【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の鋼製膨張式パッカーを用いた中空自穿孔ロックボルト補強工法による仕上がりの模式図である。
図2は本発明の鋼製膨張式パッカーを用いた中空自穿孔ロックボルト補強工法の施工工程を示す図、
図3は
図2のA−A線断面図である。なお、
図2(c)〜(e)は内部構造が分かるように透視図としている。
【0017】
図1において、1はロックボルト、2は地山、Aは緩んだ地山、Bは安定した地山、Cはトンネル覆工、Dはモルタルによる定着効果部位、Eはウレタンによる地山改良(物性値向上)効果部位である。
【0018】
図2において、1はロックボルト、2は地山、3は鋼製膨張式パッカー(膨張前)、4は注水パイプ、5はウレタン噴出口, 6はモルタル噴出口、7は布製膨張式パッカー(膨張前)、8はモルタル注入用パイプ、9は鋼製膨張式パッカー(膨張後)、10は布製膨張式パッカー(膨張後)、Dはモルタルによる定着効果部位、Eはウレタンによる地山改良(物性値向上)効果部位である。
【0019】
(1) ロックボルト外部の鋼製膨張式パッカーは、ロックボルト外側の注入材料の境界部としたい部分に膨張式鋼管を扁平に加工したものを巻きつけ、注水ポンプによる注水で膨張させることにより、強固なパッカーが形成される。これにより、ボルト外部に「仕切り」を構築できる。
【0020】
(2) ロックボルト内部の布製膨張式パッカー(モルタル注入用パイプ付き) は、ロックボルト内部に、パイプを取り付けた膨張式布製のパッカー(袋)を挿入し、注入材料により膨張させることで、パッカーが形成される。これにより、ボルト内部に「仕切り」を構築できる。
【0021】
本発明の鋼製膨張式パッカーを用いた中空自穿孔ロックボルト補強工法の施工工程について説明する。
(1)ロックボルト1を削岩機にセットし、地山2に打ち込む〔
図2(a)〕。
(2)鋼製膨張式パッカー3を注水パイプ4で送られる水の水圧で拡張させる。9は鋼製膨張式パッカー(膨張後)であり、ロックボルト1外部(自穿孔によりできたボアホール内部)の「仕切り」として働く。(外部仕切りの完成)〔
図2(b)〕。
(3)モルタル注入用パイプ8付きの布製膨張式パッカー7をロックボルト1の中空に挿入する〔
図2(c)〕。
(4)布製膨張式パッカー7をモルタル注入用パイプ8で圧送されるモルタルで膨張させる。10は布製膨張式パッカー(膨張後)であり、ロックボルト1内部の「仕切り」として働く((内部仕切りの完成)〔
図2(d)〕。
(5)そのままモルタルを注入し続けると、モルタル噴出口6からモルタルが噴出し、ボアホールにモルタルが充填される。鋼製膨張式パッカー9により仕切られているので、モルタルは鋼製膨張式パッカー9により先端側にのみ充填される。なお、充填完了後、モルタル注入用パイプ8を覆工の口元で切断する〔
図2(e)〕。
(6)モルタル硬化後(材齢1日)に、引抜試験を行うとともに、プレストレスを導入する。
(7)最後に、ロックボルト1の中空を利用して、ウレタンを所定量注入する。布製膨張式パッカー10により仕切られているので、ウレタンは、布製膨張式パッカー10より手前側でウレタン噴出口5から噴出されて地山を改良する〔
図2(f)〕。
【0022】
図4は本発明の他の実施例(リーク確認用パイプを具備する場合)を示す模式図である。
図2と同じ構成には同じ符号を付している。
【0023】
モルタル注入用とリーク確認用の2本のパイプを取り付けた布製膨張式パッカーを中空のロックボルト内部に挿入し施工するため、ボアホール内にモルタルが充填されていることをリークによって目視確認することが可能である。
【0024】
図5は本発明の他の実施例(布製膨張式パッカーを用いない場合)を示す模式図である。
図2と同じ構成には同じ符号を付している。
【0025】
上記における布製膨張式パッカーを用いない場合もモルタルが先端定着部以外に漏出しないような構造とする。すなわち、
図2(a)、
図2(b)と同様の工程を行った後、
(1)ロックボルト1内部にモルタル注入用パイプを挿入し、モルタルの充填を行う。
【0026】
(2)モルタル硬化後、モルタル注入用パイプの撤去を行う。
【0027】
(3)ウレタンの注入を行う。
【0028】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。