特許第6549596号(P6549596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549596
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】昇降機構付きセクショナルドア
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/06 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
   E06B9/06 610F
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-549423(P2016-549423)
(86)(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公表番号】特表2017-507262(P2017-507262A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2015051864
(87)【国際公開番号】WO2015114066
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】2014/0051
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】516227319
【氏名又は名称】ジーエムピー エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェモント,フランク
(72)【発明者】
【氏名】フェモント,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】フェモント,アンソニー
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−310483(JP,A)
【文献】 実開平01−079793(JP,U)
【文献】 特開平04−038391(JP,A)
【文献】 実開昭63−167593(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/158147(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02244304(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02113627(EP,A2)
【文献】 米国特許第06651724(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 − 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−セクショナルドアの積み重ね状態で相互に上下に積み重ねることができ、かつセクショナルドアの収納状態で相互に隣接して積み重ねることができるような形状を有する複数のパネルと、
−底部パネルに取り付けられたケーブルまたはチェーンを備え、前記底部パネルおよび前記底部パネル上に載置されたパネルを高さ方向に移動させるように適合された駆動システムと、
−相互に上下に積み重ねられた前記パネルを案内するための直立レールと、
−収納ゾーンで前記パネルを案内するための手段と、
を備え、
−前記駆動システムは、パネルのスタックから最高位置のパネルを加速することによってそれを取り外し、かつそれに続いて、前記収納ゾーンでパネルを案内するための前記手段に前記パネルを移送するように適合された昇降機構をさらに備える、セクショナルドアであって、
前記収納ゾーンで前記パネルを案内するための前記手段は、前記パネルの側方延出部を螺旋溝内に支持することによって前記収納ゾーンで前記パネルを案内するための螺旋溝を有するウォームホイールを備えることを特徴とするセクショナルドア。
【請求項2】
前記昇降機構は、最上位置に積み重ねられたパネルの側方延出部を掴持するためのグリッパアームを備え、かつ、掴持されたパネルを前記収納ゾーンに移動させるための螺旋溝をさらに備える、請求項1に記載のセクショナルドア。
【請求項3】
−前記グリッパアームは、回転運動を実行するように適合されたシリンダ状壁部を含み、
−かつ前記螺旋溝は前記シリンダ状壁部の外側に配置される、
請求項に記載のセクショナルドア。
【請求項4】
前記シリンダ状壁部は、前記側方延出部を変位可能に支持するように適合されたホイールを備える、請求項3に記載のセクショナルドア。
【請求項5】
前記ウォームホイールは、前記パネルが前記収納ゾーンに収納されるときに、前記パネルの前記側方延出部が前記螺旋溝内に支持されるように設けられる、請求項1に記載のセクショナルドア。
【請求項6】
前記パネルの前記側方延出部は、前記螺旋溝内に嵌るホイールをさらに備える、請求項2に従属する前記請求項のいずれか1項に記載のセクショナルドア。
【請求項7】
前記シリンダ状壁部および前記ウォームホイールは、前記螺旋溝が前記シリンダ状壁部と前記ウォームホイールとの間に連続遷移部を有するように、相互に接続される、請求項に記載のセクショナルドア。
【請求項8】
前記ウォームホイールの前記螺旋溝は、前記シリンダ状壁部の領域で、前記ウォームホイールの残部領域より大きいピッチを有する、請求項6に記載のセクショナルドア。
【請求項9】
下部パネルはその上側に突出部を有し、上部パネルはその底側に相補形状の凹部を有し、その逆も可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセクショナルドア。
【請求項10】
積み重ね状態でセクショナルドアを水密封止するために、前記直立レールに配置される膨張可能なゴムシールをさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセクショナルドア。
【請求項11】
前記パネルは押出しアルミニウムおよび/または繊維強化プラスチックおよび/または機械加工プラスチックのプロファイルを備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセクショナルドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスポート(出入口)の分野に位置付けられ、さらに詳しくはセクショナルドア(パネルシャッタ;sectional doors)またはゲートの分野、特に、パネルが相互に2枚ずつ接続されないセクショナルドアまたはゲートの分野に位置付けられる。
【背景技術】
【0002】
アクセスポートは一般的に公知であり、通常、建物の開口部への出入り、例えば車庫または物置または作業場または倉庫への出入りを可能にするように働く。約100年前には通常、木製ゲートが使用され、それらはゲートを直立壁に対して内側または外側に回転させることができるようにヒンジによってヒンジ式に取り付けられていたが、今日は通常、チルト(アップ)ドアまたはセクショナル(オーバヘッド)ドアが使用される。チルトドアは通常、単一体として垂直面(ドア閉)から天井と平行な水平面(ドア開)まで傾斜するが、傾動中にドアの近くに位置する物体(例えば自動車のような)に衝突するおそれがあるという欠点を有する。この問題は、相互に2枚ずつ旋回可能に接続された比較的小さい高さの複数のパネルを一般的に含む、セクショナルドアによって大幅に軽減される。そのようなドアは、例えばローラシャッタと同様の仕方で、例えばパネルをシャフトまたはリールに巻き取ることによって開けることができる。そのようなドアは、ドア全体と共に巻き取ることのできるドアおよび窓さえも有することができる。
【0003】
他方、相互に接続されていない複数のパネルを有するセクショナルドアも存在する。そのようなセクショナルドアは例えば特許文献1に記載されており、本願の図1および図2に複製されている。図1は積み重ねられた状態(ドア閉)のセクショナルドアを示し、「閉状態」とも呼ばれる。図2は直立レール内の2枚のパネル、および傾斜収納ガイド内の3枚のパネルを示す(ドア半開)。特許文献2はよく似たセクショナルドアを記載している。どちらの場合も、ドアは、底部パネルに取り付けられたスチールケーブルを巻き取りまたは繰り出す手段による底部パネルの上方または下方移動によって開閉される。その結果、底部パネル上に載置されている他のパネルもまた上方または下方に移動する。上方移動中に、頂部パネルは収納レール内に押し込まれ、パネルは相互に隣接し合いかつ相互に押し付け合ってそこに収納される。下方移動中に、パネルは収納レールから外に1枚ずつ下降する。これらのセクショナルドアの不利点は、パネルが相互に側方に摺擦し合うことであり、それは擦り傷を生じることがあり得、時には機構を阻害することさえあるかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1234946
【特許文献2】特開平07−310483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態の目的は、優れたセクショナルドアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本発明は、セクショナルドアの積み重ね状態では相互に上下に積み重ね可能であり、かつセクショナルドアの収納状態では相互に隣接し合って積み重ねることができるような形状を有する複数のパネルと、ケーブル、チェーン、またはベルトが底部パネルに取り付けられ、底部パネルおよび底部パネル上に載置されているパネルを高さ方向に移動させるように適合された駆動システムと、積み重ねられたパネルを案内するための直立レールと、収納ゾーンでパネルを収納するための手段とを備えたセクショナルドアに関し、ここで駆動システムは、昇降機構を加速することによって、かつ続いて収納ゾーンでパネルを案内するための手段に上部パネルを移送することによって、相互に上下に積み重ねられたパネルのスタック(積層体)からその都度上部パネルを取り外す昇降機構をさらに含む。収納ゾーンでパネルを案内するための手段は、螺旋溝内にパネルの側方延出部を支持することによって、収納ゾーンでパネルを案内するための螺旋溝を有するウォームホイールを含む。
【0007】
収納ゾーンにパネルを収納するために螺旋溝を利用することによって、パネル同士が相互に側方に接触する必要なく、パネルは収納ゾーンで移動することができる。その結果、擦り傷およびその他の損傷が回避される。加えて、セクショナルドアはより静かに動作する。ウォームホイールは、パネルが収納ゾーンにあるときにパネルを支持するように、さらに詳しくは、パネルの側方突出部を支持するように、配置することができる。
【0008】
ウォームホイールの螺旋溝のさらなる利点は、パネルが、ウォームギヤの回転により「前方」または「後方」に、すなわち直立レールが位置する直立面に近づくかまたはそこから遠ざかるように、能動的に摺動することである。このようにして、傾斜レールを回避することができるので、収納空間をより小型化することができ、高さ方向の延出が短くなる。このようにして、パネルを収納ゾーンから押し出すためのばね等の使用も回避することができる。
【0009】
本発明の実施形態の利点は、水密(防水)ドアとして特によく適したドアが提供されることである。昇降機構は、摩耗傾向のある部品の摩耗または水の影響による部品の摩耗を回避するのに役立つ。
【0010】
上部積み重ねパネルの加速のさらなる利点は、それぞれのパネルとその下に位置するパネルとの間の解除可能な連結(例えば凹部と凸部)が、連結手段間に多少の摩擦または応力が発生した場合(例えば、溝内に押し込まれたOリングと同様に、凸部が狭い溝内に弾性圧縮された場合)であっても、開放されるときに高い信頼性で相互に分離することができることである。
【0011】
昇降機構のおかげで、パネルは傾斜させる必要がなく、積み重ねられた状態および収納ゾーン内のどちらでも直立(垂直)位置を維持する。これは、パネル間の解除可能な連結手段に対し、例えば余分な隙間および/または丸み付け等のような追加の要件を課さない。
【0012】
したがって、昇降機構は、例えば洪水に耐えることのできる水密セクショナルドアを提供するために緊密に接続された、解除可能な連結手段を有するパネルを取り外すのに非常に適している。
【0013】
昇降機構は、パネルのスタックのうちの最高位置のパネルの側方延出部を掴持するためのグリッパ(掴持)アームを含むことができ、さらに、掴持されたパネルを収納ゾーンに移動するための螺旋溝を含むことができる。毎回、別のパネルがスタックの最高位置になり、かつセクショナルドアの開放動作中に掴持されるので、用語「上部積み重ねパネル(upper stacked panel)」または「スタックの最高位置のパネル(highest panel of the stack)」が使用され、「頂部パネル(top panel)」は使用されないことに留意されたい。
【0014】
グリッパアームは、回転運動を実行するように設けられたシリンダ状壁部を含むことができ、それによって螺旋溝はシリンダ状壁部の外側に配置される。グリッパアームがシリンダ状壁部(「壁部分」ともいう)によって形成することができることは、壁部分および回転運動が両方とも、最小限の部品数で比較的単純に実現することができるので、有利である。
【0015】
そのような昇降機構の利点は、パネルが加速中に純粋垂直並進運動を実行し、それが所望の高さに達した後でだけ、直立プロファイル(形材;profiles)またはレールの面に対し(閉じたドアの面から遠ざかるように)直角方向の純粋水平並進運動を実行することである。
【0016】
パネルが回転運動または傾斜運動を実行する必要が無いことは、それにより、上部積み重ねパネルが下に位置するパネルから解放されないというリスクが最小化される一方、閉状態では(例えばリップ溝継手による)2枚のパネル間の最適な(例えば緊密な)接続が可能であるため、有利である。
【0017】
シリンダ状壁部は、側方延出部を変位可能に支持するように適合されたホイールを含むことができる。ホイール(または類似物)を利用することによって、側方延出部およびグリッパアームの摩擦および摩耗は軽減または回避され、円滑な動作が達成される。ホイールは、突出部をその全幅にわたって支持するように適合することができる。
【0018】
パネルの側方突出部はさらに、螺旋溝内に嵌るホイールを含むことができる。そのようなホイールが、ドアが閉状態時に位置する平面と平行に配向される軸線を中心に回転する、先行技術の特定の実施形態とは対照的に、本発明の実施形態に係るウォームホイールは、ドアが閉状態時に位置する前記平面とは略直角の軸線を中心に動く。
【0019】
このようにして、収納ゾーンにおけるパネルの変位はウォームホイールの回転によって制御され、かつ同時に螺旋溝およびパネル突出部の摩耗は低減され、パネルの収納は、パネルを相互に摩擦し合うことなく、円滑に達成される。
【0020】
シリンダ状壁部およびウォームホイールは、螺旋溝がシリンダ状壁部とウォームホイールとの間の連続遷移部(continuous transition)を形成するように、相互に接続することができる。このようにして、螺旋溝がグリッパアームから収納ゾーンに延びること、および単一回転運動で、スタックから上部積み重ねパネルをピックアップし(捕捉し)、かつパネルを収納ゾーン内に移動(例えば摺動)することが確実になる。
【0021】
好ましくは、ウォームホイールおよびシリンダ状壁部は単一体(一体物)として形成されるが、それは本発明の絶対要件ではない。好ましくは、シリンダ状壁部およびウォームホイールは同一の一定外径を有するが、それもまた絶対要件ではない。
【0022】
ウォームホイールの螺旋溝は、シリンダ状壁部がウォームホイールの残部より大きいピッチを有することができる。好ましくは、螺旋溝のシリンダ状壁部(これはグリッパアームの機能を果たす)におけるピッチは、ウォームホイールの残部のピッチより大きい。なぜならば、そうすることで、グリッパアームによって掴持されたパネルが直立レールの面から遠ざかる方向に急速に移動されるので、収納ゾーンにすでに存在する(静かに摺動または移動する)パネルと、スタックから急速に取り出されるパネルとの間に「安全な距離」が生じるからである。このようにして、加速の結果生じる例えば揺動による損傷または擦り傷のリスクが低減され、あるいは無視できるほど小さくなる。
【0023】
下部パネルはその頂部に突出部を有することができ、かつ上部パネルはその底面に相補形状の凹部を有することができ、またはその逆も可能である。
【0024】
突出部および凹部は例えば細長いリップおよび溝とすることができる。このようにして、リップおよび溝は、パネルが相互に上下に積み重ねられるときに相互に係合することができる。このようにして、(セクショナルドアの積み重ね状態時に)パネルがそれらの側方延出部付近で傾斜し得ることが防止される。換言すると、このようにして、当接するパネル間に、特に下部パネルの頂部と当接する上部パネルの底面との間に、解除可能な接続が行われる。
【0025】
凹部および合致する突出部の適切な形状は、先行技術で公知であり、例えば凹状窪みと凸状隆起、またはリップと溝等がある。本発明の利点は、傾斜することなく、相互に純粋に垂直方向の移動によって、相互に嵌合する形状を選択できることである。これは解除可能な接続手段の間により小さい許容差を使用することを可能にする。
【0026】
適切な材料および形状、例えばゴムのような材料を使用することによって、当接パネル間の水密シールを保証することができる。明らかに、そのようなシールは降雨、降雪等にも耐える。
【0027】
本発明の実施形態に係るリップおよび溝の接続を提供することによって、セクショナルドアはそのどちらの側にも掛かる水圧に耐えることができる。したがって、ドアは建物の外側だけでなく、建物の内側に取り付けることもできる。
【0028】
セクショナルドアはさらに、閉状態時にセクショナルドアを水密に密閉するために、直立レールに位置する膨張可能なゴムシールを含むことができる。膨張可能なゴムシールのおかげで、セクショナルドアはレールに対して水密に密閉することができる。そのようなゴムシールは、例えば電動コンプレッサまたはポンプの助けを借りて膨張する(すなわち空気圧下で拡張する)ことができる。コンプレッサまたはポンプはセクショナルドアの一部であってもよく、一部でなくてもよい。また、任意選択的に、電力供給が遮断されたときでも圧力下でシールを維持するように、所定圧力のエアを保存することができる圧力容器を予見することもできる。代替的に、または追加的に、停電時にコンプレッサまたはポンプを作動させるためにバッテリを設けることもできる。
【0029】
パネルは、下および/または上にあるパネルの表面に押し付けられるゴム条片または何らかの種類の中空もしくは中実弾性形状体を利用することによって、相互に水密に密閉することができる。
【0030】
パネルは、押出しアルミニウムおよび/または繊維強化プラスチックおよび/または機械加工プラスチックのプロファイルを含むことができる。加工プラスチックはステッチプラスチック(stitched plastic)とすることができる。そのようなパネルは、機械的に強く、特に外部圧力、例えば洪水時に水柱によってセクショナルドアの外側に掛かる圧力に耐えるだけの充分な曲げ強度を有する一方、重量が比較的小さいという利点を提供する。このようにして、材料のコストのみならず、設置および保守のコストも制限することができる。
【0031】
好ましくは、希望する場合、断熱および/または防音のために、かつおそらく追加的な機械的強化のためにも、例えばポリウレタンなどの断熱発泡材を完全にまたは部分的に充填することのできる中空プロファイルが使用される。
【0032】
本発明はまた、上述の通りセクショナルドアで使用するための、セクショナルドア用のウォームホイールにも関する。このウォームホイールは、シリンダ状壁部分を有する第1セグメントと、シリンダ状壁を有する第2セグメントと、第1および第2セグメントにわたって延びる連続螺旋溝とを含む。
【0033】
第1セグメントの領域における螺旋溝のピッチは、第2セグメントの領域における螺旋溝のピッチより大きくすることができる。実施例では、第1セグメントの(最大または平均)ピッチは、第2セグメントの(最大または平均)ピッチより少なくとも50%大きい(すなわち少なくとも1.5倍大きい)。別の実施例では、少なくとも2倍大きくすることができる。
【0034】
本発明はまた、各々が螺旋溝付きの上述した2つのウォームホイールと、少なくとも2枚のパネルとを含む部品キットにも関し、ここで各パネルは螺旋溝内に嵌るホイール付きの少なくとも2つの側方突出部を有し、かつウォームホイール全体にわたる螺旋溝のピッチはパネルの厚さ(d)より大きいかそれに等しい。本発明の実施形態では、ウォームホイールは、セクショナルドアを閉じるときにその最後の運動時に、例えば、ウォームホイールによって頂部パネルに押し付けられる追加アームによって、パネルを押し下げることができる。代替的に、頂部パネルはウォームホイール以外の別の手段によって(例えば機械的に)押圧することができる。他の手段は例えば圧縮空気を利用することができる。本発明の実施形態では、底部パネルは常に直立レール間に留まる。
【0035】
本発明の特定の好適な態様が添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と適宜、かつ単に請求項に明示的に記載された通りではなく、組み合わせることができる。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下で説明する実施形態を参照することにより明らかになり、かつ解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】先行技術の公知のセクショナルドアの正面図を示す。
【0038】
図2図1のセクショナルドアに属する昇降機構を示す。
【0039】
図3】本発明に係るセクショナルドアの実施形態の斜視図を示す。
【0040】
図4図3のセクショナルドアの(Cの方向に見た)上面図を示す。
【0041】
図5図3のセクショナルドアの側面図を示す。
【0042】
図6図5の底部パネルの拡大図を示す。
【0043】
図7】開状態の図3のセクショナルドアの収納ゾーン(または収納空間)およびウォームホイールの左側部分をAの方向から示す。
【0044】
図8】開状態の図3のセクショナルドアの収納ゾーン(または収納空間)およびウォームホイールの右側部分をBの方向から示す。
【0045】
図9-12】全部合わせて、パネルがグリッパアームによってどのように掴持され、どのように垂直方向に加速され、次いでどのように水平方向に収納されるかを概略的に示す。
【0046】
図9】グリッパアームがどのようにパネルの側方延出部と接触するかを示す。
【0047】
図10】パネルがどのように純粋な上方移動中に加速的にピックアップされるかを示す。
【0048】
図11】加速上方移動の終了および収納ゾーン内への水平移動の開始を示す。
【0049】
図12】ウォームホイールの複数回転後にパネルが占める位置を示す(分かり易いように追加パネルは示さない)。
【0050】
図13】本発明の実施形態に従ってウォームホイール上に左右に並んで積み重ねられたパネルを示す。
【0051】
記載した図面は概略図にすぎず、本発明を限定するものではない。図面において、一部の要素の大きさは分かり易くするために誇張され、一定の縮尺で描かれてはいないことがある。寸法および相対寸法は本発明の実際の実施化に対応しない。
【0052】
請求項における参照符号は、請求の範囲を限定するものとは解釈されないものとする。
【0053】
異なる図面における同一参照符号は、同一または類似の要素を指し示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明について、特定の実施形態に関連して、特定の図面を参照しながら説明するが、本発明はそれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。
【0055】
請求項で使用される用語「含む/備える(comprising)」は、その後に列挙される手段に限定されるものと解釈すべきではなく、他の要素またはステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、明記された特徴、整数、ステップ、または構成部品の存在を言及される通り特定するものと解釈すべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成部品、またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。したがって、表現「手段AおよびBを含む装置」の範囲は、構成部品AおよびBのみから成る装置に限定すべきではない。それは、本発明に関連して、装置の単なる関連構成部品がAおよびBであるとことを意味する。
【0056】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または性質が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所に現われる表現「一実施形態における」または「実施形態における」は、必ずしも全てが同一実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、状況、または性質は、本開示から当業者には明白になるように、1つ以上の実施形態で適宜組み合わせることができる。
【0057】
同様に、本発明の例示的実施形態の説明では、開示を簡潔化し、かつ発明の様々な態様の理解を助けることを目的として、本発明の様々な特徴は時には単一の実施形態、図、またはそれらの説明に集約されることを理解されたい。しかし、この開示方法は、請求する発明が各請求項に明示的に記載するより多くの特徴を必要とする意図を反映するものとは解釈されない。それどころか、後述する請求の範囲が反映するように、発明の態様は、上述した単一の開示される実施形態の全ての特徴より少ないところに存する。したがって、詳細な説明の後に続く特許請求の範囲は、これにより明示的にこの詳細な説明に組み込まれ、各請求項は本発明の別個の実施形態として成立する。
【0058】
さらに、ここに記載する一部の実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特徴を含むが他の特徴を含まない一方、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の請求の範囲内であることが意図されており、当業者には理解される通り、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲で、請求する実施形態はいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0059】
本発明は時々、1つの突出部(または突起)および1つのグリッパアームおよび1つのウォームホイールに基づいて説明されるが、複数の突出部および/または複数のグリッパアームおよび/または複数のウォームホイールが存在してよいことは、当業者には明らかである。
【0060】
本発明では、時々、「上部パネル」または「上部積み重ねパネル」または「複数パネルのスタックの最高位置のパネル」に言及される。これは、必ずしもドアが閉じた状態のときのドアの頂部パネルを意味しておらず、ドアの開閉されているときの所定の瞬間に(全または部分)スタックの頂部に位置するパネルを意味する。しかし「底部パネル」は常に同一パネルである。
【0061】
第1態様では、本発明は、セクショナルドア(セクショナルゲートとしても知られる)に関する。セクショナルドアは、セクショナルドアの積み重ね(ドア閉)状態で相互に上下に積み重ねることができ、かつセクショナルドアの収納(ドア開)状態で相互に隣接し合って配設する(例えば積み重ねられる、吊り下げる)ことができるような形状を有する複数のパネルを含む。セクショナルドアはまた、底部パネルおよびその上に載置されているパネルを高さ方向に、例えば垂直方向に移動させるように適合された、底部パネルに取り付けられたケーブルまたはチェーン付きの駆動システムも含む。本発明の実施形態はまた、積み重ねられたパネルを(例えば垂直方向に)案内するための直立レールと、収納ゾーンでパネルを(例えば水平方向に)案内するための手段とを含む。駆動システムは、相互に上下に積み重ねられたパネルのスタックからその都度最高位置のパネルを加速することによってそれを取り外し、かつ続いて収納ゾーンでパネルを案内するための手段に前記パネルを移送するように適合された、昇降機構を含む。セクショナルドアを開けるときに、パネルはこうしてスタックから1枚ずつ取り外される。それは通常、2つの機構の組み合わせによって実行することができる:すなわち、一方では、通常一定速度で巻き上げられるケーブル、ベルト、またはチェーンによって底部パネル(およびしたがってその上に載置されている全てのパネル)を上昇させ、他方では、パネルの部分スタックの最高位置のパネルを加速して取り外す。
【0062】
昇降機構は通常、最高位置のパネルを加速するため、かつ、このパネルを収納ゾーンに配置するために、このパネルを掴持するように適合され、収容ゾーンでパネルは、側部が接触することなく相互に隣接し合って、直立した向きで収納されることが好ましい。パネルは、(積み重ね状態、すなわちドアが閉じた状態で)相互に上下に積み重ねることができ、あるいは収納状態(すなわちドアが開いた状態)では、常に直立レールの間に留まる底部パネルから離れて、相互に隣接し合って吊り下げることのできる、分離したパネルであることが好ましい。巻き上げ式の古典的なセクショナルドアとは対照的に、本発明に係るセクショナルドアのパネルは相互に永久接続されないことが好ましい。これは、例えば隣接するパネル同士がヒンジ式に接続されたシステムと比較して、パネルは巻回される必要がなく、分離して(例えば相互に隣接し合って)収納することができるという利点を有する。このようにして、収納部は小型化され、同時にパネル間の側部接触は最大限に回避される。さらに、このようにして、通常摩耗を招き易く(例えば湿潤環境で使用すると錆びが生じるおそれがある)、かつ通常パネルを小型のスタックに配設できるようにすることを妨げる、接続要素(例えば細長いヒンジ)を使用する必要性も回避される。
【0063】
ドアが閉じられるときに、昇降機構は言うまでなく逆に働き、すなわち「下降機構」として働き、それによりその都度1枚のパネルが収納ゾーンから取り出され、加速度的に下降され、次いで静かに部分スタックの頂部に追加される。
【0064】
本発明の実施形態によれば、収納ゾーンでパネルを案内するための手段は、パネルの側方延出部を螺旋溝内に支持することによって、収納ゾーンでパネルを案内するための螺旋溝を有するウォームホイールを含む。
【0065】
さらなる標準的および任意選択的特徴ならびに可能な利点については、本発明の図解実施例である図に関連して記載するが、本発明の実施形態はそれらに限定されない。
【0066】
図3は、本発明の実施形態に係るセクショナルドア1の実施例を斜視図で示す。ドアは積み重ね状態(本書では「閉状態」ともいう)にあり、それによって6枚のパネル2a〜2fは上下に積み重ねられるが、本発明はそれらに限定されず、7枚以上または5枚以下のパネルを使用することもできる。この状態で、パネル2は相互に上下に載置される。通常、閉状態では、パネルはまた頂部を押圧されおよび/または閉塞されるが、それは本発明の絶対要件ではない。パネルは側方延出部23(図3には示されない)を有し、それらは直立レール3内を案内される。パネルは様々な寸法、例えば30〜60cmの高さHおよび200〜400cmの幅Bを有することができるが、本発明はこれらの値に限定されず、他の寸法を使用することもできる。セクショナルドア1の頂部には、さらに説明するように、ドアの開状態時にパネル2が相互に隣接して収納される収納ゾーン5が存在する。
【0067】
図3には示されないが、底部パネル2aは、例えばスチールケーブル、ベルト、またはチェーンなどのケーブル6を介してモータ等と接続され、それによって底部パネル2aおよびその上に載置されているパネル2b〜2fは一緒に上下動することができる。ケーブル6またはチェーンは直立レールまたはプロファイル3に配設されることが好ましい。収納ゾーン5の寸法が大まかにパネル2の枚数および寸法によって決定されることは明らかであり、それは次に例えば建物の開口部の寸法に依存する。
【0068】
好ましくは、収納ゾーン5は(実施例に示すような)梁形(beam−shaped)である。これが可能であるのは、パネル2が相互に摩擦し合うことなく、収納ゾーンで水平方向の移動を実行するからである。これは、パネルを相互に押し付け合うために傾斜が不要であるため、例えばEP1234946に記載されたセクショナルドアの場合より必要な天井の高さが低くなり、特開平07−310483号公報のセクショナルドアに対しては、パネルを相互に押し付け合うためのばねが不要になるという利点がある。実際には、審美的仕上げのため、および安全性のために、収納ゾーン5は例えば金属板または木板によって閉鎖または被覆することが好ましい。
【0069】
図3には示されないが、水密セクショナルドアを提供するために、積み重ねられたパネル2と直立レール3との間に膨張可能なゴムシールを設けることが可能である。明らかに、水密にするために、底部パネル21の下、およびパネル2a〜2fの間に水が浸入できないことを確実にしなければならない。これについては以下で、中でも特に図5および図6を説明するときに、さらに述べる。他の密閉手段も使用することができることに留意されたい。
【0070】
図4は、図3のセクショナルドア1を(Cの方向から見た)上面図で示す。セクショナルドア1は閉状態であり、パネル2は相互に上下に積み重ねられている。各直立レール3に近接する2つのウォームホイール4の位置も、この図に明瞭に示されている。図示する実施形態では、各ウォームホイール4はそれ自体のモータを有するが、それは絶対要件ではなく、2つのウォームホイールを一つのモータで駆動することも可能である。モータは外側にあってもよく、あるいはスピンドル内に配置してもよい。
【0071】
図5は、図3のセクショナルドア1を側面図で示す。
【0072】
図6は、図5の底部パネル21およびそのすぐ上にあるパネル2bの一部分を拡大図で示す。直立レール3はU字形であることが好ましい。底部パネル21はその上側に、直上にあるパネル2bの例えば細長いリップなどの突出部26を受容するための例えば溝などの凹部25を有する。また、2つ以上の凹部26および2つ以上の突出部25があってもよい。凹部および突出部の形状が実質的に相補的であり、かつ傾斜することなくパネルを相互に分離し合うことができる限り、様々な形状の凹部26および突出部25が可能である。それらは一緒に、隣接するパネルの間に解除可能または着脱可能な接続を形成する。それらはまた、追加の機械的強度をもたらすこともできる。
【0073】
図示する通り、上部パネルもまた、例えば下部パネルの上側の平坦部分または中空部分に押し当てられる弾性の例えばゴム条片27を収容するための凹部を有する。このようにして、パネル間に水が浸入するのを防止する。言うまでもなく、そのような条片を複数設けることが可能であり、また、言うまでもなく条片は上部パネルではなく、下部パネルに取り付けて、上部パネルの下側の平坦部分または中空部分に押し当てることもできる。そのような条片のおかげで、パネルは相互に水密に接続することができる。水がパネル間に浸透できないように、条片はパネルの重さによって圧縮される。
【0074】
そのような凹部および突出部を、例えば車庫の床などの床と底部パネル21との間に設けることもできることが注目される。床プロファイル7はこの目的のために底部に固定することができる。この実施例に示す床プロファイルは台形断面を有するが、本発明の実施形態はそれに限定されない。床プロファイル7の追加の利点は、例えばパネルスタックの面に対し直角方向の横力がパネルに加えられたときに、底部パネル21がその側方延出部23を通る軸線を中心に回転し得ることを、床プロファイルが防止することである。
【0075】
パネル自体は、寸法、形状、および材料に関して、各パネルがその上に載るパネルの重量に耐え、かつ任意選択的に、所定の高さ、例えば3.00mを有する直立水柱からの側圧にも耐えることができるように設計される。
【0076】
しかし本発明は水密セクショナルドアに限定されず、したがって、弾性条片27および床プロファイル7ならびに直立レール3内の膨張可能なゴムシールは、本発明にとって不可欠ではない。図には、床プロファイルの上に落下防止策も示される。
【0077】
図7は、図3のセクショナルドアの開状態のときの収納ゾーン5の左側部分を示し、図8は右側部分を示す。この図では、分かり易くするために、(任意選択的な)カバープレート(またはボード等)は取り外されている。図は、(制御された上方への引上げまたは制御された下降によって)底部パネル21を高さ方向に移動させるために、底部パネル21に接続された例えばスチールケーブルなどの特にケーブル6を示す。底部パネル2aが下降すると、その上に積み重ねられた全てのパネルもまた下降する。ケーブル6は例えば公知の方法でリールに巻き上げることができ、リールは公知のいずれかの方法によって駆動することができる。
【0078】
しかし、図7のセクショナルドア1の収納ゾーン5では、パネル2は、先行技術の場合のように水平レールまたは傾斜レール内で相互に摺接せず、(パネル2の両側の)側方延出部23によって2つのウォームホイール4に懸架される(図7では1つのウォームホイールしか示されない)。ウォームホイール4の回転はそこに載置されたパネル2を、直立プロファイル3の面に対し直角に矢印の方向に、例えば水平方向に移動させる。
【0079】
図8は収納ゾーン5の右側部分を示し、セクショナルドアの第2ウォームホイール4を含む(見えないが、延出部23の下に位置している)。明らかに、2つのウォームホイール4a、4bは略同一速度で回転する必要がある。側方延出部23は、ウォームホイールとの摩擦を最小化し、かつ円滑な動きを促進するために、ホイール24を有することが好ましい。
【0080】
さらに、ケーブル6を引き上げる(または下降する)速度は、後述するように、ウォームホイール4の回転速度と一致させる必要がある。そのような同期化は例えば、1つの電動モータおよび適切な機械的伝動装置、例えばギヤ、ベルトドライブ、もしくはチェーンドライブなどによって、または幾つかの電動モータおよび適切な電気制御装置によって実現することができる。電気制御装置にはさらに、水位の上昇を検知するために、かつそれに応答してセクショナルドアを自動的に閉じるために、センサを設けることができる。動作の機械的または電気的同期は当業者にはよく知られており、したがって、ここではこれ以上記載する必要がない。完全を期すために、原則として電動モータ以外、例えば空気圧モータも可能であることを記しておく。
【0081】
洪水時によく起きることであるが、停電に備えてセクショナルドアを手動でも開閉することができるように、モータ以外に、セクショナルドア1は手動操作用の手段、例えばクランク(図示せず)、または非常用バッテリをも含むことが好ましい。機構全体は1つまたは2つのクランクにより、例えば歯車、ウォームホイール等の公知の方法で実現することのできる適度な力トルクで、操作することができる。
【0082】
すでに上で説明した通り、パネルは(直立レール3間で)垂直移動を実行することができ、ひとたびパネルがウォームホイールに載ると、パネルは水平移動を実行することができる。図9から図12を参照しながら、スタックの上部パネルがどのように上昇し、ウォームホイール4の頂部に運ばれ、かつ収納ゾーン5内に移動するかを説明する。この目的のために、ウォームホイール4は例えばシリンダ状壁部の形のグリッパアーム41を有するが、本発明はこの形のアームに限定されず、他の形も可能である。グリッパアームはウォームホイールの第1セグメント41とみなすことができ、ウォームホイール4の第2シリンダ状セグメントと一体的に形成することが好ましい。換言すると、ウォームホイール4は第1部分41および第2部分42を有することが好ましく、それらは例えば鋳造によって同一部品から製造することが好ましい。代替的に、このウォームホイールは、ジョイントされる2つ以上のピースを含むか、あるいはそれらから構成することができる。
【0083】
本実施例に示すグリッパアーム41は、150°〜210°、例えば約180°の円形の断面(ウォームホイール4の軸線に直角な面)を有する。ウォームホイール4とケーブル6との間の上述した同期のため、特定の瞬間にスタックの頂部に位置するパネルは、図9に示すように、その側方延出部23(そのうちの1つだけが図9に示される)が、グリッパアームの下端より高い位置にある状態になる。グリッパアームの下端にはホイール45等が取り付けられていることが好ましい。
【0084】
図9は、ウォームホイール4のグリッパアーム41がどのようにしてスタックにおける最高位置のパネルの延出部23と接触するかを示す。ウォームホイール4が矢印の方向にさらに回転する(かつ同時にケーブル6が引き上げられるため上方に小さく変位する)間に、グリッパアームは延出部23と係合し、それを連行するので、最高位置のパネルはスタックから外れる一方、底部パネル21およびそこに載置されているパネルは例えば一定の速度で引き上げられる。こうしてパネル2はウォームホイール4のグリッパアーム41によって掴持され、矢印で示す垂直方向に加速される。グリッパアーム41は回転運動を実行するので、パネルの上向きの速度は正弦関数的に変化し、図9の位置で最低速度になり、図10の位置で最高速度になり、図11の位置で再び最低速度になる。このようにして、パネル2は「静かに」(最低速度で)掴持することができ、次いでパネル2は下にあるパネルからそれを急速に取り外すために(例えば解除可能な接続をクリックリリースするために)最大限に加速され、次いで再び速度を低下させてウォームホイール4の頂部に「静かに」到着し、次いで収納ゾーン内に移動する(図11および図12)。
【0085】
パネルが第1セグメント41の内面に載置されている限り、パネルの移動は純粋に垂直方向であることが注目される。これは、パネルの解除可能な連結手段に対し、例えば傾斜、追加的隙間等のような特別な要件が課せられないという利点を有し、希望するならばパネル間に水密接続を達成することが容易になる。垂直移動の後、さらに詳しくは側方延出部23のホイール24がグリッパアーム41(図11参照)のシリンダ状部分の外周に着地したときに、パネルが第1セグメント41の外周および第2セグメント42に載置されている限り、パネルは純粋に水平方向の移動を実行する。
【0086】
図示する実施例におけるウォームホイール4は一定外径を有しており、それは本発明に不可欠ではないが、そのようなウォームホイールは製造および寸法決定が簡単であるため、その方が好ましいことが注目される。外径が一定でない場合、第1セグメント41の領域が最大であることが好ましい。これは、ウォームホイール上に配設されたパネルが直立レール3間で不都合にも動かなくなることを防止するために、例えば地震が頻繁に発生する国々では有利になり得る。
【0087】
さらに、グリッパアーム41は、図9に示す位置から図11に示す位置までの範囲内の位置にあるときに、グリッパアーム41と側方延出部23との間に最小限の摩擦を生じさせるために、ホイール45等を有することが好ましいことが注目される。その後(図11)、側方延出部23のホイール24は、シリンダ状壁部41の外側に位置しさらに第2セグメント42まで延びる螺旋溝内を走る。
【0088】
こうして図10は、パネルがどのようにして加速的に上昇し、すなわち下にあるパネルの(上方に引かれるケーブル6による)速度より高い(グリッパアーム41による)速度で上方に移動して、これらのパネル間の解除可能な接続(例えばリップ−溝接続またはスナップ接続)が係脱されるかを示す。
【0089】
図11は、上部パネル2の加速上昇の終了、および収納ゾーン5内の水平移動の開始を示す。先行技術では水平または傾斜レールが使用され、パネルは相互に側方に押し当てられるが、本発明では、螺旋溝44付きウォームホイールおよびパネル2の厚さ「d」の関数としてピッチ「s」の適切な選択を利用することによって、パネルは相互に接触することなく、隣接し合って配設される。
【0090】
図12は、ウォームホイール4が数回転した後に図11のパネルが占める位置を示す。ここでは分かり易くするために、ウォームホイールは1枚だけのパネルと共に示されるが、実際には、言うまでもなく、ウォームホイール4が1回転するたびに、部分スタックから1枚の追加(最上位置の)パネルが取り外され、収納ゾーン5に収納するために第2セグメント42に追加されるように意図されている。当業者は、底部パネル21を上方に引き上げるゲーブル6の適切な速度比、ならびにウォームホイール4の回転速度および直径を選択することによって、容易にこれを達成することができる。図12のウォームホイール4では、ウォームホイールの螺旋溝44は、第1セグメント41の領域がウォームホイールの残部領域より大きいピッチ「s」を有する。このようにして、収納ゾーン5内のパネル2間の距離を例えば小さく維持することができる(小型の収納部)一方、(直立レール3の面内にある)加速されるパネル間の距離は、加速の結果生じるパネルの潜在的な揺動による損傷のリスクを最小化するように、充分に大きく維持される。任意選択的に、衝突による損傷または擦り傷を回避するために、プッシュゴムをパネルに配設することもできる。
【0091】
セクショナルドア1が開けられるときのウォームホイール4の機能を上に記載してきたが、セクショナルドア1が閉じられるときには逆の推論が適用されることを、当業者は理解するであろう。さらに詳しくは、ウォームホイール4はその場合、逆方向に回転するので、パネルは第2セグメント42から第1セグメント41に向かって移動することができ(図12)、第1セグメント41の最も近くに位置するパネルはシリンダ状壁部(図11参照)の溝に移動し、このパネル2は次いで、側方延出部23(図10参照)を支持するホイール45によって運ばれ、パネルは次いで下方に加速され、下に位置するパネル(図9参照)上に静かに降下されるまで再び低速化する。同時に、底部パネル21がケーブル6によって下降されるにつれて、底部パネル21に載置されている(直立レール間に存在する)パネルのスタック全体が下方に移動する。
【0092】
明示的には示さないが、本発明は上述したウォームホイールのみならず、上述したウォームホイール4および上述したパネル2を少なくとも2枚含む部品キットにも関し、ここで各パネルは、ウォームホイール4の螺旋溝に嵌るホイール24付きの側方延出部23を有し、かつウォームホイール4全体の周囲の螺旋溝のピッチ(s1)はパネル2の厚さより大きいので、パネルが相互に側方に接触することによる擦り傷のリスクは大幅に低減される。
【0093】
図13は、セクショナルドアが収納状態(開状態)のときのパネルを示す。図13では、螺旋溝がシリンダ状壁部とウォームホイールとの間で連続的に遷移するように、シリンダ状壁部41およびウォームホイール42が相互に接続されていることを見ることができる。
【0094】
さらなる態様では、本発明はまた、閉状態で水密であること、およびセクショナルドアの積み重ね状態で相互に上下に積み重ねることができ、かつセクショナルドアの開状態で相互に隣接して積み重ねることができるような形状を有する、複数のパネルから構成されることを特徴とするセクショナルドアにも関する。パネルは、積み重ね状態(すなわちドア閉)で相互に上下に積み重ねることができ、あるいは収納状態(すなわちドア開)で相互に隣接して吊り下げることのできるルーズパネル(非拘束パネル、非連結パネル;loose panels)である。本態様に係るセクショナルドアのパネルは、相互に永久接続されない。これは、例えば隣接パネル間をヒンジ接続したシステムと比較して、パネルを「巻き上げる」必要がなく、パネルを例えば相互に隣接して分離状態で収容することができるという利点を有する。このようにして、収納部は小型化される。さらに、このようにして、通常摩耗し易く(例えば湿潤環境で使用した場合、錆びることがあり得る)接続要素であって、通常、パネルを小型のスタックに配設できることも妨げる接続要素を使用する必要性も回避される。セクショナルドアの他の特徴は、第1態様に係るセクショナルドアに対して記載した特徴と同様であるが、本態様に係るセクショナルドアはそれによって限定されない。駆動機構および/または昇降機構は例えば従来の機構とすることができる。ドアの水密性は、一方ではパネル間に、かつ他方ではパネルとサイドレールとの間に、シール要素を設けることによって得られる。パネル間および底部パネルの下のシールは、例えば中実ゴムによって提供することができる。固定された側面プロファイルを持つドアのシールは、例えば膨張可能シールによって達成することができる。また、完成ドアが水密になるように、収納ゾーンを含めて至る所にシールを設けることもできる。
【0095】
さらに別の態様では、本発明は、パネルの収納がそれらをウォームホイール上に配設することによって達成される、セクショナルドアに関する。さらに詳しくは、セクショナルドアは、セクショナルドアの積み重ね状態で相互に上下に積み重ねることができ、かつセクショナルドアの収納状態で相互に隣接して積み重ねることができるような形状を有する、複数のパネルを含む。セクショナルドアはまた、底部パネルに取り付けられたケーブルまたはチェーンを持ち、底部パネルおよびその上に載置されているパネルを高さ方向に移動させるように適合された、駆動システムも含む。それはまた、積み重ねられたパネルを案内するための直立レール、および収納ゾーンでパネルを案内するための手段も含む。本態様では、後者の手段はウォームホイールである。さらにウォームホイールは、セクショナルドアの収納状態では、パネルの側方延出部がウォームホイールの溝内に載置されるように設計される。ウォームホイールはこうして、パネルが収納位置にあるときにパネルを支持する。その結果、パネルはコンパクトに、かつ接触しない状態で収納することができる。加えて、パネルが支持レール上を摺動するシステムと比較して、収納は静かに達成することもできる。セクショナルドアのさらなる特徴は、上述した他の態様で記載した通りとすることができる。加えて、本態様の特徴を、上述した他の態様の実施形態で実現することもできる。
【符号の説明】
【0096】
1 セクショナルポート
2 パネル
21 底部パネル
23 側方延出部
24 ホイール
25 突出部
26 凹部
3 直立レール
4 ウォームホイール
41 第1セグメント
42 第2セグメント
44 第2セグメントの螺旋溝
45 グリッパアームのホイール
5 収納ゾーン
6 ケーブルまたはチェーン
7 床プロファイル
s 溝のピッチ
d パネルの厚さ
H パネルの高さ
L パネルの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13