特許第6549888号(P6549888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6549888
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】自然換気窓
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/71 20150101AFI20190711BHJP
   E06B 3/40 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   E05F15/71
   E06B3/40
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-91725(P2015-91725)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-205089(P2016-205089A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 剛文
(72)【発明者】
【氏名】野村 吉和
(72)【発明者】
【氏名】吹田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】津原 智晃
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−018457(JP,A)
【文献】 特開2015−048631(JP,A)
【文献】 特開2009−041299(JP,A)
【文献】 特開2007−089427(JP,A)
【文献】 特開2002−061904(JP,A)
【文献】 特開2005−105798(JP,A)
【文献】 特開2005−054398(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0072541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E06B 3/38− 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に取付けられる窓枠と、窓枠に開閉自在に支持されて、風等の外力により自然に開閉する障子と、障子を開閉する開閉アームと、開閉アームとは個別に設けられ障子の最大開放角度を規制する規制部材を備え、
降雨を検知することにより駆動力を発生する駆動手段と、気温の変化を検知することにより駆動力を発生する駆動手段と、湿度の変化を検知することにより駆動力を発生する駆動手段との少なくとも一つの駆動手段を備え、
駆動手段は、検知に応じて、規制部材により規制される最大開放角度を変更するように規制部材を駆動し、障子は、閉鎖状態と規制部材により規制される最大開放角度の状態との間で自然に開閉することを特徴とする自然換気窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建物開口部に取付けられる自然換気窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室外の風等の外力により自然と開閉して換気を行う自然換気窓が公知となっていた。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4513500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の自然換気窓は、自然の風により開閉して快適な換気を行うことができるので、開閉に手間がかからず、またセンサを使用して電力等により開閉駆動を行う必要もないので、省エネルギーで使いかってが良かった。
このような、自然換気窓は、降雨時にも風により開放して雨が吹き込むために、降雨時には閉鎖するのが普通であった。
しかしながら、降雨時であっても窓の開閉角度が小さい範囲においては雨の吹き込みはなく、降雨時であっても換気をすることが好ましい場合があった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、降雨時に雨が吹き込む全開状態となることを防止しながら、雨の吹き込まない範囲において窓を自然に開閉することができる自然換気窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物開口部に取付けられる窓枠と、窓枠に開閉自在に支持されて、風等の外力により自然に開閉する障子と、障子を開閉する開閉アームと、開閉アームとは個別に設けられ障子の最大開放角度を規制する規制部材を備え、降雨を検知することにより駆動力を発生する駆動手段と、気温の変化を検知することにより駆動力を発生する駆動手段と、湿度の変化を検知することにより駆動力を発生する駆動手段との少なくとも一つの駆動手段を備え、駆動手段は、検知に応じて、規制部材により規制される最大開放角度を変更するように規制部材を駆動し、障子は、閉鎖状態と規制部材により規制される最大開放角度の状態との間で自然に開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
降雨時や気温が低い時などにも、完全な閉鎖状態とせずに自然換気窓が開閉できる開閉角度を小さくして換気することを可能にすることができ、室外の環境に適した自然換気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る自然換気窓の内観図である。
図2】本発明の実施形態に係る自然換気窓が開閉アームによって閉鎖状態に維持された状態の縦断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る自然換気窓が開閉アームによって自然開閉状態に維持された状態の縦断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る自然換気窓が開閉アームによって自然開閉状態に維持された状態において、規制アームによって自然開閉による最大開閉角度が規制された状態の縦断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る自然換気窓の規制アームを駆動する規制部材駆動手段の斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る自然換気窓の規制アームを駆動する規制部材駆動手段の側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る自然換気窓の規制アームを駆動する規制部材駆動手段の動力発生手段部分の駆動説明図であり、(a)は通常状態、(b)は気温が下がったときの動作図である。
図8】本発明の実施形態に係る自然換気窓の規制アームを駆動する規制部材駆動手段の動力発生手段部分の駆動説明図であり、(a)は降雨があった状態、(b)は降雨があり、且つ、気温が下がったときの動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
−自然換気窓の構成−
本発明の実施形態の自然換気窓について、図1を参照して説明する。
(全体の構成)
図1に示すように、本実施形態の自然換気窓は、建物開口部に設置される、上枠11、下枠12、左、右縦枠13,14、及び、上枠11と下枠12との間の左右方向略中央に立設される縦骨15とからなり、縦骨15の左右に開口部を有する窓枠1と、上框21、下框22、及び左、右の縦框23,24を四周に組んでその内周にガラス等のパネルが嵌め込まれて構成され、窓枠1の左右の開口部に配置される障子2、2とからなる。
障子2,2は、それぞれ左、右縦枠13,14と縦骨15の中間高さよりも上方位置において軸支され、軸支箇所よりも上方位置の室内側に重り26が設けられている。
縦骨15の両側面には、障子2,2の開閉状態を制御する開閉アーム4及び障子2,2の開閉角度を規制する規制アーム5が配置されており、操作手段4bを操作することにより開閉アーム4を駆動して障子2,2の開閉を操作することができる。
【0010】
(障子の開閉動作)
図2乃至4を参考にして、障子2の開閉動作について説明する。
障子2は、窓枠1に対して、障子2の中間高さよりも高い位置において支軸2aにより回転自在に軸支されており、上枠11に対して上框21が屋内側から、下枠12に対しては下框22が屋外側から近接するように構成されている。そして、風の力と障子2の上方位置に設けられた重り26とのバランスにより、支軸2aを中心に自然に開閉するようになっている。
【0011】
開閉アーム4は所定角度(約135度)で連結される上アーム部41及び下アーム部42を有しており、両アーム部の連結箇所が、障子2の支軸2aと略同じ高さにおいて縦骨15から突出する回動軸4aに軸支されている。両アーム部の先端には例えばゴム等の材料からなる上ローラ43及び下ローラ44が回転自在に支持されており、上ローラ43及び下ローラ44は開閉アーム4の回動により障子2,2の縦框23,23に室内側から当接するように構成されている。
規制アーム5は、開閉アーム4の回動軸4aのやや上方位置において、縦骨15から突出する規制アーム回動軸5aに軸支され、その先端には、障子2の縦框23,23の室内側面に当接して障子2の開閉角度を規制するストッパ面5bを有しており、通常は、ストッパ面5bが障子2の開閉を何ら規制しない初期位置となるように回動制御されている。
そして、屋外の状況に応じて、具体的には、降雨があるとき、気温が所定温度より低いとき、及び湿度が所定湿度より高いときに、電力等の駆動力を何ら用いずに動力を発生する規制部材駆動手段6の働きにより、ストッパ面5bが障子2の最大開閉角度を所定角度以下に規制する規制位置となるように回動制御される。
【0012】
図2は、開閉アーム4により障子2を閉鎖を維持している状態を示している。
開閉アーム4は、操作手段4bの操作により回動軸4aを中心に上ローラ43が障子2の縦骨15側の縦框23,23の室内側に当接する位置まで回動されている。上ローラ43が障子2の支軸2aよりも高い位置において縦框23,23に当接することで、障子2の支軸2aを中心とした開放が上ローラ43により阻止されて、閉鎖状態を維持することとなる。
なお、規制アーム5は、開閉アーム4の回動とは何ら連繋しておらず、ストッパ面5bが障子2の開閉を何ら規制しない初期位置となっている。
【0013】
図3は、開閉アーム4及び規制アーム5がともに障子2の開閉を全開閉範囲において許容する状態を示している。
開閉アーム4は、操作手段4bの操作により回動軸4aを中心に下アーム部42が略垂直となり、上アーム部41が室内方向上方へ斜めに延びるように回動され、上ローラ43及び下ローラ44が共に障子2の開閉動作に干渉しない位置に退避している。なお、この状態から下アーム部42が室外側に移動するように開閉アーム4を回動させることで、障子2を強制的に開放状態に維持することもできる。
規制アーム5は、屋外の状況が障子2の最大開閉角度を規制する状況にないので、障子2の開閉に何ら影響を与えない初期位置に維持されている。
これにより、障子2は支軸2aを中心に、縦骨15側の縦框23,23が上ローラ43に当接するまでその開放が許容され、その全開閉範囲において風の力と重り26とのバランスにより自然に開閉することができる。
【0014】
図4は、規制アーム5により障子2の最大開閉角度を規制している状態を示している。
開閉アーム4は、操作手段4bの操作により回動軸4aを中心に下アーム部42が略垂直となり、上アーム部41が室内方向上方へ延びるように回動され、上ローラ43及び下ローラ44が共に障子2の開閉動作に干渉しない位置に退避している。
一方、規制アーム5は、屋外の状況により作動する規制部材駆動手段6の働きによって、規制アーム回動軸5aを中心にしてストッパ面5bが障子2の縦框23の室内側面に当接して最大開閉角度を所定角度以下に規制する規制位置となるように回動制御されている。
したがって、障子2は、開閉アーム4によってはその開閉は何ら規制されないが、規制位置にある規制アーム5のストッパ面5bに当接することにより最大開放角度が図4に示す角度(例えば5〜10度)に規制されている。そのため、障子2は支軸2aを中心に、図2に示す閉鎖状態と、図4に示す規制開放状態の範囲において、風の力と重り26とのバランスにより自然に開閉することができる。
【0015】
以上のように、本発明の実施形態の自然換気窓は、障子2の閉鎖状態から開放状態にわたっての開閉制御を行う開閉アーム4と、屋外の状況に応じて障子の最大開閉角度を規制する規制アーム5を個別に備えており、開閉アーム4により障子2の開閉制御を行い、全開閉範囲において開閉を許容する状態であっても、例えば降雨が発生した場合には、規制アーム5の働きにより最大開放角度を降雨が降り込まない程度に規制され、雨の降り込みを防止するとともに、自然換気を継続することができる。
また、規制アーム5の回動制御は、屋外の状況により、例えば降雨を検出することにより電力等の駆動力を何ら用いずに動力を発生する規制部材駆動手段6の働きにより行っているので、制御駆動系に必要な配線等を必要とせずに、開閉アーム4の駆動制御に何ら影響をされることなく自動的に規制アーム5による開放規制制御を行うことができる。
【0016】
(規制部材駆動手段の構成)
規制部材駆動手段6の構成について、図5、6を参照して、説明する。
規制部材駆動手段6は、平面視U字状のフレーム部材61と、フレーム部材61の上部に固定され、両側面より規制アーム5,5が突出している歯車ユニット62と、フレーム部材61に対して上下移動自在に支持される連動バー63と、連動バー63を上下駆動する動力発生手段64とから構成され、縦骨15の側面より規制アーム5,5を突出させた状態で縦骨15の内部に配置されている。
【0017】
フレーム部材61の上方位置には、開閉アーム4を開閉駆動するための開閉アームユニット4cが配置されており、図6に示すように、操作手段4bからの動力が操作棒4dを介して伝達され、開閉アーム4を開閉するように構成されている。
動力発生手段64は、屋外の状況により膨張収縮するなどして電力等の動力源を何ら利用せずに動力を発生するものであり、フレーム部材61の下方位置の室外側に配置されて連動バー63を上下方向に駆動している。
【0018】
連動バー63は、図6に示すように、フレーム部材61もしくは縦骨15に設けられた上下2箇所のガイド部63a,63bによりフレーム部材61に対して上下動自在に支持されるとともに、付勢手段(図示しない。)により上方に軽く付勢されており、その上端には動力伝達歯631が形成され、その下端には動力発生手段64により発生する動力を受ける動力受け部632が設けられている。また、連動バー63はその中間部位に衝撃吸収部63cを有しており、障子2が急激に開放して規制アーム5に当接した際に、連動バー63に伝達される衝撃を中間部位において付勢手段に抗して上下に分離することで後述する雨感知テープ648aが切れることを防止している。
【0019】
規制アーム5を有する歯車ユニット62は、図6に示すように、連動バー63の動力伝達歯631からの動力を規制アーム5に伝達する歯車621,622,623をケース内に収納して構成されており、歯車621が連動バー63の動力伝達歯631と噛み合っている。そして、歯車623の回転軸を規制アーム5の規制アーム回動軸5aとすることで、動力伝達歯631により伝達される連動バー63の上下動を規制アーム5に対して回転力として伝達している。
【0020】
(動力発生手段の構成)
連動バー63を上下駆動する動力発生手段64は、電力等の動力源を何ら利用せずに、屋外の気温の変化、若しくは湿度の変化(水分の付着等)により性状が変化するユニットから構成され、温度の低下により収縮するサーモエレメント643を備えるサーモエレメントユニット641と、降雨(水分)を検出することにより伸長するテープエレメント648を備えるテープユニット646とを備えている。
【0021】
サーモエレメントユニット(駆動手段)641は、フレーム部材61の下端室外側に支持されるプレート部材64aの室外側面に固定される上下2つの保持部材641a,641bと、下方の保持部材641bに支持されて下方の保持部材641bから上方に向かって阻止軸643aを突出させるサーモエレメント643と、上方の保持部材641aに支持されて上方より連動バー63の動力受け部632をバネ等により下方に向かって押圧する上方出力部(付勢手段)642とから構成されている。
サーモエレメント643の阻止軸643aは連動バー63の下端に設けられた動力受け部632を下方より上下方向に貫通しており、貫通した阻止軸643aの上端により上方出力部(付勢手段)642の下端を支持して、上方出力部(付勢手段)642による動力受け部632に対する押圧力の伝達を阻止している。
そして、サーモエレメント643内には、温度変化により固形化するワックスが入っており、例えば温度が18℃から10℃に変化することで、ワックスが固形化して体積が収縮して阻止軸643aが下方に10mm程度下降することで、上方出力部642による押圧力(付勢力)が動力受け部632に伝達されることを許容して駆動力を発生させ、動力受け部632及び連動バー63を10mm程度下降させる。
【0022】
テープユニット(駆動手段)646は、フレーム部材61及びフレーム部材61に固定される歯車ユニット62に支持されるテープ支持部材647と、テープ支持部材647に沿って配置されるテープエレメント648とから構成されている。
テープ支持部材647は、その上端が歯車ユニット62の室外側に固定されると共にその下端がプレート部材64aの室外側面に固定される上下方向に伸びる長尺部材により形成され、下方部分にはテープエレメント648の下端を下方に引っ張る付勢手段647aが配置されている。
テープエレメント648は、その上端がテープ支持部材647の上端部に固定される雨感知テープ648aと、雨感知テープ648aの下端に連結されるテープ出力部648bとからなり、テープエレメント648の下端が付勢手段647aにより下方に引っ張られることにより、テープ出力部648bが連動バー63の動力受け部632に上面より対向するように構成されている。
そして、雨感知テープ648aが雨で濡れたり、湿度が90%を超えたりするなど、所定量の水分を検知することにより雨感知テープ648aが伸長することで、付勢手段647aの付勢力に基づくテープ出力部648bの押圧力(付勢力)が動力受け部632に伝達されることを許容して駆動力を発生させ、動力受け部632及び連動バー63を10mm程度下降させる。
【0023】
(動力発生手段の駆動)
動力発生手段の駆動について、図7乃至8を参考に説明する。
開閉アーム4により、障子2の開閉を全開閉範囲において許容する状態において、室外の気温が18℃であって、降雨がない場合には、屋外の状況が屋内を換気するに何ら問題の無い状況であるので、図7(a)に示すように動力発生手段64は作動しない。
図7(a)においては、上方に付勢されている連動バー63の動力受け部632の上面が、サーモエレメントユニット641の上方出力部642の下面、及び、テープユニット646のテープエレメント648のテープ出力部648bの下面に当接した状態で、規制アーム5を駆動することなく安定している。
【0024】
図7(a)に示す状態から、屋外の気温が10℃に下がった状態を図7(b)に示す。
気温が下がることにより、サーモエレメント643内のワックスが縮んで阻止軸643aが上方出力部642の下方への押圧力で下方に10mm程度下降する。上方出力部642は連動バー63の動力受け部632に上方より当接しているが、連動バー63を上方へ付勢する付勢手段の付勢力よりも上方出力部642の下方への付勢力の方が大きく設定されているので、上方出力部642の下面が動力受け部632を下方に押し下げて、連動バー63を下方に駆動することができる。連動バー63が下方に駆動されることにより、規制アーム5が、規制位置に駆動される。
なお、このときテープユニット646のテープ出力部648bは、動力受け部632に上方より当接しているだけなので、連動バー63の下方への駆動を妨げることはない。
【0025】
図7(a)に示す状態から、降雨があった状態を図8(a)に示す。
雨感知テープ648aが雨で濡れることにより、もしくは、湿度が例えば90%を超えることにより雨感知テープ648aが伸長してテープ出力部648bが付勢手段647aの付勢力により下方に10mm程度下降する。テープ出力部648bが降下することにより、テープ出力部648bが連動バー63を上方へ付勢する付勢手段の付勢力に抗して動力受け部632を下方に押し下げて、連動バー63を下方に駆動する。連動バー63が下方に駆動されることにより、規制アーム5が、規制位置に駆動される。
なお、このときサーモエレメントユニット641の上方出力部642は、阻止軸643aにより下方への押圧力の伝達が阻止され、動力受け部632に対して上方より当接しているだけなので、連動バー63の下方への駆動を妨げることはない。
【0026】
図7(a)に示す状態から、屋外の気温が10℃に下がり、降雨があった状態を図8(b)に示す。
気温が下がることにより、サーモエレメント643内のワックスが縮んで阻止軸643aが上方出力部642の押圧力により下方に10mm程度下降する。また、雨感知テープ648aが雨で濡れることにより雨感知テープ648aが伸長してテープ出力部648bが付勢手段647aの付勢力により下方に10mm程度下降する。
したがって、連動バー63の動力受け部632は、上方出力部642及びテープ出力部648bにより下方に押し下げられて、連動バー63が下方に駆動されることにより、規制アーム5が、規制位置に駆動される。
そして、図7(b)、図8のいずれの場合おいても、規制アーム5によって、障子2の最大開閉角度が規制されることとなる。
【0027】
以上のように、本実施形態の自然換気窓は、開閉アームを手動もしくは電動等にて操作することにより、障子の閉鎖状態を維持したり、または、障子を閉鎖状態から全開状態の開閉範囲において自然換気の状態を維持したりしながら、屋外の状況に応じて電動等の動力を使うことなく規制アームによる開閉角度の規制を自動的に行うことができるので、降雨時や低温時に風等により障子が大きく開放して雨が降り込んだりすることを防止しながら、雨が降り込まない程度の小さな開閉角度の範囲における自然換気を維持することができる。
そして、規制アームを駆動する駆動手段は、降雨の有無、気温の変化、湿度の変化によって駆動力を発生する駆動手段のいずれの駆動手段を設けても、また、それらを組み合わせて設けてもよく、組み合わせて設けた場合には、いずれかの条件が満たされれば規制アームを駆動して最大開閉角度を規制することができる。
また、規制アームの駆動制御には電力等の動力を用いず、温度や湿度に応じて体積や長さが変化するなどの物質の性状変化によって生じる動力を利用するとともに、開閉アームの開閉駆動制御と規制アームの駆動制御とを独立させているので、使用者によって手動又は電動によって操作される開閉アームの状態にかかわらず、規制アームが駆動されて開閉角度の規制をすることができ、自然換気状態を維持しながら雨の吹き込み等を防止できる。
【0028】
なお、本実施形態においては、温度や湿度に応じて動力を生じさせる規制部材駆動手段の例として、サーモエレメントと雨感知テープを使用したが、温度や湿度の変化による性状の変化を利用して動力を発生するものであれば、どのような動力源を用いることも可能であり、また、それらを組み合わせて利用することも可能である。
また、本実施形態の自然換気窓は、窓枠に対して支軸を中心に回転して開閉する自然換気窓であるが、障子が風等の外力により自然に開閉する自然換気窓であれば、すべり出し窓などその開閉方式は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0029】
1 :窓枠
11 :上枠
12 :下枠
13 :右縦枠
14 :右縦枠
15 :縦骨
2 :障子
2a :支軸
21 :上框
22 :下框
23 :縦框
24 :縦框
26 :重り
4 :開閉アーム
4a :回動軸
4b :操作手段
4c :開閉アームユニット
4d :操作棒
41 :上アーム部
42 :下アーム部
43 :上ローラ
44 :下ローラ
5 :規制アーム
5a :規制アーム回動軸
5b :ストッパ面
6 :規制部材駆動手段
61 :フレーム部材
62 :歯車ユニット
621 :歯車
622 :歯車
623 :歯車
63 :連動バー
63a :ガイド部
63b :ガイド部
63c :衝撃吸収部
631 :動力伝達歯
632 :動力受け部
64 :動力発生手段
64a :プレート部材
641 :サーモエレメントユニット
641a :保持部材
641b :保持部材
642 :上方出力部
643 :サーモエレメント
643a :阻止軸
646 :テープユニット
647 :テープ支持部材
647a :付勢手段
648 :テープエレメント
648a :雨感知テープ
648b :テープ出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8