(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水路の底面が流れ方向に段差を有しており、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有するブロックマットが、前記段差を覆うように敷設されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の護岸構造。
前記水路の底面が流れ方向に段差を有しており、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有するブロックマットを、前記段差を覆うように敷設する工程をさらに有する、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の護岸構造の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでに提案されている護岸構造では、水生生物や両生類にとって十分な環境保全はなされていなかった。
【0007】
そこで本発明は、水路において水生生物や両生類の生息場所を確保できる護岸構造および該護岸構造の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。
【0009】
本発明の第1の態様は、水路の片側または両側の法面に形成された緩斜面部と、少なくとも緩斜面部の一部に敷設されたブロックマットとを有し、緩斜面部は、水路の一部を拡幅して形成され、法面において水路の流れ方向に平行な方向に隣接する部分よりも傾斜が緩やかな斜面であり、ブロックマットは、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有する、護岸構造である。
【0010】
本発明において、「水路」とは、広義に水が流れる路を意味し、水が流れるように人工的に形成された水路および自然に水が流れている天然の河川を含む概念である。また、「流れ方向」とは、水路において水が流れている方向を意味する。
【0011】
上記本発明の第1の態様において、水路の底面と緩斜面部とが間に段差を有することなく連続していることが好ましい。
【0012】
本発明において「段差」とは、水生生物や両生類が遡上または這い上がることができない程度の段差を意味する。すなわち、「段差を有することなく」とは、水生生物や両生類が遡上または這い上がることができない程度の段差がないことを意味する。
【0013】
また、上記本発明の第1の態様は、水路がコンクリート製のU字型溝によって形成されている場合にも好適である。すなわち、コンクリート製のU字型溝によって形成された水路の一部を拡幅して緩斜面部を形成することができる。
【0014】
さらに、上記本発明の第1の態様は、水路の底面が流れ方向に段差を有している場合、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有するブロックマットが該段差を覆うように敷設されていることが好ましい。
【0015】
本発明の第2の態様は、水路の一部を拡幅することによって、水路の片側または両側の法面において、水路の流れ方向に隣接する部分よりも傾斜が緩やかな斜面である緩斜面部を形成する緩斜面部形成工程と、少なくとも緩斜面部の一部に、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有するブロックマットを敷設するブロックマット敷設工程と、を有する、護岸構造の施工方法である。
【0016】
上記本発明の第2の態様は、緩斜面部形成工程において、水路の底面と緩斜面部とが間に段差を有することなく連続するように緩斜面部を形成することが好ましい。
【0017】
また、上記本発明の第2の態様は、水路がコンクリート製のU字型溝によって形成されている場合、緩斜面部形成工程が該コンクリート製のU字型溝によって形成された水路の一部を拡幅して緩斜面部を形成する工程であることが好ましい。
【0018】
さらに、上記本発明の第2の態様は、水路の底面が流れ方向に段差を有している場合、可撓性を有する基材シートおよび該基材シート上に固定された複数のブロックを有するブロックマットを、段差を覆うように敷設する工程をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、水路において水生生物や両生類の生息場所を確保できる護岸構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の上記作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、以下に示す図は構成を概念的に示したものであり、各構成要素の大きさや形状を正確に示すものではない。
【0022】
図1は護岸構造100の平面図である。
図1において、紙面右側から左側に向かう方向が水路10において水が流れる方向(流れ方向)、紙面上下方向が水路10の幅方向、紙面奥/手前方向が鉛直方向である。
また、
図2(A)は
図1に示したIIA−IIAに沿った護岸構造100の断面図であり、
図2(B)は
図1に示したIIB−IIBに沿った護岸構造100の断面図である。
図2(A)および
図2(B)において、紙面手前から奥に向かう方向が水路10の流れ方向、紙面上下方向が鉛直方向、紙面左右方向が水路10の幅方向である。
【0023】
護岸構造100は、緩斜面部11、13と少なくとも緩斜面部11、13の一部に敷設されたブロックマット20とを有している。
緩斜面部11、13は、水路10の一部を拡幅して形成された斜面である。緩斜面部11、13は、水路10の法面において水路10の流れ方向に平行な方向に隣接する部分(法面)12、14よりも傾斜が緩やかな斜面である。本形態例では、緩斜面部11、13は水路10の両側の法面に形成されている。
また、本形態例では、ブロックマット20は緩斜面部11、13を含む水路10の法面全体および底面15に敷設されている。護岸構造100に用いられるブロックマット20は全て同様の構成とすることができるが、わかりやすさのため、
図1および
図2では緩斜面部11、13に敷設されたブロックマット20については括弧書きで20aとし、緩斜面部11、13以外の法面に敷設されたブロックマット20については括弧書きで20bとしている。
以下、護岸構造100を構成する要素について詳細に説明する。
【0024】
図3は、ブロックマット20の平面図である。
図4は
図3に示したIV−IVに沿ったブロックマット20の断面図である。
【0025】
ブロックマット20は可撓性を有する基材シート21と該基材シート21に固定された複数のブロック22とを備えている。ブロックマット20は可撓性を有する基材シート21を用いて構成されることによって、田圃の畦等の形状に追従するように敷設することができる。
【0026】
基材シート21は可撓性を有するシートであって、従来のブロックマットに用いられるものを特に限定されることなく用いることができる。基材シート21の具体例としては、ポリプロピレンやポリエステル、ナイロン、ビニロン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維による短繊維などを含む不織布を挙げることができる。ただし、ブロック22がコンクリートで構成される場合、基材シート21は少なくともブロック22に接する側がポリプロピレンを含むことが好ましく、ポリプロピレンからなる不織布によって構成されることがより好ましい。基材シート21がポリプロピレンを含むことによって、基材シート21がコンクリートのアルカリ成分によって劣化することを抑制できる。
【0027】
なお、基材シート21は、基材シート21とブロック22とを一体化させた状態で吊り上げたりして取り扱うことが可能となるように適正な引張強度を備えていることが好ましい。かかる観点から、基材シート21は不織布に補強用の芯材となる織布を挿入して構成されることが好ましい。このような構造の基材シート21は、例えば、抄造機で不織布を抄造する際に織布あるいは長繊維を包み込むことにより不織布と織布あるいは長繊維とを一体化し、ニードルパンチ加工を施して補強することによって製造できる。
【0028】
基材シート21の厚さは特に限定されないが、例えば2mm以上5mm以下程度とすることができる。基材シート21の厚さを2mm以上とすることによって、引張強度を確保しやすくなる。一方、基材シート21の厚さを5mm以下とすることによって、基材シート21にブロック22を固定する際にステープルを打ち込みやすくなる。
【0029】
基材シート21の大きさは特に限定されないが、通常、幅(
図3の左右方向の長さ)は40cm以上2m以下程度であり、長さ(
図3の上下方向の長さ)は1m以上10m以下程度である。
ブロックマット20を敷設する際に、ブロックマット20を吊り上げる器具を取り付ける(挟む)ために基材シート21の長手方向両端部にはブロック22が備えられていない部分(挟み代)21a、21bが設けられていることが好ましい。挟み代21a、21bの幅w1、w2は、上記器具を取り付けられる大きさであれば特に限定されないが、例えば400mm以上600mm以下程度とすることができる。
また、複数のブロックマット20を幅方向(
図3の左右方向)に並べて敷設する場合、基材シート21の一部を重ねて敷設することが好ましい。従って、基材シート21の幅方向端部にはブロック22が備えられていない部分(重ね代)21cが設けられていることが好ましい。重ね代21cの幅w3は特に限定されないが、例えば200mm以上400mm以下とすることができる。
【0030】
ブロック22としては、従来のブロックマットに用いられていたものを特に限定することなく用いることができる。ブロック22は、例えばコンクリートによって構成することができる。また、ブロック22の大きさは特に限定されず、通常、平面視(
図3に現れる面)における一辺が15cm以上50cm以下程度であり、高さが4cm以上30cm以下程度である。
また、ブロック22の配列パターンは特に限定されない。ただし、ブロックマット20に可撓性を備えさせるため、隣接するブロック22同士の間には5mm以上の隙間を設けることが好ましい。
【0031】
基材シート21にブロック22を固定する方法は特に限定されない。例えば、鋼製のステープルを基材シート21の底面側からブロック22に向けて打ち込む方法などが挙げられる。
【0032】
また、ブロックマット20を敷設した後に固定する方法も特に限定されない。例えば、クレーンなどで基材シート21を掴んでブロックマット20を持ち上げて所定の位置に移動させて敷設し、その後、基材シート21を貫通させるようにしてアンカーピンなどの固定部材を打ち込むことによって、ブロックマット20を所定の位置に固定させることができる。
【0033】
このようなブロックマット20によれば、敷設した箇所の侵食を防止することができる。また、ブロック22同士の空隙から水生植物や植物の植生が可能であり、水域および陸域の両方で緑化を図ることができる。
【0034】
次に、
図2に戻って緩斜面部11、13について説明する。緩斜面部11、13は、水路10の一部を拡幅することによって形成できる。すなわち、水路10の元々あった法面の一部を削ることによって、緩斜面部11、13を形成することができる。このように緩斜面部11、13を形成することによって、緩斜面部11、13は拡幅されていない法面12、14よりも傾斜が緩やかな斜面とすることができる。従って、緩斜面部11、13は水路10の法面において水路10の流れ方向に平行な方向に隣接する部分(法面)12、14よりも傾斜が緩やかな斜面となる。
【0035】
緩斜面部11、13は上記のように傾斜が緩やかになるように形成されている。このような緩やかな斜面を水路10の法面に形成することによって、蛙等の両生類が水路10から岸へと這い上がりやすくなり、両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0036】
上記のように緩斜面部11、13を形成するとき、川底15と緩斜面部11、13とが間に段差を有することなく連続するように緩斜面部11、13を形成することが好ましい。このように水路の断面形状を円弧状に近い形状とすることによって、蛙等の両生類が水路10から岸へと這い上がりやすくなり、両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0037】
上記のように水路10の幅を部分的に拡張して緩斜面部11、13を形成することによって、水路10の流れ方向に直交する断面の形状が所々変化する(
図1参照。水路10の幅を部分的に拡張することによって、川幅が変化する。)。その結果、水路10内の水の流れに変化をつけて淀みを生じさせることができる。この淀みにメダカ等の水生生物が生息することができるようになり、水生生物の生息場所を確保しやすくなる。
【0038】
ただし、上記のように緩斜面部11、13を形成すると、緩斜面部11、13に沿って水路10内の水の流れが渦を巻くことになり、緩斜面部11、13が水際から浸食されやすくなる。本発明によれば、緩斜面部11、13にブロックマット20を敷設しているので、このような法面の浸食を防止することができる。
【0039】
上述したように、ブロックマット20を緩斜面部11、13に敷設することによって、緩斜面部11、13の侵食を防止することができ、且つ、水域および陸域の両方で緑化を図ることができる。また、上述したように、緩斜面部11、13を形成することによって、水生生物や両生類の生息場所を確保することができる。従って、緩斜面部11、13を形成して緩斜面部11、13にブロックマット20を敷設することによって、緩斜面部11、13の侵食を防止しつつ、緩斜面部11、13を形成するだけ、あるいはブロックマット20を敷設するだけよりも、水生生物や両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0040】
また、緩斜面部11、13にブロックマット20を敷設することによって、以下のような効果も奏する。法面の浸食防止等の目的で緩斜面部11、13より下流側の法面にブロックマット20を敷設している場合、該ブロックマット20の上流側端部(以下、「小口部」という。)が露出していると、水路10を流れる水が小口部に衝突してブロックマット20がめくれ上がる場合がある。このとき、緩斜面部11、13から連続して緩斜面部11、13より下流の法面にもブロックマット20を敷設することによって、緩斜面部11、13より下流側の法面に敷設されたブロックマット20のめくれを防止することができる。
【0041】
なお、
図1に例示した護岸構造100では水路10の両側の法面全体を覆うようにブロックマット20を敷設しているが、ブロックマット20は水路の法面のうち少なくとも緩斜面部の一部に敷設すればく、緩斜面部は水路の一方の法面にのみ形成してもよい。ただし、護岸の観点からは、水路の法面全体をブロックマット20で覆うことが好ましい。
【0042】
図5は、護岸構造100’の平面図である。
図5に例示した護岸構造100’では、ブロックマット20が緩斜面部にのみ敷設されている。
図5に例示したように、水路10の法面のうち一部(緩斜面部にのみ)にブロックマット20を敷設してもよく、緩斜面部を一方の法面に形成して該緩斜面部が形成された側の法面にのみブロックマット20を敷設してもよい。
【0043】
また、ブロックマット20は水路10の法面だけでなく、水路10の底面15に敷設してもよい。特に、水路10の底面15が流れ方向に段差を有している場合は、該段差を覆うようにブロックマットが敷設されていることが好ましい。
【0044】
図6(A)は従来の水路30の流れ方向に沿った断面図である。
図6(B)はブロックマット20を底面に敷設した水路10の流れ方向に沿った断面図である。
【0045】
洪水防止や農業用の水を利用するためには水路の底面の勾配を緩やかにする必要があり、従来の水路では
図6(A)に示したように底面に段差(落差工)30を設けて急な流れを緩やかに調整することが行われていた。しかしながら、このように底面に段差を設けると、魚が遡上できなくなるなどの問題があった。
【0046】
傾斜地の水路等において水路の勾配が急なため落差工を設ける必要がある場合、
図6(B)に示したように水路10の底面15を掘り込んでブロックマット20を敷設して水路10内の段差を解消することにより、水生生物の水路10内の移動を妨げにくくなる。このように水路10の底面が流れ方向に段差を有している場合、該段差を覆うようにブロックマット20を敷設することによって、水路10内の段差を最小限として魚が遡上しやくすることができる。
【0047】
また、ブロックマット20を水路10の底面15に敷設することによって、以下の効果を奏することもできる。すなわち、ブロックマット20は複数のブロック20を備えているので表面には適度な凹凸があり、これによりブロックマット20近傍の流速を低下させることができる。また、ブロックマット20の隣り合うブロック22間には空隙が設けてあり、この隙間には水草が繁茂することができる。このように繁茂した水草は、ブロック22の凹凸とともに水路を流れる水の速度を低減する効果があり、水生生物の生息に適した環境を実現することができる。また、ブロック22による凹凸に土砂が堆積しやすくなり、このようにして堆積した土砂をナマズ等の水生生物の越冬場所とすることができる。
【0048】
次に、上述した護岸構造100の施工方法について説明する。
護岸構造100の施工方法は、水路10の一部を拡幅することによって、水路10の片側または両側の法面において、水路10の流れ方向に隣接する部分よりも傾斜が緩やかな斜面である緩斜面部11、13を形成する緩斜面部形成工程と、少なくとも緩斜面部11、13の一部に、可撓性を有する基材シート21および該基材シート21上に固定された複数のブロック22を有するブロックマット20を敷設するブロックマット敷設工程と、を有する。
【0049】
緩斜面部形成工程は、適切な手段によって水路10を拡幅する工程である。水路10の幅方向一方の法面または両方の法面を削ることによって、水路10を拡幅し、緩斜面部11、13を形成することができる。このとき、水路10の底面15と緩斜面部11、13とが間に段差を有することなく連続するように緩斜面部11、13を形成することが好ましい。このようにして緩斜面部11、13を形成することによって、水路10の断面形状が円弧状に近い形状となり、蛙等の両生類が水路10から岸へと這い上がりやすくなる。その結果、両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0050】
ブロックマット敷設工程は、ブロックマット20を適切な手段で所定の場所まで運び、敷設する工程である。ブロックマット20は少なくとも緩斜面部11、13の一部に敷設すればよいが、水路10の法面全体に敷設することが好ましく、水路10の底面15にも敷設することが好ましい。特に、水路10の底面15が流れ方向に段差を有している場合は、該段差を覆うようにブロックマット20を敷設することが好ましい。水路10の底面15にブロックマット20を敷設することによって、上述したように水生生物の生息場所を確保しやすくなる。
【0051】
次に、他の形態について説明する。
図7は護岸構造200の平面図である。
図7において、紙面右側から左側に向かう方向が水路210において水が流れる方向(流れ方向)、紙面上下方向が水路210の幅方向、紙面奥/手前方向が鉛直方向である。
また、
図8(A)は
図7に示したVIIIA−VIIIAに沿った護岸構造200の断面図であり、
図8(B)は
図7に示したVIIIB−VIIIBに沿った護岸構造200の断面図である。
図8(A)および
図8(B)において、紙面手前から奥に向かう方向が水路210の流れ方向、紙面上下方向が鉛直方向、紙面左右方向が水路210の幅方向である。
【0052】
護岸構造200は、コンクリート製のU字型溝220からなる既設の水路の一部を切り開いて拡幅して形成された緩斜面部211、213と、該緩斜面部211、213に敷設されたブロックマット20と、を備えている。緩斜面部211、213は、水路210の法面において水路210の流れ方向に平行な方向に隣接する部分よりも傾斜が緩やかな斜面である。本形態例では、緩斜面部211、213は水路210の両側の法面に形成されているが、上述したように緩斜面部は水路の片側の法面に形成されていてもよい。
【0053】
緩斜面部211、213は、水路210の一部を拡幅することによって形成できる。すなわち、水路210を構成していたコンクリート製のU字型溝220の一部を取り壊して法面を削ることによって、緩斜面部211、213を形成することができる。このように緩斜面部211、213を形成することによって、緩斜面部211、213は拡幅されていない法面よりも傾斜が緩やかな斜面とすることができる。従って、緩斜面部211、213は水路210の法面において水路210の流れ方向に平行な方向に隣接する部分よりも傾斜が緩やかな斜面となる。
【0054】
コンクリート製のU字型溝によって形成された水路では、上述したように水生生物や両生類の生息が困難である。護岸構造200によれば、このようなコンクリート製のU字型溝220によって形成された既存の水路210の一部を拡幅して緩斜面部211、213を形成することによって、蛙等の両生類が水路210から岸へと這い上がりやすくなり、両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0055】
上記のように水路210の幅を部分的に拡張して緩斜面部211、213を形成することによって、水路210の流れ方向に直交する断面の形状が所々変化する。その結果、水路210内の水の流れに変化をつけて淀みを生じさせることができる。この淀みにメダカ等の水生生物が生息することができるようになり、水生生物の生息場所を確保しやすくなる。
【0056】
上記のように緩斜面部211、213を形成するとき、川底215と緩斜面部211、213とが間に段差を有することなく連続するように緩斜面部211、213を形成することが好ましい。このように水路の断面形状を円弧状に近い形状とすることによって、蛙等の両生類が水路210から岸へと這い上がりやすくなり、両生類の生息場所を確保しやすくなる。
【0057】
また、護岸構造100と同様に、ブロックマット20は水路210の法面だけでなく、水路210の底面215に敷設してもよい。
【0058】
このような護岸構造200は、コンクリート製のU字型溝220の一部を取り壊して拡幅することによって緩斜面部211、213を形成した後、護岸構造100と同様にしてブロックマット20を敷設することによって施工することができる。