。コントローラ6は、本体60と、ジョイスティック61と、昇降スイッチ62と、スライドスイッチ63と、速度ダイヤル64と、コールスイッチ65と、着脱部66と、メインスイッチ67とを備える。メインスイッチ67を操作することで、コントローラ6を含む歩行補助椅子1Aの電源をオンオフ出来る。ジョイスティック61を操作することで、駆動輪22の動作を制御することが出来る。昇降スイッチ62を操作することで、座面昇降機構3の動作を制御することが出来る。スライドスイッチ63を操作することで、スライド機構241の動作を制御することが出来る。速度ダイヤル64を操作することで、車両部2の最高速度を調節することが出来る。コールスイッチ65を操作することで、予め設定された別の端末を介して介助者などを呼び出すことが出来る。着脱部66は、コントローラ着脱部452に装着するための接続部である。
【0042】
(構成要素の接続関係および位置関係)
図1A〜
図1Dの歩行補助椅子1Aの構成要素の接続関係および位置関係について説明する。まず、乗載部4が、座面昇降機構3を介して、車両部2に搭載されている。なお、前述のとおり、
図1A〜
図1Dでは座面昇降機構3が見えにくいので、その詳細については別の図を参照して後述する。
【0043】
車両部2の構成要素の接続関係および位置関係について説明する。まず、
図1Cおよび
図1Dに示したように、車両部2に基準面S
1を定義する。
図1Cおよび
図1Dの例では、この基準面S
1は、車両部フレーム21の底面を通る仮想的な平面であり、地面S
0に対して平行である。ただし、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。すなわち、車両部2の基準面S
1は、必ずしも車両部フレーム21の底面を通らなくて良いし、必ずしも地面S
0に対して平行でなくて良い。
【0044】
次に、車両部フレーム21には、キャスター23の取り付け金具234と、モーター26と、ドライバ27と、バッテリー28と、座面昇降機構3と、
図1A〜
図1Dには示されない制御部5とが取り付けられている。ここで、キャスター23の取り付け金具234、モーター26、ドライバ27、バッテリー28および制御部5は、車両部フレーム21に対するそれぞれの位置が動かないように固定されていることが好ましい。なお、座面昇降機構3が変形して車両部フレーム21に対する位置が変動することについては後述する。
【0045】
駆動輪22の構成について説明する。駆動輪22は、その車軸221が、モーター26の軸に接続されている。ここで、駆動輪22の車軸221と、モーター26の軸とは、前述したギヤボックスを介して接続されていても良いし、ギヤボックスを介さずに直接的に接続されていても良い。いずれの場合も、駆動輪22の車軸221は、Y軸に対して平行であることが好ましい。駆動輪22は固定車として車両部フレーム21に取り付けられているが、左右の駆動輪22A、22Bのそれぞれにおける回転数および回転方向を独立して制御することで、歩行補助椅子1Aは前進、後退、直進および左右への旋回が可能である。
【0046】
キャスター23の構成について説明する。キャスター23は、キャスター本体232に、車軸231を介して回転自在に接続されている。キャスター本体232は、取り付け金具234に、旋回軸233を介して回転自在に接続されている。ここで、旋回軸233の回転軸は、地面S
0、すなわち前述した左右の駆動輪22および左右のキャスター23のうち、全てまたは一部が接地する複数の接地点を通るXY平面に対して直交していても良い。言い換えれば、旋回軸233の回転軸は、Z軸に対して平行であっても良い。また、車軸231は、XY平面に対して平行であっても良い。いずれの場合も、車軸231の回転軸と、旋回軸233の回転軸とは、捻じれの関係にあることが好ましい。このとき、キャスター23は自在車として動作することが出来る。言い換えれば、旋回軸233は、外部から印加される力の方向にキャスター23が進めるように回転することが出来る。ここで、外部から印加される力は、モーター26によって駆動する駆動輪22に由来しても良いし、持ち手46などを介して歩行補助椅子1Aを動かす人間などに由来しても良い。
【0047】
フロントフットレスト24について説明する。フロントフットレスト24は、座面42に腰かけた利用者が足を乗せられるように構成されている。その一方で、フロントフットレスト24は、座面42に着座していた利用者が歩行補助椅子1Aから致地面に降りるときに、その動作の妨げとならない位置まで移動することが好ましい。そこで、フロントフットレスト24は、スライド機構241によって、例えば車両部フレーム21の内部に収納されるように構成されていても良い。ここで、フロントフットレスト24の移動は、利用者によるコントローラ6のスライドスイッチ63の操作に基づいて行われても良いし、制御部5の制御下で自動的に行われても良い。
【0048】
リアフットレスト25について説明する。リアフットレスト25は、歩行補助椅子1Aの第3形態および第4形態において、利用者が後方から歩行補助椅子1Aに乗る際に、利用者が足を乗せられるように構成されている。その一方で、リアフットレスト25は、歩行補助椅子1Aの第1形態および第2形態においては不要である。そこで、リアフットレスト25は、不要時にはリアフットレスト25用のジョイント部251によって車両部2の背面に対向するように跳ね上げられ、必要時には展開されるように構成されている。言い換えれば、リアフットレスト25用のジョイント部251は、一方では車両部フレーム21に対して固定されており、もう一方ではリアフットレスト25に接続されており、リアフットレスト25の位置を、利用者が足を乗せられる状態と、跳ね上げられた状態との間で切り替え可能に構成されている。なお、リアフットレスト25は、跳ね上げられた状態において、キャスター23またはクッション432よりも後方に突出しないように配置されていることが好ましい。また、
図1A等に示した例では、リアフットレスト25は、展開された状態において、前述した駆動輪22およびキャスター23の全てまたは一部が接地する複数の接地点を通るXY平面に対して平行または平行に近い角度に、かつ、キャスター23またはクッション432よりも後方に十分に突出するように設置されることが好ましい。
【0049】
座面昇降機構3について説明する。座面昇降機構3は、一方では車両部フレーム21に接続されており、他方では乗載部フレーム41および昇降座面フレーム423を介して昇降座面421に接続されている。
図1A〜
図1Dに示した、電動車椅子として動作する歩行補助椅子1Aの第1形態では、座面昇降機構3は、車両部フレーム21に対する昇降座面421の位置関係を変動させないように構成されている。なお、座面昇降機構3が、車両部フレーム21に対する乗載部フレーム41の位置関係を変動させる動作については、後述する。
【0050】
乗載部4の構成要素の接続関係および位置関係について説明する。前述のとおり、乗載部フレーム41は、座面昇降機構3を介して車両部2に接続されている。電動車椅子として動作する第1形態の歩行補助椅子1Aにおいては、座面昇降機構3に対する乗載部フレーム41の位置関係は変動しない。昇降座面421は昇降座面フレーム423に固定されており、昇降座面フレーム423は乗載部フレーム41に固定されている。言い換えれば、昇降座面421と、昇降座面フレーム423と、乗載部フレーム41とは、一体化されている。
【0051】
乗載部フレーム41の底面を通る仮想的な平面を、乗載部4の基準面S
2とする。
図1A〜
図1Dの例では、基準面S
2は地面S
0に対して平行であり、したがって車両部2の基準面S
1に対しても平行である。ただし、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。乗載部4の基準面S
2は、乗載部フレーム41の底面を通らなくても良いし、第1形態において地面S
0に対して平行でなくても良い。
【0052】
左右の退避座面422は、両方とも、同一の退避座面フレーム424に固定されている。言い換えれば、左右の退避座面422と、退避座面フレーム424とは、一体化されている。退避座面フレーム424は、退避座面用のジョイント425を介して、乗載部フレーム41に接続されている。なお、退避座面用のジョイント425は、一方では退避座面フレーム424を介して左右の退避座面422に固定されており、他方では乗載部フレーム41に固定されている。言い換えれば、一体化されている左右の退避座面422の、乗載部フレーム41に対する位置関係は、退避座面用のジョイント425が有する一軸の回転自由度の範囲内で変動可能である。退避座面用のジョイント425の回転軸は、Y軸に対して平行であることが好ましい。
【0053】
ただし、電動車椅子として動作する歩行補助椅子1Aの第1形態では、座面昇降機構3が不動状態にあるため、退避座面用のジョイント425も不動状態となり、したがって左右の退避座面422の、乗載部フレーム41に対する位置関係は変動しない。この状態において、昇降座面421は、歩行補助椅子1Aの進行方向に向かって左右から、左右の退避座面422によって挟み込まれている、言い換えれば、この状態において、昇降座面421および左右の退避座面422は水平方向に隣接しており、事実上一体化された座面42として機能することが好ましい。
【0054】
背もたれ43と、クッション432と、左右の持ち手46とは、いずれも、背もたれフレーム431と一体化されている。背もたれジョイント部44は、一方では背もたれフレーム431に接続されており、他方では乗載部フレーム41に接続されている。言い換えれば、背もたれ43は、背もたれフレーム431および背もたれジョイント部44を介して、乗載部フレーム41に接続されている。さらに言い換えれば、背もたれ43の、昇降座面421に対する位置関係は、背もたれジョイント部44が有する一軸の回転自由度の範囲内で変更可能である。さらに言い換えれば、背もたれジョイント部44は、座面42に対する背もたれ43の位置が、座面42に着座している状態の利用者の背中を快適かつ安全に支持出来る第1位置と、座面42に対向して折り畳まれている第2位置との間で切り替えられるように、背もたれ43を回転可能に支持している。
【0055】
背もたれジョイント部44は、利用者が必要に応じて背もたれ43の位置を第1位置または第2位置に固定できるように構成されていることが好ましい。言い換えれば、背もたれジョイント部44は、利用者の意に反して背もたれ43が動いてしまわないように構成されていることが好ましい。一例として、背もたれジョイント部44には、可動部に設けられた2つの穴を重ねて差し込むことで可動部を固定するロックピン433が用いられても良いし、特定の角度を保持する機能を有するラチェットヒンジが用いられても良い。
【0056】
なお、背もたれ43が昇降座面421に対向して折り畳まれている状態では、利用者が座面42に着座できなくても良い。この状態における歩行補助椅子1Aは、後述するように、第3形態および第4形態として、利用者の移乗を補助する移乗補助器として好適に利用される。
【0057】
アームレスト45は、その一方の端部が、ジョイント部451を介して乗載部フレーム41に接続されている。なお、アームレスト45が有する2つの端部のうち、乗載部フレーム41に接続されている方の端部は、Y軸方向の側面から見て背もたれ43に沿う形状を有していても良い。また、アームレスト45の他方の端部は、Y軸方向の側面から見て、歩行補助椅子1Aの前方に進むにつれて上昇する方向に延在していても良い。アームレスト45のうち、両端の間の中間部分は、利用者にとって安全であるように、なるべく大きい半径で曲がっていても良い。ここで、アームレスト45の中間部分のうち、曲がっている部分は、2ヶ所またはそれ以上に分かれて存在していても良い。
【0058】
ジョイント部451は、アームレスト45および乗載部フレーム41を、一軸回転可能に接続している。ジョイント部451の回転軸は、前述のとおり、Y軸に平行であることが好ましい。ただし、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
【0059】
ハンドレスト453は、アームレスト45の、乗載部フレーム41に接続されている方の端部とは反対側の端部に、その端部におけるアームレスト45の長手方向に平行な回転軸の周囲を回転できるように接続されている。ただし、ハンドレスト453が回転できる範囲は、一方ではハンドレスト453が水平になり、かつ、左右のアームレスト45より外側に出ない位置までであることが好ましい。また、ハンドレスト453が回転できる範囲は、他方ではハンドレスト453がXZ平面に含まれ、かつ、ほぼ上向きとなる位置までであっても良い。言い換えれば、左右のハンドレスト453は、それぞれの長手方向が互いに向かい合い、かつ、左右のアームレスト45より外側に出ない位置でその回転が停止することが好ましい。また、左右のハンドレスト453は、それぞれの長手方向がXZ平面に含まれ、かつ、ほぼ上向きとなる位置でその回転が停止することが好ましい。
【0060】
コントローラ着脱部452は、アームレスト45の、ハンドレスト453が接続されている方の端部の付近に設けられている。コントローラ6は、
図1A〜
図1Dに示されない制御部5に、電気的に接続されている。コントローラ6および制御部5を電気的に接続する経路は、図示しないケーブルであっても良い。
【0061】
図1Eを参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Aの構成要素の電気的な接続について説明する。バッテリー28は、センサ455、コントローラ6、制御部5およびドライバ27のそれぞれに、電気的に接続されている。言い換えれば、バッテリー28は、センサ455、コントローラ6、制御部5およびドライバ27のそれぞれに電力を供給する。センサ455およびコントローラ6のそれぞれは、制御部5に、電気的に接続されている。言い換えれば、センサ455はセンサ信号を生成して制御部5に向けて送信し、コントローラ6は操作信号を生成して制御部5に向けて送信する。制御部5は、ドライバ27に、電気的に接続されている。言い換えれば、制御部5は制御信号を生成してドライバ27に向けて送信する。ドライバ27は、モーター26、座面昇降機構3およびフロントフットレスト24のそれぞれに、電気的に接続されている。言い換えれば、ドライバ27は、モーター26、座面昇降機構3およびフロントフットレスト24のそれぞれに、適宜に調整された電圧、電流および波形を有する電力を供給する。
【0062】
図1Fを参照して、本実施形態による制御部5の構成要素の電気的な接続について説明する。バス50は、入出力インタフェース51、演算装置52、記憶装置53および外部記憶装置54のそれぞれに、電気的に接続されている。言い換えれば、入出力インタフェース51、演算装置52、記憶装置53および外部記憶装置54は、バス50を介して、互いに電気的な通信を行うことが出来る。
【0063】
(動作)
図1A〜
図1Dの歩行補助椅子1Aの構成要素の動作について説明する。まず、乗載部4は、利用者を安全に支持する。具体的には、利用者は、座面42に着座し、さらに背もたれ43に体重を預けても良い。利用者は、左右のアームレスト45または左右のハンドレスト453を握っても良い。利用者は、左右のアームレスト45に寄り掛かったりしても良い。利用者は、両足または片足をフロントフットレスト24に乗せても良い。
【0064】
次に、利用者は、コントローラ6を操作して、車両部2を駆動する。車両部2は、2つの駆動輪22および2つのキャスター23で地面S
0を移動する。この移動は、利用者の操作に基づいて、制御部5の制御下で行われることが好ましい。言い換えれば、利用者は、コントローラ6を操作して、所望する進行方向および進行速度を入力する。例えば、ジョイスティック61を傾ける方向で進行方向を調節し、ジョイスティック61を傾ける角度で進行速度を調節しても良い。さらには、ジョイスティック61の端部を左右に回転することにより、その場で左右に旋回しても良い。なお、車両部2の移動に係る最高速度は、コントローラ6の速度ダイヤル64を用いて、利用者の状態および周囲の状況に合わせて適宜に調節されることが好ましい。コントローラ6は、入力された内容を表す操作信号を生成して制御部5に送信する。制御部5は、操作信号を受信し、車両部2が所望の方向および速度で進行するための制御信号を生成し、ドライバ27に向けて送信する。ドライバ27は、バッテリー28から供給された電力から、制御信号に対応する電圧、電流、波形などを有する出力電力を生成してモーター26に提供する。ここで、波形は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅モジュレーション)制御されることによって、車両部2が進行する速度を調整しても良い。また、左右のモーター26にそれぞれ供給される電力が異なるように設定することで、車両部2が進行する方向を調整しても良い。
【0065】
(第2実施形態)
図2A〜
図2Eを参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Bの構成について説明する。
図2Aは、一実施形態による歩行補助椅子1Bの一構成例を示す側面図である。
図2Bは、
図2Aに示した形態による歩行補助椅子1Bの上面図である。
図2Cは、
図2Aに示した形態による歩行補助椅子1Bの正面図である。
図2Dおよび
図2Eは、
図2Aに示した形態による歩行補助椅子1Bの、
図2Cに示した断面線B−Bによる部分断面側面図である。
【0066】
図2A〜
図2Eに示した第2形態としての歩行補助椅子1Bは、
図1A〜
図1Dに示した第1形態としての歩行補助椅子1Aに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、車両部2および乗載部4の間に接続された座面昇降機構3が、第1形態では収縮した状態であったが、第2形態では伸長した状態である。その結果、第2形態の乗載部4が、第1形態よりも、地面S
0および車両部2から離れた位置に配置されている。その他、フロントフットレスト24が、車両部2の内部に収納されている。第2形態による歩行補助椅子1Bのその他の構成は、第1形態による歩行補助椅子1Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0067】
座面昇降機構3の構成要素について説明する。座面昇降機構3は、大きく分けて、第1スライダクランク機構と、第2スライダクランク機構と、第3スライダクランク機構と、リンク機構と、疑似的なスライダクランク機構とを備える。ただし、これらの機構には、共有される構成要素が含まれる。
【0068】
ここで、第1スライダクランク機構は、動力源としてのアクチュエータ311と、車両部フレーム21とに接続されている。第2スライダクランク機構は、第1スライダクランク機構と、車両部フレーム21とに接続されている。第3スライダクランク機構は、乗載部フレーム41に接続されている。リンク機構は、第2スライダクランク機構および第3スライダクランク機構の間に接続されている。疑似的なスライダクランク機構は、車両部フレーム21と、退避座面フレーム424との間に接続されている。
【0069】
第1スライダクランク機構の構成要素について説明する。第1スライダクランク機構は、車両部フレーム21と、アクチュエータ311と、リンク312と、3つのジョイント313、314、315とを含む。
【0070】
リンク312は、その上方に接続される乗載部4をより安定的に支持するために、左側リンク312Aおよび右側リンク312Bの集合体として構成されることが好ましい。ただし、以降の説明では、左右のリンク312A、312Bをまとめて、省略してリンク312と呼ぶ。第2スライダクランク機構、第3スライダクランク機構およびリンク機構に含まれる全てのリンクについても同様に省略して呼ぶが、上記のように左右一対の集合体として構成されることが好ましい。
【0071】
ジョイント313、314、315のそれぞれは、2つの構成要素を一軸回転可能に接続する部材である。接続する構成要素が、リンク312のように、左右一対の集合体である場合には、左右のリンク312A、312Bの間の距離を一定に保つスペーサが、ジョイントに含まれても良い。
【0072】
アクチュエータ311は、外部からの制御に応じて伸縮する動力源である。なお、アクチュエータ311は、バッテリー28から電力を供給されて動作しても良い。
【0073】
第1スライダクランク機構の構成要素の接続関係について説明する。まず、アクチュエータ311と、車両部フレーム21とが、ジョイント313を介して、一軸回転可能に接続されている。次に、車両部フレーム21と、リンク312とが、ジョイント314を介して、一軸回転可能に接続されている。さらに、アクチュエータ311と、リンク312とが、ジョイント315を介して、一軸回転可能に接続されている。
【0074】
ここで、3つのジョイント313、314、315のそれぞれにおける回転軸は、互いに平行であることが好ましい。
図2A〜
図2Eに示した構成例では、3つのジョイント313、314、315のそれぞれにおける回転軸は、いずれもY軸に対して平行である。ただし、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
【0075】
3つのジョイント313、314、315のそれぞれにおける回転軸は、互いに所定の距離だけ離れて配置されている。以降、2つのジョイントの回転軸の間の距離を、単に2つのジョイントの間の距離とも呼ぶ。
【0076】
アクチュエータ311に設けられた2つのジョイント313、315は、アクチュエータ311が伸縮する方向と同じまたは近い方向に配置されていることが好ましい。ここで、アクチュエータ311が伸縮する方向に近い方向とは、アクチュエータの伸縮動作から得られる動力が第1スライダクランク機構に対して効果的に伝達されるような方向であることを意味している。言い換えれば、2つのジョイント313、315を通る直線が、アクチュエータ311が縮んでいる第1状態と、アクチュエータ311が伸びている第2状態との間で、なるべく平行に保たれるように、2つのジョイント313、315を配置することが好ましい。
【0077】
図2A〜
図2Eに示した構成例では、車両部フレーム21を基準に、X軸方向における前後関係に注目すると、2つのジョイント313、315は、いずれも、ジョイント314より後方に位置している。また、Z軸上の上下関係に注目すると、2つのジョイント314、315は、いずれも、ジョイント313よりも上方に位置している。
【0078】
第2スライダクランク機構の構成要素について説明する。第2スライダクランク機構は、車両部フレーム21と、リンク312と、スライダ321と、リンク322と、合計3個のジョイント314、323、324とを含む。ここで、スライダ321は、車両部フレーム21に設けられたスライド穴と、このスライド穴の長手方向に摺動するジョイント323とを含む。また、リンク322は、左側のリンク322Aおよび右側のリンク322Bの集合体である。
【0079】
なお、リンク312は、第1スライダクランク機構にも含まれている。前述のとおり、第1スライダクランク機構において、リンク312はアクチュエータ311からジョイント315を介して動力を伝達される。第2スライダクランク機構では、リンク312が動力源となって他のリンク322に動力を伝達する。
【0080】
第2スライダクランク機構の構成要素の接続関係について説明する。まず、前述のとおり、リンク312と、車両部フレーム21とが、ジョイント314を介して、一軸回転可能に接続されている。次に、スライダ321において、ジョイント323が、スライド穴に、スライド穴の長手方向に摺動可能に、かつ、スライド穴の開口面に直交する回転軸の周囲を一軸回転可能に接続されている。また、2つのリンク312、322が、ジョイント324を介して、一軸回転可能に接続されている。
【0081】
ここで、3つのジョイント314、323、324のそれぞれにおける回転軸は、互いに平行であることが好ましい。
図2A〜
図2Eに示した構成例では、3つのジョイント314、323、324の回転軸は、いずれも、Y軸に対して平行である。ただし、これはあくまでも一構成例であって、本実施形態を限定しない。
【0082】
図2A〜
図2Eに示した構成例では、車両部フレーム21に設けられたスライダ321のスライド穴は、ジョイント323がX軸方向に摺動可能に構成されている。言い換えれば、スライダ321のスライド穴は、X軸方向に延在している。さらに言い換えれば、スライダ321のスライド穴の長手方向は、X軸方向に対して平行である。また、スライダ321のスライド穴の長手方向の延長線上には、ジョイント314が配置されている。ただし、これらの形状および位置関係は、あくまでも一構成例であって、本実施形態を限定しない。
【0083】
図2A〜
図2Eに示した構成例では、リンク312において、ジョイント324は、リンク312における2つのジョイント314、315の延長線上に配置されている。言い換えれば、リンク312において、3つのジョイント314、315、324は、この順番に、直線上に並んで配置されている。ただし、これらの位置関係は、あくまでも一構成例であって、本実施形態を限定しない。
【0084】
第3スライダクランク機構の構成要素について説明する。第3スライダクランク機構は、乗載部フレーム41と、スライダ331と、2つのリンク332、333と、合計3個のジョイント334、335、336とを含む。ここで、スライダ331は、乗載部フレーム41に設けられたスライド穴と、このスライド穴の長手方向に摺動するジョイント334とを含む。また、リンク332は左側のリンク332Aおよび右側のリンク332Bの集合体であり、リンク333は左側のリンク333Aおよび右側のリンク333Bの集合体である。
【0085】
第3スライダクランク機構の構成要素の接続関係について説明する。まず、リンク333と、乗載部フレーム41とが、ジョイント335を介して、一軸回転可能に接続されている。次に、スライダ331において、ジョイント334が、スライド穴に、スライド穴の長手方向に摺動可能に、かつ、スライド穴の開口面に直交する回転軸の周囲を一軸回転可能に接続されている。また、2つのリンク332、333が、ジョイント336を介して、一軸回転可能に接続されている。
【0086】
ここで、3つのジョイント334、335、336の回転軸は、互いに平行であることが好ましい。
図2A〜
図2Eに示した構成例では、3つのジョイント334、335、336の回転軸は、いずれも、Y軸に対して平行である。ただし、これはあくまでも一構成例であって、本実施形態を限定しない。
【0087】
リンク機構の構成要素について説明する。リンク機構は、4つのリンク312、322、332、333と、4つのジョイント324、336、341、342とを含む。なお、前述のとおり、リンク機構に含まれる2つのリンク312、322およびジョイント324は、第2スライダクランク機構にも共有されている。また、リンク機構に含まれる2つのリンク332、333およびジョイント336は、第3スライダクランク機構にも共有されている。
【0088】
リンク機構の構成要素の接続関係について説明する。2つのリンク312、322は、ジョイント324を介して一軸回転可能に接続されている。2つのリンク332、333は、ジョイント336を介して一軸回転可能に接続されている。2つのリンク312、333は、ジョイント341を介して一軸回転可能に接続されている。2つのリンク322、332は、ジョイント342を介して一軸回転可能に接続されている。
【0089】
言い換えれば、このリンク機構は、第2スライダクランク機構および第3スライダクランク機構を、2つのジョイント341、342を介して接続している。
【0090】
なお、4つのジョイント324、336、341、342のそれぞれの回転軸は、互いに平行であることが好ましい。
図2A〜
図2Eに示した構成例では、4つのジョイント324、336、341、342のそれぞれの回転軸は、いずれも、Y軸に対して平行である。
【0091】
疑似的スライダクランク機構の構成要素について説明する。疑似的スライダクランク機構は、左右の退避座面422A、422Bにそれぞれ1つずつ接続されて設けられている。左側退避座面422Aに接続されている疑似的スライダクランク機構を、左側疑似的スライダクランク機構と呼ぶ。同様に、右側退避座面422Bに接続されている疑似的スライダクランク機構を、右側疑似的スライダクランク機構と呼ぶ。以降、左右の疑似的スライダクランク機構を区別しない場合には、両者をまとめて単に疑似的スライダクランク機構とも呼ぶ。左側疑似的スライダクランク機構は、車両部フレーム21に設けられたジョイント支持部211Aと、リンク351Aと、左側退避座面フレーム424Aと、疑似的スライダと、3つのジョイント352A、353A、425Aとを含む。同様に、右側疑似的スライダクランク機構は、車両部フレーム21に設けられたジョイント支持部211Bと、リンク351Bと、右側退避座面フレーム424Bと、疑似的スライダと、3つのジョイント352B、353B、425Bとを含む。左右の擬似的スライダクランク機構に共有される疑似的スライダは、車両部フレーム21と、乗載部フレーム41と、座面昇降機構3のうち、疑似的スライダクランク機構以外の部分とを含む。言い換えれば、疑似的スライダは、第1スライダリンク機構、第2スライダクランク機構、第3スライダクランク機構およびリンク機構の集合体を、2つのジョイント352、425の間の距離を伸縮するスライダとして捉えたものである。
【0092】
疑似的スライダクランク機構の構成要素の接続関係について説明する。左右の疑似的スライダクランク機構は、互いに対照的に構成されているので、ここでは代表として左側の擬似的スライダクランク機構の構成について説明し、右側の擬似的スライダクランク機構の構成についてはその説明を省略する。ジョイント支持部211Aは、疑似的スライダに含まれる車両部フレーム21に固定されている。ジョイント支持部211Aおよびリンク351Aは、ジョイント352Aを介して回転可能に接続されている。リンク351Aおよび左側退避座面フレーム424Aは、ジョイント353Aを介して回転可能に接続されている。左側退避座面フレーム424Aと、疑似的スライダに含まれる乗載部フレーム41とは、ジョイント425Aを介して回転可能に接続されている。
【0093】
ここで、3つのジョイント352A、353A、425Aのそれぞれにおける回転軸は、互いに平行であることが好ましい。
図2A〜
図2Eに示した構成例では、3つのジョイント352A、353A、425Aのそれぞれの回転軸は、いずれも、Y軸に対して平行である。
【0094】
図2A〜
図2Eに示した第2形態における座面昇降機構3の全体的な構成について説明する。この第2形態において、3つのジョイント314、323、324の、Y軸方向から見た位置関係は、正三角形の各頂点の位置関係と同じであっても良い。言い換えれば、この第2形態において、2つのジョイント314、324のそれぞれの回転軸を通る仮想的な平面は、車両部フレーム21の基準面であるXY平面に対して、60度の角度で交わっていても良い。また、2つのジョイント323、324のそれぞれの回転軸を通る仮想的な平面も、XY平面に対して、60度の角度で交わっていても良い。ただし、この位置関係は、あくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
【0095】
同様に、この第2形態において、3つのジョイント334、335、336の、Y軸方向から見た位置関係は、正三角形の各頂点の位置関係と同じであっても良い。言い換えれば、この第2形態において、2つのジョイント335、336のそれぞれの回転軸を通る仮想的な平面は、乗載部フレーム41の基準面に対して、60度の角度で交わっていても良い。また、2つのジョイント334、336のそれぞれの回転軸を通る仮想的な平面も、同じ基準面に対して、60度の角度で交わっていても良い。ただし、この位置関係は、あくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
【0096】
その他、本実施形態による座面昇降機構3の特徴として、2つのリンク312、333が、2つのリンク322、332よりも長く、かつ、2つのリンク322、332がスライダ321、331にそれぞれ接続されていることが挙げられる。結果として、乗載部4の基準面S
2は、車両部2の基準面S
1に対して、
図1A〜
図1Dに示した第1形態では平行であったが、
図2A〜
図2Eに示した第2形態では傾いている。言い換えれば、昇降座面421は、第1形態では地面S
0に対して水平であったが、第2形態では前傾している。
【0097】
第2形態における昇降座面421の前傾角度につて説明する。
図2A〜
図2Eに示した第2形態において、乗載部4の基準面S
2と、XY平面との間の角度θは、約30度である。この角度θは、Y軸方向の回転角度であって、
図2A、
図2Dの紙面に対して、すなわちY軸上の座標が減少する方向に見たときに、反時計回りに回転した角度である。したがって、昇降座面421の表面も、多少の凹凸があるものの、約30度前傾していると言える。本実施形態における角度θは約30度であるが、これはあくまでも一例であって本実施形態を限定しない。なお、角度θは、利用者の体格などに合わせて適宜に選択されることが好ましい。ただし、過去の研究により、人間が着座から起立する動作の中でその骨盤が前傾する角度の最大値が、平均で27.7±10.1度の範囲内であったことが実験により確認されている。本実施形態では、利用者の起立時における骨盤の前傾角度に合わせて昇降座面421の前傾角度を調整することで、利用者の起立補助をより効率的に、かつ、利用者への負担がより少なくなるように行えることが期待される。
【0098】
昇降座面421の前傾に係る回転の中心となる仮想的な軸をLと記す。仮想的な回転軸Lは、Y軸に対して平行であり、歩行補助椅子1Bの前方、すなわちX軸が増大する方向に位置している。その結果、第1形態と比較して、第2形態では、昇降座面421が前方に移動している。
【0099】
図2A〜
図2Eに示した第2形態において、第2スライダクランク機構と、第3スライダクランク機構とは、2つのジョイント341、342のそれぞれの回転軸を通る仮想的な平面S
5に対する対称性を有している。ここで、2つのジョイント323、324の間の距離と、2つのジョイント334、336の間の距離とは等しく、2つのジョイント324、342の間の距離と、2つのジョイント336、342の間の距離とも等しく、したがって2つのリンク322、332の長さは実質的に等しい。また、2つのジョイント314、324の間の距離と、2つのジョイント335、336の間の距離とは等しく、2つのジョイント324、341の間の距離と、2つのジョイント336、341の間の距離とも等しく、したがって2つのリンク312、333の長さは等しい。さらに、2つのジョイント314、323の間の距離と、2つのジョイント334、335の間の距離も等しい。その結果、2つのジョイント314、323のそれぞれの回転軸が通る仮想的な平面S
3が、2つのジョイント341、342のそれぞれの回転軸が通る仮想的な平面S
5と交わる角度θ
1は、2つのジョイント334、335のそれぞれの回転軸が通る仮想的な平面S
4が、2つのジョイント341、342のそれぞれの回転軸が通る仮想的な平面S
5と交わる角度θ
2に等しい。言い換えれば、角度θ
1および角度θ
2は、どちらも角度θの半分に等しい。
図2A〜
図2Eに示した例では、2枚の平面S
1、S
3は平行であり、また、2枚の平面S
2、S
4は平行である。ただし、これらの関係はあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
【0100】
第2形態における昇降座面421および退避座面422の間の距離D
1について説明する。退避座面422と一体化されている退避座面フレーム424は、第1形態においては昇降座面フレーム423に隣接していたが、第2形態では、前進した昇降座面フレーム423とは反対に、退避座面422は後退している。退避座面422が後退する主な目的は利用者の歩行の妨げにならないことにあるので、一つの目安としては、少なくとも、フロントフットレスト24を格納した状態の車両部フレーム21の前方端部の位置まで退避座面422の前方端部が退避することが好ましい。
図2Eの例では、平面S
6は、第2形態における昇降座面421の、X軸上の先端を通り、かつ、X軸に対して直交している。また、平面S
7は、第2形態における退避座面422の、X軸上の先端を通り、かつ、X軸に対して直交している。なお、平面S
7は、車両部フレーム21の、X軸上の先端をも通っている。ここで、平面S
6、S
7は互いに平行であり、その間隔は距離D
1である。距離D
1は、利用者の歩幅の半分に対して十分に長いことが好ましい。これは、昇降座面421の先端に利用者の両脚の付け根が位置する前提において、退避座面422が歩行時の後ろ側の脚の動きを妨げないためである。なお、過去の研究によれば、人間が着座から起立する動作の中でその身体重心が前後方向に移動する平均距離が32.1±4.1cmの範囲内であったことが実験により確認されている。したがって、距離D
1は、少なくとも36.2cmより長いことが好ましい。
【0101】
本実施形態による歩行補助器としての歩行補助椅子1Bの変形例として、第3スライダクランク機構に含まれるスライダ331およびジョイント335の位置関係を入れ替えることが考えられる。この場合は、第2形態における乗載部4が、
図2A、
図2Eの構成例よりも前進することになるので、距離D
1がより長くなる。その一方で、第2形態における昇降座面421の先端部分は、
図2A〜
図2Eの構成例よりも低くなる。その他、座面昇降機構3の各リンクの長さを変更することも可能である。これらの変形および変更を適宜に採用することで、本実施形態による歩行補助椅子1の形状は、利用者の体格に合わせてカスタマイズすることが可能である。
【0102】
退避座面フレーム424と、乗載部フレーム41と一体化している昇降座面フレーム423とを一軸回転可能に接続するジョイント425は、乗載部4のうち、歩行補助椅子1Aとしての後方、すなわちX軸座標が減少する方向に配置されている。そのため、退避座面422は、疑似的なスライダクランク機構によって移動する際に、歩行補助椅子1Aとしての後方に退避することで昇降座面421から離脱している。
【0103】
座面昇降機構3の動作について説明する。座面昇降機構3の動作は、
図1A〜
図1Dに示した第1形態から
図2A〜
図2Eに示した第2形態に移行する第1動作と、反対に、第1形態から第2形態に移行する第2動作とに分けて考えることが出来る。ここでは、先に第1動作について説明し、次に第2動作について説明する。
【0104】
座面昇降機構3の第1動作について説明する。まず、
図1A〜
図1Dに示した第1状態において、アクチュエータ311は収縮した状態である。このとき、5本のリンク312、322、332、333、351は、車両部フレーム21および乗載部フレーム41の間の空間に収まるように、互いに密着するように配置されることが好ましい。言い換えれば、2本のリンク312、332は、互いに平行に、かつ、互いに密着するように配置されることが好ましい。同様に、2本のリンク322、333は、互いに平行に、かつ、互いに密着するように配置されることが好ましい。ここで、4本のリンク312、322、332、333は、互いに干渉しないように、Y軸方向において互い違いに配置されていても良い。例えば、
図1Dおよび
図2Dに示した構成例では、2本のリンク312、332が、2本のリンク322、333よりも、Y軸方向において外側に配置されている。
【0105】
次に、アクチュエータ311が、伸長する動作を開始する。アクチュエータ311の伸長は、制御部5の制御下で行われることが好ましい。また、制御部5による制御は、利用者によるコントローラ6の昇降スイッチ62の操作に応じて行われることが好ましい。ここで、利用者は、座面昇降機構3の昇降動作を、途中で止めても良い。言い換えれば、座面昇降機構3は、第1形態および第2形態の間の任意の状態でその動作を停止することが可能であり、また再開することも可能であり、第1動作および第2動作を途中で切り替えることも可能である。なお、第1形態および第2形態の間の状態においても、本実施形態による歩行補助椅子1は、歩行補助器として動作可能である。
【0106】
アクチュエータ311が伸長することによって、その動力は、ジョイント315を介してリンク312に伝達される。すると、リンク312が、ジョイント314を介して接続された車両部フレーム21に対して一軸回転する動作を開始する。
【0107】
リンク312が一軸回転することによって、その動力は、ジョイント324を介してリンク322に伝達され、また、ジョイント341を介してリンク333にも伝達される。すると、リンク322に接続されたジョイント323が、スライダ321のスライド穴において摺動し、かつ、このスライド穴が設けられている車両部フレーム21に対して回転する動作を開始する。なお、リンク333の動作については後述する。
【0108】
リンク312が一軸回転する動作を行い、かつ、リンク322が摺動および一軸回転の動作を行うことによって、リンク312の、ジョイント314とは反対側の端部に接続されているジョイント341と、リンク322の、ジョイント323とは反対側の端部に接続されているジョイント342とは、互いに接近する。
【0109】
その一方で、リンク322の動力は、ジョイント342を介してリンク332に伝達される。その一方で、リンク312の一軸回転に伴う動力は、ジョイント341を介してリンク333に伝達されている。その結果、2つのリンク332、333は、両者を接続するジョイント336を介して互いに対して一軸回転する動作を行う。
【0110】
2つのリンク332、333が、ジョイント336を介して互いに一軸回転することによって、リンク332の、ジョイント342とは反対側の端部に接続されているジョイント334と、リンク333の、ジョイント341とは反対側の端部に接続されているジョイント335とが、互いに接近する。具体的には、ジョイント334が、スライダ331のスライド穴の内側を摺動することによって、このスライド穴が設けられている乗載部フレーム41に接続されているジョイント335に接近する。
【0111】
退避座面422の後方端部に接続されたジョイント425が乗載部フレーム41とともに移動する一方で、退避座面422の前方端部に接続されたジョイント353は、ジョイント支持部211およびジョイント352を介して車両部2に接続されたリンク351に引かれる。その結果、退避座面422は、その先端部分が後方に引き寄せられて車両部フレーム21の前方端部まで後退する。
【0112】
座面昇降機構3の第1動作と並行して、フロントフットレスト24はスライド機構241によって車両部2の内部に収納されることが好ましい。フロントフットレスト24の収納動作は、座面昇降機構3の第1動作が開始する前に行われても良い。
【0113】
図2A〜
図2Eでは、アクチュエータ311が伸長する動作を完了した際の、座面昇降機構3の第2状態が示されている。
【0114】
以上に説明した一連の動作によって、乗載部フレーム41は、車両部フレーム21から離れるように移動する。この移動は、Z軸上で上向きに進む成分と、X軸上で前向きに進む成分と、Y軸上で回転する成分とを含むことが好ましい。言い換えれば、乗載部フレーム41と一体化した昇降座面421は、座面昇降機構3の第1動作によって、Z軸上の動作に注目すると上昇しており、X軸上の動作に注目すると前進しており、Y軸上の回転に注目すると前傾している。
【0115】
なお、第1形態における電動車椅子としての歩行補助椅子1Aに利用者が着座している状態で、座面昇降機構3が第1動作を行うと、利用者は昇降座面421の動きに補助されて起立することが出来る。言い換えれば、第1形態から第2形態に移行する際に、歩行補助椅子1は、起立補助器として動作することが出来る。
【0116】
ここで、第2動作について説明する前に、
図2A〜
図2Eに示した第2形態における歩行補助椅子1Bの、歩行補助器としての動作について説明する。
【0117】
本実施形態による歩行補助器は、自力歩行は困難でも、つかまり歩きは可能な程度の身体能力を有する利用者などを対象に、リハビリテーションの一環などとして歩行する利用者を追従し、かつ、利用者がいつでも歩行を中断できるように、利用者を後方から少なくとも部分的に支持出来る昇降座面421を提供し、いつでもつかめるように左右のアームレスト45および前方のハンドレスト453を提供する。
【0118】
利用者は、昇降座面421の前方先端部を跨いだ状態で歩行する。このとき、利用者はほぼ完全に立位であることが好ましい。なお、第2形態の歩行補助椅子1Bにおいてフロントフットレスト24が車両部2の内部に収納されているのは、利用者が地面S
0を歩行する妨げにならないためである。
【0119】
このとき、利用者は、左右のアームレスト45によって左右から保護されており、かつ、左右のハンドレスト453によって前方から保護されている。また、アームレスト45およびハンドレスト453は利用者の手に届く距離にあるので、利用者はいつでもこれらにつかまることが出来る。
【0120】
歩行補助器としての歩行補助椅子1Bが、歩行する利用者に追従して自動的に移動することについて説明する。センサ455は、右側のアームレスト45Bの、左側のアームレスト45Aの方向を向いて配置されており、立位の利用者の位置を検出する。
【0121】
一例として、センサ455は、右側アームレスト45Bの長手方向に等間隔に配置された3つの光学センサを含んでいても良い。ここでは、これら3つの光学センサのうち、右側ハンドレスト453Bから最も近い位置に配置されているものを第1光学センサと呼び、他の2つの間に配置されているものを第2光学センサと呼び、右側ハンドレスト453Bから最も遠い位置に配置されているものを第3光学センサと呼ぶ。より具体的には、第1光学センサは、立位の利用者が前進した場合に利用者を検知できる位置に配置されている。第2光学センサは、立位の利用者が停止している場合に利用者を検知できる位置に配置されている。第3光学センサは、立位の利用者が後退した場合に利用者を検知できる位置に配置されている。
【0122】
歩行補助器としての歩行補助椅子1Bが、利用者に追従して前進を開始する動作について説明する。まず、それまで立ち止まっていた利用者が前進を開始することによって、利用者が、停止している歩行補助椅子1Bの第2光学センサの検知範囲から、第1光学センサの検知範囲に移動する。ただし、厳密には、利用者の位置が第2光学センサの検知範囲および第1光学センサの検知範囲の両方に同時に含まれる瞬間があっても良い。いずれにしても、それまでその検知範囲において利用者を検知できていなかった第1光学センサが、利用者を検知できるようになる。次に、第1光学センサが、検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信する。このとき、第2光学センサおよび第3光学センサも、それぞれによる検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信しても良い。次に、制御部5が、受信した検知信号に応じて、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して前進するように駆動輪22を駆動するための制御信号を生成してドライバ27に向けて送信する。その結果、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して前進する。このとき、昇降座面421の先端部分の位置を、常に利用者を支持出来る位置に保持するように、歩行補助椅子1Bは機敏に前進することが好ましい。
【0123】
歩行補助器として利用者に追従して前進していた歩行補助椅子1Bが、利用者の停止に追従して前進を停止する動作について説明する。まず、それまで前進していた立位の利用者が歩行を停止する。この瞬間において、歩行補助椅子1Bは前進を続けているので、歩行補助椅子1Bから見た利用者は相対的に後退することになる。結果的に、利用者は、第1光学センサの検知範囲から、第2光学センサの検知範囲に移動する。ただし、厳密には、利用者の位置が第2光学センサの検知範囲および第1光学センサの検知範囲の両方に同時に含まれる瞬間があっても良い。いずれにしても、それまでその検知範囲において利用者を検知できていた第1光学センサが、利用者を検知できなくなる。このとき、第2光学センサは利用者を検知できていることに注目されたい。次に、第1光学センサが、検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信する。このとき、第2光学センサおよび第3光学センサも、それぞれによる検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信しても良い。次に、制御部5が、受信した検知信号に応じて、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して停止するように駆動輪22を駆動するための制御信号を生成してドライバ27に向けて送信する。その結果、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して停止する。このとき、昇降座面421の先端部分の位置を、常に利用者を支持出来る位置に保持するように、歩行補助椅子1Bはその位置を機敏に調整することが好ましい。
【0124】
歩行補助器としての歩行補助椅子1Bが、利用者に追従して後退を開始する動作について説明する。まず、それまで立ち止まっていた利用者が後退を開始することによって、利用者が、停止している歩行補助椅子1Bの第2光学センサの検知範囲から、第3光学センサの検知範囲に移動する。ただし、厳密には、利用者の位置が第2光学センサの検知範囲および第3光学センサの検知範囲の両方に同時に含まれる瞬間があっても良い。いずれにしても、それまでその検知範囲において利用者を検知できていなかった第3光学センサが、利用者を検知できるようになる。次に、第3光学センサが、検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信する。このとき、第1光学センサおよび第2光学センサも、それぞれによる検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信しても良い。次に、制御部5が、受信した検知信号に応じて、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して後退するように駆動輪22を駆動するための制御信号を生成してドライバ27に向けて送信する。その結果、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して後退する。このとき、昇降座面421の先端部分の位置を、常に利用者を支持出来る位置に保持するように、歩行補助椅子1Bは機敏に後退することが好ましい。
【0125】
歩行補助器として利用者に追従して後退していた歩行補助椅子1Bが、利用者の停止に追従して後退を停止する動作について説明する。まず、それまで後退していた立位の利用者が歩行を停止する。この瞬間において、歩行補助椅子1Bは後退を続けているので、歩行補助椅子1Bから見た利用者は相対的に前進することになる。結果的に、利用者は、第3光学センサの検知範囲から、第2光学センサの検知範囲に移動する。ただし、厳密には、利用者の位置が第2光学センサの検知範囲および第3光学センサの検知範囲の両方に同時に含まれる瞬間があっても良い。いずれにしても、それまでその検知範囲において利用者を検知できていた第3光学センサが、利用者を検知できなくなる。このとき、第2光学センサは利用者を検知できていることに注目されたい。次に、第3光学センサが、検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信する。このとき、第1光学センサおよび第2光学センサも、それぞれによる検知の結果を示す検知信号を制御部5に向けて送信しても良い。次に、制御部5が、受信した検知信号に応じて、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して停止するように駆動輪22を駆動するための制御信号を生成してドライバ27に向けて送信する。その結果、歩行補助椅子1Bが利用者に追従して停止する。このとき、昇降座面421の先端部分の位置を、常に利用者を支持出来る位置に保持するように、歩行補助椅子1Bはその位置を機敏に調整することが好ましい。
【0126】
歩行補助器としての歩行補助椅子1Bが、利用者に追従して行う移動のうち、Z軸を中心とする自転を伴う移動を行う動作について説明する。歩行補助椅子1Bが備える左右の駆動輪22A、22Bは、互いに独立して回転することが出来る。言い換えれば、左右の駆動輪22A、22Bは、互いに異なる回転速度または異なる回転方向によって回転することで、上から見て時計回りまたは反時計回りに自転することが出来る。また、この自転の動作と、前進または後退の動作とを組み合わせて同時に行うことによって、前進または後退しながら左右に曲がることも出来る。歩行補助器としての歩行補助椅子1Bによる移動のうち、この回転または自転の成分は、センサ455の光学センサや他のセンサなどを利用して自動的に制御しても良いが、利用者がコントローラ6のジョイスティック61を介して制御しても良い。
【0127】
以上に説明したように、本実施形態による歩行補助器としての歩行補助椅子1Bは、利用者の歩行速度に合わせて利用者を追従することが出来る。
【0128】
なお、センサ455の種類、総数、配置場所は、適宜に選択可能である。
【0129】
次に、座面昇降機構3の第2動作について説明する。第2動作では、座面昇降機構3の各構成要素が、第1動作とは逆向きの動作を行う。まず、アクチュエータ311が、コントローラ6の昇降スイッチ62および制御部5に応じて収縮動作を開始する。アクチュエータ311の収縮動作に伴う動力は、座面昇降機構3に含まれる複数のジョイントを介して、座面昇降機構3に含まれる複数のリンクに伝達される。その結果、座面昇降機構3および乗載部4が、
図1A〜
図1Dに示した第1形態に戻る。このとき、フロントフットレスト24も車両部2から第1形態の位置に戻ることが好ましい。
【0130】
なお、第2形態における歩行補助器としての歩行補助椅子1Bの内側で利用者が昇降座面421に体重の一部を預けている状態で、座面昇降機構3が第2動作を行うと、利用者は昇降座面421の動きに補助されて着座することが出来る。言い換えれば、第2形態から第1形態に移行する際に、歩行補助椅子1は、着座補助器として動作することが出来る。
【0131】
(第3実施形態)
図3を参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Cの構成について説明する。
図3は、一実施形態による歩行補助椅子1Cの一構成例を示す側面図である。
【0132】
図3に示した歩行補助椅子1Cは、
図1Aに示した第1形態の電動車椅子として動作する歩行補助椅子1Aに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、背もたれジョイント部44の回転により、背もたれ43を、昇降座面421に対向するように折り畳んでいる。ここで、背もたれ43と一体化されている背もたれフレーム431の背面を通る仮想的な平面を、背もたれ43の基準面S
8と呼ぶ。
図3の例では、背もたれ43の基準面S
8は、地面S
0に対して、後方に傾斜している。また、ジョイント部251の回転により、リアフットレスト25を、地面S
0に対して平行またはほぼ平行に展開している。
【0133】
図3の歩行補助椅子1Cにおけるその他の構成は、
図1A〜
図1Dに示した歩行補助椅子1Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0134】
図3に示した歩行補助椅子1Cが、第3形態の移乗補助器として動作することについて説明する。ここで、移乗補助器は、例えば、歩行補助椅子1Cとは別の場所に着座している利用者が、さらに別の場所に着座するまでの移乗を補助するために用いることが出来る。なお、
図3に示した移乗補助器としての歩行補助椅子1Cは、
図4に示すように、移乗器としての歩行補助椅子1Dに変形可能である。移乗器としての歩行補助椅子1Dの詳細については、
図4を参照して後述する。
【0135】
移乗補助器としての動作例として、ベッドの脇に着座している利用者が、洋式便座を備えるトイレまでの移動を希望している場合について説明する。この場合は、まず、第1の工程として介助者が移乗補助器としての歩行補助椅子1Cを操作して利用者のベッドの近くまで接近させ、利用者をベッドの脇から歩行補助椅子1Cに乗り移らせる。次に、第2の工程として介助者の操作により移乗補助器としての歩行補助椅子1Cを移乗器としての歩行補助椅子1Dに変形させる。次に、第3の工程として介助者の操作により移乗器としての歩行補助椅子1Dを目的地まで移動させる。目的地に到着した後は、まず、第4の工程として介助者の操作により移乗器としての歩行補助椅子1Dを移乗補助器としての歩行補助椅子1Cに変形させる。次に、第5の工程として利用者を移乗補助器としての歩行補助椅子1Cから洋式便座に乗り移らせて着座させる。なお、トイレからベッドに戻る際も、第1の工程〜第5の工程を同様に行えば良い。
【0136】
ここでは、上記第1の工程〜第5の工程のうち、第1の工程および第2の工程について説明する。まず、第1の工程として、利用者の正面に歩行補助椅子1Cがあり、かつ、利用者が歩行補助椅子1Cの真後ろにいる位置関係を構築する。このとき、介助者が、コントローラ6を用いた操作などによって歩行補助椅子1Cの位置および方向を調節しても良いし、ベッドの脇に着座する利用者の位置を調節しても良い。
【0137】
次に、利用者は着座のまま、歩行補助椅子1Cのリアフットレスト25の上に両足を乗せる。なお、リアフットレスト25が車両部フレーム21の背面に対向するように跳ね上げられている場合には、介助者または利用者自身がリアフットレスト25を水平に展開しても良い。
【0138】
次に、利用者は介助者による介助を受けるなどして前傾し、アームレスト45や持ち手46などをつかみ、介助者による介助および/または利用者自身の両手足の力で前進し、背もたれフレーム431の背面に腹ばいに覆いかぶさるようにして歩行補助椅子1Cに体重を預ける。ここで、クッション432は利用者が顔を押し当てても痛くない程度に柔らかいことが好ましく、また、背もたれフレーム431の背面は、利用者の上半身を安定的に支持できるような形状を有していることが好ましい。このとき、基準面S
8が地面S
0に対して後方に傾斜していることにより、利用者が座位から歩行補助椅子1Cに乗る動作と、反対に歩行補助椅子1Cから降りて着座する動作とが、より容易になる。
【0139】
その後、第2の工程として、介助者は、コントローラ6を操作するなどして、歩行補助椅子1Cを第3形態から第4形態に変形させる。この第4形態および第3の工程〜第5の工程については、第4実施形態として
図4を参照して説明する。
【0140】
(第4実施形態)
図4を参照して、本実施形態による歩行補助椅子1Dの構成について説明する。
図4は、一実施形態による歩行補助椅子1Dの一構成例を示す側面図である。
【0141】
図4に示した歩行補助椅子1Dは、
図2Aに示した歩行補助器としての歩行補助椅子1Bに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、背もたれジョイント部44の回転により、背もたれ43を、昇降座面421に対向するように折り畳んでいる。また、ジョイント部251の回転により、リアフットレスト25を、地面S
0に対して平行またはほぼ平行に展開している。
図4の歩行補助椅子1Dにおけるその他の構成は、
図2A〜
図2Eに示した歩行補助椅子1Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0142】
言い換えれば、
図4に示した歩行補助椅子1Dは、
図3に示した移乗補助器としての歩行補助椅子1Cに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、座面昇降機構3の伸長により、昇降座面421に対向するように折り畳まれた背もたれ43を含む乗載部4を、上昇させ、前進させ、前傾させている。なお、この座面昇降機構3の伸長動作については、第2実施形態における座面昇降機構の第1動作として説明したとおりであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0143】
図3を参照して説明したように、上記第2の工程において、介助者は、第3形態の歩行補助椅子1Cに利用者が覆いかぶさった状態で、コントローラ6を操作するなどして、第3形態の歩行補助椅子1Cを、第4形態の歩行補助椅子1Dに変形させる。第3形態から第4形態への変形は、実質的には、座面昇降機構3の第1動作を行うことで実現される。座面昇降機構3の第1動作そのものについては、
図1A〜
図1Dおよび
図2A〜
図2Eを参照して説明したとおりであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0144】
座面昇降機構3の第1動作によって第3形態の歩行補助椅子1Cが第4形態の歩行補助椅子1Dに変形する際に、利用者は、伸長する座面昇降機構3によって上方および前方に移動させられ、かつ、前傾させられる。その結果、背もたれフレーム431の背面に腹ばいになっている利用者の姿勢はより安定し、続く第3の工程における移動がより安全に行われると期待される。
【0145】
第3の工程において、介助者による操作によって、移乗器としての歩行補助椅子1Dが、背もたれフレーム431の背面に利用者を乗せた状態で、目的地までの移動を行う。この移動は、
図1A〜
図1Dを参照して説明した電動車椅子としての移動と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0146】
第4の工程において、介助者は、コントローラ6を操作するなどして、移乗器としての歩行補助椅子1Dを第4形態から第3形態に変形させる。第4形態から第3形態への変形は、実質的には、
図1A〜
図1Dおよび
図2A〜
図2Eを参照して説明した座面昇降機構3の第2動作を行うことで実現される。座面昇降機構3の第2動作そのものについては、
図1A〜
図1Dおよび
図2A〜
図2Eを参照して説明したとおりであるので、さらなる詳細な説明を省略する。
【0147】
移乗器としての歩行補助椅子1Dが、移乗補助器としての歩行補助椅子1Cに変形する際には、利用者が覆いかぶさるように乗っている背もたれフレーム431の基準面が、前傾していた状態から、後ろ向きに傾く状態に変わる。このとき、介助者は、利用者が後ろ向きに落下しないように利用者の体を支えることが好ましく、また利用者もアームレスト45または持ち手46をつかむなどしていることが好ましい。
【0148】
第5の工程において、利用者は、移乗補助器としての歩行補助椅子1Cから降りて、背後の目的地に着座する。このとき、利用者の足はリアフットレスト25に乗っているので、目的地は、椅子、ベッド、洋式便座などのように、利用者が腰かけることが可能である程度の高さを有していることが好ましい。
【0149】
以上に説明したように、本発明による歩行補助椅子1は、
図1A〜
図1Dに示した電動車椅子としての歩行補助椅子1Aと、
図2A〜
図2Eに示した歩行補助器としての歩行補助椅子1Bとしても利用可能である。さらに、
図3に示した移乗補助器としての歩行補助椅子1Cと、
図4に示した移乗器としての歩行補助椅子1Dの、2つの形態の間で変形を行うことで、介助者はより少ない負担で利用者の起立や着座を補助しつつ、着座する2つの場所の間で移乗を補助することが出来る。
【0150】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、前記実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【解決手段】歩行補助椅子は、車両部と、昇降座面と、座面昇降機構と、退避座面と、座面退避機構とを具備する。ここで、車両部は、地面を移動する駆動輪を備える。昇降座面は、車両部に搭載され、電動車椅子の座面の一部として配置される第1位置と、第1位置と比較して地面から離れており、電動車椅子の前方に進んでおり、かつ、前方へ第1角度で傾斜している第2位置との間で昇降する。座面昇降機構は、車両部および昇降座面の間に接続され、昇降座面を第1位置から第2位置に上昇し、かつ、昇降座面を第2位置から第1位置に下降するように構成されている。