【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本発明は、セクショナルドアの積み重ね状態では相互に上下に積み重ね可能であり、かつセクショナルドアの収納状態では相互に隣接し合って積み重ねることができるような形状を有する複数のパネルと、ケーブル、チェーン、またはベルトが底部パネルに取り付けられ、底部パネルおよび底部パネル上に載置されているパネルを高さ方向に移動させるように適合された駆動システムと、積み重ねられたパネルを案内するための直立レールと、収納ゾーンでパネルを収納するための手段とを備えたセクショナルドアに関し、ここで駆動システムは、昇降機構を加速することによって、かつ続いて収納ゾーンでパネルを案内するための手段に上部パネルを移送することによって、相互に上下に積み重ねられたパネルのスタック(積層体)からその都度上部パネルを取り外す昇降機構をさらに含む。収納ゾーンでパネルを案内するための手段は、螺旋溝内にパネルの側方延出部を支持することによって、収納ゾーンでパネルを案内するための螺旋溝を有するウォームホイールを含む。
【0007】
収納ゾーンにパネルを収納するために螺旋溝を利用することによって、パネル同士が相互に側方に接触する必要なく、パネルは収納ゾーンで移動することができる。その結果、擦り傷およびその他の損傷が回避される。加えて、セクショナルドアはより静かに動作する。ウォームホイールは、パネルが収納ゾーンにあるときにパネルを支持するように、さらに詳しくは、パネルの側方突出部を支持するように、配置することができる。
【0008】
ウォームホイールの螺旋溝のさらなる利点は、パネルが、ウォームギヤの回転により「前方」または「後方」に、すなわち直立レールが位置する直立面に近づくかまたはそこから遠ざかるように、能動的に摺動することである。このようにして、傾斜レールを回避することができるので、収納空間をより小型化することができ、高さ方向の延出が短くなる。このようにして、パネルを収納ゾーンから押し出すためのばね等の使用も回避することができる。
【0009】
本発明の実施形態の利点は、水密(防水)ドアとして特によく適したドアが提供されることである。昇降機構は、摩耗傾向のある部品の摩耗または水の影響による部品の摩耗を回避するのに役立つ。
【0010】
上部積み重ねパネルの加速のさらなる利点は、それぞれのパネルとその下に位置するパネルとの間の解除可能な連結(例えば凹部と凸部)が、連結手段間に多少の摩擦または応力が発生した場合(例えば、溝内に押し込まれたOリングと同様に、凸部が狭い溝内に弾性圧縮された場合)であっても、開放されるときに高い信頼性で相互に分離することができることである。
【0011】
昇降機構のおかげで、パネルは傾斜させる必要がなく、積み重ねられた状態および収納ゾーン内のどちらでも直立(垂直)位置を維持する。これは、パネル間の解除可能な連結手段に対し、例えば余分な隙間および/または丸み付け等のような追加の要件を課さない。
【0012】
したがって、昇降機構は、例えば洪水に耐えることのできる水密セクショナルドアを提供するために緊密に接続された、解除可能な連結手段を有するパネルを取り外すのに非常に適している。
【0013】
昇降機構は、パネルのスタックのうちの最高位置のパネルの側方延出部を掴持するためのグリッパ(掴持)アームを含むことができ、さらに、掴持されたパネルを収納ゾーンに移動するための螺旋溝を含むことができる。毎回、別のパネルがスタックの最高位置になり、かつセクショナルドアの開放動作中に掴持されるので、用語「上部積み重ねパネル(upper stacked panel)」または「スタックの最高位置のパネル(highest panel of the stack)」が使用され、「頂部パネル(top panel)」は使用されないことに留意されたい。
【0014】
グリッパアームは、回転運動を実行するように設けられたシリンダ状壁部を含むことができ、それによって螺旋溝はシリンダ状壁部の外側に配置される。グリッパアームがシリンダ状壁部(「壁部分」ともいう)によって形成することができることは、壁部分および回転運動が両方とも、最小限の部品数で比較的単純に実現することができるので、有利である。
【0015】
そのような昇降機構の利点は、パネルが加速中に純粋垂直並進運動を実行し、それが所望の高さに達した後でだけ、直立プロファイル(形材;profiles)またはレールの面に対し(閉じたドアの面から遠ざかるように)直角方向の純粋水平並進運動を実行することである。
【0016】
パネルが回転運動または傾斜運動を実行する必要が無いことは、それにより、上部積み重ねパネルが下に位置するパネルから解放されないというリスクが最小化される一方、閉状態では(例えばリップ溝継手による)2枚のパネル間の最適な(例えば緊密な)接続が可能であるため、有利である。
【0017】
シリンダ状壁部は、側方延出部を変位可能に支持するように適合されたホイールを含むことができる。ホイール(または類似物)を利用することによって、側方延出部およびグリッパアームの摩擦および摩耗は軽減または回避され、円滑な動作が達成される。ホイールは、突出部をその全幅にわたって支持するように適合することができる。
【0018】
パネルの側方突出部はさらに、螺旋溝内に嵌るホイールを含むことができる。そのようなホイールが、ドアが閉状態時に位置する平面と平行に配向される軸線を中心に回転する、先行技術の特定の実施形態とは対照的に、本発明の実施形態に係るウォームホイールは、ドアが閉状態時に位置する前記平面とは略直角の軸線を中心に動く。
【0019】
このようにして、収納ゾーンにおけるパネルの変位はウォームホイールの回転によって制御され、かつ同時に螺旋溝およびパネル突出部の摩耗は低減され、パネルの収納は、パネルを相互に摩擦し合うことなく、円滑に達成される。
【0020】
シリンダ状壁部およびウォームホイールは、螺旋溝がシリンダ状壁部とウォームホイールとの間の連続遷移部(continuous transition)を形成するように、相互に接続することができる。このようにして、螺旋溝がグリッパアームから収納ゾーンに延びること、および単一回転運動で、スタックから上部積み重ねパネルをピックアップし(捕捉し)、かつパネルを収納ゾーン内に移動(例えば摺動)することが確実になる。
【0021】
好ましくは、ウォームホイールおよびシリンダ状壁部は単一体(一体物)として形成されるが、それは本発明の絶対要件ではない。好ましくは、シリンダ状壁部およびウォームホイールは同一の一定外径を有するが、それもまた絶対要件ではない。
【0022】
ウォームホイールの螺旋溝は、シリンダ状壁部がウォームホイールの残部より大きいピッチを有することができる。好ましくは、螺旋溝のシリンダ状壁部(これはグリッパアームの機能を果たす)におけるピッチは、ウォームホイールの残部のピッチより大きい。なぜならば、そうすることで、グリッパアームによって掴持されたパネルが直立レールの面から遠ざかる方向に急速に移動されるので、収納ゾーンにすでに存在する(静かに摺動または移動する)パネルと、スタックから急速に取り出されるパネルとの間に「安全な距離」が生じるからである。このようにして、加速の結果生じる例えば揺動による損傷または擦り傷のリスクが低減され、あるいは無視できるほど小さくなる。
【0023】
下部パネルはその頂部に突出部を有することができ、かつ上部パネルはその底面に相補形状の凹部を有することができ、またはその逆も可能である。
【0024】
突出部および凹部は例えば細長いリップおよび溝とすることができる。このようにして、リップおよび溝は、パネルが相互に上下に積み重ねられるときに相互に係合することができる。このようにして、(セクショナルドアの積み重ね状態時に)パネルがそれらの側方延出部付近で傾斜し得ることが防止される。換言すると、このようにして、当接するパネル間に、特に下部パネルの頂部と当接する上部パネルの底面との間に、解除可能な接続が行われる。
【0025】
凹部および合致する突出部の適切な形状は、先行技術で公知であり、例えば凹状窪みと凸状隆起、またはリップと溝等がある。本発明の利点は、傾斜することなく、相互に純粋に垂直方向の移動によって、相互に嵌合する形状を選択できることである。これは解除可能な接続手段の間により小さい許容差を使用することを可能にする。
【0026】
適切な材料および形状、例えばゴムのような材料を使用することによって、当接パネル間の水密シールを保証することができる。明らかに、そのようなシールは降雨、降雪等にも耐える。
【0027】
本発明の実施形態に係るリップおよび溝の接続を提供することによって、セクショナルドアはそのどちらの側にも掛かる水圧に耐えることができる。したがって、ドアは建物の外側だけでなく、建物の内側に取り付けることもできる。
【0028】
セクショナルドアはさらに、閉状態時にセクショナルドアを水密に密閉するために、直立レールに位置する膨張可能なゴムシールを含むことができる。膨張可能なゴムシールのおかげで、セクショナルドアはレールに対して水密に密閉することができる。そのようなゴムシールは、例えば電動コンプレッサまたはポンプの助けを借りて膨張する(すなわち空気圧下で拡張する)ことができる。コンプレッサまたはポンプはセクショナルドアの一部であってもよく、一部でなくてもよい。また、任意選択的に、電力供給が遮断されたときでも圧力下でシールを維持するように、所定圧力のエアを保存することができる圧力容器を予見することもできる。代替的に、または追加的に、停電時にコンプレッサまたはポンプを作動させるためにバッテリを設けることもできる。
【0029】
パネルは、下および/または上にあるパネルの表面に押し付けられるゴム条片または何らかの種類の中空もしくは中実弾性形状体を利用することによって、相互に水密に密閉することができる。
【0030】
パネルは、押出しアルミニウムおよび/または繊維強化プラスチックおよび/または機械加工プラスチックのプロファイルを含むことができる。加工プラスチックはステッチプラスチック(stitched plastic)とすることができる。そのようなパネルは、機械的に強く、特に外部圧力、例えば洪水時に水柱によってセクショナルドアの外側に掛かる圧力に耐えるだけの充分な曲げ強度を有する一方、重量が比較的小さいという利点を提供する。このようにして、材料のコストのみならず、設置および保守のコストも制限することができる。
【0031】
好ましくは、希望する場合、断熱および/または防音のために、かつおそらく追加的な機械的強化のためにも、例えばポリウレタンなどの断熱発泡材を完全にまたは部分的に充填することのできる中空プロファイルが使用される。
【0032】
本発明はまた、上述の通りセクショナルドアで使用するための、セクショナルドア用のウォームホイールにも関する。このウォームホイールは、シリンダ状壁部分を有する第1セグメントと、シリンダ状壁を有する第2セグメントと、第1および第2セグメントにわたって延びる連続螺旋溝とを含む。
【0033】
第1セグメントの領域における螺旋溝のピッチは、第2セグメントの領域における螺旋溝のピッチより大きくすることができる。実施例では、第1セグメントの(最大または平均)ピッチは、第2セグメントの(最大または平均)ピッチより少なくとも50%大きい(すなわち少なくとも1.5倍大きい)。別の実施例では、少なくとも2倍大きくすることができる。
【0034】
本発明はまた、各々が螺旋溝付きの上述した2つのウォームホイールと、少なくとも2枚のパネルとを含む部品キットにも関し、ここで各パネルは螺旋溝内に嵌るホイール付きの少なくとも2つの側方突出部を有し、かつウォームホイール全体にわたる螺旋溝のピッチはパネルの厚さ(d)より大きいかそれに等しい。本発明の実施形態では、ウォームホイールは、セクショナルドアを閉じるときにその最後の運動時に、例えば、ウォームホイールによって頂部パネルに押し付けられる追加アームによって、パネルを押し下げることができる。代替的に、頂部パネルはウォームホイール以外の別の手段によって(例えば機械的に)押圧することができる。他の手段は例えば圧縮空気を利用することができる。本発明の実施形態では、底部パネルは常に直立レール間に留まる。
【0035】
本発明の特定の好適な態様が添付の独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と適宜、かつ単に請求項に明示的に記載された通りではなく、組み合わせることができる。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下で説明する実施形態を参照することにより明らかになり、かつ解明されるであろう。