(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
道路を通行する車両の状態や、交通信号機(以下、単に「信号機」と言う。)の状態等に応じて信号機における信号灯色の状態を変更する交通信号制御装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中央装置からの渋滞情報を含む交通情報、半感応交差点情報および路上装置ID(IDentifier:識別子)情報を、従道路を交差点に向かう車両に路上装置を介して送信する技術が開示されている。
【0004】
特許文献1において、車両に搭載された車載装置は、これらの情報が所定の条件を満足すると判定した場合に、路上装置に感応要求情報を送信する。そして、当該感応要求情報の路上装置による受信に応答して、交通信号制御機が所定時間後に、従道路側の信号灯色を切り替える。
【0005】
また、特許文献2には、待ち行列台数を用いて交通信号をより高精度に制御する技術が開示されている。特許文献2において、交通信号制御機が車両からの位置情報および速度情報を取得し、取得した速度情報が実質的にゼロとなる時点t0における車両の位置情報を当該車両の停止位置x0と判定する。さらに、交通信号制御機は、停止位置x0に基づいて、停止時点t0での待ち行列台数を算出し、算出された待ち行列台数を用いて交通信号を制御する。
【0006】
また、特許文献3には、ドライバの運転を支援する車両からの情報に基づいて信号灯色の表示期間を変更する技術が開示されている。特許文献3において、交通信号制御機が、信号灯色の表示期間を変更する際に、ドライバの運転を支援する動作を実行する車両であることを通知する通知情報を車両から受信する。そして、その通知情報の割合に応じて、交通信号制御機は信号灯色の表示期間を変更する。
【0007】
また、特許文献4には、異なる2つのアンテナを持つRFID(Radio_Frequency_IDentification)を各自動車に装着し、道路脇に設置したリーダライタのアンテナを用いて車両がどちらのレーンを通過したかを判別し、レーンごとの交通量を基に、信号機の制御を行う技術が開示されている。
【0008】
特許文献4において、リーダライタのアンテナから遠い方のレーンを自動車が通過すると、リーダライタのアンテナは、RFIDの長い方のアンテナの応答波のみを検知する。また、リーダライタのアンテナから近い方のレーンを自動車が通過すると、リーダライタのアンテナは、RFIDの両方のアンテナの応答波を検知する。
【0009】
また、特許文献5には、コンピュータが車載機に送信した信号機の点灯制御情報(点灯パターン、直前に送信していた信号指令、および送信時刻)を基に、車載機が最初に遭遇する信号機の点灯制御情報(次の点灯状態、今の点灯状態での残り時間)を、ドライバに報知する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献6には、データ収集のためのセンサ装置を設置することなく、基地局から、車両に有用な交通情報を提供する技術が開示されている。特許文献6において、複数の移動局(車両)が、移動に伴って検出した道路状況を基地局に伝達する。基地局は、受け取った道路状況に基づいて交通情報を生成する。各車両は、基地局において生成された交通情報を受け取る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態を模式的に示すブロック図である。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態の制御システムは、路側装置1と、車両11内の端末装置110と、制御装置12とを含む。道路8は、注目する車両11が通行する道路であり、交差道路9は、道路8と交差する。
【0021】
交差点手前の各道路上の所定の位置には、先頭の車両11が停止する際の位置を示す停止線18がそれぞれ表示される。
【0022】
制御装置12は、制御部13と、路側通信部14と、記憶部16とを含む。
【0023】
制御部13は、路側通信部14および記憶部16と接続される。
【0024】
路側通信部14は、双方向に通信可能な通信回線10を介して後述する各路側装置1とそれぞれ接続される。
【0025】
記憶部16は、各路側装置1に対応する道路上に表示された各停止線18の位置座標を示す停止線位置情報を記憶する。
【0026】
制御部13は、制御部13と、上述した路側通信部14および記憶部16との間で授受される後述する各種の情報を制御する。
【0027】
路側装置1は、
図1に示すように、道路8および交差道路9が交差する交差点に向け車両11が走行する走行車線における交差点の手前の路側(つまり、走行車線の左側に)にそれぞれ設けられる。
【0028】
本実施形態では、制御装置12が、上述した路側に設けられた4つの路側装置1を制御する例を用い、説明の便宜上、4つの路側装置1のうちの1つの路側装置1(以下、「対象の路側装置1」と言う。)を制御する例を中心に説明する。
【0029】
図2は、本実施形態における制御システムの1つの路側装置1を示すブロック図である。
【0030】
図2を参照すると、路側装置1は、無線送受信部2と、信号切替部4と、路側通信部5と、信号機7とを含む。
【0031】
無線送受信部2は、後述する無線通信を介して車両11が含む端末装置110と接続する。
【0032】
信号切替部4は、信号線15を介して信号機7と接続する。
【0033】
信号機7は、車両11の運転手が、交差点に向けて車両11を運転中に、交差する道路を隔てて対面したときに視認可能な位置に設置される。信号機7は、交通信号の灯色を表示(提示)する。
【0034】
路側通信部5は、通信回線10を介して制御装置12と接続する。
【0035】
路側装置1と、端末装置110との間の無線通信には、路側装置1と、道路8および交差道路9をその路側装置1に向けて接近する車両11の端末装置110との間で双方向で通信可能な無線通信方式を採用することができる。その無線通信方式は、例えばITS(Intelligent_Transport_Systems:高度道路交通システム)や、漏洩同軸ケーブルから漏洩する漏洩電波を用いた無線通信方式である。
【0036】
上述した通信方式を用いて、路側装置1のエリア、すなわち路側装置1と車両11との間で送受信される無線通信の電波信号が到達する範囲(以下、「送信エリア」(
図1には図示せず)と言う。)は、各道路における停止線18の位置までの、例えば約50m(メートル)の区間であるとする。
【0037】
また、路側装置1と、複数の車両11が含む端末装置110との間で、無線通信が混信しないようにするため、アクセス制御方式としては、例えば一般に知られているCSMA/CA(Carrier_Sense_Multiple_Access_with_Collision_Avoidance)を用いることが可能である。
【0038】
図3は、本実施形態における制御システムの端末装置110を示すブロック図である。
【0039】
図3を参照すると、端末装置110は、測位部22と、速度検出部23と、処理部24と、無線送受信部26とを含む。
【0040】
測位部22は、自端末装置110の現在の位置を測位する、例えばGPS(Global_Positioning_System)機能を含み、自車両11の現在の位置を示す車両位置情報を出力する。
【0041】
速度検出部23は、自端末装置110の現在の速度を検出し、自車両11の現在の車両速度を示す車両速度情報を出力する。
【0042】
なお、速度検出部23は、車両11から車両11の速度を示す車両速度情報を取得してもよく、端末装置110に設けられた、例えば加速度センサ(
図3には図示せず)が出力する加速度情報に基づいて計算された車両速度情報を取得するようにしてもよい。
【0043】
また、車両速度情報は、測位部22が出力する車両位置情報に基づいて計算された車両速度情報を用いることも可能である。その場合、速度検出部23は不要である。
また、車両位置情報および車両速度情報は、車両情報と総称する。
【0044】
無線送受信部26は、上述した通信方式による無線通信を介して車両が走行する道路に対応する対象の路側装置1との間で後述する各種の情報を含む各種の信号を送受信する。
【0045】
処理部24は、処理部24と、上述した測位部22、速度検出部23および無線送受信部26との間で授受される後述する各種の情報を処理する。
【0046】
なお、上述した制御装置12は、交差点付近の路側に設けてもよく、遠隔地にある交通管制センタ(
図1には図示せず)に設けてもよい。
【0047】
また、制御装置12は、少なくとも何れか1つの路側装置1に含まれ、当該路側装置1に含まれる路側通信部14が、それ以外の路側装置1の路側通信部5と、通信回線10を介して接続される構成としてもよい。その場合、制御装置12は用いない。
【0048】
次に、本実施形態に係る端末装置110および路側装置1の動作について、
図1乃至
図5を用いて説明する。まず、端末装置110の処理について他の装置の動作とともに説明する。
【0049】
図4は、本実施形態に係る端末装置110の処理部24における処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
処理部24は、測位部22から出力される自車両11の現在の位置を示す車両位置情報を取得する。また、処理部24は、速度検出部23から自車両11の現在の車両速度を示す車両速度情報を取得する(ステップS31)。
【0051】
処理部24は、車両11が送信エリアに進入した際に、制御装置12からその送信エリアを形成する対象の路側装置1を介して、所定の周期毎に送信されてくる灯色情報信号を、無線送受信部26を介して受信し、受信した灯色情報信号に含まれる灯色情報を受け取る(ステップS32)。
図1の場合、対象の路側装置1は、左上の路側装置1である。処理部24が受け取る灯色情報には、対象の路側装置1に対応する停止線18の停止線位置情報が付加されている。ここで、「路側装置1に対応する停止線18」は、路側装置1の送信エリア内の停止線18、あるいは路側装置1に最も近い位置にある停止線18を意味する。
【0052】
処理部24は、送信された灯色情報に付加された対象の路側装置1に対応する停止線18の停止線位置情報と、ステップS31で取得した自端末装置110(つまり、自車両11)の車両位置情報とを比較する。この結果、処理部24は、自車両11の現在の位置に最も近い位置にある停止線位置情報を送信する対象の路側装置1からの灯色情報のみを受け取る。
【0053】
これにより、処理部24は、対象の路側装置1以外の路側装置1から送信された灯色情報を誤って受け取ることを防止する。
【0054】
処理部24は、受信した灯色情報が「赤」(つまり、赤信号)か、否かを確認する(ステップS33)。
【0055】
処理部24は、受信した灯色情報が「赤」であれば(ステップS33においてYES)、ステップS31で取得した自車両11の車両速度情報が所定の第1速度未満か否かを確認する(ステップS34)。
【0056】
処理部24は、自車両11の車両速度情報が示す速度が所定の第1速度未満であれば(ステップS34においてYES)、ステップS31で取得した自車両11の車両位置情報を含む車両位置情報信号を対象の路側装置1を介して制御装置12へ送信する(ステップS35)。処理部24は、その後ステップS31の処理を実行する。
【0057】
制御装置12は、対象の路側装置1に対し、そこに接続された信号機7の灯色を「赤」に切り替える指示を行った場合、その信号機7に対面する車両11が、停止するか、または停止可能な速度で走行していると推定する。
【0058】
制御装置12の制御部13は、対象の路側装置1の送信エリアに、停車または停止可能な速度で走行する車両11が複数ある場合に、それら車両11の位置を示す各車両位置情報と、記憶部16に記憶された対象の路側装置1に対応する停止線18の位置を示す停止線位置情報とを比較する。
【0059】
制御部13は、停車または停止可能な速度で走行する複数の車両11のうち、停止線18から最も距離が遠い車両位置情報が示す最後尾の車両の位置における、停止線18の位置からの距離を検出することができる。
【0060】
なお、ステップS34において、所定の第1速度は、例えば時速30Km/h(キロメートル毎時)である。上述した所定の第1速度は、上述した速度には限定されない。
【0061】
また、処理部24は、ステップS35において、自車両11の車両位置情報を路側装置1に送信する際に、対象の路側装置1から受信した灯色情報に付加されていた当該路側装置1に対応する停止線18の停止線位置情報を、車両位置情報に付加して車両位置情報として、対象の路側装置1に送信する。
【0062】
制御部13は、路側通信部14を介して対象の路側装置1に対応する停止線18の停止線位置情報が付加された車両位置情報のみを、対象の路側装置1から受信する。
【0063】
これにより、制御部13は、対象の路側装置1以外の路側装置1からの車両位置情報を誤って受け取ることを防止する。
【0064】
処理部24は、ステップS34において、自車両11の車両速度情報が示す速度が所定の第1速度以上であれば(ステップS34においてNO)、ステップS31の処理を実行する。その際に、処理部24は、所定の時間(例えば、20秒)待つようにしてもよい。
【0065】
一方、処理部24は、ステップS33において受信した灯色情報が「青」(つまり、青信号)であれば(ステップS33においてNO)、ステップS31で取得した自車両11の車両速度情報が示す速度が所定の第2速度以上か否かを確認する(ステップS37)。
【0066】
処理部24は、自車両11の車両速度情報が示す速度が所定の第2速度以上であれば(ステップS37においてYES)、自車両11が、路側装置1の送信エリア内を進行中であることを示す「進行中情報」を含む進行中情報信号を対象の路側装置1介して制御装置12へ送信する(ステップS38)。
【0067】
処理部24は、その後ステップS31の処理を実行する。
【0068】
処理部24は、自車両11の車両速度情報が示す速度が所定の第2速度未満であれば(ステップS37においてNO)、自車両11が、路側装置1の送信エリア内で停止中(または、ほぼ停止の状態)であることを示す「停止中情報」を含む停止中情報信号を対象の路側装置1介して制御装置12へ送信する(ステップS39)。
【0069】
処理部24は、その後ステップS31の処理を実行する。
【0070】
その際に、処理部24は、所定の時間(例えば、20秒)待つようにしてもよい。
【0071】
なお、ステップS37において、所定の第2速度は、例えば時速20Km/h(キロメートル毎時)である。上述した所定の第2速度は、上述した速度には限定されない。
【0072】
また、以降、「進行中情報」および「停止中情報」を「進行中/停止中情報」と総称する。
【0073】
処理部24は、ステップS38および39において、対象の路側装置1を介して灯色情報を受信した際にその灯色情報に付加された当該路側装置1に対応する停止線18の停止線位置情報を、進行中情報または停止中情報に付加して、対象の路側装置1に送信する。
【0074】
制御部13は、対象の路側装置1から、そこに対応する停止線18の停止線位置情報が付加された進行中情報または停止中情報のみを受信する。
【0075】
これにより、制御部13は、対象の路側装置1以外の、路側装置1からの進行中情報または停止中情報を誤って受け取ることを防止する。
【0076】
制御部13は、当該車両11から受け取った「進行中/停止中情報」により、道路8の信号が赤のときに車両11が道路8を進行中か、または、停止中かを知ることができる。
【0077】
なお、制御部13は、複数の車両11から進行中/停止中情報を受け取った場合、例えば少なくとも1台の車両11が進行の状態であれば、進行中と判断し、全ての車両11が停止の状態であれば停止中と判定することができる。
【0078】
上述した複数の車両11が進行中であるか、または停止中であるかの判定方法は、上述した方法には限定されない。
【0079】
次に、制御装置12の動作について説明する。
【0080】
図5は、本実施形態に係る制御装置12の制御部13における処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
制御部13は、端末装置110(つまり、車両11)から対象の路側装置1を経由して受信した情報の内容が、「車両情報」か、後述する制御部13自身が受信した「青信号タイマタイムアウト情報」かを確認する(ステップS51)。
【0082】
制御部13は、ステップS51で受信した情報の内容が、「車両情報」であれば、(ステップS51において「車両情報」)、「車両情報」が「車両位置情報」または「進行中/停止中情報」であるかを確認する(ステップS52)。
【0083】
制御部13は、ステップS52において、受信した情報が、「車両位置情報」である場合(ステップS52において「車両位置情報」)、交差道路情報がオンか否かを確認する(ステップS53)。
【0084】
道路8における交差道路情報は、交差道路9において、現在までの所定の期間、車両が存在しない場合、オンであり、現在までの所定の期間、車両が存在する場合、オフである。上述した所定の期間は、例えば2分間である。
【0085】
交差道路情報は、交差道路9における路側装置1を介しての、制御部13からの灯色情報の受信に応答して、当該路側装置1の送信エリアを走行する車両11が送信する車両情報に基づいて設定される。
【0086】
制御部13は、ステップS53において、交差道路情報がオフであれば(ステップS53においてNO)、各車両11から受け取った車両位置情報に基づいて、以下を確認する。
【0087】
すなわち、制御部13は、停止線18から最も距離が遠い車両位置情報が示す最後尾の車両11が含む端末装置110の位置の、停止線18から距離が、所定の距離を越えたか否かを確認する(ステップS54)。上述した所定の距離は、例えば約30mである。
【0088】
制御部13は、最後尾の車両11が含む端末装置110が示す車両位置情報により示される自車両11の位置の、停止線18からの距離が、所定の距離を越えた場合(ステップS54においてYES)、以下の処理を実行する。
【0089】
すなわち、制御部13は、路側通信部14から、各路側装置1の信号切替部4に、道路8および交差道路9の各道路の信号機7が提示する信号の灯色を切り替える新たな灯色情報を送信する。これにより、各路側装置1の信号切替部4は、その灯色情報を各信号機7へ送信する。
【0090】
また、制御部13は、各路側装置1に対し、無線送受信部2を介して所定の周期毎に新たな灯色情報を含む灯色情報信号を送信エリアへ送信するよう指示する(ステップS55)。上述した、所定の周期は、例えば0.5秒である。
【0091】
上述したように制御部13は、交差道路情報がオフ、すなわち交差道路9の信号が青信号であることにより交差道路9において車両11が通行していたとしても、次のように判断する。すなわち、制御部13は、道路8の送信エリアにおける最後尾の車両11の位置が所定の位置よりも後方であれば、道路8に車両11が滞留していると判断する。
【0092】
そして制御部13は、信号機7の信号灯火の灯色を切り替える指示を出力し、道路8における車両の通行を円滑にする。
【0093】
そして、制御部13は、青信号タイマにおいて、所定の時間の経過を計測するタイムアウト値を設定し、交差道路情報をオフに設定する。そして、制御部13は、道路8の信号機7の青信号タイマにおける所定の時間の経過を計測するタイマの計測を開始し(ステップS56)、その後ステップS51の処理を実行する。
【0094】
青信号タイマは、制御部13が灯色を青へ切り替える灯色情報を信号切替部4に送信し、信号機7において灯色が青に切り替わってから所定の時間(つまり、青信号タイマの時間)の経過を計測する。
【0095】
青信号タイマは、所定の時間が経過した(つまり、タイムアウトした)場合、「青信号タイマタイムアウト情報」を出力し、その出力結果を制御部13自身に通知する、制御部13が有するタイマ(
図1には図示せず)である。上述した所定の時間は、例えば3分である。
【0096】
制御部13は、ステップS53において交差道路情報がオンの場合(ステップS53においてYES)、ステップS55の処理を実行する。
【0097】
制御部13は、ステップS54において、最後尾の車両11に含まれる端末装置110の車両位置情報が示す最後尾の車両の位置における停止線18の位置からの距離が、所定の距離を越えなかった場合(ステップS54においてNO)、ステップS51の処理を実行する。
【0098】
制御部13は、ステップS52において、受信した情報が「進行中/停止中情報」である場合(ステップS52において「進行中/停止中情報」)、交差道路情報をオフにし、道路8の信号機7の青信号タイマの計測を再度開始し(ステップS58)、その後ステップS51の処理を実行する。
【0099】
上述したように、制御部13は、道路8の信号が青信号で、送信エリアにおける車両11の端末装置110から、進行または停止していることを示す進行中/停止中情報を受信した場合に、当該道路8に車両11が滞留していると判断する。そして、制御部13は、その点灯する青信号の点灯時間を延長し、道路8における車両の通行を円滑にする。
【0100】
なお、制御部13は、ステップS58において、青信号タイマのタイマ値を変更し、その変更されたタイマ値が示す時間の経過を計測するようにしてもよい。
【0101】
制御部13は、ステップS51において、受信した情報が「青信号タイマタイムアウト情報」である場合(ステップS51において「青信号タイマタイムアウト情報」)、交差道路情報をオンにし、青信号タイマタイムアウト情報をクリアする(ステップS59)。
【0102】
制御部13は、その後ステップS51の処理を実行する。
【0103】
上述したように、制御部13は、車両11が交差道路9を隔てて対面する道路8の信号機7が提示する青信号の期間を示す青信号タイマのタイマ値がタイムアウトすると、道路8の信号機7の灯色を赤に、交差道路9の信号機7の灯色を青にそれぞれ切り替える。
【0104】
以上、本実施形態には、車両が進入しようとする交差点の信号機の現在の信号灯色に応じ、変化する車両の状態に基づいて当該信号機の信号灯色を適切に切り替えることができるという効果がある。
【0105】
その理由は、道路8の信号機7の灯色が赤のとき、道路8の路側装置1の送信エリア内に所定の距離を越えて車両11が滞留していれば、道路8および交差道路9の信号機7の灯色を切り替えるようにしたからである。
【0106】
また、道路8の信号機7の灯色が青のとき、道路8の路側装置1の送信エリア内における車両11が進行中または停止中であれば、青信号の表示期間を所定の期間延長するようにしたからである。
【0107】
以上説明した実施形態において、制御装置12は、4つの路側装置1のうちの1つに内蔵されてもよい。この場合、制御装置の機能を内蔵した路側装置(仮に路側装置Aとする)は、マスター装置として機能し、ほかの路側装置をコントロールする。
<第2の実施形態>
次に、本発明の制御システムの基本となる構成を用いた第2の実施形態について説明する。
【0108】
図6は、第2の実施形態を示すブロック図である。
【0109】
図6を参照すると、本実施形態の制御システム70は、制御部72と、第1の通信部74と、端末装置81とを含む。
【0110】
端末装置81は、処理部82と、第2の通信部83とを含む。
【0111】
第1の通信部74は、注目する端末装置81が移動する道路(
図6には図示せず)、およびその道路と交差する交差道路(
図6には図示せず)からなる交差点(
図6には図示せず。)の手前の路側に設けられる。制御部72は、第1の通信部74と同じ場所に設けられるが、他の場所に設けられてもよく、場所を限定しない。
【0112】
制御部72は、第1の通信部74を制御する。第1の通信部74は、端末装置81との間で交通信号の灯色(たとえば、赤および青)を示す灯色情報を含む各種の情報を送受信する。制御部72は、図示しない信号機の灯色を制御する。
【0113】
処理部82は、第2の通信部83を制御する。第2の通信部83は、上述した制御部72との間で、端末情報84を含む各種の情報を送受信する。
【0114】
交差道路情報75は、交差道路における端末装置81の存在の有無を示す情報である。
【0115】
端末情報84は、端末装置81の現在の位置および速度に基づく端末装置81の状態を示す。
【0116】
制御部72は、第1の実施形態における制御装置12、信号切替部4および路側通信部5の機能を含んでもよい。また、制御部72は、CPU(Central_Processing_Unit)およびプログラムを記憶する記憶媒体を含むコンピュータ装置を含んでいてもよい。第1の通信部74は、第1の実施の形態の無線送受信部2の機能を含んでもよい。
【0117】
処理部82は、第1の実施形態における処理部24、測位部22、および速度検出部23の機能を含んでもよい。また、処理部82は、CPU(Central_Processing_Unit)およびプログラムを記憶する記憶媒体を含むコンピュータ装置を含んでいてもよい。
【0118】
本実施形態に係る制御システム70は、制御部72と、端末装置81が移動する道路および該道路と交差する交差道路からなる交差点の手前の路側に設けられ端末装置81との間で各種の情報を送受信する第1の通信部74とを含む。
【0119】
制御システム70は、第1の通信部74を介して制御部72との間で各種の情報を送受信する第2の通信部83および処理部82を含む端末装置81を含む。
【0120】
制御部72は、道路において提示する交通信号の灯色を示す灯色情報を第1の通信部74を介して送信する。
【0121】
制御部72は、送信した灯色情報の第2の通信部83を介しての受信に応答して処理部82により取得された当該端末装置81の状態を示す端末情報84を、当該端末装置81から受信する。
【0122】
制御部72は、灯色情報が示す灯色を、受信した端末情報84、および制御部72において交差道路における端末装置81の存在の有無を示す交差道路情報75に基づいて決定した灯色に切り替える。
【0123】
第1および第2の通信部74および83は、制御部72および端末装置81の間の送受信データを電波信号に変換して送受信してもよい。
【0124】
また、制御部72は、交差道路情報75を取得する。また、処理部82は、端末情報84を取得する。
【0125】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0126】
図7は、本実施形態の制御部72および端末装置81の処理部82における処理の流れを示すフローチャートである。
【0127】
制御部72は、道路において提示される交通信号の灯色を示す灯色情報を含む信号を第1の通信部74を介して端末装置81に送信する(ステップS91)。
【0128】
制御部72は、送信した信号に含まれる灯色情報の第2の通信部83を介しての受信に応答して、処理部82により取得された自端末装置81の現在の位置および速度を示す端末情報84が、端末装置81により送信されるのを受信する(ステップS92)。
【0129】
制御部72は、灯色情報が示す灯色を、受信した端末情報84、および制御部72において、
図6に図示していない交差道路における端末装置81の存在の有無を示す交差道路情報75に基づいて決定した灯色に、信号機を切り替える(ステップS93)。
【0130】
以上、本実施形態には、第1の実施形態と同様に、端末装置81が移動しようとする交差点における制御部72が示す現在の灯色情報に応じ、変化する携帯端末81の状態に基づいて当該制御部72が示す灯色を適切に切り替えることができるという効果がある。
【0131】
その理由は、制御部72が、端末情報84、および交差道路情報75に基づいて灯色を変更するようにしたからである。