特許第6549327号(P6549327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6549327ルーティングアセンブリ及びそれを使用するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549327
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】ルーティングアセンブリ及びそれを使用するシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/18 20060101AFI20190711BHJP
   H01R 31/06 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   G06F1/18 C
   H01R31/06 M
   G06F1/18 E
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-536097(P2018-536097)
(86)(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公表番号】特表2019-504417(P2019-504417A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】US2017012917
(87)【国際公開番号】WO2017123574
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年8月3日
(31)【優先権主張番号】62/277,275
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン キース ロイド
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ブルース リード
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ワルツ
(72)【発明者】
【氏名】エイマン アイザック
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0273551(US,A1)
【文献】 特開2010−112789(JP,A)
【文献】 特開2001−244661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16− 1/18
H01R 27/00− 31/08
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーティングアセンブリであって、
N行M列のアレイの複数のポートを画定する前面を有するフレームであって、N及びMの両方が少なくとも2である、フレームと、
該フレームから延在するトレイと、
前記複数のポート内に位置付けられた複数の第1のコネクタと、
該複数の第1のコネクタに接続された第1の端及びトレイから延在する第2の端を有する複数のケーブルであって、該複数のケーブルの一部分が所定の構成で前記トレイを通って延在し、前記複数のケーブルのうちの少なくともいくつかが前記トレイ内で屈曲を有する、複数のケーブルと、
前記第2の端上に装着された複数の第2のコネクタであって、前記トレイに対して横断する嵌合方向を有する、複数の第2のコネクタと、を備え、前記複数のケーブルが、回路基板をバイパスしている間、信号が前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間を通過することを可能にするように構成されている、ルーティングアセンブリ。
【請求項2】
前記フレームが、前記トレイを支持する側部支持体を含む、請求項1に記載のルーティングアセンブリ。
【請求項3】
前記トレイが、導電性材料から形成されている、請求項2に記載のルーティングアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のケーブルが、所定の構成で前記トレイ内に固定可能に埋め込まれている、請求項1に記載のルーティングアセンブリ。
【請求項5】
ルーティングアセンブリであって、
N行M列のアレイの複数のポートを画定する前面を有するフレームであって、N及びMの両方が少なくとも2である、フレームと、
該フレームから延在するトレイと、
前記複数のポート内に位置付けられた複数の第1のコネクタと、
該複数の第1のコネクタに接続された第1の端及びトレイから延在する第2の端を有する複数のケーブルであって、該複数のケーブルの一部分が所定の構成で前記トレイを通って延在する、複数のケーブルと、
前記第2の端上に装着された複数の第2のコネクタであって、前記トレイに対して横断する嵌合方向を有する、複数の第2のコネクタと、を備え、前記複数のケーブルは、回路基板をバイパスしている間、信号が前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間を通過することを可能にするように構成されており、前記トレイが、内部開口部を含み、ケーブルが、少なくとも2つの異なる方向から前記内部開口部内に延在している、ルーティングアセンブリ。
【請求項6】
前記第2のコネクタが、前記内部開口部の2つの異なる側部上にある2つの列内に嵌合するように構成されている、請求項5に記載のルーティングアセンブリ。
【請求項7】
システムであって、
前側部を有するボックスと、
該ボックス内に位置付けられたマザーボードであって、チップパッケージを支持する、マザーボードと、
前記ボックス内に位置付けられたルーティングアセンブリであって、該ルーティングアセンブリが、コネクタポートの第1の列を画定する前面を含み、該前面が、前記前側部に位置付けられており、前記ルーティングアセンブリが、前記前面から延在するトレイを含み、該トレイが、前記チップパッケージの近くに縁を有する、ルーティングアセンブリと、
前記コネクタポート内に位置付けられた複数の第1のコネクタと、
前記トレイ内に埋め込まれた複数のケーブルであって、該ケーブルの各々が、前記複数の第1のコネクタのうちの1つに終端された第1の端と、前記縁を越えて延在する第2の端とを有する、複数のケーブルと、
前記チップパッケージ及び縁に隣接する複数の第2のコネクタであって、前記チップパッケージに電気的に接続されている、複数の第2のコネクタと、
前記第2の端に終端されており、前記チップパッケージに隣接して位置付けられた複数の第3のコネクタであって、前記マザーボードを通って進むことを実質的に回避する信号経路を前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に提供するように、前記第2のコネクタに嵌合されている、複数の第3のコネクタと、を備える、システム。
【請求項8】
前記トレイが、前記前面から片持ち様式で延在している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記トレイが、前記マザーボードの下に位置付けられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記トレイが、前記マザーボードの上に位置付けられている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記マザーボードが、複数の第4のコネクタが内部に位置付けられたコネクタポートの第2の列を支持し、前記第4のコネクタが、前記マザーボードに電気的に接続されており、前記第1のコネクタが、前記ケーブルを介して前記チップパッケージと通信し、前記第4のコネクタが、前記マザーボード内のトレースを介して通信する、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のケーブルが、前記チップパッケージの2つの側部上に前記第3のコネクタを位置付ける予め構成された配置にある、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記トレイが、導電性材料から形成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記N行M列のアレイが、少なくとも2列のコネクタを提供し、前記列のうちの1つのコネクタからのケーブルが、トレイに入る前にある距離延在する、請求項1に記載のルーティングアセンブリ。
【請求項15】
前記フレームが、少なくとも3列のコネクタを提供する、請求項14に記載のルーティングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2016年1月11日に出願された米国仮特許出願第62/277,275号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、高速信号を低損失でチップパッケージのチップ又はプロセッサからバックプレーン及び入力/出力(I/O)コネクタに伝送する際の使用に好適な高速データ伝送システムに関し、より具体的には、電子デバイスのハウジング内に適合し、かつチップ/プロセッサから外部コネクタのアレイに直接導く複数のデータ伝送チャネルを提供するように構築された統合コネクタインターフェースチップパッケージルーティングアセンブリに関する。
【0003】
ルータ、サーバ、スイッチなど電子デバイスは、多くのエンドユーザーデバイスでの音声及びビデオストリーミングの帯域幅及び配信の高まるニーズに対応するために、高いデータ伝送速度でデータを伝送する必要がある。チップは、これらのルータ、スイッチ、及び他のデバイスの心臓部である。これらのチップは、ASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などのようなプロセッサを一般に含み、これらのチップは、導電性はんだバンプ又は他の都合がよい接続を介して基板(パッケージを作成する)に一般に接続されるダイを有する。パッケージは、基板を通ってはんだボールまで延在するマイクロビア又はメッキスルーホールを含んでもよい。これらのはんだボールは、パッケージがマザーボードに取り付けられたボールグリッドアレイを備える。マザーボードは、高速データ信号の伝送用の差分信号ペア、差分信号ペアに関連する接地経路、及び電源、クロック及び論理信号、並びに他の構成要素向けの様々な低速伝送路を含む、伝送路を定めるその内部に形成された多数のトレースを含む。これらのトレースは、外部コネクタが1つ以上の外部プラグコネクタとチップ部材との間の接続を提供するために接続される、デバイスのI/OコネクタにASICからルーティングされるトレースを含む。他のトレースは、ASICから、デバイスがネットワークサーバなどのような全体システムに接続されることを許容するバックプレーンコネクタにルーティングされる。
【0004】
これらの導電性トレースは、したがって、マザーボードの一部として伝送線を形成し、チップ部材とコネクタとの間に延在して1つ以上の外部プラグコネクタとチップ部材との間の接続を提供することを提供する。回路基板は通常、安価なFR4として知られる材料から形成される。FR4は安価であるものの、約6Gbps以上の速度でデータを伝送する高速信号伝送路において損失を助長することが知られている。これらの損失は、速度が増加するにつれて増加するため、約10Gbps以上の高速データ伝送用途では、FR4は望ましい材料ではなくなる。この悪化は、約6Gbps(又はNRZエンコーディングを使用する3GHz)にて始まり、データ速度が増加するにつれて増加する。かかるトレースをFR4で使用するためには、設計者は、増幅器及びイコライザを使用する必要があり得るが、これにより、デバイスの最終コストが増加する。
【0005】
かかる損失を軽減する、メガトロンなどの回路基板のカスタム材料を使用できるが、これらの材料の価格は回路基板の、また結果的にそれらが使用される電子デバイスのコストを実質的に増加させる。加えて、トレースが信号伝送線を形成するために使用されるとき、伝送線の全長は、動作中に問題が生じる閾値長さを超え得る。これらの長さは、10インチ及びより長い長さに達し得、反射及びノイズ問題並びに追加の損失を生じさせ得る、屈曲及び回転を含み得る。損失は時として、増幅器、中継器、及び等化器の使用によって補正され得るが、これらの要素は、回路基板を製造するコストを増加させる。しかしながら、そのようにすることは、これらの増幅器及び中継器を収容するために追加の基板空間が必要とされるため、設計を複雑にする。加えて、かかる伝送線のトレースのルーティングは、複数の回転を必要とし得る。これらの回転及び終端で生じる変化は、それによって伝送される信号の完全性に影響を及ぼす。これらのカスタム回路基板材料は、したがって、ケーブル伝送線よりも10Ghz超える周波数でより損失を引き起こす。その結果、伝送線トレースを介して一貫したインピーダンス及び低信号損失を達成する方法で伝送線トレースをルーティングすることが困難になる。
【0006】
したがって、高速用途に必要なクロストーク及び損失要件を満たすように回路基板及びバックプレーンで信号伝送路を十分に設計することは困難になる。したがって、ある特定の個人は、回路基板上でトレースを使用することなく高速データ信号(20Gbps超)を伝送するための伝送線を提供する、統合された高速のコネクタインターフェースチップパッケージルーティングアセンブリの真価を認めることになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ルーティングアセンブリは、前プレート及びトレイを有するフレームを含む全体L字形状構成を有し、前プレート及びトレイの両方が絶縁性又は導電性の材料で形成され得、前プレートが垂直に延在する一方で、トレイは、水平に延在する。フレームは、トレイの一端に配設された一対の支持アームを更に含み得る。支持アームは、前プレート上に装着され、トレイを構造的に支持し得る。前プレートは、複数のコネクタポートを含み、複数の第1のコネクタは、コネクタポート内に位置付けられる。ケーブルは、複数の第1のコネクタに終端される第1の端を有して延在し、ルーティング構成でトレイによって支持される。ケーブルの第2の端は、トレイから延在し、第2のコネクタに終端される。第2のコネクタは、チップパッケージと第1のコネクタとの間で高速信号トレースをルーティングするために回路基板を使用することを実質的に回避するように、回路基板及び/又はチップパッケージ(又は隣接するかかるチップパッケージ)に接続されるように構成されている。第1のコネクタ、フレーム、ケーブル、及び第2のコネクタは、単一部品としてルーティングアセンブリに統合され、そのため、アセンブリは、電子デバイスに単一部品として容易に挿入され得る。
【0008】
構成の自由度を提供するために、トレイは、ホストデバイスのマザーボードの上又は下のいずれか一方に位置付けられ得る。トレイは、チップパッケージと整列する開口部を含み得る。第2のコネクタが低背型コネクタである場合、第2のコネクタとチップパッケージ内のプロセッサを支持する構造との間の接続は、スペース要件を最小にするように実質的に開口部内にあるように構成され得る。
【0009】
ルーティングアセンブリは、好ましくは、チップパッケージからコネクタポートに差動信号を伝送するためにツイナックスの種類のケーブルを利用する。ケーブルは、チップパッケージに向かってその伸長にある程度自由であり、クリップなどを介してトレイに固定され得るか、又はそれらは、トレイの前端からチップ受容開口部まで延在するトレイの本体内に埋め込まれるか若しくは被包され得、チップ受容開口部でケーブルの導体が、チップパッケージと関連付けられた対応する対向コネクタと嵌合することになるコネクタに終端される。トレイの本体内へのケーブルの埋め込みは、ツイナックスケーブルを組み立て中の損傷から保護する。
【0010】
第2のコネクタは、トレイに対して横断する嵌合方向を有するように構成され得、第2のコネクタの列が、第2のコネクタの列の上に位置して適合するように、プラグアンドプレイ態様を有し得る。好ましくは第2のコネクタは、それらがマザーボード及び/又はチップパッケージ上で対向するコネクタとの係合を操作され得るためにトレイによって柔軟に支持される。
【0011】
コネクタポートの積層は、コネクタポートの後方に垂直空間を提供し、これは、チップパッケージに直接接触され得るより大きな熱伝達部材を収容し得、これにより、熱的な問題を潜在的に改善する。当然ながら、ケーブルの使用は、従来の構造に比べて損失を大幅に低減する。加えて、全体構造は、スイッチ又はサーバ内に容易に位置付けられ得るシステムを提供し、これにより、設置を改善する。これら及び他の特徴、並びに利点は、以下の詳細な説明を考慮することにより明快に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、添付図面において、一例として図解され、限定するものではなく、図面中、同様の参照番号は、類似の要素を示す。
【0013】
図1】マザーボード上に位置するチップパッケージを有する先行技術の電子デバイスの内部の斜視図である。
図1A】回路基板が、チップパッケージとデバイスの外部コネクタインターフェースとの間で信号伝送チャネルをルーティングするためにどのように使用されるかを例示する、図1の電子デバイスの概略断面図である。
図2】ルーティングアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図2A】ケーブルが、チップパッケージ基板とアセンブリの外部コネクタインターフェースとの間で信号をルーティングするためにトレイ内にどのように埋め込まれ得るかを例示する、図2のルーティングアセンブリの概略断面図である。
図3】マザーボードの下に位置するルーティングアセンブリの一実施形態の斜視図であり、チップパッケージがその上に位置するヒートシンクを有する。
図3A図3に図示される実施形態の別の斜視図である。
図4】トレイ内に形成された開口部を有するルーティングアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図4A図4に図示される開口部の拡大図であり、開口部内に位置付けられたチップパッケージを含む。
図5図2のルーティングアセンブリの上面図であり、トレイの上面の一部分が、内部のケーブルのルーティングを例示するために除去されている。
図5A図5のチップパッケージ開口部の拡大斜視図である。
図5B図5のルーティングアセンブリの斜視図であり、チップパッケージが除去されているが、トレイの上部分が除去されていない。
図6】第2のコネクタ及び対応するチップパッケージの配置を例示するルーティングアセンブリチップパッケージ開口部の拡大図である。
図7】マザーボードの下に位置するルーティングアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図8図7に図示される実施形態の別の斜視図である。
図8A図8に図示されるルーティングアセンブリの概略断面図である。
図8B】チップパッケージに接続する際の使用に好適な第2のコネクタの一実施形態の斜視図である。
図9】ルーティングアセンブリの一実施形態と嵌合するための位置にあるマザーボード及びチップパッケージの側面図である。
図9A図9に図示される実施形態の側面図であるが、トレイ上のマザーボード位置及び想像線で示されるルーティングアセンブリフレームの側部支持部材を有する。
図10】トレイがマザーボードの下に位置するときにチップパッケージに接続されたルーティングアセンブリの一実施形態の断面概略図である。
図11】ルーティングアセンブリを通してルーティングする一部のコネクタ及び回路基板を通してルーティングする他のコネクタを有するシステムの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の発明を実施するための形態は、例示的な実施形態を説明するものであり、明示的に開示された組み合わせに限定することを意図しない。したがって、別途記載のない限り、本明細書で開示される特徴は、一緒に組み合わせて、簡潔さのために別途示されることがなかった、更なる組み合わせを形成することができる。
【0015】
本開示は、このため、単一要素として電子デバイスのハウジング内に適合し、かつチップ又はプロセッサ(ASIC又はFPGAタイプの)から外部コネクタのアレイに直接導く複数データ伝送チャネルを提供するように構築される統合ルーティングアセンブリを対象とする。伝送チャネルは、ルーティングアセンブリ内に位置して固定されたケーブルの形式をとり、これによって、高速チャネルを、ホストデバイスのマザーボード上の高速トレースを経由してルーティングする必要がなくなる。
【0016】
図1は、ルータ、スイッチなどのような従来の電子デバイス30を例示し、これは、前壁32及び対向する後壁34を有するシート金属ハウジング31を有する。デバイス30は、関連するプロセッサ40、電源42及び追加の集積回路、コネクタ、コンデンサ、抵抗器などを含むチップパッケージ38などの様々な電子部品を含むマザーボード36をハウジング内で支持する。前壁32は、一連の開口部33を有し、これらは、第1のコネクタ43と整列してデバイス30のためのコネクタポートを画定する。典型的には、図1Aに示されるように、第1のコネクタ43のアレイは、マザーボード36にその前端で装着され、コネクタ43上かつマザーボード36上に配置される、金属遮蔽ケージ44又はアダプタフレーム内に封入される。同様に、一連の第2のコネクタ46が、マザーボード36の後縁に沿って装着され、ハウジング31の後壁内の開口部と整列する。
【0017】
図1のデバイスの既知の構造では、チップパッケージ38は、チップパッケージ接点からマザーボード36を通ってコネクタ43、46に延在する長尺導電性トレース47を経由して第1のコネクタ及び第2のコネクタに接続される。一対の導電性トレース47は、各差動信号伝送線を画定するために必要とされ、第3の導電性トレースは、信号伝送線の経路に従う、関連する接地を提供するために使用され得る。かかる信号伝達線はそれぞれ、マザーボードを介して又はマザーボード上でルーティングされ、かかるルーティングは、ある特定の欠点を有する。FR4は、回路基板に共通に使用され、残念ながら、5Ghzを超える周波数で損失が大きくなる。これらの信号伝送線トレース47の回転、屈曲、交差は、通常、マザーボード上の伝送線をチップパッケージ接点からコネクタにルーティングするために必要とされる。トレースにおけるこれらの方向の変化は、信号反射及びノイズの問題、並びに付加的な損失を生じさせ得る。損失は、増幅器、中継器及び等化器の使用によって補正されることがあり得るが、これらの要素は、最終回路(マザー)基板の製造コストを増大させると共に、消費電力(及び動作コスト)を増大させ得る。かかる構成要素の使用は、かかる増幅器及び中継器を収容するために、追加の基板空間が必要とされることから、回路基板のレイアウトを複雑にし、この追加の基板空間は、デバイスに意図された大きさでは使用できない場合がある。低損失である回路基板のカスタム材料を使用できるが、これらの材料のコストは回路基板のコストを増加させ、また結果的にそれらが使用されるホストデバイスのコストを増加させる。なお更に、長さのある回路トレースは、それらを通る高速信号を駆動するために増大した電力が必要であり、そのように、それらのトレースが、「グリーン」(省エネ)デバイスを開発するための設計者の努力を妨害する。
【0018】
これらの実際の欠点を克服するために、我々は、ホストデバイス51の外部コネクタインターフェースを単一アセンブリ内に組み込む統合ルーティングアセンブリ50を開発し、これは、コネクタインターフェースと、プロセッサ90を含み、基板91を含み得るチップパッケージ88との間に延在する細長いケーブル62の形式の高速差動対信号伝送線に対する支持を提供し、マザーボード53上の高速ルーティングトレースの必要性を排除する。かかるアセンブリは、図2に50で例示される。アセンブリ50は、図2図8Bに示されるように、複数の第1のコネクタ55及び第2のコネクタ57及びそれらの関連するコネクタハウジング60を予め選択されたアレイで収容する前部分を含み、これらは、互いに上下に積層される4つの水平列のコネクタハウジング60として例示される。
【0019】
コネクタハウジング60は、コネクタポート54、56の形式のデバイス50に対する外部コネクタインターフェースを画定し、各々かかるコネクタハウジング60は、好ましくはレセプタクル様式の第1のコネクタ55、57を含む。一部の事例において、例示されるように、コネクタポート56は、ホストデバイス51の正面に沿ってハウジング60内に配置されたI/Oコネクタポートであり得るが、コネクタポートの位置及びタイプは、別途記されない限り限定されるように意図されない。
【0020】
認められ得るように、コネクタ55、57は、図2のように統合された形で水平列に配置され得、コネクタハウジング60及び関連するヒートシンク61が、コネクタハウジング60の外側上に形成されたボス60aを通って延在する、ねじなどの締結具を介して、それらの水平伸長及び支持基板58間の垂直配置に保持される。かかる構成は、2つの側部支持体68間の幅方向に延在する面板70(図3)を容易に収容し得、面板70及び側部支持体68が、フレーム66を協調して形成する。側部支持体68は、トレイ75を片持ち様式で支持することを助ける、後方に延在するチャネル72a、72bを有する。フレーム66及びトレイ75は、ルーティングアセンブリ74を画定する。図示のように、ルーティングアセンブリ74は、内部に支持され、かつハウジング内に挿入され得る、実質的にL字形状構成を有する。図示された構成が、鋳造構造様式を介して形成されたコネクタハウジング60の使用に基づくことが留意されるべきである。代替的に、既知のように、コネクタハウジングは、所望される構造様式で形成される金属シートから形成され得、典型的には、所望の構造を形成するために共に絡み合う複数部品を有する。コネクタハウジングを形成するための金属シートの使用と鋳造との対比は、周知であり、したがって更なる論述は、本明細書に必要とされない。
【0021】
トレイ75は、図4に示されるように、略平面であり、所定の厚さを有し、絶縁性及び/又は導電性の材料で形成され得る。認められ得るように、導電性材料は、追加の遮蔽体を提供し得、したがって、ある特定の用途に所望され得る。図示されたトレイ75は、そこに形成されたトレイ開口部76を有し、これは、トレイ75の内側に位置するように図に示される。トレイ開口部76は、2つの別個の形状を有するように図に示され、各開口部は、4つの縁80a〜dによる構成で正方形若しくは矩形であり得る中心位置78を有するか、又は図4及び図4Aに例示されるように円形構成を有し得、トレイ開口部76は、開口部中心位置78と連通する4つの翼部79a〜79dを含み、これらは、トレイ開口部76の4つの縁80a〜80dを組み込む。当然ながら、トレイ75がチップパッケージを越えて延在せず、それ故にチップパッケージを完全に封入する変形例について、トレイ開口部76は、トレイ75内のノッチで置き換えられてもよく、又は単にトレイ75の端部であってもよい。
【0022】
コネクタポート54、56のN行M列のアレイ(N及びMの両方は、2以上であり得る)内に位置付けられるコネクタ55、57は、詳細に示されないが、送信チャネル構成及び受信チャネル構成に配置されてプラグ様式を有する対向するコネクタと嵌合する、信号及び接地端子を有する任意の所望されるレセプタクルタイプであり得る。例えば、SFP様式、QSFP様式、CFP様式コネクタは単に、多くの可能な選択肢の数例であり、コネクタ55、57は、特定様式のコネクタに限定されることを意図されない。単一列のコネクタ57が所望される場合に提供され得ることが留意されるべきである。ケーブル62は、ケーブル62の第1の端82で各コネクタ55、57の端子に直接終端され、低速配線63(論理、クロック、電力及び他の回路に使用され得る)に隣接しているように図4図7、及び図8に見ることができる。ケーブル62は、好ましくは、誘電体被覆によって囲まれる所望の空間内で一対の信号導体を含み、伝送線を形成するように、関連するドレイン配線及び/又は絶縁性の外側ジャケット内に封入される外側導電性被覆を含み得る。ケーブル62は、信号導体の規則的な幾何学形状を、それらがチップパッケージ88からコネクタ55、57まで交差するように、その長さにわたって維持することを助ける。この幾何学形状がその長さにわたって規則的に保たれるため、ケーブル62は、伝送線内に問題を含む信号反射又はインピーダンス不連続性をもたらすことなく、その経路内で容易に回転若しくは屈曲又は交差され得る。
【0023】
ケーブル62及び低速配線63の両方は、その第1の端82でコネクタ55、57に直接終端される。これは、マザーボード53との直接接続を排除することを可能にし、受容可能な空気流を依然として提供し、かつコネクタ回路基板実装インターフェースで通常発生するインピーダンス不連続性を回避しつつ、積層が容易であり得る構造を可能にする。ケーブル62は、コネクタハウジング60の後方で列内に配置されるように例示される。ケーブル62は、図8A図9及び図9Aに最良に示されるように列内に配置され、下位コネクタハウジング列のケーブル62及び低速配線63が、最上位コネクタハウジング列の内方に配置される。これは、コネクタ55、57からトレイ75までのケーブル62の整然とした配置を促進する。図示されたアセンブリ50(図9及び図9A)において、コネクタ54、56及びコネクタポート55、57の上3列と関連付けられたケーブル62は、トレイ75のレベルに対して下方、かつその前端で基板内に延在する略S字形状構成を有するように見られ、一方で最下位の列内のケーブルは、ほとんど水平にトレイ75内に延在する。
【0024】
ケーブル62は、コネクタ55、57からトレイ75に向かって延在する第1の端82を有するように図5に例示される。ケーブル62の第2の端84は、例示されるようにトレイ開口部76内に延在し、それらは、チップパッケージ88と嵌合することになるコネクタ86に終端される。コネクタ86は、基板91(後述されるコネクタ95など)上若しくはこれに隣接して装着されたコネクタに接続するように構成され得るか、又は基板91(又は基板に隣接する支持マザーボード)上に直接押し込まれるように構成され得る。ケーブル62の第2の端84は、トレイ75を出てトレイ開口部76に入る。一実施形態では、チップパッケージ88は、マザーボード53上に配設され、チップパッケージ88は、レセプタクル様式コネクタ95の形式の複数の接点を含み、これらは、好ましくは、ケーブルの第2の端84でコネクタ86と嵌合することを可能にするように、その外周の周囲に配置され、トレイ開口部76と整列する。別の態様では、チップパッケージ88は、ルーティングアセンブリ74全体の一部として含まれ得る。(図2及び図2A)。
【0025】
トレイ75が、図4A図6に図示されるように、回路基板の上に位置付けられ得ることが留意されるべきである。代替的に、図7図10に示されるように、トレイ75は、マザーボード53の下に位置付けられ得る。かかる構成において、図3及び図3Aに示されるように、マザーボード53の上のエリアは、プロセッサ90の外周よりも大きい外周を有するヒートスプレッダ及び/又はヒートシンクを含み得る熱伝達部材93を自由に収容し、これは、トレイ75内へのケーブル62の統合が、他の用途のためにトレイ75の上の空間を、全てではないが、ほとんど解放することによる。
【0026】
ケーブル62(及び低速配線64)は、それらを定位置に適切に保持する様々な方式でトレイ75の一部として位置付けられ得、そこからそれらは、例えば、トレイ75の先端縁83に沿って、ルーティングアセンブリ74内に入り、それらは、トレイ75を出てトレイ開口部76に入る。ケーブル62は、ケーブル62をトレイ75内に封入することによって、トレイ75内に収容され得る。ケーブル62の本体部分は、好ましくは、2つがルーティングアセンブリ74内に提供され得る統合部を形成するように、トレイ75によって完全に囲まれる。ケーブル62の1つのルーティングパターンが、図5に例示され、トレイ75の上部は、ケーブル62が敷設される経路を明瞭に示すために除去されている。
【0027】
ケーブル62は、トレイ75の形成前に、その第2の端84で上記のコネクタ86に終端され得る。ケーブル62の第1の端がケーブル直接コネクタ55の端子に直接終端されるため、第2のコネクタ86は、ケーブル62が、チップパッケージ88に直接接続されることを許容し、これによって、ルーティング支持としてのマザーボード53を完全にバイパスする。トレイ75がマザーボード53の上に位置する事例において、コネクタ86は、チップパッケージ88の周囲に位置付けられ、トレイ開口部76の縁に沿って好ましくは配置される。又は、図7図10に示されるように、コネクタ86は、チップパッケージ88と下から嵌合するように構成されてもよく、かかる構成が、ある特定の状況では好ましい場合があることが理解される。
【0028】
かかる事例において、ルーティングアセンブリ74は、ホストデバイスハウジング内に挿入されてもよく、マザーボード53は、スタンドオフ92などによってマザーボードからかつその下に離間され得る、トレイ75上でデバイス51のハウジング内に配置される。図6は、プロセッサ90に対する(又は代替的に、図10に示されるように、基板91を支持するマザーボード53との)接続を提供すべく、基板91と接触させるように、トレイ開口部76内で基板91に向かって面するコネクタ86及び関連するハウジング87を例示する。当然ながら、類似構成が、マザーボード53の下に位置付けられたトレイ75に対して下に提供され得る。コネクタハウジング87は、単一対の信号導体と同程度に少ない数を収容するチクレットの形式をとり得る。認められ得るように、コネクタハウジング87は、マザーボード53又は基板91上のレセプタクルコネクタ95と容易に嵌合し得る。加えて、ケーブル62がトレイの定位置に固定され、そのためケーブル62がコネクタ86に終端する前にトレイ75の外に短距離のみ延在する場合、構造はまた、コネクタ86がマザーボード又はチップパッケージ88(及び任意の対応する嵌合レセプタクルコネクタ)と適切に整列することを確実にする助けになり、この配置は、組み立てを非常に容易にし得る。コネクタ86及び嵌合レセプタクルコネクタは、トレイ開口部76内に適合するように低背型で提供され得、潜在的にトレイ開口部76の外側に突出しないことになり、したがって、ルーティングアセンブリ74のスペース要件を最小にする。認められ得るように、ケーブルは、少なくとも2つの方向から開口部内に延在し、好ましくは、トレイの複数縁から延在することになる。
【0029】
かかる構造は、図8A及び図10の断面図に概略的に示され、基板コネクタ95は、マザーボード53を通って延在する導電ビア96と接触して基板91と接続した状態で示される。認められ得るように、BGA構造が、基板91をマザーボード53に取り付け得る。ケーブル62の第2の端84及びそれらの対応するコネクタ86が、デバイス51の高さを不必要に増加させないために、トレイ開口部76の容積内に収容され得ることを見ることができる。認められ得るように、図示されたコネクタ86は、トレイに対して横断する嵌合方向を有する。
【0030】
図11は、本開示のルーティングアセンブリ100の別の実施形態を例示し、コネクタポート102が、マザーボード104上に位置し、コネクタ107が、前面110に沿うように所望される。コネクタポート102は、それらの遮蔽ケージ103内で2つの水平列内に配置され、かつ定位置にチップパッケージ106を有するマザーボード104上に位置する。ルーティングアセンブリ100は、アセンブリが、既存のコネクタポート102上に配置され、かつ一組のコネクタポートに対してルーティングアセンブリ100のケーブル62の高速利点を利用することを可能にする高さでフレーム内に保持される2列のコネクタポート107を有する。本構造は、回路基板に接続されたコネクタポートと、ケーブルを介してチップパッケージに接続されたコネクタポートとの組み合わせを可能にすることになり、したがって、システムアーキテクチャに柔軟性を提供する。図示された実施形態は、回路基板上に装着された2列のコネクタポートと、ルーティングアセンブリによって提供された2列のコネクタポートと、を含むシステムを例示するが、代替的な実施形態は、システムの必要性に応じて、1列の各タイプを有してもよく、又は列の数を変更してもよい。
【0031】
本明細書で提供される開示は、その好ましい例示的な実施形態の観点で特徴を説明している。添付の請求項の範囲及び趣旨の範囲内で、数多くの他の実施形態、修正、及び変形が、本開示の検討から当業者に想起されるであろう。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図8A
図8B
図9
図9A
図10
図11