(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強部材の前記支持構造体が、前記補強部材の前記上方部分に隣接している上方段を含む階段状の形を有し、かつ、前記支持構造体が、前記チャンバーの前記上部分における前記凹部へと下向きに延在する、次第により狭くなる複数の段を備える、請求項1に記載の履物品。
前記補強部材の前記支持構造体が、略円筒形の中心部材と、前記中心部材より実質的に小さく、前記中心部材の周りで前記中心部材に隣接して配置されている複数の略円筒形の周囲部材とを有する、請求項1に記載の履物品。
前記複数の略円筒形の周囲部材のうちの1つまたは複数が、円錐台形の下方部分と逆円錐台形の上方部分とを有し、第1の直径を各々有する上部分および下部分と、前記第1の直径より小さい第2の直径を有するくびれ部分とを形成する、請求項6に記載の履物品。
前記チャンバーが前記履物品の踵領域に配置され、前記履物品が、前記履物品の前足領域に配置されている少なくとも第2のチャンバーをさらに備え、前記第2のチャンバーが、前記履物品の前記踵領域に配置された前記チャンバーにおける前記中心構造体と実質的に同様の構成を有する第2の中心構造体を備える、請求項1に記載の履物品。
前記張力部材が、前記チャンバーの前記上部分に接合されている上繊維パネルと、前記チャンバーの前記下部分に接合されている下繊維パネルとを備え、前記繊維スラットが、前記上繊維パネルと前記下繊維パネルとに取り付けられ、前記上繊維パネルと前記下繊維パネルとの間で延在する、請求項12に記載の履物品。
前記上繊維パネルと前記下繊維パネルとの間のおおよそ中ほどに配置されている中間繊維パネルをさらに備え、前記繊維部材が、前記上繊維パネルと前記中間繊維パネルとの間で延在する繊維スラットの上セットと、前記中間繊維パネルと前記下繊維パネルとの間で延在する繊維スラットの下セットとを備える、請求項13に記載の履物品。
前記張力部材が、接触領域において前記チャンバーの前記上部分と接触し、前記チャンバーの前記上部分が、前記接触領域を包囲する溝を備える、請求項11に記載の履物品。
前記張力部材が、前記チャンバーの前記上部分に接合されている上繊維パネルと、前記チャンバーの前記下部分に接合されている下繊維パネルとを備え、前記繊維スラットが、前記上繊維パネルと前記下繊維パネルとに取り付けられ、前記上繊維パネルと前記下繊維パネルとの間で延在する、請求項21に記載の履物品。
前記補強部材の前記支持構造体が、前記補強部材の前記上方部分に隣接している上方段を含む階段状の形を有し、かつ、前記支持構造体が、前記チャンバーの前記上部分における前記凹部へと下向きに延在する、次第により狭くなる複数の段を備える、請求項24に記載の履物品。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明および添付の図は、チャンバーと他の要素とを備えている履物の足底構造体の様々な構成を開示している。足底構造体は、任意の歩行活動に適した構成を有する履物を参照して開示されている。開示している足底構造体の構成は、バスケットボール用のシューズ、および、ランニングまたは一般的なトレーニング用のシューズで実施されるものとして、添付の図で示されている。開示している足底構造体と関連付けられる概念は、バスケットボール、ランニング、または一般的なトレーニング用の運動用シューズ用に設計された履物に限定されず、例えば、テニスシューズ、フットボールシューズ、サッカーシューズ、クロストレーニングシューズ、ウォーキングシューズ、およびサッカーシューズといった、幅広い運動用履物の様式で利用され得る。足底構造体と関連付けられる概念は、ドレスシューズ、ローファ、サンダル、およびブーツを含む、運動用ではないと一般的に考えられる履物の様式でも利用され得る。したがって、本明細書で開示している概念は、幅広い様々な履物の様式に適合する。
【0016】
整合性および便宜のため、方向の形容詞が、例示した構成に対応して、この詳細な記載を通じて用いられている。この詳細な記載と請求項とを通じて用いられている用語「縦(longitudinal)」は、足底構造体の長さに延びる方向、すなわち、足底の前足部分から踵部分へと延びる方向を指す。用語「前方(forward)」は、足のつま先が指す大まかな方向を指すために用いられており、用語「後方(rearward)」は、反対の方向、すなわち、足の踵が向いている方向を指すために用いられている。
【0017】
この詳細な記載と請求項とを通じて用いられている用語「横方向(lateral direction)」は、足底の幅に延在する側方部から側方部への方向を指す。別の言い方をすれば、横方向は、履物品の外側側方部が他方の足から離れる方を向く面であり、内側側方部が他方の足の方を向く面である状態で、履物品の内側側方部と外側側方部との間で延在し得る。
【0018】
この詳細な記載と請求項とを通じて用いられている用語「水平(horizontal)」は、縦方向、横方向、および、それらの間のすべての方向を含む、地面と実質的に平行なあらゆる方向を指す。同様に、本明細書と請求項とで用いられている用語「側方(side)」は、上向きまたは下向きの方向とは対照的に、横、中央、前方、および/または後方の方向に概して向いている構成要素の任意の部分を指す。
【0019】
この詳細な記載と請求項とを通じて用いられている用語「鉛直(vertical)」は、横方向と縦方向との両方に概して垂直な方向を指す。例えば、足底が地表面に平らに埋め込まれている場合、鉛直方向は地表面から上向きに延在し得る。これらの方向の形容詞の各々は、全体としての履物品に、または、履物の個々の構成要素に、適用され得る。用語「上向き(upward)」は、地表面から離れる方に向かう鉛直方向を指し、一方、用語「下向き(downward)」は、地表面の方に向かう鉛直方向を指す。同様に、用語「上(top)」、「上方(upper)」、および他の同様の用語は、鉛直方向において地面から実質的に最も遠い物体の一部を指し、用語「下(bottom)」、「下方(lower)」、および他の同様の用語は、鉛直方向において地面に実質的に最も近い物体の一部を指す。
【0020】
この開示の目的のため、前述の方向の用語は、履物品を参照して用いられる場合、足底が地面の方を向いている状態において直立位置で存在するとき、すなわち、実質的に水平な表面に立っている着用者によって着用されているときに位置付けられるものとして、履物品を指すものである。
【0021】
加えて、この開示の目的のため、用語「固定的取り付け(fixedly attached)」は、構成要素が容易に分離され得ないような手法で(例えば、構成要素の一方または両方を破壊することなく)結合された2つの構成要素を指すものである。固定的な取り付けの例示の様式は、永久的な接着剤、リベット、縫い付け、釘留め、ステープル留め、溶接もしくは他の熱的な接合、および/または他の結合技術で結合することを含み得る。加えて、2つの構成要素が、例えば成型工程において、一体的に形成されることにより「固定的取り付け」がされてもよい。
【0022】
一般的な履物構造
履物品10が、
図1に描写されており、上方部20と足底構造体30とを備えている。参考のため、履物10は、3つの大まかな領域、すなわち、
図1に示しているように、前足領域11と、中足領域12と、踵領域13とに分割され得る。履物10は、外側側方部14と内側側方部15とを備えてもいる。前足領域11は、つま先に対応する履物10の部分と、中足骨を指骨と連結する結合部とを概して備えている。中足領域12は、足の土踏まず領域と対応する履物10の部分を概して備えており、踵領域13は、踵骨を含む足の後部分と対応している。外側側方部14および内側側方部15は、領域11〜13の各々を通って延在しており、履物10の相対する側方部と対応している。領域11〜13と側方部14、15とは、履物10の正確な領域の境界を定めるようには意図されていない。むしろ、領域11〜13と側方部14、15とは、以下の説明を助けるために、履物10の大まかな領域を表すように意図されている。履物10に加えて、領域11〜13と側方部14、15とは、上方部20と、足底構造体3と、それらの個々の要素とに適用されてもよい。
【0023】
上方部20は、実質的に従来の構成を有するものとして描写されている。さらに、上方部20は、足をしっかりと、かつ心地良く受け入れるための内部空洞を形成するために一体的に縫い付けられるかまたは接着で接合され得る複数の適切な材料要素(例えば、繊維、発泡体、皮革、合成皮革、および他の材料)のうちのいずれかを組み込み得る。材料要素は、例えば、耐久性、通気性、耐摩耗性、柔軟性、および快適性といった特性を選択的に付与するために、上方部20に関して選択および配置され得る。本明細書で開示している上方部および/または他の履物の構成要素は、任意の適切な材料から形成され得る。ある構成では、開示している履物10は、本明細書によって、その全体において参照により組み込まれているLydenら(米国特許第5,709,954号)に開示されている1つまたは複数の材料を用いてもよい。
【0024】
踵領域13にある足首開口21により、内部空洞への進入が可能になる。また、上方部20は、内部空洞の寸法を変更し、それによって、足を内部空洞内で固定するために、および、内部空洞への足の進入と内部空洞からの足の除去とを容易にするために、従来の手法で利用される紐22を備え得る。紐22は、上方部20にある開口を通じて延在することができ、上方部20の舌部が、内部空洞と紐22との間で延在することができる。本出願の様々な態様が主として足底構造体30に関することを考えれば、上方部20は、前述の大まかな構成、または、実用的な任意の他の従来または非従来の上方部の大まかな構成を呈し得る。したがって、上方部20の全体的な構造は、著しく異なっていてもよい。
【0025】
足底構造体30は、上方部20に固定されており、上方部20と地面との間で延在している構成を有している。地面反力を減衰すること(すなわち、足に対してクッション性を提供すること)に加えて、足底構造体30は、トラクションを提供でき、安定性を付与でき、回内運動などの様々な足の動作を制限できる。後で詳細に説明される様々な要素に加えて、足底構造体30は、例えば、足底構造体30の地面反力減衰特性、または、履物10の他の性能特性をさらに高めるといった、1つまたは複数の支持部材、減速材、または補強構造体を組み込んでよい。足底構造体30は、履物10の快適性を高めるために、上方部20における空洞内で足の底(すなわち、下方)の面に隣接して配置されるインソールまたは中敷きを、組み込んでもよい。
【0026】
第1の足底構造体構成
足底構造体30は、
図1〜
図4に描写されているように、補強部材40、加圧された流体を受け入れるように構成された空洞58を画定するチャンバー50、および、アウトソール60など、複数の構成要素を備え得る。ある実施形態では、補強部材40は、足底構造体30の上方部分を形成でき、上方部20とチャンバー50とに隣接して位置させられ、上方部20とチャンバー50とに固定的に取り付けられ得る。チャンバー50は、足底構造体30の中間部分を形成しており、補強部材40とアウトソール60との間に位置させられ、補強部材40とアウトソール60とに固定的に取り付けられ得る。また、アウトソール60は、足底構造体30の下方部分を形成しており、地面と係合するように位置されている。
【0027】
ある構成では、補強部材40、チャンバー50、および/またはアウトソール60は、足底構造体30の周辺の周りで延在し得る。したがって、ある構成では、これらの構成要素のうちの1つまたは複数が、足の輪郭と概して対応する形を有し得る。後でより詳細に説明するように、補強部材40、チャンバー50、および/またはアウトソール60は、前足領域11から踵領域13へと延在し得ると共に、外側側方部14から内側側方部15へも延在し得る。しかしながら、他の構成では、補強部材40、チャンバー50、および/またはアウトソール60は、踵、中足、および/または前足など、足のより小さい領域と対応する領域のみで延在してもよい。例えば、
図1〜
図4に示しているこれらの構成要素の構成は、履物10の踵領域13での使用のために構成されている(
図1参照)。
【0028】
ある構成では、補強部材40および/またはチャンバー50は、履物10の外部に露出されてよく、足底構造体30の側面の少なくとも一部を共同して形成し得る。例えば、チャンバー50の一つまたは複数の部分が露出され得る。ある構成では、チャンバー50の少なくとも内側部分および外側部分が露出され得る。さらに、ある構成では、チャンバー50の内側部分および外側部分が露出されていることに加えて、
図1に示しているように、チャンバー50の後(後方)部分が露出されてもよい。ある構成では、チャンバー50が作られている材料は、チャンバー50の中心領域における構造的な特徴が、チャンバー50の露出された側方部分を通じて視認可能であり得るように、透明であり得る。
【0029】
ある構成では、上方部20は、補強部材40の縁が足底構造体30の側面から内側に離間されている状態で、補強部材40の側方部にわたって延在し得る。同様に、補強部材40および/またはアウトソール60の一部が、チャンバー50の側方部(または、側方部の一部)を覆ってもよい。例えば、
図1に示しているように、補強部材40は、上方部20の別の部分、および/または、足底構造体30の他の部分によって覆われてもよい。したがって、補強部材40の上方面41が、破線によって
図1に指し示されている。
【0030】
チャンバー50は、
図2および
図3において個別に描写されている。
図2はチャンバー50の斜視図であり、
図3は、
図2の線3-3において切り取られた断面である。チャンバー50は、加圧された流体を受け入れるための内部空洞58を画定している袋材料から形成され得る。チャンバー50は、上部分51、下部分52、および、チャンバー50の周縁の周りで上部分51と下部分52との間で延在している側方部分53を有し得る。先においても説明したように、チャンバー50は、足の底の1つまたは複数の部分に概して対応する形を有し得る。
図2および
図3に示しているチャンバー50の構成は、概して、履物品の踵領域への組み込みのために構成されている(
図1参照)。
【0031】
足の輪郭と概して対応している形を有することに加えて、チャンバー50は、1つまたは複数の履物用途に特に適している大きさと形とを有し得る。例えば、より高い(より厚い)チャンバー50は、クッション性が主要な望ましい性能属性であるランニングシューズでの使用に適し得る一方で、より低いチャンバー50は、低い形が横安定性および反応性を提供するために望ましいバスケットボールシューズでの使用に適し得る。さらに、チャンバー50は先細りとされ得る。例えば、
図2および
図3で示しているように、チャンバー50は、中足または前足の領域などの足の他の部分で使用される、発泡体の層(関連する流体充填チャンバーがない)などの異なるクッションシステムを使用し得る他のクッション構造に張力を提供するために、前(前方)端に向かって先細りとされてよい。
【0032】
チャンバー50は、流体を封入するための封止された障壁を提供するポリマーまたは他の袋材料から形成され得る。前述したように、袋材料は透明であり得る。幅広い範囲のポリマー材料がチャンバー50に対して利用され得る。チャンバー50のための材料を選択する際、材料の工学的特性(例えば、引張強度、伸縮性、疲労特性、動的係数、および損失正接)と共に、チャンバー50によって収容されている流体の拡散を防止する材料の能力が、考慮され得る。例えば、熱可塑性ウレタンから形成されるとき、チャンバー50の外側障壁は、おおよそ1.0ミリメートルの厚さを有し得るが、厚さは、例えば、0.25から2.0ミリメートルまで、または、それを越えるまでの範囲であり得る。
【0033】
熱可塑性ウレタンに加えて、チャンバー50に適切であり得るポリマー材料には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルウレタン、およびポリエーテルポリウレタンがある。チャンバー50は、Mitchellらによる米国特許第5,713,141号および第5,952,065号に開示されているような、熱可塑性ポリウレタンとエチレンビニルアルコール共重合体との交互の層を含む材料から形成されてもよい。この材料についての変形が利用されてもよく、その場合、中心層がエチレンビニルアルコール共重合体から形成され、中心層に隣接する層が熱可塑性ポリウレタンから形成され、外側層が熱可塑性ポリウレタンおよびエチレンビニルアルコール共重合体の粉砕再生材料から形成される。チャンバー50についての他の適切な材料は、Bonkらによる米国特許第6,082,025号および第6,127,026号に開示されているような、ガス遮断材料とエラストマ材料との交互の層を含む柔軟なミクロ層膜である。追加の適切な材料は、Rudyによる米国特許第4,183,156号および第4,219,945号に開示されている。さらなる適切な材料には、Rudyによる米国特許第4,936,029号および第5,042,176号に開示されているような、結晶質材料を含む熱可塑性フィルム、および、Bonkらによる米国特許第6,013,340号、第6,203,868号、および第6,321,465号に開示されているような、ポリエステルポリオールを含むポリウレタンがある。この段落に列挙した特許は、本明細書において、その全体が参照により組み込まれている。
【0034】
チャンバー50内の流体は、圧力において、ゼロから350キロパスカル(すなわち、1平方インチ当たりおおよそ51ポンド)までの、またはそれを越えるまでの範囲であり得る。足底構造体30のある構成では、流体についての適切な圧力は実質的に大気圧であり得る。すなわち、流体の圧力は、履物10を包囲する周囲空気の大気圧の5キロパスカル以内であり得る。チャンバー50内の流体の圧力は、所望の性能属性を提供するために選択され得る。例えば、より高い圧力は、より反応の良いクッション性の要素を提供でき、一方、より低い圧力は、さらなる地面力減衰(より柔らかいクッション)を提供できる。チャンバー50内の流体の圧力は、発泡部材および/またはインソール(図示されていない)など、履物10の他のクッション要素と協調して機能するように選択され得る。
【0035】
ある構成では、チャンバー50は、実質的に純粋な窒素で膨張され得る。このような膨張ガスは、拡散ポンプを通じてチャンバー50内の圧力の維持を推進し、それによって、チャンバー50内の酸素などの他のガス(窒素を除く)の不足が、チャンバー50へのこのようなガスの内部拡散に向けてシステムを偏らせる。さらに、前述したものなどの袋材料は、窒素に対して実質的に非浸透性であり、そのため、チャンバー50からの窒素の漏れを防止できる。
【0036】
ある構成では、酸素、または、空気などのガスの混合物など、比較的少量の他のガスが、チャンバー50内の容積のほとんどを占める窒素に加えられ得る。空気および窒素に加えて、チャンバー50によって収容される流体は、クタフルオロプロパンを含み得るか、または、例えばヘキサフルオロエタンおよび六フッ化硫黄など、Rudyによる米国特許第4,340,626号に開示されているガスのうちのいずれかであり得る。ある構成では、チャンバー50は、個人に流体の圧力を調節させることができる弁を組み込んでもよい。他の構成では、チャンバー50は、Passkeらによる米国特許第7,210,249号において、ポンプチャンバーまたは圧力チャンバーとして開示されているような、流体システムに組み込まれてもよい。チャンバー50またはチャンバー50の一部を加圧するために、2012年8月14日に公布された、「Method For Inflating A Fluid-Filled Chamber」という名称の、Hensleyらの米国特許第8,241,450号、および、公布された、「Article Of Footwear Having A Sole Structure With A Fluid-Filled Chamber」という名称の、Schindlerらの米国特許 (現在は、2009年6月18日に発行された米国特許出願公開第2009/0151196号)に開示されている大まかな膨張方法が、利用され得る。この段落に列挙した特許および公開された特許出願は、本明細書において、その全体において参照により組み込まれている。
【0037】
膨張すると、チャンバーは、チャンバーが形成されている袋材料の内面のすべての部分に均一に分配される圧力を被る。したがって、チャンバーは、膨張されるとき、外向きに丸められた形を取ろうとする傾向がある。しかしながら、履物におけるクッション部材としての使用に関して、着用者の足の底を受け入れるための基盤として機能するために、チャンバーに比較的平坦な形態を与えることが望ましい。したがって、膨張におけるチャンバーの上部分および下部分の拡張を制限するために、1つまたは複数の中心構造体が、チャンバーの上部分をチャンバーの下部分へとつなげ得る。例示の中心構造体は、後でより詳細に説明される。
【0038】
図2〜
図4に示しているように、凹部59は、足底構造体30の中心構造体70の一部であり得る。
図2および
図3に示しているように、チャンバー50の区域が、上部分51が下部分52へと接合または結合されている接合領域54を含み得る。接合領域54は、チャンバー50の上部分51において凹部59を形成できる。
【0039】
中心構造体70は、チャンバー50において、中心構造体70の周りの包囲領域71に、中心構造体70からチャンバー50の側方部分53へと延在する追加の構造体がないように、チャンバー50の相対する側方部分53の間でチャンバー50の中心部分に配置され得る。
【0040】
中心構造体70(および、本明細書で開示されている他の中心構造体)は、チャンバー50内で実質的に中心に配置され得る。例えば、中心構造体70は、中心構造体70のすべての側方部において、中心構造体70と、最も近い側方部分53との間の包囲領域71の寸法72が、相対する側方部分53の間でのチャンバー50を横切る長さ73の3分の1以上であるように、チャンバー50に据え付けられ得る。ある構成では、中心構造体70は、横方向と縦方向との両方でチャンバー50の中心部分に配置されてよく、横方向および縦方向で、チャンバー50の相対する側方部分の間の距離(長さ73)の3分の1以下である寸法78を占め得る。ある構成では、中心構造体70は、横方向と縦方向との両方でチャンバー50の中心部分に配置されてよく、チャンバー50のおおよそ3分の1以下を占め得る。中心構造体についての前述の大きさおよび位置のパラメータは、ある場合には、容積測定、表面積測定、および/または長さ測定に適用され得る。ある場合には、前述のパラメータは、連結部分の最も大きいかもしくは最も小さい部分において、または、それらの間の任意の部分で取られ得る。例えば、先細りとされた中心構造体は、先細りとされた中心構造体の最も狭い部分において、チャンバーの側方部分からの間隔など、先に記載したパラメータについて評価され得る。
【0041】
補強部材40は、チャンバー50の上部分51に接合されている下方面42を備えている上方部分44と、下方面42からチャンバー50の上部分51における凹部59へと延在する支持構造体43とを有し得る。支持構造体43は、足底構造体30内で、鉛直方向の支持を行うことができる。支持構造体43は、任意の適切な形を有し得る。例えば、ある構成では、支持構造体43は、
図4に示すように(
図1も参照)、略円錐台の形を有し得る。ある実施形態では、支持構造体43は、支柱状の構成または円柱状の構成を有し得る。支持構造体43の支柱状の構成または円柱状の構成は、任意の適切な形を有し得ることは、留意されたい。ある構成では、このような支持構造体は、略円筒形であり得る。すなわち、このような支持構造体は、略円形の水平断面形状と、支持構造体の上方部分から支持構造体の下方部分へと実質的に一貫性のある断面積とを有し得る。他の構成では、このような支持構造体は、長円形、多角形、および不規則な形を含む、他の円形ではない水平断面形状を有し得る。また、このような支持構造体の断面積は、支持構造体の上方部分から支持構造体の下方部分へと変化してもよい。
【0042】
チャンバー50の上部分51への補強部材40の接合は、チャンバー50の膨出を防ぐことができ、また、足を受け入れるための適切な表面を提供するために、袋の湾曲を矯正することもできる。例えば、補強部材40の上方部分44の下方面42は、チャンバー50の上部分51の凸面の湾曲を受け入れるために凹面であってもよい。一方、補強部材40の上面41は、足のための基盤として機能するために、比較的平坦であり得る。しかしながら、適合性、快適性、および安定性を向上するために、補強部材40の上面41の1つまたは複数の部分は、対応する足の一部に従うあらかじめ形成された解剖学的な形を有してもよい。したがって、上面41の踵部分などのある部分は、着用者の踵の輪郭に対応する凹形状を有し得る。土踏まず部分など、補強部材40の上方面41の他の部分が、凸形状を有してもよい。
【0043】
補強部材40は、任意の適切な材料から形成され得る。ある実施形態では、補強部材40は板から形成され得る。このような板は、実質的に非圧縮性であり得る。また、ある実施形態では、このような板は、剛体または半剛体の構成を有し得る。適切な板が、ポリウレタンおよび/もしくはビニルなどの剛体もしくは半剛体のプラスチック、炭素繊維もしくは他の複合材料、または、任意の他の適切な材料を含む、任意の適切な材料から形成され得る。このようなあらかじめ形成された板の剛性は、先に説明したように、チャンバー50の膨出を防止できる。また、このような板は、足底構造体30への強度および支持と共に、横および捩じれの安定性を提供できる。
【0044】
ある実施形態では、補強部材40は、少なくとも一部において、発泡材料から形成され得る。このような発泡補強部材は、例えば、ポリマー、ポリマー発泡体、および他の適切な材料を含む、多様な材料から製造され得る。適切なポリマーには、ポリエステル、ポリウレタン、エチルビニルアセテート(EVA)、熱硬化性ウレタン、熱可塑性ウレタン、様々なナイロン調合、ゴム、ポリエーテルブロックアミド、ポリブチレンテレフタレート、または、これらの材料の混合がある。例えば、ある構成では、補強部材40は、ポリウレタン発泡体またはエチルビニルアセテート(EVA)発泡体から形成され得る。補強部材40が形成され得る追加の材料には、前述の様々なポリマー材料に組み込まれるガラス繊維および/または炭素繊維を含み得る複合材料がある。
【0045】
さらに、ある実施形態では、剛体または半剛体の板が、補強部材40を形成するために、発泡材料と組み合わされ得る。例えば、ある実施形態では、補強部材40の上方部分44が、剛体または半剛体の板から形成され、支持構造体43が、圧縮性発泡体など、圧縮性材料から形成され得る。
【0046】
ある実施形態では、補強部材40は、適切な材料の選択的レーザー焼結(SLS)小粒子によって形成され得る。したがって、様々な異なる材料が、足底構造体30の所望の特性に依存して、補強部材40の製造において利用され得る。
【0047】
図4に描写されているアウトソール60は、履物10の地面接触部分を形成している。アウトソール60は、上方面61と、反対の下方面62とを有している。上方面61は、接着剤、溶接、縫い付け、および/または任意の他の適切な手段など、任意の適切な構成によって、チャンバー50の下部分52に固定的に取り付けられ得る。様々な材料がアウトソール60について利用され得るが、耐久性および耐摩耗性を付与するために、ゴム材料が利用され得る。また、下方面62は、履物10と地面との間にトラクション(すなわち、摩擦)特性を与えるために、粗くされてもよい。
【0048】
図4でさらに示しているように、ある構成では、接合領域54は、チャンバー50の下部分52に窪み151を形成してもよい。チャンバー50の上部分51にある凹部59が、補強部材40の下向きに延在する部分である支持構造体43を受け入れ得る一方で、チャンバー50の下部分52にある窪み151は、発泡材料の向かい合う部品を受け入れ得るか、または、
図4に示すように、アウトソール60は、窪んだチャンバーの材料に直接的に単に接着され得る。ある構成では、これは、アウトソール60の下方面62も窪まされることになり得る。他の構成では、アウトソール60に比較的平坦な下方面62を提供するために、アウトソール60は、窪み151と対応する領域においてより厚くされ得る。
【0049】
図2および
図3は、支持構造体43がチャンバー50の外部に配置されている実施形態を示しているが、ある実施形態では、支持構造体43はチャンバー50の内部に配置されてもよいことは留意されたい。例えば、ある実施形態では、支持構造体43の上方部分がチャンバー50の上部分51に連結でき、支持構造体43の下方部分がチャンバー50の下部分52に連結できる。後に記載されている同様の実施形態も、支持構造体がチャンバー50の内部にある状態で、同様に構成され得る。
【0050】
チャンバー50および補強部材40は、足底構造体30の中敷きの一部または実質的に全部にわたって延在し得る。例えば、
図5Aは、全長にわたる足底構造体30を示している。ある構成では、チャンバー50は、履物10の全長で延在する単一の空洞を備え得る。他の構成では、チャンバー50は、複数の空洞または副チャンバーを備え得る。例えば、
図5Aに示しているように、チャンバー50は、踵副チャンバー55と、第1の前足副チャンバー56と、第2の前足副チャンバー57とを備え得る。ある構成では、副チャンバー55、56、および57は互いと流体連通していてもよい。他の構成では、副チャンバー55、56、および57は、
図5Aに示しているように、3つの独立した空洞を形成してもよい。この構成は、副チャンバー55、56、および57を、異なる圧力に膨張させることができる。したがって、チャンバー50の一部が、所望の性能特性を提供するために、圧力の異なる区域を形成するように分離され得る。
【0051】
図5Aに示しているように、各々の副チャンバーは、別々の中心構造体を備え得る。例えば、足底構造体30は、第1の中心構造体74と、第2の中心構造体75と、第3の中心構造体76とを備え得る。中心構造体74、75、および76の各々は、この開示で説明されている構成のいずれかを有し得る。中心構造体74、75、および76のうちの1つまたは複数は、前述のように、実質的に中心とされる位置を有し得る。
【0052】
図5Aに同じく示しているように、チャンバー50は、踵領域13と前足領域11との間で先細りとされた構成を呈し得る。すなわち、踵領域13におけるチャンバー50の一部は、前足領域11におけるチャンバー50の一部より大きな全厚を呈している。先細りは、踵領域13における上部分51の一部が前足領域11における上部分51の一部より上の高さに概してある構成を、チャンバー50に提供している。チャンバー50の先細りと、その結果生じる高さの違いとは、足の一般的な解剖学的構造を補完する全体の輪郭を、チャンバー50に付与している。すなわち、これらの輪郭により、足の踵は前足に対して確実に若干持ち上げられることになる。図には描写されていないが、チャンバー50の一部の構成は、踵を受け入れるために踵領域13に凹みを備えてもよく、また、チャンバー50は、足の土踏まずを支持する突出を中足領域12に有してもよい。
【0053】
図5Bは、
図5Aで示している全長にわたる足底構造体30の下からの斜視図を示している。
図5Bに示しているように、足底構造体30に別々の副チャンバーを提供することは、足の母指球と対応している領域において足底構造体30の解剖学的な曲げを容易にし得る溝77を、形成できる。
【0054】
様々な技術が、足底構造体30を製造するために利用され得る。例として、チャンバー50は、熱成形工程の間に成型および接合される一対のポリマーシートから形成され得る。より具体的には、熱成形工程は、(a)上部分51を形成するために、ポリマーシートのうちの一方に形を付与し、(b)下部分52を形成するために、ポリマーシートのうちの他方に形を付与し、(c)シートのうちの一方または両方から側方部分53を形成し、(d)上部分51の内側部分とチャンバー50の下部分52とを結合するために接合領域54を形成する。チャンバー50が形成されると、補強部材40およびアウトソール60の各々が、例えば、接着剤接合または熱接合を通じて、チャンバー50の両側に固定される。チャンバー50は、パリソンまたは溶解もしくは未硬化のポリマー材料がチャンバー50の形を有する鋳型部品同士の間で延在する吹込み成形から、形成されてもよい。そして、ポリマー材料は、チャンバー50の形を付与するために、鋳型へと引き抜かれる。冷却または硬化すると、チャンバー50が鋳型から取り出され、補強部材40およびアウトソール60の各々がチャンバー50の両側に固定される。足底構造体30は、2012年8月14日に公布された、「Method For Inflating A Fluid-Filled Chamber」という名称の、Hensleyらの米国特許第8,241,450号、および、前述の熱成形および吹込み成形を説明している、公布された、「Article Of Footwear Having A Sole Structure With A Fluid-Filled Chamber」という名称の、米国特許(現在は、2009年6月18日に発行された米国特許出願公開第2009/0151196号)に開示されている方法によることを含む、任意の適切な方法で形成され得る。
【0055】
また、ある場合では、チャンバー50の成型は、公布された、「Article Of Footwear Having A Sole Structure With A Fluid-Filled Chamber」という名称の、米国特許(現在は、2009年6月18日に発行された米国特許出願公開第2009/0151196号)に説明されているように、アウトソール60および補強部材40にチャンバー50を結合するのと同時に実施されてもよい。
図6Aは、
図5Aおよび
図5Bに示している足底構造体30を組み立てるための鋳型200を示している。
図6Aに示しているように、鋳型200は上半体201と下半体202とを備え得る。上半体201は第1の凹部203を備え得、下半体202は第2の凹部204を備え得る。
図6Bは、一体的に配置されている鋳型200の上半体201と下半体202とを示している。
【0056】
図6Cは、鋳型200に挿入されている足底構造体300の構成要素を示している。
図6Cに示しているように、鋳型200の下半体202は、足底構造体300における溝77を形成するための隆条部205を備え得る(
図6Aも参照。)。
図6Cに示しているように、アウトソール60(または、ここでの場合、アウトソール60の部品)は、あらかじめ成型された形態で、鋳型200の下半体202へと挿入され得る。同様に、補強部材40は、同じくあらかじめ成型された形態(例えば、発泡支持構造体43を含んでいる)で、鋳型200の上半体201へと挿入され得る。
【0057】
そして、あらかじめ装着された鋳型の半体同士が、袋材料のブランク材155において閉じられ得る。
図6Cに示しているように、袋材料のブランク材155は、袋材料の2つのシートを備え得る。熱および圧力を加えることで、袋材料のブランク材155は、
図6Dに示しているように、チャンバー50などのチャンバーへと形成され得る。また、熱および圧力を加えることで(ある場合には、鋳型が閉じられている間のチャンバー50の膨張を介して)、補強部材40、チャンバー50、およびアウトソール60が結合されてもよく、また、チャンバー50が成形されてもよい。すなわち、チャンバー50は、補強部材40およびアウトソール60と一致する形態を有するように成形される。この工程を用いて形成された、例示の完成した足底構造体組立体が、
図6Dに示されている。ある場合には、接着剤または熱溶解が、この成型工程の間に様々な構成要素を一体的に接着するために、用いられ得る。
【0058】
この方法は、本明細書で開示されている足底構造体構成のいずれにも利用され得る。例えば、ある場合には、中心構造体70は、
図6Cに示しているように、補強部材40の一部を形成し得る発泡支持構造体43を備え得る。ある場合には、中心構造体は、他の構成に関連して後で説明するように、チャンバーの上部分とチャンバーの下部分との間に配置される張力部材であり得る。
【0059】
性能に関連して、足底構造体30の異なる構成要素は、足底構造体30の1つまたは複数の領域に、支持、安定性、地面反力の減衰(クッション性)、または足の動作の制限など、性能特性を付与する。中心に配置された支持構造体を有する構成では、発泡支柱構造などは、履物に発泡クッション要素と流体充填チャンバーとの両方の便益を提供する。したがって、このような履物の性能は、補強部材の形および/または大きさと共に、チャンバーの大きさおよび厚さ、ならびに/または、チャンバーを膨張させるガスの圧力および種類を変更することによって調整され得る。補強部材40、チャンバー50、およびアウトソール60の形および寸法だけでなく材料も、足底構造体30が、例えば、地面反力を減衰し、安定性を提供し、足の動作を制限する度合いに影響を与える。そのため、補強部材40、チャンバー50、およびアウトソール60の形、寸法、および/または材料を変えることで、履物10の性能特性が変更され得る。すなわち、履物10は、補強部材40、チャンバー50、およびアウトソール60のうちの1つまたは複数の形、寸法、または材料を変更することで、異なる運動活動に対して製造され得る。
【0060】
第1の足底構造体の変形
図7に示しているように、ある構成では、補強部材40の支持構造体43は、複数の空洞45を備え得る。例えば、
図7に示しているように、空洞45により、支持構造体43にハニカム構造が形成され得る。支持構造体43のこのような空洞は、補強部材40を軽量にするように機能でき、および/または、足底構造体30の性能を調整するために、支持構造体43をより柔軟にさせることができる。空洞45は、任意の適切な大きさおよび/または形を有し得る。
図7に示しているように、空洞45は、六角形の孔または穴であり得る。さらに、支持構造体43は、ある構成において中空であり得る。このような構成では、空洞45は、支持構造体43の外皮に穴を形成し得る。他の構成では、支持構造体43は中空でなくてもよく、したがって、空洞45が、支持構造体43における単なる穴または凹部であってよい。
図7で示しているように、中心構造体70は、下方支持構造体79を備え得る。下方支持構造体79は、チャンバー50の厚くされた部分と、発泡円柱材料、または、下部分52を支持構造体43へと連結する任意の他の適切な材料の追加の部品を備え得る。ある構成では、下方支持構造体79は、実質的に非圧縮性であり得る。他の構成では、下方支持構造体79は、支持構造体43の圧縮性と協調して機能し得るある程度の圧縮性を有し得る。
【0061】
ある構成では、アウトソール60は、
図7で足底構造体30の後部分において示されているように、チャンバー50の周囲の縁の周りで上向きに包んでもよい。
図7のアウトソール60の前方部分は、中心構造体70を露わにするために、断面で示されている。アウトソール60をチャンバー50の周囲の縁の周りで上向きに包むことで、アウトソール60はさらに、加圧された流体による膨張によるチャンバー50の膨出を抑制するように実施され得る。この構成は、追加の安定性と共に、他の性能上の便益も提供できる。
【0062】
図8および
図9に示しているように、ある構成では、補強部材40の支持構造体43は、階段状の形を有し得る。例えば、
図8に示しているように、支持構造体43は、補強部材40の上方部分44に隣接している上方段47を含む複数の段46を備え得る。このような構成では、支持構造体43は、チャンバー50の上部分51における凹部へと下向きに延在する、次第により狭くなる複数の段を備え得る。ある構成では、中心構造体70は、
図8に示しているように、段46とチャンバー50の下部分52との間に据え付けられる下方支持構造体79を備え得る。
【0063】
図10は、
図8および
図9に示しているものと同様の、別の階段状の支持構造体の構成を示している。
図10に示している構成は、支持構造体43の中心部分に向かって次第により高くなっていく高さを有する複数の円柱47を実施している。
図10に示しているように、個別の円柱47の使用は、各々の円柱が、特別の性能特性を提供するように、大きさが定められ、形が定められ、材料から形成され得るため、支持構造体の調整においてより多くの多用途性を可能にし得る。特に、円柱47は、略円筒の形、および、円筒でない形を含む、任意の適切な形を有し得る。略円筒形の円柱は、略円形の水平断面形状を有し得る。さらに、略円筒形の円柱は、上から下へと、実質的に一貫性のある水平断面積も有し得る。非円筒形の円柱は、円形でない水平断面形状を有し得る。また、非円筒形の円柱は、上から下へと、一貫性のない水平断面積を有し得る。
【0064】
先細りまたは階段状の支持構造体の構成は、荷重下で、累進的なコンプライアンスを提供するために調整され得る。すなわち、このような支持構造体がより圧縮されるにつれて、支持構造体の同じ圧縮量をもたらすためには、より大きな荷重が必要とされる。別の言い方をすれば、支持構造体には、累進的なバネ定数が提供され得る。
【0065】
先細りとされた支持構造体(例えば、
図4〜
図7参照)によれば、より狭い部分は比較的小さい荷重の大きさで圧縮され得る。荷重が増加し、支持構造体の益々多くの(益々幅広い)部分が圧縮されるにつれて、所与の大きさの荷重に対する鉛直の圧縮の大きさが増加し得る。
【0066】
図8〜
図10に示しているような、階段状の支持構造体の構成に関して、最も狭い段は、比較的小さい荷重の大きさにおいて、最初に圧縮され得る。より大きくてより幅広な段が圧縮されるとき、荷重の大きさの増加が、同じ大きさの鉛直の圧縮をもたらすために必要とされることになる。
【0067】
この性質(累進的なバネ定数)は、材料の実質的に均一な組成を有する先細り(または、段付き)の支持構造体の構成で、もたらされ得る。しかしながら、この累進的なバネ定数は、階段状の支持構造体の異なる段に対して異なる材料を用いるなど、支持構造体の異なる部分に対して異なる材料を用いることで、さらに増大され得る。さらに、支持構造体は、支持構造体の、添付の図に示しているような下部、または、上部のいずれかにおいて、より狭い部分で構成され得る。さらに他の構成では、砂時計形または樽形(中間においてより幅広)の支持構造体が、
図11に示している構成に関連して後で説明するように、利用されてもよい。
【0068】
図11および
図12は、別の例示の支持構造体の構成を示している。
図11および
図12に示しているように、補強部材40の支持構造体43は、中心部材48と、中心部材48より実質的に小さく、中心部材48の周りで中心部材48に隣接して配置されている複数の周囲部材49とを有し得る。ある構成では、中心部材48は略円筒形であってよく、一方、他の構成では、中心部材48は、
図12に示しているような長円とされた断面形状を有し得る。ある構成では、複数の略円筒形の周囲部材49は、
図12に示しているように、複数の連結部材141を介して、中心部材48に取り付けられ得る。周囲部材49のうちの1つまたは複数は、円錐台形の下方部分142と逆円錐台形の上方部分143とを有することができ、
図12に示しているように、第1の直径を有する上部分および下部分と、第2のより狭い直径を有するくびれ部分144とを形成している。
【0069】
第2の足底構造体構成
図13は、流体充填チャンバー50を実施している別の足底構造体30を備えている履物品10を示している。
図13に示しているように、履物10は中心構造体80を備え得る。
図14〜
図16に示しているように、中心構造体80は、チャンバー50の上部分51とチャンバー50の下部分52との間で延在する張力部材81を備えている。
【0070】
張力部材81は、膨張されたとき、チャンバー50の上部分51と下部分52との間の距離を制限するのに適した任意の構成を有し得る。例えば、張力部材81は、Peytonらによる、公布された、「Tethered Fluid-Filled Chambers」という名称の、米国特許(現在は、2011年6月9日に発行された米国特許出願公開第2011/0131831号)に開示されている構成のうちのいずれかを有することができ、この特許の全体の開示は、本明細書において、参照により組み込まれている。概して、ある構成では、張力部材81は、
図14〜
図16に示しているように、略鉛直方向に配向するように配置されている複数の繊維スラット82を備え得る。
図14〜
図16に示しているように、張力部材81は、チャンバー50の上部分51に接合されている上繊維パネル83と、チャンバー50の下部分52に接合されている下繊維パネル84とを備えており、繊維スラット82は、上繊維パネル83と下繊維パネル84とに取り付けられ、上繊維パネル83と下繊維パネル84との間で延在している。
【0071】
図17〜
図19は、
図14〜
図16に示している構成と同様の、別のチャンバー構成を示している。張力部材81(特に上繊維パネル83)は、接触領域152において、チャンバー50の上部分51と接している。ある構成では、
図17〜
図19に示しているように、チャンバー50の上部分51は、接触領域152を包囲している溝153を備え得る。溝153は、チャンバー50の上部分51の中心パネル部材154を画定しており、チャンバー50の上部分51の包囲パネルから中心パネル部材154を分離している。
【0072】
図19に示しているように、着用者の踵120の荷重下で、中心パネル154は、中心パネル部材154に最初に荷重が掛かっている間、チャンバー50の上部分51の包囲パネルから独立して下向きに反るように構成されている。
図19で示しているように、踵120が下向きの方向(矢印101によって示されている)に荷重を発揮するとき、中心パネル154は下向きに反る。これは、前述したものと同様に、累進的な圧縮特性を提供できる。加えて、これは、踵を抱え込むように構成された凹部も提供できる。このような抱え込む凹部は、快適性と横安定性とを提供できる。
【0073】
第3の足底構造体構成
前述の中心構造体のうちの2つ以上を利用する足底構造体が、提供され得る。例えば、2種類以上の支持構造体が、重ねられた構成で利用されてもよい。同様に、2つ以上の張力部材が、比較的厚いチャンバーの高さにわたるために望まれる長さを達成するために、重ねられてもよい。さらに、支持構造体は、重ねられた構成で、張力部材と組み合わされてもよい。このような構成は、単一の足底構造体で、支持構造体と張力部材との両方の便益を提供できる。例えば、支持構造体は、圧縮における鉛直の支持を提供できる。このような支持は、支持構造体が圧縮性である実施形態において、クッション性を含み得る。また、張力部材は、足底構造体に実質的な大きさの重量を加えることなく、チャンバーの上方部分と下方部分との間に張力を提供できる。ある構成では、比較的厚い(例えば、高い)加圧されたチャンバーには、前述したものなどの複数の連結構造を重ねることで、最小の連結構造が設けられ得る。
【0074】
図20は、2つの重ねられた繊維張力部材に重ねられた段付き発泡支柱を用いる足底構造体30の比較的厚い構成を示している。
図20に示しているように、足底構造体30は、接触領域152において、チャンバー50の上部分51に取り付けられている中心構造体90を備え得る。接触領域152を含む上部分51の領域は、チャンバー50の上部分51の他の部分よりさらに下向きに延在しており、したがって、チャンバー50の上部分51において凹部159を形成している(同様の構成についての
図2および
図3も参照。)。補強部材40は、チャンバー50の上部分51に接合されている下方面を有している上方部分44と、下方面からチャンバー50の上部分51における凹部159へと下向きに延在する支持構造体43とを備え得る。支持構造体43は、チャンバー50の上部分51における凹部159を実質的に充填している。ある構成では、支持構造体43は、前述のように、階段状または先細りの構成を有し得る。例えば、
図20は、支持構造体43の階段状(段付き)の構成を示している。
【0075】
図20でさらに示しているように、中心構造体90は、張力部材81も備え得る。張力部材81は、2つの層の重ねられた構成を有し得る。例えば、
図20に示しているように、張力部材81は、上繊維パネル83と、下繊維パネル84と、上繊維パネル83と下繊維パネル84との間のおおよそ中ほどに配置される中間繊維パネル87とを備え得る。張力部材81は、実質的に鉛直な配向で配置されている複数の繊維スラットを備え得る。例えば、張力部材81は、上繊維パネル83と中間繊維パネル87との間で延在する繊維スラットの上セット85と、中間繊維パネル87と下繊維パネル84との間で延在する繊維スラットの下セット86とを備え得る。
【0076】
前述のように、ある構成では、チャンバー50の少なくとも一部分が、履物10の露出された部分を構成し得る。例えば、ある構成では、チャンバー50の少なくとも内側側方部分および外側側方部分が露出され、したがって中心構造体90を視認可能にし得る。このような重ねられた中心構造体の構成は、実質的に丈の高いチャンバーの実施形態を形成するために用いられ得る。例えば、ある構成では、チャンバー50は、3/4インチから2インチまでの高さを有し得るか、または、より高くてもよい。チャンバーの内部に最小限の中心構造体を備えるこのような高い透明なチャンバーは、ある場合には履物10の足底構造体30を通じて、内部を見るための比較的大きい窓を形成するために用いられ得る。
【0077】
このような比較的厚いチャンバーは、任意の適切な種類の履物で利用され得る。ある構成では、比較的厚いチャンバー(例えば、厚さが1インチを超える)が、相当の癒しを有する履物で使用されてもよい。他の実施には、相当の衝撃吸収性が望ましいとされる、大きな衝撃の活動のための履物があり得る。例えば、このような履物には、特には、エアリアルトリックまたはジャンプに参加し、大きな衝撃の着地を引き起こす競技者によって使用されるものといった、スキーブーツおよびスノーボードブーツがあり得る。比較的厚いチャンバーは、大きな衝撃の力を吸収するために、チャンバーの上部分および下部分が互いに向かって圧縮され得る比較的長い移動量を提供できる。
【0078】
本発明が、様々な実施形態を参照して、上記および添付の図面において開示されている。しかしながら、開示によって果たされる目的は、本発明に関連する様々な特徴および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を限定することではない。当業者は、多くの変形および改良が、添付の特許請求の範囲によって定められるような本発明の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に行われ得ることを、認めるものである。