【実施例】
【0035】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0036】
測定例1
[イオン伝導度]
非水電解液のイオン伝導度(単位:mS/cm)の測定は、「電気化学測定マニュアル、基礎編、2002、45、電気化学会編、丸善株式会社」に記載の方法を用いて行った。すなわち、
図1に記載のように白金電極2を向い合せに組み合わせたガラス製電気化学セル1に、あらかじめ電気伝導度既知の標準液でセル定数を算出した。調製した電解液をこの電気化学セルに注入し密封した。得られた電気化学セルを、20℃恒温槽中に1時間静置した後、ポテンショスタット/ガルバノスタット(東陽テクニカ社製、VersaSTAT4−400)を用い、複素インピーダンス法により溶液抵抗を測定した。得られた溶液抵抗値より、各非水電解液のイオン伝導度を算出した。
【0037】
算出式:イオン伝導度(mS/cm)=溶液抵抗値(Ω)/セル定数
【0038】
測定例2
[粘度]
非水電解液の粘度(単位:mPa・sec)の測定は、コーンプレート型回転粘度計(BrookField社製、DV−I PRIME)を用いて行った。すなわち、流動式恒温装置を接続した回転粘度計のカップに、調製した電解液を導入し、温度が20℃で一定となるまで流通させて測定した。
【0039】
測定例3
[凝固点]
非水電解液の凝固点(単位:℃)の測定は、JIS K0065「化学製品の凝固点測定方法」に準じて行った。すなわち、ガラス製二重管容器に、調製した電解液を導入し、氷浴(もしくは寒剤)によって間接的に冷却する。上下に振とうするガラス製のかき混ぜ棒により一定の速度で撹拌し、徐々に電解液を冷却する。凝固点の測定は、過冷却がない場合は静止した温度を読み取り、過冷却によって一度凝固点以下に温度が下がった後、再び一定の凝固点を示す場合は、温度上昇の最高温度を読み取ることで測定した。
【0040】
実施例1−1
リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)(以下TFEPと略す)に、電解質としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、LiFSIと略す)を1.0mol/Lの濃度となるように加え、20℃にて充分に撹拌して完全に溶解し、電解液を作成した(LiFSI濃度=11.5質量%)。この電解液を用いて、測定例1の方法でイオン伝導度を測定した。また、同様の電解液を用いて、測定例2の方法で粘度を測定した。結果を表1に記す。
【0041】
比較例1−1
TFEPに、電解質として六フッ化リン酸リチウム(以下、LiPF
6と略す)を0.5mol/Lの濃度となるように加え、20℃にて充分に撹拌して完全に溶解し、電解液を作成した(LiPF
6濃度=4.5質量%)。この電解液を用いて、測定例1の方法でイオン伝導度を測定した。また、同様の電解液を用いて、測定例2の方法で粘度を測定した。結果を表1に記す。
【0042】
比較例1−2
電解質としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと略す)を用いた以外は実施例1−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiTFSI濃度=17.2質量%)。結果を表1に記す。
【0043】
実施例1−2
リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)メチル(以下BTFEMPと略す)に、電解質としてLiFSIを1.0mol/Lの濃度となるように加えた以外は実施例1−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiFSI濃度=12.0質量%)。結果を表1に記す。
【0044】
比較例1−3
電解質としてLiPF
6を用いた以外は実施例1−2と同様の方法で1.0mol/Lの電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiPF
6濃度=9.7質量%)。結果を表1に記す。
【0045】
比較例1−4
電解質としてLiTFSIを用いた以外は実施例1−2と同様の方法で1.0mol/Lの電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiTFSI濃度=18.1質量%)。結果を表1に記す。
【0046】
実施例1−3
リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エチル(以下BTFEEPと略す)に、電解質としてLiFSIを1.0mol/Lの濃度となるように加えた以外は実施例1−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiFSI濃度=12.4質量%)。結果を表1に記す。
【0047】
比較例1−5
電解質としてLiPF
6を用いた以外は実施例1−3と同様の方法で1.0mol/Lの電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiPF
6濃度=10.2質量%)。結果を表1に記す。
【0048】
比較例1−6
電解質としてLiTFSIを用いた以外は実施例1−3と同様の方法で1.0mol/Lの電解液を調製し、イオン伝導度、粘度を測定した(LiTFSI濃度=19.1質量%)。結果を表1に記す。
【0049】
【表1】
【0050】
LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド
LiPF
6:六フッ化リン酸リチウム
LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
TFEP:リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)
BTFEMP:リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)メチル
BTFEEP:リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エチル
【0051】
表1に示した実施例、比較例の結果から、フッ素系リン酸エステル単独の溶媒系において、LiFSIを電解質として用いた場合は、LiPF
6やLiTFSIと比較してイオン伝導度が大きく向上していることが判る。このようにイオン伝導度が向上した理由は明らかではないが、LiFSIと含フッ素リン酸エステルとの相互作用によるLiFSIの解離状態及びLiカチオンへの含フッ素リン酸エステルの配位状態が関係していると考えられる。
【0052】
実施例1−4
TFEPに対するLiFSIの飽和溶解度を測定した。すなわち、TFEPに過剰量のLiFSIを混合し、撹拌条件下、20℃の恒温条件で溶解した。10時間以上撹拌し、十分溶解したことを確認してから、2時間静置し、上澄み中のLiFSI濃度を
19F-NMR(BRUKER製 AVANCE II 400)により定量することで、TFEP中のLiFSI濃度を算出した。その結果、20℃におけるTFEP中のLiFSI飽和溶解度は22.9質量%(1.27mol/L)であった。
【0053】
比較例1−7
電解質をLiPF
6に代えた以外は、実施例1−4と同様の操作で飽和溶解度を測定した。その結果、20℃におけるTFEP中のLiPF
6飽和溶解度は5.6質量%(0.58mol/L)であった。
【0054】
実施例2−1
エチレンカーボネート(以下、ECと略す)とジメチルカーボネート(以下、DMCと略す)とTFEPを体積比、35/35/30の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=12.5質量%)。この電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表2に記す。
【0055】
比較例2−1
電解質にLiPF
6を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法でイオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.1質量%)。結果を表2に記す。
【0056】
【表2】
【0057】
EC:エチレンカーボネート、DMC:ジメチルカーボネート
【0058】
実施例2−1、比較例2−1は、フッ素系リン酸エステルに環状カーボネートと鎖状カーボネートを混合した場合のイオン伝導度、粘度の測定例である。この結果からも明らかな様に、本発明のLiFSIとの組み合せた場合にイオン伝導度の向上が認められる。
【0059】
実施例2−2
ECとTFEPを体積比、7/3の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=12.7質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表3に記す。
【0060】
実施例2−3
EC/TFEPの混合比を体積比で5/5で混合した以外は、実施例2−2と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=12.3質量%)。結果を表3に記す。
【0061】
さらにこの電解液を使用して、測定例3の方法で凝固点を測定した結果、凝固点は−5.1℃であった。比較例2−3の結果と比較するとLiFSIを電解質として用いた場合、LiPF
6に比べて凝固点が低下するという驚くべき効果を有することが判った。
【0062】
実施例2−4
EC/TFEPの混合比を体積比で3/7で混合した以外は、実施例2−2と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=12.0質量%)。結果を表3に記す。
【0063】
比較例2−2
電解質にLiPF6を使用した以外は、実施例2−2と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.1質量%)。結果を表3に記す。
【0064】
比較例2−3
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−3と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.9質量%)。結果を表3に記す。
【0065】
さらにこの電解液を使用して、測定例3の方法で凝固点を測定した結果、凝固点は4.1℃であった。
【0066】
比較例2−4
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−4と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.8質量%)。結果を表3に記す。
【0067】
【表3】
【0068】
実施例2−2〜2−4、比較例2−2〜2−4は、フッ素系リン酸エステルと非水溶媒の比率を変えて検討した例である。全ての比率において、LiFSIを混合した方が、LiPF
6を混合した場合を上回るイオン伝導度を示す。
【0069】
実施例2−5
プロピレンカーボネート(以下PCと略す)とTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=12.8質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表4に記す。
【0070】
実施例2−6
フルオロエチレンカーボネート(以下FECと略す)とTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=11.8質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表4に記す。
【0071】
実施例2−7
γ−ブチロラクトン(以下GBLと略す)とTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=13.4質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表4に記す。
【0072】
実施例2−8
PCとBTFEMPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=13.3質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表4に記す。
【0073】
実施例2−9
GBLとBTFEMPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=13.3質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表4に記す。
【0074】
比較例2−5
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−5と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.3質量%)。結果を表4に記す。
【0075】
比較例2−6
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−6と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.5質量%)。結果を表4に記す。
【0076】
比較例2−7
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−7と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.7質量%)。結果を表4に記す。
【0077】
比較例2−8
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−8と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.7質量%)。結果を表4に記す。
【0078】
比較例2−9
電解質にLiPF
6を使用した以外は、実施例2−9と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=11.0質量%)。結果を表4に記す。
【0079】
【表4】
【0080】
PC:プロピレンカーボネート FEC:フルオロエチレンカーボネート
GBL:γ-ブチロラクトン
実施例2−5〜2−9、比較例2−5〜2−9は、EC以外の環状カーボネートや環状エステルを用いた例を示す。この様に、ECに限らず、様々な溶媒との組合せでイオン伝導度が向上することが判る。
【0081】
実施例3−1
リン酸トリエチル(以下、TEPと略す)とTFEPを体積比、7/3の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=14.5質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表5に記す。
【0082】
実施例3−2
TEP/TFEPの混合比を体積比で5/5で混合した以外は、実施例3−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=14.0質量%)。結果を表5に記す。
【0083】
実施例3−3
TEP/TFEPの混合比を体積比で3/7で混合した以外は、実施例3−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=13.1質量%)。結果を表5に記す。
【0084】
実施例3−4
リン酸トリメチル(以下、TMPと略す)とTFEPを体積比、7/3の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=13.5質量%)。結果を表5に記す。
【0085】
実施例3−5
TMP/TFEPの混合比を体積比で5/5で混合した以外は、実施例3−4と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=13.2質量%)。結果を表5に記す。
【0086】
実施例3−6
TMP/TFEPの混合比を体積比で3/7で混合した以外は、実施例3−4と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=12.2質量%)。結果を表5に記す。
【0087】
比較例3−1
電解質にリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと略す)を使用した以外は、実施例3−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=22.3質量%)。結果を表5に記す。
【0088】
比較例3−2
電解質にLiTFSIを使用した以外は、実施例3−2と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=21.2質量%)。結果を表5に記す。
【0089】
さらにこの電解液を使用して、測定例3の方法で凝固点を測定した結果、凝固点は4.1℃であった。
【0090】
比較例3−3
電解質にLiTFSIを使用した以外は、実施例3−3と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=19.5質量%)。結果を表5に記す。
【0091】
比較例3−4
電解質にLiTFSIを使用した以外は、実施例3−4と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=20.9質量%)。結果を表5に記す。
【0092】
比較例3−5
電解質にLiTFSIを使用した以外は、実施例3−5と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=20.0質量%)。結果を表5に記す。
【0093】
比較例3−6
電解質にLiTFSIを使用した以外は、実施例3−5と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiTFSI濃度=19.0質量%)。結果を表5に記す。
【0094】
【表5】
【0095】
TEP:リン酸トリエチル TMP:リン酸トリメチル
LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【0096】
実施例3−1〜3−6、比較例3−1〜3−6は、フッ素系リン酸エステルに非フッ素のリン酸エステルを混合し、比較電解質としてLiTFSIを用いた例を示す。この結果から明らかな様に、非フッ素のリン酸エステルと組合わせた場合でも、LiFSI電解質を用いた方が、イオン伝導度が向上することが判る。
【0097】
実施例4−1
ECとBTFEMPを体積比、7/3の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=12.8質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表6に記す。
【0098】
実施例4−2
EC/BTFEMPの混合比を体積比で5/5で混合した以外は、実施例4−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=12.5質量%)。結果を表6に記す。
【0099】
実施例4−3
EC/BTFEMPの混合比を体積比で3/7で混合した以外は、実施例4−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=12.4質量%)。結果を表6に記す。
【0100】
比較例4−1
電解質にLiPF6を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.4質量%)。結果を表6に記す。
【0101】
比較例4−2
電解質にLiPF6を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=10.2質量%)。結果を表6に記す。
【0102】
比較例4−3
電解質にLiPF6を使用した以外は、実施例4−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.9質量%)。結果を表6に記す。
【0103】
【表6】
【0104】
実施例5−1
ECとTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを0.5mol/L、LiPF6を0.5mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=6.1質量%、LiPF
6濃度=5.0質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表7に記す。
【0105】
比較例5−1
電解質にLiPF6を1mol/L溶解し、この電解液に1wt%のLiFSIを加えた以外は、実施例5−1と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.9質量%)。結果を表7に記す。
【0106】
【表7】
【0107】
実施例5−2
ECとTFEP、1,3-プロパンスルトンを体積比、47.5/47.5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=12.3質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表8に記す。
【0108】
比較例5−2
電解質にLiPF6を1mol/L溶解した以外は、実施例5−2と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=9.9質量%)。結果を表8に記す。
【0109】
【表8】
【0110】
実施例5−3
ECとTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを0.5mol/Lとなるように溶解した(LiFSI濃度=6.2質量%)。このように調製した電解液を測定例1、測定例2の方法によりイオン伝導度、粘度の測定を行った。結果を表9に記す。
【0111】
実施例5−4
LiFSIの濃度を2mol/Lになるように調製した以外は、実施例5−3と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=23.7質量%)。結果を表9に記す。
【0112】
実施例5−5
LiFSIの濃度を3mol/Lになるように調製した以外は、実施例5−3と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiFSI濃度=34.3質量%)。結果を表9に記す。
【0113】
比較例5−3
電解質にLiPF6を0.5mol/Lの濃度で溶解した以外は、実施例5−3と同様の方法で電解液を調製し、イオン伝導度、粘度の測定を行った(LiPF
6濃度=5.1質量%)。結果を表9に記す。
【0114】
比較例5−4
電解質にLiPF6を2mol/Lの濃度で溶解した以外は、実施例5−4と同様の方法で電解液の調製を試みた。しかし、電解質は完全に溶解せず、電解液そのものが固結し、電解液の調製はできなかった。
【0115】
比較例5−5
電解質にLiPF6を3mol/Lの濃度で溶解した以外は、実施例5−5と同様の方法で電解液の調製を試みた。しかし、電解質は完全に溶解せず、電解液そのものが固結し、電解液の調製はできなかった。
【0116】
【表9】
【0117】
参考として、実施例2−3、比較例2−3の結果を併記する。
【0118】
実施例5−4、5−5と比較例5−4、5−5の様に、溶解性に差が表れた理由は明らかではないが、含フッ素リン酸エステルとLiFSIもしくはLiPF6の相互作用の違いにより、この様な溶解性の差を示したのではないかと考えられる。
【0119】
作成例1
[コインセル型リチウムイオン二次電池の作成]
実施例6−1、比較例6−1では、非水電解液二次電池として、以下の方法でコインセル型リチウムイオン二次電池を作成し、充放電サイクル試験を行った。
【0120】
即ち、正極活物質としてLiCoO
2を用い、これに導電助剤としてカーボンブラック、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比で、LiCoO
2:カーボンブラック:PVDF=90:5:5となるように配合し、1−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリー化したものをアルミ製集電体上に一定の膜厚で塗布し、乾燥させて正極を得た。
【0121】
負極活物質としては天然球状グラファイトを用い、バインダーとしてPVDFを重量比で、グラファイト:PVDF=9:1となるように配合し、1−メチル−2−ピロリドンを用いてスラリー化したものを銅製集電体上に一定の膜厚で塗布し、乾燥させて負極を得た。
【0122】
セパレータは無機フィラー含有ポリオレフィン多孔質膜を用いた。
【0123】
以上の構成要素に本発明の非水電解液を加えて、
図2に示した構造のコイン型セルを用いたリチウム二次電池を作成した。リチウム二次電池はセパレータ10を挟んで正極3、負極7を対向配置し、これら正極3、セパレータ10および負極7からなる積層体をガスケット11に嵌め込んだ。このガスケット11には正極ステンレスキャップ5と負極ステンレスキャップ6を取り付け、負極ステンレスキャップ6の内側に設けたステンレスバネ9によって前記積層体を構成する正極3を正極ステンレスキャップ5の内側に押し付け、コインセル型リチウムイオン二次電池を作成した。
【0124】
実施例6−1
ECとTFEPを体積比、5/5の比率で混合し、電解質としてLiFSIを1mol/Lとなるように溶解した。この電解液を用いて、作成例4の方法でコインセル型リチウム二次電池を作成した。25℃の恒温条件下、0.1Cの充電電流で上限電圧を4.2Vとして充電し、続いて0.1Cの放電電流で3.0Vとなるまで放電した。この電池を25℃の恒温条件下、1Cの充電電流で4.2Vの定電流-定電圧充電を行い、1Cの放電電流で終止電圧3.0Vまで定電流放電を行った。結果を表10に記す。
【0125】
比較例6−1
電解質にLiPF6を用いた以外は、実施例6−1と同様の方法で電解液を調製し、コインセル型リチウム二次電池を作成した。25℃の恒温条件下、0.1Cの充電電流で上限電圧を4.2Vとして充電し、続いて0.1Cの放電電流で3.0Vとなるまで放電した。この電池を25℃の恒温条件下、1Cの充電電流で4.2Vの定電流-定電圧充電を行い、1Cの放電電流で終止電圧3.0Vまで定電流放電を行った。結果を表10に記す。
【0126】
【表10】
【0127】
実施例6−1、比較例6−1では電池の充放電性能について比較を行った。その結果、本発明の組成で、電池の充放電が可能になる事、また特に高レートでの試験でその差が顕著になることが明らかになった。この理由の詳細は明らかではないが、含フッ素リン酸エステルとLiFSIの相互作用により非水電解液のイオン伝導度が増加し、その結果、特に高レートでの電池容量が向上したと考えられる。