特許第6549610号(P6549610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6549610二股ステントグラフトの送達及び展開システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549610
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】二股ステントグラフトの送達及び展開システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20190711BHJP
【FI】
   A61F2/966
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-560654(P2016-560654)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-509437(P2017-509437A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015023874
(87)【国際公開番号】WO2015153754
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/975,217
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/675,368
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エス.ベアード
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジェイ.セクター
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−505747(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0251664(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/954
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置を腔内送達するためのシステムであって、前記医療装置は、主要部と、第一の脚と、前記第一の脚より短い第二の脚とを有する二股ステントグラフトを含み、前記システムは:
筒状の内面を有する管状壁を有するシースであって、前記筒状の内面は、前記ステントグラフトをその中に受容して、前記ステントグラフトを腔内送達に適する送達形態へと拘束するためのルーメンを画定する、シースと;
前記ルーメンを通って延在する略筒状のコア部材であって、前記コア部材は、前記第一の脚の末端を係合するための第一の環状面を有し、前記コア部材は、少なくとも前記第二の脚の末端が前記シースによって拘束されたまま前記第二の脚の末端を係合するための第二の環状面を有する、コア部材と
を含む、システム。
【請求項2】
前記コア部材は、第一の直径を有する第一の部分と、第二の直径を有する第二の部分とを含み、前記第二の部分は前記第一の部分の隣に配置されており、前記第一の直径は前記第二の直径より大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第一の環状面は、前記第一の部分の外面と前記第二の部分の外面との間に延在する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の環状面は前記コア部材の長軸に対して垂直である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コア部材は第三の直径を有する第三の部分を含み、前記第三の部分は前記第二の部分の隣に配置されており、前記第二の直径は前記第三の直径より大きい、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第二の環状面は、前記第二の部分の外面と前記第三の部分の外面との間に延在する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第二の環状面は前記コア部材の長軸に対して垂直である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一の環状面及び前記第二の環状面が平行である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記コア部材の前記第一の部分、前記第二の部分、及び前記第三の部分が同軸に整列している、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記コア部材の前記第二の部分及び前記第三の部分は、前記二股ステントグラフトの前記第一の脚の内側を通って延在する、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
医療用の装置送達システムであって、前記システムは:
近位端と前記近位端の反対側の遠位端との間に延在する二股ステントグラフトであって、前記ステントグラフトは前記近位端と分岐との間に延在する主要部を有し、前記ステントグラフトは前記分岐から遠位に延在する第一の脚及び第二の脚を有し、前記第一の脚は前記ステントグラフトの前記遠位端を画定する末端を有し、前記第二の脚は、前記ステントグラフトの前記分岐と前記遠位端との間の場所で終わる末端を有する、二股ステントグラフトと;
筒状の内面を有する管状壁を有するシースであって、前記筒状の内面は、前記ステントグラフトをその中に受容して、前記ステントグラフトを腔内送達に適する送達形態へと拘束するためのルーメンを画定する、シースと;
前記ルーメンを通って延在し、前記シースと摺動可能に係合する略筒状のコア部材であって、前記コア部材は前記ステントグラフトの前記遠位端を係合するための第一の環状面を有し、前記コア部材は、前記コア部材に対して前記シースを移動させる間、少なくとも前記第二の脚の末端が前記シースによって拘束されたまま前記第二の脚の末端を係合する第二の環状面を有し、前記コア部材に沿う前記ステントグラフトの移動を最小化する、コア部材と
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置の展開システムに関する。より詳細には、本開示は、二股ステントグラフトの展開システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大動脈疾患の腔内処理のために使用する高度な装置、道具、システム、及び方法の必要性がある。具体的には、臨床医の使いやすさを促進しつつ、ますます複雑化している装置の展開形式、例えば操縦、再拘束、多段階の展開、複数の装置の展開に対応することができる展開システムの必要性が残っている。また、送達機構の形状をますます縮小する必要性が残っている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するものとして含まれ、本明細書中に取り入れられて一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、その記載と共に本開示の原則を説明するのに役立つ。
【0004】
図1図1は、様々な実施形態による、二股ステントグラフト及び展開システムの一部を示す。
図2図2は、様々な実施形態による、二股ステントグラフト及び展開システムの一部を示す。
図3図3は、様々な実施形態による、二股ステントグラフト及び展開システムの一部を示す。
【0005】
図4図4は、様々な実施形態による、展開システムによって送達形態に保持された二股ステントグラフトを示す。
図5図5は、様々な実施形態による、展開システムによって送達形態に保持された二股ステントグラフトを示す。
【0006】
図6図6は、図5の6―6で示される平面に沿ってとった、二股ステントグラフト及び展開システムの断面図である。
図7図7は、図5の7―7で示される平面に沿ってとった、二股ステントグラフト及び展開システムの断面図である。
【0007】
図8図8は、図5の二股ステントグラフト及び展開システムの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な実施形態において、医療装置を腔内送達するためのシステムは、主要部(trunk)、第一の脚、及び第二の脚を含み、第一の脚は第二の脚より長い、二股ステントグラフトと;筒状の内面を有する管状壁を有するシースであって、筒状の内面は、ステントグラフトをその中に受容して、ステントグラフトを腔内送達に適する送達形態へと拘束するためのルーメンを画定する、シースと;ルーメンを通って延在する略筒状のコア部材であって、コア部材は、第一の直径を有する第一の部分と、第一の直径より小さい第二の直径を有する第二の部分と、第二の直径より小さい第三の直径を有する第三の部分とを有し、コアは、第一及び第二の部分の間に環状の第一の端面と、第二及び第三の部分の間に環状の第二の端面とを有する、コア部材とを含み、コア部材に対してシースを軸方向に移動させる間、コア部材の第一及び第二の端面はステントグラフトの軸方向に間隔を置いて離れた部分をそれぞれ係合する。
【0009】
図1〜8を参照すれば、例えば、二股ステントグラフト10を送達するための送達システムを一般に100で示している。示すように、ステントグラフト10は、主要部20と、第一の脚30と、第二の脚40とを含み、第一の脚30は第二の脚40より長い。送達システム100は、管状壁210を有するシース200を含む。管状壁は、外面212と、ルーメン216を画定する反対側の内面214とを含む。ルーメン216は、ステントグラフト10をその中に受容して、ステントグラフト10を脈管処理部位に腔内送達するのに適する送達形態に拘束及び維持するよう構成されている。
【0010】
送達システム100は、コア部材300を含む。コア部材300は、長軸302を有し、シース200のルーメン216を通る。コア部材300は、第一の直径を有する第一の部分310を含む。コア部材300は、第一の直径より小さい第二の直径を有する第二の部分320を含む。コア部材300は、第二の直径より小さい第三の直径を有する第三の部分330を含む。
【0011】
コア部材300は、第一の部分310と第二の部分320との間に環状の第一の端面350を含む。第一の端面350は、実質的にコア部材300の長軸302に対して垂直であることができる。同様に、コア部材300は、第二の部分320と第三の部分330との間に環状の第二の端面360を含む。第二の端面360は、実質的にコア部材300の長軸302に対して垂直であることができる。
【0012】
組立の間、コア部材300は、図1に示すようにステントグラフト10の第一の脚30を通して、図2及び3に示すように第一の脚30の末端32が第一の端面350に接するまで、挿入することができる。図3の平面「P」で示すように、ステントグラフト10の第二の脚40の末端42は、第二の端面360と軸方向に略整列している。
【0013】
ステントグラフト10を図3に示す構成で取り付け、次にステントグラフト10を、図4〜8に示すようにコア部材300上へと略半径方向に圧縮し、シース200によって送達形態に保持する。図7の(図5の7―7で示す平面に沿う)断面図に最もよく示されているように、第二の脚40は、第三の部分330の外周の一部に沿って圧縮され、他方、第一の脚30は圧縮され、第三の部分330に対して略同軸に整列する。
【0014】
この配置によって、第二の脚40は、コア部材300に沿ってステントグラフト10にカラム強度を加え、コアに対してシース200を軸方向に移動させる間、ステントグラフト10が軸方向につぶれることを防止することを助ける。したがって、ステントグラフト10の展開の間、シース200は、図8の矢印「a」で一般に示す方向に沿って、コア部材300に対して軸方向に移動する。
第一の脚30及び第二の脚40の末端32及び末端42と、第一の端面350及び第二の端面360との間の当接部は、それぞれ、シース10が移動するときのステントグラフト10とシース10との間の摩擦により、ステントグラフト10が軸方向に移動することを妨げる。コア部材300の第三の部分330に沿って圧縮されたステントグラフトの強化されたカラム強度もまた、シース10がコア部材300に対して移動するときのステントグラフト10とシース10の間に摩擦により、ステントグラフトが軸方向につぶれることに抵抗することを助ける。
【0015】
コア部材300に対するシース10の軸方向の移動は、ステントグラフト10が送達形態から外向きに拡張することを可能にする。任意に、第二のシース又は拘束スリーブを利用して、ステントグラフトの拡張を、送達形態より大きく脈管壁に係合する完全な展開形態よりも小さい中間形態に制限することができる。そのような拘束スリーブに関するさらなる詳細は、例えば、Leopoldらに発行された米国特許第6,352,561号明細書、Thorntonらに発行された米国特許第6,551,350号明細書、及び同時係属米国特許出願公開第2010/0049293号明細書A1(Zukowskiら)に見ることができ、これらの内容は引用によりその全体が本明細書に取り入れられる。
【0016】
ステントグラフト10を完全に展開させると、コア部材300及びシース200は、処理部位及び患者の身体から除去することができる。
【0017】
本開示の精神又は範囲を逸脱することなく、本開示において様々な変更及び変形を行うことができることは、当業者にとって明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲及び均等物の範囲内である限りにおいて、本開示は、本開示の変更及び変形を包含することが意図されている。
以下の項目[1]〜[11]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
医療装置を腔内送達するためのシステムであって、前記医療装置は、主要部と、第一の脚と、前記第一の脚より短い第二の脚とを有する二股ステントグラフトを含み、前記システムは:
筒状の内面を有する管状壁を有するシースであって、前記筒状の内面は、前記ステントグラフトをその中に受容して、前記ステントグラフトを腔内送達に適する送達形態へと拘束するためのルーメンを画定する、シースと;
前記ルーメンを通って延在する略筒状のコア部材であって、前記コア部材は、前記第一の脚の末端を係合するための第一の環状面を有し、コアは、少なくとも前記第二の脚の末端が前記シースによって拘束されたまま前記第二の脚の末端を係合するための第二の環状面を有する、コア部材と
を含む、システム。
[2]
前記コア部材は、第一の直径を有する第一の部分と、第二の直径を有する第二の部分とを含み、前記第一の直径は前記第二の直径より大きい、項目1に記載のシステム。
[3]
前記第一の環状面は、前記第一の部分の外面と前記第二の部分の外面との間に延在する、項目2に記載のシステム。
[4]
前記第一の環状面は前記コアの長軸に対して垂直である、項目3に記載のシステム。
[5]
前記コア部材は第三の直径を有する第三の部分を含み、前記第二の直径は前記第三の直径より大きい、項目3に記載のシステム。
[6]
前記第二の環状面は、前記第二の部分の外面と前記第三の部分の外面との間に延在する、項目5に記載のシステム。
[7]
前記第二の環状面は前記コアの長軸に対して垂直である、項目6に記載のシステム。
[8]
前記第一の環状面及び前記第二の環状面が平行である、項目6に記載のシステム。
[9]
前記コア部材の前記第一の部分、前記第二の部分、及び前記第三の部分が同軸に整列している、項目5に記載のシステム。
[10]
前記コア部材の前記第二の部分及び前記第三の部分は、前記二股ステントグラフトの前記第一の脚を通って延在する、項目1に記載のシステム。
[11]
医療用の装置送達システムであって、前記システムは:
近位端と前記近位端の反対側の遠位端との間に延在する二股ステントグラフトであって、前記ステントグラフトは前記近位端と分岐との間に延在する主要部を有し、前記ステントグラフトは前記分岐から遠位に延在する第一の脚及び第二の脚を有し、前記第一の脚は前記ステントグラフトの前記遠位端を画定する末端を有し、前記第二の脚は、前記ステントグラフトの前記分岐と前記遠位端との間の場所で終わる末端を有する、二股ステントグラフトと;
筒状の内面を有する管状壁を有するシースであって、前記筒状の内面は、前記ステントグラフトをその中に受容して、前記ステントグラフトを腔内送達に適する送達形態へと拘束するためのルーメンを画定する、シースと;
前記ルーメンを通って延在し、前記シースと摺動可能に係合する略筒状のコア部材であって、前記コア部材は前記ステントグラフトの前記遠位端を係合するための第一の環状面を有し、コアは、前記コア部材に対して前記シースを移動させる間、少なくとも前記第二の脚の末端が前記シースによって拘束されたまま前記第二の脚の末端を係合する第二の環状面を有し、前記コア部材に沿う前記ステントグラフトの移動を最小化する、コア部材と
を含む、システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8