【実施例1】
【0020】
図1〜
図5は本発明の実施例1を示す。同図に示すように、アタッチメント1は、配電ダクト2に着脱自在に取り付けられ、この配電ダクト2内に係止される装着部3と、前記配電ダクト2の外側に位置する露出部4とを一体に備える。尚、配電ダクト2は、
図4に示す断面部が長さ方向に連続する。
【0021】
前記配電ダクト2は、
図4に示すように、上部に配置される横壁11と、この横壁11の両端から下方に垂設された左右対をなす縦壁12,12とを一体に備え、対をなす縦壁12,12の下端の間に開口部13を有しており、配電ダクト2の内部の左右両側には、導体14が配設されている。また、配電ダクト2は、前記横壁11の上面が車両の室内の天井などに取付けられる。
【0022】
前記縦壁12,12の上部には、導光体取付部たる取付溝15,15が形成され、これら取付溝15,15に線状の導光体15A,15Aが圧入状態で固定されている。また、対をなす縦壁12,12の内面部で高さ方向中央には、導光体取付部たる取付溝16,16が形成され、これら取付溝16,16に線状の導光体16A,16Aが圧入状態で固定されている。尚、前記導光体15A,16Aは、線状の発光体である。
【0023】
それら導光体15A,16Aは配電ダクト2の略全長に設けられている。また、前記導光体15Aは、前記横壁11と縦壁12の角部近傍に配置され、前記横壁11の上面が車両の室内の被取付面である天井に取り付けた場合、その被取付面を照らすものであり、一方、配電ダクト2の内部の導光体16Aは、配電ダクト2内を照らすものである。
【0024】
また、前記取付溝16,16の下部位置から内方に向かって略水平に係止受け部17,17が突設され、これら係止受け部17,17に装着部3の後述する係止部が係止する。
【0025】
前記装着部3は、平面視長方形状の装着部ケース21(
図3)を備え、合成樹脂などからなる。前記装着部ケース21は、前記縦壁12,12に対向する側面部22,22に、前記導体14,14に電気的に接続可能な導電部23,23を有する。また、前記導電部23は装着部ケース21に出没可能に設けられている。
【0026】
前記装着部ケース21の下部には、前記露出部4の露出部ケース31が一体に設けられ、この露出部ケース31は合成樹脂などからなる。前記露出部ケース31は、前記開口部13に比べて左右幅が大きく、左,右の側面部32,32と前,後の側面部33,33とを有し、下面部34は、中央側が下方に突出するように凸状の湾曲面に形成され、上面部35を有する。
【0027】
前記露出部ケース31の下面部34に、所定の装置が選択的に取付けられる。この例の装置はスポットライト41である。このスポットライト41を取り付ける装置取付部(図示せず)が前記下面部34の中央に突設されている。前記スポットライト41は、前記装置取付部に取付ける取付基部42を有し、この取付基部42を前記装置取付部に外嵌し、前記取付基部42に設けた止め具たる螺子43を、前記装置取付部に圧接又は螺合することにより、前記下面部34にスポットライト41が取り付けられる。
【0028】
前記スポットライト41は、前記取付基部42にハンドル42Aを一体に備え、装着部3に対して水平回動に設けられている。この場合、例えば、前記装置取付部を下面部34に回動可能に設ければよい。また、取付基部42には、筒状のライト本体44が角度調整可能に取り付けられている。
【0029】
前記ライト本体44は、LEDなどの光源(図示せず)を内蔵し、先端側にレンズ45を備え、前記導電部23と前記光源が電気的に接続されている。
【0030】
したがって、導体14と該導体14に接続した導電部23から供給された電気により、スポットライト41が発光する。また、導光体15A,16Aを図示しない光源により発光させることにより、配電ダクト2の内外でその全長に渡って導光体15A,16Aが線状に発光し、従来の配電ダクトにないイルミネーション効果が得られる。また、配電ダクト2を車内に天井に取り付けた場合は、導光体15Aが天井を照らす間接照明になる。尚、前記導体14には、自動車の車載電源などが接続される。
【0031】
次に、前記アタッチメント1の前記配電ダクト2への着脱構造について詳述する。前記露出部ケース31の一方の側面部32側には、第1操作部たるレバー51が設けられると共に、左右往復動する第2操作部たるスライド体52が設けられ、これらレバー51とスライド体52を配置する凹部53が、露出部ケース31の一方の側面部32側に設けられている。また、装着部3には前記スライド体52を外側に付勢する付勢手段(図示せず)が設けられている。尚、前記付勢手段はスライド体52を下方にも付勢し、バネなどが例示される。
【0032】
図5に示すように、前記レバー51はその基端側を枢着部54により前記装着部ケース21に回動自在に枢着しており、レバー51は前記凹部53の前後幅より僅かに狭い板状部材からなる。尚、凹部53の前後幅とは、凹部53の前,後側面部53A,53Aの間隔である。
【0033】
また、前記スライド体52は、先端側に設けられた左右方向一方の縦面部55と、この縦面部55の上部に設けた上面部56と、前記下面部34に連続する下面部57とを有する。そして、前記縦面部55と下面部57とにより、スライド体52の操作部を構成している。尚、レバー51の先端の操作先端部51Sの両側角部には、面取り部51M,51Mが設けられている。
【0034】
前記スライド体52は、前記開口部13と略平行に左右方向にスライドし、このスライドにより該スライド体52の基部52Kが前記凹部53から露出部ケース31内に出没可能なように設けられ、初期位置で、前記縦面部55は前記側面部32と略面部一となると共に、スライド体52の下面部57と露出部ケース31の下面部34が略面部一になる。尚、スライド体52は付勢手段により外側及び下側に付勢されているが、露出部ケース31に設けた位置決め部(図示せず)により、初期位置で、前記縦面部55は前記側面部32と略面部一となると共に、スライド体52の下面部57と露出部ケース31の下面部34が連続するように構成されている。
【0035】
さらに、初期位置のスライド体52が左右方向からの押圧のみでは動かないように規制する規制案内部が、前記露出部ケース31に設けられている。また、前記規制案内部は、初期位置のスライド体52が上方への押圧と左右方向への押圧とを受けたときに基部52Kが露出部ケース31内に没するように規制している。尚、前記位置決め部及び前記規制案内部は、電気などの動力が不要な機械的な構造が採用される。
【0036】
この例では、
図5(B)に示すように、前記位置決め部を兼用する規制案内部61として、前記前,後側面部53A,53Aに、左右方向で前記開口部13と平行な案内溝62,62を設け、この軸案内部たる案内溝62,62に沿って移動する前後方向の案内軸部63を、前記スライド体52の両側に設けており、また、前記スライド体52は前記案内軸部63を中心として装着部ケース21に揺動可能に設けられている。したがって、
図5(A)の状態で、スライド体52を開口部13と平行に押し込もうとしても、規制部たる下面部34等が邪魔をしてスライド体52を押し込むことができず、
図5(B)に示すように、スライド体52の下面部57を押すと、スライド体52が案内軸部63を中心に傾動し、下面部34から離れるため、スライド体52を内部に押し込むことができる。
【0037】
前記レバー51の枢着部54は凹部53の内部側に設けられ、即ち、初期位置の縦面部55より露出部ケース31の内部側に設けられており、
図5(A)の実線に示すように、開口部13と平行な位置がレバー51のスライド規制位置である。
【0038】
図5(B)に示すように、前記スライド規制位置から先端側が下がるようにレバー51を回動し、レバー51がスライド体52に当接又は近接した位置がスライド可能位置であり、このスライド可能位置では、レバー51の下側への回動がスライド体52により規制され、レバー51は下側への回動できず、上側のみに回動することができる。尚、スライド可能位置のレバー51は、開口部13に対して、45度以下、特に10〜40度程度とすることが操作性の面から好ましい。尚、
図5(A)の実線に示すレバー51は、開口部13と平行であり、開口部13に対する角度が0度である。
【0039】
前記スライド規制位置からレバー51を下方に回動するには、
図5(B)に示すように、スライド体52の下面部57を上向きに押すと、基部52Kが上側になるようにスライド体52が傾動し、これにより前記下面部34等による規制が解除され、スライド体52を露出部ケース31内に押し込むことができる。尚、前記付勢手段はスライド体52を下方にも付勢しているため、傾動した後、押し込むと、スライド体52は上面部56が開口部13と略平行な姿勢に戻る。実際の操作では、スライド体52を操作して規制案内部61による規制を解除し、即ちスライド体52を押し込むことができるようになったら、レバー51を下側に回すことにより、レバー51に押されてスライド体52が押し込まれる。この押し込まれた状態で、
図3及び
図5(C)に示すように、スライド体52の縦面部55が、下面部34の凹部53側の縁の略真下の配置となる。このようにスライド規制位置では、スライド体52の下面部57を押さないと、レバー51を係止解除位置側に回すことができないため、レバー51の誤動作を防止できる。
【0040】
したがって、
図5(B)の状態から、片手で、例えば、人差し指等によりスライド体52を操作し、親指によりレバー51を引き下げるように操作することにより、片手で取外し操作を簡便に行うことができる。
【0041】
また、前記枢着部54は、前記スライド規制位置、前記スライド可能位置、係止解除位置で前記レバー51にクリック感を与えるものであり、レバー51は、前記スライド規制位置、前記スライド可能位置、前記係止解除位置から回動する際に、各位置の間を回動する際よりも大きな力が必要となるように構成されている。この場合、各位置において、相互に係合するクリック突起とクリック凹部の一方をレバー51側に設け、他方を露出部ケース31に設けることができる。そして、レバー51を各位置に回動することにより、それぞれのモードに設定される。
【0042】
図3に示すように、前記装着部ケース21の前記側面部22,22には、前記配電ダクト2の係止受け部17,17に係止する係止部24,24が設けられている。この係止部24は連動機構(図示せず)により前記レバー51の回動に連動する。尚、連動機構には機械的な機構を採用することができる。
【0043】
具体的には、前記係止部24は出没及び上下に移動可能であり、前記スライド規制位置では、係止部24が係止受け部17の上面部に圧接することにより、アタッチメント1のスライドを禁止する。
【0044】
また、スライド可能位置では、係止部24が係止受け部17から離れるように上方に僅かに移動して離れると共に、導電部23が装着部ケース21内に没し、アタッチメント1が配電ダクト2の長さ方向にスライド可能になる。この場合、係止部24は係止受け部17と平面部視において重なり合う部分があるから、アタッチメント1を配電ダクト2から取り外すことはできない。即ちアタッチメント1が外れて落ちることがない。
【0045】
次に、前記係止解除位置では、係止部24が装着部ケース21内に没すると共に、導体14も前記連動機構により装着部ケース21内に没するため、配電ダクト2からアタッチメント1を取り外すことができる。
【0046】
一方、取り外したアタッチメント1を配電ダクト2に取付けるには、
図3の状態のアタッチメント1の装着部3を開口部13から配電ダクト2内に挿入し、開口部13の縁部13Fに露出部ケース31の上面部35を添わせ、レバー51を上側に回すと、前記付勢手段によりスライド体52が外方にスライドし、アタッチメント1がスライド可能位置になると、手を離すことができる。ここでアタッチメント1を所望の位置にスライドした後、レバー51をスライド規制位置まで回すことにより、アタッチメント1が位置固定される。
【0047】
このように本実施例では、請求項1に対応して、横壁11と両側の縦壁12,12とを備え、両側の縦壁12,12間に開口部13を形成すると共に、両側の縦壁12,12の少なくとも1つの内部に導体14が設けられた配電ダクト2に取付けられ、配電ダクト2内に係止される装着部3と、配電ダクト2の外側に位置する露出部4とを備え、露出部4には所定の装置たるスポットライト41が取付け可能なアタッチメント1であって、操作先端部51S側が配電ダクト2の開口部13側から該開口部13より離れる方向へ回動可能な第1操作部たるレバー51と、開口部13と平行に押圧される第2操作部たるスライド体52とを備え、レバー51とスライド体52とはいずれも露出部4の配電ダクト2の両側の縦壁12,12のいずれか一方側に配置され、スライド体52はレバー51の回動範囲の途中で該レバー51の回動を規制し、レバー51は、スライド体52が押圧されることにより、係止解除位置に回動可能となり、レバー51を係止解除位置に回動することにより、前記係止が解除されるように構成したから、片手で操作を可能にしつつ、意に反して落下することを防ぐことができる。
【0048】
このように本実施例では、請求項2に対応して、第1操作部たるレバー51が開口部13から離れる方向へ回動するにしたがって、アタッチメント1のスライドを規制するスライド規制位置、アタッチメント1のスライドを可能とするスライド可能位置、前記係止が解除される係止解除位置が設定されているから、配電ダクト2とともに把持し易いレバー51によるモード切換えが可能になる。
【0049】
このように本実施例では、請求項3に対応して、係止解除位置とする時のみ、第2操作部たるスライド体52の押圧を必要とするから、係止解除時以外は、レバー51のみによる操作が可能である。
【0050】
このように本実施例では、請求項4に対応して、前記スライド可能位置で第2操作部たるスライド体52が第1操作部たるレバー51の回動を規制するから、スライド可能位置から係止解除位置にレバー51を回動する際、スライド体52の操作が必要となり、アタッチメント1が不用意に外れることがない。
【0051】
このように本実施例では、請求項5に対応して、前記係止解除位置で第1操作部たるレバー51が開口部13に略垂直になるから、係止解除位置が分かり易く操作し易くなる。
【0052】
以下、実施例上の効果として、配電ダクト2の内外でその全長に渡って導光体15A,16Aを設けたから、それら導光体15A,16Aが線状に発光し、従来の配電ダクトにないイルミネーション効果が得られる。また、
図1に示すように、スライド規制位置でレバー51の操作先端部51Sは、凹部53の外側に位置しているから、操作し易い。
【0053】
また、初期位置のスライド体52が左右方向からの押圧のみでは動かないように規制する規制案内部を設け、前記規制案内部は、初期位置のスライド体52が上方への押圧と左右方向への押圧とを受けたときに基部52Kが露出部ケース31内に没するように規制しているから、誤作動を防止できる。さらに、スライド体52を操作して前記規制案内部の解除を解除し、即ちスライド体52を押し込むことができるようになったら、レバー51を下側に回すことにより、レバー51に押されてスライド体52が押し込まれるため、片手で容易に操作できる。また、前記スライド規制位置、前記スライド可能位置、前記係止解除位置で前記レバー51にクリック感を得られるから、レバー51を直感的に操作することができる。また、レバー51が係止解除位置で、スライド体52の縦面部55は、下面部34の凹部53側の縁の真下の配置となり、スライド体52が略露出部ケース31内に没する。さらに、装着部ケース21に規制案内部61を設けることにより、スライド規制位置では、スライド体52の下面部57を上側に押さないと、レバー51を係止可能位置側に回すことができないため、レバー51の誤動作を防止でき、これによりアタッチメント1が不用意に配電ダクト2から外れることを防止できる。
【0054】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、所定の装置としては、アナログ時計、扇風機や携帯端末のホルダーなどが例示される。また、スライド規制位置、スライド可能位置、前記係止解除位置における第1操作部の角度は適宜選定可能である。さらに、アタッチメントを配電ダクトに位置固定する位置固定手段は、実施例の係止受け部17と係止部24に限らず、各種の構造を用いることができる。また、実施例では、線状の発光体として、導光体を例示したが、線状の電気照明体、例えば線状LEDなどでもよい。また、実施例では、好適な例として、配電ダクトを自動車などの車両の天井に設ける例を示したが、配電ダクトを、建物の室内の天井や室外の梁の下などに設けてもよい。さらに、規制案内部は各種の構造のものを採用することができる。